アメリカの広告主協会が、プログラマティック広告取引の透明性についての調査結果を公開した。オープンウェブのプログラマティック広告は880億ドルの市場規模だが、そのうち15%の130億ドルは「広告のために作られたサイト」(低品質なサイト)に配信されていて、それを含む200億ドル以上は効率化の余地があるという。情報の非対称性により、買い手である広告主は売り手より不利な意思決定を迫られており、透明性の低さは非効率や無駄を生んでいる。そういう状況でコストを追求すると、低品質な在庫の購入につながりやすい。オープンウェブはウォールドガーデンと比較して、多様なオーディエンスにリーチできる機会を提供するかもしれないが、広告主と利害が一致しない参加者にもオープンであることを理解すべきだろう。
ANA Programmatic Media Supply Chain Transparency Study — First Look
https://www.ana.net/miccontent/show/id/rr-2023-06-ana-programmatic-transparency-first-look

ギフトECはマナーやメッセージ同梱などが複雑で、贈った人が商品を手にしないためリピート施策が難しいなど、課題の多い特殊な領域と言われる。お米のギフトEC「八代目儀兵衛」は、京都らしいフォーマルなギフトで多くの利用者を魅了し、年間15万人に贈られている。さらに、顧客満足度の高いサービスを提供するため、2022年に自社ECサイトのリニューアルを実施、デザインとシステムを刷新してリニューアル前の課題を解消したところ、売上高は前年比20%増を実現した。
八代目儀兵衛の神徳(じんとく)昭裕氏が、導入したクラウド型ECサイト構築ASP「aiship GIFT」を展開するロックウェーブの黒河宏太郎氏と顧客に選ばれるギフトECサイトの考え方やリニューアルでの取り組みについて語った。
八代目儀兵衛は京都の米屋として1787年に創業した老舗。現在はお米の通販をはじめ、卸、飲食の3つの事業を主に展開している。通販事業の主力はギフト。なかでも内祝いなどフォーマルギフトがメインとなっている。
一番の売れ筋ギフト商品は「十二単シリーズ 満開」。注文を受けてから精米し、12種類のお米を12色の風呂敷でそれぞれ包んでいる。見た目が華やかなうえ、お米は好き嫌いやアレルギーが少ないことから、お祝い返しとして多く利用されている。

飲食事業では京都(祇園)と東京(銀座)に直営の飲食店があり、行列のできるお店としてメディアでも多数取り上げられている。直営店で提供している「翁霞(おきなかすみ)」は、一般的なスーパーマーケットで売られているお米の倍以上の価格だが、ミシュラン三ツ星の掲載店で実際に使われているお米としてテレビに取り上げられたこともあり、リピート率の高い商品だという。
一般的にお米のブランドは、たとえば「魚沼産コシヒカリ」というように産地と銘柄で価値が決まるが、八代目儀兵衛では産地銘柄に関係なく、「年間通しておいしいお米」を一番の価値基準としている。単品でも十分おいしいお米を全国から仕入れ、組み合わせることでさらに美味しさを引き出す「目利き、ブレンド」が特徴。
卸事業では航空会社のビジネスクラスや宿泊施設のビュッフェでも使われているほか、炊飯器の監修や異業種とのコラボ事例も多数あり、さまざまな企業のキャンペーンでも活用されている。
通販事業の自社EC比率は約6割。約3割が「楽天市場店」で残りの1割がその他モールという売上比率になっている。
自社ECサイトを構築したのはおよそ8年前。スクラッチで構築したが、当時の担当者はすでにおらず、仕様書もないため、SEO施策やデザインの改修について支障が出ており、大きな課題となっていた。
そこで2022年3月、さらに顧客満足度の高いサービスを提供するため、自社EC「八代目儀兵衛オンラインストア」の全面リニューアルを実施した。
社内にエンジニアがいないので、何かを改修するにもコストがかかり、セキュリティ面で若干不安もあった。2021年から動き出し、約1年かけてリニューアルした。(八代目儀兵衛・神徳氏)
八代目儀兵衛 取締役CMO 神徳昭裕氏

デザインの方針は「商品を主役に」「京都らしさ」「劣化を防ぐためのルール作り」の3点のみに絞った。
旧サイトではバナーが多く、何を一番訴求したいのかわかりにくいサイトになっていた。売れ筋商品の「満開」が目立つように、白を基調としたデザインに全体を変更し、バナーを張りすぎないようにした。
弔事や法事などで使うギフト商品は東山の「圓徳院」から特別に許可を得て撮影し、慶事用ギフト商品は嵐山の「星のや京都」で撮影した。京都のお米屋ならではの「京都らしさ」を表現できる特別な場所を選び抜き、商品撮影を行った。
リニューアル前は制作する人によってトンマナの異なるページができてしまっていた。また、リニューアル直後は綺麗なサイトでも、運用を重ねるごとにだんだんと崩れてしまうことはよくある。そのため、厳密なルールブックを作成した。
たとえば、大中小で使う文字のサイズ、フォントの種類、写真と文字の空きは何ピクセルにするのか、といったところまで定義した。
今回のリニューアルで「八代目儀兵衛オンラインストア」に実装された機能や施策は以下のとおり。
ECサイトでは当然のようにあるクーポンだが、旧サイトでは実現できなかったので、今回新たに追加した。
メッセージカードはこれまでも対応していたが、外部サービスでメッセージカードを作ってもらい、再度自社サイトに戻ってきてもらうという流れだったため、今回から外部サービスとAPI連携し、使い勝手が大きく向上した。
また、ギフトECのような毎日使うサイトではないと、IDやパスワードを忘れやすいため、新規会員登録時にLINE連携すると、次回以降はLINEのボタンでログインできる機能を搭載した。途中保存機能は開発中で、まもなく実装できる予定だ。
特に内祝いは1回で10点など複数注文が多いので、まとまった時間がないとなかなか注文がきず、どうしても途中で離脱してしまうことがある。途中保存機能は入力内容を途中で保存でき、保存したところから注文を再開できるので、内祝いに特化した便利な機能になる。(神徳氏)
結婚内祝いや香典返しといったフォーマルなギフトに欠かせないのが熨斗(のし)だ。
元々は商品ページで目的や熨斗などを選ぶ形式だったが、UIが悪かったのでリニューアルで工程を変えた。(神徳氏)
たとえば目的を「結婚内祝い」とすると、結婚の内祝いに合った種類の熨斗のみが表示されるようにした。リニューアル前はこの絞り込みができなかったため、熨斗のマナーを知らない贈り主がつまずいたり間違って注文したりすることが多かった。そのため、初めてでもスムーズに注文できるようにUIを改善した。

商品には一筆箋(いっぴつせん)、メッセージカード、手紙の同梱が選択できる。一筆箋はサイト内の機能として搭載されているので、絵柄を選んで文章を入力するだけだ。いくつかある定型文から選んでそのまま送ることもできる。
メッセージカードでは事前にマイページで作成したメッセージカードを同梱できる。過去に作成したカードやオリジナルで写真を入れたメッセージカードも使用可能だ。他にも手書きの手紙を別途送ってもらい、それを同梱してお届けするサービスもある。
ギフトを送る際、自分で手渡ししたい場合と、直接配送してもらいたい場合がある。そのため、配送先の設定では1つの住所に送るか複数の住所に送るかが選択できるようになっている。複数の送り先に配送する場合、「1つは北海道、1つは関東」というように、送料区分が違ってもそれぞれ送料が表示され、合計金額が把握できるようになっているのが大きなポイントである。
このほか、出産内祝いの命名札や香典返しの芳名帳のサービスなどもあり、有料で手書きの芳名帳を送ってもらい、配送先を入力するといったギフトECならではのサービスが充実している。
リニューアルが完了して1年。リニューアルの効果が出て、通販事業は好調に推移しているという。下の図はリニューアル後の売り上げ推移だ。グレーの線が2021年1月から12月までの売り上げで、青線が2022年1月から12月までの売り上げの推移となっている。

赤の縦線が3月8日のリニューアルで、それ以降の推移を見ると、前年比が平均で125%、特に繁忙期である4月の売り上げはリニューアル直後であるにもかかわらず、大幅に伸びており、リニューアルの効果が見られる。
また、飲食事業はコロナの影響も一部あったが、今はコロナ前よりも好調に推移しており、卸に関しても 「さまざまな繁盛店から声をかけていただいている状況」(神徳氏)だと言う。
ただ、残念ながら、この通販と飲食と卸が八代目儀兵衛の事業としてあまり認識されていない状態。サイトをより使いやすくリニューアルしたので、今後はたとえば八代目儀兵衛のギフトを受け取った方が自宅用に買っていただいたり、店舗をご利用いただいた方がギフトを贈ったり、それぞれの事業ドメインの体験をつなぐ仕掛け作りを意識的にやっていきたい。(神徳氏)
今回のリニューアルで八代目儀兵衛が採用したのは、ロックウェーブが提供しているギフトECプラットフォーム「aiship GIFT(アイシップギフト)」だ。
ロックウェーブでは2013年からモバイルファーストをコンセプトとしたECプラットフォーム「aishipR(アイシップアール)」を提供しており、累計約1000社が導入している。
ギフトECの課題やニーズを機能強化し、2020年にスタートしたのが「aiship GIFT」だ。「aiship GIFT」は自社ECサイトに求められる機能の充実に加え、ギフトECに特徴的な機能拡充を行っており、全国のギフトECを展開する事業者や食品メーカーなどに導入されている。

