ネットショップ担当者フォーラム

ホテル予約システムに不正アクセス、宿泊施設からカード情報など流出

8 years ago

ホテル予約システムを提供するファストブッキングは6月26日、サーバが不正アクセスを受け、同社のシステムを使う国内宿泊施設の利用客に関する個人情報や暗号化されたクレジットカード情報などが流出したと発表した。

不正アクセスが発生したのは6月15日と6月17日。15日の不正アクセスでは、国内380の宿泊施設の暗号化されていない個人情報(顧客の氏名、国籍、電話番号、住所、メールアドレス、予約金額、予約番号、予約ホテル名、チェックイン日、チェックアウト日)が流出した。

17日の不正アクセスでは、国内189の宿泊施設において、暗号化された情報(クレジットカード名義人氏名、クレジットカード番号、クレジットカード有効期限)が流出したという。

ファストブッキングによると、発表日時点で不正アクセスモードは修正済みで、システムのより強固なセキュリティ確保に向け、第三者科学捜査専門家とともに調査を進めている。

また、影響があった宿泊施設やクレジットカード会社と連携し、該当するユーザーと関係者に対し対応と支援を提供しているという。

ファストブッキングのフィリップ・ラマルシュ最高経営責任者は企業サイトで次のようにコメントしている。

この度、当社サーバーに対する不正アクセスにより影響のありましたパートナーの皆さまをはじめお客様には、多大なご迷惑をおかけいたしましたことを深くお詫び申し上げます。ファストブッキングはお客様の個人情報保護に真剣に取り組んでおり、この度、第三者専門家によるシステムの追加検証およびストレステストを実施し、サイバー攻撃を防ぐより強化したセキュリティ対策を講じております。

EC業界におけるセキュリティ対策について

経済産業省主導の「クレジット取引セキュリティ対策協議会」(事務局は日本クレジット協会)は、2017年3月8日に公表した「クレジットカード取引におけるセキュリティ対策の強化に向けた実行計画-2017-」において、EC事業者に対して2018年3月までにカード情報の非保持化、もしくは「PCI DSS準拠」を求めていく方針を掲げた。

カード情報の漏えいの頻度が高い非対面(EC)加盟店については原則として非保持化(保持する場合はPCI DSS準拠)を推進。EC加盟店におけるカード情報の非保持化を推進するため、PCI DSS準拠済みのPSP(決済代行会社)が提供するカード情報の非通過型(「リダイレクト(リンク)型」または「JavaScriptを使用した非通過型」)の決済システムの導入を促進するとしている。

2018年6月1日に施行された「割賦販売法の一部を改正する法律(改正割賦販売法)」では、クレジットカードを取り扱うEC事業者などに対して、「クレジットカード情報の適切な管理」と「不正使用防止対策の実施」が義務付けられている。

また、独立行政法人情報処理推進機構では不正アクセス対策についての資料をまとめており、「安全なウェブサイトの作り方」などを閲覧することができる。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

「ネット書店に課税して欲しい」?? 本の購入場所はリアル書店が上位なんですが……【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

8 years ago

発言の一部分しかニュースになってないとはいえ、これは同意しにくいですよね。Amazonや楽天がリアル店舗を出たらどうするんでしょうか? 実際にAmazon Booksがアメリカで広がっていますからねぇ。

ネット全体に波及しないことを祈ります

「ネット書店課税」の要望が物議 「街の本屋支持者も敵に回す愚策」と批判殺到 ? | しらべぇ
https://sirabee.com/2018/07/13/20161709282/

リアル本屋の経営者から「ネット書店課税」創設の要望…。ネットとリアルの区別を図ってほしい | カミアプ
http://www.appps.jp/298438/

書籍の購入場所の上位は「街中の書店、オンライン書店、デパートなど商業施設の書店」 | MMD研究所
https://mmdlabo.jp/investigation/detail_1717.html

まとめると、

  • 自民党の「全国の書店経営者を支える議員連盟」で、書店経営者から「インターネット書店課税」創設の要望があがった
  • 「我々は固定資産税を払っている。区別を図ってほしい」と直訴
  • とはいえ、調査によると書籍の購入場所は「街中の書店」「デパートなど商業施設の書店」が上位

なんとコメントすればいいのか分からないニュースです。地域や規模の違いもあるでしょうが、正当な競争の結果なので、なぜこういう発想になるのか理解しづらいです。書店よりも大きな倉庫を持っているところもあるでしょうし、ネット書店だけに限らない話になってしまいますし、時代に逆行しているとかのレベルの話ではないですよね。詳細な議事録を見たいです。今後の動きに注目です。

オリンピックで売上が落ちるのはキツイ

東京五輪期間中は「ネット通販ひかえて」 前回はなかった混雑リスク、協力呼びかけ | ORICON NEWS
https://www.oricon.co.jp/article/496457/

【送料問題】通販・EC売上トップ300社の8割が無料サービスを継続、取りやめは一部 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/5608

まとめると、

  • 東京オリンピック期間中は、鉄道の輸送客が通勤ラッシュの時間帯に1割増、高速道路の混雑は現在の2倍になると予想
  • 「大会期間中は不要不急の注文は大会後にして欲しい」と、大手通販会社にも協力を依頼
  • 昨年の宅配危機以降も、多くの通販企業はこれまで通りに送料無料サービスを継続している

本当にお願いしたいところは、ネット通販がかなり物量を増やしています。個人の消費者行動なので、『クリックしないでください』とは言えないのですが、たとえば大会期間の前に必要なものを納めていただき、不要不急のものは大会後に注文していただくなど、みなさまにご協力いただければと思います」。現在、大手通販会社にも協力を依頼しているという

東京五輪期間中は「ネット通販ひかえて」 前回はなかった混雑リスク、協力呼びかけ

ネット通販で小売りをされている方はご存じだと思いますが、オリンピックやW杯などがあると売上が下がりがちですよね。現在の2倍の交通量となると話は別なので、モールなどの動きに合わせていきましょう。しかし、個人が控えた結果、ショップの売上が下がったときはどうするのでしょうか? ネット書店課税的な要望が出るのかも?

苦しいときこそ支えてくれた人たちに恩返しを

売上の3割を生み出す2.5%のコアなお客様。「好き」を育てるカゴメのコミュニティサイトとは? | Web担当者Forum
https://webtan.impress.co.jp/e/2018/07/09/29689

まとめると、

  • カゴメの売上の3割を支えるコアなお客様の離脱を防ぐために、会員制コミュニティサイトが生まれた
  • 会員数の拡大を追うことはせず「すでに接点のあるお客様」に対してアプローチをした
  • 家族や親しい知人にカゴメのことを熱く語ってくれる会員が多い

初めからむやみに会員数を増やさず(納得した経営陣も立派)深いコミュニケーションを心がけたこと、経験豊富な運営支援チームができ上がっていること、社内関連部門との連携が危機管理体制を含めてしっかりできていること。

会員数を増やすと退会者や休眠も増えていきますよね。まずは足元から固めていこうといくのは言うのは簡単でも、なかなか納得されないことも多いです。きちんとデータを分析し、KPIを決めて着実に運用しているのもポイントです。

EC全般

気温予測で家電や飲料の売上増に、気象庁と民間が実験 | BCN RETAIL
https://www.bcnretail.com/market/detail/20180710_74053.html

ビールが売れ始めるのは何度?気候と売り上げの関係を示すウェザーマーチャンダイジングとは | データのじかん
https://data.wingarc.com/temperature-and-beer-10204

猛暑や大雨など、今までのような気候ではなくなってきたので、このあたりのデータはよく見ておかないといけないです。

【テンプレ付き】レビューを放置すると売上ダウン?!楽天新機能「レビュー返信機能」で2種のお客さんをフォローしよう | コマースデザイン
https://www.commerce-design.net/blog-staff/180709-revuehenshin/

カスタマーサポートだという意識を忘れずに。

Amazonの新サービス「プライムワードローブ」に見る「お試し消費」の返品リスク対応 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/5591

「アメリカ人はすでに年間2,600億ドル相当の返品」。日本はこういったことがないのがありがたいです。

通販事業者が″今”取り組むべき「チャネルミックス」の手法とは!? | 通販通信
https://www.tsuhannews.jp/54367

紙の担当をWebにするなどの人を動かすことで、チャネルミックスができるようになるはず。

世界のEC市場は依然として拡大傾向、越境EC市場規模は2020年に1兆ドルに迫る | eコマースコンバージョンラボ
https://ecclab.empowershop.co.jp/archives/53423

世界の消費者意識調査2018 | PWC
https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/thoughtleadership/2018/assets/pdf/consumer-insights-survey.pdf

越境ECが避けられなくなってきたので、海外の動きも今から追っておきましょう。

今週の名言

ていねいに考え作られていないモノに潜む、「まぁ、これくらいでいいか、とりあえずCPAが上がれば」という気持ちは、驚くほどちゃんと相手に伝わります。

「いったんしゃがんで考える」アドテック関西(京都)で話したこと | えとじやブログ
http://blog.etojiya.com/archives/9869991.html

「まあいいか」と思ったことは、ほんの些細なことでも伝わってしまいます。「まあいいか」をなくすことでブランドイメージが良くなっていきますので、何度も何度も確認を。

森野 誠之

運営堂

運営堂代表。Web制作の営業など数社を経て2006年に独立後、名古屋を中心に地方のWeb運用を支援する業務に取り組む。現在はGoogleアナリティクスなどのアクセス解析を活用したサイト・広告改善支援を中心にWeb制作会社と提携し、分析から制作まで一貫してのサービスも開始。豊富な社会・業務経験と、独立系コンサルタントのポジションを活かしてWeb制作や広告にこだわらず、柔軟で客観的な改善提案を行っている。理系思考&辛口の姿勢とは裏腹に皿洗いを趣味にする二児のパパ。

森野 誠之

「Instagramで見つけた商品を購入したことがある」は45%、衝動買いの経験者は7割

8 years ago

EC支援などを手がけるマージェリックが実施した調査によると、Instagramを利用している15~35歳の女性の45.8%がInstagram上で見つけた商品を購入した経験を持っていた。

Instagram上で見つけた商品の購入経験について(マージェリック調査)

Instagram上で見つけた商品の購入経験

また、購入経験者の70.7%はInstagram上の投稿を見て「衝動買い」をした経験がある。

Instagram上の投稿を見て衝動買いした経験(マージェリック調査)

Instagram上の投稿を見て衝動買いした経験

Instagram上の投稿を見て購入したことがある、もしくは購入したい商品を選択式・複数回答で質問。その結果、上位は「洋服」(50.5%)、「アクセサリー」(42.3%)、「化粧品」(36.3%)、「靴」(29.4%)、「バッグ」(27.1%)だった。

Instagramの投稿を見て購入した・購入したい商品(マージェリック調査)

Instagramの投稿を見て購入した・購入したい商品

「ShopNow」の認知度は44%

Instagramの投稿写真からECサイトに移行するショッピング機能「ShopNow」の認知度や利用経験についても調査。「ShopNow」を「知っている」と答えた割合は44.5%だった。

Instagramのショッピング機能(ShopNow)の認知(マージェリック調査)

ショッピング機能(ShopNow)の認知

「ShopNow」を使ってみたいかという質問では、「すでに使ったことがある」は16.9%、「使ったことがないが今後使ってみたい」が47.5%、「使ったことがないし今後も使う予定がない」は35.6%となっている。

Instagramのショッピング機能(ShopNow)の利用意向(マージェリック調査)

ショッピング機能(ShopNow)の利用意向

調査概要

  • 調査対象:10代~35歳女性
  • 調査期間:2018年6月28日~7月3日
  • 調査方法:インターネットリサーチ
  • 有効回答数:441名

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

楽天・三木谷社長が語った「ワンデリバリー構想」「携帯キャリア事業の狙い」とは?【2018年夏の講演まとめ】 | 大手ECモールの業績&取り組み&戦略まとめ

8 years ago

楽天の三木谷浩史社長が独自の配送ネットワーク構想「ワンデリバリー」をぶち上げてから約半年。7月17日に開かれた「楽天EXPO2018」で、三木谷社長は「ワンデリバリー」構想、MNO(モバイルネットワークオペレーター)として参入する携帯キャリア事業、「One Payment」構想などを語った。4000人以上の出店者の前であかした構想や方針をまとめた。

