日本時間2024年11月12日の早朝、Googleは2024年3回目となるコアアップデート「November 2024 Core Update」のリリースを発表。以前ほどお祭り騒ぎではなくなってきた印象もありますが、それでも「検索順位が上がった・下がった」というポストを目にするのは恒例行事のような気もします。コアアップデートの数日前、X(旧Twitter)のとある投稿が拡散され、瞬く間に騒ぎとなりました。今回はSEOに従事する人は押さえておきたい話題を中心に取り上げます。
生成AIが誤情報を量産。思い出される「WELQ騒動」
生成AI、実在しない観光名所紹介 福岡市後援の官民連携サイト | 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20241116/k00/00m/040/248000c
生成AIで誤情報作成の福岡観光サイト閉鎖へ 実在しない名所紹介 | 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20241128/k00/00m/040/197000c
実在しない観光名所やご当地グルメが紹介された。記事は生成人工知能(AI)で作成していた
(中略)
問題となったのは「官民連携」のキャンペーンをうたうサイト「福岡つながり応援」。
サイトは福岡県の魅力を発信する目的で2024年11月1日に開設されましたが、上記の問題が拡散されると炎上状態に。後援していた福岡県福岡市と飯塚市は事態を重く受けとめて後援を取り消し、サイトはわずか1か月で閉鎖されました。
AIで作成された記事では、「うみなかハピネスワールド」という福岡市に実在しない架空の施設を紹介。福岡県古賀市でも、存在しない公園、海岸、観光客に人気だという架空のメニューなどを生成、紹介していました。
SNS上には2016年の「WELQ騒動」を思い出す人もいたようです。騒動以降にWeb・EC業界に入って、「知らない」という人もいるかもしれないので、当時の記事を参照しておきます。
WELQ騒動、通販・ECビジネスから見た問題点と注意点 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/3772
医療や健康に関連する検索結果の改善について | Google 検索セントラルブログ
https://developers.google.com/search/blog/2017/12/for-more-reliable-health-search?hl=ja
「WELQ騒動」は、Googleの検索品質評価ガイドラインに明記されている、お金や生活に関連するジャンルで重要視される概念「YMYL」(Your Money or Your Life)を広く知らしめるきっかけになりました。
2017年には、Googleのブログでも「日本語検索におけるページの評価方法をアップデート」したことについて触れています。
ちなみに筆者が使用している「ChatGPT-4o」では、「『うみなかハピネスワールド』はどこにある?」という問いに対し、「『うみなかハピネスワールド』は、福岡市東区にある『国営海の中道海浜公園』内の『ワンダーワールド』というエリア」と回答、ハルシネーションが発生しました。
今回の件を通じて、人々の財産や健康に影響を与えかねないジャンルにおける信頼性や有益性を担保する大切さ、生成AIの記事に人的チェックを設けずに公開する危うさを再認識しました。
そんな騒動のさなかにコアアップデートがリリースされたことで、検索結果や順位変動が気になっている人も多いのではないでしょうか。
Googleは独立系・小規模サイトの評価改善が完全ではないことを認め、改善に取り組み続けているとしています。そのなかでも、サイト運営者には「諦めずにユーザーに役立つ高品質なコンテンツ(ヘルプフルコンテンツ)を提供し続けてほしい」と呼びかけていますので、誤情報を含む危うい大量生産のような手法ではなく、ヘルプフルコンテンツをコツコツと積み重ねることが報われると信じていきましょう。
要チェック記事
米司法省がGoogleに「Chrome」売却要求……SEOはこれから「崩壊」するのか? | ITmedia ビジネスオンライン
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2411/27/news051.html
こちらも見出しに「SEO崩壊」と書かれた記事です。本記事では「SEOの形は変化しても、その本質的な重要性は変わりません。企業は引き続きSEO対策に投資し、変化する検索環境に適応していく必要があります」としながらも、「Chrome」がGoogleの手を離れるかどうかが検索に影響がないとは言い切れないので、注視していきたい話題ですね。
「本日、2024年11月のコア アップデートをリリースしました。」 | Google Search Central(公式Xアカウント)
https://x.com/googlesearchc/status/1856072700751687910
リリースのアナウンスでは「完了するまでに最大2週間かかる場合があります」と書かれていましたが、11月29日時点で完了のアナウンスはありません。Xのリンクにある「Google検索セントラル」の記事にあるコアアップデートの仕組みも熟読し、落ち着いて対処してください。
2024年11月のGoogleコアアップデート 初動~中間の所感 | ユウキノイン
https://yuhkinoine.com/blog/20241117coreupdate/
当社のブログで恐縮ですが、今回のコアアップデートの所感をまとめています。みなさんのSEOの参考になれば幸いです。
「75%強が表示速度の重要性を認識」「顧客体験の向上が最多理由」【Reproが「Webサイトの表示速度改善」を調査】 | 日本ネット経済新聞
https://netkeizai.com/articles/detail/12994
「グッドクリック」「ロングクリック」という言葉を見聞きすることも増えたせいでしょうか。SEOに関係することよりも、顧客体験の向上に重きを置いて取り組んでいる人が多いことが、個人的には好印象でした。
【2024年版】デジタル広告頭打ち!今こそ本気のSEO対策 事業会社マーケターが考えるSEO対策 | AdverTimes.
https://www.advertimes.com/20241105/article479264/
どちらも大事。どちらもフラットに見て、自社に合った方法、やるべき優先度を決めるために参考になりそうです。
元カレの名前をネットで検索したことある?男女別でみる「元恋人の名前を検索した理由」が興味深い… | Pouch
https://youpouch.com/2024/11/24/1233908/
難しい話題が多かったので箸休め的にピックアップ。これも1つのSEO!? 男女でもっと差があるかなと思っていたのですが、おもしろい結果でした。
今、みなさんにお伝えしたいこと
「無駄」って言うな「ないことがわかった」と言え | 運営堂
https://www.uneidou.com/21509.php
やめたらそこまでの努力が「無駄」になります。やめなければそこまでの努力が「経験」になります。
「努力は報われる」と「報われない努力もある」はいつも背中合わせという感じもしますが、継続していくことが、経験の積み上げになっていくことは間違いないですよね。
1労働者あたりの平均年間休日は115.3日というデータがあります。250日働いているとすると、1日を0.9でやるか1.1でやるかの差は年間で50になる。単純な差ですが、それを意識できているかどうかでも違うかもしれません。
諦めない、手を抜かない少しの努力を積み重ねていく差が、どれほど大切なことなのかを今一度、胸に刻んでいきたいと思った記事でした。生成AIを使うにしても手を抜かないこと、ユーザーのためのヘルプフルを心がけることはやがて報われるはずと信じていきたいですね。
それではまた次回! 酒匂(さこっち)の「ネッ担ニュースまとめ」をよろしくお願いいたします。
※このコンテンツはWebサイト「ネットショップ担当者フォーラム - 通販・ECの業界最新ニュースと実務に役立つ実践的な解説」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:AIの誤情報量産サイトの閉鎖、Google「コアアップデート」がリリースされるなか、「ヘルプフルコンテンツ」は報われるのか?【ネッ担まとめ】 | 新・ネットショップ担当者が知っておくべきニュースのまとめ
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