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リユースで購入したブランドの新品購入機会増加は約4割。買い物は「長持ちする商品を購入する」が8割【リユースに関する調査】

2 years 8ヶ月 ago

メルカリが運営する「リコマース総合研究所」が実施した「お買い物に関する調査」によると、約4割のユーザーがリユースで購入したブランドの新品購入機会が増加していることがわかった。調査対象は全国の15~69歳の男女3097人、期間は2023年5月8日~5月9日。

85.5%が「長持ちする商品を購入する」

調査対象者に消費に関する価値観について聞いたところ、85.5%が「長持ちする商品を購入する」と答えた。「シーズンごとに新商品を購入する」と回答した人は24.3%だった。

メルカリ リコマース総合研究所 リユース 消費の価値について
消費の価値観について(n=3097、出典:リコマース総合研究所)

10代は「ストーリー性」「環境への配慮」を重視

年代別に見ると、10代は「ストーリー性がある商品を購入する」(32.7%)「社会課題や環境に配慮した商品を購入する」(39.4%)と回答した割合が他の世代より高い。ブランドの思いや企業姿勢などが消費行動に影響していると言える。

メルカリ リコマース総合研究所 リユース 10代 ストーリー性がある商品を購入 環境に配慮した商品を購入
「ストーリー性がある商品を購入する」と回答した人の割合(年代別、出典:リコマース総合研究所)
メルカリ リコマース総合研究所 リユース 10代 ストーリー性がある商品を購入 環境に配慮した商品を購入
「社会問題や環境に配慮した商品を購入する」と回答した人の割合(年代別、出典:リコマース総合研究所)

約4割がリユースで購入したブランドの新品購入機会増加

リユース品の購入を通じた経験について聞いたところ、「欲しい物を探すときに、リユース品から探すようになった」は26.7%で、2022年より8.8ポイント増加。「これまで知らなかったブランド・メーカーを知った」は20.3%で同4.0ポイント増、「リユース品で買ったブランド・メーカーを好きになった」は15.9%で同3.5ポイント増だった。

メルカリ リコマース総合研究所 リユース リユース品の購入を通じて経験したこと
リユース品の購入を通じて経験したこと(n=1785/複数回答可、出典:リコマース総合研究所)

10代は「リユース品で買ったブランド・メーカーを好きになった」割合が他世代より多い

リユース品の購入を通じて「これまで知らなかったブランド・メーカーを知った」「リユース品で買ったブランド・メーカーを好きになった」と回答した割合をそれぞれ年代別に見ると、10代は各項目で他の世代より高い。

メルカリ リコマース総合研究所 リユース 知らなかったブランド・メーカーを知った
「これまで知らなかったブランド・メーカーを知った」と回答した人(年代別、出典:リコマース総合研究所)
メルカリ リコマース総合研究所 リユース リユースで買ったブランド・メーカーを好きになった
「リユース品で買ったブランド・メーカーを好きになった」と回答した人(年代別、出典:リコマース総合研究所)

85.6%がリユース品購入で好きになったブランドの新品購入後、ブランド・メーカーへの好感度が向上

「リユース品を買って好きになったブランド・メーカーの新品を買ったことがある」人のうち85.6%は、新品購入後そのブランドを「とても好きになった」「好きになった」と回答した。リユース品を通じて、ブランド・メーカーへの好意度が上がることがわかった。

メルカリ リコマース総合研究所 リユース ブランド・メーカーへの好意度の変化
「リユース品を買って好きになったブランド・メーカーの新品を買ったことがある」人の、ブランド・メーカーへの好意度の変化(n=167、出典:リコマース総合研究所)

「リユース品を買って好きになったブランド・メーカーの新品を買ったことがある」人のうち43.1%が「新品の購入が増えた」と回答し、それ以降の新品購入が増えている。

メルカリ リコマース総合研究所 リユース 同じブランドで新ぷんとリユース品の購入に変化があったか
「リユース品を買って好きになったブランド・メーカーの新品を買ったことがある」人の、同じブランドで新品とリユース品の購入は変化したか(n=167、出典:リコマース総合研究所)

「新品の購入が増えた」と回答した人のうち20~40代の約3人に1人が「新品の購入が増えて、中古品の購入が減った」と回答。リユース品を通じたブランド体験が、そのブランドの新品購入の促進につながっていることを示唆する結果になった。

メルカリ リコマース総合研究所 リユース 新品の購入が増えてリユース品の購入が減った
「新品の購入が増えて、リユース品の購入が減った」と回答した人(年代別、出典:リコマース総合研究所)
調査実施概要
  • 調査タイトルお買い物に関する調査
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査期間:2023年5月8日~5月9日
  • 調査対象:全国、15~69歳、男女3097人
藤田遥

「Yahoo!ショッピング」で起きている客離れ。ポイント戦略の転換、出店者の声など現状まとめ | 通販新聞ダイジェスト

2 years 8ヶ月 ago
「PayPayモール」と統合した「ヤフーショッピング」だが、ポイント戦略の転換などで流通額減少に待ったがかからない。今後の方針や、出店者のリアルな声をまとめた

ヤフーが運営する仮想モール「ヤフーショッピング」の流通額が大きく落ち込んでいる。2022年度下期から、同社負担でばらまいてきたポイント付与を抑制したことで流通額が大幅に減少。7月からは一部イベントで、買い物の際に付与される「PayPayポイント」を「ヤフーショッピング商品券」に切り替えるほか、モールへの出店を1事業者1店舗に限定することを検討するなど、さらなる流通額減少につながりかねない方針を打ち出している。ジリ貧に陥った「ヤフーショッピング」の明日はどっちだ。

「eコマース革命」を掲げて出店料金を無料とし、仮想モールで国内首位をめざすと宣言した孫正義氏(2013年当時)
「eコマース革命」を掲げて出店料金を無料とし、仮想モールで国内首位をめざすと宣言した孫正義氏(2013年当時)

モールの取扱高は減少の一途。前年同月比3割減のケースも

ヤフー親会社のZホールディングス(ZHD)によると、「ヤフーショッピング」やグループ傘下の通販事業者の売上高を合計した2023年3月期「ショッピング事業取扱高」は前期比0.2%減。特に第4四半期(1~3月)の取扱高減少率は同13.3%と大きい。出店者に開示している3月度の同モール単体の月次流通額に関しては、前年同月比で3割減という結果となった。

ポイント減少で消費者離れ

大失速の要因はポイント戦略の転換だ。昨年まで同モールは、ソフトバンクの携帯電話契約者向けに、10%還元キャンペーンを毎週日曜日に実施。他の施策も合わせると、20%以上のポイント還元となるため、日曜日に同モールで買い物をする消費者が多く、出店者は日曜日に合わせた販促を展開していた。

方針を転換したのは昨年10月。「PayPayモール」と「ヤフーショッピング」を統合する形で仮想モールを刷新した際、グループの決済サービスやクレジットカードを使用した場合の還元率を5%に引き上げるとともに、毎週日曜日の高還元施策を廃止した。

さらに今年2月からは、毎月5日、15日、25日に実施するセール「5のつく日キャンペーン」に関して、「PayPayポイント」の付与上限が5000ポイントから1000ポイントに減少。出店者からは「日曜日の買い物習慣がなくなってしまった」「高額商品が売れにくくなった」との声が出ている。

ZHDでは「これまでの方針から成長と収益性をバランスさせる方針に転換したため、成長率は下がらざるを得なかった」とし、今期における「ヤフーショッピング」の流通額も「流通額減少のトレンドが続く」としている。

「優良配送」は裏目か。消費者には買いにくいモールに

「ヤフーショッピング」の流通が落ち込んでいる要因として、もう一つあげられるのが「優良配送」に対応した商品の検索優遇だ。21年12月から開始した同制度は、出店者が顧客に提示する商品の配送日を示す「お届け希望日」を、受注日プラス2日以内としている商品かつ当該出店者の出荷遅延率が一定水準未満(5%未満)である場合にのみ出店者が設定できる表示で、商品検索結果で上位表示されやすいような優遇措置を講じている。

しかし、「大手はともかく、中小店舗のほとんどは対応していない」(出店者A)のが実情。実際、「ヤフーショッピング」の優秀店舗「ベストストア」に選ばれるような大手や、ナショナルブランドのメーカーの扱う商品が「優良配送」として検索上位に表示されることが多い。

一方で、知名度が高くない店舗の販売する商品に「優良配送」マークが表示されることもある。たとえば下画像の象印マホービンの炊飯器、「ヤフーショッピング」のアプリにおいて型番で検索すると、「優良配送」マーク付きで上位に出てくるのは知られていない店舗ばかり。同商品はアマゾンにおいて、2万7000円で販売されており、「楽天市場」のアプリでも最上位に表示されるのは約3万円の店舗(検索結果と価格はいずれも6月13日現在)。

「優良配送」マークが付いた商品の一例
「優良配送」マークが付いた商品の一例

「無在庫転売」横行の可能性あり

「優良配送」というだけで、他モールより2万円近くも高い店舗が最上位に表示されるのは不自然だ。これでは他モールに顧客が流れるのが当然で、ある業界関係者は「ヤフーは消費者にとって非常に買いにくいモールになっている」と指摘する。

同商品の検索上位で「優良配送」マークが表示されている店舗のなかには「FBAを利用しているのでアマゾン倉庫からの発送となる場合がある」と明記している店舗もある。

ただ、ジャンルを問わず、10万点程度の商品を扱っている店舗ばかりという点は共通している。品ぞろえや配送日数、価格などからみて、同モールでは禁止されている「自社では在庫を持たず、出店者がアマゾンなどで代理購入した商品を直接消費者に配送する“無在庫転売”を行う店舗」が含まれている可能性が高い

消費者離れに懸念の「商品券付与」

流通額の減少が止まりそうもない「ヤフーショッピング」。ところがヤフーでは、消費者の同モール離れに拍車をかけそうな施策を行う計画だ。

まず、7月から一部イベントにおいて、「PayPayポイント」ではなく、「ヤフーショッピング商品券」を付与する。商品券は、同モールでのみ利用できるため、出店店舗からすれば、リピート購入が期待できるわけだ。

ただ、同社では従来、同モールで貯めた「PayPayポイント」を、消費者がオフラインなどで利用することによる「PayPay経済圏」の拡大をめざしていたはず。利用シーンが限られる商品券の付与は消費者にとってはサービスの低下だ。さらには「商品を買った店舗でしか使えないクーポンのみを購入後に付与するプランもあるようだ」(出店者B)という。これでは消費者離れが加速しかねない。

複数店舗の出店者に打撃の「出店数制限」

もう1つは、「モールへの出店数の制限」だ。同社では6月上旬、一部店舗に対してWebアンケートを実施。「商品の探しやすさの向上や不正ストア防止などのため、原則1事業者あたり1店舗までなど、出店数に制限を設けることを検討」しており、出店者に意見を求めるという趣旨だ。