2020年までに独自配送ネットワークを構築

2017年は配送ネットワークがパンクした。楽天の直販サービスも出荷制限をしなければならない状況に陥った。(配送については)出店者の皆さんと一緒に新しいことをやらなければ、店舗も楽天の将来もない。

2018年1月、こう危機感をあらわにし、楽天グループの新しい挑戦として三木谷社長がぶち上げた「ワンデリバリー」。7月17日の「楽天EXPO2018」で、三木谷社長は次のように配送問題の原因に言及した。

(物流問題で)配送を受け付けてもらえないケースが出てきたり、送料も上がっている。この根本的な原因はどこにあるのだろうか? 宅配便というCtoCという個人間取引の仕組みにBtoCの荷物を載っけているところに無理が生じてきた。

EC市場の急拡大で、不在再配達、配送量規制、送料値上げといった問題が顕在化――。三木谷社長は、「『ワンデリバリー』は新しいチャレンジだが、やりたいことというよりも、やらなければならない。そうしなければ将来は開けない」と意気込みを語る。

現在、「楽天市場」ではECプラットフォーム側が購買データ、配送キャリアが配送データを持つ構造となっている。販売側と配送側で情報が分断されており、三木谷社長はこうした構造が問題となっていると指摘。

楽天は、購買データに加え、配送データも管理することで商品の注文から配送までの仕組みを一気通貫で整備。受け取りの利便性向上、再配達削減、配送状況の可視化などの実現をめざす。

楽天のワンデリバリー構想
店舗、ユーザー、楽天の3者を有機的につなぎ、AI(人工知能)やビッグデータを使って効率化してくという

お買い物マラソン、楽天スーパーセールで購入した場合、人によっては一度に荷物を持ってきてほしいという人もいる。商品を(玄関などに)置いていってという人もいる。500円の文房具から10万円のハンドバッグまで同じように外注して配送していた。今後はそれらを一元管理していく。積極的な形で、物流、ラストワンマイルに参加することが“Make Sense”(道理にかなうの意味)だ。(三木谷社長)

「楽天EXPO2018」で公表された「ワンデリバリー」構想に関するイメージ動画

現在、楽天は関東に2か所(市川、相模原)、関西に1か所(川西)、商品の保管から出荷までを手がける物流サービス「楽天スーパーロジスティクス」の物流センターを構えている。日本GLPが開発する大型物流施設「GLP流山」の全フロア、「GLP枚方」の一部を貸借。2019年までの稼働をめざす。

新施設では、最先端のマテリアルハンドリングシステムを導入。人手不足が進む中、運営の大幅な効率化・省人化に取り組むとしている。

翌日配達サービス「あす楽」は全国90%以上をカバーし、土日祝日、365日出荷が可能になる2019年には稼働したい。(三木谷社長)

「楽天スーパーロジスティクス」の新設計画
「楽天スーパーロジスティクス」の新設計画

ちなみに、楽天は東京23区内で独自配送を実施中。楽天ブックス、「Rakuten Direct(楽天ダイレクト)」で運用しているという。「今後は店舗の皆さんの商品を届けていきたい。楽天は2020年をターゲットに全速力で展開していく」(三木谷社長)

楽天BOXを活用したピックアップ場所の多様化、置き配配送通知、自宅外受け取り日時・場所指定などを展開していく
楽天BOXを活用したピックアップ場所の多様化、置き配配送通知、自宅外受け取り日時・場所指定などを展開していく

ワンペイ構想、2018年末までに全店舗導入

楽天は2017年に決済サービスのブランドを「楽天ペイ」として統合。「楽天ペイ(実店舗決済)」「楽天ペイ(アプリ決済)」「楽天ペイ(オンライン決済)」といったサービスの提供を通じ、楽天IDによる他社サイトや実店舗での決済を実現。楽天IDの利用拡大を図っている。

「楽天市場」の決済を一括管理する構想が「One Payment」。「楽天ペイ(楽天市場決済)」によって、すべての店舗で利用できる決済手段を統一することで、支払いの一元化、入金サイクルの統一などが期待できるとした。

「One Payment」で実現できること
「One Payment」で実現できること

2018年末に向けて全店舗に導入する。店舗の皆さんにはご理解いただけているかなと思う。1店舗の抜けもなく実現していくことが全体の底上げになる。(三木谷社長)

チャット機能拡大

店舗スタッフと消費者がチャットできる機能で、2017年から試験的に運用を始めた「チャット機能」。これまで約100店舗が試験導入した。

導入店舗では、未利用者と比べて転換率が14.8ポイント向上、平均注文額は未利用者比135.5%流通効果は楽天の試算で0.41%増という。

楽天が公表したチャット機能の導入効果
チャット機能の導入効果

店舗スタッフがコンシェルジュ、これが楽天のコンセプト。商品について一番詳しいのは店舗である。だが、店舗側が(消費者からの)全質問に答えるのは大変。AI(人工知能)搭載のAI Chatbotを全店舗に導入していこうと思っている。(三木谷社長)

こう話した三木谷社長は、簡単な質問にはAIが回答する仕組みを整備。すでにトライアルでAIチャットボットの活用を始めているという。

AIチャットボットの進化にも言及した三木谷社長。「今後もキーボードで文字を叩き続けるのか? それともボイスが主流になっていくのか?」(三木谷社長)。三木谷社長は音声検索といった行動が増えると指摘し、ゴルフ場予約サービス「楽天GORA」で取り組んでいる「ボイスサーチ」に言及した。

「楽天GORA」のボイスサーチを利用してゴルフ場を予約すると、楽天トラベルでの宿泊、購入履歴に応じて楽天市場での商品購入提案といったレコメンドも行う事例を披露。そして、次のように話した。

ボイスサーチは楽天グループの全サービスが絡んでくる。ゴルフ場予約から楽天トラベル、楽天市場で買ったことがある商品の提案。このような形でAIチャットボットについても導入していく。(三木谷社長)

楽天が公表したボイスサーチの事例
ボイスサーチの事例

クロスボーダーECは拡大中

越境ECのシェアはますます大きくなるので、楽天グループも強化していく。楽天はJD.com、米国eBayなど、海外のさまざまなパートナーと連動、提携している。(三木谷社長)

楽天の越境ECは、JD.com、米国eBayなど、海外のさまざまなパートナーと連動、提携している
クロスボーダーECにおける連動・連携先

楽天のクロスボーダーは拡大傾向が続いており、2017年の流通総額は2012年と比べて8倍に拡大しているという。

楽天が公表したクロスボーダーEC流通総額と海外販売ランキング
クロスボーダーEC流通総額と海外販売ランキング

「楽天市場」などの取扱商品を対象とした海外向けの配送サービス「Rakuten Global Express(楽天グローバルエクスプレス、RGE)」を2017年にスタート。海外ユーザーにより便利な物流サービスを提供するとした。

言語の壁について三木谷社長は、「コミュニケーションも重要なので、チャットボットも自動翻訳によって多言語対応していく」としている。

O2Oを強化し店舗の集客施策に活用

現状のEC化率は5.79%。残りの95%を皆さんと一緒に取り込んでいきたい。日本の家計消費は245兆円もある。楽天はショッピング以外のオフラインマーケットも獲得し、出店者の皆さんの集客施策に活用する。そして、店舗を持っている皆さんには、集客支援などをしていく。

オフライン市場を取り巻く環境
オフライン市場を取り巻く環境

こう話した三木谷社長は、リアルでも使える楽天ペイ、キャッシュレス決済を推進しOtoOを拡大していく方針を説明。「ペイメント」「デリバリー」に加え、重要視しているのが位置情報だ。

(位置情報技術を開発するスタートアップである)米国のカーブサイドを買収した。AIなどを使って、消費者の位置情報から商品の到着時間を予測することができるのが特徴で、今後は荷物の到着予定時間などを正確に伝えていくことが重要になる。(三木谷社長)

楽天のOtoO戦略
楽天のOtoO戦略

携帯キャリア事業で「楽天市場」を底上げ

「楽天市場」の流通総額は、2018年3月時点で66.5%がモバイル経由。元旦(2018年1月1日)のモバイル流通総額では、訪問比率86.1%。流通総額比率76.7%がモバイル経由だった。今後、モバイル経由の比率は85%~90%になると思う。(三木谷社長)

「楽天市場」のモバイル経由流通総額
「楽天市場」のモバイル経由流通総額

このようにモバイル流通額に言及した三木谷氏は続けて、「楽天はMNO(モバイルネットワークオペレータ)として携帯キャリア事業へ挑戦する」と出店者に宣言。

現在、家計に占める通信料金の割合・負担が増えていることに触れ、「通信料金をリーズナブルに提供し、便利でいかに早く提供できるか、そして、携帯キャリアというモバイルの“根っこ”の部分を押さえて『楽天市場』の流通額を増やしていけるかが重要になる」と出店者に訴えた。

電話通信料と家計負担の推移
電話通信料と家計負担の推移

楽天グループは9700万人の会員にリッチなサービスを提供しており、ポイントプログラムは1兆ポイントを発行。ポイント対応店舗数は70万店舗を超えている。このモバイルエコシステムを生かし、ソフトバンク、KDDI、NTTドコモドコモではなく楽天がトップになる――そうした世界を作っていこうと思っている。

夢ではなく、現実にやってきた実績を考えれば、実現できる。さまざまな技術が入ってきているので圧倒的な技術力で勝負し、ナンバーワンキャリアになる。そして、日本の半分くらいは楽天モバイルを使っている世界を実現したい。(三木谷社長)

楽天はモバイルエコシステムを構築し、「楽天市場」への誘導などにつなげていく
楽天はモバイルエコシステムを構築し、「楽天市場」への誘導などにつなげていく

瀧川 正実

ネットショップ担当者フォーラム編集部 編集長

通販・ECに関する業界新聞の編集記者、EC支援会社で新規事業の立ち上げなどに携わり、現在に至る。EC業界に関わること約13年。日々勉強中。

瀧川 正実

高いファッションはECで買わない? ネット購入時の上限額1万円未満は7割強

8 years ago

ファーストリテイリング子会社のジーユーが実施したファッションの消費動向に関する消費者調査によると、オンラインストアでの1回あたりの購入金額の上限が1万円未満と答えたユーザーの割合は7割を超えた。

調査対象はジーユーのアプリユーザーで、回答者はすべて女性。

「オンラインストア(ECサイト)でファッションアイテムを購入する際に、 一回の買い物で使用してもよいと思う上限金額を教えてください」と質問した。

その結果、「1000円~3000未満」は11.0%、「3000円~5000未満」は26.9%、「5000円~1万円未満」は37.9%で、1万円以下を選んだ割合は合計75.8%だった。

上限金額が1万円以上の回答者の割合は、「1万円~3万円未満」が19.2%、「3万円~5万円未満」は1.1%、「5万円~10万円未満」は0.6%、「特に上限はない」は2.8%(選択式・単一回答、n=182)。

ECサイトでファッションアイテムを購入する際の上限金額(ジーユーの調査)

ECサイトでファッションアイテムを購入する際の上限金額

「ウェブルーミングの利用が多い」は54%

インターネットやソーシャルメディア、アプリなどで情報収集してから実店舗で購入する「ウェブルーミング」の傾向も調査した。

「衣服やファッション小物、アクセサリーなどのファッションアイテムについて、何で調べて/見て、どこで購入することが多いですか」と質問。これに対し、「インターネットやソーシャルメディア、アプリで調べ、実店舗で購入する 」と回答した割合は54.2%で過半数を超えた。

年代別で分析すると、20代が68.6%で最多。30代は55.4%、40代は50.2%、50代は46.3%。「実店舗で購入する」と回答したユーザーに理由を聞いたところ、「実物を見て購入したい」が86.3%で最多だった。 

インターネットやソーシャルメディア、アプリなどで情報収集してから実店舗で購入する「ウェブルーミング」の傾向

ウェブルーミングなどの傾向調査

オンラインで情報を収集する方法は、「ファッションブランド/企業のウェブサイト」が50.2%、「ファッションブランド/企業のモバ イルアプリ」が43.5%、「一般人の SNS」が27.5%で上位にランクインしている(選択式・複数回答、n=448)。

