こんにちは、ウェブディレクター&コンサルタントの井水朋子です。
4月17日に開催された英語のウェビナー「The importance of Web Analytics for driving online success」を視聴したルポをお届けします。
ちなみに、ウェビナーはウェブ+セミナーが合わさってできた言葉で、オンラインのセミナーです。今回はZoomで行われました。
「The importance of Web Analytics for driving online success」とは
一般社団法人 ウェブ解析士協会が主催となるこのウェビナーは今回初めてということもあり、内容はベールに包まれている印象でした。申込当初は「普段から日本語で聞くアナリティクスの内容を英語にしたものかな?」「初心者向けだし語学の勉強にいいかな」とフワッとした軽い気持ちでしたが、そんな甘い空気は早々に消え、自分の誤解に目が覚めました(笑)
誤解① 英語が久しぶりでも大丈夫かな?
これはとても個人的な感想ですが、結構厳しかったです。
ご存知の通り、小川さんは日本語でも早口ですが、英語でも早口でした(笑)
TEDよりも早いのは間違いない!
誤解② 普段の内容を英語にしたものかな?
今日のツールは、Adobe Analyticsや海外の事例も多く、最新のデジタルマーケティングについて触れることができました。単純に言語が英語になったのでなく、内容までグローバルになっていました。
というわけで、本日の内容です。
Agenda (アジェンダ)
・Why Web Analytics?
(なぜウェブアナリティクスなのか)
・User behavior can be improved by creating a user experience.
(UXを変えれば、ユーザーの行動も変えられる)
・Optimizing User Experience (UXO)
(UXの最適化ーUXO)
・Final thoughts
(まとめ)
というわけで、今日のテーマを一言にまとめると「UX」でした。オンラインで成功するためにUXをどのようにすべきか、アナリティクスを活用してUXを改善していく手法を学べる内容になっていたと思います。
すべてのスライドを紹介できませんが、全体を通して印象に残ったところを紹介していきたいと思います。
ウェブアナリティクスは、数字ではない。
プレゼンの始まりに出てきたスライドがこちら。「このデータから読めることは?」
サイトの訪問数(上)とコンバージョン(下)を日ごとの曜日×時間帯にまとめたものです。青くて大きな四角ほど大きな数値を表します。
ご覧のとおり、数字はなし。余計な数字が入っていないことで、ユーザー像や属性、意思決定行動などを推定するのにフォーカスできます。
訪問は日中から夜が多いが、コンバージョンが多いのは週末であることが分かります。このようにデータからユーザーの行動を伺い知ることができます。
それにしてもTableauを使って作られた図らしいですが、とてもわかりやすいビジュアルですね。いつまでも慣れ親しんだ表計算ソフトだけに頼っていると、時代に置いて行かれる感覚が残りました。
指標の改善よりもUXの改善を
最近のアナリティクスはOne by oneでユーザーの行動を追っていくことができるため、One by oneで確かめていくという話が印象に残りました。そして、重要なのがコチラ。
「指標を改善するのではなく、ユーザー体験を良くするプランを考えよう」
指標ありきの解析になりがちな現場では、とても大事にしたい言葉だと思います。
例えば自分が旅行をした時に思い出すのは、ホテルの価格でも星の数でもなくて、旅行で何を食べどんなデートをしたかという体験ですよね。ユーザーにより良い体験をしてもらうために、どのような良い体験を提案するべきか、という話も印象的でした。
UX最適化
UX(ユーザー体験)最適化は3ステップで考えることが推奨されていました。
- Negative elimination(ネガティブを減らす)
- Positive enhancement(ポジティブを増やす)
- Personalization at scale(パーソナライゼーションを大規模に行う)
ユーザーの頭の中にあるネガティブ要素「FUD」
FUD(ファッド)とは、ユーザー側が持つネガティブ要素3点の頭文字を合わせた言葉です。
Fear(恐れ)~私は的外れのサイトに来てない?
Uncertainty(不確実なもの)~もっと良いサイトがあるかな?
Doubt(疑い)~このサイトは信頼できる?
