ネットショップ担当者フォーラム

ABCマートが進めるオムニチャネル戦略とは

6 years 4ヶ月 ago

エービーシー・マート(ABCマート)が7月30日、EC×店舗の次世代ECによる新たな顧客体験の実現をめざすと発表した。

ABCマートの2019年2月期における単体売上高は1913億4700万円で、IR情報によるとEC売上の比率は「当社の売上規模のまだ5、6%の水準」。単純換算でEC売上の規模は約95億円から約114億円と見られる。

そんなABCマートが力を入れているのが、全国に展開している直営店舗を活用したオムニチャネル戦略。2019年2月期で980店舗以上の国内店舗を積極活用していくという。そのオムニチャネルを推進する戦略パートナーに選んだのがecbeing。今後どんな取り組みを行うのか。

パートナーのecbeingと「EC×店舗の総合的なサービスの向上」を図る

ecbeingは2010年以降、ABCマートのオフィシャルECサイト「ABC-MART.net」の構築・強化に参画。店舗向け直送システム「iChock」、販売スタッフ向け「s NAVI」などの実現に貢献してきた。今後は、ABCマートのオムニチャネル戦略全般に関わる企画、設計、構築、運営においてより広範囲に連携するという。

両社は場所・時間を問わずパーソナライズされた新たな顧客体験を提供するため、ネットと実店舗を融合したオムニチャネルサービスの提供。ABCマートの成長戦略の実現に向けECを中心としたWebの活用、ABCマート全体のビジネスを推進するとしている。

重点ポイントは「スマートフォンを中心にしたECの利便性向上」「EC×店舗による在庫有効活用と店舗受取サービスの拡充」「s NAVIによる接客サービスの向上」。EC×店舗の総合的なサービスの向上を図る。

推進する重点ポイントの内容とは

「スマートフォンを中心にしたECの利便性向上」に関しては、公式アプリを2018年3月に実施。1年後となる2019年3月にはリニューアルから約1年で350万DLに達した。

リニューアルでは、実店舗とオンラインストアで共通ポイントがたまる会員証機能などを実装。店頭で商品バーコードを読み取ると商品詳細を確認できる機能、店舗や商品を「お気に入り登録」できる機能なども追加している。

ABCマートのオムニチャネル戦略
リニューアル後の公式アプリでは、最新アイテムやセール情報、コーディネート、ライフスタイルといった情報発信も行う(画像はABCマートのECサイトから編集部がキャプチャ)

「EC×店舗による在庫有効活用と店舗受取サービスの拡充」に関しては、IR情報で次のように記載している。

まだ一部の店舗での対応となりますが、インターネット通販でご予約いただいた商品を店舗でご試着、ご購入いただくことが可能です。反対に、店舗におけるインターネット通販の在庫を活用した取り組みとして、ご来店いただいた店舗で欠品している商品を倉庫(又は在庫のある他の店舗)から直接発送するサービスも行っています。ただ単に品揃えをしてモノを売るだけではなく、付加価値(サービス)の提供と、いち早くお客様のニーズに対応していくことが、販売競争で優位性を獲得していく上で不可欠といえます。

ABCマートのオムニチャネル戦略
店頭にはないサイズの商品などをその場で注文でき、後日自宅に無料で届けるサービスが「iChock」

「s NAVIによる接客サービスの向上」とは何か? 商品の在庫情報を店舗スタッフが接客中に確認できるスマホアプリが「s NAVI」で、クラウド型のオムニチャネル戦略支援システムを使い、全店舗とEC、メーカーの在庫情報を共有している。

「店舗・ECの連動による顧客利便性の向上」「店舗・EC・メーカーの在庫情報の共有によるチャンスロスの極小化」「メーカーとの双方向連携による業務の効率化」を重視し、店舗とECの販売力の底上げや、店頭の品ぞろえと商品調達力の強化に注力しているという。

ecbeing、ABCマートのトップがコメント

オムニチャネルの戦略パートナーとしての提携に関し、エービーシー・マートとecbeingのトップがコメントを発した。

エービーシー・マート 代表取締役社長 野口実氏のコメント

昨今の急激なECの成長と実店舗との連携について、ecbeingとは様々な取り組みに挑戦して、また成果を上げてまいりました。今後のABCマートの発展においてオムニチャネル戦略が一層重要になる中で、ecbeingと手を携えて顧客サービスを磨き上げていきたいと思います。

ecbeing 代表取締役社長 林雅也氏のコメント

2020年に向け、5Gやキャッシュレスなどの社会基盤が急速に発展し、消費者行動もさらに変化するはずです。ABCマートにおいて、ECと店舗の連動は、iChockをはじめ早期から手がけられて大きな成果を上げられています。今後さらに、EC×店舗で最新テクノロジーを活用することで、パーソナライズされ利便性の高いオムニチャネルを展開し、消費者のライフスタイルに大きな影響をあたえていくものと考えます。

瀧川 正実
瀧川 正実

24億円も海外向け通販で売る再春館製薬所の越境販売を推進する体制作りとは

6 years 4ヶ月 ago

化粧品通販を手がける再春館製薬所は7月26日、海外向け通販に携わる外国籍のスタッフが100人に達したと発表した。海外向けに販売している製品の製造と顧客対応の拠点は本社を置く熊本県内にある。成長している海外事業を強化するため、外国籍社員の雇用と教育に力を注いでいるという。

2011年に海外事業開始、2018年の売上高は24億円

再春館製薬所は基礎化粧品「ドモホルンリンクル」の海外展開を2011年に開始した。2011年に香港、2012年に台湾、2018年にはタイで通販を開始している。2018年度の海外事業の売上高は、前年度比6.6%増の24億3000万円。

台湾では「ドモホルンリンクル」の利用者が毎年120%のペースで増加し、5回以上購入しているリピート率は80%を超えたという。

再春館製薬所の海外事業の売上高推移
海外事業の売上高推移

製造、受注、顧客対応も熊本県内で

海外向けに販売する商品は、熊本県益城町内の自社工場で製造している。台湾やタイの発送拠点へ、こまめに輸送することで製品の長期保管を避けながら、注文の当日または翌日に商品を届けるという。香港や中国、他の国へは自社工場から直送している。

海外からの電話やWebによる問い合わせは、熊本県内の本社コールセンターで対応。顧客対応を行うのは台湾、タイ、中国、香港出身の正社員。「お客様プリーザー」と呼ばれる顧客対応のスタッフは約60人、現場管理や社員教育を行うトレーナーは7人いる。

再春館製薬所の海外事業について
海外事業でも製販一体の体制を採用している

外国籍の社員向けに寮を完備しているほか、昼寝のための「ジップルーム」も設置。帰国支援や社員の家族を会社見学へ招待するなど、外国籍の社員が働きやすい環境整備に取り組んでいるという。

再春館製薬所の海外事業について
各国の習慣を尊重した外国籍社員のサポート体制を整備している
渡部 和章
渡部 和章

ECプラットフォームで取引される広告取引額は1123億円(2018年)で20.6%増

6 years 4ヶ月 ago

電通グループ3社は7月29日、日本で初となる「物販系ECプラットフォーム広告費」の推計を発表した。それによると、2018年の「物販系ECプラットフォーム広告費」は前年比20.6%増の1123億円に達し、2019年には同28.3%増の1441億円まで成長する見通しであることがわかった。

調査を行ったのは電通、D2C、サイバー・コミュニケーションズの3社。調査の結果、大手を中心にECプラットフォーマーの積極的な広告展開が確認された。

2018年実績の伸び率は、インターネット広告媒体費全体(1兆4480億円)の伸長率(前年比18.6%増)を上回っており、2019年の予想においてもインターネット広告媒体費全体(1兆6781億円)の伸長率(同15.9%増)を大きく上回る成長が期待されているという。

電通グループ3社が調査した「物販系ECプラットフォーム広告費」の推計
「物販系ECプラットフォーム広告費」の推移

経済産業省の報告書によると、2018年の国内BtoC-EC(消費者向け電子商取引)の市場規模は前年比9.0%増の約18兆円。そのうち物販系分野は同8.1%増の約9.3兆円、サービス系分野は同11.6%増の約6.6兆円、デジタル系分野は同4.6%増の約2兆円となっている。

今回の調査では、BtoC-EC市場で最も規模が大きい物販系分野のECプラットフォーム広告費に特化し、そのプラットフォーム上で取引される広告の年間取引額を推計した。

「平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」分野別のEC市場規模
BtoC-EC市場各分野の市場規模と構成比率(画像は経産省の資料から編集部がキャプチャ)

物販系分野では広告出稿が飛躍的に伸びており、調査対象が多岐にわたるサービス系分野よりも精度のある推計が行いやすいと判断したためだ。

ちなみに、楽天の2018年12月期の広告売上高は約963億円(前年同期比14.2%増)。出店者や外部のナショナルブランドなどの広告売り上げ、楽天トラベルなどの取引額も含まれている。

調査概要

  • 調査機関:ビデオリサーチ
  • 調査時期:2019年6月
  • 調査対象・方法:以下の調査に基づき、推計作業を実施
    • 「日本の広告費」の関連調査として、ECプラットフォーマーを中心とした事業者各社に、郵送によるアンケート調査を実施
    • 各事業者に追加のヒヤリング調査を実施
    • 電通グループ保有の各種データと組み合わせて分析し、推計
石居 岳
石居 岳