ファッション情報の収集方法(ジーユー調査)

決済手段はECならカード、実店舗では現金が最多

オンラインストアや実店舗でファッションアイテムを購入する際、主に使用する決済手段を質問した。

オンラインストアの上位は「クレジットカード」(74.6%)、「後払いサービス(コンビニ後払い、 ツケ払い、Paidyなど )」(35.5%)、「代引き」(26.8%)、「携帯キャリア系サービス」(8.7%)(選択式・複数回答、n=414)。

ECサイトでファッションアイテムを購入する際の決済方法

ECサイトでファッションアイテムを購入する際の決済方法

実店舗では「現金」(78.0%)と「クレジットカード」(56.3%)の比率が高い(選択式・複数回答、n=490)。

実店舗でファッションアイテムを購入する際の決済方法

実店舗でファッションアイテムを購入する際の決済方法

調査はジーユーのプロジェクト「リアルファッションラボ」が実施した。「リアルファッションラボ」はファッショントレンドの調査・研究を行い、消費者が発信している情報や実績に基づくデータを踏まえファッショントレンドに関する情報を定期的に発信している。 

調査概要

  • 調査期間:2018年5月23日~5月29日
  • 調査対象:ジーユーアプリ会員
  • 調査方法:オンラインでのアンケート調査 

 

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

検索キーワードから「ブーツ」を通年で売るための基礎知識。多様な消費者ニーズの存在を知ろう! | ヤフーの検索ニーズから学ぶ「トレンド研究所」

8 years ago

秋冬に活躍するイメージの強いブーツ。Yahoo!検索のデータを抽出したところ、実は年間を通してニーズがあることが見えてきました。また、ニーズが高いのは女性だけではありません。男性はもちろん、スポーツ、子供向けなど、さまざまな需要があります。今回は、「ブーツ」という検索キーワードに注目し、1年の傾向を見てみましょう。

男性と女性での検索キーワードの違い

まず、男性と女性でブーツに関する検索キーワードの違いを見てみましょう。

「ブーツ」と一緒に検索されるキーワード
「ブーツ」と一緒に検索されるキーワード(ヤフー調べ)

男性は、「スノーボード」「バイク」「サーフブーツ」など、スポーツに関するキーワードと一緒に「ブーツ」を検索する事が多いのが特徴。特定のブランド名のほか、「おすすめ」「手入れ」「選び方」といったキーワードと供に「ブーツ」を検索することも多いようです。

一方、女性は「レインブーツ」「レースアップブーツ」「ムートン」といったブーツの種類ごとの検索「袴」「着物」「キッズ」など、コーディネートを想定した複合検索が多いのが特徴です。 また、「いつまで」という検索も多く、時期を気にしている様子がわかります。

冬・春(1月、2月、3月)の検索ワード

次に、季節ごとの検索キーワードの違いを見てみましょう。

袴や着物と一緒にコーディネート

袴や着物と一緒にコーディネートされることが増えているブーツ
袴のレンタルショップ「LAKUSA」のリリースから画像を編集部が追加

女性は1~3月の終わりにかけて、「ブーツ」と一緒に「袴」「卒業式」「子供」「小学生」「着物」といったキーワードを検索しています。

また、「袴とブーツ」のコーディネートは日常的に使うものではないため、ネットに情報を求めている様子もうかがえます。なかでも、全体の印象に影響するブーツの「長さ」や、卒業式などフォーマルにふさわしい「色」を調べる検索数が多めです。

「袴 ブーツ」の検索数の推移
「袴 ブーツ」の検索数の推移(年間、ヤフー調べ)

スノーボードやスキーとの検索数が増加

1~2月は、男性を中心に「ブーツ スノーボード」の検索が増加します。一緒に検索されるキーワードは「おすすめ」「選び方」「履き方」などです。

同じ時期に「スキー」の検索数も増加しますが、ボリュームはスノーボードの方が3倍以上多い状態です。

ちなみに、「ブーツ バイク」も男性が多く検索するキーワード。こちらは、季節による検索数の増減が少ないのが特徴です。

「バイク ブーツ」の検索数の推移
「バイク ブーツ」の検索数の推移(年間、ヤフー調べ)

春(3月、4月、5月)にブーツを履くのはおかしい?

「ブーツ 春」というキーワードと一緒に「いつまで」「おかしい」「時期」といったワードが合わせで検索されています。春にブーツを履くことがおかしくないか気になる女性が多いようです。春にぴったりのブーツを提案したら、人気商品になるかもしれませんね

3月後半から5月には「収納」「100均」「アイデア」など収納方法、「手入れ」「汚れ」「カビの取り方」「しまう前」など、手入れに関するキーワードも検索が増える時期です。「ブーツ」に合わせて手入れ方法や収納方法もキーワード対策しておきたいですね。

夏(6月、7月、8月)にもブーツを履く?

6月になると、意外なことが。「ブーツ」は「夏」というキーワードと一緒に検索され始めているんです。

7月に検索数がピークとなりるのですが、暑さが本番を迎える頃に夏用のブーツやコーディネートを探していることがわかりますよね。ちなみに、検索している男女の割合はおよそ6:4です。

「ブーツ 夏」のキーワードは7月がピーク(画像提供:プチ・シャレット

レインブーツは梅雨の時期だけでなく、秋にも需要がある

数あるブーツの中で検索数が最も多いブーツは、「レインブーツ」です。日本列島が梅雨入りする5月末~6月末の検索ボリュームが多いのは想定内かと思います。が、しかし、秋雨の降る10月も、例年検索ボリュームが上昇するんです。ネット通販事業者さんはこの商機を逃さないようにしましょう。

「レインブーツ」の検索数の推移
「レインブーツ」の検索数の推移(ヤフー調べ)

秋・冬(9月、10月、11月、12月)、ブーツが最も多く検索される時期

8月の中旬から12月にかけて「秋」「トレンド」「コーデ」などのキーワードと一緒に検索されます1年間で10月下旬から11月が最も多く検索されますので、この時期の前には商品を露出。その年のトレンドや売れ筋の傾向を把握しながら販売施策を打つようにしましょう。

「ブーツ」の検索数の推移(年間、ヤフー調べ)

まとめ

今回は「ブーツ」に着目し、検索キーワードの男女別の特徴や、季節の傾向を探ってみました。ブーツに限らず、“ニーズは特定の季節だけ”と思い込んでいる商材ってありますよね。

切り口、視点を変えると、さまざまな消費者の需要が見えてきます。そして、SEM対策、モール内の販促、SNS対策などさまざまな打ち手を売っていきましょう。

商品や販促のタイミングなどの参考になれば幸いです。

西村 由梨子

Yahoo! JAPAN

西村 由梨子

メディアカンパニープラットフォーム統括本部
広告開発本部UIデザイン部

ITベンチャー企業、Web制作会社を経て、2006年にヤフー株式会社入社。グルメ、レシピ、占い、不動産などヤフーの様々なサービスに携わる。2度の出産を経て、社内のデータ部門に異動。社内アクセス解析ツールのデザインや、データの可視化を行う。

2016年11月よりマーケティング部門にて代理店向けツール、カンファレンス資料などのビジュアルデザインを担当。

西村 由梨子

売上1000億円めざすファッションECサイト「SHOPLIST」の戦略を張本貴雄社長に聞く | 通販新聞ダイジェスト

8 years ago

EC事業などを手がけるクルーズは3月14日に主力事業であるファッションECモールの「SHOPLIST(ショップリスト)」事業を会社分割して、100%子会社であるCROOZ SHOPLISTを新たに設立した。ファストファッションに特化して顧客開拓を図り、着実に成長曲線を描く同モールの今後の戦略について、新会社社長に就任した張本貴雄氏に話を聞いた。

中長期で売上高1000億円へ、「ユーザー評価」を露出に反映

――今回、子会社化したことでの変化やメリットとは。

「基本的には変わらないというのが正直なところ。ただ、クルーズグループのビジョンとして100人の経営者を生み出していくミッションがあるので、自身もグループの役員として全うしなくてはいけない。ショップリストの中長期ビジョンは『500万人のユニーク購入者×年間購入単価2万円』で、売り上げ1000億円を目指している。実際に500万人以上の訪問者は来ているので、そこで100%購入してもらえれば確実に達成できる」

ファッションECモールの「SHOPLIST(ショップリスト)」の売上高推移
売上高の推移(編集部がIR資料をキャプチャして追加)

――昨年からショップリスト内で行っていた新規事業のEC支援サービスも本格化していく。

「ショップリストのシステムをそのまま外部提供する新会社のCROOZ EC Partnersでは、他社のプロモーションから物流などすべてを支援している。自分たちが実際にサイトを運営していきたという強みがあり、また、これまで成長してきた中でフェーズごとに合わせたノウハウを提供することができる。この事業はこれからの柱になることが期待できる」

――ショップリストでスローガンとしていることとは。

立ち上げ当初から『世の中のインフラをつくる』ということをビジョンに掲げてきた。よく例えるのが『電車』で、決められた時間に来て乗れば確実に目的地に着けるが、そのことに対して人は特別な感謝などを抱かず当たり前に利用している。感謝を持たないということは日常的に使っていてそれが自身の生活の一部になっているということ。自分たちもそのような当たり前を作りたい」

――出店者向けのカンファレンスでは毎年キーワードを発表している。

「まず、17年のキーワードが『ユーザーギャップゼロ』だった。これは開設5年でかなりのブランド数と売上高を作ることができた。その一方で売り上げ先行型で来た分、『写真と印象が違う』『サイズが合わない』といったユーザーギャップが起きることも一部であった。ECはいくら新規をとっても、既存の積み上げがないと成長しない。リピートを得るためにギャップを埋める作業が必要だと感じ、17年度は整備の年と位置付けた

――具体的に取り組んだこととは。

「この1年間、様々な指標をもとにユーザー評価を緻密に計算して見える化し、商品の露出頻度などを変えていった。結果、17年度は第3四半期までで2回目転換率がある程度改善できたので、第4四半期では広告宣伝を復活してまた売り上げを伸ばすことができた」

クルーズの100%子会社で、ファストファッションECを手がけるCROOZ SHOPLISTの張本貴雄社長
張本貴雄社長

――ユーザー評価の仕組みとは。

「様々な細かい指標から成り立っているが、例えば配送遅延率、欠品率、レビュー、新商品の投入型数などがあり、それらの項目をもとにユーザー評価を算出している。出店者にはその評価内容を毎月提示しており、最優先で改善すべき課題が分かるようにしている。やはり出店者も改善すべき内容が分かれば改善してもらえる。仮に配送遅延が起きるようであれば、『全SKUを1ピースずつでも当社の倉庫に入れておいてもらうことで改善しましょう』という形で一緒に解決していく。そうしていくことでユーザーギャップが埋まり評価が上がっていく」

――ユーザー評価が上がることのメリットは。

顧客が商品検索した際にユーザーギャップのない商品から上位に表示される仕組みがある。また、ユーザー評価が高い出店者はメルマガのほかにサイト上で発信している『ブランドニュース』という枠で新商品情報や商品づくりの背景などをアピールすることもできる。ショップリストは広告があるモールではなく、露出の枠をお金では買えないので、(露出機会を増やすためには)質を高めていってくださいという方針。実際にユーザー評価が上がった店舗は売り上げが大きく変わっている」

――今期は「サーチ×ファインド×バイ」をキーワードとしている。

「現状25万型商品・130万SKUを展開しているが、今のECは画像で探す時代。『探しやすい体験を提供して好きな商品に最短で出会える』ということをテクノロジーで解決するということが今年のテーマ。AIを使った画像検索は7月頃から試験的に開始する予定。リアルで買い物している時に気に入った商品を撮影してその画像を使って(近い商品を)検索できるようなイメージ。

当然、「ユーザーギャップゼロ」も並行して進めていく。『サーチ×ファインド×バイ』はあくまでも手段であり、時代と共に変わっていくもの。この両輪を上手く回して行けるプラットフォームになりたい」

有店舗ブランド開拓進む、秋に倉庫新設で物流拡充

――中長期ビジョンの「年間購入単価2万円」に向けて、年4回のメガセールで1回当たり5000円という購入額を一つの目安としているが、そこへの展開としては。

「現状の年間購入額は約1万4000円。あとは1回5000円程度の買い物で2万円近くになる。5000円を年間購入者数160万人にかけるだけで80億円くらい変わる。ここが金脈となるところだが、そこに対して顧客に無理して買わせてしまうと絶対にLTVは続かない。