一部店舗に対して実施したWebアンケート
一部店舗に対して実施したWebアンケート

さらにアンケートでは、「特定の条件に限り有料で2店舗目以降が出店できる特別プランを検討」していることも説明。「1店舗あたりどのくらいの月額利用料であれば2店舗目以降を継続するか」と質問している。

ヤフーでは「ストア向けにヒアリングしている段階で、現状特に何も決まっていない。ストアの声などを踏まえたうえ検討していく予定」(広報室)として、詳細を明かしていない。ただ、施策が実行されれば、複数店舗を出店するEC企業にとっては大きな打撃となる。

同一モールに多店舗展開して売り上げを高める手法は昔から行われており、「ジャンルや顧客層で店舗を分けることで専門店化する」「モール内検索やランキングにおける自社商品の比率を高める」といった狙いがある。

流通額ダウンのおそれも

同モールのベストストアに選出される上位店が2号店や3号店を構えているケースも珍しくなく、中には20以上運営している企業もある。出店数の制限はモール全体の流通額に大きく影響しかねない

ただ、2013年に実施した出店料無料化以降、出店者数が急拡大した同モールだが、同時に質の良くない店舗が増えたという事実もある。とはいえ「不良ストアを追い出すなら審査を厳しくするのが先決だし、検索結果が問題ならロジックを変えればいい。結局、成功報酬型の広告『PRオプション』を今よりも伸ばすのが難しくなったので、もっともらしい理由をつけて店舗から金を徴収したいだけではないか」(業界関係者)との声も。

限られた店舗のみ複数出店を認めるとしても、高額な出店料を徴収すれば店舗を絞る事業者も出てくるだろう。

同モールで複数の店舗を運営する上位店は「出店料を取られるのはもちろん痛い。ある程度の負担は受け入れるが、あまりに高いなら店舗の建て付けを変えざるを得ない」とけん制する。ヤフーとしても難しいかじ取りを迫られそうだ。

出店者はヤフーの「迷走」に厳しい声

「商品券」は出店者にもユーザーにもわかりにくい

最近の「ヤフーショッピング」を、店舗はどう見ているのか。店舗Cは「戦略が見えないので、ヤフーが何をしたいのかわからない」と怒りをあらわにする。

同店の売り上げは前年割れが続いているというが、「同ジャンルで別の店舗が伸びているという話も聞かない。ポイントの付与率が低くなったこともそうだが、優良配送の優遇だけではなく、検索ロジックにも良くわからない部分があり、ユーザーにとって使いにくくなっているように感じる」と話す。また、「ヤフーショッピング商品券」についても「店舗にとってもわかりにくいのに、ユーザーに理解してくれというのはエゴイズムではないのか」と手厳しい。

前年比で売上70%減の店舗も

店舗Dは「ヤフー店はもうむちゃくちゃ。前年対比でいうと、売り上げは70%減に落ち込んでいる」とため息。ヤフーが開示している、同店の属するジャンルにおける同店のシェアは変わっていないため、同モールへの来店数自体が大幅に減少している状況だ。

「結局ヤフーはポイント目当ての顧客しか捉えきれていなかったということではないか。当店は型番商品を扱っていることから、転売のための仕入れに使われることも多く、ポイント付与率が下がり、うまみがなくなったということかもしれない。何にしてもヤフーに関しては打つ手なしだ」。

「ヤフーショッピング商品券」への切り替えについては「たとえば、楽天なら『楽天ポイント』を『楽天市場』で貯めて、『楽天ペイ』で消費するというサイクルができている。せっかくコード決済では『PayPay』が高いシェアを握ったのに、仮想モールで逆行するような動きをするヤフーは理解できない」と話す。

店舗制限は“「PayPayモール」に伴い複数店舗にしたのに”と憤りの声

店舗数の制限については「転売系の店舗を排除するという点では意味があると思う。ただ、ジャンルで店をわけている事業者など、困る店舗が出てくるのは確かだろう」とする。

店舗Eは「ヤフー店の売れ行きは非常に厳しい。5のつく日しかユーザーが来ないので、同日にポイント倍率を高めることで無理やり売っている」と明かす。ポイント施策で集客しているだけに、「ヤフーショッピング商品券」の導入も「迷走しているという印象。『ヤフーショッピング』を使ったユーザーに戻ってきてほしいという狙いなのだろうが、『どこでもポイントが使える』という良さをなぜ手放すのか」と首をかしげる。

「集客に力を入れる気がないのなら、キャンペーン原資を返してほしい。店舗数制限についても、当店は『PayPayモール』の新設にあわせて『PayPayモール』と『ヤフーショッピング』に店舗を構えた経緯がある。モールが統合したから『ヤフーショッピング』で2店舗運営することになったわけだが、自分たちの都合で店舗を振り回しておきながら『1事業者1店舗に限定する』では筋が通らない」と憤りを隠さない。

その一方で「『ポイントのばらまきをやめて集客力が落ちたヤフーは魅力がなくなったので、もう力を入れない』という店舗の話も良く聞くので、逆に穴場となる可能性があるかもしれない」とも口にする。

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通販新聞

【テレビ通販大手の2022年度売上】ショップチャンネルは1.2%減の1555億円、QVCは3.8%増の1329億円

2 years 8ヶ月 ago

テレビ通販大手の2022年度売上高が出そろった。

24時間365日生放送のショッピング専門チャンネル「ショップチャンネル」を運営するテレビ通販最大手ジュピターショップチャンネルの2023年3月期(2022年4月~2023年3月)売上高は前期比1.2%減の1555億3800万円。営業利益は同7.0%増の190億5400万円、経常利益は同6.7%増の194億3600万円、当期純利益は同0.9%減の135億6100万円。2023年3月期は採算性を考慮し施策を見直したという。

24時間365日生放送のショッピング専門チャンネル「ショップチャンネル」を運営するテレビ通販最大手ジュピターショップチャンネルの2023年3月期(2022年4月~2023年3月)売上高は前期比1.2%減の1555億3800万円だった
2023年3月期のPLとBS(画像は官報からキャプチャ)

TV通販2位のQVCジャパンの2022年12月期業績は第23期決算公告(4月14日公表)によると、売上高は前期比3.8%増の1329億3400万円、営業利益は同6.5%増の269億4700万円、経常利益は同5.6%増の270億8400万円、当期純利益は同6.0%増の189億1800万円だった。

TV通販2位のQVCジャパンの2022年12月期業績は第23期決算公告
2022年12月期のPLとBS(画像は官報からキャプチャ)

テレビ通販やラジオ通販、カタログなどメディアミックスで通販事業を手がけるジャパネットたかたを傘下に抱えるジャパネットホールディングスの2022年12月期連結売上高は、前期比1.1%減の2487億円だった。

ジャパネットたかたの持ち株会社であるジャパネットホールディングスの2022年12月期連結売上高は、前期比1.1%減の2487億円だった
ジャパネットHDの売上高推移(画像はジャパネットHDのHPからキャプチャ)
瀧川 正実

ポスト投函できる小荷物を1個120円で配送。セイノーグループが始める通販・EC向けの新サービス「ユニポス」とは

2 years 8ヶ月 ago

セイノーホールディングスの100%子会社でメール便事業などを手がける地区宅便は7月1日から、ポスト投函できる小荷物を1個120円でポスト員配送するサービスを始めた。

サービス名称は「ユニポス」。各家庭のポストに投函できる小さいサイズの通販・ECの荷物を、グループ約1万人の配達員が配送する。まずは、1都3県(東京、神奈川、千葉、埼玉)に特化して「業界唯一無二のローコストオペレーションを提供する」(セイノーホールディングス)と言う。将来的には1都3県以外への拡大も検討している。

「ポスト投函できる小荷物」は、3辺合計が60cm以内、長辺34cm以内、厚さ3cm以内。重量は300gまで。リードタイムは5日間。「ユニポス」を利用する企業は、地区宅便の発送拠点である城北配送支店(埼玉県朝霞市)に荷物を納品する必要がある。

セイノーホールディングスの100%子会社でメール便事業などを手がける地区宅便は7月1日から、ポスト投函できる小荷物を1個120円でポスト員配送するサービスを始めた

地区宅便はメール便に特化した環境負荷の低いGreen配送ネットワーク(地域密着細分化により効率化された徒歩、自転車による配達組織)を抱えている。Green配送の配達員は約1万人。このネットワークを活用し、40年間の配送業務で培った追跡システム・配送管理ノウハウを、「ポスト投函可能な小荷物」に広げた。

なお、2023年12月31日までをプレセールス期間と位置付けており、1個あたり120円(税抜)での提供は期間限定としている。

セイノーホールディングスの100%子会社でメール便事業などを手がける地区宅便は7月1日から、ポスト投函できる小荷物を1個120円でポスト員配送するサービスを始めた

 

瀧川 正実

新生DHCの髙谷会長兼CEOが語る“再生”のシナリオとは? 「価格訴求の見直し」「組織改革」「脱トップダウン経営」 | 通販新聞ダイジェスト

2 years 8ヶ月 ago
経営体制を刷新したDHC。トップダウン型の旧体制を脱し、組織内の横の連携強化、価格訴求の見直しなど、組織改革を進める。会長兼CEOの髙谷氏が詳細を語る

ディーエイチシー(=DHC)は今年4月、経営体制を刷新した。今後、組織改革を通じて従業員の意識改革を進める。髙谷成夫代表取締役会長兼CEOに、再生のシナリオを聞いた。

DHC 髙谷成夫代表取締役会長兼CEO
DHC 髙谷成夫代表取締役会長兼CEO

脱・トップダウン経営。“横の連携”に向けた意識改革に着手

――就任の経緯は。

オリックスが事業承継案件のM&Aとしてデューデリジェンスが開始した段階で業界、ビジネスモデルに対する知見を求められ、アドバイザーとして関わっていた。買収完了後に打診を受けた。

――外部から見ていたDHC、吉田嘉明前会長の評価は。

ファンケル、オルビスなどと通販の黎明期に同じタイミングで立ち上がってきた経緯もあり、参考にさせてもらっていた。ベールに包まれた会社、強烈なカリスマ経営者によるトップダウン経営のイメージを持っていた。そこはスピード感や決断力、一歩先を越されるところもあり、うらやましい面もあった。

――そのトップダウン経営から脱却を図る。3代表体制に移行したが役割分担は。

社長の宮﨑(緑氏)は経営執行の中心を担う。私は、事業構想、事業戦略など中長期的観点で会社をリードする。副社長の小髙(弘之氏)は、オリックスとして多くの投資案件を手がけてきたなかで、成功例・失敗例の経験値を持っている。PMI(M&A後の統合プロセス)や株主とのコミュニケーションで重要な役割を担う。

――意思の共有は図れているか。

顧客視点に基づく意思決定の判断は共有できており、よい形で進んでいる。

――実際に会社に入り、従業員、企業文化に対する所感は。

よい面は会社、商品に高いロイヤリティを持つ社員が残っていたことだ。もう少し流出している感覚があったが、今なおそのような社員に支えられ、事業運営のベースとなる顧客志向の文化がしっかり根付いていたことは大きい。

