ネットショップ担当者フォーラム

公取委が「楽天市場」の送料無料ライン統一施策を調査、楽天は「全面的に協力」と発表

5 years 9ヶ月 ago

楽天は2月7日、購入者の送料負担を0円とする送料無料ラインを全店舗(一部除く)共通の3980円以上に設定する施策について、公正取引委員会から調査を開始した旨の連絡を正式に受領したと発表した。

楽天によると、公取委からは関係法条として独占禁止法第19条(同法第2条第9項第5号)の「優越的地位の乱用」を提示されているという

楽天が発表したプレスリリースで記載されたコメントは以下の通り。

当社としましては、本施策に関し、法令上の問題はないものと考えていますが、公正取引委員会からの調査につきましては、全面的に協力してまいります。同時に公正取引委員会に対し、本施策に対する当社の考え及びご賛同いただいている出店店舗様、お客様のお声を誠心誠意お伝えし、ご理解を得られるよう努めてまいりたいと考えています。

本施策は、楽天市場全体で表示を統一することで、お客様にとっての価格表示のわかりやすさを向上させ、より簡単にお買い物が楽しめる環境を創出することにつながるものです。当社は、本施策がさらなるお客様数の増加、購買頻度の向上につながり、ひいては出店店舗様の中長期的な事業成長に資するものと考えております。当社は、本年3月18日から本施策の開始を予定していますが、今後も、出店店舗様、お客様のお声に誠心誠意耳を傾け、よりよい「楽天市場」にするために、必要な対応を行ってまいりたいと考えています。

なお、公取委が1月22日に行った定例記者会見で、巨大プラットフォーマーによる出店者への不利な一方的な規約変更についての見解に問われ、菅久修一事務総長は一般論として次のようにコメントしている。

自己の取引上の地位が、オンラインモール運営業者が出店者に対して優越していて、不当に不利益を与えるようなやり方で取引条件を変更するという場合には、独占禁止法でいえば優越的地位の濫用に当たる可能性はあるということでございます。そうなるかどうかということは、事実を見なければ分からないということかと考えております。

瀧川 正実
瀧川 正実

楽天が取り組む「優良店の露出強化」「送料無料ライン統一」「RMS再構築」など2020年上期施策まとめ | 大手ECモールの業績&取り組み&戦略まとめ

5 years 9ヶ月 ago

楽天が1月29日に行ったメディア向けの戦略説明会。送料無料ライン統一化の導入に注目が集まる中、執行役員の野原彰人氏は今後、取り組むこととして「RMSの再構築」、楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー受賞店などの露出を強化する「優良店舗施策」などを説明した。野原氏が語った2020年上期の施策、2019年の振り返りなどをまとめた。

2020年上期の施策は、優良店舗施策、送料無料ラインの導入など

2020年上期の施策について、「RMSの再構築」「デバイス対応」「店舗意見への対応」の3つを大きな柱にあげた。

RMS再構築

店舗からの要望を受けRMSを改善。店舗の業務負担軽減をめざしたという改善内容は以下の通り。

  • 住所不備注文削減のため、注文画面に「番地なし」のチェック項目を追加
  • 項目選択肢機能にフリーテキスト機能を導入
  • RMS受注画面に、注文の詳細情報を一覧で確認できる「詳細一覧」形式の追加(2020年上期予定)
  • ユーザーが購入履歴から自分で領収書を発行できるシステムの導入(2020年上期予定)
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住所不備削減のための取り組み。番地のない住所の場合「番地なし」にチェックを付けることにより、店舗からユーザーへの住所確認作業が減少する
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項目選択肢機能の改善。「カゴ周りにフリーテキスト欄、選択必須欄を追加することで、より自由度の高い店舗運営が出来る」(野原氏)

デバイス対応

75%のユーザーがスマートフォンで買い物をしている。スマートフォンはページ間の移動が多く、買い物中でのわかりにくさは致命的。ユーザーの嫌な体験が「楽天市場」からのユーザー離れにつながる可能性がある。送料がわかりやすくなることで、買い物がしやすくなる。より多くのユーザーに買い物を楽しんでもらい、ファンになってもらう。ユーザーに選ばれなければ「楽天市場」の持続的な成長はない

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執行役員の野原彰人氏

こう話す野原氏は、約7割のユーザーが「送料が原因で購入を諦めた経験がある」という調査資料や、一部ユーザーから送料の表示に関する低レビューがあると説明。ユーザーへの調査や競合サービスの調査、比較のための実証実験を行い、今回の送料無料ラインを制定したと話した。

店舗への理解に関して、RUX(出店店舗が視聴できる無料動画コンテンツ)での動画配信、販売状況や価格設定の指標を設定できるデータ確認ツールの提供により、送料無料施策への協力を求めていくとしている。

「優良店舗施策」など店舗意見への対応

「タウンミーティングで寄せられた店舗からの意見を反映した」(野原氏)という内容の1つ目が「楽天ペイ補償サービスの拡充」。商品発送後の金額修正時にクレジットカードのオーソリや後払い決済の審査が通らないなどユーザー起因のトラブルが起きた場合、1か月10万円まで「楽天市場」が代金を補償する制度を導入する。

2つ目は「不審ユーザーの取り締まり強化」。ユーザーの決済状況をモニタリングし、リスクのあるユーザーからの購入を防ぐ取り組みを強化するという。高頻度でのキャンセル、後払い決済の不履行を行うユーザーなどが対象となる。

3つ目は露出を強化することができる「優良店舗施策」で、中堅、中小規模やスタートアップの店舗が前向きに店舗運営に取り組める機会を作るのが目的。具体的な要件は語られなかったものの、楽天SOY(楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー)受賞、それ以外のアワード受賞などが対象店舗の要件になるもよう。この施策によって「中小規模の店舗から購入するときに一抹の不安がある」というユーザーの不安払拭にもつながるとしている。

楽天SOY受賞メリットを店舗に実感してもらうという

2019年の成長要因

2019年は国内ECの流通総額が4兆円規模に拡大したという楽天。野原氏は「楽天市場の成長には3つの要因がある」と2019年を振り返った。

ユーザーへのベネフィット還元

楽天グループが2019年に発行したポイント発行数は3200億ポイントにのぼり、ポイント還元で「楽天市場」のファン作り施策を推進したという。「今後はSPU(スーパーポイントアップ)プログラムと、今後本格的に稼働する楽天モバイルのシナジーでさらにユーザーへのベネフィットを拡大する」(野原氏)

多様性と統一性の両立

「楽天の一番のユニークネスは多様性」(野原氏)。多様性をさらに広げるため「カテゴリページのリニューアル、ジャンルごとのマーケティング強化を行い、ユーザーのニーズに合った商品を提供する」と説明。一方、統一性は改善の余地があるとし、まずは「3月18日に送料無料ラインを導入する」(野原氏)とした。

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2019年は多様性の面でR-MesseやR-SNSの導入、コラボ商品の施策を行い、統一性ではワンペイメント(楽天ペイ)や商品画像登録ガイドラインを導入した

ブランド認知

今後も大規模セールの実施、集客ソーシャルの強化、楽天グループや外部の広告によりさらにユーザーの裾野を拡大すると強調した。

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2019年はトレンド需要の取り込み強化や、アフィリエイト改訂による外部流入向上を行った

準備を進めるワンデリバリー構想

物流面について「ワンデリバリー構想を着々と進めている」と野原氏は説明。2000億円を投じ、物流倉庫やラストワンマイルの整備を進めているという。

サービスの向上や集荷持ち込みサービスの展開、楽天ロジスティクスパックの価格、優位性のあるサービスで店舗により良いサービスを提供していきたい。(野原氏)

 

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店舗の継続的な成長を物流面からも支える(野原氏)
藤田遙
藤田遙

元アマゾンジャパンの星健一氏がオイシックス・ラ・大地のCOOに就任

5 years 9ヶ月 ago

農産品や加工食品、ミールキットなどの食品宅配を展開するオイシックス・ラ・大地は2月3日、元アマゾンジャパン経営会議メンバーの星健一氏が入社すると発表した。4月にはCOO(Chief Operating Officer)に就任する予定。

オイシックス・ラ・大地は2017、2018年と経営統合が続き、現在「Oisix」「らでぃっしゅぼーや」「大地を守る会」の3つの食材宅配ブランドを運営するなど、企業規模を拡大し続けている。

星氏は2008年にアマゾンジャパンへ入社。1年半後、ディレクター、リーダーシップチームメンバー(経営会議メンバー)に昇進。ハードライン事業本部、セラーサービス事業本部、アマゾンビジネス事業本部の事業本部長を歴任し、創世期から成長期の経営層として活躍した。

オイシックス・ラ・大地に元アマゾンジャパン経営会議メンバーの星健一氏が入社
星健一氏。1967年横浜生まれ。1989年に縫製機器、産業装置メーカーであるJUKIに入社。旧ソ連から始まり、インド、シンガポール、フランス、ルーマニアと一貫して海外でキャリアを築く。フランス、ルーマニアではそれぞれ現地法人の社長を務め、企業再生の失敗も経験。2005年にミスミへ入社し、タイ法人の社長を務める。2008年にアマゾンジャパンへ入社。

オイシックスは事業の拡大成長に伴うオペレーションの進化などの課題があり、アマゾンジャパン在職中に複数の事業を推進しながら、高い成長率を支えた星氏の「生産性改革」を期待しているという。

オイシックス・ラ・大地には、ドクターシーラボでデジタルマーケティングの責任者を務めた西井敏恭氏(現在はオイシックス・ラ・大地の執行役員)、良品計画のWEB事業部長だった奥谷孝司氏(同の執行役員)といった著名マーケターが入社している。

西井氏はデジタルマーケティング支援のシンクロ・代表取締役社長、奥谷は顧客時間の取締役共同CEOを兼務。星氏はアマゾンジャパン退社後、kenhoshi & Companyを設立し、セミナー講師やコンサルティングなどを手がけている。

石居 岳
石居 岳

楽天 三木谷氏が語る「送料無料ラインの全店舗統一」/最も利用しているQRコード決済は「PayPay」【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

5 years 9ヶ月 ago
  1. 楽天・三木谷社長が語った「送料無料ラインの全店舗統一」実施への決意&2019年の総括と今後の取り組み

    三木谷浩史会長兼社長が語った、購入者の送料負担を0円とするラインを3980円以上に設定する施策(3月18日から開始予定)への決意、2019年の総括と今後の戦略とは

    2020/2/4
  2. 楽天が目指すのは「多様性」と「統一性」の両立。送料無料だけを見ていると取り残されますよ【ネッ担まとめ】

    ネットショップ担当者が読んでおくべき2019年1月27日〜2月2日のニュース

    2020/2/4
  3. 最も利用しているQRコード決済は「PayPay」、非接触決済は「楽天edy」

    18歳~69歳の男女48,208人を対象に「スマートフォン決済利用動向」を調査。スマホ決済の利用率は半年前と比べ15.3ポイント増加

    2020/2/3
  4. IoT宅配ボックスで再配達削減へ。京セラが佐川急便、日本郵便らと実証実験

    ロッカーの空き状況をスマホで確認でき、利用予約も行える宅配ボックスを活用し、宅配の再配達削減効果を検証する

    2020/2/4
  5. 【2020年予想】EC業界に影響を及ぼすイベント&トピックスまとめ

    東京オリンピック・パラリンピックや5G商用化、楽天の送料統一、マイナポイントなどEC事業者が2020年に注目すべきイベントとは?