神徳氏が「aiship GIFT」を選んだ理由も、ギフトオプションが充実していることだと言う。また、実際に「aiship GIFT」を導入しているサイトで注文してみて、八代目儀兵衛でやりたいことを実現できると感じることが多かったという。
「aiship GIFT」の特徴的な機能について、アイシップシリーズのプロダクトマネジャーを務める黒河氏が解説した。

食品ECサイトの特徴として常温、冷蔵、冷凍といった商品の温度帯が異なることがあげられる。「aiship GIFT」は三温度帯に対応しており、同時に注文された場合でも別出荷として扱えるほか、たとえば「夏期のみ冷蔵、夏期以外は常温」「常温と冷蔵の場合は同梱する」といった温度帯をまたがった複雑な注文パターンにも対応できる。
また、食品ECサイトは賞味期限があるため、配送までのリードタイムの取り扱いが厳密なのも特徴だ。「aiship GIFT」では配送先の郵便番号を元に出荷予定日を算出し、配送可能な日程だけをお届け希望日として表示できる。
確実に届けることができる日程を提示できることで、賞味期限の短い生鮮食品や、生の和洋菓子なども販売しやすくなっている。また、出荷日ごとに出荷の上限数を管理できるので、季節商品や生産量に限りのある限定商品の販売もしやすい。
八代目儀兵衛の事例のように、ギフトECでは熨斗などのギフトオプションの指定が必要だ。「aiship GIFT」ではオプションの選択肢を細かく設定でき、画像の付いた説明文を表示し、どのような状態で商品が送られるのか、 贈り主がイメージしやすい仕様になっている。また、オリジナルメッセージカードサービスを導入することで、他社にないギフトサービスの実現も可能だ。
また、ギフトならではの送り方として、たとえばお届け希望日に仏滅を避けたり、送り状伝票を注文者とは別の名義にしたりといったことにも対応できる。
また、配送先が複数になるのもギフト注文の特徴だ。配送先が複数の注文では、非常に多くの情報を入力したり選択したりする必要があるので、贈り主が迷いやすいという性質があるが、「aiship GIFT」では1画面で行う操作を限定し、多くの操作が必要ななかでも迷いにくいカートステップにしている。
また、いま注目の贈り方である「ソーシャルギフト」にも対応している。「ソーシャルギフト」は受け取る側が配送先住所を入力して受け取るというもので、「aiship」はこの機能も標準機能として提供している。
特に追加費用なく利用することができるため、多くのEC事業者が新しい提供形態として、ソーシャルギフトを掲載開始している。(黒河氏)

この記事は、インプレスビジネスライブラリーより無料でダウンロードできるPDF資料『ファンケル、ロート製薬、味の素、ひなたライフ、八代目儀兵衛に学ぶ自社EC成功の秘訣』(2023年4月24日公開)の一部を公開したものです。
※このコンテンツはWebサイト「ネットショップ担当者フォーラム - 通販・ECの業界最新ニュースと実務に役立つ実践的な解説」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:年間15万人が利用するお米のギフトEC「八代目儀兵衛」が語る、顧客に選ばれるギフトECの極意+売上高20%増の秘訣
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今回の記事は、「楽天市場」に精通しているプロ・原田康平さんのプロインタビューになります。社会の状況、季節、イベントの有無によってトレンドが激しく移り変わるEC市場。さらに、LP作成、SNS・広告運用、ショップ運営、ロジスティクスに関わる幅広いスキルや経験が求められる業界でもあります。
そのような流動的で、複雑なEC市場で生き残るために必要な取り組みや姿勢とは何でしょうか? ECモールでの店舗運営に強いプロが実践している情報収集の仕方もお聞きしました! EC事業に着手しようとしている企業の担当者様、そしてすでに楽天のようなECプラットフォームで店舗運営をしていて、課題を抱えている事業者様には必見です!
ぜひ、ご覧ください~

⸺今日はよろしくお願いします。
原田:よろしくお願いします。
⸺まず、現在までのご経歴についてお聞かせください。
原田:はい。新卒のときにECモールを運営する企業へ入社し、その後、アパレルや食品のネットショッピングを運営する企業に転職しました。現在は自分自身でショップを運営しながら、経験を生かしてコンサルタント業務を請け負っています。
⸺EC事業のなかでも、得意な商品のジャンルなどはございますか?
原田:基本的には得意なジャンルも不得意なジャンルもありません。前職がECモール運営企業でコンサルタントとして従事していたのですが、ジャンルや規模感を問わない部署だったためです。
ですが、現在は主に楽天に特化したサポートのご要望を頂いております。しかし、楽天に限らず、他のECモールでも、売上戦略の立案ができます。
⸺なるほど。基本的にジャンルを絞らず、どのモールでも対応が可能なのですね。なぜ、あらゆるジャンルやECモールに対応できるのですか?
原田:それは、どんなときでも同じステップを踏んで、施策や戦略を組み立てているからです。戦略立案や売り上げの成長に必要なことは、「目標設定と現状把握の解像度を上げ、その差分を洗い出すこと」です。
また、主なECモールでのショップ運営を実際にしていた経験も大きいかと思います。目標と現状との差分を逐次チェックし、見えてきた課題に対してどのようなソリューションが有効かを考えることが大切です。
もちろん、モールごとに特徴や販促の種類はございますが、基本的な戦略設計は変わりません。
⸺なるほど。現在地からゴールまでの距離を明確にすることはEC以外にも通用しそうですね。
⸺原田さんが以上のメソッドを活用することで、課題解決につながった過去の事例について教えてください。
原田:わかりました。私が過去に支援した企業さまは以下のような現状でした。
その企業は当時、マスクやアルコールなどのコロナ禍の影響で需要が高くなっていた商材を主力としていました。
また、その売り上げもアッパーに達しつつあり、新型コロナウイルスの収束で売り上げの縮退は避けられない状況でした。
そこで、今後の目標を明確にしました。
それは「コロナ商材ではなく、通年で売れる商材でいくらの売上改善と各指標どのような改善を実現するか」と「新しい商材の立ち上げと育て方のノウハウを醸成する」の2つです。
そして、目標と現状との差分を埋めるために、以下のサポートを行いました。
⸺確かに、“現状把握→目標設定→差分の把握→施策への落とし込み”が行われていることがはっきりとわかりますね。その結果、どのような成果がありましたか?
原田:コロナの収束でマイナスになっていた各指標がプラスに転じ、新しい商品で主にアクセス人数の改善に大きな効果が見られました。
新商品のなかでも特にアクセス人数が取れた商品では、約4か月で1商品あたり5000人近くのアクセス人数を取れている商品もございます。売上目標を達成するために、緻密なチェックを繰り返すことが重要です。
また、売上目標を追うことも重要ですが、大きな目標を一気に達成しようとすると施策の順序が可視化しにくいため、より小さな目標に落とし込んでいく工程が重要です。
たとえば、売上目標→月のアクセス人数目標→1日当たりのアクセス人数目標→そのために行う施策は何か? (例:新商品を週に3商品ずつ登録して検証)
このように目標を小さくすることで、簡単に行動を行うことができ、その結果目標の達成につながります。小さな目標を立てるためにも、目標と現状の差分の可視化が重要になります。
⸺楽天のようなECモールに出店するにあたって、事業者がつまずきやすいポイント、勘違いしやすい点はありますか?
原田:ポイントとしては大きく3つあります。
原田:トレンドの商品や拡大中のプラットフォームで、知り合いや競合他社が売り上げを伸ばしていると聞いただけで、ノウハウがないままに出品してしまうことはありませんか?
なぜ売れているのかという視点を無視して見切り発車してしまうと、売り上げが伸びずに諸経費がかさんでしまいます。
多くの場合、売れる事業者というのは豊富なノウハウを上手く活用しています。出品するだけもうかる、ということはまずないでしょう。
原田:自社商品か型番商品かに関係なく、市場の事前調査を怠ってしまうと、需要の小さい商品選定や相場に合わない価格設定をしてしまう可能性があります。
事前調査では、その商品の流通が多いかどうか、モールを利用するユーザー層、ランキングに載っているトレンド商品、競合他社の分析などを行います。
商品ベースでの事前調査では、主に販売価格、配送設定、商品品質、レビュー、SKU、などを競合と比較して負けている点がないのかを確認することが重要です。
原田:自社商品への愛が強いほど、企業が自社商品に見出す価値と、ユーザーがその商品に見出す価値との間にギャップがあるかもしれません。
もちろん、商品愛それ自体が悪いと言っているわけではありません。ただ、自社商品が顧客に与える価値について評価する際には、根拠が必要だということです。