反対に極端にトップダウンが強く、横の連携がなかったことも企業文化と言える。カリスマ経営者が退かれたなかで変えていくことが必要だ。

――全社横断型プロジェクト「ProjectBright」を立ち上げた。進捗は。

決済権限の移譲に関する規則、横の連携に向けた会議体の整備など仕組み化を通じて意識改革を進める。これまでは考えたものを上にあげるだけで会議をやらない文化。それではいけないという判断をしている。

「ProjectBright」による組織改革の概要

――外部から人材招へいの構想もある。

もちろん考えている。

――とくに改革に力を入れていく部門は。

まず事業運営のリスクになる面は早急な手当が必要になる。品質保証体制、コンプライアンス、ITインフラの整備はすでに着手し、組織として動ける体制をつくった今後は、商品・サービスの企画・研究・開発、マーケティング機能の強化が必要になる。

長所を伸ばし、短所修正でブランド再生へ

創業者から始まった、商品・品質への「執念」と「顧客志向」

――DHCの強み、コアの価値は何か。

企業がさまざまな人達の思いにより積み上げられてきた価値の束のようなものだとすると、これを形づくるDNAはこの会社にも当然ある。それが顧客志向の文化や顧客資産だ。

資産とは単純にリストではなく、ブランドを愛するお客さまがいること、そこに真摯(しんし)に向き合える志向性があることが強みだ。

そのベースは商品とサービスのありようになる。化粧品で言えばオリーブオイルからスタートしている。就任早々、スペイン・アンダルシア州の外れにある原料供給元を訪ねた。話を聞くなかで40年前、創業者の吉田という人間がこの日本から遠く離れた異国の地にたどりつき、伝承的な抽出方法で精製された原料を探し出し、自ら交渉し、その貴重な原料で商品を作ったことに感慨を覚えた。

まさにこれが一つのDNAであり、商品や品質に対するこだわりというより「執念」、よいものをお客さまに届けたいという思いのシンボルになっている。

商品・品質に対するこだわりは、今なお会社の根底にある。もう一つは顧客志向のベースになるビジネスモデルの強さだ。通販、直営店、流通卸というタッチポイントを持っていることは、優れた商品を届け、最高の顧客体験を提供する意味で大きなアドバンテージになる。

極端な価格訴求からは脱却か

――反対に変えていく価値は。

企業はいかに強みにフォーカスするかだと考えている。内外で指摘される課題は当然認識している。ただ、弱みを全て解決すればその会社が成長できるわけではない。人格同様、社格もそういうものだ。その意味で強みを磨く。弱みに手を打つ時には徹底的に否定文で語ることが必要になる。

これを前提に本来の品質を今一度伝え、最高の顧客体験を提供するために否定すべきものは何か。プロモーションのやり方が、価格訴求が非常に突出して伝えられている点は手をつける必要がある

――それは弱みか。

DHCはブランドのありようとして、ラグジュアリーブランドのように一握りの特別な方に提供すべき商品・サービスを提供しているわけではない。

古臭い言い方をすれば多くの“市井の人々”が手に取れる商品・サービスを最高の品質で提供するのがブランド価値だ。「価格」は重要なファクターになる。顧客体験では、買い物の楽しみやお得感、賢い選択をしたという感覚なども必要になる。それを体現するのは価格だけではないが、価格訴求自体が悪でもない。

ただ、自分達で自らのブランドを棄損するやり方、極端な価格訴求は品質、顧客体験にマイナスに働く。大事なところが見失われ、価格だけに突出した点はバランスが必要だろう。

――どう変える。

プロモーション手法、価格設定、ロイヤリティプログラムも検討する必要があり、簡単ではないが全体最適をつくる。「ProjectBright」は三段階ロケットになっているが、第1弾は組織改革を通じた意識改革第2段階はいわゆる4P(商品、価格、プロモーション、流通)の改革を基本構想にしている。

流通卸は堅調も、課題は通販の低迷

――化粧品事業はここ数年、ヒット不在の印象がある。ブランド戦略を含めた改革は。

ヒット商品を作れればこれに越したことはない。ただ、新商品を投入し、成功に導くのはリスクを覚悟するチャレンジだ。当然チャレンジもするが、強みを見つめ直し、お客さまにお伝えして認識していただくブランディングが優先だろう。

――直営店舗はピーク時の約200店舗から大幅に減らした。チャネル改革の方向性は。

最高の顧客体験を提供する視点でいかに組み合わせるかがポイントになる。現状でいえばホールセールは業績的にもかなり堅調に推移している。ヘルスケア中心にサプリでは卸流通のシェア30%を占める。そこは№1ブランドとしての戦い方をしていく。

ひるがえって通販の業績はここ数年、非常に厳しい。特に化粧品領域の低迷は大きな課題だ。直営店は、ダイレクトマーケティングの一環としてリアルな世界観を体現し、通販と連動して顧客体験を提供する。通販でカバーできない市場の開拓を進めるメディアとして重要な役割もある。コロナ禍に収益性の観点から適正な規模(95店舗、7月末時点、予定)に集約してきた。

反転攻勢にでやすい環境になっており、スクラップ&ビルドのなかで優良な商圏に出店していく。

DHCの過去10年間の業績推移
DHCの過去10年間の業績推移

――顧客構造の課題は。

中心は中高年層だが、ヘルスケア事業が多くを占める影響もあり、前出の通販大手2社と比較して、少し上の印象だ。

化粧品は事業開始から40年経つ。年齢を重ねた固定客に支えられており、かなり上というのが実際のところだ。現状がベストではないが、いかに40~50代の顧客をボリュームとして持つかは継続性の観点から重要だ。

――新規獲得の状況は。

CPO(編注:顧客獲得単価)の高止まりに加え、ここ数年は、前会長の発信が注目され、出稿を強化できない環境から思ったように進んでいない。体制刷新もあり、近くアクセルを踏む。

――広告の投資戦略は。

一方通行型の広告出稿、メディア活用は効率が合わなくなっている。本来の企業、事業、商品のありようもお客さまにオープンな状態になっており、会社の表裏はすぐに見えてしまう。そうなると自分達のありよう自体をきちんとしなければ、時代を勝ち抜けない。

SNS、顧客間の情報の流通としてのCtoCを含め、いかに全体として魅力的なコンテンツ、情報を流通させブランド浸透を図るかだろう。

成長の大部分を占める海外展開。重要商圏は中国

――市場の競争環境に対する評価は。

ヘルス・ビューティケアの領域はやはり成長市場であるし、やり方次第だ。また、この領域は日本が海外で戦える数少ない領域の一つ。海外展開の成否は、これからの企業成長の大部分を占める

――強化の方針か。

まずは中国が重要だ。オフラインで200店舗を展開し、想定していたよりも業績がある。ただ、これまで十分注力できていたわけではない。オンラインとの連携、中国における商品ポートフォリオの見直しなど伸ばせる余地は十分ある。

――海外売上高比率は。

現時点では開示していない。

――市場におけるライバル企業は今もファンケル、オルビスか。

特定の1社をコンペティターとして見るというより、各面で対峙すべき相手は違うかもしれない。自らの価値をもう一度つむぎだすことが今は重要という思いだ。

――オリックスグループとのシナジーは。

「ProjectBright」をはじめ、PMIの円滑な進行には深い知見が生きている。もう一つ、オリックスの投資対象となる成長市場としてITとヘルスケアを柱に考えている。

「医療」、「予防」の各領域で買収案件を持ち、「未病」を担うのがDHCとすると、実業としてヘルスケア領域をかなり持つことになる。DHCとして医療、予防に踏み出す想定はないがシナジーを発揮できる環境は作れる。

業界との接点強化。改革は長期目線

――改革のゴールと達成のめどは。

年内に中期経営計画の策定を進めるなかでめど値を含め定める。

――DHCは不動産を中心に総資産が約1400億円ある。オリックスとしてはこれら売却益だけで十分収益を上げることができる。長期保有で取り組めるか。

それは私が答える立場にないが、これまで手掛けた投資案件の多くは長期視点だ。一般的なファンドのように、2、3年という時間軸を前提にはバイアウトやIPOは考えてはいないだろう。

――今期の業績見通しは。

無理をしてトップラインをあげるフェーズではない。しゃがむ時はしゃがむ必要がある。年内に急激な成長はめざしていない。

新体制はコンプラ強化の転換点

――社会から見た企業イメージなど改革の先にある理想像は。

前会長の発言を含め、個人的な政治信条にコメントはない。ただ、法人格として発信したことは真摯に反省すべきと思っている。社会的責任を負う企業としてのガバナンス、前提となるコンプライアンス強化に取り組む大きな転換点になる。

特にダイバーシティの問題は、社会だけでなく、社内的にも尊重することがイノベーティブな会社であろうとするほど必要になる。行動で示すことにより、おのずと顧客や社会からの見え方が変わることを期待したい。

DHCグループが掲げる行動指針(画像はDHCグループのコーポレートサイトから編集部がキャプチャ)
DHCグループが掲げる行動指針(画像はDHCグループのコーポレートサイトから編集部がキャプチャ)

――業界との関わりはどう変える。

より社会に開かれた会社として日本化粧品工業会や日本通信販売協会など団体、業界との関係性はしっかり作っていきたい。

髙谷会長にとってDHCは「存在意義をかけて挑戦できる環境」

――最後に髙谷会長自身の信条、関係者へのメッセージを聞きたい。今回どのような気持ちで参画を決意されたか。

やはりこの会社でやっていくかについて非常に悩んだ部分はある。それだけの重責でもある。ただ、ヘルスケア、ビューティケアの業界でお世話になってきた人間として、もしかしたら最後に近い形での関わりになるかもしれない。

そのなかで最終的に引き受けたのは、DHCという会社のDNAに共感するものを感じた時だと思う。

人生100年時代となるなかで、そこには健康や、身体だけではない心の豊かさが必要になる。その意味で、より多くの市井の人々が生き生きと人生を歩むための商品・サービスを提供できる仕事、自分の存在意義をかけて、自分が信じる価値の実現にチャレンジできる環境をこの会社に見いだせた気がした。

これをDHCの従業員、関係者とともにやり切れるとすれば、こんなに素晴らしく、楽しいことはない。それが信条といえばそうだろうと思う。

※記事内容は紙面掲載時の情報です。
※画像、サイトURLなどをネットショップ担当者フォーラム編集部が追加している場合もあります。
※見出しはネットショップ担当者フォーラム編集部が編集している場合もあります。

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通販新聞

ジャパネット流「伝え方」の秘訣。創業者の髙田明氏が語る“人に伝えるための極意”

2 years 8ヶ月 ago
ジャパネットたかた創業者で現在はA and Live代表取締役を務める髙田明氏が通販ビジネスの「伝えることの大切さ」について講演。通販事業をするなかで見出した“人に伝える際に大事なこと”について語った