1000円の商品を年間12回買う人もいれば1回に2万円分買う人もいるなど様々なので、あまり『2万円』や『購入回数』をドライバーにはしていない。明確に取り組んでいるのは欲しい商品にすぐ出会えてギャップを生じさせないというところ。確かにメガセールをやっているが、『ガンガン売っていく』ということではなく、一つのお祭りとして新規にとって買いやすい環境をつくるという狙いがある」

CROOZ SHOPLISTの中長期事業方針
中長期事業方針(編集部がIR資料をキャプチャして追加)

――では一番重視しているKPIとは。

「購入単価ではなく、訪問者数とコンバージョンを見ている。訪問者数が500万人を超えていることは事実。この人たちが100%買ってくれるためにはどうするべきかということを一番に考えている」

――そのために今期取り組んでいくこととは。

「とにかく、リアル店舗を持つブランドの出店開拓を進めること。以前(2016年秋)にフォーエバー21さんに出店していただけたが、それは(他の出店者誘致において)大きなフックにもなった。直近で言えば、ワールドさんやストライプインターナショナルさんにも出店していただいたが、こうした大手アパレルに出ていただけると動き出す企業が出てくる。

今までショップリストはウェブブランドが集まるサイトと認識されており、リアルの会社にとって『数千億円の売り上げを持つアパレル企業がなぜ200億円規模のモールに出店するのか』ということを言われていた。しかし、実際にショップリストが成長しており、(アパレル企業の)EC化率が伸び悩む中で出店の判断をしてもらえるようになってきている。

また新たに出店が決まっているところもあり、今期はかなりの数のリアルブランドが拡充できる。これはSEOの観点からも非常に良く、また顧客にとっても普段から使い慣れているブランドがあることで安心感も持てる。リアルのブランドだけに限らず、1年間で純増100ブランドというイメージで行ければ。もちろん『ファストファッション』という領域は崩さないでいく」

――そのほかに強化すべきポイントは。

「やはり、買いやすさの部分。現状で130万SKUを扱っていて、約1万5000平方メートルの倉庫に約100万SKUを保管している。今年11月にはそこから車で10分程度の距離に約4万5000平方メートルの新しい倉庫を作る。旧倉庫もそのまま残すため、保管倉庫として使える。今後は保管スペースが何倍にもなって届くスピードも速くなるので、ユーザーギャップを埋めることができる

また、ブランドによってサイズの測り方も異なるので、自分たちの基準をしっかりと持って顧客に対して視覚的に分かってもらえるようにきっちりと整備していく。(オンライン試着サービスの)『バーチャサイズ』を導入したのもそうした理由からで、テクノロジーで担保している」

――集客面では、モールとも連動したウエブマガジン「LiSTA」を3月に創刊した。

「幻冬舎さんと組んで行っているが、これからは1年に1回、紙媒体を出すことも決まっており、この秋冬のタイミングで出す予定。雑誌社のコンテンツを作る力というものはやはりすごい。今後は全部自前やるというよりかは、それぞれの世界でのトップランカーと一緒に組んでやるという考え方になる」

――他のファッションモールで力を入れているPBへの興味は。

「中長期ビジョンの1000億円を達成するまでは全く考えていない。達成した時に、やるかやらないかを考えるだろう。やはり今の自分たちの規模ではPBを考える段階にないと思う。利益率も高いものなので良いとは思うが、今ではない。

また、PBとは企業にとってのプライベートブランドであって、顧客にとってのプライベートではない。顧客にとってのPBとは、別に企業がオリジナルで作ることではなくて、適正な価格帯やデザイン、サイズ感で、買って本当に良かったと思えるもの。そうした商品と出会える確率を上げることが自分たちプラットフォームの役割だと思う」

通販新聞

ユニクロがネット通販でAI+チャットボットの買い物サポート「UNIQLO IQ」を開始

8 years ago

ユニクロは7月11日、人工知能(AI)を活用したチャットボット「UNIQLO IQ」の運用を本格的に開始した。ユニクロのアプリ上で、チャットボットがユーザーの買い物をサポートする。

「UNIQLO IQ」はアプリの中で起動するAIコンシェルジュ。会話形式で商品情報や着こなしの検索、店舗の在庫確認、オンラインストアでの購入などをサポートする。よくある問い合わせへの対応や、必要に応じてカスタマーセンターのオペレーターへの接続も行う。

ユニクロがネット通販でAI+チャットボットの買い物サポート「UNIQLO IQ」を開始
商品のバーコードをスキャンすると、コーディネートの閲覧、在庫の確認もできる(画像は編集部がキャプチャ)

ユニクロは2017年9月から国内で「UNIQLO IQ」を試験的に運用。米国でも同様のサービスを展開している。

国内での試験運用中は「おすすめコーディネート」「トレンドキーワード」「カテゴリ検索」の機能を提供。7月11日からの本格展開に伴い、新たに6つの機能を追加した。

  1. 人気ランキング……48時間以内の売上ランキングを商品カテゴリごとに掲載
  2. シーンに合わせた着こなし提案……ユーザーが「旅行」や「バーベキュー」といった着用シーンを文字で入力すると、シーンに合わせた着こなしを提案
  3. 商品カテゴリに合わせた探し方……検索件数が多い「UT」「ジーンズ」「ギフト向け商品」の3つのカテゴリを、より簡単に詳しく検索できる「UTファインダー」「ジーンズファインダー」「ギフト選び」のボタンを追加
  4. 雑誌掲載情報の確認……1ヶ月以内に、日本の雑誌に掲載されたユニクロ商品を雑誌別に一覧で確認可能
  5. 今日のラッキーカラー……毎日、星座別のラッキーカラーに合わせたユニクロ商品を紹介
  6. 問い合わせ対応……オンラインストアの利用方法や配送方法など、よくある問い合わせに回答。カスタマーセンターのオペレーターによるライブチャットサポートにも接続
人工知能(AI)を活用したチャットボット「UNIQLO IQ」

6月15日からは、「Googleアシスタント」上で、ユニクロオンラインストアの利用方法や配送状況など、よくある問い合わせに対応している。音声とテキストの問い合わせに回答。カスタマーセンターのオペレーターによるライブチャットサポートにも接続する。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

プライムデー2018の特選セールは昨年2倍の品ぞろえ、Echo Dotがセール初登場

8 years ago

アマゾンジャパンは7月13日、7月16日(月)12時から36時間にわたり開催する年に一度のプライム会員向けセール「プライムデー 2018」を前に、本年度の目玉商品や新たな取り組みを紹介した。

アマゾンが扱うほぼすべてのカテゴリの商品をセール価格で購入できるプライムデーは年々規模を拡大。今年は、昨年から6時間延長し、特選タイムセール商品を2倍用意するほか、プライムデー限定商品や会員先行商品を取りそろえる。日本でもプライムデーは好調で、過去12か月間の国内プライム会員の伸びは、過去最大に上るという。

2017年プライムデーからの12か月間、国内のプライム会員数は過去最大の成長だったという

プライムデー定番のアマゾンのデバイスとしては、昨年人気のFire TV StickやKindleに加えて、スマートスピーカーのEcho Dotが初めて特選タイムセールに登場。また、アマゾンブランドの各商品も初めて販売する。プライムデー期間中は、中小規模事業者の販売数も伸びており、2017年には世界で4,000万点以上の商品が注文されたという。

今年は、日本の特産品を扱うアマゾンの「Nipponストア」でもフェアを行い、なかでも福島県と熊本県の特産品が多数登場するという。福島県は、2017年から県産品を直販しようとアマゾンと協力しており、昨年の売り上げ15億円と目標を大きく上回った。熊本県も、調味料・麺類・お菓子のほか、熊本地震を記録したKindle本などを提供してきた。プライムデーに参加することで、県産品を日本全国へ、さらに広めていく。

Nipponストアのフェアで販売予定の福島県と熊本県の特産品
応援に駆けつけた、右:福島県の鈴木正晃氏(副知事)とキビタン。左:熊本県の原山明博氏(熊本県商工観光労働部 観光経済交流局長)とくまモン
予約開始されたばかり人気ゲーム「ポケットモンスター Let's Go! ピカチュウ・イーブイ」もプライムデーに
東京と大阪で実施する体験イベントでは、プライムデー販売商品の一部を手に取ることができる(写真は東京・羽田空港)

さらに今年から、Amazon Payを導入する事業者が自社ECサイトを使って初めてプライムデーに参加。日本では5社が自社ECでプライムデー限定セールを実施する。

池田真也

ネットショップ担当者フォーラム編集部

家電量販店の法人通販から、Web担当者Forumの前身である『インターネットマガジン』(2006年5月号で休刊)の編集部へ。休刊までの半年ほど雑誌編集を経験し、Web坦の立ち上げを機にネットマーケティングにかかわりはじめ現在へ。編集兼Web担当者。2017年末からネットショップ担当者フォーラムと兼任。

池田真也

アマゾン、日本でもPBの販売を強化。アンファーとの共同企画製品を「プライムデー」に発売

8 years ago

アマゾンジャパンは7月11日、食品や飲料、日用品、ベビー用品といった消費財カテゴリーのプライベートブランド(PB)を拡充すると発表した。

食品や日用品などを扱うブランド「SOLIMO(ソリモ)」の新商品として、アンファーと共同開発した「SOLIMO スカルプD」を7月16日に発売する。消費財カテゴリーにおけるPB商品は60種類以上になるという。

アマゾンは消費財カテゴリーのPB展開を2016年に開始。食品・飲料のブランド「Happy Belly(ハッピーベリー)」、日用品ブランド「Presto!(プレスト)」、ベビー用品ブランド「Mama Bear(ママベアー)」のほか、「Amazonプライム」会員限定の食品ブランド「Wickedly Prime」がある。

アマゾンは消費財カテゴリーのPB展開を2016年に開始。食品・飲料のブランド「Happy Belly(ハッピーベリー)」、日用品ブランド「Presto!(プレスト)」、ベビー用品ブランド「Mama Bear(ママベアー)」のほか、「Amazonプライム」会員限定の食品ブランド「Wickedly Prime」がある

さまざまなPBを展開している(画像は編集部がキャプチャ)

2018年6月には、ベーシックな食品や日用品などを手頃な価格で販売する「SOLIMO」を発売。消費財カテゴリーにおけるPBのうち、「SOLIMO」のみメーカーとのダブルブランドとして展開している。

「SOLIMO スカルプD」シリーズの商品は「スカルプシャンプー」「スカルプパックコンディショナー」「スカルプトニック」の3品目。「SOLIMO」で展開している商品はこの他、「はごろもフーズ」と共同企画した「SOLIMOシーチキンLフレーク」や、「Schick(シック)」の親会社のエッジウェルパーソナルケアと共同開発したトリマー付きカミソリなどがある。

アマゾンはPBの販売を各国で強化している。米国ではファッションのPBを複数展開しているほか、2017年には家具のPBを発売。乾電池やPCアクセサリーなどを扱う「Amazonベーシック」は日本国内でも販売している。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

ZOZOスーツを着てみた/自社サイトでAmazonプライムデーを開催?!【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

8 years ago

竹内謙礼氏によるzozoスーツ着用レポートが人気を集めました。魅力的な着用画像が功を奏したのではないでしょうか。2位は「Amazonプライムデー」がアマゾン以外でも開催されるという情報。

  1. ZOZOスーツが届いても使っていない人「46%」の理由を探る(竹内謙礼調べ)

    やっと届いたZOZOSUITを使っていない人が多いらしい。その理由を考察してみる(連載第11回)

    2018/7/9
  2. アマゾンの「Amazonプライムデー」が自社ECサイトで初開催されるのは知ってますか?

    JTB、北海道日本ハムファイターズなど5社が参加、その参加条件は?