ヴィレヴァンのEC事業は売上8.6億円、店舗イベントとオンライン販売の連携を強化

6 years 4ヶ月 ago

ヴィレッジヴァンガードコーポレーションの100%子会社で、ネット通販事業などを手がけるVillage Vanguard Webbedの2019年5月期における売上高は、前期比3.4%増の8億6600万円だった。連結売上高に占める割合は2.6%。

売上高の計画比は67.8%にとどまった。公式通販サイトの売上高(受注金額ベース)は、2018年6月度が前年同月比約80%だったほか、2019年3月以降も前年同月を下回った。

当期は店頭在庫をオンラインで販売する取り組みに加え、店舗のイベントとECの連動に注力した。店舗のイベントでは、声優の小林愛香さんのポップアップストアや、「百合店」などが盛況だったという。

ヴィレッジヴァンガードコーポレーションの100%子会社で、ネット通販事業などを手がけるVillage Vanguard Webbedの2019年5月期における売上高は、前期比3.4%増の8億6600万円
Village Vanguard Webbedの業績(画像はヴィレッジバンガードの決算説明会資料からキャプチャ)

公式通販サイト「ヴィレッジヴァンガードオンライン」はカバンや雑貨、書籍、CD・DVD、食品、化粧品などを販売。アーティストグッズやクリエイターのハンドメイド雑貨なども取り扱っている。

Village Vanguard Webbedの2019年5月期における営業利益は900万円、当期純利益は700万円。

2020年5月期の売上高計画は前期比17.1%増の10億1400万円。店舗網とECの連動をさらに強化するとしている。

ヴィレッジヴァンガードコーポレーションは店舗網とECの連動をさらに強化する
店舗網とECの連動をさらに強化する(画像はヴィレッジバンガードの決算説明会資料からキャプチャ)
渡部 和章
渡部 和章

初めからKPIを設定するのはナンセンス。コメ兵 藤原さん流「施策の回し方」【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

6 years 4ヶ月 ago
ネッ担まとめ

新しい技術って使いたくなりますし、失敗したくないからいろいろ考えますが、まずは面白いかどうかからスタートするのは正解かなと思います。お客さんはそこで判断しますからね。

「技術で買わせる」はやってはいけない

「オムニチャネルの先駆者」が本当に考えていること、やっていること コメ兵 藤原義昭氏【前編】 | ORANGE POS
https://orange-operation.jp/posrejihikaku/feature/18690.html

「オムニチャネルの先駆者」が本当に考えていること、やっていること コメ兵 藤原義昭氏【後編】 | ORANGE POS
https://orange-operation.jp/posrejihikaku/feature/18704.html

まとめると、

  • 生活者にとって面倒臭くなくて、生活動線の中でできるということが重要
  • こちら側から「こうあるべきだ」みたいなのを押し付けるのは、あまりいい世界観ではない
  • 初めからKPIを設定するのはナンセンス。「お客様が喜ぶよ」とか「こんなことがあれば面白いんじゃない?」から始めた方が世の中のためになる

結局お客様のインサイトが重要なので、世の中が求めていること、一人の生活者が求めていることを解決するというのが、みなさんスタート地点になっていますね。単純にアテンションが取れるからこんな施策をやりましたというのは続かないでしょうし、再現性もないですから。でも、逆説的ですが、施策って始めるときは「面白いじゃん」でいいと思うんですよ。考えすぎてやらないよりは、まずやってみて、そこでちゃんとマッチするかどうかの数を増やせるかとスピード感が大事です。
─コメ兵 マーケティング統括部長 藤原義昭氏

このあたりの発想は面白いですよね~。楽観的に考えて理屈で行動する。お客さんを中心に考えると自然な流れです。テクノロジーはどんどん進化していますが、それに振り回されずに商売を考えていきましょう。紹介した以外にも名言というか目からウロコの言葉が多く必読です。

ゼロイチで判断せずに経過を楽しむと上手くいく

インタビュー「ネット広告施策は小さくスタート。KPIを定めて小さな成功を喜ぼう。」株式会社PROPO 中尾豊氏 | SBW
https://sbw.jp/article/2019/07/interview-nakao.html

まとめると、

  • 「こんな広告でこんな施策をやってみよう」くらいの気持ちで少額からスタートするのが良い。重要なのは小さく始めて結果をしっかり見ること
  • 売れるまでのステップで細かなKPIを設定し、ちょっとの伸びを喜べることが大事
  • 外部に依頼するときは自社とのマッチングが大切。セミナー実績や著作の有無、公共機関からのお墨付きで決めてはいけない

ペルソナだなんだといって、こねくり回してリリースが遅くなるんだったら早くスタートしたほうがいいと思います。小さな施策を同時進行で複数行って結果を見る。企業の中にこの「ちっちゃくはじめる」という文化が根付くことが大事だと思います。
─PROPO 代表 中尾 豊氏

上の藤原さんとまったく同じことをおっしゃっていますよね。つまり、「ウダウダ考えるよりもお客様のためになることを楽しく考えて、そこから数字を取って合わせていく」ということ。規模の大小にかかわらずこれが答えです。答えが出ていることを悩んでも仕方がないので、まずは動くことから。

日用品がないと○○Pay競争に勝てない?

ヤフーとプラスがアスクル社長の再任反対の議決権行使、アスクルは「大変遺憾」 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/6677

ユーザー数900万、加盟店70万を突破 PayPayが放つ次の一手とは? | ITmedia Mobile
https://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1907/20/news020.html

まとめると、

  • ヤフーは7月24日、子会社のアスクルが8月2日に開催を予定している定時株主総会の取締役選任議案において、岩田彰一郎代表取締役社長の再任に反対する議決権を行使した
  • アスクルの第2位株主であるプラスも24日、岩田社長の再任に反対の議決権行使を行った
  • アスクルは「岩田社長のみならず、適正なガバナンスを維持するための機能を有する独立社外取締役に対してまで、当社が構築してきたガバナンスプロセスを否定し、両社が共同してこのような行使に及んだことについて大変遺憾」とコメントした。

加盟店開拓の方針として掲げるのは、「まず日常使いのお店を増やしていく」こと。最終的には「日本にある全ての小売りやサービス業にPayPayが入るようにしていきたい」と高い目標を掲げている一方で、優先したのが、利用頻度の高い店舗だ。コンビニエンスストアやドラッグストア、居酒屋など、日常生活で訪れる頻度の高い店舗が続々と対応しているのは、そのためだという。
ユーザー数900万、加盟店70万を突破 PayPayが放つ次の一手とは? | ITmedia Mobile

先週の続報です。これでほぼ決まったということでしょうか。関連記事にもあるようにPayPayでは日常使いのお店を増やしていきたいので、自然とこの流れになったということかもしれません。直接影響がある人は少ないと思いますが、どのサービスを使っていくのかは慎重に判断しないといけないですね。乗れる波の大きさが変わってきますので。

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北の達人コーポレーションの急拡大を支えるコールセンター業務の裏側 | ネットショップ担当者フォーラム
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解約は素早く。こうすることで戻ってきてくれる人も増えますよね。

顧客満足を向上させたらリピーターが増えるか? それは思い込みです。 | マーケティングコンサルタント藤村正宏ブログ
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良い感情を持ってもらって、その人にいいタイミングで情報をプッシュ。

Amazonプライムデー2019は過去最高の注文数、数百万人の会員が参加 | ネットショップ担当者フォーラム
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高額商品ではなく日用品が売れる。つまり、アスクルの記事も含めて日用品が主戦場ということですね。

投稿したコーディネートのEC販売額を見える化 アパレル販売員向けサービス | ASCII.jp
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評価されるかされないか。従業員の人はここがはっきりしないことはやりたくないですよね。

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https://ecnomikata.com/ecnews/23182/

根本的な解決策がない……わけではなさそうですね。

今週の名言

「需要予測やサプライチェーンは、十数年前にはやりとなったが次第に熱が冷めていった。しかし、地道にサプライチェーンを作ってきた会社が業績がよいと思っている」
─ワークマン 常務取締役 土屋哲雄氏

ワークマン、需要予測で前年比売上平均3%増。足掛け5年の「データ経営」を語る | Web担当者Forum
https://webtan.impress.co.jp/e/2019/07/26/33211

物流がネックになっている今のEC業界を見ていると、この言葉はグサッと来ますよね。サプライチェーンをAIに置き換えると……。

森野 誠之
森野 誠之

オムニチャネル強化中の島忠が公式アプリをリリース

6 years 4ヶ月 ago

ホームセンターの島忠は7月24日、無料公式スマホアプリ「島忠・ホームズアプリ」の提供を開始した。

家具・インテリアのECサイト「シマホネット」に直接アクセスでき、店舗で見た家具やインテリア商品をいつでもどこででも購入できるようにした。アプリの配信で顧客とのコミュニケーションを図り、オムニチャネルの強化につなげていく。

ホームセンターの島忠は7月24日、無料公式スマホアプリ「島忠・ホームズアプリ」の提供を開始
無料公式スマホアプリ「島忠・ホームズアプリ」

「島忠・ホームズアプリ」は、首都圏と関西を中心に60店舗を展開する島忠・ホームズでの買い物を、より便利、快適に楽しくするために開発した。よく利用する店舗をアプリに登録しておくと、登録店舗の買い得情報やイベント情報などが確認できる。

お気に入り店舗以外に、各店のチラシをアプリで閲覧することも可能。撮影した画像や、すでにライブラリに保存されている画像に、直接サイズなどをメモできる「サイズメモ機能」も付いている。部屋全体はもちろん、玄関や部屋の間口、収納スペース、窓のサイズなどを記録しておくと買い物の際に役立つという。

