ブランディングやプロモーションに課題がありアニメーション動画の制作を検討する際、「アニメーション動画を作るには何から始めたらいいか」、「外部に委託するべきか」といったことに悩まれる方は多いのではないでしょうか。
本記事では「外部に委託するか悩んでいる方」、「作成・制作手順を知りたい方」に向けて、アニメーション動画の制作方法や外部に委託して制作するメリットやデメリットをご紹介します。
アニメーション動画の種類
「アニメーション動画」には、さまざまなアニメーションの種類があります。
この章では、アニメーション動画の種類として代表的なものを7つご紹介します。
イラストアニメーション動画
イラストアニメーション動画は、世間一般的にイメージされる、アニメーション動画の代表的な例です。主に絵画で変形・造形が行われたイラストが用いられます。
シンプルなビジュアルなので視聴者も違和感なく見ることができ、感情移入してもらいやすいことがメリットです。また、シンプルなアニメーションのため視聴者の記憶や印象に残りやすい点も特徴です。
主に、サービス紹介の動画に利用されることが多く、適しています。
モーショングラフィックス動画
モーショングラフィックス動画は「静止画像に動きを加えたアニメーション」といっていいでしょう。何らかの画像や図形、ロゴや文字などの素材を自在に動かす手法を指します。
たとえば企業のロゴマークや静止画を動かし、動く文字などを組み合わせることで、商業施設の宣伝などにも広く利用できます。イラストのアニメーションに比べて編集が容易で、ブランディング動画をはじめ幅広い用途で利用することが可能です。
タイポグラフィ動画
タイポグラフィ動画は主に、「文字に動きをつけるアニメーション動画」のことを指します。
モーショングラフィックスと混同されがちですが、モーショングラフィックスは主に画像やロゴ、タイポグラフィは主に文字に動きをつけます。
アニメーション動画において非常に重要な情報である「文字」に動きをつけることで、より訴求力の高い動画を制作ができます。
用途としては、主にプロモーション動画に使用されることが多く、尺の短い動画で高い効果を発揮するのが特徴です。
ストップモーション・アニメーション動画
ストップモーション・アニメーションは、「動きのない静止画を連続で投影することで、あたかも動いているかのように見せる動画」のことを指します。イメージとしては、「パラパラ漫画」が似ているといえます。
通常のアニメーションに比べ、いい意味で動きが荒いため視聴者にあたたかみと親しみやすさを与えることができます。
ブランデッドムービーなどをはじめ、ポジティブなシーンに幅広く適用が可能です。
インフォグラフィック動画
インフォグラフィック動画は、主に「データ情報をわかりやすく表現した動画」を指します。
たとえば「パワーポイントでのプレゼン動画を複雑化したもの」をイメージするとわかりやすいでしょう。図形や静止画などを用いて、数字やデータ・グラフなどの情報などを視覚的に表現することが可能です。
一見では難しいデータ情報が理解しやすく動画にできるため、企業のIR紹介動画や、サービス紹介動画に適しているのが特徴です。
3Dアニメーション動画
3Dアニメーション動画は、コンピューターで作成された立体的なイラストを動かす形式の動画です。
グラフィックスなどで作成された人物・キャラクターに動きをもたせることで、近未来的な雰囲気の動画を制作できます。
コンピューターを用いた制作のため、実写ではできない自由自在な表現が可能です。もちろん、非現実的な動画の作成も可能な点もポイントとなっています。
そのため、プロモーション動画などの制作によく用いられる手法です。
2.5Dアニメーション動画
2.5Dアニメーション動画とは、「2Dアニメーションをあたかも3Dアニメーションのように見せている動画」です。アイソメトリックデザインと呼ばれており、3Dほど立体的ではありませんが、まるで斜め上から見下ろしているかのような表現が用いられる点が特徴です。
3Dより料金相場を抑えて制作でき、動画を通して商品やサービスが世界観を具体的に表現できることが特徴です。
アニメーション動画を活用するメリット
アニメーション動画を活用すれば、さまざまなメリットを得ることができます。
具体的なメリットとしてあげられるのは、以下のとおりです。
・視覚的に伝わりやすい
・現実では実現できないことを表現できる
・コストを抑えて制作が可能
この章では上記のメリットを、それぞれ順を追ってご紹介します。
視覚的に伝わりやすい
アニメーション動画を活用する最大のメリットとして、「視聴者への伝わりやすさ」があげられます。
アニメーション動画は文字と画像のみの情報と比べて、視覚的な表現が可能です。そのため視聴者に正確な情報を短い時間で伝えることができます。