2015年にジャパネットたかたの代表取締役を退任し、A and Live代表取締役に就任した髙田明氏。これまで通販ビジネスを手がけるなかで、いかに伝えるか常に試行錯誤を続けてきた。ラジオからテレビ、カタログ・チラシ、そしてインターネットとフィールドは変わっても、商品の良さを伝えることに情熱を持って取り組んできたという。そんな髙田氏が、EC事業者に向けて自身の経験や大切にしていることなどを語った。

状況を受け入れて、今という瞬間を一生懸命にやり切る。自分の会社も変えていけます

ジャパネットたかた A and Live 髙田明氏 メディアミックスの歴史
メディアミックスの歴史(画像は「ジャパネットたかた」サイトからキャプチャ)

今は大変な時代です。新型コロナウイルス感染症もなかなか終息の目処が立ちません(編注:2022年11月の講演時点)。そして地球の環境も変わっています。規模の大きな自然災害があちこちで起きています。さらにロシアのウクライナ侵攻があり、核兵器の話まで出てきて、長崎県出身の私は常に平和な世界を願っていますが、本当に気持ちが折れそうになります。

70歳を過ぎた私自身の生き方を簡単に言いますと、「受け入れる」ということです。何か悪いことが起こっても私たちの力では変えられないものが多い。そこで現実を直視して、その状況をしっかり学びながら、受け入れる。そのなかでどうしたら企業の活動を維持してもっと成長していけるかを考える。受け入れずに、悪い理由をあげているだけでは、なかなか前に進まないのではないでしょうか。

ジャパネットたかたの現役の時に、消費税がどんどん上がった時期がありました。その時は売り上げが大きく下がりました。ただ、消費税を上げるのは、国の将来にとって大事なことですからそれは受け入れて、厳しいなかでどうすればよいかを社員とともに話しながら乗り越えてきました。

このように、まず受け入れました。その後は、今を生きました。今という瞬間、ここを一生懸命にやり切りました。過去と他人は変えられません。とらわれず、今という瞬間に向き合っていくことが、乗り越えるために一番大切なことではないかと思っています。

皆さんは未来について悩んでいないでしょうか。その悩みの8割は、自分では変えられないと思っています。「残りの2割、自分の力で変えていけることだけに集中して、一生懸命やることが一番じゃないか」、それが今を生きるということにつながると思います。昨日より今日、今日より明日と日々乗り越えていく。その積み重ねで自分の会社も変えていけます。それを前提に、状況を受け入れて、他責とせずに頑張りましょうというメッセージをお届けしたいと思います。

ジャパネットたかた創業者、A and Live 代表取締役 髙田明氏
ジャパネットたかた創業者、A and Live 代表取締役 髙田明氏

29万8000円の「書院パソコン」5000台をラジオショッピングで完売。伝わったら50万円のものでも売れる

伝えるという場合、「伝わった」と「伝えた」はまったく別物です。

たとえば、「ラジオショッピングであればラジオで語ったから伝えた」「テレビショッピングで商品を紹介したから伝えた」、そう思っても伝わっていなければなにも結果が出ない。つまり、伝えたということは「相手に伝わった、消費者の方がそれを理解した」ということです。その結果、商品を買っていただけるわけですね。「伝えた」と「伝わった」。この違いをしっかり理解することが必要なんじゃないかと思います。

ジャパネットたかた A and Live ラジオショッピングを始めたころの髙田明氏
ラジオショッピングを始めた頃の髙田氏

伝わった世界を感じ出したら面白いです。ビジネスにも反響がありますから。私は通販の世界にラジオショッピングから入りました。当時、「ラジオは見えないから、1万円以上のものは売れない」と言われていました。

シャープさんの「書院パソコン」という商品があり、これは売れるぞと思って価格を聞くと29万8000円。在庫を聞いてみたら5000台持っていると。私は「じゃあ売らせてください」とお願いして、なんとラジオだけで5000台完売しました。

このように、伝わったら仮に50万円するものでも売れてしまうのです。逆に、1万円以下のものでも、なかなか買ってもらえないことがありました。10回、20回、30回試しても売れない。伝え方を一生懸命勉強して、商品をもっと深く勉強して、喋ってみたんですよ。するとある時、注文の電話がどんどんかかってきました。

つまり何度も私が喋ったことは、伝えたつもりでもラジオを聴いている皆さんには伝わっていなかったんです。そこで伝え方を変えていくなかで、伝わったという瞬間にご注文をいただいたということです。

ジャパネットたかた A and Live 髙田明氏 伝え方の原点となったラジオショッピング
伝え方の原点となったラジオショッピング

ミッションを大事にする、パッションを持つ、失敗を恐れずにアクションを起こす。3つの「ション」を大切にして頑張る

皆さんは何のために企業を経営されているでしょうか。何のために皆さんの会社があると思いますか。

個人の生き方としては、人の幸せのために尽くす。企業としても、人を幸せにできることを提案しているかが大事だと思います。

私は「ミッション」という言葉を掲げていますが、ミッションなくして企業の継続はできないと考えています。ミッションというのは、いわば企業理念ですよね。

何のために、誰のためにビジネスをしているかというのはまさにこのことです。それを忘れて、利益だけを追求していくなら、その企業は絶対に続かないと思います。そういう考えでは、100年続く企業は絶対に生まれてこない。日本には300年、400年続いていらっしゃる会社さんはいっぱいあります。私もそういう会社さんとお付き合いしたことがありますし、トップの方にもお会いしました。共通しているのは、素晴らしいミッションを持っているということ。「私たちは世の中を明るく、人々を幸せにするために、事業をやっている」といったコンセプトを何百年と持っている。

ジャパネットたかた A and Live 1986年に独立し、新たに店を構えたころの髙田明氏
1986年に独立し、新たに店を構えた頃の髙田氏

もちろん利益は絶対に必要です。ただ、ミッションをぶれずに持つということが会社の継続には大事だろうと思います。

ミッションのほかに、今を一生懸命に生きるためにプラスアルファが必要です。それは「パッション」です。パッションというと、情熱ですよね。絶対にやり通すんだという情熱が必要だと思います。

「人は思う通りの人になる」と、ゲーテが言っています。私はそれを読んだ時に、とにかく毎日毎日、瞬間瞬間を一生懸命生きていけば思う通りになるし、自分の会社も思う通りの方向に進んでいけるんじゃないかと思いました。だから、ミッションを大事に必ずぶれずに持ち、パッションを持って今を一生懸命生きる

「ミッション」「パッション」、それともう1つの「ション」を大事にしてきました。それは「アクション」です。行動に移す。素晴らしいものがあるならばアイデアだけで終わらず、やろうと決めたことにはアクションを起こしてください

ミッションを大事にする、パッションを持つ、失敗を恐れずにアクションを起こす。皆さんも、この3つを大切にして頑張っていただきたいと思います。

チャレンジしてみてうまくいかないことがあっても大丈夫。それは失敗ではなく試練

ジャパネットたかたは、ラジオショッピングを行って4年くらいが経った段階で売り上げが40億円ぐらいになりました。

これだけ商品を買ってもらえるのであればラジオだけではなくテレビでもやってみようと、テレビショッピングを始めました。すると、売り上げは200億円、300億円に増えたんです。

そして「商品の発売サイクルの早さに対応するにはスタジオを作らないと負けちゃうな」と思ったんです。周囲の9割は無理と言いましたが、できると信じて10%の可能性にかけてスタジオを作りました。

スタジオの次は人材。社員をテレビ局へ研修に出し、最初は派遣スタッフの力を借りながら、チャレンジしました。すると新しい商品をどんどん出していけるようになり、売り上げは400億円、500億円と上がっていったんですよ。

このように失敗を恐れずにチャレンジしてきました。たとえ可能性が10%しかなくても、そこを100%にすることを考えたら結構できるものです。

もちろんうまくいかないこともあります。でも大丈夫です。それは失敗じゃないんです。失敗とは、やらなかったこと。一生懸命やらなかったこと。そう思っています。一生懸命やってうまくいかなかったことは、失敗じゃなく試練なんです。その試練を積み重ねて、人は大きくなっていくし、社員も育っていくし、企業もその経験のなかで大きくなっていく。

ジャパネットたかた A and Live テレビショッピングを始めたころの髙田明氏
テレビショッピングを始めた頃の髙田氏

もちろん会社が転ぶような失敗はダメです。でも、できるものはチャレンジして、それを乗り越えて、試練をたくさん経験する。それによって企業は成長していくと思います。

ジャパネットたかた A and Live 髙田明氏 第1回のテレビショッピング
第1回のテレビショッピング

ラジオ、テレビときて、その次にカタログやチラシもいいのではないかと思いました。

70代、80代の方のなかにはラジオやテレビでは買われない方もいるんじゃないかと思って、カタログを発行したんです。そしてチラシを全国に撒きました。すると、いつの間にか売り上げが700億円、800億円になっていったんです。

ジャパネットたかた A and Live 髙田明氏 創刊号のカタログ
創刊号のカタログ

目の前の状況を受け入れ、どんどんチャレンジしていっただけです。

そして今度はインターネットが出てきたんですよ、Eコマース。当時はインターネットで売れるとはまったく思いませんでした。でも、来るものはウェルカム、チャレンジしようと。情熱が、パッションがふつふつと湧いてきて、インターネットにもチャレンジしました。

ホームページの立ち上げには8か月くらいかかりました。最初にカメラが1台売れた時は、社員とともに喜びを分かち合いました。今ではインターネットでも何百億円と買っていただくようになりました。

私の人生は死ぬまでボトルネックを探す旅。改善に活用できる「残す」「捨てる」「変える」「加える」の4つの箱

今を一生懸命生き続けることによって、ラジオからテレビへ行き、テレビのスタジオを作り、そしてカタログ・チラシを使った紙上ショッピングに入っていき、インターネットショッピングへとつながって、今はメディアミックスショッピングができるようになりました。

皆さんもチャレンジしてください。あれもこれもというのではなく、慎重に慎重を重ねて、やる時には思い切り頑張っていただきたいと思います。その際も「伝える」ということがすごく大事になるでしょう。

たとえばインターネットショッピングでなかなか反響がないという場合、画像や動画など「見せ方のところに弱い部分があるのではないか」と立ち止まって考えることが必要です。

何かを作って見せているけれども、変化が起きなければ変えてみないといけない。ボトルネックは何かを考えなきゃいけない。

ジャパネットたかた A and Live 髙田明氏 ジャパネットたかたのサイト
「ジャパネットたかた」のECサイト(画像は「ジャパネットたかた」ECサイトからキャプチャ)

何が原因で結果が出ないのか。私は、ボトルネックを探す旅をずっと続けてきました。ラジオショッピングで売れない時は「どうして売れないんだろう」。テレビで商品を紹介した時も同じで、「なんで売れないんだろう。このボトルネックはなんだろう」と。仮に、いい時であっても「なぜ、これでいいのだろうか」と考える時もあります。

