一にテスト、二にテスト。ウェブサイトの改善はテストがすべてとよく言われます。実際、テストは「成長の文化」の中核を成すものと言えるでしょう。ここでいう成長の文化とは、日々顧客体験を改善していくため、チームの誰もが積極的にデータを収集し、それに基づいて行動する文化のことです。
では、良いテストとはどのようなものでしょうか。たとえば「購入」ボタンの色を青から赤に変更して影響を調べるのは、優れたテストと言えるでしょうか?それを決定づけるのは、テストの題材としてそのボタンを選んだ理由です。解析に基づくチョイスでしょうか、それとも単なる勘でしょうか?
適切なフレームワークは企業によって異なりますが、概ね共通して言えるのは次の 3 つです。
まずインサイトと仮説を用意すること。
行き当たりばったりに気になった点に手を付けるのは得策ではありません。データを見直すことから始めるのが成功の秘訣です。なんらかの意味で突出している部分、つまり特にうまくいっているポイントや、特に問題があるポイントを見つけましょう。
題材となるインサイトが見つかったら、次はそれについて仮説を立てます。なぜそんなにうまくいっている(あるいはまずいことになっている)のでしょうか?その部分に行き当たったユーザーはどのような体験をしていますか?良いことだったとして、他の部分でも同じ効果を引き起こすにはどうするばいいでしょうか?あるいは悪いことなら、改善するにはどうすればいいでしょうか?ここで組み立てた仮説が、テストの起点となります。
たとえば、モバイルでのコンバージョン率が PC の場合よりも低いことがわかったとしましょう。この場合、モバイル環境でのショッピングや決済のエクスペリエンス改善に向けたテストを実施することが考えられます。
The Motley Fool の事例はこのパターンでした。メール キャンペーンによってユーザーをニュースレター注文ページへと誘導するところまではうまくいっているものの、コンバージョンが発生していないことに気付いた同社は、ユーザー エクスペリエンスの合理化を目指してテストを重ねていくことになりました。
小さなアイデアをたくさん出すこと。
仮説を検証するさまざまな方法を考えてみましょう。ここで重要なのは、大上段に構えたクリエイティビティよりも小さな創意工夫です。何も CTA(行動喚起)ボタンの再発明を試みることはありませんが、少しだけ変わった方法や大胆なアプローチは積極的に採り入れるべきです。たとえば、「お申し込みはお早めに」という CTA テキストを「お申し込みは今すぐ」に変えて様子を見るのも一手ですが、「ぜひお試しください」くらいまで変化を付ければ、新たな視野が開けるかもしれません。
迷ったときはシンプルに。いきなり大鉈をふるうよりも、小さなテストを積み重ねていくのが得策です。ちょっとした微調整で驚くほどの効果が出ることもあります(テストのアイデアに詰まったときは
こちらの記事が参考になります)。
シンプルかつ強力なテストを優先すること。
いくつものアイデアを一度にテストすることはできません。テストしやすく、期待できるインパクトも大きい仮説から着手しましょう。たとえばコンバージョン率の改善を図るなら、CTA ボタン 1 つから始めれば、時間やリソースを節約しながら成果を上げていくことができます。もちろん、ある程度時間をかけて新しいページデザインを検討する手もあります。
スピードとインパクトについては、次の図のように整理するとわかりやすいでしょう。物静かなカメを追ってもあまり意味はありません。狙うべきは声の大きいウサギです。
ウサギ狩りにうってつけなのはユーザーフローの終盤です。「可能な場合は、コンバージョン ポイントに近い部分からテストを始めましょう」と話すのは、
Nest のビジネス成長部門を率いる Jesse Nichols です。「コンバージョン ポイントから離れるほど、大きなインパクトのある、つまりコンバージョン率まで波及するようなテストを実施するのは難しくなります。」
継続は力なり
最後に申し添えておきたいポイントは、
標準化された反復可能な方法でテストを行うことです。一定のアプローチを確立して毎回使用することで、テスト間の比較が容易になり、その都度学びが得られます。
このように明確で確固としたフレームワークを用意することで、チーム全体がテストに取り組みやすく、また成果を出しやすい環境が生まれます。
電子書籍「
How to Build a Culture of Growth」ダウンロードして、テストと最適化の指針を学びましょう。
投稿者: Tiffany Siu - Google オプティマイズ 360 担当プロダクト マーケティング マネージャー