    2018/7/12
  3. 「ZOZO」がビジネススーツ参入、PB売上は200億円を計画(2019年3月期)

    体型採寸スーツ「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」で計測したデータを使い、顧客ごとにサイズをカスタマイズする

    2018/7/6
  4. EC関連サービスによる西日本豪雨の被災地支援まとめ[随時更新]

    EC関連企業が取り組んでいる各種ポイント、寄付、ふるさと納税といった被災地支援活動を紹介

    2018/7/10
  5. 「2018年春に賃上げした」は8割、理由は「雇用中の従業員の引き留めのため」が過半

    特に中小企業が人材流出を防ぐため賃上げを行っている。

    2018/7/9
  6. 【送料問題】通販・EC売上トップ300社の8割が無料サービスを継続、取りやめは一部

    2018年4月までに多くの企業が送料を改定し100~200円程度上げたところが多い。さらに7月に値上げを予定している通販企業も少なくない

    2018/7/9
  7. Amazonプライムデーの先行体験イベントが東京・大阪で開催、2メートルの巨大Amazonボックスが登場!

    プライムデー目玉商品の展示、Amazonのサービス紹介コーナーなどを実施

    2018/7/6
  8. Amazonや米大リーグも採用したECの価格戦略「ダイナミックプライシング」を用いるべき理由

    米大リーグやAmazonも導入するダイナミックプライシングが新たな価格戦略をもたらす

    2018/7/11
  9. Amazonの新サービス「プライムワードローブ」に見る「お試し消費」の返品リスク対応

    無料お試しサービスを提供するために、有効なソリューションを活用しましょう

    2018/7/12
  10. 「ネットショップの更新ってこんなに手間がかかるの?!」マーケティング担当が知っておきたいEC制作の基礎知識【ネッ担まとめ】

    ネットショップ担当者が読んでおくべき2018年7月2日〜8日のニュース

    2018/7/9

    ※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

    uchiya-m

    旧桃源郷(現Lifeit)をティーライフが買収。やっぱりEC業界はめまぐるしく変わる……

    8 years ago

    ティーライフは8月1日付で、EC専業のLifeit(ライフイット、旧桃源郷)を買収する。Lifeitの大株主で現社長の中川勝博氏から全株式を買い取る。買収額は非公開。7月12日に株式譲渡契約を締結した。

    ティーライフは健康茶、健康食品、化粧品などの通販・EC企業。中期経営計画で、M&Aによる企業規模の拡大や収益構造の多様化などを掲げている。ティーライフは株式取得の理由について次のように説明した。

    両社の経営資源や強みを相互活用することにより、相互の顧客に向けたサービスの提供及び取扱い商品の補完拡充が可能となります。加えて、当社情報システムなどのプラットフォームを共有化することにより、さらに効率的な運営が可能となり、互いにシナジー効果を追求することにより事業の拡大が図られ、結果として収益のアップが得られるものと考えております。

    ティーライフのECサイト

    ティーライフは東証1部上場のお茶通販の大手(画像は編集部がキャプチャ)

    オークションビジネスで名をはせた桃源郷

    Lifeitの旧社名は桃源郷。「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー」総合グランプリを獲得するなど、オークションビジネスで2000年代後半のEC業界をけん引したEC専業企業だ。

    会社の設立は2001年(当時は有限会社恵門コーポレーション)。デジタル家電、アウトドア商品、アクセサリーなど幅広い商材を扱い、「楽天オークション」を中心に「BtoC」型のオークションサービスを展開した。

    1円から入札できるオークションが人気を集め、2007年度の「楽天市場ショップ・オブ・ザ・イヤー」で総合1位も獲得。その時の総合2位は「Joshin web 家電とPCの大型専門店」。今ではモール系のアワードを総ナメしている上新電機を押さえての総合グランプリ獲得だった。

    「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー」総合グランプリを獲得

    楽天SOY受賞店の紹介サイト(画像はWayback Machineから編集部がキャプチャ)

    事業が軌道に乗っていた2008年(2008年6月期の売上高は27億円)、ショッピングモール事業なども手がけていたNECビッグローブ(当時、現ビッグローブ)の傘下に入る。NECビッグローブは、EC領域における新たな事業シナジー創出と双方の事業価値の拡大を図ることにより、5年間で新たに100億円の売り上げをめざすとしていた。

    ネットオークション形式のネット通販でのし上がり、成功店舗としての地位を築いた桃源郷だが、潮目が変わったのは2011年の東日本大震災。主戦場だった「楽天市場」のメルマガ配信のレギュレーション変更がECサイト運営を直撃した。

    従来は「無料・無制限」で配信できたメルマガ配信が、「週1回の配信のみ無料」に変更。それ以上のメルマガ配信は有料となったため、売上1億円を作るには5000万円の配信コストが必要になる状況に。主力のオークションビジネスの“終わりの始まり”だった。

    オークション時代の桃源郷のECサイト

    オークションが主力事業だった時代のECサイト

    その後、数年前からM&Aによる専門サイトの買収などを行っていた桃源郷は、専門サイトの立ち上げを加速。オークションビジネスからの脱却を急いだ。

    創業者からバトンタッチした2代目社長の下、大手が参入しないマーケットをターゲットに、30以上のECサイトを立ち上げた。なお、楽天は2016年に「楽天オークション」を終了。桃源郷は現在、オークションに関するECサイトは運営していない。

    経営面でも大きな変化が起きる。2014年にNECグループから独立したビッグローブは、2016年にオーネストへ桃源郷の株式を売却。その後、現社長の中川勝博氏が全株式を取得し、2018年4月に社名を桃源郷から現在のLifeitに変更した。

    Lifeitの2018年3月期業績は、売上高は12億8000万円、営業利益2600万円、経常利益2700万円、当期純利益は2600万円。オークション事業から撤退し、専門サイトの運営に移行してから7年。見事、V字回復を果たしていた。

    Lifeitはベビー用品、ガーデニング、登山などさまざまなECサイトを展開(画像は編集部がキャプチャ)

    目まぐるしく変わるEC業界、大手によるEC企業の買収が続く

    合従連衡――。利害に従って結びついたり離れたりすることを意味する言葉だが、最近のEC業界を表すキーワードでもある。

    桃源郷がEC業界をけん引した2000年代。同様に名をはせたのが「アンジェ」を運営するセレクチュアーだった。

    そのセレクチュアーは2014年、クックパッドに傘下入り。その後、クックパッドの事業方針の転換によって、2016年に京王百貨店に売却された。

    フィッシング・アウトドア用品EC企業のナチュラム・イーコマースなどを傘下に持つミネルヴァ・ホールディングス(当時)は2018年、M&Aでスクロールの子会社に。スクロールは2009年にブランド化粧品の大手EC「コスメランド」を運営するイノベートを買収。その後、通販・EC企業のM&Aを加速している。

    楽天はスタイライフ、爽快ドラッグ、ケンコーコムといった名だたる有力EC企業を買収。アスクルはチャームを子会社化。NTTドコモによるマガシーク買収など。オイシックスと大地を守る会は経営統合し、その後は競合のらでぃっしゅぼーやを買収した。

    また、家電EC大手のMOAは2018年3月、投資ファンドの完全子会社に。老舗の下着ECサイトである白鳩は、筆頭株主である小田急電鉄が約4割の株式を保有している。

    ここにあげた例はほんの一部。異業種や小売企業、通販企業によるEC企業のM&Aは増加している。本業との連動、EC強化、新規ビジネスの開発などを目的に、EC企業の買収、資本締結などの動きが今後も増えそていきそうだ。

    瀧川 正実

    ネットショップ担当者フォーラム編集部 編集長

    通販・ECに関する業界新聞の編集記者、EC支援会社で新規事業の立ち上げなどに携わり、現在に至る。EC業界に関わること約13年。日々勉強中。

    瀧川 正実

    「LOHACO」の売上は417億円、アスクルのBtoC事業のEC売上は507億円

    8 years ago

    アスクルが展開する一般消費者向け通販サイト「LOHACO」の2018年5月期における売上高は、前期比7.0%増の417億円だった。

    2017年2月に発生した倉庫火災の影響で中間期は減収だったものの、新設した物流センター「AVC日高」が2017年9月に全面稼働したことなどから売上高が回復。通期では増収を確保した。

    「BtoC事業」の売上高は同30.0%増の507億1400万円。ペット・ガーデニング用品を専門に扱うチャームを2017年5月に子会社化した影響で大幅増収となった。

    「LOHACO」の売上高、マーケットプレイス経由の取扱高、チャームの売上高を合算したした流通額は514億円。

    アスクルは「LOHACO」の成長を加速させるため、第4四半期(2018年3~5月期)に定番品の価格を変更。競合他社と比べて競争優位な価格設定を行った。また、「Yahoo!プレミアム会員」向けのポイント施策を実施して顧客を獲得している。

    定番品の在庫数を増やしたほか、メーカーと共同で差別化商品(暮らしになじむ商品など)を前期比約2倍に拡充。プライベートブランドの販売も強化し、収益性向上を図っている。

    これまでのアスクルの取り組み

    これまでのアスクルの取り組み(画像は編集部がIR資料をキャプチャ)

    2019年5月期、BtoC事業の売上計画は673億円 

    2019年5月期における「LOHACO」の売上高計画は、前期比31.3%増の548億円。2018年5月に「Yahoo!ショッピング」へ出店し販売チャネルを拡大。取扱商品数の拡大やシステム基盤の強化などに取り組んでいる。

    「LOHACO」は「Yahoo!ショッピング」へ出店し販売チャネルを拡大

    「Yahoo!ショッピング」への出店で新規顧客が増加(画像はIR資料をキャプチャ)

    BtoC事業のEC売上高は同32.9%増の673億円、営業損益は65億円(同88億円の赤字)を見込む。

    「LOHACO」の売上高、マーケットプレイス経由の取扱高、チャームの売上高を合算したした流通額は同34%増の692億円を計画。

    「LOHACO」の売上高、マーケットプレイス経由の取扱高、チャームの売上高を合算したした流通額

    マーケットプレイスの流通額は急成長(画像はIR資料をキャプチャ)

    営業損益の計画は67億円の赤字(2018年5月期は89億円の赤字)。物流改善や販促強化などへの投資フェーズが続いている。

    なお、BtoB事業を含めた連結売上高は3900億円の計画で同8.2%増を計画している。

    マーケットプレイス経由の取扱高(流通総額)

    マーケットプレイスの流通額は急成長(画像はIR資料をキャプチャ)

    渡部 和章

    ライトプロ株式会社 代表取締役

    渡部 和章(わたなべ・かずあき)

    新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

    趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

    渡部 和章

    ドンキが挑む「宅配ロッカー」「フリースペース」を使った新しい買い物体験とは?

    8 years ago

    ドンキホーテホールディングスは7月9日、一部店舗にフリースペースを設け、宅配ロッカーを設置する新たな取り組みを開始した。

    宅配業界で再配達の増加が社会問題化する中、宅配ロッカーを設置することで再配達削減に取り組む。また、フリースペースや宅配ロッカーの利用者の来店促進効果も見込んでいる。

    ドンキホーテホールディングスは一部店舗にフリースペースを設け、宅配ロッカーを設置する新たな取り組みを開始

    宅配ロッカーの設置イメージ

    「MEGAドン・キホーテ ラパーク成東店(千葉県山武市)」で試験運用を開始した。ソファや机などを配置したフリースペースを作り、宅配ロッカーを設置している。

    フリースペースは持ち込みによる飲食が可能。Wi-Fiも完備しており、仕事や学習のために利用することもできる。「1人の時間を大切にするお客様にフリースペースを提供することで、来店促進にもつながると考えている」(ドンキホーテホールディングス・広報室)と言う。

    ドン・キホーテはフリースペースも設けた

    フリースペースも設けた

    宅配ロッカーは、グローリーとセゾン情報システムズが提供するブロックチェーン技術を活用した製品。「ドン・キホーテ」の会員登録後、スマホなどで利用できる。

    フリースペースと宅配ロッカーの設置は、他店舗への展開も視野に入れている。

    「ドン・キホーテ」は独自の売り場作りを通じ、買い物自体を楽しむ「時間消費型店舗」というビジネスモデルを確立しているという。宅配ロッカーを備えたフリースペースを提供することで、宅配荷物の再配達問題の解決に取り組み、顧客の有効な時間消費をサポートするとしている。

    渡部 和章

    ライトプロ株式会社 代表取締役

    渡部 和章(わたなべ・かずあき)

    新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

    趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

    渡部 和章

    アマゾンの「Amazonプライムデー」が自社ECサイトで初開催されるのは知ってますか? | 大手ECモールの業績&取り組み&戦略まとめ

    8 years ago

    Amazonが開催するプライム会員向けセール「Amazon Prime Day(プライムデー)」が、初めて「Amazon.co.jp」以外の外部サイトでも開かれる。2017年は30時間で推定1.9億ドルの流通額をたたき出した「Amazon.co.jp」のトラフィック。2018年はその一部が自社ECサイトにも向かう。参加企業は? 参加条件は?