    2020/2/3
  6. Amazonの2019年売上は2805億ドルで2割増――直販ECは1412億ドル、プライム会員は1.5億人を突破

    「東京外為市場における取引状況(2019年中)」の2019年平均レート「1ドル=108.99」を参考に、1ドル=109円で換算した場合、日本円ベースの売上高は30兆5768億9800万円、純利益は約1兆2630億円となる

    2020/2/3
  7. Pinterestで購入前にリップカラーを試せるAR技術、米国で先行実装

    ユーザーはリップカラーを試した後、ブランドのネットショップへ移動して商品を購入できる

    2020/2/4
  8. ヤフーが始めた「EC+ゲーム」でYahoo!ショッピングアプリの利用を促進する新サービスとは

    Yahoo!ショッピングのアプリ内でミニゲーム「お買い物クエスト」を運営。ミッションをクリアしたユーザーに割引クーポンなどを提供する

    2020/2/4
  9. メルカリとメルペイ、NTTドコモが業務提携。「メルカリID」と「dアカウント」の連携でシームレスな電子マネー決済が可能に

    メルカリ、メルペイ、NTTドコモは各社ユーザーの利便性とサービス向上やキャッシュレス決済の推進、顧客基盤の拡大などを目的として、業務提携すると発表。メルカリでのd払い使用でdポイントがたまるようになる

    2020/2/5
  10. 大丸松坂屋がECサイトでInstagramを使ったビジュアルマーティング、「visumo」導入で実現

    インスタグラムで訴求している写真を公式ECサイトのコンテンツとしても活用できるのではないかと判断、「visumo social curator」の導入を決めた

    2020/1/31

    ※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

    内山 美枝子

    タナックスが「段ボールの改善ヒント集」を発行。段ボール改善から荷主事業主の「ホワイト物流」をサポート

    5 years 9ヶ月 ago

    タナックスは、荷主企業のホワイト物流推進を段ボール改善という切り口からサポートするためのリーフレット「ホワイト物流を目指す荷主企業のための段ボールの改善ヒント集」を発行した。

    リーフレットの発行とあわせて、国土交通省・経済産業省・農林水産省が推進する「ホワイト物流」推進運動の趣旨に賛同。2019年12月に自主行動宣言を事務局へ提出した。

    リーフレット発行に至った背景について、タナックスのコメントは以下の通り。

    2019年7月1日、改正貨物自動車運送事業法により、トラックドライバーの働き方改革に向けた新制度がスタートしました。改正貨物自動車運送事業法のうち、荷主関連部分について2019年7月1日より施行されました。荷主はトラック運送事業者が法令を遵守して事業を遂行できるよう、必要な配慮をしなければなりません。

    当社は100年以上の歴史を誇る包装・梱包のノウハウをもとに、「段ボールのあり方を改善する」「段ボールそのものの良さを見直す」という視点から、ホワイト物流推進への取り組みを検討する後押しとなるよう、本リーフレットを発行しました。

    「ホワイト物流」推進運動とは

    深刻化が続くトラック運転者不足に対応し、国民生活や産業活動に必要な物流を安定的に確保するとともに、経済の成長に寄与することを目的とした運動。国土交通省・経済産業省・農林水産省が、上場会社や各都道府県の主要企業約6,300社に対し参加の呼びかけを2019年4月にスタートした。

    タナックス 物流 リーフレット ホワイト物流 段ボールの改善ヒント集
    (「ホワイト物流」推進運動ポータルサイトより編集部がキャプチャ)
    藤田遙
    藤田遙

    佐川急便とローソンがタッグ、不在荷物の店頭受け取りをトライアルでスタート

    5 years 9ヶ月 ago

    SGホールディングスグループの佐川急便と、コンビニエンスストアを運営するローソンは2月3日、ローソンの既存店舗を活用した、不在再配達荷物の店頭受け取りサービスの実験を開始すると発表した。

    店頭受け取りサービスの実験は2月3日~7月31日、栃木県内のローソン24店舗で実施する。

    実験では、栃木県の対象エリア内で佐川急便の配達員が投函する不在票に、不在再配達荷物のローソン店頭受け取りの選択を追加。不在再配達荷物は、佐川急便の営業所からローソン店舗に配達する。顧客は店舗で不在票と引き換えに、不在再配達荷物を受け取ることができる。

    SGホールディングスグループの佐川急便と、コンビニエンスストアを運営するローソンは2月3日、ローソンの既存店舗を活用した、不在再配達荷物の店頭受け取りサービスの実験を開始すると発表
    不在荷物店頭受け取りの運用フロー

    今回の取り組みは、受け取り方法の多様化による顧客満足の向上を期待している。不在再配達に伴う配達トラック台数の削減により、ドライバー不足の解消やCO2の削減につながることも見極める。実験の結果を踏まえ、今後の実施店舗の拡大を検討していく。

    対象エリアは、宇都宮市(一部除く)、鹿沼市、下野市、栃木市、河内郡、足利市、佐野市、小山市、下都賀郡。

    ローソンは2011年4月、栃木県と包括連携協定を締結し、県産品を使用した商品の開発・販売など、栃木県の地域活性化に向けた活動を行っている。今回の不在再配達荷物の店頭受け取りの実験は、包括連携協定の一環として実施する。

    石居 岳
    石居 岳

    「MakeShop」の集客ツール「アイテムポスト」が「LINEショッピング」とサービス連携

    5 years 9ヶ月 ago

    GMOメイクショップが運営するECサイト構築ASP「MakeShop byGMO(以下MakeShop)」は、2月4日から集客ツール「アイテムポスト」が「LINEショッピング」とサービス連携を開始した。「MakeShop」を利用しているEC事業者は「アイテムポスト」に掲載した商品を「LINEショッピング」に自動掲載することができるようになる。

    GMOメイクショップ MakeShop LINEショッピング アイテムポスト サービス連携
    (アイテムポストサイトより編集部がキャプチャ)

    「LINEショッピング」は、ユーザーは掲載された商品をユーザーがクリックすると出品元のECサイトに移動し、商品が購入された場合のみ販売事業者に手数料が発生する成果報酬型のECサービス。「LINEショッピング」とのサービス連携は、ECサイト構築ASPサービスでは「MakeShop」が初という。

    今回の連携を記念して、通常は5,000円(税抜き)の月額掲載費用が、2020年7月31日(金)まで無料となるキャンペーンを実施している。

    サービス連携の背景について、GMOメイクショップのコメントは以下の通り。

    昨今のEC取引は、いつでも気軽に商品を検索、購入できるという利便性から、物販分野のEC取引のうち39.3%がスマートフォンを経由して行われています。スマートフォンユーザーの目に留まる機会を創出することが、ショップ運営者の販促支援につながると考えていました。

    一方「LINEショッピング」は、月間8,300万人が利用するコミュニケーションアプリ「LINE」から利用できる、会員登録数3,500万人を超える総合ショッピングサービスです。ファッションや雑貨をはじめ、スポーツ、インテリア、家電、コスメなど約250社、1億点を超える商品を「LINE」アプリ上から手軽に検索して購入まで行うことができます。

    そこでGMOメイクショップは、ショップのスマートフォンユーザーの集客を支援するべく、「アイテムポスト」において、3,500万人を超える会員を持つ「LINEショッピング」とサービス連携することにいたしました。

    藤田遙
    藤田遙

    楽天が自動車関連サービスを統合、新ブランド「楽天Car」開始

    5 years 9ヶ月 ago

    楽天は2月3日、グループが手掛ける自動車関連サービスを統合した新ブランド「楽天Car」を立ち上げた。自動車の購入や売却、洗車、車検などのサービスをまとめることで、ユーザーにとって分かりやすくするとともに、サービス間の連携強化を図る。

    「楽天Car」に統合したサービスは次の5つ。

    1. 楽天車検:車検の事前見積もり・来店予約サイト
    2. 楽天カーサービス:中古車の買取一括査定依頼、洗車およびカーコーティングサービスの比較・来店予約、タイヤ取付予約サービス
    3. 楽天カーサービスアプリ:ガソリンスタンド検索アプリ
    4. 楽天カーサービスマガジン:自動車関連のお得な情報を紹介するウェブマガジン
    5. カープライス:連結子会社である楽天カーが運営する中古車買い取りオークションサービス

    また、中古車販売サービス「楽天Car楽天市場店」を2月3日に開設した。

    今後、「楽天Car」ブランドで提供する自動車関連サービスのラインアップを拡充する予定。

    楽天によると、自動車関連サービスのニーズは近年高まっており、「楽天カーサービス」の2019年におけるタイヤ取付サービスの予約数は前年の5.6倍、「楽天車検」は2019年の予約数が前年の1.6倍だったという。

    渡部 和章
    渡部 和章

    キャッシュレス決済に求めるのは「ポイントのたまりやすさ」「利用時の安心さ」。スマホ決済は「コンビニ」利用が1位

    5 years 9ヶ月 ago

    MMD研究所がビザ・ワールドワイド・ジャパンと合同で行った「2020年キャッシュレス・消費者還元事業における利用者実態調査」第2弾結果を発表した。調査対象者は月1回以上キャッシュレス決済を利用している20歳~69歳の男女1,500人、期間は2019年12月13日~12月22日。

    キャッシュレス決済のイメージ1位は「支払いの早さ」

    調査対象者に「キャッシュレス決済のイメージ」について聞いたところ、「支払いがスピーディー」(47.1%)が1位。2位は「お得である」(34.5%)となり、支払いの早さとお得感の2つがポジティブな要素となった。一方、「お金を使いすぎてしまう」(24.4%)とお金の管理について課題を感じている状況もわかった。