⸺やはり、移り変わりの激しい業界であるからこそ、準備段階での調査が重要なのかもしれません……。今と昔では大型ECモール全体として変わったことはありますか?
原田:はい。昔と違って、大きなプラットフォームでは出店数・商品数ともに飽和状態となっています。そのため、しっかりと戦略を立てて動かないと売れないのが現状です。
そんなときに目標設定と現状に対する解像度の高さが大切だと思います。特に、まだ競合が少なかった時期にECを始め実績を残した企業は、当時の勝ちパターンを模倣し続け、競合他社の分析がおろそかになっている傾向があります。
このままだと、各目標と現在地の差分の解像度が低いために、売り上げが伸び悩むケースに陥ってしまいます。
⸺まとめると、出品すれば必ず売れるわけではなく、売れるには調査を踏まえて市場に合う商品を選び、売り方でまず大切なのは“差分の明確化”ということですね!
原田:そうですね。極論、差分の明確化ができれば、そこにどのように対処するかについては外注すればすむ話です。
⸺では、原田さん自身がコンサルタントとして業務にあたる際、クライアントさまにはどのようなサポートをされていますか?
原田:まず、お客さまがしたいこと(want)、しなければいけないこと(must)、できること(can)を可視化します。その上で優先順位をつけて最短で目標を達成するにはどのようなサポートをしなければいけないのかを考えます。
私は、お客さまの上記優先順位で出てきやすい改善点を私自身がハンズオンで行えること(外注などに委託しないこと)、そして社内で内製化できるようにすることを意識しています。
たとえば、既存の商品で売り上げを改善するのは難しいという判断になった場合は、
市場調査→新商品の提案→仕入ルートの構築→新商品のページ制作→販促設計
ここまで、私の方で完成させて提案することが最低限すべきサポートだと考えております。
そのうえで、間接費用の計算や売り上げだけでなく利益を考えて目標設計までできることが、コンサルタントならではの存在意義だと思っています。
また、ノウハウの提供やスキルの提供も重要かと思いますが、日々さまざまなツールが出てくるEC業界では、昨日のノウハウが今日になると通用するとは限りません。そのため、私は不変的な部分の店舗運営構築を企業さまと一緒に行う事を意識しています。
自分自身でショップを運営しているからこそ、見えてくる事業者の苦労や課題があります。その際に、こんな事をしてくれれば良いなと思った事を具現化できるように日々改善しています。助言だけでなく、自分が抜けた後も事業者が自走できるように寄り添うことが重要だと思います。
⸺確かに、すごく共感できます……。
⸺先ほど、自力で対処できない部分は外注すれば良いという話がありましたが、事業者様が外注先を選定するうえで、注目すべき基準などはありますか?
原田:外注選定をする上で大事なポイントは以下の3つです。
原田:発注先の連絡スピードが速いかどうかは非常に大切です。なぜなら、ネットショップは刻一刻と状況が変化するためです。
外注先のレスポンスが遅ければ機会損失にもつながりうるため、選定の際には注意していただきたいです。
原田:繰り返しにはなりますが、事業者が絶対に自分でしなければならないのは、現在地から目標までの差分の洗い出しです。
その後、その差分は、ECの業務のうちどの領域に属しているかを明確にし、その領域に特化したプロを外注先として選定しなければなりません。
発注する側は、プロがECの全てのステップで100点を取ることができるオールラウンダーではないことを理解しておく必要があります。
どの施策に、どのフェーズ・ジャンルに特化しているのか見極めてください。
たとえば、売上アップだけでも、新規の獲得が得意なのか、リピート率アップが得意なのか、転換率の改善なのか、さまざまです。
原田:最後に事業者様に心得ておいていただきたいのは、期待しすぎないことです。
つまり、外部の専門人材に丸投げせず、伴走するという意識が大切だと思います。
外部人材が抜けた後でも、自走できるだけのノウハウを蓄積し、それを実践できるように内製化することをめざしましょう。
ECのスキルや経験はプロが担保できますが、商品の特性や価値については企業側のほうが詳しいので、二人三脚で協力していく姿勢が何よりも大切です。
⸺レスポンスの速さという視点は意外ですね。確かに、外部人材との密なコミュニケーションは二人三脚するために必要かもしれません。

⸺刻一刻と変化するEC市場において、原田さんが実践している情報収集の仕方について教えていただけますか?
原田:はい。これはとてもささいなことなのですが、私は毎朝、Amazonや楽天、Qoo10といったECモールのランキングをチェックしています。モールごとにトレンドが異なっており、ランクインする商品には“モールごとの色”が出ます。
ランキングで初めて見る商品があれば、そこに有効な施策の掘り下げを行ってみたり、原価を推測したりしています。
そうして、モールごとの癖がわかるようになれば、若い女性の間で流行の最先端アイテムがランクインしやすいQoo10で売れている商品を、楽天に先取りして売り出すという施策を取ることが可能になります。
⸺ランキングを見るだけでも、さまざまなことが見えてくるのですね。
原田:他にも、商品ページのレビューを分析することも情報源として役立っています。競合他社の商品に対するユーザーからの希望、クレームなどの生の声を知ることができます。それを参考に自社で取り扱っている商品の改善や売り方を工夫しています。
「〇〇個セットで売ってほしい。」といった投稿を見て、研究するだけでも効果はあると思います。
⸺ランキングの閲覧も、レビューの分析もちょっとした時間に無料でできるので、今日から始めることができますね!
原田:はい。ただ、画面を眺めるだけでなくしっかりと考察をめぐらすことが重要です。
⸺最後に、原田さんがEC業界で活動していく中で、目標などはありますか?
原田:ネットショップ運営とデザイン、出荷までは一通りスキルと経験を蓄積することができたので、次はショップの運営チームの規模に合わせて円滑な事業サポートができるようになりたいですね。
これができれば、EC意外の業務にも役立つと思います。内部の人材活用、チームの動き方、接し方に関するノウハウを身に着けることが目標です。
あとは、一社一社大切にして頑張りたいということです!
みなさん、いかがでしたでしょうか? ECの運営をする上で、とても重要なエッセンスが詰まったインタビューでしたね!
お話を通して自社の現状を解像度高く把握すること、また目標までの距離の洗い出しの重要性をご理解いただけたのではないでしょうか。
そして、外部の専門人材の選び方についても話していただきました。二人三脚で自社と密にコミュニケーションを取ってくれる人材ほど心強いものはないと思います。
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オリジナル記事:ECモール運営成功の秘訣とは? 識者が明かす事業者のつまずきポイント3点+押さえておきたい対処法 | 「ECタイムズ」ダイジェスト
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消費者向け情報サイト「Appliv TOPICS」を運営するナイルが実施したECモールに関するアンケート調査(対象は男女1630人)によると、オンラインショッピングの利用頻度は月2~3回が最も多く、「日用品」「衣類」「食料品」といったカテゴリーの商品がよく購入されていることなどがわかった。
また、女性は化粧品やファッション、男性はガジェットや趣味関連を購入する傾向がある。1回あたりの平均購入金額は5000円未満が全体の7割を占めている。
オンラインショッピングの利用頻度を聞いたところ、最多は「月2~3回」(25.95%)、次いで「数か月に1回」(20.74%)だった。

「週数回」「週1回」「月2~3回」「月1回」を合わせると、全体の約6割は月1回以上オンラインショッピングを利用している。「利用しない」は9.88%だった。
男女別の回答を比較すると、男性は「週数回」「週1回」、女性は「月2~3回」の割合が大きい。
「数か月に1回」の割合は女性、「利用しない」は男性の方が大きい。このことから、オンラインショッピングのヘビーユーザーは男性が多いが、オンラインショッピングそのものの利用率は女性の方が高いとしている。

年代別の回答を比較すると、20代は「週数回」「週1回」の回答率が高い。「月2~3回」「月1回」「数か月に1回」「年に1回以下」の割合は30代以上で増加。特に10代は「数か月に1回」の回答の割合が大きい。「利用しない」の割合は年代が上がるほど小さくなっている。

月1回以上オンラインショッピングを利用している1055人に、1回あたりの平均購入金額を聞いたところ、最多は「3000~5000円未満」(34.60%)。僅差で「1000円~3000円未満」(33.43%)が続いた。なお、割合は「わからない」(32人)の回答分を除いている。

オンラインでよく購入する商品ジャンルを質問したところ、最多は「日用品」で、約半数が選択。「衣類」「食料品」「コスメ・美容」「書籍・雑誌」と続いた。

上位5つの商品ジャンルを男女別・年代別で見ると、男女ともに「日商品」が首位。男性では「PC・周辺機器」が、女性では「衣服」や「コスメ・美容」のジャンルが上位にあがっている。
年代別では、20~50代は1位が「日用品」、10代は1位が衣服。10~40代では「コスメ・美容」ジャンルが上位5つのなかに入っているが、50代ではランクインしていない。

各商品ジャンルの男女内訳を見ると、女性の割合が大きいのは「コスメ・美容」「衣類」「ペット用品」。男性の割合が大きいのは「パソコン・周辺機器」「カー用品」「スポーツ用品」「DIY・工具」「家電」「ゲーム・おもちゃ」。
「日用品」「食料品」「書籍・雑誌」「医薬品・サプリ」「インテリア雑貨」は男女の偏りがほとんどない。

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オリジナル記事:購入最多は「日用品」、購入金額は7割が5000円未満。男女別の利用傾向や利用頻度などをまとめたEC利用調査
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「送料無料」の是非が問われている。政府は今年6月、物流の「2024年問題」解消に向けた政策パッケージを公表。「送料無料」表示が適正な運賃収受の足かせになっていると言及し、見直しに取り組むと踏み込んだ。「送料無料」は問題の本質なのか。
「無料でないものを表記しないでほしい」。輸送業界の発展を図る全日本トラック協会の担当者はそう話す。
政府の「物流革新に向けた政策パッケージ」は、担い手不足や物量のひっ迫など物流産業の輸送力不足の問題解消に向け、「商慣行の見直し」「物流の効率化」「荷主・消費者の行動変容」の3本柱で改革を進める。

「商慣行の見直し」は、荷待ちや荷役時間の削減など「物流負荷の軽減」、担い手の賃金水準向上に向けた「適正運賃収受・価格転嫁」など6項目に取り組む。
「適正運賃」のなかで言及されたのが「送料無料」表示の見直しだ。物流事業者は荷主企業に対する交渉力が弱く、適正運賃を収受できない背景に「送料無料」表示があると指摘する。