    「Amazon Pay」を導入している5つの自社ECサイトが参加

    今年のプライムデーには、「Amazon Pay」の日本の事業者5社が初めて参加し、「Amazon.co.jp」では手に入れることのできない特別商品・セール商品を提供します

    アマゾンジャパン合同会社が7月3日に発表したプレスリリースの後半には、自社ECサイトの参加がこうひっそり記載されている。

    参加しているのは、自社ECサイトで「Amazon.co.jp」のアカウント情報を使って配送先指定やクレジットカード決済などができる「Amazon Pay」を導入している自社ECサイト展開企業。

    アマゾンジャパンは、①「Amazon.co.jp」では扱っていない商品「Amazon Pay」を導入している企業プライム会員にお得な商品を提供できる――などの条件で、参加を5社にオファー。プライム会員を「Amazon.co.jp」から外部の自社ECサイトに誘導する初めての試みを行う。

    ネッ担編集部が連携している米国のEC専門誌『Internetretailer(インターネットリテイラー)』によると、2017年のプライムデーの流通額はグローバルで前年比60%増、推計約24億1000万ドルで、日本は1億9500万ドル。

    海外でのプライムデー売り上げ黄色:米国 15億6000万ドル黒:ドイツ 2億7500万ドルオレンジ:その他海外 2億1000万ドル青:日本 1億9500万ドル紺:イギリス 1億7000万ドル*アマゾンの年次報告に記載されている国ごとの売り上げを元に推計。出典はインターネットリテイラー社
    海外でのプライムデー売り上げ
    出典:インターネットリテイラー社

    参加する5社は「Amazon.co.jp」からのトラフィックが期待でき、自社ECサイトの認知向上、新規顧客の獲得などにつなげることができる。

    なお、「Amazon.co.jp」からの誘導場所などは調整中という。今回初となる試みが成功すれば、次回以降、「Amazon Pay」導入企業の参加が大幅に増える可能性もある。

    プライムデーに参加する「Amazon Pay」導入企業の5社は、JTB、北海道日本ハムファイターズ、ベビーシッター提供のキッズライン、家事宅配サービスのカジタク、複数航空会社の価格を比較検討できるスカイチケット。

    各社は自社ECサイト内に専用のLP(ランディングページ)を用意。プライム会員限定のプライムデー限定商品を用意している。

    プライムデー限定プランのJTB

    「Amazonプライムデー」に参加するJTB
    JTBは特別プランの国内旅行、海外旅行を用意

    JTBが販売するのは旅行プラン。目玉は、「1組限定!夢の休日プライベートジェットで行く世界遺産登録地 五島列島3日間」の旅で、価格は大人2人で1000万円。プライベートジェットを羽田空港からチャーターし、福江空港へ向かう旅行という。旅行期間は2泊3日。

    海外商品なども用意している。

    豪華観戦プランの北海道日本ハムファイターズ

    「Amazonプライムデー」に参加する北海道日本ハムファイターズ
    北海道日本ハムファイターズは体験型の商品を販売

    試合開始直前のマウンドから投じるファーストピッチ、北海道日本ハムファイターズのスポーツ・コミュニティ・オフィサー(SCO)の稲葉篤紀氏による野球講座、特別エリアからの観戦、スイートルーム宿泊などをセットにした商品を販売する(9月シルバーウィークの対象試合を提供)

    リムジンで、北海道内所定の地点から札幌ドーム、宿泊ホテルまで送迎する。各試合ペア1組限定で100万円。

    ベビーシッター提供のキッズライン

    「Amazonプライムデー」に参加するキッズライン
    キッズラインは新規会員登録ユーザーにポイントをプレゼント

    Amazonアカウントを使って新規会員登録したユーザーに対し、ベビーシッターサービスの初回面談やお試しに利用できるという最大5000円分のポイントをプレゼントするという。

    キッズラインが提供するのは24時間いつでもスマホで依頼できるベビーシッターサービス。保育士シッター、看護師シッター、主婦シッターなどを依頼できる。

    複数航空会社の価格を比較検討できるスカイチケット

    「Amazonプライムデー」に参加するスカイチケット
    スカイチケットは国内線航空券を2000円OFFで購入できるようにした

    複数航空会社の価格を比較検討できるスカイチケットで、プライム会員が「Amazon Pay」で注文すると、国内線航空券を2000円OFFで購入できる。

    家事宅配サービスのカジタク

    「Amazonプライムデー」に参加するカジタク
    カジタクは家事宅配サービスを10%オフで利用できるようにした

    エアコンクリーニング、レンジフードクリーニング、キッチンクリーニング、浴室クリーニング、浴室クリーニングを、プライム会員が「Amazon Pay」で注文すると、10%オフで提供する。

    瀧川 正実

    ネットショップ担当者フォーラム編集部 編集長

    通販・ECに関する業界新聞の編集記者、EC支援会社で新規事業の立ち上げなどに携わり、現在に至る。EC業界に関わること約13年。日々勉強中。

    瀧川 正実

    Amazonの新サービス「プライムワードローブ」に見る「お試し消費」の返品リスク対応 | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

    8 years ago

    Amazon(アマゾン)やStitch Fix(パーソナルスタイリストサービス)などの小売事業者が展開している、購入前にお試しできるサービスの人気が高くなっていますが、この購入前お試しサービスの影響で返品量は大幅に増えてしまいます。

    Amazonが始めた「Prime Wardrobe」とは?

    アマゾンは2017年、購入前にお試しできるサービスをスタートしました。支払いをしなくても商品を注文し、無料で試着できるサービスです。「Prime Wardrobe(プライムワードローブ)」と呼ばれるこのサービスは当初、招待制でしたが、現在はすべてのプライム会員が利用できます。

    アマゾンが開始した無料お試しサービスの「プライムワードローブ」(編集部が動画を追加)

    同様のサービスを提供しているTrunk ClubやStitch Fix(パーソナルスタイリストサービス)、Warby Parker(メガネブランド)、ASOS(英国ファッションブランド)などに対するアマゾンからの威嚇射撃と考える人もいますが、購入前の事前お試しサービスの増加で返品量が激増しているのは確実です。

    オンライン小売事業者にとって、返品は大きな課題の1つ。実物を見ないで購入してもらうからには、高い返品率を覚悟しなければいけません。最近、アメリカとイギリスで数百の小売事業者に聞き取り調査を行い、返品がもたらす影響についてレポートをまとめたところ、店舗を中心に展開するブランドの返品率が平均9%だったのに対し、中堅のオンラインブランドは返品率が30%にも登りました。

    小売事業者のマージンは、返品によって圧迫されます。現在、返品されていない70%の商品も、購入前お試しサービスによって返品される恐れがあります。

    また、アメリカとイギリスに住む何千もの消費者に意見を聞いたところ、購入前のお試しサービスの有無にかかわらず、25%の消費者が「返品を前提に複数の商品を購入したことがある」と答えました

    実際、そのような購入方法は当たり前になっているのかもしれません。18歳から24歳の消費者の実に50%が、返品前提で複数の商品を購入すると認めています。

    アマゾンやStitch Fixなどの企業は、購入前の事前お試しサービスの需要が高まっているため、EC利用者のニーズに合わせ合理化を進めています。

    購入前の事前お試しサービスの魅力

    消費者にとって、購入前の事前お試しサービスが魅力的なのは疑いようがありません。小売事業者にとっても、売り上げが伸び、イメージアップにつながるかもしれません。調査では、4分の3の消費者は購入前の事前お試しサービスがあれば、月平均で4アイテム多く注文すると答えました。

    プライム会員の3分の2がアマゾンワードローブを利用して衣類や靴を購入した経験があるそうです。アマゾンが購入前の事前お試しサービスを提供していることを考えると、プライム会員の大多数が試着後に購入という選択肢を利用していると考えるのが妥当でしょう。他の企業も、巨大企業アマゾンに追いつくためには、同様のサービスを始めることを検討せざるを得ません。

    >アマゾンが今後、購入前の事前お試しサービスをファッション以外にも広げる可能性が高いことに、小売ブランドは注目する必要があります。

    購入前の事前お試しサービスは、ヘアードライヤーや他の器具を製造しているCasper Mattresses and GhD社(寝具メーカー)も採用しており、今後は他の業界でも増えていくことになるでしょう。年代問わず、5分の1の消費者が購入前のお試しサービスがあれば、より多くの商品をオーダーすると答えています。

    2019年までに4分の1の小売事業者が何らかの「購入前の事前お試しサービス」を提供するようになる、と聞いても驚きはないでしょう。

    事前お試しサービスで返品が当たり前になる?

    購入前の事前お試しサービスの急速な増加に伴い、2019年にかけて返品コストは現在比3倍に膨れあがるると予想されます。

    アメリカ人はすでに年間2,600億ドル相当の返品を行っています。購入前の事前お試しサービスの影響で、返品量が現在比で3~4倍に増えると、返品金額は7,800億ドルまたはそれ以上に膨れ上がることになります。

    購入者の87%は購入前の事前お試しサービスを使って購入した商品のうち、月に最大7点まで返品すると回答しています。そのうち、85%は返品無料を期待しています。しっかりと対策を立てなければ、購入前お試しサービスが小売事業者のマージンに壊滅的な影響を与えかねません。

    心配なのは、小売事業者の多くが返品コスト対策の準備ができていないことです小売事業者の約3分の2が返品処理のための技術やソリューションを使っていません

    ASOS社のように、大企業と競争するために購入前の事前お試しサービスを展開しても、準備ができていないと不幸な結果に終わります。利益が無くなってしまうほど大量の返品が発生し、すでに危機的状況に陥っている企業も多くあります。

    購入前の事前お試しサービス活用のためのイノベーション

    購入前の事前お試しサービスは、利益が圧迫されるため、技術投資をしない限り、ほとんどの小売業者はうまくいきません。毎年、S&P 500(米国の株価指数)は各業界の返品率、マージンを発表しています。

    小売業界は最も利益が低い業界です。特にオンラインのみで展開している小売事業者に関しては、最終利益が0.5%~3.5%にまで低くなることもあります

    アマゾンのような大企業であればリスクを取ることができますが、返品管理の正しいシステムやソリューションを持っていない中小企業にとっては、それほど低いマージンを受け入れてまで購入前お試しサービスを行う意味はないでしょう。返品処理、輸送コスト、再梱包など、物流や経済的な負担が非常に大きな問題になることもあるはずです。

    しかし、購入前の事前お試しサービスが広まっていることを考えると、オンライン通販事業者は静観してはいられない状況であることがわかります。小売事業者にとって一番の課題は、利益を減らすことなくいかにサービスを使いこなすかです。

    Multichannel Merchant Outlookの調査によると、2018年時点で、オンラインで購入された商品の返品に対して返品料金を請求している小売事業者は46.7%で、2017年の39.1%から大きく増えています。

    返品に対して料金を請求するのも1つの選択肢ですが、無料返品を期待する消費者ニーズには応えられません。消費者を失望させないまま、購入前の事前お試しサービスを活用するには、正しいソリューションを探す必要があります。

    返品料金を請求するEC事業者は1年で約7ポイント増加(編注:MCM OUTLOOKの調査レポートを編集部がキャプチャし追加)
    https://www.internetalliance.my/wp-content/uploads/2018/03/MCM-Outlook-2018.pdf

    理想的には、1つのプラットフォームで、返品プロセスが一気通貫で確認できる効果的な在庫システムを実装する必要があります。このようなシステムがあれば、返品に関連したよりよい情報を収集することが可能です。

    たとえば、同じ商品が過去にも返品されているのか、さまざまな商品カテゴリのパフォーマンスがどうなっているかなどの情報が得られ、より正確な在庫予測に役立てることもできるのです。

    返品データを活用すれば、小売事業者は返品に早く対応できるようになり、利用者への返金も早くできるようになります。

    自動配送など、バックオフィスの自動化へ投資することによって、人的ミスを減らし、倉庫スタッフの労働力を手間のかかる返品処理から、再度商品を販売するための処理に集中させることもできるでしょう。

    購入前お試しサービスの課題に対応するためのシステムと技術を持つ組織は、競争力も維持でき、利用者のロイヤルティを高めることも可能です。一方、システムも技術もない組織は、大量の返品に利益が圧迫されていくことになるでしょう。

    Internet RETAILER

    世界最大級のネット通販業界の専門誌「Internet Retailer」は、雑誌のほか、Web媒体、メールマガジンなどを運営。Vertical Web Media社が運営を手がけている。

    Eコマースの戦略に関し、デイリーニュース、解説記事、研究記事、電子商取引におけるグローバルリーダーをランク付けする分析レポートなどを発行している。

    Internet RETAILER

    クックパッドが始めるネットスーパー事業のビジネスモデルは?

