「ソーシャルメディア効果測定」まとめ(後編) | ikedanoriyuki.jp | Tribal Media House, Inc.

ikedanoriyuki.jp | Tribal Media House, Inc. - 2013年4月2日(火) 11:35
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前回は、『「ソーシャルメディア効果測定」まとめ(前編)』として、現場担当者の悩みや、陥ってしまいがちな効果測定の5つの罠とその回避法について解説しました。

今回は、その後編として、効果測定を実施して行くと悩む「鶏が先か、卵が先か」という「因果性のジレンマ」と、「エンゲージメントが大事」って言うけどさ、そのエンゲージメントとやらが向上したらどんないいことがあるわけ?という、エンゲージメントと意識変容と態度変容の関係性についてまとめてみたいと思います。

まず最初にご紹介したいのがこちら。

この調査の出典は、North American Technographics Online Benchmark Omnibus Survey, Q4 2011 (US) で、ナショナルブランドにおけるFacebookページのファンと非ファンの間で、「過去12カ月における購入経験」 「ブランド選好度」 「推奨意向」 にどのような差が出るのかを示したものです。

見ると一目瞭然ですが、非ファンよりもファンの方が3つの指標全てにおいて高い数値を示しています。つまり、「Facebookページスゲー!」ということです。

でも、この調査を見て、何か気になりませんか?

そう。そもそも、Facebookページのファンになったからそのブランドのファンになったのか、もともとそのブランドのファンだったからFacebookページのファンになったのかについてはわからないのです。これを因果性のジレンマと言います。

この調査結果以外にも、アメリカの有名な調査機関が、某コーヒーチェーンのFacebookページには数千万人のファンがいる。ファンは非ファンに比べて1年間にコーヒーを2倍飲んでいる(年間のLTVが倍)。だからFacebookページの時価総額はXXXドルである!なんてことを発表していることもありました。


ちょっと待ちなさいと。


そのコーヒーチェーンには、Facebookページを開設する前からたくさんのファンがいて、その人たちは、もともと(そのコーヒーチェーンが好きではない、もしくは好きでも嫌いでもない人たちよりも)年間2倍のコーヒーを飲んでいたのでは…?とは誰も言わないわけです。実に不思議です。

この疑問を払拭しない限り、Twitter公式アカウントやFacebookページのマーケティング効果はずっと「眉つば」のまま、過大あるいは過小評価をされ続け、いつしか「胡散臭いもの」になってしまう、と強い危機感を持ってきました。

そして、ようやくこの因果性のジレンマを(ある程度)解決しながら、Twitter公式アカウントやFacebookページでのエンゲージメント(KPI)がどのような意識変容(KGI)を促し、結果としてLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)という態度変容に影響を与えるのか、明らかにすることができるようになりました

前回もしつこいくらい何度も書きましたが、Twitter公式アカウントやFacebookページでのエンゲージメントは目的ではなく手段です

エンゲージメントを高めることによって、どんなマーケティング効果(意識変容)を獲得することができたのか、そしてその意識変容は態度変容につながっているのか、それを明らかにすることが重要です。

Facebookページで考えてみましょう。

現在、(左下の薄緑色に)いいね!を2回しかしたことのないエンゲージメントが低いファンがいます。その人は(エンゲージメントが低いため)ブランド想起率や好意度、購入意向などのKGIも低いのでしょうか。そして、購入頻度や購入金額といったLTVも低いのでしょうか。いままでの調査法では、それはわかりません。

では、この(左下の薄緑色の)エンゲージメントが低いユーザーが、担当者のマーケティング努力によっていいね!を4回、コメントを3回、シェアを2回するようなエンゲージメントが高いファンになったとしましょう。

その(エンゲージメントが高い)ファンは、ブランド想起率や好意度、購入意向などのKGIも高くなり、購入頻度や購入金額も増加するのでしょうか。これも、いままでの調査法では明らかにすることはできません。

これらを明らかにするために、下記のような調査スキームと専用の調査アプリが必要です。

KGI分析①では、ファンと非ファン(Twitterの場合はフォロワーと非フォロワー)の比較を行います。これによって、最も基本となる内外比較をすることができます。

続いてKGI分析②で、エンゲージメントが高いファン(フォロワー)と低いファン(フォロワー)を比較し、エンゲージメントとKGIの関係を明らかにします。これは、専用に開発した調査アプリによってアンケートユーザーのOAuthデータを取得するため、アンケートに答えてもらわなくても、そのファン(フォロワー)がいつFacebookページやTwitter公式アカウントのファン(フォロワー)になってくれたのか、どの投稿コンテンツにいいね!、コメント、シェア、RT、Favをしてくれたのか、正確に把握することができるため、かなり信憑性が高い分析ができるようになりました。

最後のKGI分析③は、Facebookページのファンになってから(Twitter公式アカウントのフォロワーになってから)の時間経過と、ブランド想起率、好意度、購入意向などのKGIは何かしらの関係性があるのかを検証するものです。こちらもKGI分析②同様、OAuthデータによって何年何月にファン(フォロワー)になったのかを把握できるため、分析が可能になったものです。

トライバルメディアハウスでは、この調査スキームをSocial KGI Researchとしてリリースし、FacebookではJAL様とローソン様の2社に、Twitterではニッセン様とファミリーマート様の2社に先行調査を実施しました。

詳しいデータをご紹介しましょう。まずはFacebookページの調査結果から。

こちらは調査概要です。本調査は、Facebookページのファンと非ファンに同じアンケート調査を実施します。ファンへの調査は、先に解説したOAuthデータとアンケートデータを集計し、エンゲージメントや経過時間とアンケート結果(意識変容や態度変容)との相関を分析します。