島忠は2018年10月、EC事業の強化を含む構造改革に着手。EC関連では、家具やホームファッション商品のEC・ネットマーケティングの体制を整備している。

SNSやメルマガ、オウンドメディアを通じて住まいに関するコンテンツを発信。コンテンツをきっかけに顧客接点を創出し「シマホネット」に送客している。

ECサイトと店舗の相互送客にも取り組んでいる。2019年7月には一部店舗で、店舗の商品タグにQRコードを貼り、スマホでECサイトの商品ページにアクセスできる仕組みを試験的に実施。店頭在庫の有無をオンラインで確認できる機能もECサイトに実装している。QRコードを活用して実店舗からECサイトに誘導する仕組みは、2020年8月から全店に導入する計画だ。

ECの強化を進める島忠のオムニチャネル施策、QRコードを使ったEC誘導施策を全店導入へ
店舗で気に入った商品のQRコードを読み込むとECサイトへアクセスし、自宅でも検討や購入できるシステム(画像は島忠が公表した「『中期経営計画2021』の進捗について」から編集部がキャプチャ)
石居 岳
石居 岳

ヤフーと三越伊勢丹がビッグデータとAIを活用してファッショアイテムを開発。検索ワードや知恵袋から悩みを抽出

6 years 4ヶ月 ago

ヤフーと三越伊勢丹は「Yahoo!検索」の検索キーワードや「Yahoo!知恵袋」の質問などのビッグデータを、深層学習や自然言語処理といったAI技術で解析し、三越伊勢丹のECブランド「arm in arm」のターゲットである子育て中の女性の服装に関するトレンドや悩みを抽出した。その結果、

  • 小柄な方のロングスカートへの関心が高い
  • 「着こなし」「自転車の利用」「抱っこひもとの合わせ方」「静電気」などに悩んでいる

というインサイトを得た。三越伊勢丹は得られたインサイトをもとに子育て中の女性との座談会を行い、仮説の検証を進めてロングスカートの開発をおこなった。

「arm in arm」のロングスカート 正面

開発したロングスカートは、自宅で洗える素材を採用し、抱っこひもと合わせやすいようポケットの高さを調整するなど、子育て中の女性の意見を盛り込んだ。また、小柄な方もバランス良く着用できるよう、ボタンの色や丈についても工夫した。商品は9月下旬より「arm in arm」のECサイトで発売予定。価格は未定。

「arm in arm」のロングスカート

本商品開発は、Yahoo! JAPANが10月より提供を開始する企業間ビッグデータ連携による事業者向けデータソリューションサービス「DATA FOREST(データフォレスト)」のサービス開始に向けた実証実験の一例。

本商品の反響を踏まえ、今後も両社はビッグデータを用いたアパレル商品の開発、ファッションとテクノロジーを掛け合わせた「ファッションテック」の推進に取り組む。

内山 美枝子
内山 美枝子

ネットショップ担当者フォーラムは5周年を迎えました。5年間のアクセス数 TOP50を発表します! | 週間人気記事ランキング

6 years 4ヶ月 ago

ネットショップ担当者フォーラムは、7月29日で5周年を迎えることができました。いつもネットショップ担当者フォーラムをご覧いただき、ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします!

今回は5周年を記念し、この5年でアクセスが多かった記事を50位までまとめてみました(ランキングにはプレ創刊期間中の記事を含みます)。この5年間のEC業界の出来事を振り返りつつ、「こんな出来事があったなぁ」などとお楽しみください。

編集長・瀧川より一言

瀧川
瀧川

ネットショップ担当者フォーラム編集部では、一緒にEC業界を盛り上げてくれる編集スタッフを募集しています。「ネッ担で働いてみたい」「EC業界で身につけた知見をネッ担で生かしてみたい」「EC業界向けメディアで働きたい」といったお考えの方、ご興味がある方は、こちらまで、お問い合わせください。

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    2016/12/26
  15. クロネコメール便廃止の代替新サービス「宅急便コンパクト」「ネコポス」を発表、ヤマト運輸

    小さな荷物を専用BOXで送る「宅急便コンパクト」は594円から、ポストに投かんする「ネコポス」の上限は378円
    2015/3/3
  16. 楽天が2位、Amazonは3位――ネットユーザーが選んだブランド力の高いWebサイト

    日経BPコンサルティングが実施した「Webブランド調査2017-春夏」の結果は?

    2017/6/28
  17. 年商2000億円超えが見えた“2代目”ジャパネットたかた、好調の理由は?

    2代目の髙田旭人氏が社長に就任した後、設置サービスなど“商品以外”の提供を強化、リピート増につながったという

    2018/1/16
  18. 「PayPay」がオンライン決済対応、ヤフーの「Yahoo!ショッピング」「LOHACO」などに順次導入へ

    2019年2月から、オンラインでは電子マネーで決済できるようにする

    2018/12/4
  19. ハンドメイドアプリ最大手「minne」で売り方とコツを聞いてきました!

    minne(ミンネ)で販売のコツを聞きました!(連載第17回)

    2016/10/26
  20. 日本郵便、ヤマト運輸、佐川急便の年末年始の配送対応&遅延可能性に関する情報まとめ

    日本郵便は年末年始の荷物の配送に1~2日程度の遅延が発生する可能性があると公表。ヤマト運輸と佐川急便はすでに、配送に関する運用を一部変更して対応している

    2018/12/14
  21. だから売れなかったのか! スイーツ通販サイトに欠かせない4つの要素

    3か月経っても発注ゼロ! 俺に何が足りないんだ!?(連載第2回)

    2015/6/15
  22. アリババのジャック・マー氏「20年後にはECがなくなる」。中国から見た「Amazon Go」

    アマゾンが始めた「Amazon Go」を中国EC業界はどう見ているのか? ジャック・マー氏の発言などから中国ECのこれからの変化を探ります

    2016/12/22
  23. 父がマグロ漁船で猫がしゃべって、私、ネットショップで毎月100万円も稼がなきゃだなんて!

    父が営むペットショップを手伝う香菜。平穏な日常に大事件発生!

    2014/7/31
  24. 破綻寸前からロコンドはなぜV字回復できたのか? どん底からはい上がった信念の経営

    5期連続赤字、資金難、破綻寸前……それでも2015年10月度に初の単月黒字を達成したロコンドの“ぶれない経営”とは

    2015/12/15
  25. 毎月ネットショップで100万円なんてやっぱムリ! だってうちの店、お客さんが来ないんだもん

    実店舗もネットショップもお客さんがさっぱり来ない。さて、どうする?!

    2014/8/28
  26. 楽天の新決済サービス「楽天ペイ」の詳細を徹底解説! 全出店者に2017/4導入の内容とは

    サービスの詳細について決済プロジェクトの統括責任者である皆川尚久氏から話を聞いた

    2016/10/6
  27. 【詳報】中国で始まった越境ECの新税収制度。増税? 減税? 日本企業への影響は?

    1度の購入金額上限を2000元までに引き上げる(現状は1000元)など中国向け越境ECで4/8から始まった新税制度を解説

    2016/3/30
  28. 賃貸でもOK! お部屋がもっと好きになる、はがせる壁紙を体験しました!

    輸入壁紙専門店「WALPA」(ワルパ)の壁紙は、女性でも簡単に張れました!(連載第12回)

    2015/8/7
  29. ネット通販TOP200社で国内EC市場の約42%を占める。合計EC売上高は約3兆円

    1位アマゾンは9300億円、2位ヨドバシカメラは790億円

    2016/12/21
  30. 【2016年】ネット通販市場は15.1兆円、EC化率は5.4%、スマホEC市場は2.5兆円

    経産省は「我が国におけるBtoC-EC市場はまだ飽和しておらず、伸びしろを残しているものと推測される」と指摘

    2017/4/25
  31. 50代〜60代の女性。消費行動の決め手は「上質」「有意義」「健康」「信頼」

    シニア通販をけん引する「こだわりの大人女性」。メインターゲットは50〜60代の女性
    2015/3/31
  32. ネットショップも合コンと同じなのよ! 満足できなきゃ途中で帰っちゃうものなのよ!

    集客数は伸びた! なのに1個も売れない! どうして!?(連載第3回)

    2014/9/25
  33. 5分でわかる中国の新越境EC制度。押さえておくべき重要ポイント【最新版】

    中国の越境ECの小売り輸入品に関する新制度は2018年から本格スタートとなる予定、その内容を解説

    2016/12/5
  34. Amazonが2018年「サイバーマンデー」で実施する主な販売施策まとめ

    動画クリエイターがYouTubeなどでタイムセール商品を紹介

    2018/12/6
  35. ニッセンの業績不振を招いた「価格訴求」。なぜお客は離れたのか?