    8 years ago

    レシピ投稿サイトを運営するクックパッドは7月10日、生鮮食品のネットスーパーを都内の一部地域で行うと発表した。2018年夏に開始する。

    販売店が出店するプラットフォーム型のビジネスモデルで展開。精肉店や鮮魚店、パン屋など地域の店舗や農家の食材を販売する。

    ネットスーパーのサービス名は「クックパッドマート」。渋谷区と世田谷区、目黒区の一部でサービス提供を始める。対象地域は今後、都市圏を中心に順次拡大する予定。

    販売店、協力企業などをティザーサイトで募集開始

    「焼きたてパン」や「朝採れ野菜」といった食材を、販売店から集荷し当日配送するという。ユーザーは1品から送料無料で注文できる。

    「クックパッドマート」は自宅への配達は行わない。ユーザーは受取拠点に指定されている近隣の店舗や施設の中から、好きな場所を選んで商品を受け取る。

    肉店、鮮魚店、パン屋などの販売者のほか、農業や畜産業などで直販が可能な生産者の出店を想定している。初期費用や固定費は無料。

    クックパッドは7月10日にティザーサイトを公開し、サービス対象地域において、受取用の設備を設置可能なスペース(0.5平方メートル程度の面積)を持つ店舗や施設を募集している。

    クックパッドは食材のネットスーパー事業に進出

    ティザーサイトで協力企業も募集している

    生鮮食品の宅配・ネットスーパーは競争激化

    ネットスーパー事業の配送モデルは、店舗から顧客に配送する「店舗型」とネットスーパー専用倉庫から直送する「センター型」に分かれてきた。

    セブン&アイ・ホールディングスが手がける「イトーヨーカドー ネットスーパー」は「店舗型」。2018年2月期における売上高は前期比1.1%減の442億3400万円だった。

    「センター型」では、住友商事グループが2009年に「サミットネットスーパー」を開始したが、2014年にネットスーパー事業から撤退している。

    一方で、生鮮食品の宅配やネットスーパーは、都市部を中心に大手企業による参入が相次いでいる。Amazonは2017年4月に「Amazonフレッシュ」を開始。アスクルとセブン&アイ・ホールディングスは2017年11月、共同で「IY フレッシュ」を始めた。

    楽天と米ウォルマート傘下の西友は共同で、2018年度第3四半期(7-9月)をめどにネットスーパー事業「楽天西友ネットスーパー」の運営を開始する。

    渡部 和章

    ライトプロ株式会社 代表取締役

    渡部 和章(わたなべ・かずあき)

    新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

    趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

    渡部 和章

    ライブコマースの認知率は10~20代で3割超え、「商品を買った」は認知者の14%

    8 years ago

    リサーチ会社のマクロミルが7月6日に公表した消費者調査によると、ライブ配信動画を視聴しながらインターネット上で商品を購入する「ライブコマース」の認知率は15歳~20代で3割を超えた。実際に商品を購入した経験があるのは、認知者のうち14%だった。

    15歳から49歳の男女2万人に対し、「ライブ配信を視聴しながら買い物ができるインターネットサービス(アプリ)を知っているか」と質問した結果、「知っている」と答えた割合は29.7%、「知らない」は70.3%だった。

    若い世代別ほど認知率は高い。世代別の認知率は10代が40.0%、20代は36.7%、30代は29.9%、40代は21.5%。

    ライブコマースの認知状況(マクロミル調査)

    ライブコマースの認知状況について

    アンケートでは、ライブコマースサービスの例として「メルカリチャンネル」「SHOPROOM」「Live Shop!」「MimiTV」「PinQul」「BASEライブ」「me&stars」などを記載した。

    実際に購入したのは認知者の14%

    ライブコマースの認知者5941人に対し、ライブコマースの視聴経験と購入の経験を質問。視聴した上で商品を購入したことがあると答えたのは14%だった。視聴のみ経験があるのは、購入経験者を含めて41%。

    男女別では男性の方が購入経験者の割合が多い。男性は購入経験者が19.7%で、女性の7.3%と比べて2倍以上の開きがあった。

    ライブコマースの視聴状況と商品購入の経験について(マクロミル調査)

    ライブコマースの視聴状況と商品購入の経験について

    購入した商品1位は「服」

    ライブコマースで購入経験がある400人に対し、購入した商品を選択式・複数回答で質問した。ライブコマースで買った商品は「服」(66%)が1位。次いで「アクセサリー・時計」が37%、「家電」が30%、「書籍・雑誌・コミック」と「音楽CD・DVD・ブルーレイ」が同率27%だった。

    ライブコマースで購入した商品について(マクロミル調査)

    ライブコマースで購入した商品について

    調査概要

    • 調査主体:マクロミル
    • 調査方法:インターネットリサーチ
    • (1)全国2万人にきく、ライブコマース利用実態把握調査
      • 調査対象:全国15歳(高校生以上)~49歳の男女(マクロミルモニタ会員)
      • 割付方法:平成27年国勢調査による、性別×年代の人口動態割付/合計2万サンプル
      • 調査期間:2018年6月14日~6月15日
    • (2)ライブコマースユーザー400名にきく、利用状況調査
      • 調査対象:(1)の調査において、ライブコマースのライブ配信を視聴し、商品を購入したことがあると回答した人(マクロミルモニタ会員)
      • 割付方法:調査対象条件の出現率に基づき、性別×年代で割付/合計400サンプル
      • 調査期間:2018年6月15日6月16日

    渡部 和章

    ライトプロ株式会社 代表取締役

    渡部 和章(わたなべ・かずあき)

    新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

    趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

    渡部 和章

    一歩先を行く海外の最新オムニチャネル――メイシーズ、ターゲット、Farfetchの事例 | 海外eコマースに学ぶ最新のECトレンド Presented by ecbeing

    8 years ago

    米国小売業界のオムニチャネルは“次のステップ”に突入している――米国の小売業向け大規模カンファレンス「Shoptalk」に参加して感じたことです。レジ無しコンビニの「Amazon Go」は皆さん、周知の通りですよね。米国では今、大手小売企業を中心に、上質な顧客体験(CX)を提供するための“次のオムニチャネル”の試みが始まっています。「Shoptalk」で得た米国のオムニチャネルの今をお伝えします。

    「次のステージ」に進んだ米国のオムニチャネル3選

    今回、取り上げるのは、売上高2兆円超の米国最大の百貨店Maycy's(メイシーズ)、売上高7兆円を超えるアメリカ最大のディスカウントストアであるTarget(ターゲット)、2007年にイギリスのロンドンで設立され880以上のハイブランドをそろえる高級ブティックのオンライン専門ショップFarfetch(ファーフェッチ)です。

    「Shoptalk」の各セッションを聞いて感じたこと。それは、「オムニチャネルは次のステップに進んでいる」ということです。

    「モバイルチェックアウト」を推進する「メイシーズ

    メイシーズは2016年、今後100店舗の閉鎖を進め、デジタル投資に300億円を投じる方針を発表しました(参照記事はこちら)。

    メイシーズ
    デジタルの強化にかじを切ったメイシーズ

    そのメイシーズが巨額の投資で進めているオムニチャネル戦略の1つが、「Scan」「Pay」「Go」のステップで買い物ができるモバイルチェックアウトの推進。簡単に説明すると、「Amazon Go」に代表される“キャッシュレス”による買い物を進めているんです。

    ライン(レジ待ち)をスキップ! レジ待ちを忘れてしまう!
    「モバイルチェックアウト」で「ライン(レジ待ち)をスキップ! レジ待ちを忘れてしまう!」と、うたっています(画像はメイシーズのサイトからキャプチャ)

    メイシーズの「モバイルチェックアウト」を利用するには、消費者は専用のアプリをモバイル端末にダウンロードする必要があります。商品を探しながら商品バーコードをスキャンすると、アプリ内の買い物カゴに商品を入れることが可能。決済はアプリ上で行います。

    決済が終われば、サービスセンターの「モバイルチェックアウト」専用エクスプレスラインでスタッフにアプリの画面を提示して決済の確認をしてもらいます。その後、防犯タグをはずし買い物バッグにスタッフが商品を入れてくれます。そして、買い物は終了。

    POSでの決済はなし」「ほしいものはアプリで買い物カゴに入れる」「レジ待ちはなし」といった顧客体験を提供。ユーザーの利便性を可能な範囲で高めた買い物方法と言えます。

    メイシーズの「モバイルチェックアウト」の仕組み
    メイシーズの「モバイルチェックアウト」の仕組み
    出典元:https://www.macys.com/social/skip-the-line/

    ネット注文の受け取りを簡素化する「ターゲット

    ターゲット

    全米で1800店舗超を運営するターゲットは、カーブサイド・ピックアップ(Curbside Pickup)を展開しています。カーブサイド・ピックアップとは、店舗外の駐車場でネット注文の商品を車から降りることなく受け取ることができるサービスの総称です。

    広大な面積の米国では、実店舗で大量の商品を買い込んで家に帰るのが一般的な買い物習慣となっています。そう、買い物には車は必要不可欠。ターゲットが展開している「drive up(ドライブアップ)」は、顧客が事前にネット注文した商品を、駐車場で受け渡しができるようにするサービスになります。

    ターゲットのアプリで「ドライブアップ」対象商品を選択し、配送方法として「ドライブアップ」「受け取りたい店舗」を選択して決済。店舗側で準備が整うと、消費者にお知らせのメールか、アプリへプッシュ通知が届きます。指定した店舗の駐車場には、「ドライブアップ」と書かれた標識があるので、消費者はそこで車を駐車します。

    「ドライブアップ」利用時のアプリ画面のイメージ
    「ドライブアップ」利用時のアプリ画面のイメージ(画像はTargetのサイトからキャプチャ)

    恐らく駐車場に設置されたbeaconが購入者の来店を把握(位置情報を許可していない場合はアプリで「I’m here」と書かれたボタンを消費者が押す必要がある)すると推測でき、スタッフは事前に注文された商品を車に載せていきます。そして、アプリに表示されたバーコードをスタッフがスキャンすると、すべての注文が完了する仕組みとなっています。

    「I’m here」と書かれたボタンを押すと、現在の場所をターゲットに通知。会計はバーコードを見せてスキャンしてもらう
    「I'm here」と書かれたボタンを押すと、現在の場所をターゲットに通知。会計はバーコードを見せてスキャンしてもらう(画像はターゲットのサイトからキャプチャ)

    ちなみに、この「ドライブアップ」は2018年、全米の店舗で展開していく予定だそうです。

    「ドライブアップ」のバーコードをスタッフがスキャンして注文が完了する
    「ドライブアップ」のバーコードをスタッフがスキャンして注文が完了する

    消費者に配送キャリアを選ぶという選択肢を提供

    ターゲットは2017年、食料品などの即日配送プラットフォームアプリのShiptを買収し、ネットスーパー事業も展開しています。

    Shiptが展開しているアプリ「Shipt」は、主要小売業者と連携し、アプリを通じて食料品を当日配送するサービスのプラットフォーム。クラウドソーシングを採用した配送サービスを展開しているため、買い物代行サービスに近しいものがあります。クラウドソーシングに登録されている配達員の中から、お気に入りのスタッフを選択。その配達員が、注文された商品の配送を担います。

