![](data:image/png;base64,iVBORw0KGgoAAAANSUhEUgAAABYAAAAXCAMAAAA4Nk+sAAAABGdBTUEAAK/INwWK6QAAABl0RVh0U29mdHdhcmUAQWRvYmUgSW1hZ2VSZWFkeXHJZTwAAAAwUExURbTe/2u9/2O19+f3/0qU1sbn/2Ol3qXW/5zW/63W/3O9/4zO/9bv/4TG/////////34tGU8AAAAQdFJOU////////////////////wDgI10ZAAABo0lEQVR42mLghwIeMIDxAAKIASrIzcTLzcvLyA4VBgggBoggLw8fGLByQSQAAggkzMrEysfMzcbGxsvKx8cOFgcIIKAwDxMzHy8LEzc3Ny8bGw8fA0gcIICAwow8fGxMnJycDEDEy8LKx87Jzw8QQAz8DBxgUQ6gAawcnLwszHyM/PwAAcTAz8jHysbOwc7BwMzMwM7BwcTGx8rODxBADDy8fGy83BzcHOwMQFEgBVTOxA8QQAw8nHwsvBxAPicfH5Dk5mbj5OPlAQggBh5WZhagT7h5gcJgmo2bj5sHIIAgwiAAEgYBsDBAADHwMPBBhNlhwpxAYYAAYuABuo8NxOWGCoNcyAMQQAz8XEAHcgEBBx8fiGJj4+Ph5QcIIAZ+dlagciAfpBooysLDx83KDxBAQM9z8TGzsTExgiEb0PNAxfwAAQQU5uTl4+NmAcoAw5CNmY+ZCRgZAAEECliQOA8oYIGO4OPhAgkBBBA4Gji5WPmggJ2JFSQCEEDQSGPn4mZlZWXgZeSE8AECiAEWqZzcQMdwwngAAQQX5keOeH6AAAMAlF8VLPn5lcgAAAAASUVORK5CYII=)
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完全な状態のオリジナル記事は 「
ハッシュタグエコノミーの幕開け」 からご覧ください。
![](http://www.ikedanoriyuki.jp/wp-content/uploads/2017/12/d942246fb3ec2e036a8934db0519f50a-1-720x480.png)
今日、ついに発表されましたね。
Instagram、ハッシュタグのフォローが可能に(CNET Japan)
これ、インスタ経済圏の中における企業のブランドマーケティングが変わる大きな転換点になる予感がします。
いままで、多くのユーザーはこんな感じでInstagramを使っていました。
[いままで]
・フィードを眺める。
・ハッシュタグ検索をして好みの写真を物色し、良さそうな写真を見つけるとたまに投稿者プロフィールを見に行く。自分と趣味やスタイルが合いそうな人であればフォロー。
・上記を繰り返す。
ここに企業公式アカウントが仲間に入れてもらうためには、
・Instagram上に広告を出稿する
・ブランドサイトにリンクを張っておく
・ハッシュタグをたくさんつけておき、マイページへの訪問者を増やす
などが常套手段でした。
しかし、特定企業やブランドの公式アカウントは、どうしても「自分主語」になりがちです。利用シーンや文脈にそったコンテンツにしようとしても、最後は商品に落としたくなってしまう。
たとえば、これはcoleman_japanの公式アカウント。
coleman_japan
![](http://www.ikedanoriyuki.jp/wp-content/uploads/2017/12/coleman_japan.png)
商品押しではなく、できる限りキャンプシーンや文脈に寄り添ったものになっていますが、ユーザーが投稿している #coleman と比べると、その差は歴然です。
#coleman
![](http://www.ikedanoriyuki.jp/wp-content/uploads/2017/12/coleman.png)
ユーザーは、なぜインスタで検索をするのか。それは、GoogleやYahoo!にない「2つのR」つまり、RealityとReal Timeがあるからです。いまさっき、もしくは昨日、趣味や好みが近い自分と同じ消費者が、投稿したRealityとReal Timeなコンテンツだから、信頼できるし、心が動くんです。
また、ブランドを離れて、「コトそのもの」になると、より一層、文脈的になります。
#キャンプマニア
![](http://www.ikedanoriyuki.jp/wp-content/uploads/2017/12/37ec8a4f1632dae91178e9ffd1608499.png)
ハッシュタグフォロー機能によって、これからはきっとこう変わります。
[これから]
・過去に複数回検索したことがあったり、自分の投稿によく付けるハッシュタグをフォローする(ハッシュタグをフォローしても、見た目上のフォロイー(フォロー中)の数は増えないため、興味があるハッシュタグは遠慮なくどんどんフォローできる)
・フィードの中に、フォローしているアカウントと、フォローしているハッシュタグが混じって表示される
・フォローしているハッシュタグの方が(特定商品ではなく)シーンや文脈にそっているため、気に入った写真が多く流れてくることになる
・しかも、企業公式アカウントの投稿数が1日1つや週に2~3個なのに対し、ハッシュタグは、種類によって1日に数十投稿が流れてくるため、フィードの中に占める存在感は圧倒的にハッシュタグになる
……と、フィードの中における企業公式アカウントの存在感が圧倒的に減るわけです。
でも、これは一方でチャンスとも言えます。
たとえば、僕がよく行くおしゃれキャンパーの聖地 #ふもとっぱら というキャンプ場名のハッシュタグ。このワードを検索したユーザーが辿る導線を妄想してみましょう。