文字と画像の場合、少なからず視聴者の解釈に違いが生じます。その点動画なら、商品やサービスを具体的に表現できるため個々の解釈に左右されることなく、スムーズに想像させることが可能です。
現実では実現できないことを表現できる
アニメーション動画のメリットとして「現実では実現できないことを表現できる」点もあげられます。
たとえばモーショングラフィックスのような、画像・図形・文字を組み合わせる動画は、実際の撮影では表現できません。また3Dはもちろん、ストップモーションのようなパラパラ漫画調の表現も、アニメーション動画ならではの表現方法といえます。
このようにアニメーション動画は、実現できないことも自由自在なアイデアで表現できるため、視聴者の感情移入を促進し、強い訴求ができるようになるのがメリットです。
コストを抑えて制作が可能
比較的コストを抑えた制作が可能な点も、アニメーション動画のメリットといえます。
近年、アニメーション動画は、個人でもパソコンを使用して制作ができるようになりコストを抑えて制作も可能です。実写に比べて人件費や機材費と言ったコストがかからないため、制作費用を抑えることが可能となっています。
ですが個人でパソコンで制作ができる一方で、制作会社が作成した動画と比べ、クオリティの面で劣ってしまうことも考えられます。
アニメーション動画のターゲットや制作の目的を明確にした上で、検討することが重要です。
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【個人制作】アニメーション動画を作成する手順
この章では、個人の方が制作する場合の、アニメーション動画の作成手順をご紹介します。
個人の方が制作する場合、主な手順は以下のとおりです。
1.アニメーション構成を考える
2.作成の流れを絵や文字で作成する
3.ツールを使って動画編集をする
それぞれ詳しく見ていきましょう。
アニメーション構成を考える
まずはアニメーションの構成を考えることからスタートします。
動画のテーマを決める重要なプロセスのため、
・どんな目的で
・誰をターゲットに
・何を伝えるのか
・最終的にどういう状態を目指すのか
といったことを明確にしなければなりません。
アニメーション構成は、動画における骨格の部分です。たとえば骨組みがしっかりしていない建物は、当然作りが甘いうえ、建設後の不安もつきまとうものです。アニメーション動画も同様で、まずは骨格をしっかり定めたうえで、制作に着手することが大切です。
作成の流れを絵や文字で作成する
アニメーションの構成が定まったら、次に作成の流れを絵や文字で作成するプロセスに進みます。「絵や文字で作成」というのは、主に「絵コンテの作成」を指します。
絵コンテとは、「大まかなアニメーションのストーリーや詳細を絵で表したもの」です。
この絵コンテの作成には、主に以下の情報が記載されます。
・シーンそれぞれの構図
・カメラワーク・人物やキャラの挙動
・効果音・BGM・セリフ
・カットの秒数
・そのほか
「絵コンテ」とはいうものの、絵やイラストのみで表現されるだけでなく文字も含まれます。アニメーション制作における設計図と考えていいでしょう。
ツールを使って動画編集をする
アニメーション構成や絵コンテが定まったら、いよいよツールを使った動画編集作業が行われます。ツールとは主に「何らかの編集ソフト」のことで、代表的な編集ソフトには以下のような種類があります。
・PowerDirector 365
・Adobe Premiere Pro
・DaVinci Resolve
また動画編集作業においてもプロセスは細分化されており、大まかに分けると以下の通りです。
1.動画のテンプレートを選択する。
2.素材の尺、および順番を合わせる。
3.人物やキャラクターに動きをつける。
4.テロップやナレーション、BGMを追加する。
5.動画の書き出しを行う。
6.ファイル形式を選択する。
まずはテンプレートを選択し、それに合わせた編集作業に入ります。イメージ通りのテンプレートがない場合、素材を読み込む作業から始めることが大半です。
素材を読み込んで一通り動きが再現できたら、書き出し作業に移ります。書き出し作業は動画の長さや画質・パソコンのスペックによってかかる時間が大きく変動します。
動画を編集できるスペックがないパソコンの場合、膨大な時間を要することもあるので、注意が必要です。
【外部委託】アニメーション動画を制作する手順
ここまで、個人制作の場合のアニメーション動画制作の手順をご紹介しました。
この章では「外部に委託して制作した場合」の、アニメーション動画の手順を解説します。
主な制作手順は以下のとおりです。
1.打ち合わせ