    配送は注文から1時間以内。月額料金14ドルもしくは年間99ドルで利用できます。日本企業は自前主義が多いのですが、米国では第三者と組んで業務を効率化しようという流れがあります。小売大手のWalmart(ウォルマート)もUberと提携し、食品配送の宅配サービスを展開しています。

    日本では配送キャリアを消費者が指定できるECサイトはそれほど多くはありません。今後、事業者が選ぶのではなく、お客さんが配送キャリアを選ぶというサービスが出てくるのではないかと思っています。

    「Shipt」は配達員も選べるという新しい概念を消費者に提供しています
    「Shipt」は配達員も選べるという新しい概念を消費者に提供しています(画像はShiptのサイトからキャプチャ)

    デジタルを活用したオフラインの来るべき姿を示した「Farfetch

    Farfetch
    「Farfetch」は実店舗のデジタル化を支援するシステムとして「Store of the Future」を発表しました

    全世界の1000以上のセレクトショップと連携し、自社で在庫を抱えずに注文が入ると提携ショップが直接商品を購入者に届けるアパレルのECプラットフォーム「Farfetch」。

    運営するファーフェッチは2017年、実店舗のデジタル化を支援するツール「Store of the Future」を発表しました。これは、オフラインの顧客データとオンラインの店舗データをつなぎ、店舗での顧客体験を最大化していくというコンセプトがあります。

    「Farfetch」は直訳すると「店舗の未来」。そう、「Store of the Future」を使った店舗体験を見ていくと、オムニチャネルの行く先が見えてくるのです。

    「Farfetch」アプリでQRコードを読み込んだ消費者が入店すると、店舗側には会員客が入店したことがアナウンスされます。つまり、店舗に入った段階で、どんなお客が来店したのかを認識することができるのです。そのため、スタッフはオンラインで蓄積した来店客の趣味嗜好などのデータを基に、丁寧な接客を行うことができるようになります。

    この顧客認識機能のほか、一部ではありますが、次のような機能があります。

    ・Connected Rail

    ハンガーにかかった洋服にはRFID(ICタグ)を搭載。ハンガーレールからハンガーが離れると、来店客(ハンガーを持った客)の「Farfetch」アプリにそのデータがリンクされ、自動的にその店舗でのウィッシュリストが作成されていきます。

    ・Interactive Hologram

    異なる素材やサイズ、色などをディスプレイ上で組み合わせていき、注文ができるカスタムシューズのサービスです。

    カスタムシューズを提供する端末
    カスタムシューズを提供する端末(「Store of the Future」ベータ版を公開した際の画像)

    ・Connected Mirror

    試着室にはタッチパネル式のミラーがあり、そこに映し出された商品を見ながら“仮想試着”を体験できます。もちろん利用者の興味、好みなどに応じて商品がレコメンド。映し出された商品をタップしていくだけで、お気に入りリストが次々と生成されていきます。また、そのミラーを通じて決済もできます。

    手前にあるのがミラー型の試着室
    手前にあるのがミラー型の試着室(「Store of the Future」ベータ版を公開した際の画像)

     

    店舗スタッフはデジタルのデータを基に洗練された接客ができると同時に、来店客にとってはスマートな買い物を体験することができます。こうした「Store of the Future」について、Farfetchは次のようなコメントを発しています。

    現在でも、実店舗での販売はセールスの93%を占めています。オンラインショッピングが今後も急成長したとしても、2025年の実店舗での販売は80%あたりを占めていると予測されます。 オンライン上で顧客が商品情報のデータを収集するように、店舗側もリテールにいらっしゃった顧客の情報を積極的に集める必要性があるのです。Store of the Futureは、店舗にてどのように顧客がショッピングを体験しているのか、何が起きているかを表面化することにより、より良いサービスを顧客に提供できることを可能にします。

    つまり、SOFとは、オフライン上のクッキーです。オムニチャンネルサービスを完全にし、最善のオンライン上での存在を維持しながら、インストアでのショッピング体験を最大限に提供することを可能にしたテクノロジーです。ファッション業界における次の革命といえば、テクノロジーを用い、実店舗がつながることです。ラグジュアリーリテール体験を、さらにきめ細かな顧客中心のサービスで行う。Farfetchは、ラグジュアリーとテクノロジーの双方をよく把握できる立場から、さらなるサービス向上のため、その必要性を理解し、適切なソリューションを提供していきます。

    ◇◇◇

    顧客情報や在庫を一元化させ、消費者のニーズに応えていくというコンセプトで始まったオムニチャネル。米国ではすでに一歩先を行っています。顧客情報や在庫の一元化は“当たり前”。蓄積、整備した顧客情報を使い、より買い物しやすい環境作りを進めています。蓄積、整備した顧客情報は最高の顧客体験を提供するためにどう使うべきか? 米国ではさまざまな試みがスタートしているのです。

    株式会社ecbeing

    株式会社ecbeing

    株式会社ecbeingは、ECサイト構築から運用支援までサポートする、中堅大手向けEC総合ソリューション企業です。

    ECサイト構築パッケージecbeingシステムは、おかげさまで10年連続NO.1のシェアを誇り、導入実績は1,100サイトを超えています。

    株式会社ecbeing

    Amazonや米大リーグも採用したECの価格戦略「ダイナミックプライシング」を用いるべき理由 | ECサイトの新価格戦略「ダイナミックプライシング」

    8 years ago

    みなさんは「商品の値付け」にどのようなイメージを持っていますか。慣習的なクリアランスセールでしょうか。それとも、競合店の価格をトレースするかのように毎日調査して価格を変更することでしょうか。

    テクノロジーの進化はこのような“退屈な業務”から解放してくれるかもしれません。それも人的コストの削減だけにとどまらず、プライシング業務の速度向上、勘や経験に頼らずデータドリブンの値付けができるとしたら、どう思いますか?

    これから紹介する「ダイナミックプライシング」は、日頃から値付け作業をしているショップにとっては業務最適化の近道になります。まだマーケティング戦略の一環としてプライシングに手を付けていないショップは、施策の幅が広がることでしょう。

    本連載はECショップにおける、売上向上や利益最大化のためのプライシングを紹介します。

    第1回は次の3点について理解しましょう。

    1. ダイナミックプライシングとは
    2. 値付けが最強のマーケティング
    3. ダイナミックプライシングの活用事例

    1. ダイナミックプライシングとは

    みなさん、「ダイナミックプライシング」という言葉はご存知でしょうか? 初めて聞く言葉かもしれませんが、日々生活しているとさまざまなシチュエーションで自然と体験しています。

    たとえば、スーパーで販売している野菜です。キャベツやほうれん草などの野菜は出荷可能量(供給)と商品者のニーズ(需要)で、価格が数倍に変わることが珍しくありません。供給量は、天災や気温などに左右されます(図1)。

    図1 需要と供給のバランスによって商品価格が変わる(画像:いらすとや)

    スーパーでは、日常的に商品の需要と供給のバランスに応じて動的に価格が変更されています。これと同じことを、ネットショップで実現するための仕組みがダイナミックプライシングです。

    ネットショップで例えると、取り扱っている商品に希少性があれば通常価格より数%値上げしても売れます。一方、商品が売れ残りそうな時は、通常価格より数%値下げして早めに売りさばくといいでしょう。

    2. 値付けが最強のマーケティング

    私がダイナミックプライシングに注目する理由は、価格が最も威力のあるマーケティング施策だと考えているからです。

    なぜなら、商品の価値は価格に反映され、その価格が「消費者の購買スイッチを押す」ことができて、初めて購入に至るからです。逆に納得できない価格であれば、消費者は買いません。

    みなさんは売り上げを伸ばすとき、どのようなマーケティング活動をしますか。伝統的なマーケティングフレームワークには、4つのP「製品」「流通」「広告」「価格」があります(図2)。

    図2 ECサイトにおけるマーケティング4Pの一例

    たとえば、性能が抜群に良いカバンを開発・生産しても、消費者が価値に納得しなければ購入してもらえません。たくさんの商品を仕入れても、安すぎては利益に直結しません。

    リスティング広告で多くのユーザーを集客しても、欲しいと思った価格でなければユーザーは買いません。

    製品をどうやって届けるかも重要です。競合と比べて品質や価格に差がなければ、配送時間が決め手になるでしょう。一方、品質と価格で勝っていれば、少しぐらい配送に時間がかかっても、買ってもらえる可能性が高くなるでしょう。

    こうして見ると、4Pのなかでも、価格が、消費者が最終的にモノを購入する時の意思決定に非常に大きな影響をもつ指標であることがわかります。

    さらにプライシングは、他の施策と比較して圧倒的短い時間で実施できます。商品開発は数年かかることもあります。モノの仕入れは早くても数日はかかります。値付けは書き換えるだけなら瞬時に反映できるのです(適正価格の算出は別として)。

    とはいえ、現実的にはECサイトに載せる価格だけではなく、受注システムの変更などバックエンド側の対応も必要です。ですが、ダイナミックプライシングをサポートするシステムを使えば、手作業では困難な動的な価格変更を実現できるのです。

    ダイナミックプライシングの活用事例

    商品やサービスの需給バランスに応じて価格を動的に変更するダイナミックプライシングは、主に海外で利用されていますが、国内でも実験的に取り入れている業界があります(図3)。

    図3 ダイナミックプライシングの事例
    事例価格決定要因
    Airbnb(ホテル)立地、シーズン、近隣イベント、競合価格、レビュー数、ブランドなど
    Amazon購買頻度、在庫など
    Uber(配車)混雑状況、運転手の評価、乗り場、行き先など
    コンビニ、スーパーの食材賞味期限、在庫量など
    プロ野球の観戦チケット開催日時、天候、対戦カード、順位、先発投手など

    たとえば、アメリカのメジャーリーグでは、観戦チケットの販売にダイナミックプライシングを利用しています。販売価格の決定要因には、開催日時や天候などがあります。首位攻防戦や人気がある投手が先発する試合ではチケット代が高騰しますが、雨天や平日、チームが不調の時は通常価格より安くなる傾向があります。

    また、アマゾンもダイナミックプライシングの分野で先行しています。

    2013年の時点でアマゾンは価格調整を1日に250万回以上行っていたといいます。そして、その年の売り上げは前年比27.2%の伸びを見せ、アメリカの大手小売業者ランキングのトップ10入りを果たしました。

    CARRY ME「IoT×人工知能で変わるプライシング~海外小売業界の価格戦略トレンドと課題」より

    値決めは経営に直結する

    ダイナミックプライシングの考えは、需給バランスに応じて価格を変動するというシンプルなものです。とはいえ、価格設定を運用型広告のように現場で回すには、さまざまな壁があります。

    前述のように、価格はどのマーケティング施策よりも強烈に消費者の頭に記憶されます。それだけに企業は値付けを慎重に行っています。

    京セラ創業者の稲盛和夫氏は、著書『稲盛和夫の実学―経営と会計』で次のように語っています。

    値決めはたんに売るため、注文を取るためという営業だけの問題ではなく、経営の死命を決する問題である。売り手にも買い手にも満足を与える値でなければならず、最終的には経営者が判断すべき、大変重要な仕事なのである。

    誤解を恐れずに言えば、値決めはもはや経営者だけの判断で行われるべきではないと思います。さまざまなデータが取得できるこの時代では、過去のデータから導いた予測と、企業が蓄積してきた値付けノウハウを掛け合わせた企業が、競合優位性を獲得できると確信しています。

    ダイナミックプライシングは、過去の値付けや現在の内部環境・外部環境を考慮して最適な価格を提示します。つまり、ダイナミックプライシングは企業の蓄積したノウハウと取得可能なビッグデータを掛け合わせたハイブリッドな価格戦略なのです。

    中村嘉孝

    株式会社日光企画

    CMO 取締役

    株式会社日光企画にて、ECサイトの運営を担当。社内新規事業としてダイナミックプライシング開発事業を立ち上げる。現在、プライシングツールのthrooughを運営している。

    1980年生まれ、兵庫県西宮市出身。2児の父。EC系ベンチャー企業のボードメンバー、Webマーケティング会社の執行役員、EC事業会社のSEO担当を得て、現職に至る。

    中村嘉孝
    確認済み
    43 分 35 秒 ago
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