    キャッシュレス決済 クレジットカード スマホ決済 QRコード決済 イメージ ポイントのたまりやすさ 調査
    キャッシュレス決済のイメージは?(n=1,500)出典:MMD研究所

    年代別に見ると、「支払いがスピーディー」「お得である」が20代で最も多く、「お金を使いすぎてしまう」が50代、「日常使いしたい」「実用的だと感じる」は60代が多い。

    キャッシュレス決済 クレジットカード スマホ決済 QRコード決済 イメージ ポイントのたまりやすさ 調査
    キャッシュレス決済のイメージは?年代別数表(n=1,500)出典:MMD研究所

    キャッシュレス決済を使う理由は「ポイントのたまりやすさ」がトップ

    「現金ではなくキャッシュレス決済を利用する理由」をキャッシュレス決済方法別に聞いたところ、「ポイントがたくさんたまる」が決済手段を問わずトップ。特にクレジットカードは41.4%と最も高い。

    特に利用の多い決済種別(クレジットカード、カード型タイプ電子マネー、QRコード決済)の利用理由をそれぞれ見ると、クレジットカードは「利用できる場所が多い」(17.1%)、カード型タイプ電子マネーは「素早く決済したい」(25.6%)、QRコード決済は「キャンペーンが魅力的」(20.9%)が他の決済種別と比較して高い傾向にある。

    キャッシュレス決済 クレジットカード スマホ決済 QRコード決済 イメージ ポイントのたまりやすさ 調査
    キャッシュレス決済 クレジットカード スマホ決済 QRコード決済 イメージ ポイントのたまりやすさ 調査
    キャッシュレス決済 クレジットカード スマホ決済 QRコード決済 イメージ ポイントのたまりやすさ 調査
    キャッシュレス決済を使う理由は?(複数回答可/n=1,500)出典:MMD研究所

    シニア層はキャッシュレス決済に「安心して利用できること」を求める

    「キャッシュレス決済に求めるもの」についての回答は、「ポイントがたまりやすい」(49.5%)が最も高く、次いで「安心して利用できる」(46.5%)、「利用できる場所が多い」(43.1%)、「簡単に利用できる」(37.7%)。

    若年層は「ポイントがたまりやすい」が多い一方、シニア層は「安心して利用できる」のポイントが高かった。また、若年層と比べて「利用できる場所」や「簡単な利用方法」をより強く求める傾向がある。この結果から、キャッシュレス決済にはお得さや安心感、日常的に利用できることが重要視されていることがわかる。

    キャッシュレス決済 クレジットカード スマホ決済 QRコード決済 イメージ ポイントのたまりやすさ 調査
    キャッシュレス決済に求めるものは?(複数回答可/n=1,500)出典:MMD研究所

    クレジットカードは「スーパー」、電子マネーやスマホ決済は「コンビニ」が利用場所1位に

    「キャッシュレス決済の利用場所として最も多い場所」は、クレジットカードとデビットカードは「スーパーマーケット」が1位。カード型タイプ電子マネー、QRコード決済、スマートフォン電子マネー、プリペイドカードは「コンビニエンスストア」が1位だった。

    全体的に見ると、「スーパーマーケット」と「コンビニエンスストア」が他の利用場所と比べて10ポイント以上高く、キャッシュレス決済が日常的に利用されていることがわかる。

    キャッシュレス決済 クレジットカード スマホ決済 QRコード決済 イメージ ポイントのたまりやすさ 調査
    キャッシュレス決済の利用場所は?(n=1,500)出典:MMD研究所

    ポイント還元事業後のキャッシュレス決済への期待は若年層が高い

    「キャッシュレス決済ポイント還元事業が終わったら、キャッシュレス決済の利用頻度はどう変わると思うか」と聞いたところ、約6割以上が「変わらない」と回答。

    キャッシュレス決済 クレジットカード スマホ決済 QRコード決済 イメージ ポイントのたまりやすさ 調査
    「ポイント還元事業」後のキャッシュレス決済の利用頻度はどう変わるか?(n=1,500)出典:MMD研究所

    世代別に「増えると思う」「減ると思う」を比べたところ、男性の20代と30代、女性の20代は「増えると思う」が「減ると思う」を大きく上回る結果となった。60代女性は「減ると思う」が「増えると思う」を上回っている。若年層になるほどキャッシュレスへの期待が大きいことがわかった。

    キャッシュレス決済 クレジットカード スマホ決済 QRコード決済 イメージ ポイントのたまりやすさ 調査
    「ポイント還元事業」後のキャッシュレス決済の利用頻度はどう変わるか?(男性n=842、女性n=658)
    出典:MMD研究所
    調査実施概要
    藤田遙
    藤田遙

    「ナノ・ユニバース」「高島屋」がAIチャット接客で実現した新たな顧客体験とは

    5 years 9ヶ月 ago

    チャットを利用したデジタル接客を数多くの企業に提供している空色。同社の中嶋洋巳代表取締役社長が、多様な業種への導入実績から得た知見と事例を元に、チャット接客の現状とこれからを語る。

    若年層を中心に変化する消費者行動

    サイトを横断し、比較検討してから購入

     

    近年、チャット接客がB2Cサービスの中で急速に普及しているが、その要因は、エンドユーザー側の環境変化にある。

    特に若年層を中心に、ECでも実店舗でも、買い物時に「デジタル利用」が欠かせなくなってきているのだ。

    たとえばネットサーフィン中にお気に入りの服を見つけ、ECサイトで購入しようとする。ユーザーの多くはまず、ZOZOTOWN、Amazon、楽天などのプラットフォーマーやメーカー直営のECサイトで価格を比較しつつ、口コミやレビューで評価を確認することだろう。場合によっては、メルカリなどのC2Cサービスでもっと安く買えないか調べたり、生地の質感やサイズを確認するため、実店舗に足を運んだりする人もいるかもしれない。

     

    現代の消費者は、さまざまなサイトを横断して比較検討してから購入に至る

    利用デバイスもここ数年で変化し、実に7~8割がスマートフォンからサイトにアクセスすると言われている。スマートフォン向けECサイトのユーザー滞在時間は、1ページあたり平均1~2分とされる。一般的に読むのが速い人で約800文字、遅い人だと400文字以下が処理できる情報量だとされており、PCからのアクセスを基準に作られたコンテンツは内容の良し悪しにかかわらず、ユーザーがすべてのコンテンツを処理しきれないケースが多い。

    注目されるチャット接客とは?

    EC売上の約10%を占めるナノ・ユニバースのチャット活用事例

     

    空色が支援する、ファッション大手「nano・universe(ナノ・ユニバース)」は、ECサイト経由の売り上げが全体の約40%を占め、そのうち約10%はチャット経由となっている。チャットを経由した販売が伸びた理由を中嶋氏は、「ユーザーインターフェイスの工夫によるもの」と明かす。

    ナノ・ユニバースのアプリと、チャット画面。お問い合わせボタンの配置を工夫している

    上図、一番左の画像はナノ・ユニバースの公式アプリトップ画面から一つ進んだ商品画面。赤で囲われている部分にある「お問い合わせボタン」をタップすると、チャット画面が開く(一番右の写真)。こちらは商品画像の直下に置かれているため、特定の商品に関するサイズ感やコーディネートに関する問い合わせが多く、約7割を占めているという。

    中央の画像は、ブラウザベースで見た場合のイメージ。赤で囲われたヘッダ部分に「お問い合わせボタン」が配置されている。この位置にボタンがあると、「特定の商品についてではなく、メールフォームやコールセンターと同様に全般的な問い合わせが届く」(中嶋氏)。

    つまり「お問い合わせボタン」の配置を工夫することで、それぞれ異なる目的を持ったユーザーをチャットに誘導することができるのだ。一度チャットを利用したユーザーは、その利便性から約3割が継続利用するため、ユーザー全体のチャット利用頻度を上げる効果が見込める。後述するが、チャットの利用頻度が上がれば売上アップにも業務改善にもつながる

    ナノ・ユニバースのチャット接客の始まりは、商品に関する相談を行う時間限定の有人チャットだった。その後、AIチャットボットも導入。有人チャットで得た多くのチャットログを学習させ、購買サポートだけでなく、お問い合わせ全般で自動対応が可能になった。

    その結果、「エンドユーザーの購買行動も変化した」と中嶋氏はいう。

     

    空色の中嶋洋巳代表取締役社長

    実店舗に来店したユーザーが、たとえ店舗スタッフが隣にいても、事前に会話をしているチャットスタイリストに相談するようになったのだ。実店舗での購買に関しても、チャット接客を通じて顧客の意思決定を支援できるようになった。

    現在同社のサポート体制は、「チャット+メール+電話」を統合したデジタルコンタクトセンターへとさらにステップアップしており、購買面だけでなくカスタマーサポートの業務効率も飛躍的に改善しているという。返品希望商品の不具合の説明など、電話には向いていない問い合わせに対し、チャットで商品写真を送付してもらうなどの対応が可能になったからだ。音声では平均20~30分ほどかかっていた対応が、数分で解決することもあるという。

    これまでコールセンターで行なっていた応対を、意図的にチャットセンターにシフトすることでデータの蓄積速度は高まり、AIを活用することでさらに対応効率を高めている。

    訪日外国人向け施策を展開する高島屋

     

    訪日観光客が増加傾向にある日本では、店舗側も多言語対応が求められている

    高島屋京都店において行われているのは、訪日外国人向けの施策だ。店内の様々な所に設置されたQRコードを個人のスマートフォンで読み込むと、言語ごとのAIチャットボットが立ち上がり、コンシェルジュやフロアガイド、ディスプレイの役割を果たしてくれる。

    現在はまだ店舗案内などシンプルなもののみだが、テナントごとのキャンペーンやおすすめ商品の紹介など、テナント側の様々な意見を取り入れたシナリオ展開ができる体制は整っているという。

    現在対応している言語は、日本語・英語・中国語。導入による効果は大きいものの、多言語チャット接客ならではの新たな課題も浮かび上がってきている。

    それは会話設計の「チューニング」である。インバウンドのユーザーは知りたい情報が多いため、入力に時間がかかることがある。気軽に質問ができるよう自然入力から選択式で聞きたいメッセージを選べる仕様変更など、今後もユーザー目線でのサービス向上を模索している。

    チャット接客の成果と課題

    脅威の「チャットセンター離職率0%」を支えるチャット接客

     