前出担当者は、政策パッケージの内容を「商習慣の見直しは業界だけではどうにもならない。国の後押しはありがたい」と歓迎する。「送料無料」表示には、「そもそも送料は、運送の対価として受け取るもの。現場のドライバーの苦労もある。表示することで物流が軽く見られる。消費者にそういった意識を植え付けてほしくない。荷主事業者、消費者に理解を求めたい」と話す。
「2024年問題」は、通販業界にとっても重要な問題だ。荷主、物流事業者、消費者の3者が協力して解決を図る必要がある。ただ、「送料無料」が悪者かのような文脈で語られることには違和感を覚える。

「運賃交渉といっても(元請けの要請は)値上げか維持。値下げはない。“それなら運べない”とかなり強硬にくる」。中堅通販の担当者はこう嘆息する。
当然だが、全日本トラック協会の担当者が指摘するように、通販において送料は“タダ”ではない。企業側の負担を前提に、マーケティング上の広告訴求を検討する中で生まれた表現が「送料無料」だ。ただ、そのしわ寄せをすべて物流業界が負担しているわけではない。
「LTVを重視するなかで、最終利益を見込める購入額、顧客を対象に『〇円以上』『〇点以上』『初回購入』といった条件で行っている。競争環境も厳しく、常時、全品無料はないのではないか」(同)、「商品は、広告宣伝費や人件費などあらゆる経費から原価が決まる。送料もその一つ。利益を取る目的はなく、企業努力によってコストを吸収している」(通販大手関係者)というのが実際だ。
運賃の交渉も「アマゾンなど大手の一部を除き、通販は弱い立場。値上げを断って運べなくなれば事業は成り立たない」(同)。政策パッケージは、物流サイドの交渉力の弱さを指摘するが、一律に語れるものではないだろう。
その中で、「送料無料」がクローズアップされたことに、別の業界関係者は、「言葉狩り。表示するとタダと思われるというのはこじつけ。ワーディングの問題で本質的ではない」と憤る。
昨年12月、公正取引委員会は、原材料費の高騰を受けた大手・中小企業間の取引における価格転嫁の状況を調査した。価格交渉の場を設けないなど独占禁止法、下請法抵触のおそれのある13の企業・団体を公表。是正を求めた。指摘を受けた1社は佐川急便だ。
今年2月には、経済産業省が中小企業を対象に行ったアンケート調査の結果を公表。下請け振興法に基づき、価格交渉や転嫁に消極的な企業の実名を公表した。「最低評価」を受けた1社が日本郵便だった。いずれも物流において積極的に下請けを活用する。
物流業界は、多重下請構造だ。荷主の委託を受けた元請けが、中小の下請けに配送を再委託するケースも多い。当然、そこには、運賃・料金の交渉が存在する。

ただ今回、運賃の適正収受の問題でフォーカスされたのは荷主サイド。全日本トラック協会の担当者も元請けとの運賃交渉には、「元請けも荷主に(運賃を)もらわないと払えない。仲介だけでコストをとっている悪質なところもあるが、多重構造の実態はつかみづらい」と話すのみだ。
運賃の適正化は、業界の多重下請構造に潜む問題の解消も重要なポイントになる。
担い手不足から、30年には現状の約3割の物量が運べなくなるとされる「2024年問題」。国も明確な統計数値は持っていないが、通販の物量は決して多くはない。
売上規模でいえば、約19兆円とされるトラック輸送業界の市場規模におけるBtoC、CtoCの占有率は、「3兆円ほどではないか」(運送事業者)。「不足する輸送能力」も、通販の多くが含まれるとみられる「卸売・小売業、倉庫業」は9%。農産・水産品(33%)をはじめ、製造業の48%を大きく下回る。
「全体に占める物量は数%」(業界関係者)との見方もある。「物流ひっ迫の問題になるとすぐEC市場の拡大とないまぜに語られる。物量全体に占める割合は決して高くない。問題は、送料無料の是正で解消するものではない」(同)。
物流業界関係者からも「見直しはイメージ的にはいい。ただ、見直したからと言って運賃をあげられることには必ずしもならないのではないか」「なぜ報道で送料無料ばかり取り上げられているのかこちらも分からない。政策パッケージの内容ではもっと大事なことがある」との指摘がある。
ただ、政策パッケージには、「見直しに取り組む」と触れられている。担当は消費者庁。検討の方向性について、「経産省、国土交通省が中心に議論するなかで突如降って湧いた話。24年に問題が顕在化するとなると、消費者調査を行うには時間的制約がある。検討会を行うべきなのか、適正な価格転嫁に向け、問題の核心がどこにあるかを見極め、枠組みはこれから検討する」(古川剛参事官)とする。
通販関係者からは、表示是正に対し、「本来、『販売者が負担しています』というのが正しい言い方ではあるかもしれない」との声も聞かれるが、「送料無料」表示の是正への言及は、むしろ問題の本質を見えにくくしている。荷主事業者、物流事業者、消費者の三者が問題に対する理解を深め、協力して最適解を見つける必要がある。
「送料無料」表示を含め、「2024年問題」の解消に向けた検討は今後どう進むのか。
物流業界が抱える問題は、昨年9月以降、経済産業省、国土交通省、農林水産省が中心となり「持続可能な物流の実現に向けた検討会」で議論されていた。
8回目を終えた今年3月、政府の「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」が発足。6月に「物流の革新に向けた政策パッケージ」を公表し、「送料無料」表示の見直しに言及した。
検討会はまだ最終報告に至っていない。消費者庁の担当官が「降って湧いた話」と言うのもそうした事情があるだろう。
一方、全日本トラック協会は、国土交通省が20年4月、適正な運賃収受に向けたトラック輸送の「標準的な運賃」について告示して以降、取り組みを強化してきた。「労働時間の制約で賃金も下がる。長時間労働しても全体の水準を下回り、さらに担い手も不足している。『標準的な運賃』の告示を背景に交渉しようとしてもはねのけられてしまう」(協会担当者)。
「標準的な運賃」の周知に向け、告示が行われた際には荷主業界向け専門紙16紙への広告掲載を行ったほか、今回もWeb広告で物流の苦境を訴える。
自民党トラック輸送振興議員連盟や自動車議連自動車政策懇談会への積極的な働きかけも行っており、政策パッケージも熱心なロビー活動の成果との見方もある。

政府は政策パッケージの実現に向け、一部は次期通常国会への法案提出で法整備を進める。「商慣行の見直し」のうち、荷主、物流事業者間の物流負荷の軽減に向けた荷待ち、荷役時間の削減は、先行してガイドラインを示した。
ガイドラインは、荷主事業者や物流事業者に求める取り組みを整理している。
物流の適正化では荷主・物流の両事業者に、(1)集荷・配達における荷積みや荷下ろし、付帯業務における「荷待ち時間(待機時間)」や「荷役作業」の時間の把握、(2)荷待ち・荷役作業の時間短縮、(3)物流の適正化に向けた取り組みを行う「物流管理統括者(役員等)」の選任、(4)取引契約における物流負担の改善提案――などを求める。

運送契約の適正化では、(1)契約の書面化(2)ドライバーが行う荷役作業の料金を支払う者の明確化や適正な料金の支払い(運送契約を直接行わない荷主を含む)(3)運送の対価である「運賃」と、運送以外の役務の対価である「料金」(荷役作業等)の個別契約を原則とすること――などを求めている。

現時点でガイドラインに法的拘束力はなく、義務はない。今後、一部は法制化による規制的措置が導入される。
対象となる事業者には、「現時点で規定はない」(国交省総合政策局物流政策課)とする。
省エネ法は、規制対象とする荷主事業者を「3000万トンキロ(貨物の重量×輸送距離)以上」と定めている。「通販では1000億円規模の事業者が対象になってくるが、重量も関係するためサプリメントなど軽量のものを扱う企業は対象から外れるなど一概に言えない」(業界関係者)。
ただ、「持続可能な物流の実現に向けた検討会」では、物流に対する危機感を高めるため、省エネ法の対象が800社程度にとどまることを例に「対象範囲を拡大すべき」との意見も出ている。対象事業者の範囲は、通販業界にとって重要な争点の一つになる。
政策パッケージは、業界、分野別に、実態に即した自主行動計画の策定も求める。これには、「義務化ではなく促すもの。業界団体や複数社のグループによる取り組みを想定している」(国交省総合政策局物流政策課)とする。
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オリジナル記事:「送料無料」は問題の本質ですか? 表示の見直しで問題は「解決しない」の声【物流2024年問題巡る現況まとめ】 | 通販新聞ダイジェスト
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ECカートシステム「楽楽リピート」を提供するネットショップ支援室は、SBペイメントサービスが提供するクレジットカードの本人認証サービス「EMV 3-Dセキュア(3Dセキュア2.0)」に対応すると発表した。