2.企画
3.素材・イラスト制作
4.編集
5.MA
6.納品
個人制作と比較して、プロセスは細分化されていることが特徴です。大きな違いとしては、「打ち合わせ」「企画」「MA」のようなプロセスが含まれます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
アニメーション動画制作を依頼した場合の流れ①打ち合わせ
外部委託でアニメーション動画を制作するとなった場合、まず行われるのが、「打ち合わせ」です。
アニメーション動画によって視聴者に伝えたいことや、企業様が得たい成果などをヒアリングし要件の整理を行います。
具体的に打ち合わせる内容としては、以下のとおりです。
・アニメーション動画を作る目的
・狙うターゲット層
・予算や納期
・アニメーションの表現方法
これらの中でも、「目的」「ターゲット層」「予算や納期」の3つは、打ち合わせの前にあらかじめ社内で決定しておくとスムーズに打ち合わせが進みます。
アニメーション動画制作を依頼した場合の流れ②企画
綿密な打ち合わせが終了したら、次に行われるのが「企画」です。
企画では主に、打ち合わせの段階で得た要望や条件にもとに、制作の全体のシナリオや流れ、キャストやスタッフの動き、ナレーションの有無などを明確化します。
最終的にそれらの情報がまとめられる場所が「絵コンテ」です。「絵コンテ」はアニメーション動画制作における設計図のようなもので、制作における重要な情報が記載されています。
この絵コンテに沿って制作作業が進められ、納品まで進めるのが一般的です。絵コンテは制作会社のみならず、発注した企業にも共有されます。
アニメーション動画制作を依頼した場合の流れ③素材・イラスト制作
絵コンテの確認が終了したら、次に行われるのが撮影やイラスト・素材の制作作業です。
企業様の要望に合わせたイラストや素材を集めたり、必要に応じてCGなどを用いた制作が行われます。
素材やイラストが完成したら、依頼した企業に確認を行います。要望に沿ったものか確認することが重要です。
アニメーション動画制作を依頼した場合の流れ④編集
撮影やイラストの素材制作などが終了したら、次に行われるのが「編集」の作業です。
撮影した映像や制作したイラスト、素材などを絵コンテの内容に合わせて編集します。
編集とは主に、出来上がった素材やイラストに、テロップやBGMなどを加えてアニメーション動画を完成形に仕上げていく作業です。この編集作業でアニメーション動画の出来栄えは大きく変わるため、重要な工程になります。
この編集段階では基本的に、発注した企業様が編集について指示を出すことが可能です。少しでも気になった点があれば、遠慮せずに伝えましょう。
アニメーション動画制作を依頼した場合の流れ⑤MA
編集作業が一通り終了したら、次に行われるのが「MA」と呼ばれる作業です。
MAとはMulti Audio(マルチオーディオ)の略で、編集が済んだアニメーション動画に音声やナレーション、BGMを吹き込む作業のことを指します。アニメーション動画における、「音」に関する最終調整の作業です。
数百万円単位の大規模なアニメーション制作の場合、専用のスタジオを借りて音声やナレーションの録音が行われます。専用スタジオには音響効果や選曲を担当する音響エンジニアが同伴するケースが大半です。
アニメーション動画制作を依頼した場合の流れ⑥納品
編集やMA業務を経て編集作業が完了したら、いよいよアニメーション動画の納品です。もちろん出来上がった動画は、企業様が希望するファイル形式に変換された形での納品です。
【個人制作と外部委託】アニメーション動画を作成する方法
アニメーション動画を制作する方法は、発注する制作会社ごとに大きく異なります。何がそれぞれどう異なるかわからない方も少なくないでしょう。
この章では、アニメーション動画を作成する方法を、「個人制作の場合」と「外部委託の場合」に分けて、それぞれくわしく解説します。
個人制作の場合
個人制作の場合で、アニメーション動画を作成する方法としては、主に以下のようになるでしょう。
・アニメーション動画を作る目的を定める
・アニメーション構成を立てる
・絵コンテを作成する
・イラスト・画像・素材を集め、ソフトに取り込む
・編集を行い動画化していく
・完成
まずはアニメーション動画を作る目的を明確にしましょう。「認知度アップ」や「販売促進」など、何かしらの目的・ゴールがあることで、完成する動画の内容も変わります。構成もしっかり作り込まないと、制作中に方向性がブレる可能性も高くなってしまいます。
また編集ソフトでの取り込みや編集の作業を行う必要があるため、個人でアニメーション動画を作るなら、ソフトを扱うスキルは必須です。
アニメーション動画を自作するメリット
