ふるさと納税支援事業などを手がける一般社団法人自治体DX推進協議会は6月24日に「2023年度ふるさと納税実態調査報告書」の完成を発表、半数超の自治体で寄付額が増加したことを明らかにした。
2023年10月の総務省通達により、ふるさと納税に関する経費を寄付額の5割以下とする基準の厳格化により、8割弱の自治体が返礼品の値上げや取り下げなど対応に追われていたこともわかった。
全国334の自治体を対象にふるさと納税に関する実態調査を実施、結果をまとめた。2023年の寄付額は、53.3%の自治体で増加、28.1%で減少、18.9%が前年同様と回答。寄付額が増加した自治体からは「新規返礼品の開発や魅力的な返礼品の充実により、寄付が増えた」といった声があった。一方、寄付額が減少した自治体は、2023年10月の総務省通達による影響を指摘。「返礼品の価格変更や取り下げを行ったことが影響した」といった声があがった。
半数超となる177自治体で寄付額が増加した
総務省通達の影響については、 8割弱の自治体が通達に関してなんらかの対応をしていたことがわかった。56.3%の自治体が返礼品価格を変更、27.5%が返礼品の取り下げを実施した。「事業者の手数料引き下げ」を行った自治体も9.3%あった。一方、「特に何の対応もしていない」は21.0%だった。
約2割となる70自治体では総務省通達に関連して「特に何も対応していない」
ポータルサイトの活用状況についても調べた。平均掲載数は約8.36サイトで、60.5%の自治体が2023年に新たなポータルサイトを追加していた。運用方法については、 50%の自治体が事業者に運用を任せており、22.2%が自治体自身で運用している。広告配信では60.5%の自治体が何らかの形で広告配信を実施していると回答した。
関心のある施策では、「新規返礼品開発」が79.3%で最多。「マーケティング/プロモーション強化」(54.8%)、「ポータルサイト拡充(39.5%)」と続いた。寄付獲得に向けた情報発信やチャネル拡大に関心が高いことがわかった。
返礼品開発についてが最も高い関心を集めた
報告書では、自治体がふるさと納税について抱える主な課題として「寄付額の伸び悩み」「経費の5割基準への対応」「ポータルサイトの手数料負担」「送料の負担」「魅力的な返礼品の開発」「事務負担の増加」があがっている。
また今後の展望として、
- ふるさと納税の本来の趣旨に立ち返った制度設計と運用ルールの見直し
- 過度な返礼品競争の抑制と、地域資源を活かした魅力的な返礼品の開発
- 事業者の手数料など、自治体の経費負担軽減に向けた取組
- 自治体間の情報共有と連携の促進、優良事例の横展開
- ふるさと納税を起点とした、関係人口の拡大や地域課題解決につなげる取組
を制度の健全な発展に向けた方策として提言している。
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オリジナル記事:2023年度のふるさと納税、半数超の自治体で寄付額増加。8割弱の自治体が総務省通達で値上げなど実施
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