「3Dセキュア」は、クレジットカード決済を非対面で行う際に、クレジットカードに記載されている情報の他にパスワードを入力することで、不正利用を未然に防止することができる本人認証サービス。「3Dセキュア」を導入することで、オーソリ実行前に不正注文を防ぎ、チャージバックのリスクを低減させることができる。
ECサイトにおいては現在、利用者にID・パスワードを入力してもらって追加認証する「リスクベース認証」を採用した「3Dセキュア2.0」の導入が進んでいる。
一般社団法人日本クレジット協会が事務局を務める「クレジット取引セキュリティ対策協議会」が公表した「クレジットカード・セキュリティガイドライン4.0版」では、不正利用対策として2025年3月末までに、「原則、全てのEC加盟店は、2025年3月末までにEMV3-Dセキュアの導入を求める」といったことを盛り込んでいる。
こうした対策や取り組みが進んでいる背景には、クレジットカードの不正利用被害額の増加がある。2022年のクレジットカード不正利用被害額は436億7000万円。このクレジットカードの不正利用によってEC事業者側にはチャージバックが発生するため、事業者の対策として「3Dセキュア2.0」の導入が進んでいる。

「3Dセキュア2.0」を導入しているECサイトでは、ライアビリティシフト(チャージバックが発生した場合、カード会社が売り上げ代金を補償する仕組み)が適用されるため、不正損失を心配せずに事業を運営することができる。
販促面では、「3Dセキュア1.0」はクレジットカード不正利用のリスクを下げることができていたが、ユーザーにとっては情報入力の手間が増えることになり、途中離脱(カゴ落ち)の発生が懸念材料としてあがっていた。
「3Dセキュア2.0」ではそれらの課題が改善されている。従来の「3Dセキュア1.0」と比べて、主なアップデートは次の3点。
「楽々リピート」が対応する「EMV 3-Dセキュア」は、「3Dセキュア2.0」に該当する。

「楽楽リピート」は、定期購入・単品通販・リピート通販に特化した、ECサイト構築のためのSaaS型ECカートシステム。化粧品、サプリメント、ダイエット補助食品などに有効な定期通販機能を充実させている。
新規獲得のためのフォーム一体型LPやアップセル・クロスセル機能をはじめ、獲得した顧客の育成に必要なCRM機能も標準機能で提供する。
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オリジナル記事:ネットショップ支援室の「楽々リピート」、「EMV 3-Dセキュア(3Dセキュア2.0)」に対応開始
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「北欧、暮らしの道具店」のクラシコムは、ステイト・オブ・マインドが運営するファッションブランド「foufou」事業を買収する。買収価格は3億円。
会社分割によって「foufou」事業をステイト・オブ・マインドが新たに設立する100%子会社に承継。クラシコムが新たに設立する子会社「株式会社foufou」が株式の全てを譲り受ける。資本金は800万円、8月1日付で設立する予定。

株式の譲渡実行日は同日付で、取得価額は3億円、アドバイザリー費用などが約500万円の合計3億500万円。クラシコムは「デューディリジェンスを通じ、(「foufou」事業は)売上高約4億円規模の事業であると判断した」としている。
「foufou」事業は、デザイナーのマール・コウサカ氏が立ち上げたD2Cのファッションブランド。「健康的な消費のために」というコンセプトのもと、コウサカ氏がデザインした洋服やアパレル雑貨を販売するプロダクトブランドとして地位を確立している。
「foufou」の世界観を表現するコンテンツを各種SNSで発信し、ユーザーのエンゲージメントを最大化、購入・リピート化につなげている。このビジネスモデルは、クラシコムのライフカルチャープラットフォーム事業との共通点があるとしている。

ブランドコンセプトは、「健康的な消費のために」。効率的なマーチャンダイジングで、創業から継続して定価販売を実施、ほぼ廃棄ゼロを実現しているという。
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オリジナル記事:「北欧、暮らしの道具店」のクラシコム、ファッションブランド「foufou」事業を買収
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インテグラルアドサイエンスが、MRCからコネクテッドテレビのビューアブルインプレッション測定について認証を取得。MRCがこの認証を付与するのは、インテグラルアドサイエンスが最初で唯一。
Integral Ad Science Earns Industry's First MRC Accreditation for CTV Viewable Impressions
https://integralads.com/news/ias-mrc-accreditation-ctv/

ANA Xは、公式ECモール「ANA Mall」にレコメンドエンジン「ZETA RECOMMEND」を導入した。
「ANA Mall」はANAのマイルが貯まる・使えるインターネットショッピングモールで、ANAグループ直営店のほか、国内有数のショップが出店。日用品、食品、家具、家電、地域特産品、ファッションなど幅広い商品を取り扱っている。
ZETAの「ZETA RECOMMEND」を導入し、会員IDにひも付いた閲覧履歴・購入履歴などの行動データを分析、ユーザーの嗜好やニーズに適した商品提案ができるパーソナライズレコメンドを実現した。
商品詳細ページで「この商品を見ている人はこの商品も見ています」とオススメを表示することにより、他のページを閲覧するきっかけを作り、サイト回遊率の向上、商品閲覧数の増加などにつなげるという。

「ANA Mall」はさまざまショップが出店するモール型ECサイト。商品詳細ページに表示するオススメは「現在閲覧中のショップの商品のみ」に限定する仕様になっている。

パーソナライズされたレコメンドで潜在ニーズを発掘し、収益とユーザーの満足度向上を支援するマーケティングソリューション。
購買履歴、閲覧履歴、検索履歴などの行動履歴を元にした各ユーザーの特徴づけを行い、リアルタイムにレコメンドを提示する。

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オリジナル記事:ANA Xが公式ECモール「ANA Mall」にレコメンドエンジン「ZETA RECOMMEND」を導入
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利用者側が便利な「365日配送」。事業者側にとっては負担でしかありません。問題を冷静に整理して考えていくしか解決方法はなさそうです。
楽天・Yahoo!の「365日配送」、どう対応する?考えるべきことを整理してみた | コマースデザイン
https://www.commerce-design.net/blog/archives/6018
楽天・Yahoo!の「365日配送」とは何かを整理します。
楽天とYahoo!ショッピングの「365日配送」とは、ものすごく簡単に言うと「Amazon Prime化」。
配送のスピードや品質を向上させると、モール内で有利になる、という話です。
自分は、具体的に何をどう対応すればいいのか?
ということで、ここからは「いろいろあるけど、まずはこのあたりを踏まえて対策を考えたいよね」という観点を3つほど紹介します。
- 休日の出荷対応どうするんだ問題
- 休日の問合せ対応どうするんだ問題
- 物流委託できない商品どうするんだ問題
問題は3つです。
「土日に出荷と問い合わせ対応をするのか?」「『楽天スーパーロジスティクス(RSL)』などに委託できない場合はどうするのか?」です。個人店で土日出荷などをすると休みがなくなってしまいますし、出荷スタッフがいる場合はシフト制にするなど対応をしないといけませんので、人件費がかかってしまいます。委託すればすっきりさっぱり解決しそうな気もいますが、そもそも委託できないものがありますし、Amazonに出店していると「FBA」と併用するのかといった問題も出てきます。
【A】物流委託に全商品を預けて365日配送に対応する
【B】自分でがんばって毎日出荷する
【C】365日配送する商品としない商品をわける
【D】365日配送に対応しない
最も気になる出荷に関する選択肢は4つ。委託する際は委託先倉庫までの配送料・保管料を考えないといけません。自力配送の選択肢はそもそも出荷が少ない、マンパワーがある場合。対応する商品を分ける場合、出荷自体は楽になるかもしれませんが、在庫管理がかなり煩雑になってミスが出る可能性もあります。検索順位を気にしないのであれば対応しないのもありでしょう。
「365日配送」はモールに出店するとどうしてもつきまとう問題です。特に売り上げをどんどん伸ばしたい場合は必須です。ほどほどの売り上げだったとしても、自社のブランド、マーケティング戦略、経営状態など複数の視点から考えておかないと、大きく売り上げを落とす可能性もあります。
ECは事業なので、目先の作業だけにとらわれないようにしたいですね。
ヤマト運輸が「メール便」「ネコポス」を順次終了。メール便・小型薄物荷物領域は配送を日本郵便に委託へ | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/11080
ヤマト「ネコポス」廃止、日本郵便に移管の切実 クール宅急便や郵便ポストの活用でも協業へ | 東洋経済オンライン
https://toyokeizai.net/articles/-/680718
値下げをして「ネコポス」でシェアを取りに行ったらそれが負担になって今回の流れに。2024年に向けての動きが激しくなってきそう。
迫る物流危機、「郵便ポスト」トップ企業が狙う“受け取り方革命” | ITmedia ビジネスオンライン
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2306/16/news078.html
こちらは受け取りをスムーズにしようという考え。普及すると時間の削減効果は高いかも。
広告に掲載ない商品の「アップセル」「クロスセル」、通販広告に必要な事項あれば通信販売に、表示がない場合は電話勧誘販売に | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/11076
「広告に注記として『電話で他の商品の案内を行う場合があります』」と記載した場合についても規制対象になることも。
自社商品の魅力は自社がいちばん知っている ブランドに合った施策と改修を実現する「EC運営内製化」 | ECzine
https://eczine.jp/article/detail/12625
「他社に丸投げせず社内スタッフで回していくことが重要だ」。同感です。可能な限り勉強すること。
「ヤフーショッピング」、『原則1社1店舗』制限を検討 2店舗目以降は有料化も、目的は不正利用対策 | 日本ネット経済新聞
https://netkeizai.com/articles/detail/9025
ちゃんとやっていた人たちがダメージを受けてしまうという…。不正利用は本当に迷惑です。
ECの現場で使える「ChatGPT」活用法。ネット通販担当者がビジネスシーンで利用するための基礎知識と事例を解説 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/11086
どれだけダメ出しをしてもめげないのが「ChatGPT」。しっくりくるまで使い倒しましょう。
通販からECへ、10兆円の成長市場に。売上データとランキングで振り返る通販・EC市場の変遷 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/11028
なだらかだったものが2021、22年に急成長。2023年はどうなるのでしょうか。
越境ECの費用、どう考える? | ebiz
https://ec.smrj.go.jp/blog/overseas/t0h4p8000000191i.html
ECは「事業」なのでB/S(貸借対照表)とP/L(損益計算書)はちゃんと考えないといけないですね。
起業家原点となった知られざるギフト。ツイ廃のjigen_1さん | GIFTFUL
https://giftful.jp/articles/7
「それは君が挑戦したからだろう、失敗じゃない」
「困難のたびに強くなっているじゃないか 」
「おめでとう、ビジネスマンの仲間入りだ」膝をついたこともありましたが、この言葉のおかげで、僕はまだ立っている気がします。
「365日配送」にもきちんと対応できれば強くなっていくはず。チャンスだと思えれば良い知恵も出てくるのでは?
※このコンテンツはWebサイト「ネットショップ担当者フォーラム - 通販・ECの業界最新ニュースと実務に役立つ実践的な解説」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:モール出店者は365日発送する? しない?「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」の「Amazon Prime化」が進む【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ
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「未経験・低予算・独学」でホームページリニューアルから始める
小さい会社のウェブマーケティング必勝法
森野誠之 著
翔泳社 刊
発売日 2021年10月15日
価格 2,200円+税
この連載の筆者 森野誠之氏の著書が翔泳社から発売されました。小さな会社の“ひとり担当者”が、未経験、低予算、独学でホームページのリニューアルからウェブマーケティングまでを成功させるための指南書です。電子版、オンデマンド印刷版ともにAmazonで発売中です!