アニメーション動画を自作するメリットは、大きく以下があげられます。
・費用がかからない
・編集ソフトや動画編集のスキルが身につく
外部委託では高額な制作費用がかかってしまうところ、個人制作ならほとんどお金はかかりません。編集ソフトの使用料金さえ用意できれば、すぐにでもアニメーションの制作に取りかかることができます。
また自らで編集することで、ソフトを扱うスキルが上達するでしょう。また、世の中の優れた動画を複数参考にすることで、動画編集におけるクリエイティブな思考も鍛えられる点もメリットです。
アニメーション動画を自作するデメリット
アニメーション動画を自作するデメリットとしては、以下があげられます。
・制作までの時間がかかる
・プロと比較してアニメーション動画の品質が劣る
「アニメーション動画を作りたい」と思い立ってからリリースするまでの期間が、外部に委託した場合に比べて圧倒的に長くなる点がデメリットです。企業ぐるみで複数人で制作に取り組むのと、一人で個人的に制作に取り組むのとでは、進捗に大きな違いが生じます。
もし動画制作に慣れていない初心者だった場合はなおさらです。テロップの入れ方や音声の挿入など、都度調べながら行えば、膨大な時間がかかってしまいます。
またプロと比較して、どうしてもアニメーション動画の品質が劣ってしまう点もデメリットです。動画は数秒のインパクトで視聴者に与える印象は変わります。素人のようなクオリティのアニメーション動画では、逆効果になってしまうこともあるため注意が必要です。
外部委託の場合
外部委託の場合で作成する方法としては、主に以下です。
・アニメーション動画を作る目的を定める
・発注する外部業者を選定する
・打ち合わせを行う
・完成した絵コンテや詳細に目を通す
・編集や調整など、制作中のこまめなチェックを行う
・完成した動画を受け取る
個人の制作同様に、目的を定めるところから始めます。どんな目的を達成したくてアニメーション動画を作るのか、ゴールを明確にすることが必要です。
個人で制作されるよりも、制作専門の担当者がヒアリングしてもらえるため、依頼者の想像を超える企画が生まれたりします。専門の担当者が段階を踏んでサポートされるため制作会社に依頼する強みとして考えられます。
綿密な打ち合わせの後、それをもとに作成・共有される絵コンテを確認します。また制作中も認識の齟齬などが生じないよう、こまめに進捗をチェックすることが大切です。
外部に委託とはいえ丸投げではなく、なるべく的確な指示や要望はこまめに出すことをおすすめします。
アニメーション動画を外部委託するメリット
アニメーション動画を外部に委託する最大のメリットは、アニメーション動画の仕上がりの良さがあげられます。
やはりプロの制作会社となると、アニメーション動画に関する知識や技術が豊富です。素人が制作したアニメーションと比較しても、雲泥の差が生じることを実感できます。動画のインパクトやシナリオ、その仕上がりは、プロモーション効果を最大限に利用することが想定できます。
また外部委託は、時間軸で考えてもメリットが大きいです。もしアニメーション制作の経験が全くない方だった場合、制作に膨大な時間がかかります。「その時間で自社のどんな業務ができるか」を考えると、損失は大きいでしょう。
必要なのは「要望を伝えること」と「仕上がりをチェックする手間」のみですが、企画で想定した内容であるか注意して確認が必要です。
アニメーション動画を外部委託するデメリット
アニメーション動画を外部委託するデメリットは、やはり制作コストがかかることでしょう。個人で作る場合、編集ソフトの使用料金のみで制作できるので、金額には圧倒的な違いがあります。
とはいえ動画は仕上がりの品質が最重要なので、「素人クオリティを避けるためにも、外部へ委託することは必要な投資」と考える方が大半です。
また、打ち合わせや認識合わせ、さらに制作途中の詳細確認といったところで、多少時間が取られてしまうこともデメリットです。個人で制作する場合にかかる時間と比べて作業時間に縛られることはありません。アニメーション動画を制作する目的に合った動画制作をおすすめします。
まとめ
本記事では「個人制作」と「外部委託制作」それぞれのアニメーション動画の制作方法や手順・メリットやデメリットを解説しました。
個人制作や外部委託ともにメリット、デメリットがあります。
ですが「制作したい動画がどういうものなのか」「制作する目的」によって依頼は変わります。動画を外部に委託することでより高いプロモーション効果を期待できたり、制作の工数を大きく削減できるなど、確実なメリットと費用対効果が得られるでしょう。
アニメーション動画を制作する目的やターゲットに対してどのように訴求したいのかを検討し、制作をすることをおすすめします。