    競合の増加、消費者の購入行動の多様化が、「低価格」を売りしていたニッセンの価格優位性を失わせた

    2016/8/9
  36. ネットショップ始めたけど「全っ然売れへんねん!」【オカンでもわかるWeb集客の基礎】

    オカンのネットショップ開店!「サイトを知ってもらうにはどうしたらいいの?」(連載第1回)

    2017/3/8
  37. ファミマで「ヤフオク!」の配送手続きができる。「ヤフネコ!パック」がコンビニ対応

    「ヤフネコ!パック」はヤマト運輸が一般向けに提示している正規価格よりも安価に利用できるのが特徴

    2016/3/9
  38. ヤフーの中の人が語る、Yahoo!ショッピング店の売り上げを伸ばす3つのポイント

    押さえるポイントは「売れる循環を作る」「無料企画などを積極活用」「検索結果の上位表示」
    2015/9/10
  39. 2014年度のEC売上高300社合計は約2.9兆円、ヨドバシは800億円で3位にランクイン

    2014年度EC売上高の1位は断トツのトップでアマゾン、2位は千趣会、3位はヨドバシカメラ

    2015/10/8
  40. 婦人服通販のドゥクラッセが迎えた転機、“ファッションブランド”へと舵を切る理由とは

    前期(2014年7月)連結業績は売上高が4%増にとどまったのに加え、利益面では創業以来初の赤字となったことが1つの要因
    2015/4/7
ネットショップ担当者フォーラム編集部
ネットショップ担当者フォーラム編集部

ロコンドが自社EC支援先のオムニチャネル化をサポートする「BOEM PAY」などスタート

6 years 4ヶ月 ago

靴とファッションのECサイトを運営するロコンドは7月25日、同社のプラットフォームを活用して他社のECサイトの開発や運営を支援する「BOEM事業」において、実店舗とECのポイントを連携する「オムニポイント」機能や、QRコード決済の「BOEM PAY」機能の提供を開始したと発表した。

「オムニポイント」と「BOEM PAY」はこれまで試験的に運用し、機能の改修を経て本格運用を開始したという。

「オムニポイント」は実店舗での購入と、支援先の自社ECサイト(BOEM)での購入において、共通のポイントがたまる機能。クライアントのオムニチャネル化をサポートする。

「BOEM PAY」は、スマホでQRコードやバーコードを表示し、店頭で読み取って決済する機能。会員マイページの一番下の「QR コード」を押すと、QRコードやバーコードが表示される。

靴とファッションのECサイトを運営するロコンドは、ロコンドのプラットフォームを活用して他社のECサイトの開発や運営を支援する「BOEM事業」において、実店舗とECのポイントを連携する「オムニポイント」機能や、QRコード決済の「BOEM PAY」機能の提供を開始
「オムニポイント」「BOEM PAY」の利用イメージ

「オムニポイント」と「BOEM PAY」は、「Misuzu & Co.」のVANITY BEAUTYの店舗(マルイ北千住店、マルイ錦糸町店)ですでに利用を開始しているという。uf.が運営するLauna leaの合計12店舗でも近日中に開始する予定。

渡部 和章
渡部 和章

「futureshop」が世界125か国への越境ECに対応、「WorldShopping BIZ」と連携で実現

6 years 4ヶ月 ago

SaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」のフューチャーショップは、越境EC支援のジグザグが開発・提供する越境ECサービス「WorldShopping BIZ」との連携をスタートした。

「futureshop」で構築したECサイトは、JavaScriptタグを1行追加するだけで「WorldShopping BIZ」を導入することができる。

SaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」のフューチャーショップは、越境EC支援のジグザグが開発・提供する越境ECサービス「WorldShopping BIZ」との連携をスタート
連携イメージ図

海外IPアドレスから商品ページにアクセスがあった場合、多言語対応の専用カートを自動表示。商品注文受付から決済(Alipay・銀聯・Paypal)、海外発送、カスタマーサポートをジグザグが一括対応する。EC事業者は手間をかけることなく世界125か国に向けた越境ECに対応できる。

購入手続き完了後、EC事業者はジグザグの国内倉庫に商品を送ると受注処理が完了。ジグザグが注文元に商品を発送する。

SaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」のフューチャーショップは、越境EC支援のジグザグが開発・提供する越境ECサービス「WorldShopping BIZ」との連携をスタート
サービスの流れ

「これまで欲しくても購入できなかった」といった海外ユーザーからの購入機会の増加、海外ニーズの把握、マーケティング調査といった活用も期待できるとしている。

フューチャーショップでは越境ECに特化したSaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop overseas」を提供している。導入企業は、英語、中国語(繁体字)それぞれの言語圏に合わせたサービスサイトの構築、海外発送やカスタマーサポートをEC事業者側で行う必要がある。

瀧川 正実
瀧川 正実

カジュアル衣料品のハニーズHD、EC売上は77%増の18億円。3年後に50億円をめざす

6 years 4ヶ月 ago

カジュアルな婦人服などの製造販売を手がけるハニーズホールディングスの2019年5月期におけるEC売上高は、前期比77%増の18億円だった。

EC化率は前の期の2.2%から3.7%に上昇。フルフィルメントの強化などに取り組み、3年後にEC売上高50億円、EC化率10%をめざす。

2020年5月期のEC売上高の計画は、前の期と比べて50%増の約27億円。EC市場の動向を踏まえ、自社サイトのユーザビリティを改善するほか、SNSや広告媒体などを活用して新規ユーザーを獲得する。

また、 自社物流センターの作業効率を高めるとともに、年間売上高50億円規模に対応できるピッキングや包装、配送などの体制も整える。

ハニーズホールディングスが展開するブランドは25~45歳をターゲットにした「グラシア」、10~50歳代をターゲットにした「シネマクラブ」、15~30歳をターゲットにした「コルザ」がある。

2019年5月期の国内売上高は、前期比4.5%増の486億2500万円だった。中国事業から撤退した影響で、連結売上高は同5.2%減の497億2800万円。

渡部 和章
渡部 和章

オリパラ2020「交通対策」テストで配送遅延の可能性/成長企業のコールセンター【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

6 years 4ヶ月 ago
  1. 東京2020オリンピック・パラリンピックの交通対策テストで集荷・配送遅延の可能性(7/26まで)、佐川急便と日本郵便が発表

    「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」などのECサイトでは、交通対策テストによる配送遅延が起きる可能性について告知している

    2019/7/23
  2. 北の達人コーポレーションの急拡大を支えるコールセンター業務の裏側

    北の達人コーポレーションの2019年2月期における売上高は前期比57.1%増の52億9200万円、営業利益が32.6%増の14億300万円。急拡大を支えるカスタマーサポート業務について解説

    2019/7/22
  3. 「LOHACO」を巡るアスクルとヤフーの対立、何が起きた? 岩田社長の会見などから見る関係悪化の背景と今後

    「Yahoo!ショッピング」出店者、「LOHACO(ロハコ)」に出店する事業者などEC業界が動向を見守っているヤフーとアスクルの対立が、日増しに激しくなっている

    2019/7/24
  4. 小売はエクスペリエンス企業になるべき――米国では何が起きている? IRCE&NIKE旗艦店などで見たEC最新トレンド

    IRCE2019@RetailX(シカゴ)、NIKEの旗艦店 & NYの新名所「Hudson Yards」視察記

    2019/7/24
  5. Amazonプライムデー2019は過去最高の注文数、数百万人の会員が参加

    売れ筋上位の商品カテゴリーは「消費財」「ホーム用品」「PC アクセサリー」「ヘアケア」「ベビーケア」

    2019/7/19
  6. 三越伊勢丹が靴売り場にデジタル活用――3D計測器で足を計測→店頭在庫などからレコメンド&3Dプリンターでカスタマイズシューズ

    計測した足のサイズに合わせ、約1000種類の商品の中から店頭とオンラインで商品を提案。専用アプリもリリースする

    2019/7/19
  7. ヤフーとプラスがアスクル社長の再任反対の議決権行使、アスクルは「大変遺憾」

    アスクルとプラスは、アスクルの社外取締役・社外監査役で構成する任意機関「独立役員会」の独立役員でもある戸田一雄氏、宮田秀明氏、斉藤惇氏の再任に反対する議決権行使も行った

    2019/7/25
  8. ヤフーが「Yahoo!ショッピング」に独自AIの類似画像検索機能を追加

    自社開発の独自AI技術を活用して、任意の画像に類似した見た目の商品を「Yahoo!ショッピング」内で検索できる類似画像検索機能を開発し、「Yahoo!ショッピング」「Yahooブラウザー」のアプリで提供を始めた

    2019/7/22
  9. ネットショップはAI時代に。AI採寸でアンケート回答率が10倍、顧客満足度が1.5倍に!【ネッ担まとめ】

    ネットショップ担当者が読んでおくべき、2019年7月15日〜21日のニュース

    2019/7/23
  10. 企業から個人への送金「LINE Pay かんたん送金サービス」、ECでの返金にも利用可能

    企業から個人への送金において、銀行口座への振込以外の手段を提供。交通費精算や経費精算、クラウドソーシングの報酬の支払い、ネット通販の返金といった用途を想定している

    2019/7/23

    ※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

    内山 美枝子

    AOKIのオムニチャネル強化策――店舗購入のみだったパーソナルオーダースーツのECをスタート

    6 years 4ヶ月 ago

    紳士服のAOKIは7月25日、店舗のみで対応していたパーソナルオーダースーツの販売をECでも受け付けると発表した。

    7月26日午後1時から、Webサイトのリニューアルを行い、自由に生地やオプションの選択・購入まで連動させた購買体験を提供する。オムニチャネル強化策の一環。

    AOKIメンバーズカード・アプリの会員顧客は、Webオーダー会員に登録すると、オーダースーツの記事やオプション選択情報を「お気に入り」にデータ保存できる。保存したデータは全国のAOKI店舗で呼び出すことができるため、AOKIスタイリスの丁寧な採寸・フィッティングを体感してオーダースーツを購入すること可能。

    サイト内にはビジネスやブライダルシーンなど、用途に合わせたスタイリングの訴求ページを新設。顧客が自身でベースとなるスタイルを選択して、生地やオプションを自由にカスタマイズ・シミュレーション表示する。