    空色が提供するチャット接客サービス導入実績。売上、業務改善ともに目覚ましい効果がある

    上図は、中嶋氏が代表取締役を務める空色の過去の導入実績をまとめたものだ。チャット接客を導入した企業の、アプリ経由の購入率は最大30%、店舗送客率は最大40%となっている。また、リピート率は最大30%、購入単価は最大250%アップと、売上への直接的な影響も大きいコンタクトセンターの対応コスト削減率は43%と、業務改善にも貢献している。

    特筆すべきは、チャットセンターの離職率だ。一般的に30%を超え、高いといわれるコールセンターの離職率(年間ベース)だが、空色のチャットセンターの離職率は0%(2019年1月~12月で集計)である。

    チャットで接客する場合は、担当オペレーターが応対しているチャットを、リアルタイムにスーパーバイザー始め複数のスタッフが共有することで、サポート体制を強化できる。スピード感を持って顧客対応できれば、顧客、コールセンタースタッフ双方のストレス軽減にもつながる。また分からないことがあっても応対時に検索しながら進めることができ、かつ口頭での瞬時の応答が求められるコールセンタースタッフと違い、覚えることが少ないのも利点だ。

    旧来のコールセンターとは異なり、チャットはテキストベースで行うため、音声での応対経験が少ない若年層にとってもストレスが少ないことも、離職率の低さを支える一因となっている。

    カスタマーサポートはコストセンターからプロフィットセンターへ

     

    最後に中嶋氏は、チャット接客導入によるカスタマーサポートの変化について紹介した。

    業務効率化に加え購入に繋がるような会話も数多く発生しており、今まではコストセンターだったカスタマーサポートが、チャットセンターとAIチャットボット導入により「プロフィットセンター」として売上を計上できるようになった(中嶋氏)

    また今後について、「AIチャットボットやチャットセンターの取り組みを進めて行く上で、それぞれの企業でカスタマーサポートを行う部門と、店舗やWebでセールスを行う部門の壁が薄くなるだろう」(中嶋氏)と、近い将来、部門間の連携が強化されることを示唆し講演を締めくくった。

    株式会社クマベイス
    株式会社クマベイス

    「カスタマージャーニー」はもう古い?変化し続ける消費者ニーズに対応する方法とは | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

    5 years 9ヶ月 ago

    2010年代のデジタルマーケティングを定義した概念があるとすれば、それは間違いなく「カスタマージャーニー」でしょう。毎日チェックするニュースフィードから、プレゼンテーション、調査報告書、会議まで、すべてがカスタマージャーニーについて取り上げ、それを最適化する方法について議論されてきました。ですので、「カスタマージャーニー」なんてものは実は存在しないと知ったら、驚くかもしれません。

    従来型カスタマージャーニーは意味を成さない?

    消費者は全員、それぞれの人生の旅の途中です。好みは絶えず進化し、取り巻くトレンドに対応しています。消費者はその過程で、企業が配信するコンテンツに触れ、どう反応するかを選択し、ブランドとの間に独自の関係性を築いていくのです。

    消費者が辿る道はそれぞれ異なりますし、Googleマップのように事前に地図化することもできません。各ステップの計画をいくら慎重に練っても、消費者は常に驚くような意外な道を見つけるものです。

    大好きだった流行り物に突然飽きてしまうこともあれば、転職したり、子どもができたりすることもあります。そして、まったく異なる趣味を持った新しい友達を作ったりします。そうなると、慎重に考えられた「カスタマージャーニー」が、煙の中に消えていくのです。

    幸いなことに、消費者が次にどこへ向かっているのかを予測して、新しい地点に到着したときに待ち伏せすることは可能です。その為には、アップグレードされたツールが必要です。そしてさらに重要なのは、消費者が辿る「カスタマージャーニー」に対する考え方を変える必要があることです。

    従来型のカスタマージャーニー
    従来型のカスタマージャーニー。Harvard Business Review「Using Customer Journey Maps to Improve Customer Experience」より編集部が作成

    消費者の生活は、ブランド戦略よりもはるかに急速に進化する

    100年の歴史を持つ由緒あるブランドであろうと、アジャイルでデジタルファーストな風雲児ブランドであろうと、新しいマーケティング戦略に方向転換するには時間がかかるものです

    コンセプトミーティングを開き、クリエイティブチェックを何度も行い、中核となるメッセージを明確にする必要があります。もちろん、これらの新しいアイデアすべてを、経営幹部レベルにも理解してもらわなければいけません。

    1つのキャンペーンを企画している間にも、消費者の嗜好やライフスタイルは変わっていきます。企画を実行する頃には、彼らの現実の生活は、想定していたペルソナとは全く違うものになっているかもしれません。

    「ミレニアル世代のマギー」は結婚し、家を買い、子どもをもうけているかもしれません。「CEOのスティーブ」は引退後、モンタナに移り住み、フルタイムの趣味としてフライフィッシングを始めているかも知れないのです。

    その結果、何が起こるでしょう? 何千通ものメールを送っても、クリックはされません。言うまでもなく、膨大な時間と社内リソースが、消費者の新しい興味や嗜好にそぐわない内容を開発するために費やされているのです。

    もっといい方法があるはずですし、実際にあります。しかし、戦略の重要な転換から始めなければいけません。戦略転換の為のアイデアをいくつかご紹介します。

    「カスタマージャーニー」を事前に計画するのではなく、待ち伏せする

    消費者の好みや欲求は予測できないように見えるかもしれませんが、それらは無秩序に変化している訳ではありません。1人ひとり、変化する生活環境に応じて、新しい習慣、興味、願望を持つようになります。結婚や退職などの大きな変化もあります。もしくは古いワードローブに飽きる、などの些細な変化もあるかもしれません。

    しかし、ここで忘れてはいけない重要な事実があります。消費者はある商品カテゴリーに興味を失うたびに、別のカテゴリーに新しい興味を持っているのです。

    消費者が何かしら新しいニーズを発見したときに、そこで待ち伏せするのです。彼ら自身がニーズを認識する前に、求めている新しいエクスペリエンスを正確に示すことが大切です。この魔法を実現するには、「カスタマージャーニー」の計画を前もってやめる必要があります。

    白いキャンバスへ消費者に色をつけてもらう

    従来の「カスタマージャーニー」は、本質的には一次元的な線で表されます。事前に決定された一連のポイントを消費者に案内するのです。そして、予測された道から消費者が大きく逸脱したとき、あなたのアルゴリズムは突然、手がかりを失います。

    必要なのは新しい機械学習モデル。消費者が自由にカスタマージャーニーを描けるように手助けする、マーケティングツールが使えるキャンバスになるのです。事前に指定されたセグメント全員に同一メールを機械的に送信する代わりに、最新のパーソナライゼーション・ソフトウェアを使えば、消費者データを使用して各個人の最近の購入履歴を「点で結び」、そのパターンを分析して彼らが次にどこに向かっているかを予測できます

    最新のソフトウェアでは、すべての消費者に対してその場で生成される予測モデルを使用して、どの商品を購入する人が高価値帯の商品に興味を持つかを知ることも可能です。

    実際、特定のビジネス目標を達成するために、そのソフトウェアを活用することもできます。そうすれば、消費者1人ひとりを目的の商品に導くことができるのです。何百万人にも上る消費者の進化する好みや願望と完全に同期したレコメンデーションを、すべてリアルタイムで適用します。

    ◇◇◇

    このような一歩進んだ視点から振り返ると、旧式の「カスタマージャーニー」はフィクションであり、そもそも実在しないものだったことは明らかです。適応性のある多次元的な白いキャンバスという新しい世界に足を踏み入れると、消費者の方向性が突然、または急激に変わっても、常に数歩先を行くことができます。

    つまり、消費者の魔法のような商品発見の瞬間に、待ち伏せすることができるのです。そして、そのように個人レベルで繋がった後は、過去を振り返りたくなることは決してないでしょう。

    Internet RETAILER
    Internet RETAILER

    日本郵便 × テクノロジー企業の物流ラストワンマイル問題への取り組み。自律走行型ソフトロボットによる「動く宅配ボックス」の実証実験

    5 years 9ヶ月 ago

    アメーバエナジーと日本郵便は1月30日、神奈川県相模原市の「さがみロボット産業特区プレ実証フィールド」において、自律走行型ソフトロボット「Amoeba GO-1」による集合住宅へのラストワンマイル配送を想定した実証実験を行った。

    今回の実証実験の内容は下記のとおり。

    1. オートロックを想定したエントランス部分で、配達員がロボットに荷物を預ける
    2. 段差や階段を乗り越え、各戸の前まで荷物を運ぶ
    3. 住戸の前で指定された荷物を下ろし、荷物を置いた状態を撮影する
    4. ロボットが撮影した写真をユーザーに送信する
    配達員が「Amoeba GO-1」に荷物を入れる
    ①配達員が背面のフラップを開けて荷物を入れる。ロボットは狭い場所でも旋回できる
    階段を登る「Amoeba GO-1」
    ②段差が18センチまで、傾斜角度が35度までの階段なら昇降できる
    ③ゆっくりと傾斜を付け、背面から滑らせるようにして荷物を下ろす
    「Amoeba GO-1」の配達完了画面
    ④配達完了の通知画面

    なぜソフトロボットなのか

    「Amoeba GO-1」は従来のロボットのイメージを覆す「ソフトロボット」。「ソフトロボット」とは生物が持つ柔らかい素材が持つしなやかな動き、適応性の高さ、接触したときの安全性、心理的な親近感などを持つロボット。柔らかなスポンジ状のキャタピラで、階段もしなやかに移動できる。

    今回の実証実験は、配達員が宅配ボックスではなくロボットに荷物を預けるという、ロボットを動く宅配ボックスとして活用する試み。開発を手がけるアメーバエナジー代表の青野氏は、「宅配のラストワンマイルの課題を解決するには、置き配の自動化が必要だが、住宅には段差や階段がある。ソフトロボットなら柔軟に対応できる」と語った。

    Amoeba Energy 代表取締役社長 青野真士氏
    Amoeba Energy 代表取締役社長 青野真士氏 

    日本郵便ではマンガで置き配の利用を促進するコンテンツを作成するなど、置き配の普及に取り組んでいる。日本郵便 オペレーション改革部 部長の五味儀裕氏は、「宅配業界では再配達をどう減らすかが大きな課題。日本郵便でも置き配を進めているが、オートロックが障壁になって置き配ができないことが多い。今回の実証実験はオートロックの内側からアプローチするのがポイント。ドローンや車輪型のロボットなど、さまざまな新技術の実験をしているが、Amoeba GO-1は階段を登れるところが魅力」と語った。