![](http://www.ikedanoriyuki.jp/wp-content/uploads/2017/12/a22355d06d2c889d8bc93c047fbe2769.png)
・うわー、サムソー!でもやっぱり冬キャンプいいな。今月か来月また行こう
・お、この人のテントカッコいいな、どこのだろう(画像タップ)
・(ハッシュタグを見ながら)ふむふむ、テンティピジルコン9とな
・よし、検索してみよう(Google)
・(ECサイトのリンクをタップして)ほほーこれかーカッコいいな。そしてでかい。6~10人も入るなら大人数での宴もできるな。うわ!お高い!でもいいなぁ……
この行動の中に、商品認知、興味喚起、理解促進、購入意向の向上までが入ってます。これがインスタの威力。
ハッシュタグ=(うちの社名にもなっている)Tribe(トライブ:共通の興味関心を持った集団)ですから、この中では極めてハイコンテクストなコミュニケーションが成立します。
だから、いずれECの主戦場はハッシュタグ内のフィードになるだろうし、投稿数が大きい反面、タグとの関連性が弱い(ノイズが多い)ビッグワードのハッシュタグは敬遠され、どんどんハイコンテクストなミドルやスモール、マイクロなハッシュタグに分化していくことが予想されます。
(例)#キャンプ は投稿数が130万件を超えているものの、必ずしも自分のキャンプスタイルに合うものではないため、これがフィードに流れてくるのは嫌だと思ってしまう……。だから、#キャンプ はフォローせず、2,000件しか投稿がないけれど、自分にとっては良質な#キャンプマニア をフォローする、というユーザー心理
![](http://www.ikedanoriyuki.jp/wp-content/uploads/2017/12/f3f825b3786d5f3dfe9290800610ff1b.png)
さて、特筆すべきは、認知→意識変容というユーザーの大きな意識変容プロセスの中に、企業(ブランド)の直接的なマーケティング活動が介在していないこと。これ、カスタマージャーニーの観点から見ても、すごく大きなことですよね。
では、ブランドはどうしたらいいんでしょう。ざっと書きなぐってみると。
インスタ経済圏の中でブランドが取り組むべきこと
1.自社が関連する文脈を挙げまくる
2.それぞれの文脈に合致するハッシュタグの状況を調べて優先順位を付ける
3.重要度の高いハッシュタグの中における自社と競合の存在感を把握する
4.どうやったら、そのハッシュタグ内で自社商品の存在感が高まるか知恵を絞る(当たり前ですが、ステマはダメですよ!)
5.上記1~4を繰り返す
ひとつずつざっと解説します。
1.自社が関連する文脈を挙げまくる
例えば、キャンプに関連するハッシュタグ(≒文脈)にはこんな広がりがあります。
![](http://www.ikedanoriyuki.jp/wp-content/uploads/2017/12/5367e4608a140a87d658a1c6ab0a6779-720x599.png)
人は、なぜキャンプに行くのでしょう? キャンプに行くためにキャンプに行くのではなく、誰と、どこで、どんなキャンプをすることで、どんな気持ちになりたいのか? を突き詰めて考えることが文脈を知るヒントです。
ちなみに、これはInstagramの関連ハッシュタグを一発で出してくれるハシュレコという便利サイト。オススメです。
2.それぞれの文脈に合致するハッシュタグの状況を調べて優先順位を付ける
ハッシュタグは星の数ほどありますから、むやみやたらと広げても仕方ありません。まずは無尽蔵に出し終わったら、エクセルでリスト化して、そのハッシュタグでの投稿(累計)数、ハッシュタグとの関連性(質の高さやブレの少なさ)、平日・週末あたりの平均投稿数を入力し、自社ブランドにとって重要なハッシュタグの優先順位付けを行いましょう。
3.重要度の高いハッシュタグの中における自社と競合の存在感を把握する
重要度の高いハッシュタグが付いたユーザー投稿を全件目視チェックをして、自社および競合ブランドが、どんな文脈で、どのくらいの数、出現しているか把握してください。登場回数は多いほどいいですが、大事なのは、登場の仕方(文脈)です。それがあなたのブランドがユーザーに提供している情緒的・精神的価値である可能性が高いわけです。
4.どうやったら、そのハッシュタグ内で自社商品の存在感が高まるか知恵を絞る
ここが一番重要で、一番難しいところです。商品やユーザーの特性、文脈によって戦略は様々なので、「これをやれば大丈夫」なんて紋切り型の戦略や企画なんて存在しません。大いに悩み、アイデアを絞り出す腕の見せ所です。当たり前ですが、ステマはダメですよ!
5.上記1~4を繰り返す
ハッシュタグは生き物ですから、一度戦略目標を設定したら、ずっとそのまま、なんてわけはありません。季節によっても、トレンドやブームによっても、競合の動きによっても、空気はどんどん変わります。数ヶ月に一度は戦術の適合性チェックをしてください。
さて。
このサイクルが回り始めるということは、ブランドが、従来型の(企業主体の)ブランドコントロールから、User Generated(ユーザー主体)で、Co-Create(共創的)なものになるということです。
企業による支配がおよばない分、時間がかかるし、思い通りにいかないことも多いでしょうが、だからこそ、成功すれば他社が真似しづらく、短期的にひっくり返すことが難しい、持続可能な競争優位になるということです。
ブランド担当者は、担当商品の物理的便益はスラスラ出てくるけれど、感情的・情緒的・精神的ベネフィットやコンテクストになると、思考が停止してしまいがち。
Instagramのハッシュタグフォロー機能によって、インスタユーザーは、さらに一歩、製品から文脈へと歩を進めました。
文脈思考の習得、もう待ったなしです。