    秋冬生地の受注開始となる7月26日~9月30日の期間は「早得キャンペーン」を実施。メンズパーソナルスーツを10%割引で販売する。スーツの価格は3万8000~8万8000円(税別)。「早得キャンペーン」期間中は3万8000円のスーツが3万4200円(同)で販売する。オーダースーツの納品期間は店舗だと約3週間から、Webサイトの購入は約4週間からとなる。

    紳士服のAOKIは7月25日から、店舗のみで対応していたパーソナルオーダースーツの販売をECでも受け付ける
    リニューアルしたパーソナルオーダースーツのWebサイト

    アパレル業界で相次ぐオーダースーツEC

    アパレル業界ではECによるオーダースーツの対応が相次いでいる。

    三陽商会は6月27日、オーダースーツブランド「STORY & THE STUDY(ストーリー アンド ザ スタディー)」を9月に発売すると発表。3D解析技術などを活用し、顧客の体型に合わせて1mm単位でサイズを調整する。

    1着目を店舗で購入した際に、体型データをオンラインに登録すると、2着目以降はECサイトでも購入できる。同社がオーダースーツ事業を手がけるのは初めて。5年後の2023年度に売上高25億円を計画している。

    オンワード樫山は、カスタマイゼーションのニーズに対応するため、マス向けにオーダーメード製品を販売する「ファクトリー・トゥ・カスタマー(FtoC)」事業を加速させる。2022年2月期に同事業で年間15億円の売上高を計画している。

    「FtoC」事業では、オーダースーツの採寸から製造販売まで一気通貫で行う「KASHIYAMA the Smart Tallor(カシヤマ・ザ・スマートテイラー)」を拡大する計画だ。

    「KASHIYAMA the Smart Tallor」は全国約40店舗で採寸を行なっているほか、自宅などへの出張採寸も実施している。採寸の来店予約はオンラインでも受け付けている。顧客は身体のサイズを登録すると、2着目以降はオンラインストアからも注文できる。

    石居 岳
    石居 岳

    仏壇・仏具のECサイトでカード情報が漏えいか、セキュリティコードも流出した可能性

    6 years 4ヶ月 ago

    創価学会専門の仏壇・仏具を取り扱う金剛堂は7月23日、運営する「金剛堂オンラインストア」が外部から不正アクセスを受け、顧客のクレジットカード情報3万830件が流失した可能性があると発表した。

    流出した可能性があるクレジットカード情報は、カード名義人名、クレジットカード番号、有効期限、セキュリティコード。

    2019年2月21日、一部のクレジットカード会社から、「金剛堂オンラインストア」を利用した顧客のクレジットカード情報の流出懸念について連絡を受け、同日、「金剛堂オンラインストア」でのカード決済を停止した。

    第三者機関である「P.C.F.FRONTEO」(PCF社)に調査を依頼。PCF社の最終インシデント調査報告書によると、システムの一部脆弱(ぜいじゃく)性を狙った不正な改ざん(フォームジャッキング)が発見されたことから、顧客のクレジットカード情報が不正取得された可能性があることを確認した。

    調査結果から、流出した可能性があるのは、2014年12月31日から2019年2月21日までに「金剛堂オンラインストア」においてクレジットカード決済で注文した顧客が対象となることが判明した。

    「金剛堂オンラインストア」での電話注文および、「各金剛堂の実店舗」での購入に使ったクレジットカードについては、システムが異なるため流出していない。

    すでに、クレジットカード会社と連携し、流出した可能性のあるクレジットカードよる取引のモニタリングを継続して実施、不正利用の防止に努めている。なお、顧客がクレジットカードの差し替えを希望する場合、カード再発行手数料は顧客に負担をかけないよう、金剛堂からクレジットカード会社に依頼している。

    EC業界におけるセキュリティ対策について

    経済産業省主導の「クレジット取引セキュリティ対策協議会」(事務局は日本クレジット協会)は、2017年3月8日に公表した「クレジットカード取引におけるセキュリティ対策の強化に向けた実行計画-2017-」において、EC事業者に対して2018年3月までにカード情報の非保持化、もしくは「PCI DSS準拠」を求めていく方針を掲げた。

    カード情報の漏えいの頻度が高い非対面(EC)加盟店については原則として非保持化(保持する場合はPCI DSS準拠)を推進。EC加盟店におけるカード情報の非保持化を推進するため、PCI DSS準拠済みのPSP(決済代行会社)が提供するカード情報の非通過型(「リダイレクト(リンク)型」または「JavaScriptを使用した非通過型」)の決済システムの導入を促進するとしている。

    2018年6月1日に施行された「割賦販売法の一部を改正する法律(改正割賦販売法)」では、クレジットカードを取り扱うEC事業者などに対して、「クレジットカード情報の適切な管理」と「不正使用防止対策の実施」が義務付けられている。

    また、独立行政法人情報処理推進機構では不正アクセス対策についての資料をまとめており、「安全なウェブサイトの作り方」などを閲覧することができる。

    石居 岳
    石居 岳

    ヤフーとプラスがアスクル社長の再任反対の議決権行使、アスクルは「大変遺憾」

    6 years 4ヶ月 ago

    ヤフーは7月24日、子会社のアスクルが8月2日に開催を予定している定時株主総会の取締役選任議案において、岩田彰一郎代表取締役社長の再任に反対する議決権を行使したと発表した。

    また、アスクルの社外取締役・社外監査役で構成する任意機関「独立役員会」の独立役員でもある戸田一雄氏、宮田秀明氏、斉藤惇氏の再任に反対する議決権行使を行った。理由は「業績低迷の理由である岩田社長を任命した責任など総合的な判断から」(ヤフー)としている。

    アスクルの第2位株主であるプラスも24日、岩田社長の再任に反対の議決権行使を行ったと発表。ヤフーと同様、独立役員3人の再任に反対する議決権を行使した。「LOHACO事業の成長の観点で最も重要なパートナーであるヤフーとの業務・資本提携関係の見直しという意見を出し、アスクルの企業価値を著しく損ねる可能性があった」(プラス)といったことを理由にあげた。

    アスクルの取締役は10人で、社外取締役は5人。独立役員3人のほかはヤフーの小澤隆生専務、プラスの今泉公二社長。

    一方のアスクルも24日、コメントを発表。ヤフー、アスクルの議決権行使のついて、「岩田社長のみならず、適正なガバナンスを維持するための機能を有する独立社外取締役に対してまで、当社が構築してきたガバナンスプロセスを否定し、両社が共同してこのような行使に及んだことについて大変遺憾」とコメントした。

    瀧川 正実
    瀧川 正実

    カスタマーエクスペリエンスが優れている企業が注目する3つの成功ポイント | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

    6 years 4ヶ月 ago

    シームレスなカスタマーエクスペリエンスを消費者に提供することは、ますます重要になっていますが、ビジネスが複雑になるにつれて課題も増えています。企業が一貫して消費者を満足させる唯一の方法は、詳細なカスタマージャーニーのマップを作成し、調査し、改善を強化していくことです。

    価格には敏感。でも、優れたカスタマーサービスにはお金を払っても良い

    あまり語られていませんが、21世紀のビジネスのポイントは、消費者がますます価格に敏感になっているにも関わらず、一流のカスタマーサービスにはより多くの料金を支払う、ということです。彼らは惰性を許さないだけなのです。しかし、残念なことに、ほとんどの企業が惰性でビジネスを行っています。

    PwCの調査によると、顧客は速度、利便性、親しみやすさを向上させるために、最大16%多く支払うことをいとわないそうです。しかし、企業のチャンスは1度しかないと思ってください。アメリカでは、消費者があなたの製品を気に入ったとしても、何度か悪い体験をしたら59%は二度と戻って来ず、17%はたった一度でも悪い経験をしたら再来訪しないのです。

    Q:好きなブランドとのやり取りをやめるのはいつですか?
悪い経験を一度した後
悪い経験を何度かした後
    カスタマーエクスペリエンスの未来(PwC/2017年)をもとにネットショップ担当者フォーラム編集部で作成

    かゆいところに手が届くシームレスな体験は、ビジネスにとって真の金脈です。しかし、ビジネスが非常に複雑になってきている中で、シームレスな体験を実現する唯一の方法は、企業が詳細なカスタマージャーニーマップを作成し、調査し、改善を強化することです。

    実際に変化を起こしたい企業は、すべてのビジネス上の意思決定がカスタマージャーニーに沿っているのかを確認する必要があります。

    結果はどうでしょう? 販売サイクルが18倍速くなり、アップセルやクロスセルが最大56%増加します。もちろん、消費者のカスタマージャーニー自体は目新しいものではありません。真に差別化するには、カスタマージャーニーをあらゆるレベルの意思決定プロセスに組み込む必要がありますが、ほとんどの企業が行っていません。

    消費者を熟知していて、顧客中心主義の概念がビジネスの長期的なコアバリューだと思っていても、本当に会社のDNAの一部になっているでしょうか? 従業員は、日常の意思決定プロセスにインサイトを積極的に組み込んでいますか? それとも経営陣がトップレベルの意思決定に表面的に適用しているだけでしょうか?