    日本郵便 オペレーション改革部 部長 五味儀裕氏
    日本郵便 オペレーション改革部 部長 五味儀裕氏

    日本郵便×テクノロジー企業の取り組み

    ①宅配ロボット

    日本郵便は2019年1月31にも福島県双葉郡浪江町においてZMPの宅配ロボット「CarriRo Deli(キャロルデリ)」による実証実験を行っており、ゆうパック配送の過程においける人の飛び出しや、自転車や人とのすれ違いなどについて実験した。

    ZMPのプレスリリースよりキャプチャ

    ②自動運転

    2019年3月にはアイサンテクノロジーと自動運転の実証実験を行った。東京国際郵便局から新東京郵便局の間における郵便物の輸送を想定し、新東京郵便局構内においては運転者が乗車しない自動運転を実施した。

    ③ドローン

    小型無人航空機(ドローン)については2018年11月に福島県南相馬市の小高郵便局と、福島県双葉郡浪江町の浪江郵便局の間でドローンでの郵便局間輸送を開始している。また、2020年1月14日からは、奥多摩郵便局と周辺地域で、自律制御システム研究所製の「PF2」による輸送を開始している。

    ④IoT宅配システム

    2020年2月1日からは京セラと横浜市による「IoT宅配システム」の実証実験にも参加している。

    内山 美枝子
    内山 美枝子

    「ネクストエンジン」のHamee、滞留在庫を可視化する「滞留在庫アプリ」をメーカー・小売業者向けにリリース

    5 years 9ヶ月 ago

    Hamee(ハミィ)は2月4日、クラウド(SaaS)型ECプラットフォーム「ネクストエンジン」の追加機能として、ネクストエンジンユーザーの滞留在庫を可視化する「滞留在庫アプリ」の提供を開始したと発表した。

    「滞留在庫アプリ」は、EC事業者が生産・販売している商品について、どの商品が滞留しているのか在庫量を可視化し、完売するまでの期間を予測することができる機能。滞留していると判断された商品は、2020年3月オープン予定のHamee運営の新ECサイトに出品できるようにする。

    Hamee(ハミィ)は2月4日、クラウド(SaaS)型ECプラットフォーム「ネクストエンジン」の追加機能として、ネクストエンジンユーザーの滞留在庫を可視化する「滞留在庫アプリ」の提供を開始
    Hameeが開始予定のECサイトの概要(画像は「ネクストエンジン」から編集部がキャプチャ)

    Hameeはスマホケース「iFace」の販売、「ネクストエンジン」を通じた3790社のEC事業者との取引から、業界内での大量廃棄や滞留在庫について危機感を感じていた。商品価値があるはずの在庫商品は「ネクストエンジン」内だけでも600億円以上あるという。

    「滞留在庫アプリ」を通じ、スマートフォンアクセサリー類の販売事業者、3790社のEC事業者と取引を行うプラットフォーマーとして、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」と、大量生産・大量販売によるゆがみを解消していきたいとしている。

    在庫問題で先行してサービスでは、在庫問題を解決するクラウドサービス「FULL KAITEN」をフルカイテンが開発・販売している。「在庫の実力を可視化」「仕入れ個数の最適化」「販売手法を最適化」といった機能を搭載し、ECやリアル店舗の在庫削減、仕入れ最適化、粗利増加を支援している。

    石居 岳
    石居 岳

    ECシステムはいつリリースすべきか? 失敗しないシステム刷新のポイント | EC部長が担当者に読んでもらいたいこと

    5 years 9ヶ月 ago

    ECシステムの刷新には、「社内にわかる人を置く」「経験ある開発者チームを雇う」「欲張らない」「とにかくソフトオープン」「企業の論理に負けない」、できれば「痛い目にあったことのある人をプロジェクトに入れる」ということを実施し、「どんなシステム、プロジェクトでもでもトラブルは起こりうる」ということを念頭に置いて取り組くむことが重要になります(参照記事:「失敗しないECシステム刷新のポイントとは?」)

    今回、昨今のシステムリリースの課題で押さえるべき上記ポイントに加え、システムリリースを「いつ」するべきかを説明していきます。

    タイミング選定は「売り上げ等の事業活動への影響最小化」「リスク回避」

    企業の論理(都合)を優先したシステムリリースのよくある例として、「記念日に無理に合わせる」「トップが発言してしまった期日を死守しようとする」「キャンペーン等集客のピークをぶつけてくる」など、いきなりハードオープンになるのを避けるのは言うまでもありません

    その上で、システムリリースのタイミング選定には、「売り上げ等の事業活動への影響最小化」と「リスク回避」という2つの考慮点があります。それに基づくと一般に次のようになります。

    • 売り上げ、トラフィックが少ないとき(≒繁忙期でないとき)
    • 繁忙期までに十分の期間を空けた時期(できれば、同月の月初月末を含む1か月以上前。何かあったときに繁忙期までに対処ができる時間を持つということ)
    • 世の中が止まっていないとき(年末年始、GW、お盆、3月中旬~4月中旬など)

    これらは、売り上げや事業活動へのインパクトを一番減らす目的もあります。加えて、何かあったときに、リソース、人員などを活用できる時期(≒世の中が止まっていないとき)だからです

    年末年始、GW、お盆は、多くの人が休んでいたり、会社自体が休業していますので、トラブルが生じた際、担当者に連絡が取れなかったり、作業にあたれないなど解決までに時間がかかることがあります

    3月中旬~4月中旬は、日本企業の多くが年度末・年度始まりで、人員の獲得の問題もあります。また、人事異動などで組織内に落ち着きがなかったり、責任があいまいだったりということがありますので、この時期も避けた方がよいでしょう。

    このような時期でも、「開発会社は人材を確保しているので大丈夫です」と言われます。しかし、その他の時期よりも課題があることは明白です。そのまま信じてリスクを取るかどうかは依頼側の責任となります

    結果的に小売りなどでは、実店舗の改装のように、システムリリースも2月や9月が多くなります。ECなどWebシステムの場合、2月や9月を予定していたが、遅れて3月や10月になることも多いのが実情です。

    ECシステムのリリースタイミングのポイント
    ECシステムのリリースタイミングのポイント

    BtoCシステムはソフトオープンを心がける

    さらに細かい懸念を言うと、

    • 月末(末日)や月初(1日)にかぶらないようにする
    • 土日祝日にリリースしない

    などがあります。

    月末月初を避けるのは、会計の〆の際にシステム障害が起きて影響が広がることを防ぐためです。土日祝日は世間が動いておらず、また、月曜日のリリースになると土日に準備がいるため人材の配置が必要になります。金曜日リリースは何かの際に土日対応が必要になりますので、できれば「火水木」にリリースをすることをお勧めしています

    開発会社がシステム要員をキープしている場合もありますが、リリースで何が起きるかわかりません。筆者の経験で、サーバを起動させた際、ハードウェア障害を起こしてしまい、結局メーカーの対応が必要になったこともあります。

    開発会社が自社や協力会社のソフトウェアのエンジニアを待機させていることはありますが、金融機関でもいない限り、ハードウェアのベンダーまで待機させていることは少ないので、結局ハード障害に対応するために平日昼間まで待つことになります

    もちろん、体制を整えれば整えるほど費用はかかります。それも、問題がなければいらない「無駄な」費用です。ですので、売り上げやその他のリスクと費用を鑑みた上で、どこまでの体制を採用するかという決断をする必要があります

    上記を考慮したうえで、週半ばの平日の昼間、もしくは早朝にリリースすることが、結局一番リスクが低く、体制をとる費用は低くなります

    ◇◇◇

    筆者がいつも指摘していることですが、BtoCシステムは、とにかくソフトオープンが重要です。

    また、新規リリースの場合は事前予告しない限り、あまり対外的な問題はありません。リプレースの際は、ビジネスが止まったり、既存顧客に迷惑をかけるなどインパクトが大きいということです。

    どこまで考慮するか、リスクをとるかは、会社や事業の状況、内容によります。そのため、一概には言えません。しっかり検討した上で、タイミングやどうするかを決定し、それに合わせた準備を行わなくてはならないのは当然ことと言えるでしょう

    中島 郁
    中島 郁

    旧メディアハーツ(現ファビウス)、定期購入の表現巡る消費者団体の差止請求訴訟で一審勝訴

    5 years 9ヶ月 ago

    通販サイトの表現が景品表示法に違反しているなどとして、消費者団体が青汁通販のメディアハーツ(現在の社名はファビウス)に対して不当表示の差し止めを求めた訴訟で、名古屋地方裁判所は消費者団体側の請求を棄却した。ファビウスは1月27日に勝訴したと発表した。消費者団体側は判決を不服として1月8日に控訴している。

    提訴したのは特定非営利活動法人消費者被害防止ネットワーク東海。消費者の利益を守るために、事業者に対して表示の差し止め請求などを行える「適格消費者団体」に認定されている。

    消費者被害防止ネットワーク東海は2018年1月、メディアハーツ(社名は当時)が運営するECサイトの定期購入の表示が景品表示法に違反しているなどとして、表示の差し止めを求めて提訴した。

    定期購入コース「ラクトコース」は4カ月分以上を購入する必要があり、支払い総額は最低でも1万1070円だが、通販サイトには初回購入の金額が630円であると目立つように表示しており、そのことが消費者の誤解を招くと主張した。また、返金の仕組みが消費者にとって分かりにくいなどとした。

    消費者被害防止ネットワーク東海は、こうした表現は景品表示法が禁じる有利誤認(実際の取引よりも有利な取引であると消費者を誤認させること)に当たるとし、表示を変えるよう求めていた。

    これに対し、名古屋地裁は消費者被害防止ネットワーク東海の請求を棄却した。

    ファビウスによると、名古屋地裁は「(契約の)条件は十分明示されており(略)、社会一般に許容されている誇張の限度を超えて販売価格の有利性があると誤信させるものであるとは言えない」「初回の支払金額を定額にする表示が(略)有利誤認表示にあたるとは言えない」との判決を下したとしている。

    渡部 和章
    渡部 和章

    メルカリとメルペイ、NTTドコモが業務提携。「メルカリID」と「dアカウント」の連携でシームレスな電子マネー決済が可能に

    5 years 9ヶ月 ago

    メルカリ、メルペイ、NTTドコモは2月4日、3社のユーザーの利便性とサービス向上、キャッシュレス推進、新規事業の検討などを目的に業務提携すると発表した。「メルカリID」と「dアカウント」の連携、「メルペイ」と「d払い」のウォレットの電子マネー残高・ポイント連携などを行う。