社員を巻き込みながら、原因となるボトルネックをひたすら突き詰めていくことによって、1つひとつ越えてきました。

私の人生は死ぬまでボトルネックを探す旅です。もしも100歳まで生きるとしたら、100歳になってもその旅を続けているでしょう。これはもうエンドレスです。なぜならボトルネックは、至るところにありますから。

家庭を考えてください。結婚して相手を幸せにしよう。子宝に恵まれたら子供を幸せにしよう。その次には孫を幸せにしよう。会社でも同じように、社員を幸せにしたい、世の中に貢献したいと考えます。常にボトルネックとの闘いです。

ジャパネットたかた A and Live 2022年前後の髙田明氏
2002年頃の髙田氏

そこでボトルネックの改善の方法について、私なりのやり方をご提案します。

まず、4つの箱を用意してください。改善する時に残すことと捨てることの箱が必要です。そして残したり捨てたりするのではなく何かを変えるための箱があります。4つ目は新たに加えることの箱です。

 つまり「残す」「捨てる」「変える」「加える」の4つの箱です。これをうまく活用して、箱のなかに紙に書いた案をどんどん入れます。そしてそれに沿って改善していきます。1回の改善ではうまくいきません。皆で結果検証をしてPDCAを回しながらそれを何度も繰り返すことによって、完成形ができていきます。

これを通常の仕事に取り入れていけば、必ず改善できて、今よりももっと進化した企業になるんじゃないかと思います。

愛情を持って、間を取りながら相手に向き合って話す。これが伝えるための一番の極意かもしれない

それでは商品を伝える際に、実際に私がやった例を紹介します。

ボイスレコーダーという録音する機器を販売した時のことです。当時は記者会見や会議の録音などに使われていて、市場は50万台くらいの規模でした。私が売り始めた時に、1年間で40万台ぐらい売れました。なぜだと思いますか。商品の提案の仕方を工夫したんです。

お年寄りの方が夜中に大事なことを思い出してそれを忘れないようにする場合、ボイスレコーダーならスイッチを押せば、音声で録音できてすぐに聞けます。わざわざ起きてメモを取らなくてもいい。

あるいは夫婦共働きで子供さんが学校から帰ってきた時に、「お母さんはあと1時間で帰るから、冷蔵庫のケーキを食べて待っていてね」とお母さんの声で子供さんに伝える。すると子供さんはお母さんの声を聞いて安心します。

こんな風に提案したわけです。つまり商品が持っている価値をどのように伝えていくかが大事なんじゃないかと思います。

電子辞書を販売した時は180万台売れました。ジャパネットたかたの場合は自分たちで選んだものを多くの方に信頼して買っていただくというプッシュ型の営業です。電子辞書は調べてみると、ほとんど学生さんが買っていました。しかし時代は高齢化社会です。この商品をご年配の方とか、お父さん、お母さんに売る方法はないかと考えたんです。それでどうしたと思います?

70歳の奥さま、3歳のお孫さんと一緒にスーパーマーケットに買い物に行ってください。するとお孫さんが「eggplant」とナスを指さし、「green pepper」とピーマンのことを呼びますよ。今の電子辞書は英語のネイティブの発音が出ますから、それをまねして単語を喋っていたら、将来お孫さんはインターナショナルになりますよ、と提案したんです。結果はどうなったと思いますか。注文の7割は70、80歳以上の方からあったんですよ。

ジャパネットたかた A and Live 髙田明氏 長崎県佐世保市のテレビスタジオ
長崎県佐世保市のテレビスタジオ

市場を創るというのは、こういうことじゃないでしょうか。提案の仕方でどんどん広がっていくと思っています。

伝える際の具体的なテクニックについてお話しすると、私みたいに高い声がいいです。高い声のほうが伝わりやすいと、社員にも言っていました。

そして間を取ることです。間は次の「有」を生み出すための「無」。たとえばローヤルゼリーを売る時に、5分間商品を説明して3秒の間を置くんです。そして「値段は9800円ですよ。安いでしょう」と言うんです。その3秒間で、視聴者の方に私の説明を思い出してもらうんです。考える時間を3秒提供することによって注文が5倍増えることもありました

同じことを言うにしても、愛情を持って、間を取りながらしっかり相手に向き合って話す。これが伝えるための一番の極意かもしれません。

なんでも伝えることから始めてください。もう一度皆さんの世界を見渡して、伝わった世界になっているかどうかを見直してみることが大事なんじゃないかと思います。

キヨハラサトル

ショップチャンネルの売上高は1.2%減の1555億円、経常利益は6.7%増の194億円【2023年3月期】

2 years 9ヶ月 ago

24時間365日生放送のショッピング専門チャンネル「ショップチャンネル」を運営するテレビ通販最大手ジュピターショップチャンネルの2023年3月期(2022年4月~2023年3月)売上高は前期比1.2%減の1555億3800万円だった。

6月29日に公表した決算公告によると、営業利益は同7.0%増の190億5400万円、経常利益は同6.7%増の194億3600万円、当期純利益は同0.9%減の135億6100万円。2023年3月期は採算性を考慮し施策を見直したという。

24時間365日生放送のショッピング専門チャンネル「ショップチャンネル」を運営するテレビ通販最大手ジュピターショップチャンネルの2023年3月期(2022年4月~2023年3月)売上高は前期比1.2%減の1555億3800万円だった
2023年3月期のPLとBS(画像は官報からキャプチャ)

ファッション商品を強化するため、2023年2月にファッション特化型スタジオを設置。ECサイトでゲストやブランド担当者、社員がファッションコーディネートを提案するサービス「SHOP CHANNEL PEOPLE」を2023年1月に始めた。

コトや体験型商品を販売する番組「コトコレ!」ではマクアケとの協業をスタート。商品拡充で、国内旅行、クルーズ旅行、美術品なども販売している。

デジタルサービス施策では2022年6月にテレビアプリを開発、同年10月からはECモールへ出店した。ライブコマース事業の「コレイヨ」は、2022年10月からインフルエンサーを起用したソーシャルコマース事業へと領域を拡大した。

2023年4月に経営理念を刷新。「お客様に心躍る瞬間を提供し、感動と喜びに満ちた毎日をショップチャンネルと共に歩んでいただくこと。」から、「心おどる、瞬間を。」へ変更した。また、2023年度は商品拡充、デジタル面の強化を進めていくとしている。

瀧川 正実

モール出店者は365日発送する?/オーラルケアEC市場の施策や商品開発+市場の課題とは【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

2 years 9ヶ月 ago
2023年6月23日~2023年6月29日にアクセス数の多かった記事のランキングを発表! 見逃している人気記事はありませんか?
  1. モール出店者は365日発送する? しない?「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」の「Amazon Prime化」が進む【ネッ担まとめ】

    ネットショップ担当者が読んでおくべき2023年6月19日~6月25日のニュース

    2023/6/27
  2. 【オーラルケアEC市場】競争の激化で広告単価が高騰中。“勝ち組”企業がやっている施策、商品開発+市場の課題とは?

    新規参入増加しているオーラルケアのEC市場。その一方で、各社は広告単価の高騰、LTVの引き上げといった課題に直面している。売上高の上位企業を中心に各社の取り組みを解説する

    2023/6/26
  3. 「北欧、暮らしの道具店」のクラシコム、ファッションブランド「foufou」事業を買収

    「foufou」はSNSを効果的に活用したEC販売を主軸に成長してきたD2Cのファッションブランド。リアルイベントの「試着会」、2022年には東京・祐天寺に実店舗をオープンするなど、リアル展開も進めている

    2023/6/27
  4. Amazonプライムは「同意を得ずに会員登録している」。米取引委の見解と今後のアマゾンvs.FTCの行方を米EC専門誌が解説

    米連邦取引委員会はAmazonに対し、有料会員制サービスをめぐって提訴。原告の主張や、訴えの“穴”、Amazonの独禁法抵触の疑念まで、米国のEC専門紙編集長の考察をまとめました

    2023/6/29
     
  5. PayPayの他社クレジットカード利用、8月1日の停止を2025年1月に延長

    他社が発行したクレジットカードでPayPayアプリを利用しているユーザーから、さまざまな意見が寄せられたという

    2023/6/23
     
  6. 「送料無料」は問題の本質ですか? 表示の見直しで問題は「解決しない」の声【物流2024年問題巡る現況まとめ】

    物流の「2024年問題」解消に向け、政府が発表した政策パッケージにおける「送料無料」表示の是正が物議を呼んでいる。関係各所の意見を交えつつ、政策の現況をまとめる

    2023/6/28
     
  7. 年間15万人が利用するお米のギフトEC「八代目儀兵衛」が語る、顧客に選ばれるギフトECの極意+売上高20%増の秘訣

    熨斗(のし)のマナーやメッセージカードなどの同梱、多数の送り先への配送設定や送料の計算など、フォーマルギフトには送り主がつまずくポイントがいくつもある。八代目儀兵衛はそれらをどう解決したのだろうか?

    2023/6/28
     
  8. 【楽天の2023年夏トレンド予測】「物価高対抗」「Return to Normal消費」などがキーワード

    「折りたたみ傘」「スーツケース」などの“外向き”消費、物価高から「まとめ買い」需要が拡大

    2023/6/29
     
  9. ECモール運営成功の秘訣とは? 識者が明かす事業者のつまずきポイント3点+押さえておきたい対処法

    トレンドの移り変わりが激しいECモールで勝ち続けるためには? 事業者が勘違いしやすいポイントや、店舗運営に必要な取り組みまで、EC専門家の知見をまとめる

    2023/6/28
     
  10. ECの最終画面でわかりやすい契約事項表示を求める改正特商法にネット通販会社が違反、その違反行為と処分内容とは?

    2022年6月施行の改正特商法では、ECサイトの最終画面で分量、販売価格、支払時期や方法などを、消費者が簡単に確認できるよう表示することを義務付けている

    2023/6/29
     

    ※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

    藤田遥

    宅配便の再配達率は約11.4%(2023年4月)で1年前比約0.3ポイント改善、「物流2024年問題」の改善に向けた数値目標は6%

    2 years 9ヶ月 ago

    国土交通省が公表した「宅配便再配達実態調査」によると、2023年4月の再配達率は約11.4%で、2022年4月(約11.7%)と比べて約0.3ポイント改善した。2022年10月(約11.8%)比では約0.4ポイント改善している。

    国交省の調査によると、2023年4月の宅配便総個数は245万4591万個。そのうち再配達数は30万7511個で、再配達率は11.4%だった。都市部の再配達率は12.6%、都市近郊部で10.9%、地方で9.6%。