    カスタマーエクスペリエンスで成功している企業は何が違うのか

    成功のために消費者インサイトを真に理解し、適用しているビジネスの3つの特徴をご紹介します。

    1. すべての従業員に、消費者のペルソナに応じた決定を促す

    カスタマージャーニーを作成する時、私たちは消費者の行動やペルソナをもとに複雑な消費者像を作ります。しかし、一度作成されて何度かレビューされた後は、見過ごされることが多く、どこかの引き出しに詰め込まれ、都合の良いときにだけ持ち出されるのです。ほとんどの場合、消費者イメージは忘れられています

    実際に変化を起こしたい企業は、すべてのビジネス上の意思決定がカスタマージャーニーに沿っているのかを確認する必要があります。そうすれば、カスタマージャーニーが単なるチェックボックスとして使われることがなくなります。ペルソナは従業員が自分の意思決定を確認するための拠り所となるのです。

    さらに重要なのは、見過ごされがちな消費者のパターンに気づき、エンゲージメントを強化できるようになることです。これにより、ビジネスのあらゆる側面における意思決定プロセスにおいて消費者が考慮され、すべての段階で自動的にビジネスに組み込まれるようになります。

    2. ビジネスの測定基準に基づいてタッチポイントを考える

    多くの企業は、消費者が製品を選択し、金銭的な取引を行った場合にのみ「購買経験」が発生すると考える傾向があります。しかし、それは真実からかけ離れています。

    カスタマー・エクスペリエンスは、消費者との長く、時には複雑なやりとりに沿って、複数のタッチポイントで実現されています。小売事業の場合は、以下のタッチポイントの1つ以上が当てはまるでしょう。

    • 広告を見る
    • ショッピングセンターで店をチェックする
    • 店に入って従業員と言葉を交わす
    • 店を出てオンラインでリサーチを続ける
    • アプリをダウンロードして使用する
    • ソーシャルメディアを通じて接触する
    • 店に再来訪する
    • 棚にある商品をチェックする
    • 購入した商品を返品する
    • 関連商品を実店舗ではなくオンラインで購入する
    • 追加で商品を購入する
    • ソーシャルメディアにコメントする

    これらのタッチポイントを単独で見るだけでは十分ではありません。プロセスや消費者とのやり取りを測定するために、それぞれが特定の基準に紐付いている必要があります。

    アプリのダウンロードやとエンゲージメント、店舗へのトラフィック、ソーシャルメディアでのシェアなどは簡単です。しかし、中にはもっと難しいものがあるため、カスタマージャーニーを全体として慎重に考える必要があります。例えば、オンラインショッピングの増加に伴い、店舗へのトラフィックが減少している場合などです。

    すべてをテクノロジーで解決する必要はない

    これらの取り組みは、ペルソナによっても異なります。例えば、若い層向けのペルソナは、年配層ほど店内広告には関心がないかもしれませんが、より活発なアプリ体験を期待するかもしれません。ここで重要なポイントは、すべての議論は自社の基準に照らし合わせて行われる必要があるということです。

    データに基づいた意思決定はビジネスの未来であり、これを無視するプロセスは近視眼的であることが多いです。価値の高い顧客満足度を設計する場合、データのない意思決定は主観的なものになり、誰もコントロールできません。ビジネス上の意思決定では、常に基準に立ち返り、ビジネスプランを確認または再定義する必要があります。

    ただし、カスタマージャーニーにテクノロジーを活用する際、消費者との関わりを技術でサポートする必要があると思わないでください。現在、人間との関わりは需要が高く、アメリカの消費者の82%、アメリカ以外の消費者の74%が人間との関わりを求めており、今後さらに増えると予想されます

    ドイツ 84%
アメリカ 82%
オーストラリア 81%
アルゼンチン 80%
カナダ 80%
イギリス 78%
シンガポール 76%
コロンビア 74%
メキシコ 74%
ブラジル 68%
中国 66%
日本 53%
すべての国  75%
    「技術が向上すればするほど、実際の人と交流したいと思う」と答えた人の割合(n=15,000)
    カスタマーエクスペリエンスの未来(PwC/2017年)よりネットショップ担当者フォーラム編集部でキャプチャ

    複数のタッチポイントでロボットと話をさせることなく、人との関わりを提供するには、消費者を深く知ることが重要です。彼らは、プラットフォーム間をシームレスにつないでくれるテクノロジーを求めているのです。

    3.誰もがアクセスし、変更できるようカスタマージャーニーを作成する

    消費者のカスタマージャーニーマップは、ビジネスの大部分と切り離して考えるべきではありません。経営層から現場の従業員まで、誰もがアクセスできる必要があります。また、全員が変更を提案できるようにしなくてはいけません。

    企業はカスタマージャーニーマップが定期的に見直され、調査されるような機会を実際に作る必要があります。販売データ、各タッチポイントに関連する基準によって収集された情報などを考慮します。すべてのカスタマージャーニーをレビューする必要があります。

    GDPR(EU一般データ保護規則)施行後のデータ重視の環境では、これを正しく行う必要があります。アメリカの消費者の43%は、真に価値のあるサービスでない限り、よりカスタマイズされた体験を可能にするための個人データを提供しませんが、63%は「データ共有に寛容だ」と答えています。要は、優れたカスタマーエクスペリエンスを通じてのみ構築できる信頼が大切なのです。

    しかし、顧客満足度の向上をデジタルの優先事項として認識している企業の数は、前年の25%から2017年にはわずか10%に減少しました。最も成功している企業は、消費者を理解し、エンゲージし、サービスを提供するテクノロジーに投資することが重要だと知っています

    新しい技術が生まれるたびにテクノロジーへの投資は必要になります。デバイスをまたいだタッチポイントやARは、今後10年間で新しい体験を消費者に提供するでしょう。消費者のカスタマージャーニーを理解している企業にとっては、それらは問題にはならず、単に新しい機会となるはずです。

    Internet RETAILER
    Internet RETAILER

    1日で予約20万件以上の「ZOZOMAT」、足の3D計測マットがビジネスに与える影響は? | 通販新聞ダイジェスト

    6 years 4ヶ月 ago

    ZOZO(ゾゾ)は6月24日にスマートフォンを使って足の3Dサイズを計測できる「ゾゾマット」(写真)を発表した。同日から無料配布の予約受付を開始したところ、初日だけで20万件以上の予約が寄せられた。ゾゾマットの開発にあたっては、先行して展開した採寸用ボディスーツ「ゾゾスーツ」の知見を反映している。計測時の使いやすさや、低コストでの配布を追求した。

    低コストを可能に

    ゾゾスーツは配布に時間がかかっただけでなく、計測していただく割合も想定より低かった。服をいったん脱いでからゾゾスーツを着るというのが面倒だった。ゾゾマットでは利便性についてはかなり追求した」。

    ゾゾMSP事業推進本部の常井康寛本部長(写真)はこう述べる。ゾゾスーツでの経験を生かし、改善点を盛り込んだという。

    ZOZO MSP事業推進本部 常井康寛本部長
    ZOZO MSP事業推進本部 常井康寛本部長

    ゾゾマットは、マットの上に裸足の足をのせて、周囲をスマートフォンのカメラで撮影する。マット全体に施されたドットマーカーを読み取って足の3Dサイズを計測する。計測時は音声案内に従って左右の足で撮影を進めると、足の長さ・幅・周囲など複数箇所をミリ単位で計測できる。

    音声案内を聞いてスマホカメラで撮影したり、ドットマーカーを読み取るといった点は先行するゾゾスーツに類似している。とはいえ、技術的に一部共通利用した部分はあるものの、ゾゾスーツから吸い上げた知見をもとに改善した部分もいくつかある。

    計測のしやすさというのもその1つ。当初はゾゾスーツのような形でタイツ状のものを履いて計測するというアイデアもあったという。「ただ、着たり脱いだりという煩わしさがあり、計測ツールの柔軟性を考えるとマットのほうがいいという結論になった」(常井氏)。

    ゾゾスーツは身長や体重に合わせて8種類のサイズを用意しており、体型が異なると家族間などで使いまわすことができなかった。しかし、ゾゾマットは1サイズ。サイズフリーのため、子どもから大人まで1つを使いまわすことができる

    コスト面にも気を使った。「あくまでも計測ツールなので、多くの人が欲しいとなった場合にコストが理由で配布ができないということは避けたかった」(同)と、コストをかけずに制作できる設計になっている。

    ゾゾマットは基本レイアウトが用紙に印刷された仕様であるため、チラシを印刷して配布するように低コスト・短期間での大量配布が可能になる。紙媒体にレイアウトを広告出稿したり、PDFファイルで配信し、印刷して使用することもできる。「ゾゾスーツにはコストがかかってしまったという経験は強く意識した」(同)と、ここでもゾゾスーツで得た教訓を生かしている。

    ゾゾマットはこれまでにおよそ200人の足サイズで検証し、「精度はかなり良い」(同)ようだ。簡単に計測できて精度も高いという意味では、3Dスキャナーという計測ツールがあるが、数百万円がかかるという。同程度の精度で場所を選ばずに安価に測定できるツールが技術的に可能になったことから今回の発表となったようだ。

    ZOZO MSP事業推進本部 常井康寛本部長
    「ZOZOMAT」とスマホを使った測定イメージ

    PBの展開はない

    ゾゾマットの配布時期は秋冬を予定。ユーザーの足のサイズデータを使った展開として大きく2パターンが想定できる。

    1つが、「ゾゾタウン」に出店しているブランドが扱っている既製品の靴をユーザーの足のサイズに合わせてレコメンドするというもので、まずはこれがメインのサービスになるもよう。

    2つ目はユーザーの足に合った靴を提供するというもの。ゾゾは出店ブランドが企画する商品をマルチサイズ展開して販売する「マルチサイズプラットフォーム(MSP)」事業を今秋にも開始する計画。ゾゾマットでもMSP事業の一環としてユーザーの足のサイズにふさわしい靴を作る方針だ。