    メルカリ メルペイ ドコモ メルカリid d払い 業務提携

    業務提携の内容は次の通り。

    • 「メルカリID」と「dアカウント」の連携による顧客基盤の拡大(2020年5月開始予定)
    • 「メルカリID」と「dアカウント」の連携により、「メルカリ」での取引1回につき、取引額100円(税込み)ごとにdポイントを1ポイント還元(2020年5月開始予定)
    • dポイントを1ポイントあたり1円(税込み)として、「メルカリ」での取引に使用可能(2020年5月開始予定)
    • 「メルペイ」ウォレットと「d払い」のウォレットの電子マネー残高・ポイント残高を連携。3社のサービスにおけるポイントのシームレスな利用を実現
    • 「メルペイ」「d払い」加盟店の共通化、共同での営業推進(2020年初夏開始予定)
    • 一部ドコモショップで実施している「メルカリ教室」や「メルカリ」の梱包・配送サポートの全国展開の推進を検討
    • 3社が保有する各種データを連携したfintechサービスの開発を検討
    • 新たなマーケティングや販促ソリューションの開発を検討

    今回の業務提携を記念し、2020年2月4日(火)から2月24日(月)まで「メルカリでd払いを使うと+10%還元キャンペーン」を実施する。2月の「毎週おトクなd曜日」と組み合わせることにより、「メルカリ」での買い物で「d払い」を利用すると購入金額の最大20%のdポイントが還元される。

    メルカリ メルペイ ドコモ メルカリid d払い 業務提携 キャンペーン
    期間中は「メルカリ」での「d払い」決済1回につき決済手数料、1回100円分のdポイントが付与されるキャンペーンも実施される

    業務提携の背景について、メルカリのコメントは下記の通り。

    メルカリとドコモは、2015年4月のキャリア決済のパートナーシップに始まり、2019年4月には「メルカリ」で売れたものを梱包・発送できる「つつメルすぽっと」のドコモショップ内への設置や、同年10月には「メルカリ教室」を共同開催するなど、これまで多くの取り組みを重ねてまいりました。

    今回の業務提携により、これらの取り組みを拡大するとともに、両社IDの連携によりメルカリ、メルペイ、ドコモの3社で国内最大規模の顧客基盤を保有するアライアンスを構築し、さまざまなサービスを提供することが可能となります。

    さらにスマホ決済領域での加盟店共通化など、3社が持つアセットを相互に活用し、ポイントをシームレスに利用できる決済サービスを実現することにより両グループのお客さまの利便性向上、日本におけるキャッシュレス推進をめざし、さまざまな事業を展開してまいります。

    藤田遙
    藤田遙

    ざっくりわかる機能性表示食品制度の「事後チェック指針」

    5 years 9ヶ月 ago

    消費者庁は1月16日、「機能性表示食品に対する食品表示等関係法令に基づく事後的規制(事後チェック)の透明性の確保等に関する指針(案)」について、パブリックコメントの募集を開始した。意見募集期間は2月14日まで。3月上旬までに意見のとりまとめを行い、3月下旬に公表し、4月1日からの運用を目指す。指針案では「科学的根拠」の考え方と、「広告表示」の考え方の2つの柱を中心に定められている。

    2015年にスタートした「機能性表示食品制度」。届出公表件数は2,300件を超え、市場も3,000億円規模に成長したが、「基準が不明確」という声も多く、景品表示法などに触れて行政処分を受ける事業者も後を絶たない。打ち出された指針案は制度の円滑な運用に寄与するのか? 公開された指針案の概要についてまとめる。

    なぜ指針が必要なのか

    健康食品の広告などの表示において、「不当表示」と判断される基準は下記の2つ。

    ① 「著しく」優良または有利に見える表現

    広告にはある程度の誇張が含まれていることは消費者も想定しており、消費者も競合企業も容認できる些細な誤認ならOKだが、消費者が「表示が実際と違うのなら購入しなかった」「知っていればその商品でなくても良かった」と思うような表現はNG

    ② 一般消費者に誤認される表現

    消費者は表示を手がかりに商品を選択する。世間並みの常識のある消費者が、表示から受け取る印象、認識、期待感などが、実際の商品と差が生じるような表現はNG。ただし、消費者の無知から生じる勘違いや、事実とは異なるが誰も本気では受け取らない表現は除く。

    こうした基準はあるものの、「特定の文言を使っていたらNG」というような単純なものではなく、広告を構成する文章、図版、写真などから総合的に判断し、その広告を見た一般的消費者が持つ「印象」や「期待感」と、事実との間に相違があると判断されたらNGということになっている。実際に事業者からも、

    「処分を受けた会社と、処分を受けなかった会社の表示はどこが違うのかわかりにくい」

    「広告全体で総合的にケースバイケースで判断され、基準が抽象的」

    「規制を予見できる可能性が低すぎる」

    といった声が寄せられてきた。このため消費者庁は、ルールの予見性と透明性を高めるため、有識者や業界団体と「事後チェック指針」の作成を進めてきた。今後は各業界団体内でのチェックを含め、機能性表示食品制度の円滑な運用を目指す。

    事後チェック指針「広告表示」の考え方

    1月29日に健康食品産業企業議会、日本健康・栄養食品協会、日本抗加齢協会、日本チェーンドラッグストア協会、日本通信販売協会の5団体と消費者庁が共同で開催したセミナー「機能性表示食品、新ルールを徹底解説」の中で、消費者庁表示対策課特命室長の田中誠氏は、「広告表示において、事業者の方がつい行き過ぎてしまうポイントが7つある。事後チェック指針では、アクセルを踏みやすい部分にオービスを設置した」と語った。

    消費者庁表示対策課特命室長の田中誠氏
    消費者庁 表示対策課 特命室長 田中誠氏

    指針案の中で「景品表示法上問題となるおそれのある広告その他の表示の要素」としてあげられているのは下記の7つ。

    ①解消に至らない身体の組織機能等にかかる問題事項等の例示

    届出された食品又は機能性関与成分が有する機能性では解消に至らない疾病症状に該当するような身体の組織機能等に係る不安や悩みなどの問題事項を例示して表示することや、当該食品又は当該機能性関与成分が有する機能性ではおよそ得られない身体の組織機能等の変化をイラストや写真を用いるなどにより表示することは、一般消費者が、表示全体から受ける印象によって当該食品を摂取するだけで当該身体の組織機能等に係る問題が解消されるものと誤認する蓋然性があり、そのような表示は、届出された機能性の範囲を逸脱したものとして景品表示法上問題となるおそれがある。

    つまり、「飲むだけで(他には何もしなくても)悩みが解消する」というような、あり得ないことを印象づける表現はNG。

    ②届出された機能性に係る表示

    簡単に言うと下記の4つ。

    • 届け出された機能性の範囲を逸脱した説明をしてはいけない
    • 機能性関与成分ではない成分を強調してはいけない
    • 医薬品や医薬部外品で認められているような効果効能を標ぼうしてはいけない
    • 効果が得られた対象者が限定されている場合、誰でも効果が得られるような表示をしてはいけない

    具体的には「花粉症に効果あり」「糖尿病の方におすすめ」「高血圧の人に」など医薬品的な効果効能にあたる表現がNGのほか、健康の維持・増進という本来の範囲を超えた「肉体改造」「増毛」「美白」などの表現は「意図的な健康の増強の標ぼう」とされるためNG。

    ③実験結果及びグラフ

    消費者に信憑性の高さを印象付ける試験結果やグラフにおいて、実際の試験結果よりも過大な効果があるかのように表示することは景品表示法上問題となるおそれがある。

    ④医師や専門家等の推奨等

    医師や専門家の推薦がNGというわけではないが、下記の場合はNG。

    • 特定の疾病名を示すことにより、当該疾病の予防・治療効果が得られるかのように表示する
    • 推奨等の事実がないにもかかわらず、推奨等を得ているかのように表示する
    • 全面的に肯定していないにもかかわらず、肯定している部分のみを引用する
    • 有償、無償を問わず、肯定するよう依頼して行われた利害関係者の推奨等であるにもかかわらず、客観的な立場からの推奨等であるかのように表示している
    • 推奨者の肩書を、事実に反して利用者に信頼される専門家であるかのように表示する

    ⑤体験談

    体験談において機能性表示食品の効果に言及されている場合において、一般消費者の誤認を招かないようにするためには、当該体験談を表示するに当たり事業者が行った調査における①体験者の数及びその属性、②そのうち体験談と同じような効果が得られた者が占める割合、③体験者と同じような効果が得られなかっ た者が占める割合等を明瞭に表示することが推奨される。

    体験談によくある「個人の感想です」という打ち消し表示については、下記のように記載されている。

    体験談については、これに関連する「個人の感想です」等の表示が一般消費者に認識されるものであったとしても、体験談で示された効果に係る打消しの効果は認められないことに十分留意し、体験談に表示されている内容が届出された機能性の範囲を逸脱していないかを、十分にチェックする必要がある。

    つまり、「個人の感想です」と書けば何を言わせても良いわけではないということ。打ち消し表示についてはこれ以外にも

    • 強調表示と同一視野に記載されていない
    • 同一視野であっても離れた箇所に記載されている
    • 隣接した箇所に小さな文字で記載されている

    など、強調表示と一体として認識されない表示方法である場合には、景品表示法上問題となるおそれがあるとしている。

    ⑥届出表示又は届出資料の一部を引用した表示

    届出表示の一部を切り出して強調し、本来期待される効果の範囲を逸脱した過大な効果が得られるかのような誤認を与えてはいけない。また、届出資料に用いた論文を広告などで引用する際、届出表示やその根拠となる論文から逸脱した内容を表示した場合は景品表示法上問題となるおそれがある。

    ⑦その他留意すべき事項

    効果を暗示させるキャッチコピーやイラスト、図版などについても、「一般消費者がどう認識するか」を十分に考慮する必要がある。

    機能性表示食品の広告その他の表示においても他の一般的な商品又は役務 の広告その他の表示と同様に、例えば、「売上NO.1」などといった商品の優良 性を示す表示が行われることがあるが、その根拠が極端に短い期間のものであったり、対象者が限られていたり、機能性表示食品として届出する以前の当該食品の売上実績を合算したりする場合は、それらが明瞭に記載されていない場合、一般消費 者に実際よりも著しく優良なものと誤認させる蓋然性があり、景品表示法上問題となるおそれがある。

    このほか、景品表示法上問題となる恐れがあるのは下記の4項目。

    1. 届出された機能性の範囲を逸脱した表示
    2. 特定保健用食品と誤認される表示
    3. 国の評価、許可等を受けたものと誤認される表示
    4. 表示の裏付けとなる科学的根拠が合理性を欠いている場合