    国土交通省が公表した「宅配便再配達実態調査」によると、2023年4月の再配達率は約11.4%
    宅配便再配達実態調査の2023年4月の結果

    EC市場は2021年に全体で20.7兆円規模、物販系分野で13.3兆円規模。宅配便の取扱個数は5年間で約9億3000万個増加している。

    政府が6月2日に公表した「物流革新に向けた政策パッケージ」では、再配達の削減に向けた取り組みを加速する方針を掲げており、さまざまな再配達削減の取り組みを通じて、2024年度には6%まで削減する数値目標を設定している。

    【再配達削減策】政府は「緊急的な対策を講じる」、ポイントなどインセンティブ付与に向けて調整

    過去に国土交通省が開催した検討会では、再配達削減について「通販事業者などの関係者がポイント付与といった仕組みの導入検討を進めることが望まれる」といった意見があがっていた
    瀧川 正実6/7 8:30220

    国交省が実施している「宅配便再配達実態調査」は、宅配事業者の側から定量的に調査を行うことにより、宅配便の再配達状況の時系列変化を把握。宅配ボックスの普及促進など多様な受け取り機会の提供など取り組み結果を明らかにするための、基礎資料を得るために実施している。

    毎年4月と10月の2回、3エリア(都市部、都市近郊部、地方)が含まれる営業所単位ごとに、佐川急便(飛脚宅配便)、日本郵便(ゆうパック、ゆうパケット)、ヤマト運輸(宅急便)の各事業者が取り扱う貨物を調査している。2023年4月の調査結果は2023年4月1~30日に実施した。

    国土交通省が調査している再配達率の推移
    再配達率の推移
    瀧川 正実

    ネットショップ支援室が薬機法チェック事業のREGAL COREと業務提携

    2 years 9ヶ月 ago

    ECカートシステム「楽楽リピート」などを提供するネットショップ支援室は、薬機法チェック事業を行うREGAL COREと業務提携した。

    「楽楽リピート」を利用する企業は、REGAL COREのリーガルチェック代行サービス「Legal Core」を専用フォームから申し込むと、複数の弁護士・薬剤師による広告クリエイティブのリーガルチェックを受けることができる。

    広告表示について、REGAL CORE側は薬機法、景品表示法、特定商品取引法に基づきチェック、最短で即日~3営業日でチェックした広告表示を納品する。

    「楽楽リピート」の利用企業に対し、法的分野までをカバーするサービス提供体制を構築する。

    REGAL COREが手がけるリーガルチェック代行サービス「Legal Core」とは?

    プロダクト・サービスの広告に対し、薬機法、景品表示法、特定商品取引法に基づく広告クリエイティブのリーガルチェックを代行するサービス。

    顧客企業の社内法務や社外弁護士に代わり、社内にいる複数の弁護士・薬剤師が商品説明やキャッチコピー、文言などをチェックする。最短で即日~3営業日で納品する。

    「Legal Core」が顧客企業の広告のリーガルチェックを代行する
    「Legal Core」が顧客企業の広告のリーガルチェックを代行する

    ネットショップ支援室が提供する「楽楽リピート」とは?

    「楽楽リピート」は、ファンマーケティングを促進する定期購入・単品通販・リピート通販に特化したSaaS型のECカートシステム。化粧品やサプリメント、ダイエット補助食品などに有効な定期通販機能を充実させている。EC事業の立ち上げから他社カートからの乗り換えまで幅広い企業に利用している。

    新規獲得のためのフォーム一体型LPやアップセル・クロスセル機能、CRM機能も標準搭載している。

    高野 真維

    ECの最終画面でわかりやすい契約事項表示を求める改正特商法にネット通販会社が違反、その違反行為と処分内容とは?

    2 years 9ヶ月 ago

    ECサイトにおける契約申し込みの直前画面(最終確認画面)の各契約事項をわかりにくく表示し、定期購入については解除できないかのように説明したとして消費者庁は6月29日、ヘアケア用品やサプリメントのネット通販を手がける株式会社LIT(中村智紀社長)に対して、特定商取引法違反で6か月の一部業務停止命令を出したと発表した。

    2022年6月1日施行の改正特定商取引法では、「申し込み直前の画面に注文内容を表示」「注文内容や契約の申し込み手続きに関して、消費者を誤認させる表示の禁止」「申し込みの撤回や解約をさまたげる不実告知(嘘)の禁止」などを義務づけている。

    最終確認画面では、商品の分量や販売価格、支払い時期・支払い方法、引き渡し時期、申し込み期間、申し込みの撤回・解除に関する事項をわかりやすく表示することが義務付け。

    消費者が購入申し込みの撤回、定期購入の解約などを申し出た際に、その撤回・解約を妨げるために、事業者が事実と異なることを告げる行為も禁止している。

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    EC事業者は要チェック! 6月施行の改正特商法の影響と対応法まとめ

    2022年6月に施行される改正特商法。すべてのEC事業者が確認すべき内容ですが、どのような影響があるのか、対応法などについてまとめました
    E-Commerce Magazine2022/4/11 8:002271

    LITは、自社ECサイトの「emerire」でヘアケア商品「ブラックデュアルトリートメント」を、「百命堂」でサプリメント「精の命」をそれぞれ販売していた。

    ECサイトにおける契約申し込みの直前画面(最終確認画面)の各契約事項をわかりにくく表示し、定期購入については解除できないかのように説明したとして消費者庁は6月29日、ヘアケア用品やサプリメントのネット通販を手がける株式会社LIT(中村智紀社長)に対して、特定商取引法違反で6か月の一部業務停止命令を出したと発表
    自社ECサイトの「百命堂」「emerire」で行っていた表示

    最終確認画面における誤認表示【改正特商法 第12条6】

    LIT社は、少なくとも2023年3月10日から4月12日の間、自社ECサイトの最終確認画面において定期購入の初回購入価格を赤字で大きく「990円」などと強調表示した一方、2回目以降の販売価格、商品代金の支払時期、引き渡し時期などは画面をスクロールしなければ確認できない位置に表示した。

    また、いずれも「注文を確定する」ボタンの直上に、「いつでも解約OK」などとピンク地に黒字で大きく表示し、契約の解約がいつでも可能である旨を強調。解約条件を「いつでも解約OK」と比べて著しく小さな文字で、スクロールをしなければ確認することができない位置に表示していた。

    解除に関する事項につき不実のことを告げる行為【特定商取引法第13条の2】

    定期購入の解除について、本来は解約可能だったにもかかわらず、解約専用フォームにアクセスした消費者に対し、「大変恐れ入りますが、商品が既に発送準備中となっているため、キャンセルをお受け出来かねます」「次回発送分の商品から解約可能となっております」などと表示。あたかも、解除することができないかのように告知した。

    ◇◇◇

    なお、法人に対する処分に加え、中村智紀代表取締役にも6か月間の業務禁止命令を出した。

    瀧川 正実

    IAS、アテンション測定製品を提供

    2 years 9ヶ月 ago

    インテグラルアドサイエンスが、入札後のアテンション測定製品「Quality Attention」を提供。同社は、成果につながる広告のアテンションは、視認性、状況(占有面積や文脈などの環境)、インタラクションの要素で測定できるとしていて、「Taking Action on Attention」というホワイトペーパーで解説している。

    IAS Announces Quality Attention Measurement Product
    https://integralads.com/news/ias-announces-quality-attention-measurement-product/
    Taking Action on Attention
    https://integralads.com/insider/taking-action-on-attention/

    noreply@blogger.com (Kenji)

    小売市場は縮小時代に突入。2030年度の市場規模は114兆円、2022年比約14%減

    2 years 9ヶ月 ago

    矢野経済研究所が発表した国内小売市場の調査結果によると、2030年の国内小売市場規模は2022年と比べて約14%減の114兆9770億円になると予測した。

    矢野経済研究所が発表した国内小売市場の調査結果によると、2030年の国内小売市場規模は2022年と比べて約14%減の114兆9770億円になると予測
    小売市場規模の推移予測

    2022年の小売市場は133兆8000億円を見込む。アパレルなど一部需要が回復していない業界があるものの、新型コロナの5類移行、2022年後半のインバウンド需要の復調などがコロナ禍からの消費を喚起した。

    ただ、今後の国内小売市場は人口減少の影響が直撃する。2020年国勢調査によると日本の総人口は1億2615万人。国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」によると、2030年には1億2011万人に減少する。

    矢野経済研究所「日本の将来推計人口」を用いて、経済産業省の「商業動態統計」をベースに国内小売市場規模を予測したところ、2030年には2022年比約14%減の114兆9770億円に落ち込むと予測する。

    一方、人口減少による消費の落ち込みの一部をインバウンド消費がカバーすると予測する。「観光立国推進閣僚会議」が2020年に作成した「観光ビジョン実現プログラム2020」によると、2030年の訪日外国人旅行者数の目標値は6000万人。2030年の訪日外国人旅行者数目標が6000万人と仮定した場合、観光庁の訪日外国人旅行消費額をベースに2030年のインバウンド市場規模(訪日外国人旅行消費額)を試算すると、約9兆円になる。

    販売チャネル別では、2022年比の伸長率が最も大きいのはネット通販と見ている。小売業では実店舗とネット通販を連動させたOMO(Online Merges with Offline)、オムニチャネル戦略が進み、ECの利便性がさらに高まる。

    ネットショップ担当者フォーラム編集部

    【メルマガ調査】読むきっかけは「件名」が最多、解約1位の理由は「面白くない」。メルマガ経由の購入はセールが決め手

    2 years 9ヶ月 ago

    CRM支援のWOW WORLD(ワオワールド)は、「メールマガジンに求めるもの」をテーマにした調査結果を発表した。

    調査結果サマリー
    • メールマガジンを読みたくなるポイントは「件名や内容が興味深い」(65%)。読まない理由は過半数が「件名に興味がない」(86%)
    • メールマガジン経由で商品・サービスを購入、申し込みした理由は「セール・キャンペーンでお得に購入できたから」(46%)「ちょうど気になっていた商品の案内があったから」(45%)。若い世代ほど割引クーポンの取得を選択
    • メールマガジンを解約したことがある人は69%。理由は「内容が面白くない」(69%)「配信頻度が高い」(63%)
    • メールマガジンに求めるものは「キャンペーンやセール、クーポンなどのお買い得情報」(78%)が最多。世代が上がるほど、生活に役立つ情報を求める傾向

    メルマガ「受信している」は64%

    プライベートで企業からのメールマガジンを受信しているかを聞いたところ、64%が「受信している」と回答。企業(サービス・ブランドを含む)が発信する情報を受け取る手段(方法)についての質問では、「企業からのメールマガジン」が「公式Webサイト」に次いで多かった。

    プライベートで企業からのメールを受信している人の割合
    プライベートで企業からのメールを受信している割合
    企業からの情報を「企業からのメールマガジン」で受け取る人は公式Webサイトに次いで多い(複数回答可)
    企業からの情報を「メールマガジン」で受け取る割合は49%(複数回答可)

    メルマガ経由の購入はセールが決め手

    メールマガジン経由で商品やサービスを購入・申し込んだ理由を聞いたところ、「セール・キャンペーンでお得に購入できたから」(46%)「ちょうど気になっていた商品の案内があったから」(45%)が上位にあがった。

