日経のFT買収 海外の見方と・・・ | 業界人間ベム

業界人間ベム - 2015年7月26日(日) 09:07
このページは、外部サイト 業界人間ベム の情報をRSSフィード経由で取得して表示しているため、記事の一部分しか表示されていなかったり、画像などが正しく表示されなかったり、オリジナル記事が意図したデザインと異なっていたりする場合があります。
完全な状態のオリジナル記事は 「日経のFT買収 海外の見方と・・・」 からご覧ください。

前回エントリーに続いて

デジタルインテリジェンスNY榮枝くんから「米国での日経のFT買収に関する見方」

東洋経済
http://toyokeizai.net/articles/-/78135

ロイター
http://jp.reuters.com/article/2015/07/24/ft-m-a-nikkei-breakingviews-idJPKCN0PX2SZ20150724

<引用すると>

調整後営業利益の35倍、そして実質価値のおよそ3倍の金額を支払ったことになる。

他の欧州系メディアの株価は、調整後営業利益の10─15倍で取引され、平均は12倍だ。買い手がそれなりのプレミアムを乗せるのは予想されるとはいえ、FTの場合、調整後営業利益に対する買収額の倍率は、米アマゾン・ドット・コム(AMZN.O)が2013年にワシントン・ポスト紙買収で所有者グラハム一族に支払った金額の2倍前後にもなる。

72万人の購読者の70%を電子版が占める。FTの14年の収入が約5億1800万ドル、営業利益は3700万ドルに上ったことも公表されている。

<引用終わり>)


つまり、1600億円強で買った会社の営業利益44億円だから、35倍(35年分)程の
ディール。

WPPのCEOマーチンソレルが少なくとも3本のビデオ・インタビューを受けている。

「奇妙なディールだ」

「というのは、コストシナジーはなさそうだ(何かを兼用する事はない)。
顧客シナジーもない。」

ソレルCEOがWPPのメディア担当に至急確認した結果、彼の言葉で
「FTはフレキシブルでない」
=広告主のプロモーションに積極的ではない。
という愚痴に似た表現を出している。(もっとフレキシブルにメディア買わせろよ、プロモーションのオファーを受けろよと・・・。)

とはいうものの、
一方で、デジタルでの広告ビジネスがプラットフォーマーに比べるとパブリッシャーにとっては大きな収益源になりづらいのも事実。

日経が活路を見出して、現在も進行中なのが
「サブスクリプション・モデルへの復活」
今、広告界を震撼させている「ネットフリックス型」ビジネスモデルへの復活。


日経新聞のオンラインは月10本、登録者には無料で読ませている。
 (これを、海外では「メーター制Metered model」と言う)

これをFTは月3本だったのだが、これを今年2月に「撤廃」をした。
(そのかわり、トライアル版で、1ヶ月1ポンド=読みたい放題、という入り口を設けた)

このメーター制は、2007年から開始をしていて、紙の読者をまずデジタル併用の読者に仕上げ、いずれデジタル購読読者を柱に立てるまでの読者移行期の施策なのはお馴染み。

日経もこの方向に向かってるので、いずれ「撤廃」の時期は近いのだろう。
ニュースコンテンツやアーカイブコンテンツはアクセスできないようにしても、経営が成り立つ、大丈夫だという事業ノウハウはFTから直接いただける事になる。

確かに、私の肌感で、FTはサブスクライバーじゃないので、肝心な所で
強行に記事を読ませない(購読者になれ)というパターンであり、読みたいコンテンツが1日1度のペースで登場する。
(週1000円程)

そのかいあって、FTはプレミアム読者の数や単価を伸ばしている。売却したピアソンの発表では
プリント+オンライン読者 737,000 (昨年比14%増)
うち、デジタル520,000,

https://www.pearson.com/news/announcements/2015/july/pearson-2015-half-year-results.html

このFTの作戦(メーター制の廃止)は、景気の変動が大きい時(=経済危機がくるとき)に大きく読者を伸ばす傾向がある。

金融危機、なんてのが来れば、「日経記事」「FT記事」は購読されまくる訳で、
一気に有料読者を増やせるチャンス。まさにその目前で
ピアソンから買わされた(買いたかった)のだと思える。
 (ますます、景気の谷が見えてきた気がする)

=====
日経が気が抜けないのは、高い買い物をした今からがさらなる投資の始まりで、
「合理化」とは逆の方向に、FTへの「追加投資」「さらなるデジタルへのアクセル」が
投資として必要になる事だろう。

その意味からは、IT投資、デジタル投資に積極的な
ロイターやブルームバーグが親となってFTを買う事が合理的だったろうが、日経が手を上げて着地したという事は、その「アクセルを踏むよ」という意志を宣言しているに違いない。

初動で投資をケチると、優良なエディターが続々出て行く事になるので。

マーチン・ソレルCEOはインタビューで
「アクセル踏まないなら、『サヨナラ』になる、」と日本語で語っていた。

http://www.reuters.com/video/2015/07/24/i-would-not-have-done-the-ft-nikkei-deal?videoId=365063662


まあ、こういう場合やっかみ半分、大概「高く買いすぎだよ」とか揶揄されるものだ。まさに日系(日経)企業が伝統的な欧米メディアを買ったから余計そうなんだろう。

でも、ベムは日経さんの英断を高く評価するね。

為替が円安だろうが、こうした企業買収によって自らをグローバル企業に変革するチャレンジをすることで、デジタルとグローバルが表裏一体の今の時代を生き残る経営判断だったと思う。さらなるデジタル投資を自らに課した訳で、デジタル化によって購読料や広告以外のビジネスモデルへの進出だって可能性を感じる。
 電通さんやサントリーさんに続いて日経さんもこうした買収によるグローバル戦略に踏み切った。こういうダイナミズムがないことにはグローバル経済では勝ち残れないだろう。

メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

勝手広告
企業広告を消費者や第三者が勝手に作って公開する自主制作の広告。 ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]