    事後チェック指針「科学的根拠」の考え方

    広告表現が「事実である」と認められるには、下記の2つの要件を満たさなければならない。

    1. 提出資料が客観的に実証された内容のもの(「試験、調査によって得られた結果」か「専門家もしくは専門機関の見解、または学術文献」のどちらか)であること
    2. 表示された効果、性能と提出資料によって実証された内容が適切に対応していること

    科学的根拠について消費者庁食品表示企画課保健表示室長の森田剛史氏は、科学的根拠には真っ白(編注:間違いなく問題がないと言えるもの)と真っ黒(同:間違いなくNG)があるとし、「今回示したのは黒い部分だけ。黒に近いグレーについては、今後は、客観的に評価できる第三者機関の設置を含めて対応していきたい」としていた。

    消費者庁表示対策課特命室長の田中誠氏
    消費者庁 食品表示企画課 保健表示室長 森田剛史氏

    主なNG例(指針案から抜粋)

    • 表示する機能性に見合ったリサーチクエスチョン(PICOまたはPECO)が設定されているが、表示の内容が科学的根拠の内容に比べて過大、また当該根拠との関係性が認められない
      例:主要アウトカム評価項目(成果のこと。通常1つを設定)において、表示する機能性についての有意な結果が得られていない
      例:主要アウトカム評価項目が複数設定されており、一部のアウトカム指標で有意な結果が得られていない場合に、その関連性を踏まえた説明がされていない
    • 条件を限定しない場合には特定の目的が期待し難いと考えられる結果であるにもかかわらず、表示の内容で当該条件に言及していない
    • 根拠論文が撤回され、機能性表示の科学的根拠となる査読付き論文が存在しない
    • エキスおよび分泌物(以下「エキス等」)に含有される特定の成分を機能性関与成分としているものであり、当該特定の成分のみでは表示する機能性を根拠論文等により合理的に説明できていない
    • エキス等を機能性関与成分とする場合において、指標成分が機能性関与成分たるエキス等との同等性について合理的に説明できていない
    • 根拠論文の対象者の一部に疾病に罹患している者が含まれる場合に、適切な層別解析がなされず、疾病に罹患している者が除外できていない(例外あり)
    • 試験の実施計画または実施方法に不備がある
      例:臨床試験(ヒト試験)の計画がガイドラインに規定する登録システムに事前登録されていない(例外あり)
      例:UMIN臨床試験登録システム等への事前登録後に、機能性の実証に係る項目に関して実質的な変更をおこなった
      例:倫理審査委員会の承認を受けていない
      例:プラセボ食等を摂取する対照群が設定されていない
      例:介入群に評価指標が高値または低値の者が恣意的に割り振られているなど、適切な参加者の割り付けが行われていない
    • 試験結果の評価に不備がある
      例:主要アウトカム評価項目における介入群と対照群の群間比較で統計的な有意差(P<0.05)が認められていない
      例:評価指標について、当該分野の学術的なコンセンサス等の観点から当該機能性を評価する指標として合理的な説明がされない
      例:評価指標に主観的な指標を用いる場合、日本人への妥当性が得られたものであり、かつ、当該分野において学術的に広くコンセンサスが得られたものであることについて合理的な説明がされていない
    • 必要な資料について、下記の情報等に関して客観性・透明性が担保されていない
      • 論文の検索条件や採択・不採択の論文情報など、結論に至るプロセス
      • 当該研究レビューにおけるスポンサー、共同スポンサー(研究の発案、運営、資金のすべて、またいずれかに責任を負う個人、企業、研究機関、その他団体)および利益相反に関する情報
      • 出版バイアスの検討結果
    • 研究レビューで採用した論文(臨床試験(ヒト試験)の内容に不備がある
      例:RCT(ランダム化比較試験)で表示する機能性を支持する査読付き論文が1報もない
      例:表示する機能性に見合ったアウトカムを適正に研究レビューへ反映せず、肯定的な結果のみを恣意的に選出している
    • 研究レビューにおける成分と届出食品中の機能性関与成分との同等性が担保されていない
      例:研究レビューで評価した成分(エキス等を含む)と届出食品中の機能性関与成分の同等性が合理的に説明されない
    • 研究レビューで有効性が確認された量よりも届出食品中の機能性関与成分の含有量が少ない
      例:研究レビューで有効性が確認された際の摂取時の形態や剤型と届出食品での形態や剤型が異なる場合において、有効性が確認された機能性関与成分の有効量の同等性が合理的に説明されていない
    • 「totality of evidence」の判断(採用論文数、最終的に肯定的と判断できる要素など)が適切になされていない
      例:バイアスリスクを著しく過小評価した論文をもとに、肯定的な結論を導き出している
      例:表示する機能性に対して否定的な結論での論文データを恣意的に除いている
      例:表示する機能性について総合的に肯定されるとの判断をするに至った合理的な理由が具体的に示されていない
      例:表示する機能性を支持する査読付き論文が1報もない
      例:結果の客観性・透明性を担保するために必要な情報が示されない
    内山 美枝子
    内山 美枝子

    楽天・三木谷社長が語った「送料無料ラインの全店舗統一」実施への決意&2019年の総括と今後の取り組み | 大手ECモールの業績&取り組み&戦略まとめ

    5 years 9ヶ月 ago

    楽天の三木谷浩史会長兼社長が1月29日の「新春カンファレンス」で強調したのは「送料無料ライン全店舗統一」の3月18日スタート、自社配送ネットワーク作りなどの「ワンデリバリー」構想、そして、これまでの「楽天市場」の成果などだ。三木谷社長が語った講演内容をまとめた。

    送料無料ライン全店舗統一を導入する理由

    購入者の送料負担を0円とする送料無料ラインを全店舗(一部除く)共通の3980円以上に設定する施策について三木谷社長は、「(この施策を)やらなければこれ以上の成長は難しい。前向きに捉えていただき一緒に成長していきたい。なにがなんでも成功させたい」と説明し、3月18日のスタートを断言。そして、約4000社の出店者にこう語りかけた。

    (顧客ロイヤルティを測る指標である)NPSがAmazonに肉薄してきた。負けている理由は送料。送料であきらめてしまうユーザーが7割近くにのぼる。「楽天市場」に送料無料ラインが統一していれば購入をあきらめるユーザーが減る。(お客さまは)日本の店舗だったら応援してくれる。

    5万店舗が多様性をキープし、安心・安全を維持しながら、買いやすいサイトを作る。そうしなければ「楽天市場」の持続的な成長はできない。送料無料ラインの変更は大変だということは理解している。

    楽天 共通の送料無料ライン導入によって期待する効果
    共通の送料無料ライン導入によって期待する効果

    全店舗共通の送料無料ラインを導入するのは、楽天ユーザーからあがっている「送料がわかりにくい」といった課題を解決するのが目的。施策の導入によって購買頻度の増加、新規ユーザーの拡大によって、「流通総額は1割以上あがると確信を得ている」(三木谷社長)

    楽天の調査によると、多くの楽天ユーザーが送料に関する不満を抱えており、7割近くが送料に関する原因で購入をあきらめた経験があるという。

    楽天が実施した送料に関する自社調査の結果
    楽天が実施した送料に関する自社調査の結果
    楽天が実施した送料に関する自社調査の結果

    こうした楽天ユーザーの不満を解消するために導入する、送料無料ラインを3980円以上にする施策。

    • 酒類
    • 大型宅配便やクール便、国際配送
    • 沖縄や離島など宛ての配送は9800円
    • 沖縄や離島などが出荷地の店舗

    などは、3月18日の施策スタート段階では対象外となる。

    楽天の送料無料ライン全店舗施策の概要
    施策の概要

    Amazonへの対抗

    • (店舗が出店する形式である)集合体としての良いところは店舗それぞれのキャラクターがあること。たとえば、Amazonではお客に対してEメールを送ることができないので、アプローチもできない。楽天は店舗とユーザーの関係性を作ることに注力してきた。
    • Amazonのようなプレーヤーが台頭してきて、集合体の楽天はどう対抗するか? 最終的にモノが安く便利に届くプラットフォームとして突き詰めていかなければ、我々はそうしたプレーヤーに対抗できないステージにきている
    • (顧客ロイヤルティを測る指標である)NPSがAmazonに肉薄してきた。負けている理由は送料。送料であきらめてしまうユーザーが7割近くにのぼる。「楽天市場」に送料無料ラインが統一していれば購入をあきらめるユーザーが減る。日本の店舗だったら応援してくれる。

    2020年の新春カンファレンスで、三木谷社長が何度も口にしたのがECの巨人「Amazon」というキーワード。Amazonにどう対抗していくのか――。こうした対抗心が込められた講演で、三木谷社長は来場した約4000店の出店者へ次のようにメッセージを贈った。

    皆さんのところで買わなくなったら何の意味もない。(南米最大級のECモール「MercadoLibre」が行った同様の送料無料ラインの導入施策によって)海外では3~4割あがった例がある。皆さんの流通総額も1割以上は上がると確信を得ている。

    ECの競争はグローバルで激化していると強調し、A社としたAmazonがグローバル市場でシェアを拡大していることに危機感をあらわにした
    ECの競争はグローバルで激化していると強調し、A社としたAmazonがグローバル市場でシェアを拡大していることに危機感をあらわにした

    「公取委と対峙しても」の意味

    送料無料ラインの全店舗統一施策を断行するにあたり、多くのメディアが「公取委と対峙しても遂行」との三木谷社長の発言を、現在の「公正取引員会vs.楽天」の構図に引用しているが、実際は少々異なる。この言葉には、過去に行った出店料金の定額制度から従量課金制度への変更などを振り返ったもので、当時のことを踏まえて、三木谷社長は次のように述べている。

    (従量課金制度への変更がなければ)サーバも耐えられなかった。当時、(出店している)70%以上の店舗がやめるんじゃないかと考えたが、私たちはそれが店舗の成長につながると思った。公取委と対峙しても遂行していく――心の底から皆さんのためになると思ったから。

    三木谷社長
    三木谷社長

    一部出店者などが参加する楽天ユニオンが、楽天が始める送料無料施策は独占禁止法で禁じている「優越的地位の乱用」にあたるとして、公正取引委員会に調査を求める陳情書を提出したのが2020年。

    さかのぼること15年前の2005年。楽天が実施した出店料の固定制度から従量課金制度への変更などが、取引上の優越的地位の乱用を禁じた独占禁止法に違反するとして、一部の出店者が公正取引委員会に申告したことがある。