ユーザーの頭からFUDがなくならなければ、その後のポジティブなコミュニケーションも成立しません。
FUD(ファッド)という言葉は聞きなれない方も多いかもしれませんが、英語圏のデジタルマーケティングの分野で使われている言葉だそうです。
私は初耳でしたが、とてもしっくりと腹落ちしました。
ユーザーのニーズを深く知る
「ユーザーのニーズを知る」という話はよく聞きますよね。「どのように」という表現をしっかりするとニーズの形がしっかりしてきます。
ウェビナーでは、最近の関心事が例になっていて、Covid-19の例でいえば、
「情報をいち早く知りたい」
「正しい情報を知りたい」
「精確な情報を知りたい」
など、要望によって情報サイトの最適なあり方が変わってきます。
Zero Moment of Truth (ZMOT) を理解する
Zero Moment of Truthとは、商品を手にする前にオンラインで購買を決定するタイミングのことです。
サイト分析では、Zero Moment of Truthを確かめることができます。
- ーどのタイミングで購買決定したのか?
- ーどのコンテンツが購買の意思決定に寄与したのか?
- ーユーザーがブランドに忠実なのはいつで、忠実でないのはいつか?
「ユーザーの態度変容」「購買の意志決定」なんて言い方をしますね。
ところで、英語圏では、Moment of Truthという言葉がポピュラーなようですね。正直なところ、このあたりは英語の内容を聞き取れなかったのですが、Moment of Truthというフレーズに不慣れだったのが原因だと分かりました。
(勉強不足でお恥ずかしい・・・)
セミナー後に英語検索すると、多くのブログ記事が出てきて、どれだけポピュラーな言葉なのかがわかりました。英語でマーケティングをするなら、単純に覚えるだけでなく、使いこなせるようにしておきたいフレーズですね。
補足をすると、Moment of Truthは、元をたどると、闘牛士が闘牛にとどめを刺す瞬間に使われていた言葉らしいですが、マーケティングでは消費者がブランドの質を決定する瞬間を指します。
- Zero Moment of Truth・・・購入前にオンラインで決定する瞬間
- First Moment of Truth・・・手に取って購入を決定する瞬間
- Second Moment of Truth・・・実際に使用した後に決定
- Third Moment of Truth・・・使用後に口コミやSNSで表現する瞬間
など、4種類のタイミングがあります。
言語が変われば、思考回路も変わりますね。
UXの段階ごとに分類して、分析
Adobeアナリティクスでは、ユーザーのカスタマージャーニーステップごとにユーザーを分類して、データを見ることができます。
講座内ではAdobe Summit 2020 で紹介された最新機能や事例なども紹介されました。
データを分析するのも、人ではなくAiがする時代が来ていることを実感しました。
大規模なパーソナライゼーション
UXOの最終地点は、大規模なパーソナライゼーションです。Adobe社のテクノロジーでは、自分と同じような体型の人に服を着せることができるというものを開発しているようです。
まさにUXを劇的に改善できますね。
このような高度なテクノロジーを使ったパーソナライゼーションは、スモールビジネスには真似できないと思いますが、例えば
・メルマガの配信内容を購買履歴やユーザー層ごとに変える
・配送無料 / 相談無料
・バーチャル相談
などはスモールビジネスにも可能なものもあるのではと思いました。
解析はUXがすべて
個人的にウェビナー前に持っていた誤解もありましたが(笑)、期待を大きく上回り、最新のデジタルマーケティングの一端に触れることができました!
『旅行をした時に思い出すのは、ホテルの価格でも星の数でもなくて、体験したこと。』
今回のウェビナーを通じて、基本に置くべき軸足はユーザー体験なのだと実感しました。
また、自分の英語力はまだまだでしたが、英語だからこそ持てる感覚があったり、最新のデジタルマーケティングにも触れられたりと、英語のメリットを多く感じました。
日本人が国内でひとりで英語マーケティングを深めていくのは、結構地味な作業ですが、今回のウェビナーで新しいヒントを頂けたように思います。特に紹介があったAdobe SummitのBreakoutsの動画は自分でも見ていきたいと思います。
最後に小川さんのメルマガの紹介です。
こちらは日本語ですので、英語が苦手な人にも◎
海外のマーケティング事情を発信しているメルマガですので、ご興味のある方はどうぞ。
www.mag2.com