I-ne(アイエヌイー)が男性向けスキンケア市場に参入した。
メンズスキンケアブランド「murphy(マーフィー)」を立ち上げた。ワンステップでトータルケアが可能な薬用オールインワンジェル(医薬部外品)で、まずはAmazonで先行発売。6月29日から自社ECサイト、「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」販売する。
近年、男性の美容に対する意識が大きく変化し、メンズコスメ市場は年々拡大。TPCマーケティングリサーチの調査によると、2021年のメンズコスメ市場は前年比1.8%増の1463億円。15年間で約1.4倍に拡大しているという。

「murphy」は、多忙な男性でも毎日の生活に取り入れやすい手軽な本格ケアを提案する薬用オールインワンジェル。顔のシワ、シミ、肌荒れ予防の3大要因にアプローチするWビタミンの薬用有効成分を配合し、若々しく清潔感のある肌印象に導くという。
1本で9役のワンステップスキンケアが可能。「シワ改善」「シミ予防」「肌荒れ防止」「潤いケア」「洗顔や髭剃り後の保湿ケア」「ハリ」「くすみケア」「オイルコントロール」「肌の引き締め」にアプローチする。
容器にはアルミチューブを採用。アルミチューブの純度は高く、リサイクル技術向上により再資源化できる資材という。空気や水分の逆戻りがしにくく、遮光性にも優れている素材のため、医薬品などにも採用される容器となっている。「murphy」オールインワンジェルの価格は2480円(税込)。

I-neの2022年12月期連結業績は、売上高が前期比24.2%増の352億6400万円、営業利益は同38.5%増の32億3500万円、経常利益は同48.9%増の34億6900万円、当期純利益は同55.8%増となる19億2700万円。
2025年12月期を最終年度とした中期経営計画では、売上高550億円、売上高営業利益率13%をめざす方針を掲げている。ヘアケア系の商材を中心に、美容家電カテゴリー商材、スキンケアブランドの拡充を推進し、増収増益を図るとしている。
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オリジナル記事:I-neが男性向けスキンケア市場に参入、男性向けコスメブランド「murphy」を開発
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「ChatGPT」などのAI(人工知能)は、ECビジネスでの活用も期待されています。「今後、AIを活用したどんな新しい機能が登場するのか」「EC事業者はどのようにAIと向き合っていくべきか」などについて、GMOペパボの栗林健太郎(取締役CTO CTO室室長 ペパボ4推進室室長)に聞きました。
GMOペパボ EC事業部 ECグループ プリンシパルディレクター 花田靖治(以下、花田):EC領域において、どのようなAIを活用した機能が出てくると考えていますか?
GMOペパボ 取締役CTO(Chief Technical Officer)CTO室室長 ペパボ4推進室室長 栗林健太郎(以下、栗林):ECにおいては、私たちはマーケティングを支援する機能が重要だと考えています。テキスト作成、写真撮影、SNS投稿などのスキルは人それぞれ違うので、ECオーナーさんの「思い」をうまく表現できるように、各種支援ツールを開発し、フォローしています。
それを発展させて、「新商品を出す予定だけれど、商品の説明文はどうしたら良いですか?」といった問いかけに的確に答えるような機能があると良さそうだと思っているので、「ChatGPT」を導入して作ってみたいですね。
花田:先日、家族が高い電化製品を買おうとした際、事前に「A商品とB商品の違いは何?」と「ChatGPT」に質問していたんです。買い物体験に「ChatGPT」が関わってくることに驚きましたが、相談役として「ChatGPT」は良さそうですね。
栗林:商品レコメンドは、クリックするか購入するかといった意思決定を相手に委ねていることになりますので、ユーザーは自分が納得して購入するなら満足できます。リアル店舗において、店側の売りたい商品を店員さんが上手な接客で購入に至ったとしても、お客さん自身は「買わされた」ではなく、「自分で最終的に選んだんだ」と感じることが多いでしょう。それに似た効果が「ChatGPT」にはあると思われるので、ユーザー行動を変えるきっかけになるのではないでしょうか。
花田:24時間国内外のお客さまに対応する「カスタマーサクセス(AI君)」のような機能も出てきそうですね。「ChatGPT」は複数言語に対応しているので、各言語に対応できる人を雇わなくてもグローバル対応できるのはメリットでしょう。
栗林:そうですね。リアル店舗・ECに関わらず、人手があれば実現できる業務はAIで代替できます。また、「ChatGPT」はグローバルサービスなので、英語、スペイン語、中国語など大きな人口圏をカバーし、サービスの幅を何倍にも広げることができると感じています。
花田:GMOペパボでも、ホームページのソースコードを書いてくれる「ロリポAIアシスタント(β)」や、SNS投稿文・商品説明文を作ってくれる「カラーミーAIアシスタント(β)」のような、AIを取り入れた機能が続々と登場しています。AI時代に私たちはどんなことを求められているでしょうか?
栗林:新しい価値を創ることはとても重要で、仕事の本質はそこにあると思います。とはいえ、世の中的には「人手が足りない」「コストをかけられない」などの理由から、本質的な部分が後回しになっているのが実情かもしれません。

花田:まだまだ漠然と「AIは怖い」と思っている人が一定数いると思うのですが、AIは怖いものでしょうか?
栗林:私自身は仕組みがある程度わかっているので怖いという感覚はなく、むしろAIは便利な道具だと思っています。人類が火を発見したとき「熱くて怖いもの」という感覚だったのが、少しずつ便利さに気付いて日常的に使われるようになり、今は幅広い分野で活用されています。なので、AIに対してもいずれマインドチェンジが起こるかもしれません。
花田:「ChatGPT」はインターネットやスマホが登場した時よりも、とっつきやすさを感じます。
栗林:「Windows 95」やスマホはそれなりの難しさがありましたが、「ChatGPT」は既存のブラウザですぐに利用できます。UIが英語とはいえ、使い方を解説している記事は豊富にあるので、ECを運営している方などはすぐに使いこなせるようになるはずです。
いずれにせよ、今は「ちょっと難しそう」と感じていても、スマホなどのように何年後かには浸透して使いこなせるようになっていると思います。あまり焦ったり心配したりせず、気軽に向き合ってみてください。
花田:最後に、「ChatGPT」を使ったことがない人に向けて一言お願いします。
栗林:「ChatGPT」は登録すれば誰でも利用できるものなので、まずは恐れずに使ってみてほしいです。
インターネットが普及し始めたのは1995~2000年頃、iPhoneが日本に初上陸したのは2008年、AIのディープラーニングが脚光を浴びるようになったのが2012年、そして「ChatGPT」の台頭が2023年と、ITの世界では約十数年おきに何かが起きています。とすると、次の技術革新が起こるのは10~15年後と考えられます。
私自身はテクノロジー側の人間で、新しいIT技術を試して体感したいので、このチャンスは逃せないなと。皆さんにも黎明期の「ChatGPT」をぜひ体験していただきたいですね。

※このコンテンツはWebサイト「ネットショップ担当者フォーラム - 通販・ECの業界最新ニュースと実務に役立つ実践的な解説」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:「ChatGPT」などのAIでどんなEC機能が出てくる? ビジネスの拡大、サービスの幅が広がる可能性を秘めたECのAI活用 | EC×AIの未来
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グループMの広告市場予測「This Year Next Year: 2023 Global Mid-Year Forecast」によると、2023年の世界の広告費は前年比5.9%増の8,745億ドルの見込み(日本は4.8%増の見込み)。成長が著しいリテールメディア広告費については、2023年に前年比9.9%増の1,257億ドルとなり、2028年にはテレビ広告費(コネクテッドテレビを含む)を超えると予測している。
This Year Next Year: 2023 Global Mid-Year Forecast - GroupM
https://www.groupm.com/this-year-next-year-2023-global-mid-year-forecast/