    翌年、公取委は楽天、ヤフー、ディー・エヌ・エー(DeNA)の3社に対し、出店者に対する優越的地位の乱用などで、独占禁止法違反につながる恐れがある取引関係が存在すると指摘する調査報告書を発表。その後、2005年に申告した出店者に対して、公取委は実質的な“シロ”判定の決断を下している。

    「ワンデリバリー」構想の実現に向けて取り組むこと

    1月28日、配送サービス「Rakuten EXPRESS」の配送対象エリアを、秋田県、岩手県、山梨県、静岡県、岐阜県、三重県、滋賀県、愛媛県、山口県、佐賀県および長崎県に拡大したと発表。これにより、「Rakuten EXPRESS」の配送対象エリアは合計34都道府県となり、国内人口におけるカバー率は約61%となった

    「(物流への)大型の投資をしなければ将来の成長はできない」。2019年8月にこう話した三木谷社長が掲げた「ワンデリバリー」構想への投資計画は2000億円超。「第1フェーズで700億円の投資がほぼ終わった。これから1300億円の投資をしていく」と説明していた。

    2020年内には新たな物流拠点として千葉(習志野)と神奈川(中央林間)が稼働する予定。物流拠点を増やすことで、楽天独自の配送サービス「Rakuten EXPRESS」の配送対象エリアを拡充する。「Rakuten EXPRESS」は楽天が運営する配送サービスで、日用品のECサービスを提供する「Rakuten Direct」、「楽天ブックス」「Rakuten BRAND AVENUE」、「楽天スーパーロジスティクス」で担う「楽天市場」の出店店舗の一部商品を楽天が配送している。

    楽天が日本郵便と契約を結び、運賃を特別価格で提供する「楽天特別運賃プログラム」に関して、ゆうパケット(厚さ1センチ~3センチいない)は136円~220円(税別)の特別運賃を維持。ゆうパック(60~170サイズ)は平均10%の値下げになる515円で提供するという(税別、持込で年間5000件以上)

    また、集荷・持込サービスをスタートしたことも公表。「楽天市場」以外の他モール向け出荷も同一価格で提供するという。

    集荷・持込サービスの料金表(読者提供)
    集荷・持込サービスの料金表(読者提供)

    これまで常温のみ扱っていた楽天の物流サービスだったが、冷蔵・冷凍商材の扱いもスタートしたことを明らかにしている。

    これまでの施策と効果、今後の取り組み

    国内EC流通総額は4兆円規模に

    2019年度(2019年1~12月期)国内EC流通総額が約4兆円、グローバル流通総額は20兆円規模になったという。

    右肩上がりを続ける国内EC流通総額 楽天市場
    右肩上がりを続ける国内EC流通総額

    国内EC流通総額は「楽天市場」の流通総額に加え、トラベル(宿泊流通)、ブックス、ゴルフ、チケット、ブランドアベニュー、楽天ダイレクト、楽天西友ネットスーパーなどの流通額を合算した数値。

    2019年度は年間3200億を超える楽天スーパーポイントを発行。ポイントを軸にした販促でヘビーユーザーやライトユーザーの購買が伸びたという。

    楽天スーパーポイントは90%以上が消化され、「有効なマーケティングツールになっている」(三木谷社長)
    楽天スーパーポイントは90%以上が消化され、「有効なマーケティングツールになっている」(三木谷社長)

    このポイント施策の軸になっている「楽天スーパーポイントアッププログラム(SPU)」は、エントリー不要で「楽天市場」のお買い物においてポイントを最大16倍提供するプログラム。

    「SPU」によってポイント提供を受けたユーザーの75.2%が「楽天市場」で商品を購入しているという。

    「SPU」は「楽天市場」の満足度向上に寄与しているという
    「SPU」は「楽天市場」の満足度向上に寄与しているという

    「SPU」によってライトユーザーが増えているのに加え、ロイヤルティーの高いユーザーの増加も流通総額の拡大に寄与しているようだ。

    たとえばダイヤモンドランクとレギュラーランクのユーザーを比較した場合、月間購入額では4.8倍、月間注文件数では4.9倍の開きがあるという。

    ロイヤルティーの高いユーザーが増えているという
    ロイヤルティーの高いユーザーが増えているという

    安心・安全なECプラットフォーム作り

    楽天は2016年に違反点数制度を導入。違反点数に応じた措置を公開し、その点数に達した場合には必要な措置を行うなど、罰則の透明化を図っている。たとえば、違反点数が年間累計で35点に達した場合、7日間のランキング掲載停止、検索表示順位のダウンといった措置が行われているという。

    こうした違反点数制度について三木谷社長は次のように説明した。

    罰則規定がない規定は有効性がない。警察との連携、第三者組織委員会などの設置行った。違反点数制度の導入で、権利侵害、不正レビューも大量に防ぐことがきた。制度スタート後、規約違反店舗は73%減少した。悪いことをやっている店舗は皆さんの敵。安心・安全便利に買ってもらえるようにしている

    三木谷社長は違反点数制度の有効性を訴えた
    三木谷社長は違反点数制度の有効性を訴えた

    モバイルシフトが進む「楽天市場」

    2019年12月時点で、「楽天市場」の流通総額に占めるモバイル経由の割合は73.4%。三木谷社長は「想像をはるかに超えてモバイル化が進んでいる」とし、次のように話した。

    今後のネット通販は、タイピングしなくても購入体験ができるようになる。顔認証、音声で買える時代がやって来る。それに伴い、マーケティングはテレビ広告やソーシャルメディアの活用が重要になる。

    「楽天市場」のモバイル経由流通総額の推移
    「楽天市場」のモバイル経由流通総額の推移
    「楽天市場」はソーシャルメディアなどを駆使してスマホやSNSユーザーを獲得しているという
    「楽天市場」はソーシャルメディアなどを駆使してスマホやSNSユーザーを獲得しているという

    「楽天ペイ」の導入でライトユーザーが活性化

    ある店舗はクレジットカードが使えるものの、別の店舗では使えない――。こうした状況はユーザーにとってとても不便。こうした状況を打開するためにスタートした「ワンペイメント」。1つ決済プラットフォームに統一したことによって流通総額があがった。

    決済手段の拡充によってライトユーザーが活性化されたという
    決済手段の拡充によってライトユーザーが活性化されたという

    三木谷社長はこう説明し、特にライトユーザーが活性化していると強調したのが2017年に一新した「楽天ペイ(楽天市場店舗向けペイメントサービス)」。そして、「楽天市場」で2019年に始まった後払い決済サービスの導入は、現在のところ各出店者の任意になっているが、「今後の大きな取り組みは後払い。『楽天市場』全体で導入していく」と三木谷社長は話した。

    また、「楽天ペイ補償サービス」として、ユーザーに起因する出荷後の決済トラブルについても補償していく方針を示した。

    「楽天ペイ」の補償サービスを拡充する
    「楽天ペイ」の補償サービスを拡充する
    瀧川 正実
    瀧川 正実

    「futureshop」がフィード作成・更新の自動化&一元管理を実現する「DFOマネージャー」と連携

    5 years 9ヶ月 ago

    SaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」のフューチャーショップは1月28日、ニフティネクサスが提供するフィード作成/更新の自動化、フィードの一元管理を社内で行える「DFOマネージャー」との連携を開始したと発表した。

    「DFOマネージャー」とは、広告媒体やサービスにプロダクト情報を登録するために必要不可欠なフィードデータを、社内で簡単に作成することができるツール。Google広告やCriteoなど、さまざまな媒体・サービスに対応。それぞれ異なる媒体・サービスの仕様を把握する必要がなく、フィード最適化を実施できる。

    今回の連携で、「futureshop」を利用している企業は、ECサイト上の商品データを「DFOマネージャー」に定期的に取り込むことができるようになる。

    取り込み後は「DFOマネージャー」の管理画面から商品名の加工、効果測定パラメータの設定など、データ加工が簡単に行える。SKUが存在する商品もSKUごとに広告を出稿できるため、バリエーション豊かなアイテムも潜在顧客の目に付きやすくなる。

    「DFOマネージャー」の利用には、以下の2つの申し込みが必要となる。

    • ニフティネクサスと「DFOマネージャー」の申し込み
    • 「futureshop」管理画面から、「DFOマネージャー」連携オプションの申し込み

    「futureshop」はSaaS型ECサイト構築プラットフォーム。国内向け「futureshop」はCMS機能「commerce creator」で高いデザインカスタマイズの自由度と更新性を実現できるほか、ロイヤルティマーケティングに取り組める機能を搭載しているのが特長。

    オムニチャネル対応には実店舗とECの顧客統合を行い、OtoOを実践するポイント統合、実店舗在庫表示機能も備えた「futureshop omni-channel」もある。越境EC・インバウンド対応時には同じオペレーションの「futureshop overseas」も用意している。

    石居 岳

    IoT宅配ボックスで再配達削減へ。京セラが佐川急便、日本郵便らと実証実験

    5 years 9ヶ月 ago

    京セラは、インターネットに常時接続した宅配ボックスを使い、宅配の再配達削減効果を調べる実証実験を開始した。宅配大手の佐川急便と日本郵便が参加。横浜市若葉台団地の790戸で、2月1日から6月15日まで実施する。

    京セラは、インターネットに常時接続した宅配ボックスを使い、宅配の再配達削減効果を調べる実証実験を開始
    「IoT宅配システム」のイメージ図

    京セラが開発した「IoT宅配システム」の効果を検証する。「IoT宅配システム」は、専用アプリケーションを使い、スマホでロッカーの空き状況を確認したり、利用予約を行ったりできるシステム。

    宅配ボックスの利用者は、自分宛の荷物が届いたことや、自分宛の荷物用に宅配ボックスが予約されたことをリアルタイムで知ることができるという。

    「IoT宅配システム」に対応した宅配ボックスは、白山機工が開発した。

    今回の実証実験は、横浜市が推進する、IoTビジネスをめざす企業の連携を実践する「I・TOP横浜」の一環である「宅配ボックスIoT化 再配達解消プロジェクト」の取り組み。

    宅配ボックスの空き状況を確認できるドライバー側の端末画面とユーザー側の画面
    宅配ボックスの空き状況を確認できるドライバー側の端末画面とユーザー側の画面

    実証実験の実施内容

    • プレ実験(2020年2月1日~3月1日):宅配ボックスを導入した場合の再配達の実態の把握
    • 本実験(2020年3月2日~5月13日):宅配ボックスをIoT化(見える化)したことで得られるドライバー側、利用者側の効果を検証
    • 検証項目(2020年5月14日~6月15日):IoT宅配ボックス導入による再配達の低減とドライバーの業務効率化を検証
    渡部 和章
    渡部 和章
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    59 分 29 秒 ago
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