テレビ局はオーディエンス分析をしているのか。 | 業界人間ベム

業界人間ベム - 2015年5月25日(月) 11:24
このページは、外部サイト 業界人間ベム の情報をRSSフィード経由で取得して表示しているため、記事の一部分しか表示されていなかったり、画像などが正しく表示されなかったり、オリジナル記事が意図したデザインと異なっていたりする場合があります。
完全な状態のオリジナル記事は 「テレビ局はオーディエンス分析をしているのか。」 からご覧ください。

DMPやデータマーケティングの効用はユーザー視点でマーケティングすることにある。商品視点ではなくて、顧客ユーザー視点でものを考えるということでは、以前にIBMさんのイベントでローソンの玉塚さんが説明された下記の話が実に分かりやすい。

「ローソンのID-POSデータ分析で、ある店お客さんは最寄りのコンビニが別の系列にも関わらずローソンに来てくれる。そして必ず買ってくれる商品がひとつあるという。この商品は週売としては棚落ちを余儀なくされるレベルだが、この商品が棚からなくなると大事なお客さまをひとり失う可能性があるため、この店ではしっかり置いてある。」という。

リテーラーらしい顧客視点の話だが、こういうことはメーカーであろうと、サービス業であろうと同じことが言える。日本は人口減少社会だ。LTVを上げること、クロスセル、アップセルを向上されること、またターゲットセグメントが年齢による構成になっているブランドのラインナップをもっている企業であれば、ブランドAからブランドBへ顧客を橋渡しして、引き継いでいかなければならない。こうしたことは事業部のブランドマネージャーでは出来ない。彼らは当然商品視点でマーケティングせざるを得ないのであって、ブランド横断型のデータマーケティング部門をつくってやらなければならない。

さて、「ユーザー視点でマーケティングせよ」という話だが、今日はこれをテレビの視聴者に当てはめてみよう。つまりテレビのオーディエンスをマーケティングするというテレビ局がやらなければならないことだ。番組が商品としたら、視聴者が顧客(ユーザー)ですよね。

最近私はテレビ視聴データを丹念に見ている。テレビの視聴が番組によってその専念視聴度合いがかなり違うこと、ひとつの番組の中でも視聴者はひどく入れ替わっていること、箱番組などはロイヤル視聴者(例えば1クールに一定以上回数を視聴するTV端末)がかなり少ないことなどに気づく。店に例えると、常連客は少なく、たま~に来るお客と一見さんがほとんどというお店だ。これが話題の高視聴率ドラマになると定着率と専念視聴度合いが大きく伸びるというわけだ。

そうするとテレビ局はまずは番組の常連さんとはどういう人かを分析しなければならない。視聴率に右往左往しているが、視聴率を上げるには、まず視聴質を分析しなければならない。視聴質とは、「誰が観ているか」と「どの程度専念して観ているか」のおもに2つの要素だ。これをコンテンツのメタデータと紐付けてみないといけない。

この番組に定着率の高いロイヤル視聴者(つまり常連さん)はどういう人で、この人たちは他にはどんな番組の常連さんなのか・・・。テレビを観る人たちとはどういうペルソナでどういうセグメントに分けられるのか・・・。こういう分析をしないとオーディエンスをマーケティングすることにはならないのだが、テレビ局の人、ちゃんとやってる?そもそも番組ごとの視聴率(つまり商品が何個売れたか)ばかりに一喜一憂していて、視聴者(誰が買ってくれたか)を全然分析してないんじゃないの? せっかくひとつのドラマを当てても、次の企画で獲得した視聴者をまったく違うセグメント向けのドラマにしてない? 同じ枠での視聴者の流入や流出ちゃんと分かってる?

Netflixはやってるよね、こんなことくらい。それどころかもっと内容、シナリオ(データによるコンテンツマーケティング)にまで踏み込んでいる。

クリティカルなのは、日本のテレビ局がデータによるコンテンツマーケティングとは未だほど遠いところにいることだ。Netflixが脅威かどうか以前に向こうは当たり前のことをやっていてこちらは当たり前のことをやっていないということに気づきましょう。

編成権はとっくの昔にテレビ局の編成から視聴者に移っている。みんなもうどこの局のドラマかなんてほとんど気にしてはいないのよね。

「見逃し視聴」とかいうけど、そもそも「見逃し」という言葉を使う時点で、「あらっ?見逃しちゃったの?」という未だ「〇曜日の〇時は、お茶の間で座って待ってなさい。」という感覚でないのかな。編成権が視聴者にあるということが理解できていない証拠のようなものだと思うけど・・・。

 オンデマンドでニーズのあるコンテンツは、必ずしも放送で視聴率の高い番組ではないはずだ。ユーザーが少ない可処分時間からアクティブな視聴行動を選択するコンテンツは、習慣的にテレビが点いている時間に流れているものを観るという行動とは同じではないのだ。また放送とオンラインのオーディエンスは同じコンテンツでもどの程度オーバーラップするのか、しないのか、そういう分析も必要だろう。


ちょっとばかり厳しいことを言いましたが、私はテレビが好きです。テレビで育った世代です。「鉄腕アトム」から日本のアニメをリアルタイムで観てきましたし、仕事で「Dr.スランプ」や「ドラえもん」や「ドラゴンボール」などたくさんの番組やスポットを売ってましたし、洋楽特番も制作してました。クライアントさんからナイターもらって(SG戦なので)雨降って中止にならないようにてるてる坊主つくってたような広告マンでした。テレビCMも10数本つくりました。ですからテレビがやるべきことをやらずに弱体化するのを見過ごせない思いがあります。

今のところテレビは強力なプッシュ力をもつ唯一の広告メディアです。

昔マス4媒体といいましたが、今や新聞も雑誌もラジオもマスと呼べるプッシュ力はありません。

マスと言えるのはテレビだけです。


そのテレビが若い視聴者にはそっぽを向かれつつあります。高齢層と若年層の到達効率の差は歴然とあります。

アメリカの若者なんか、そもそもテレビ番組を録画するという行動様式がほとんどありません。彼氏の家に行ったらテレビが置いてあって、「ダサい」と思って別れたと言ってる女の子もおります。w

そのトレンドは、きっと贖うことが出来ないことでもあるでしょう。しかし、コンテンツプロバイダーとしては、テレビ局が視聴者(オーディエンス)をしっかり分析して、今後放送だけでなく、オンラインも含めたコンテンツディストリビューションの最適化を図るという思考を始める時期に来ていると思います。

 しっかり分析してテレビ広告の価値を再発見すれば、実はもっと広告単価を上げられるかもしれないですよね。実際24時間しかないなか在庫を簡単に増やすわけにはいかないですし、全体で持ちGRPを上げる努力もさることながら、オーディエンス分析でターゲット効率の良い枠開発をして価値を上げる努力もされた方がいい。

 私は基本1業種1社のコンサルなので、局さん1社だけならコンサルします。(笑)

メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

アドベリフィケーション
広告のブランド保護に利用する広告テクノロジーで、広告配信システムと組み合わせて利 ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]