そしていよいよKGI分析。まずはファンと非ファンの比較から。

上記の通り、ブランド名の想起率、好意度、利用(購入)意向において、ファンの方が非ファンよりも高い傾向を示しており、Facebookページのファンには優良顧客が多く含有されていることがわかります。

続いてエンゲージメント比較。

エンゲージメントが高いファンと低いファンを比較したところ、エンゲージメントが高いファンの方が全てのKGIが高くなる傾向が見られ、エンゲージメントの向上がKGIの向上につながることが確認されました。ちなみに、ファン歴が長いファンと短いファンのKGI比較では、KGIの項目や企業によって結果が分かれました。これは、購入頻度やカテゴリーに対する関与度が影響しているとみられます。現在10社程度で本調査を実施していますので、傾向が見えてきたらまた別途まとめたいと思います。

続いてLTV比較です。

上記の通り、ファンは非ファンと比較して2~3倍程度購入量が多いことがわかりました(非ファンを1.00倍として比較しています)。また、ファンの中でもエンゲージメントの高いファンの方が(エンゲージメントが低いファンよりも)購入量が多いことも確認されました。

上記は良い結果ではありますが、これらからでは「鶏が先か、卵が先か」といった「因果性のジレンマ」は解決できません。そもそもそのブランドのファンだったからFacebookページのファンになり、エンゲージメントも高く、LTVも高いんじゃないの? ということは解明されていないわけです(しかし、非ファンよりもファン、エンゲージメントとKGIの相関、KGIとLTVの相関は立証されました)。

ここで最後のデータです(ここで紹介しているデータは、あくまで2社で実施・納品したデータの極々一部であることを予めご了承ください)。

ファンになってからの意識変容と態度変容にどのような変化が見られるかを分析したものです。

上記の通り、ファンはよりファンに(青色グラフ)、もともとブランドが好きでなかったファン(赤色グラフ:Facebookページのファンになった理由が「そのブランドのことが好きだから」と回答しなかったユーザー)も、一定の割合で親近感を持ったり、興味がわいたり、購入を検討したりしていることがわかりました。

これらから、この2社のFacebookページは、マーケティングファネルの各階層において一定のマーケティング効果を発揮していると言えるわけです。

では、続いてTwitterのKGI調査結果です。

こちらが調査概要。Twitterのエンゲージメントは、OAuth認証によって、ユーザーのRTとFavデータを取得し、分析しています。

まずはKGI分析①のフォロワーと非フォロワー比較。

上記の通り、ブランドの想起率、好意度、利用(購入)意向において、フォロワーの方が非フォロワーよりも高い傾向を示しており、Twitter公式アカウントのフォロワーにも優良顧客が多く含有されていることがわかりました。

続いてエンゲージメント比較。

エンゲージメントが高いフォロワーと低いフォロワーを比較したところ、エンゲージメントが高いフォロワーの方が全てのKGIが高くなる傾向が見られ、エンゲージメントの向上がKGIの向上につながることが確認されました。なお、フォロワー歴とKGIとの関係では、Facebookページ同様、KGIの項目や企業によって結果が分かれました。こちらについても、購入頻度やカテゴリーへの関与度が影響していると考えられるので、傾向がわかったらまたブログにまとめたいと思います。

そしてLTV分析。

上記の通り、フォロワーは非フォロワーと比較して2~3倍程度購入量が多いことがわかりました。またフォロワーの中でもエンゲージメントの高いフォロワーの方が(エンゲージメントが低いフォロワーよりも)購入量が多いことが確認されました。

続いて、「鶏と卵」について見てみましょう。こちらは、公式アカウントをフォローした理由です。

上記の通り、フォロワーの7割以上は「ツイート内容が楽しいから」 「キャンペーン情報を得るため」にフォローしており、もともとのブランドのファンではなく、Twitter公式アカウントの魅力によって新たな層を獲得できていることを示しています。

最後に公式アカウントをフォローしたことによる意識変容と態度変容について。

フォロー後の意識変容と態度変容について、もともとそのブランドが好きだったフォロワーにおいては、より一層ファン化が進んでいることがわかります(青色グラフ)。

また、フォロワーの中に占めている割合が多かった「もともとファンではなかったユーザー」においても、Twitter公式アカウントをフォローしたことによって商品やサービスに興味を持ったり、購入を検討する機会が増えていることが確認されました。

これらから、Twitter公式アカウントも、Facebookページ同様、マーケティングファネルの各階層において、一定のマーケティング効果を発揮していることが確認されたと言えます。

前編と後編にわたって解説してきた「ソーシャルメディア効果測定まとめ」は如何だったでしょうか。

来る4月18日(木)に、ここで書いた内容を詳しく解説する【無料】セミナーを開催します。当日は、私の講演の他に、TwitterのKGI調査でご協力頂いたTwitter Japan、ニッセン、ファミリーマート様からそれぞれご講演頂きます

すでに定員の100名をはるかに超える応募が集まっていますが、抽選になっていますので、興味がある方は下記から申し込みをしてください。


● Twitterマーケティング効果測定セミナー[実践編]
ニッセン/ファミリーマートのTwitter公式アカウント運用とKGI調査結果報告

(2013年4月18日(木)13:30~17:30 @TKP赤坂ツインタワーカンファレンスセンター)
https://mailform.tribalmedia.co.jp/20130418/
※お申込みは4月4日(木)までみたいなので、まだの方はお急ぎください!


皆さまのご応募、お待ちしております。

ということで、「ソーシャルメディア効果測定まとめ」おわりっ!

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