オーラルケアEC市場の競争環境が激化している。参入増加を受け、各社ターゲット層のすそ野を広げる。一方、広告単価の高騰で、LTVの向上が課題として浮上している。

市場をけん引するのは、ソーシャルテックだ。口臭ケアサプリ、ホワイトニング歯磨き、マウスウォッシュの3品からなる「ブレスマイル」シリーズを展開。シリーズ売上高は、22年3月期に52億6500万円、前期(23年3月期)は41億6700万円で着地した。
主力の「ブレスマイルウォッシュ」単体の売上高は、22年3月期に34億8000万円、前期は、横ばいの34億2000万円で推移する。

サン・クラルテ製薬は他社に先駆け、マウスウォッシュ「ゴッソトリノ」で市場を切り開いた。配合成分が口腔内のたんぱく質と結びつき、“目に見える実感”がある商品設計は、同社が手がけた。22年4月期の売上高は約12億円(通販新聞推計)。ただ、類似商品の増加から継続率が課題になっている。前期(23年4月期)は、横ばいの11~12億円(同)で着地したとみられる。
このほか、マウスウォッシュでは、フロムココロ(ブランド名・デイリーワン、以下同)、フューメント(ノッシュ)、ハハハラボ(キラハクレンズ)、グロリアス製薬(キヨラブレス)feileB(デンターキンデル)がしのぎを削る。
ホワイトニング訴求の薬用歯磨きを中心に展開する企業は、トラストライン(ミカホワイト)、マーキュリー(オーデント)がある。
有力プレーヤーも参入する。ファーマフーズは、今期(23年7月期)から「DRcula(キュラ)」シリーズの展開を本格化。ホワイトニング訴求の薬用歯磨ジェルを中心にマウスウォッシュ、サプリを展開する。

参入背景には、定期購入をめぐり同社の相談件数が増加するなど特定商取引法をはじめ表示関連法の規制を受け、他商品の広告投資に制約が生じている影響も受けた可能性がある。主力育毛剤も今期は減収で推移しており、新たなブランドの育成を図っている。
上期を終え、シリーズ売上高は8億4900万円と好調に推移する。ホワイトニングジェルが大半を占め、マウスウォッシュは、1~2割程度(通販新聞推計)とみられる。
Webの新規獲得は、おおむねニュースメディアやSNSのタイムラインに表示されるインフィード広告(記事広告)、SNSやユーチューブのショート動画広告に分かれる。
前者は、商品を理解しLTVの高い良質な顧客が獲得できるメリットがある。後者は、幅広い客層にリーチできる反面、理解が浅く、オファー訴求への反応などLTVが低い特徴がある。
競争激化からショート動画広告の活用も増えている。代理店筋によると、広告露出は、「『キュラ』『ブレスマイル』『オーデント』『デイリーワン』が多い」。
一方で、広告単価は高騰しており、販売事業者からは、「かつては同梱物を入れなくても継続してくれたが、ショート動画広告で顧客獲得を維持しなければならない状況。費用対効果は悪化している」「ショート動画広告は定期条件などオファー内容をよく確認せず購入に至るケースも多く、定期トラブルも増えている」との声も聞かれる。
別商品だが、ハハハラボは22年3月以降、定期購入の表示で適格消費者団体から指摘も受けている(継続中)。
変化する客層への対応が必要になり、複数社がLTVを課題にあげる。
オーラルケアEC市場は、参入の増加から広告単価が高騰している。多くの企業がLTVを重視した戦略にかじを切る。
市場全体は、政府が毎年の歯科検診を義務付ける「国民皆歯科健診」を打ち出したことで注目された。消費者の歯の健康に対する意識の高まり、コロナ禍のマスク着用を受けた口臭ケアの関心層の増加も追い風になった。有望市場として企業の参入が増えている。
EC市場は、表示規制強化を受け、有力アフィリエイターの多くが「明確な効果」を訴求でき、広告審査を通過しやすい医薬部外品関連の案件に流れたことで活性化した。
当初はサン・クラルテ製薬の「ゴッソトリノ」がけん引。商品は、配合成分が口腔内でたんぱく質を結びつき、“目に見える実感”があることを特徴にする。
ただ、後発の参入企業の多くが同じOEM企業に商品設計や製造を委託したことで、差別化が図りにくくなっている。製造のキャパシティも市場拡大の障害になった。

最近では、「シワ改善」など、他の部外品案件も盛り上がりをみせる。
「ASPがオーラルケア関連の案件を扱うアフィリエイターを集めにくくなっている。企業は、手っ取り早く新規獲得できるショート動画広告などを活用するが、顧客の質が良いとは限らない。商品への理解が浅く、オファーのみで流入している顧客もいるため、継続が課題になっている」(オーラルケア通販事業者)という。
ソーシャルテックは、昨年9月、マウスウォッシュ「ブレスマイルウォッシュ」をリニューアルした。ホワイトニング訴求による差別化を狙い、「タバコのヤニなどを溶解して除去する」と表示できる有効成分「ポリエチレングリコール」を新たに配合。有効成分を2から3に増やした。

ただ、ホワイトニング訴求は、部外品承認を得なくても「ブラッシングによる」と表示することで一定程度可能であり、思ったように差別化を打ち出せていない。
顧客の約6割を女性が占めることから、クロスセル提案を強化するシリーズの歯磨き粉は、女性にも親しみやすいデザインに変えた。顧客コミュニケーションの改善や、顧客セグメント分析を通じたCRMも強化。今期(24年3月期)は、シリーズで38億円の売り上げを見込む。
サン・クラルテ製薬は昨年10月、クロスセル商品として口臭ケアを目的にしたタブレットタイプの「Uruoiki(ウルオイキ)」を発売。ドライマウス対策、口臭ケアで訴求し、マウスウォッシュとの併用を提案する。
ECモールの活用も強化。モール内のセールも積極的に活用しており、「継続率に徐々に効果がでている」(同社)とする。双方向のコミュニケーションを意識したCRMの構築を進め、今期は(24年4月期)は「ゴッソトリノ」単体で15億円の売り上げをめざす。
このほか、オーラルケアの広告案件を手掛ける代理店によると、マウスウォッシュブランド「ノッシュ」を展開するFUMENT(フューメント)は、ユーチューバーのてんちむのイメージキャラクター起用で、「新規獲得が回復傾向にある」という。

各社一様に初回割引価格による展開など価格訴求が目立つ。アフィリエイターの獲得効率を意識し、魅力的なオファー提案で競合案件に移ることを防ぐ。一方、これにより低価格競争に陥り、広告単価も上昇している。
展開事業者からは、「今後は、オフライン広告の併用、商品理解を意識した記事広告、SEO対策で堅実に顧客獲得を進めるところが増えるのでは」「効率が合わず広告を休止する企業も出てくると思う」などの見方が聞かれる。
※このコンテンツはWebサイト「ネットショップ担当者フォーラム - 通販・ECの業界最新ニュースと実務に役立つ実践的な解説」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:【オーラルケアEC市場】競争の激化で広告単価が高騰中。“勝ち組”企業がやっている施策、商品開発+市場の課題とは? | 通販新聞ダイジェスト
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スクロール360とKDDIエボルバは業務提携し、EC・通販事業者向けの物流・受注・EC運営の代行などの「EC・通販トータルサポートサービス」を7月から提供する。
KDDIエボルバが持つBPO・コンタクトセンターのノウハウと知見、AI(人工知能)やPRAなどのIT技術、スクロール360のリソース・システムによる次世代CRM物流を生かしたサービスを提供。EC・通販事業者とユーザーとの顧客接点強化、EC体験価値と顧客ロイヤリティ向上を支援する。
「EC・通販トータルサポートサービス」では、スクロール360が提供しているECサイト構築・運営、物流、請求、決済処理、問い合わせ対応、返品対応などのEC・通販に関連する業務に加え、カスタマーサポート領域を包括的に提供する。

在庫管理、品質、業務効率、コストなどEC・通販事業の運営・新規参入にかかる課題解決や、カスタマーサポート領域までを一気通貫で提供、新規顧客とリピーター獲得だけでなくLTV(顧客生涯価値)向上に向けた顧客コミュニケーションを強化、EC・通販事業者の売り上げを支えると共に、さらなる利益拡大に貢献していくという。
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オリジナル記事:スクロール360とKDDIエボルバが業務提携。「EC・通販トータルサポートサービス」を7月から提供開始
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ビジネスシーンで当たり前のように使われるようになった「メタバース」。企業による利活用例も増えてきた。メタバースの取り組みを加速しているアダストリアでメタバース部門の責任者を務める筆者(広告宣伝部 メタバースプロジェクトマネージャー 島田淳史)が、基礎知識、代表的なサービス、活用事例を解説する。
「メタバース」は、「超越した」という意味の「メタ」、宇宙を意味する「ユニバース」を合わせた造語。米国のSF作家ニール・スティーヴンスン氏の小説「スノウ・クラッシュ」で使用され、世に広まった。
月日は流れ、2021年にフェイスブックが「メタ」に社名を変更。「3DCGで作られた、複数の人がアクセスできるオンライン空間」というイメージとともに、「メタバース」というワードの知名度は一気に拡大した。勘違いする人が多いが、メタ社が提供するサービス名(=固有名詞)ではない。
加えて、「メタバース」には明確な定義はない。個人や事業者が「3DCGで作られた、複数の人がアクセスできるオンライン空間」の実現をめざしている試行錯誤を続けているのが現状だ。
そんな「メタバース」の一例としては、次のようなものがあげられる。
本人の顔や姿を出さずにCGのキャラクターでダンス、ゲーム、ライブ配信などを行う「VTuber(バーチャルYouTuber)」と似た要素はいくつかあるが、基本的には別物とされている。
メタバースユーザーの多くは「VTuber」のような「デジタルアバターを身にまとう人」だが、必ずしも「VTuber」ではないので注意したい。
ここで「メタバース」の代表サービスを紹介したい。