    どちらのサービスでもブランドやメーカーらと共同で進めていく。「(サイズ計測という)技術をまずは確立したが、社内だけのサービスにするのではなくオープンイノベーションのような形でサービスを作れればと判断した」と常井氏。その一方でゾゾのプライベートブランドから「独自の靴を作っていくという考えはない」(常井氏)と強調する。

    「ZOZOMAT」のイメージ動画(編集部が追加)

    ゾゾでは共同でサービス開発を行うパートナー企業を募集しており、問い合わせも多く寄せられているようだ。足を計測することで靴のネット販売につなげるというのが本来の目的だが、問い合わせの中には医療関連の話なども浮上しているとのことで、さまざまな可能性を秘めていると言えるかもしれない

    ゾゾによると、ゾゾマットを発表して無料配布の受付を始めたところ、初日だけで20万件以上にのぼる予約があったようで、消費者の関心の高さがうかがわれる。ゾゾタウンの靴の取扱高は前年度で361億円。「ECで靴を買う上でサイズの不安は多く、試着してみないと買えないという人は多い。その悩みをゾゾマットで解消できれば、(取扱高は)大きく伸ばせるのではないか」と常井氏は述べる。

    サイズの不安を解消すればユーザーだけでなく、ブランド出店にも影響を与える可能性がある。

    「ブランドさんの中には靴は試着しないと買えないと思っているところもある。ゾゾがこうした計測サービスを持つことでゾゾタウンへの出店に価値があると考えてもらえたらいい」(常井氏)。

    その上で「ゾゾマットは単なる計測デバイスではなく、足の計測結果と靴をつなげるコミュニケーションツール。当社としてはブランドさんとお客様をつなげたい」(同)とする。

    通販新聞

    「BOTANIST」のI-neが韓国市場に進出、ドラッグストアや百貨店などで販売

    6 years 4ヶ月 ago

    I-ne(アイエヌイー)は7月23日、ボタニカルライフスタイルブランド「BOTANIST(ボタニスト)」による韓国市場での展開を拡大したことを明らかにした。

    2019年春から順次展開していた韓国国内の一部免税店に加え、新たにドラッグストアチェーンやプレミアムコスメティックストア、現代百貨店など約200店舗での取り扱いを開始。今後も韓国市場を強化していく。

    取り扱い店舗は現在、ドラッグストアが「LOHB's」85店舗、「LaLabla」65店舗、「Boots」29店舗の合計179店舗。プレミアムコスメティックストアは「CHICOR」が5店舗。デパートメントストアは「現代百貨店(パンギョー店・チョーノ店)」などとなっている。

    「BOTANIST」は現在、日本からアジア全土に販路を拡大。韓国での販売に先駆けて、中国の大手ECモール「T-mall」内で2017年からストアをオープンし、堅調に売り上げを伸ばしてきた。香港や台湾でも一部商品を販売している。

    韓国免税店には中華圏からの観光客も多く訪れるため、これらの市場での認知度は韓国免税店で取り扱いを決める重要な要素になったという。この中華圏での人気に注目した韓国企業からのオファーがあり、「BOTANIST」の販売が実現した。

    現地関係者によると、「PM2.5が深刻な問題になっている影響もあり、韓国でもナチュラル志向のトレンドが高まっている」と言う。こうした流れも、植物由来成分を配合した「BOTANIST」の取り扱いにつながったと捉えている。

    石居 岳
    石居 岳

    「LOHACO」を巡るアスクルとヤフーの対立、何が起きた? 岩田社長の会見などから見る関係悪化の背景と今後

    6 years 4ヶ月 ago

    「Yahoo!ショッピング」出店者、「LOHACO(ロハコ)」に出店する事業者などEC業界が動向を見守っているヤフーとアスクルの対立が、日増しに激しくなっている。ロハコ事業の譲渡に端を発した対立が表面化してから、プレスリリースや記者会見で両社が意見を表明する展開に。両社の溝は埋まらず開く一方となっている。アスクルが実施した記者会見、報道陣とのやり取り、公表資料から、対立の背景やこれまでの経緯などをまとめた。

    対立の火種「LOHACO」事業、「価値なし」と判断の第2位株主の意向

    7月18日、アスクルが行った記者会見。その席でアスクルの岩田彰一郎社長は、ヤフーからの「LOHACO」事業の譲渡要請に関するやり取りなどを説明した。だが、ヤフーはその同日夕方、プレスリリースで岩田社長とは譲渡要請を否定する。

    LOHACO事業の赤字がアスクルの業績の低迷に影響を与えているため、LOHACO事業をやめるか、譲渡を考えるべきではないか、とアスクル取締役会において社外取締役の今泉公二氏(アスクルの第2位株主のプラス社長)から再三指摘がありました。当社は、アスクルとしてそもそも譲渡をする考えがあるのかの意向をうかがったに過ぎません。アスクルからその意向はないと回答を受けたため、当社としては今後も譲渡を申し入れる方針はありません。(プレスリリース「アスクル株式会社の本日(2019年7月18日)開催の記者会見について」から)

    だが、岩田社長は記者会見で譲渡要請に関する一連のやり取りを説明した。それによると、アスクル第2位株主のプラス社長・今泉公二氏の意向があったという。なお、アスクルはプラスのアスクル事業部としてオフィス用品通販サービスをスタート、1997年にアスクルとして独立した。

    アスクルとヤフーの対立に関する経緯について
    これまでの経緯について(アスクル公表資料から編集部がキャプチャ)

    ――プラスがヤフーサイドについている。岩田社長もプラス出身。プラスとのコミュニケーションはできていなかったのか?

    岩田社長(以下岩田):プラスの今泉社長はアスクル社外取締役のため、取締役会にも参加しており、信頼できる方。今泉さんの考えが変わった原因は「LOHACO」の赤字。宅配クライシスによる送料値上げ、倉庫の火災などで90億円くらいの営業赤字になる見通しになったときに今泉さんは心配されたが、BtoB事業の利益だけになればアスクルの株価が値上がりするのではないかと考えた。だが、BtoB事業だけになると投資家への魅力がなくなり、(BtoBとBtoCの)シナジーもなくなる。たとえ利益が伸びても株価は上がりにくい。

    アスクルの売上高推移
    アスクルの売上高推移(アスクルのHPから編集部がキャプチャ)
    アスクルの営業利益推移
    アスクルの営業利益推移(アスクルのHPから編集部がキャプチャ)

    ――今泉さんの意見は。

    岩田:12月の議論で90億円の営業赤字はいまのアスクルの体力では厳しいと。だが、アスクルにとって「LOHACO」事業は将来成長するための宝。その後、今泉さんとヤフーがディスカッションするなかで、ヤフーが「LOHACO」事業を譲り受けるという話になり、今泉さんは恩義を感じた。アスクルの株価が大きく跳ね上がると……。

    ――プラスからの説明は。

    岩田:今泉さんは赤字にナーバス。何とか(赤字を)なくしたいというのは、経営者として当たり前の考え。だが、「LOHACO」はさまざまな企業にデータを開放し、それを商品開発に活用したり、マーケティングに使うオープンイノベーションの場。数字上の赤字よりも、次の時代の価値、ECビジネスにおけるビッグデータの価値が「LOHACO」にはある。だが、それを価値として見られず、数字上の赤字がクローズアップされた。私たちは「LOHACO」の将来の価値を、重要性を認識している。

    会見を行うアスクルの経営陣
    会見を行うアスクルの経営陣。写真中央がアスクルの岩田彰一郎社長

    良好な関係から一転、対立へ。アスクルとヤフーの間に何が起きた?

    ヤフーとアスクルは2012年4月、業務・資本提携を締結。「LOHACO」の共同運営で協力関係を築いてきた。2015年に業務・資本提携契約を更改。ヤフーは45.13%のアスクル株を保有する筆頭株主となった。

    「LOHACO」においては、ヤフーは主に集客と決済面、アスクルはフルフィルメントやMDといった役割分担で運営。2012年10月の立ち上げからわずか7年足らずで売上高513億円(2019年5月期)のECサイトに成長した。

    ヤフーとアスクルの業務・資本提携を締結し、「LOHACO」共同運営の道筋を作ったヤフー側のトップは宮坂学代表取締役社長兼CEO(当時)。岩田社長によると「2018年まではヤフーと良好な関係だった」と言う。

    ヤフーでは2018年、「Yahoo!ショッピング」「ヤフオク!」といったEC関連事業を管轄するコマースグループ長だった川邊健太郎氏が代表取締役社長CEOに就き、宮坂氏は経営から退いた。

    岩田社長はヤフーの体制変更などの営業が今回の関係悪化に影響した可能性について言及。そして、ヤフーに対して業務・資本提携関係の解消を申し入れを実施している。だが、ヤフーは業務・資本提携関係を継続した上で、アスクル岩田社長の退任を6月27日に要求した。

    なお、岩田社長が第2位株主プラスの今泉社長と面談した際、「ヤフーからプラスに対し、LOHACO事業をアスクルから切り離すためには岩田社長に退任いただく必要があり、LOHACO事業の切り離しの時期は年内という話があった」といった説明を受けたという。

    ――(ヤフーとアスクルの間で)一体何があったのか? ヤフーからの一方的な申し出だったのか?