    メルマガ経由で商品やサービスを購入・申し込みした理由(複数回答可)
    メルマガ経由で商品やサービスを購入・申し込みした理由(複数回答可)
    年代別の「メルマガ経由で商品やサービスを購入・申し込みした理由」
    年代別の「メルマガ経由で商品やサービスを購入・申し込みした理由」

    メルマガに求めるものは「お買い得情報」

    メールマガジンに求めるものは、「キャンペーンやセール、クーポンなどのお買い得情報」(78%)が最多。

    メールマガジンに求めるもの(複数回答可)
    メールマガジンに求めるもの(複数回答可)

    年齢別では、世代が上がると「生活に役立つ情報」を選択するユーザーの割合が増えている。商品やクーポンの紹介だけでなく、生活を豊かにするためのコンテンツを求めているようだ。

    年齢別の「メールマガジンに求めるもの」
    年齢別の「メールマガジンに求めるもの」

    世代が若いほどメルマガから割引クーポンを取得

    ユーザーが企業のメールマガジンに登録するきっかけは何かを聞いたところ、「商品を購入したタイミングで」(53%)「会員登録するタイミングで」(52%)が上位にあがった。

    企業のメールマガジンに登録するきっかけ(複数回答可)
    企業のメールマガジンに登録するきっかけ(複数回答可)
    年齢別の「企業のメールマガジンに登録するきっかけ」
    年齢別の「企業のメールマガジンに登録するきっかけ」

    読みたくなるポイントは件名

    メールマガジンを読みたくなるポイントは、「件名や内容が興味深い」(65%)が最多。次いで「メルマガの冒頭に興味のある情報が掲載されている」(37%)。「メールマガジンの送信者や企業自体に関心がある」は29%にとどまった。

    メールマガジンを読みたくなるポイント(複数回答可)
    メールマガジンを読みたくなるポイント(複数回答可)

    送られてくるメールマガジンを読まない(開封しない)ことはあるか聞いたところ、79%が「はい」を選択。その理由は「件名に興味がない」(86%)が最多となった。

    送られてくるメールマガジンを読まないことがあるか
    送られてくるメールマガジンを読まないことがあるか
    メールマガジンを読まない理由(複数回答可)
    メールマガジンを読まない理由(複数回答可)

    メルマガを読まない理由で「忙しい」「件名に興味がない」「送信元に興味がない」を選択したユーザーに、その時のユーザー行動に近いものを聞いたところ、65%が「未読のまま、削除する」を選択した。

    「忙しい」「件名に興味がない」「送信元に興味がない」という理由でメルマガを読まない人がとる行動
    「忙しい」「件名に興味がない」「送信元に興味がない」という理由でメルマガを読まない人がとる行動

    解約の理由は「内容が面白くない」

    購読しているメールマガジンを解約したことがあるかを聞いたところ、69%が「はい」を選択。その理由は「内容が面白くない」(69%)が最も多く、「配信頻度が高い」(63%)が続いた。

    メールマガジンの解約を防ぐには、内容や配信頻度を読者1人ひとりに最適化し、興味を持ってもらうことが重要であるようだ。

    メルマガを解読したことがあるか
    メルマガを解読したことがあるか
    メルマガを解約する理由(複数回答可)
    メルマガを解約する理由(複数回答可)

    解約した理由を年齢別で見ると、下の世代ほど「配信頻度が多い」、上の世代ほど「内容が面白くない」を選択した人が多い。

    年齢別の「メルマガを解約する理由」
    年齢別の「メルマガを解約する理由」

    多くの人が1日に複数のメルマガを受信

    プライベートで1日に受信するメールマガジンの平均数を聞いたところ、最も多い回答は「3~5通程度」(26%)、次いで「21通以上」(20%)。

    1日に受信するメルマガの平均数
    1日に受信するメルマガの平均数

    調査概要

    • 内容:メールマガジンに求めるもの
    • 主体:WOW WORLD(ワオワールド)
    • 調査手法:ワオワールドが開発したアンケートシステム「WEBCAS formulator」を活用し、GMOリサーチ「JAPAN Cloud Panel」のモニターでインターネット調査を実施
    • 調査期間:2023年2月15日~2月17日の3日間
    • エリア:全国47都道府県
    • 有効回答数:1287人(「プライベートで企業からのメールマガジンを受信しているか」という質問に「はい」と回答した人)
    高野 真維

    Amazonプライムは「同意を得ずに会員登録している」。米取引委の見解と今後のアマゾンvs.FTCの行方を米EC専門誌が解説 | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

    2 years 9ヶ月 ago
    米連邦取引委員会はAmazonに対し、有料会員制サービスをめぐって提訴。原告の主張や、訴えの“穴”、Amazonの独禁法抵触の疑念まで、米国のEC専門紙編集長の考察をまとめました

    Amazonが消費者の同意を得ずに有料会員制サービス「Amazonプライム」に登録・更新させているとして、FTC(米連邦取引委員会)は6月21日に提訴しました。この提訴は根拠が十分ではないように見えますが、Amazonのビジネスモデルに懐疑的なFTCは今後、より大きな訴えを起こす可能性があります。米国のEC専門紙『Digital Commerce 360』編集部のドン・デイビス編集長が、FTCによるAmazonへの提訴、今後の行方について解説します。

    米連邦取引委員会が提訴。Amazonは「消費者をだましている」?

    「FTCがAmazonをプライム会員登録の手口について提訴」という見出しが、米ニューズ・コープの子会社が発行する日刊経済新聞「Wall Street Journal」に掲載されました。その記事の見出しから察すると、「Wall Street Journal」の編集者たちは、この件を一大事だと考えているようです。

    FTCがAmazonに対して行った提訴について記述した「Wall Street Journal」の報道(画像は編集部が「Wall Street Journal」のサイトからキャプチャ)
    FTCがAmazonに対して行った提訴について記述した「Wall Street Journal」の報道(画像は編集部が「Wall Street Journal」のサイトからキャプチャ)

    EC専門誌の編集長を務める私は、そうは思いません。しかし、この訴訟が、オンライン通販最大手のAmazonに対する、独占禁止法違反につながる大きな訴訟の序章の始まり、としたら話は別でしょう。

    この訴訟でFTCは、「Amazonが消費者をだまして『Amazonプライム』に登録させ、解約を困難にした」と主張していますが、この訴えの大きな疑問点は、「Amazonプライム」の会員特典として得られるサービスが多くの消費者に好まれていることを示す十分な証拠があることです。その特典には、迅速な無料配送、Amazonの動画配信サービス「Prime Video」での映画やテレビ番組のストリーミング、その他の特典などが該当します。

    十分な証拠について、「Amazonプライム」に1年間加入した消費者の94%が更新し、さらに、2年間契約している加入者の更新率は98%だったという、米国の調査会社コンシューマー・インテリジェンス・リサーチ・パートナーズの調査結果などがあります。

    Amazonは事実無根を主張

    また、「Amazonプライム」の解約は5クリックで手続きが完了するなど、FTCが指摘するような複雑さはありません。しかし「Wall Street Journal」の記事では、Amazonが4月、FTCの提訴を見越した上で、一部の「Amazonプライム」加入者の解約をさらに容易にしたと指摘しています。

    Amazon側は、FTCの訴えを「事実も法律の解釈も間違っている」と説明、「FTCが提訴する前に通常の反論の機会が与えられなかった」と訴えました。

    Amazonの独占禁止法違反の疑いとは

    米国では、FTCが日本の独占禁止法に当たる「反トラスト法」違反でAmazonを提訴するのではないかという報道もあります。ただ、今日の法的環境では、FTCがAmazonに勝つのは難しいでしょう。

    原告となるFTCは、「Amazonが『Amazonプライム』の会員に対して無料かつ迅速な配送を割引価格で提供することで、競合他社を廃業に追い込んでいる」と主張することになりうるでしょう。Amazonを糾弾したいと考えている人たちは、Amazonが小売り事業では赤字を出していることを証拠の1つとして指摘することができます。

    この赤字は、Amazonが何百億ドルもかけてフルフィルメント・ネットワークを構築し、オンライン注文の商品を素早く消費者に届けられるようにしたからです。これにより、消費者はAmazonで25ドル以上の買い物をするか、または「Amazonプライム」の会員であれば、Amazonによる無料かつ迅速な商品配送サービスを享受できるようになりました。

    Amazonの大きな支柱はAWS

    一方、ネット通販ではそんな状態のAmazonが、全体では大きな利益を計上しているのは事業者向けに提供しているクラウドサービスAmazon Web Service (AWS)の成功があげられる、という主張があります。

    2022年度(2022年1-12月期)におけるAmazonのAWSの営業利益は228億ドル、経常利益は122億ドルでした。AWSは営業利益の90%以上を占めています。ちなみに、経常利益が落ち込んでいる要因は、Amazonが筆頭株主となっている米国の電気自動車メーカーRivian Automotive, Inc.(リヴィアン・オートモーティヴ)の株式127億ドルを評価損として計上したためです。

    広告サービスの売上高も377億ドルまで拡大していることを踏まえると、Amazonの他の事業、特に小売事業が「『Amazonプライム』の会員に対して無料かつ迅速な配送を割引価格で提供することなど」によって損失を出していると主張できることでしょう。

    競合各社は、Amazonが「Amazonプライム」会員向けに商品を無料かつ迅速に配送することで、Amazonと同等のサービスを提供しなればいけないとプレッシャーを感じます。これが、米国の会計・コンサルティング会社デロイト・トウシュ・トーマツ(デロイト)が発表している、過去10年間の米国小売企業の収益性が低下していることの一因となっていることは間違いないでしょう。

    デロイトの小売・卸売・流通業界のリーダーであるルパイン・スケリー氏は、『Digital Commerce 360』のインタビューで「送料無料は続かない。もう限界にきている」と語っています。

    Amazonと競合する小売事業者にとって大きな問題は、消費者は注文した商品の送料無料を好むため、送料無料サービスを提供しなければならないと感じていることです。『Digital Commerce 360』が近日中に発表する「2023年版 Top 1000社 レポート」によると、2022年には北米のオンライン通販事業者の77.2%が、キャンペーンなど少なくとも一部のケースで送料無料を提供しており、この割合は2019年の70.1%から増加しています。

    一方、Amazonは小売業で赤字を出しても、AWSや広告で多くの利益を上げているため、大きな利益を生み出しています

    独禁法違反は“企業の行為が消費者に損害を与えた場合のみ”

    上記のような話は、FTCのリナ・カーン委員長には目新しいものではありません。彼女は、米イェール大学法学部の学生だった2017年に、「Amazonの独占禁止法のパラドックス」と題する論文で注目を浴びました。