「Roblox」は世界的な人気を誇るオンラインゲームプラットフォーム。2022年時点で、全世界のデイリーユーザー数は5600万人に達しているとのことで、いわゆる「Z世代」と呼ばれる10代ユーザーが多いプラットフォーム。
ユーザーが自由にコンテンツを制作・公開できるのが特徴で、ゲームや居心地のよい空間まで、さまざまなコンテンツを体験できる。このうち、訪問数が10億回超のコンテンツが70件を超えている。
着用できるアバターも多種多様。クリエイターが創り出したアバター用のファッションアイテムもプラットフォーム内ストアで購入することが可能だ。
クリエイターはこうしたアイテムやコンテンツを制作することでゲーム内通貨「RoBux」を蓄積。「RoBux」を現金に換金し、新たな収益源にしている。
こうした世界最大級のユーザーアクセスと、プラットフォーム内経済の存在から、NIKE(ナイキ)、GUCCI(グッチ)、Spotify、Walmart (ウォルマート)など世界中の名だたる企業が「Roblox」へ進出し、コンテンツ公開やイベントを開催している。
日本でも、セガが公認の「ソニック」のゲームを公開したり、本田技研工業が製品体験のできる公式コンテンツを公開している。

世界的に人気なスマートフォンアプリの1つ。3Dアバターの着せ替えを楽しめるアプリだったが、その後バーチャル空間へアクセスできるメタバースアプリへ発展した。
アジア圏を中心に人気を集めており、2023年1月時点で全世界4億人のユーザーが存在するという。アバターファッションに強く、さまざまなアイテムを購入してアバターに着用できるシステムが備わっている。

「Z世代」の集まるプラットフォームとして企業が注目しており、ラルフローレン、ブルガリ、ソフトバンクなどが進出。特にソフトバンクは、公式ワールドにてチャットボットとショップクルーによる接客も展開している。

VRに対応したメタバースのなかで特に著名なサービス。名称に“VR”とあるが、PCでもアクセスできる。また、VRヘッドセット「Meta Quest 2」からもアクセス可能だ(一部の体験コンテンツに差異はある)。2023年秋にはスマートフォンへの対応も予定している。
ユーザーが「ワールド(仮想空間)」やアバターを自由に制作・アップロードできるのが特徴。VR機器を併用すると、高い表現力と自由度を世界を体験できる。そのため、ハイレベルなクリエイターやパフォーマーが多く集まり、熱狂的なユーザーコミュニティも醸成されている。
日本国内でも「VTuber」文化と合わせて人気の出てきたプラットフォームで、海外ユーザーをしのぐほどのクリエイターやパフォーマーを多く輩出している。
そんな熱量の高さに引かれて、日産自動車やモスバーガー、ホビージャパンといった企業がぞくぞくと進出している。

数少ない日本産のメタバースプラットフォーム。VRイベントプラットフォームから出発したため「イベント機能」が存在、バーチャルイベントの開催地としてさまざまなユーザーや組織が利用している。
「VRChat」と同様にユーザーが「ワールド(仮想空間)」やアバターを自由にアップロードできる。大きな特徴は「ハードルの低さ」。ワールドもアバターも、プラットフォーム内でパーツを組み上げるようにその場で作り出すことができる。有名どころは大阪府が「バーチャル大阪」を展開している。
直近では、アバター向けアクセサリーのストア機能も実装され、プラットフォーム内の経済圏が生まれつつある。
国内企業による運営であること、イベントの開催機能など、企業によるメタバース活用の場として採択しやすい条件がそろっているメタバースと言える。
また、PCやVRヘッドセットに加え、スマートフォンにも対応しているため、利用しやすいサービスと言える。
コマース業界においてメタバースはどのように活用できるのだろうか? すでに先行してメタバース事業を展開している2社の事例から、メタバース活用の効果から期待できることを解説していく。
アパレルECサイト「.st(ドットエスティ)」を運営するアダストリアは2022年10月から、「VRChat」での事業展開をスタートした。
主な展開内容は、ユーザーが利用できるアバター向け3Dモデル「枡花 蒼(ますはな あお)」「一色 晴(いっしき ひより)」の制作・販売。この3Dモデルは、アダストリアが展開する実在のアパレルブランドの衣服を身につけているのが特徴となっている。
また、3Dモデルが着ている衣装データは単品でも販売され、既存の販売3Dモデルにユーザーが“着せる”こともできる。

アダストリアが有する「アパレル」商材を、アバターが着用できる「メタバースファッション」に転換させたケースと言える。
さらに、衣服にマッチするアバターも同時展開することで、「VRChat」のアバター市場にも参入することに成功。「.st」でリアルで販売している洋服を、メタバースの世界でもアバターに着させることができるため、“自分のアバターとリアルな自分がおそろいのコーディネートをする”というユーザー体験を提供できている。

制作にあたっては人気のクリエイターを起用しているのも特徴。アダストリアではその後も、一般応募可能な衣装コンテストやフォトコンテスト、ユーザーイベントへの参加などを実施し、「VRChat」ユーザーへの訴求にも注力している。
「VRChat」などのメタバースは、ユーザー間で形成されているコミュニティの熱量が強く、ユーザーの信頼を得ることは極めて重要と言える。
国内でいち早くメタバースに進出し、現在も継続している企業の代表格として日産自動車があげられる。
2021年に「VRChat」上に公式の仮想空間をオープン。環境問題を学ぶツアー、新車発表会、社内デザイナーのトークショー、電気自動車について学べるゲームなどを展開している。

日産自動車の「メタバース」展開の特徴は、「物理的制約のない空間」というメタバースの特性をうまく活用していること。
たとえば、環境ツアーでは「北極の氷が溶けるとどうなるか」を目の前で“実演”し、口頭説明だけでは理解しにくいことを効果的に伝えている。こうした体験型コンテンツは、とりわけVRとセットで高い訴求力を発揮する。
また、新型EV「日産サクラ」の発表時には、運転体験ができる空間をオープンし、ユーザーが自由に試乗できる機会を作った。全世界どこからでも、車の運転イメージや内装のチェックができる「オンライン試乗体験」となり、これをきっかけに「日産サクラ」を購入した人も現れたという。
こうした数々の施策を、日産自動車は「VRChat」のユーザーコミュニティやクリエイターと密に連携して展開している。
いまや日産自動車は国内「VRChat」コミュニティとして認知されており、メタバース進出のモデルケースの1つとして注目すべきだろう。
このほか、日産自動車は独自プラットフォームを開発し、「メタバース空間上での車両販売」の実証実験も進めている。
メタバースでは、従来のインターネットにプラスして「空間の提供」と「身体性を伴ったコミュニケーション」が可能となる。
Webページと異なり、三次元的な空間はスケール感や奥行きを表現しやすく、そこを探索する体験は、ただ「見る」だけよりも体験の質は濃密になる。そして、その空間でアバターを介して、身振り手振りを交えながら行う会話は、現実のコミュニケーションと同等の情報量を持つ。
EC業界においては、顧客との対話は顧客獲得とブランドの育成に大きく寄与するはず。必要以上の情報が伝わらないテキストコミュニケーションと比較して、メタバース空間での対話コミュニケーションは、顧客側にとっても質の良い体験をもたらす。こうした「良質な体験」は、ブランドイメージの強化につながるだろう。
メタバースは、多くのプラットフォームにおいてマネタイズの仕組みが未熟なこともあり、企業のメタバース進出には金銭的リターンを期待しにくいのが現状だ。
しかし、質の良い体験提供と高いアクセス性などにより、新たな顧客層の発掘と、良質なブランドイメージの醸成が期待できる。さらに、クリエイターやインフルエンサーと協働することで、企業主導では実現できないような驚くべき施策も、速度感をもって生み出すことが可能だ。
なお、こうした施策を実現するには、プラットフォームやコミュニティへの理解が不可欠となる。“そこにいる人々”の存在を無視した事業展開は支持を得られないばかりか、企業イメージに悪評がつく可能性もあるからだ。
メタバース進出にあたっては、まずは担当者自らがメタバースの“住人”になる勢いでメタバースを体験し、場と人をよく理解することが肝要と言える。
※このコンテンツはWebサイト「ネットショップ担当者フォーラム - 通販・ECの業界最新ニュースと実務に役立つ実践的な解説」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:「メタバース」の基礎と活用方法を日産自動車+アダストリアの事例、Roblox+VRChat+クラスターなどのサービスに学ぶ | メタバース事業に挑戦中の大手EC企業担当者に聞く! 新たな形のファンマーケティングで成功する秘訣
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2021年7月にAmazonが「マケプレプライム」の条件に土日出荷を必須化。「Yahoo!ショッピング」の「優良配送」はすでに始まっていて、2022年8月からは検索順位に大きな影響を与えることになりました。そして「楽天市場」も2024年から「配送品質向上制度」をスタートさせようとしています。
2024年といえばトラック運転手の労働時間が規制されるのに、モール出店者はそんなことお構いなしに毎日出荷し続けないといけないのでしょうか?