    岩田:ヤフーの社長交代(宮坂氏から川邊氏への交代)、新しい体制への移行(ヤフーの親会社がソフトバンクグループからソフトバンクへ移った)が、直接の原因か考えるところ。2019年1月に「LOHACO」事業の譲渡を自主的に考えてほしい」と川邊社長から話があった。「LOHACO」はアスクルの重要な事業。BtoB、BtoC、物流の3つがセットでアスクルは伸びている。そもそも「LOHACO」だけ切り離せるのか? 少数株主の利益になるのか? 指名・報酬委員会からもリテンションをいただいた(5月の指名・報酬委員会で現経営陣が再構築プランを実行することが最良と判断)。2018年12月の取締役会で「LOHACO」の新しい戦略を決めた直後の1月に、譲渡の話を持ってきた。そして、6月27日に私の退陣要求を突きつけてきた。突然のお話だと思っている。1月になってから関係性が変わったと思う。

    ――いまの心境は? 社長解任要求にどのように思われたのか。

    岩田:(ヤフーとプラスを合わせた)6割の株主が退任を要求している。それはあらがえない。だが、上場企業の職は公職であり、会社は公器。先方からも静かに去ったほうがいい、晩節を汚さない方がいいのではないかとも言われたが、それは違う。(この話を)黙って受け入れて、闇の中で話が進んでいくのは健全じゃない。(支配株主のヤフーが、ガバナンスプロセス、少数株主やステークホルダーの利益を無視していることなどについて)恥をさらして、公にさらすことが公職としての役割。それが責務。

    支配株主の横暴によって、独立社外取締役を入れて真面目にコーポレートガバナンスへ取り組んでも全く機能しない。コーポレートガバナンスの実効性、意味をなさなくなってしまう。だからこそ問題提起をした。日本の市場はどうあるべきか? 考えていただき、この問題を訴えていきたいと思っている。

    「LOHACO」事業の今後はどうなる?

    アスクルはヤフーに対し、提携解消協議の申し入れを実施。ヤフーは業務・資本提携関係を継続した上で、「アスクル社が新たな経営陣のもとで新たな経営戦略を推し進めることが、アスクル社の中長期的な企業価値の向上および株主共同の利益の最大化のために最善と考えている」としている。

    ――「LOHACO」事業が譲渡されるとした場合、具体的な計画はあるのか。

    吉岡晃取締役兼BtoCカンパニーCOO(以下吉岡):現実的に離れることになった時、ヤフーが具体的にどうするか予測がつかない。「LOHACO」はたくさんのお客が使っている。どんなことが起きてもあらゆる手段を模索して、「LOHACO」を継続し、進化させていくために最良な方法を考えていきたい。

    岩田:アスクルはお客さまのために進化していくことをミッションとしている。「LOHACO」のお客さまは、ヤフーにとっても大事なお客さま。ご一緒できるところは一緒に、お客さまに迷惑をかけないようにやっていきたい。

    ――ヤフーによる「LOHACO」の乗っ取りとおっしゃった。その理由はどう考えているのか。

    岩田:ソフトバンクグループはアリババグループのすごさを理解している。Alipay(アリペイ)とコマースが大きなビックビジネスとなっており、それを日本でも実現するビジョンを叶えようとしているのがヤフーの立場。だが、ヤフーが持っているネット技術だけではECビジネスはできない。アスクルの物流力、オペレーション力、お客さまへのサービス、仕入れ先との良好な関係性――。これらはビジョンを叶えるためには必要なパーツではあるが、物流力がなければECサイトだけ譲り受けてもも意味がない。ベンダーとのつながりもなくなる。現実的ではない。すべては三位一体。BtoB、BtoCの切り離しも難しい。

    ――「LOHACO」事業の切り離しに反対する理由をもうちょっと聞きたい。

    岩田:少数株主にとって「LOHACO」は将来、成長する宝である。(譲り受けた方が)ヤフーにとってはいいかもしれないが少数株主にとっては損失。独自価値を持ったECビジネスに転換しなければ成長はしない。いまの段階で、売り渡すことは少数派株主の利益にならない。

    ――ヤフーとのシナジーは定通り出ているのか。認識は。

    吉岡:いままでは出てきている。短期間で売上500億円規模のECサイトとなった。ヤフーの集客力、アスクルの物流力のかけ算で、実績を積み上げてきた。他に例はない成長率だ。

    「LOHACO」の運営に関し、アスクルとヤフーの役割分担
    「LOHACO」の運営に関するアスクルとヤフーの役割

    ヤフー、アスクルにとってのLOHACO事業の重要性

    ヤフーの2019年3月期連結決算によると、「ショッピング事業」の取扱高は前期比22.6%増の7692億円だった(「ショッピング事業」は「Yahoo!ショッピング」とアスクルの日用品通販「LOHACO」、ペット用品ECを手がけるアスクル子会社チャームの取扱高を合計したもの)。

    アスクルの2019年5月期連結決算における「BtoC事業」の売上高は、前期比28.7%増の652億円。「LOHACO」の売上高と「LOHACOマーケットプレイス」経由の取扱高、チャームの売上高を合算した「BtoC流通総額」は同29%増の668億円。

    ヤフー、アスクルの決算期はそれぞれ異なるため単純比較はできないが、ヤフーの「ショッピング事業」取扱高のうち、アスクルのBtoC流通総額は1割程度を占める計算になる。

    この数値からは見えないが、「ショッピング事業」と「LOHACO」の相乗効果は高いものと推測される。消費者が頻繁に購入する商材は日用品。「LOHACO」はヤフーと連動したポイント施策などを実施しており、「LOHACO」利用者が増えれば、たまったポイントの場所として「Yahoo!ショッピング」の利用増につながる可能性が高まる。

    また、2018年に「LOHACO」は「Yahoo!ショッピング」に出店。「Yahoo!ショッピング」内の「LOHACO」店利用者が増えれば、「Yahoo!ショッピング」のリピート顧客の増加にも寄与する。

    日用品を軸にECモールへの集客を強化しているのが楽天。爽快ドラッグ、ケンコーコムを買収し、現在はRakuten Directが日用品のネット通販を手がける。

    ヤフーにとって、ポイントを軸に消費者の利用頻度が高めやすい日用品はECモールを拡大するには必須のジャンル。一方、「LOHACO」はポータルサイトの集客効果などで、急成長を遂げた。さらなる規模拡大にはヤフーの集客力は欠かせないという声は多い。

    ◇◇◇

    アスクルの株主総会は8月2日。その席で、ヤフーとプラスはアスクル岩田社長の再任に反対票を投じる方針だ。アスクルは7月18日の会見で、資本・業務提携契約に違反があった際はアスクルがヤフーに対して株式の売り渡しを請求できる条項があると説明しており、岩田社長は「検討する」とした。

    また、アスクルの社外取締役・社外監査役で構成する任意機関「独立役員会」は7月23日、記者会見を実施。アスクルとヤフーが対立している件について見解を示した。

    アスクルの社外取締役・社外監査役で構成する任意機関「独立役員会」は7月23日、記者会見を実施
    記者会見には多くの報道陣が出席した

    「(LOHACO事業)再構築プランを立案した現経営陣の続投が適切」「再構築プランの施策の効果が出てきており、現時点で再構築プランの方向性を変更する必要はない」「アスクル経営陣の責務は、対外公表して市場に約束した再構築プランの施策を着実に実行し、お客様への約束や少数株主などステークホルダーに対しての責任を全うすることであり、LOHACO譲渡を検討するタイミングではない」などと指摘。関係修復が困難な状況にあることを示唆する次のようなメッセージも発している。

    LOHACO譲渡要求、ガバナンスプロセスを無視した水面下での社長退陣要求、その間のアスクル経営陣とY社のやりとりから、お互いにかなりの不信感が出ており、もはや関係を修復して建設的に意見交換・協力していくことは困難な状況と考えざるを得ない。

    このような状況はLOHACO事業、アスクルの企業価値向上のために大きなマイナスであり、早急に提携関係の見直しを検討し、Y社と交渉すべきであるとの意見を申し上げた。

    アスクルの独立役員会より意見書を提出した理由
    独立役員会が意見書を提出した理由の一部(アスクル公表資料から編集部がキャプチャ)
    瀧川 正実
    瀧川 正実

    ラストワンマイル物流市場は約1.8兆円、通販配送の課題「配送を担う人員不足やドライバー不足に対する根本的な解決策がないこと」

    6 years 4ヶ月 ago

    矢野経済研究所が7月23日に公表した「ラストワンマイル物流市場」に関する調査によると、2018年度の市場規模は前年度比13.7%増の1兆8300億円だった。2020年度には2兆300億円に拡大すると予測している。

    ラストワンマイル物流市場の調査対象は「通信販売」、出前などの「ワンタイム型デリバリー」、配食サービスや生協などの「定期販売型デリバリー」、「個人間宅配」の4分野。「通信販売」が市場全体の約5割を占めている。

    矢野経済研究所は今後も「通信販売」がけん引し、ラストワンマイル市場は堅調に推移すると予測。一方、通販市場の荷物量がいずれピークを迎える可能性があることや、配送を担う人員不足やドライバー不足に対する根本的な解決策がないことを課題に上げた。

    ラストワンマイル物流市場規模推移と予測
    ラストワンマイル物流市場規模推移と予測

    今回の調査対象には含まれないが、注目のトピックスとして、外食店舗から消費者宅へのデリバリーを代行する「シェアリングデリバリーサービス」に言及している。飲食店などは同サービスを利用することで、自社でデリバリーを行う初期投資が必要ないといったメリットがることから、これまでデリバリー事業を展開していなかった中小外食チェーンなどにも利用が広がっていると指摘している。

    調査概要

    1. 調査期間:2019年1月~6月
    2. 調査対象:BtoC物流に関わる事業者、管轄省庁など
    3. 調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話によるヒアリング、ならびに文献調査併用
    渡部 和章
    渡部 和章
    確認済み
    1 時間 15 分 ago
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