    その論文は、Amazonなど市場で支配的な地位を獲得しているIT大手企業に対して、より積極的な行動をとるべきだと主張する内容です。

    FTCのリナ・カーン委員長がイェール大学在学中に発表した「Amazonの独占禁止法のパラドックス」(画像はイェール大学が運営する「Yale Law Journal」のサイトから編集部がキャプチャ)
    FTCのリナ・カーン委員長がイェール大学在学中に発表した「Amazonの独占禁止法のパラドックス」(画像はイェール大学が運営する「Yale Law Journal」のサイトから編集部がキャプチャ)

    カーン氏はこの論文のなかで、何が独占禁止法での提訴を妨げているのかについても言及。法学教授であり後に判事となったロバート・ボーク氏の1978年の著書「独占禁止法のパラドックス」に影響されているそうです。「独占禁止法のパラドックス」は、連邦判事の事なかれ主義的な態度は、独占禁止法訴訟は企業の行為が消費者に損害を与えた場合にのみ正当化される――と主張する見解を解説しています。

    ロバート・ボーク氏の著書「独占禁止法のパラドックス」(画像は編集部がAmazonの販売ページからキャプチャ)
    ロバート・ボーク氏の著書「独占禁止法のパラドックス」(画像は編集部がAmazonの販売ページからキャプチャ)

    この考え方は保守的な判事によって広く採用され、大企業が独占禁止法違反の訴えをかわすのに一役買っています。

    結局のところ、Amazonや米国の大手スーパーマーケットチェーンWalmartは、消費者に商品を低価格で提供しているという証拠をいくらでも提示できるからです。

    こうした低価格(Amazonの場合は送料無料)は、競合他社を廃業に追い込むかもしれません。しかし、ボーク氏を支持する人たちの見解は、独占禁止法は企業の競争相手を保護するものではなく、消費者だけを保護するものなのです。ただ、この意見に反対する人たちは、こう言います。

    「Amazonのような大企業が市場を支配するせいで、消費者にさらに大きな価値を提供できるような、新たな企業の出現が妨げられている」

    私は自らの取材を通して、ベンチャーキャピタルに所属する投資担当者が、オンライン通販業界で起業しようとしている人に、よくこんな質問をすることを知っています。

    「もしあなたのビジネスが成功したら、Amazonにビジネスモデルをまねされないようにする方法はありますか?」

    多くの場合、彼らは何も答えられず、方法があったとしてもアイデアを試すための資金を得られないのが現実です。

    「Amazonプライム」訴訟の行方は?

    「Amazonプライム」をめぐるFTCの訴訟は、Amazonに対するFTCの計画的な措置の第1弾に過ぎない可能性があります。「Wall Street Journal」は203年2月、「FTCはAmazonに対してさまざまな方面から訴訟の可能性を検討している」と報じましたが、「Amazonプライム」の会員をだましたという疑惑はその可能性の一つに過ぎないでしょう。

    おそらく、将来的にはもっと広範囲に及ぶFTCの攻撃があると思われます。Amazonの競合企業たちは、AmazonがAWSを売却する可能性を見い出せるかもしれません。また、AWSを手放せば、Amazonも小売業として利益を上げる努力をせざるを得なくなります。

    しかし、期待しない方がいいでしょう。Amazonが「Amazonプライム」の登録や解約の手続きを修正することに同意したとしても、Amazonの優位性が失われることも、利益を圧迫してしまう送料無料サービスを提供する競合企業へのプレッシャーが少なくなることもないはずです。

    この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

    Digital Commerce 360

    【楽天の2023年夏トレンド予測】「物価高対抗」「Return to Normal消費」などがキーワード

    2 years 9ヶ月 ago

    楽天グループは、「楽天市場」「楽天トラベル」「Rakuten Music」「楽天ブックス」「楽天モバイル」の購買データなどを分析し、生活用品、食品、衣料品、書籍、旅行などさまざまなジャンルから2023年夏のトレンドを予測した「楽天グループ 2023夏トレンド予測」を発表した。

    「物販」「旅行・レジャー」「エンタメ」「モバイル」でトレンドを予測

    楽天グループ 2023夏トレンド予測
    「楽天グループ 2023 夏トレンド予測」

    楽天が運営するマイクロタスク型クラウドソーシングサービス「楽天超ミニバイト」が実施した「今年の夏の過ごし方」に関する調査結果によると、2023年夏の過ごし方は「国内旅行」(20.9%)が最も多く、約5人に1人が計画していることがわかった。一方、「動画配信サービスを観る」(7.8%)「読書」(6.7%)も上位にランクインした。

    楽天グループ 調査データ 2023年夏の過ごし方について
    「2023年夏の過ごし方」について(n=10030、2023年6月9日実施)

    また、「今年の夏の予定に対する予算」を聞いたところ、約4人に1人が2022年と比べて「予算を増やす(増える)予定」と回答した。

    楽天グループ 調査データ 2023年夏の過ごし方に対する予算は増やす予定か
    2023年夏の過ごし方に対する予算は、2022年と比べて増やす(増える)予定か
    (n=10030、2023年6月9日実施)

    こうした結果を受け、楽天は「“外向き”志向を取り戻していると同時に、自宅や室内での充実した時間を重視する“内向き”志向の両方の傾向がある」と分析した。

    物販のキーワードは「Return to Normal 消費」「物価高対抗消費」

    外出、夏イベントなど“外向き”需要が回復傾向に

    「楽天市場」「楽天ブックス」を対象とした物販では、キーワードとして「Return to Normal 消費」をあげた。新型コロナの5類移行を受け、「楽天市場」では外出、旅行、イベント関連商品の需要が拡大している。

    流通額は「折りたたみ傘」が約1.7倍、「スーツケース」が約2.2倍、「浴衣(大人・子供用)」が約1.8倍となっている(いずれも各キーワードを含む商品の2022年3~5月と2023年3~5月の流通額を比較)。

    楽天グループ 2023夏トレンド予測 外向き需要 折りたたみ傘 コンパクト
    流通額が伸長した「折りたたみ傘」

    また、「推し活」関連商品も伸長。推しのキャラクターをアピールする「痛バッグ」が約6.7倍に推移した(「痛バッグ」を含む商品の2022年3~5月と2023年3~5月の流通額を比較)。「楽天ブックス」でも「推し活」関連書籍が約1.8倍に伸びた(「楽天ブックス」において「推し」をタイトルに含む書籍商品の2022年1月1日~5月31日と、2023年1月1日~5月31日の売り上げを比較)。

    楽天グループ 2023夏トレンド予測 推し活 痛バッグ
    推しのキャラクターグッズでデコレーションした「痛バッグ」

    物価高を受けた“まとめ買い”、節約志向の高まりで“冷感”商品の需要拡大

    「楽天市場」から「物価高対抗消費」というキーワードも選定した。物価高を受け、食品・日用品を中心にまとめ買いの需要が拡大。また、節電意識の高まりにより冷感関連商品の需要も伸びているという。

    「楽天市場」では、キーワードに「まとめ買い」を含む商品の流通額が約1.5倍、「冷感」が約1.4倍に伸長した(各キーワードを含む商品の、2022年3~5月と2023年3~5月の流通額を比較)。

    楽天グループ 2023夏トレンド予測 まとめ買い 物価高対抗消費 炭酸水
    まとめ買い関連商品の一例「炭酸水」
    楽天グループ 2023夏トレンド予測 まとめ買い 物価高対抗消費 ペット用冷感ベッド 冷感関連商品
    「冷感」関連商品の一例「ペット用冷感ベッド」
    楽天グループ 2023夏トレンド予測 まとめ買い 物価高対抗消費 ソープストーンアイスボール 冷感関連商品
    「冷感」関連商品の一例、溶けない氷「スープストーン アイスボール」

    こうした状況を受け、楽天は、マスク着用ルール緩和後初めての夏に向け、外出時に快適かつより楽しく過ごせる商品の需要が大きく回復すると見込んでいる。

    旅行・レジャーは「分散型旅行」「リトリート旅」

    旅行・レジャー分野では、まず「分散型旅行」をキーワードとしてあげた。

    「楽天トラベル」における、2023年7~8月の宿泊予約数は、2019年と比べて約1.3倍に伸長。2023年6月7日時点での7~8月の予約数をみると、7月の3連休と8月のお盆期間以外の予約数は2019年と比べて約1.3倍で、連休期間を上回る予約数になっているという。

    また、全国を13エリアに分け、エリア毎の予約の伸長率をみると、2023年は2019年比で全体平均を上回るエリアが約7割となり、各エリアが均等に伸びている傾向が見られた。

    こうした結果から、楽天は「2023年はより幅広いエリアで人出が増える」と予想。日程、行先が分散している背景には、混雑を避ける生活様式が続いたことによる旅行スタイルの多様化、ピークを避けることで比較的お得に旅行ができることなどがあると予測した。

    2つ目のキーワードは、普段の生活と異なる環境でリラックスできる「リトリート旅」。石垣島など離島を含むエリアが2019年比で約1.6倍に伸長。また、高級宿の予約は2019年比で約1.6倍に伸びており、こうした傾向から「リトリート旅」に適した旅先、宿泊先が選ばれている。

    エンタメでは「2023年注目アーティスト」を発表

    エンタメ分野では、「Rakuten Music」における再生ユニークユーザー数など2023年上半期のデータ分析を基に、今夏さらに注目が高まると予測した4組のアーティストを選出。

    選出したのは、3人組ロックバンド「10-FEET(テンフィート)」、韓国5人組グループ「NewJeans(ニュージーンズ)」、若手男性俳優・タレントで構成されたアーティスト集団「EBiDAN(エビダン)」、6人組男性グループ「LIL LEAGUE(リル リーグ)」。

    楽天グループ 2023夏トレンド予測 エンタメ Rakuten Music 10-FEET
    3人組ロックバンド「10-FEET」
    楽天グループ 2023夏トレンド予測 エンタメ Rakuten Music NewJeans
    韓国5人組グループ「NewJeans」ⓒ 2022 ADOR. All Rights Reserved.

    モバイルは「携帯料金の低価格化」「ギガ節約疲れ」「賢い経済圏+ポイント活用」

    光熱費、食料などの物価高が続くなか、モバイル業界では低価格プランの登場など、携帯料金は大きく低下している。一方で、定期的な携帯料金の見直しを実施していないユーザーも多く、家計の節約のために携帯料金の見直しをポイントとしてあげた。

    また、在宅勤務が減り、通勤時間や外出先で動画を視聴する機会が増えたことで「通勤時間は、自宅のWi-Fi環境であらかじめダウンロードしたものしか見ない」「使わないアプリをこまめに落とすよう気を付ける」など、ギガ数が足りていないと感じているユーザーが多く、大容量プランの満足度が高い傾向にあるという。

    携帯キャリアは通信サービスだけでなくクレジットカード、電子決済などさまざまなサービスを展開する傾向がある。スマートフォンを含め頻繁に利用するサービスを1つの経済圏に集約することで、お得にポイントを貯めることができる。また、貯まったポイントを携帯料金の支払いに充てるといった利用が可能だ。

    藤田遥

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