第8回「日本マーケティング本 大賞2025」は『エフェクチュアル・シフト』(栗木契著)

不確実性時代を勝ち抜く実践を導く、マーケティングの研究と実務の双方に多大な貢献

小島昇(Web担編集部)

10月15日 7:01

日本マーケティング学会は10月12日、第8回「日本マーケティング本 大賞2025」の受賞書籍を発表した。大賞には『エフェクチュアル・シフト:不確実性に企業家的機会を見いだすマーケティングの探求』(栗木契著、千倉書房)、準大賞には『ブランド・リレーションシップ』(久保田進彦著、有斐閣)と、『君は戦略を立てることができるか:視点と考え方を実感する4時間』(音部大輔著、宣伝会議)が選ばれた。

左から日本マーケティング学会の西川英彦会長、大賞本著者の栗木契氏、出版元の千倉書房の岩澤孝氏

大賞の『エフェクチュアル・シフト』は、エフェクチュエーション概念を中心にベンチャーから既存企業まで幅広い事例を通じて戦略立案やイノベーション創出を学術的かつ実践的に提示した。計画的戦略と、実験的、共創的アプローチをいかに組み合わせるかを具体的に示し、研究者には理論的深化を、実務家には具体的な行動指針を示した。「マーケティングの研究と実務双方に多大な貢献を果たした書籍」と評価された。

「日本マーケティング本 大賞」はマーケティング理論や実践の普及のため2018年度から始まった。1年間に日本で出版されたマーケティング書籍(翻訳本を除く)を対象に、3000人超の研究者や実務家が所属してマーケティングの知見の深い日本マーケティング学会員の投票で選ぶ。今回はノミネートされた9作品から2次投票で大賞と準大賞が優れた書籍として選ばれ、10月12日開催の「マーケティングカンファレンス2025」で授賞式を行った。

この記事をシェアしてほしいパン!

人気記事トップ10

人気記事ランキングをもっと見る

今日の用語

エコーチェンバー
「エコーチェンバー」(Echo Chamber。エコーチャンバー)とは、「似たような意見・思想を持った人たちがコミュニティを形成した結果、意見が偏ってしまう現象」を指す。もともとは音響用語で、録音などで残響が強く残る“残響室”の意味だった。 SNSなどで自分と似たようなユーザーや好ましいと感じるユーザーばかりをフォローした結果、目にする投稿が世間一般・全世界で肯定されている意見と思い込んでし 用語集 を見てみる