写真は「撮ったものを共有する時代」から「共有するために撮る時代」へ | ikedanoriyuki.jp | Tribal Media House, Inc.

ikedanoriyuki.jp | Tribal Media House, Inc. - 2013年3月10日(日) 20:12
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スマホと高機能写真アプリが現代社会に増殖させたものは何でしょう。それは、寂しがり屋の「かまってちゃん」です。

つい先日、写真共有アプリのInstagramの月間アクティブユーザー数が1億人を突破したことがニュースになってましたね。

Instagram、スタートから28ヵ月でアクティブユーザー数1億人を達成(TechCrunch)

今日のお話は、Instagramがなぜここまで短期間で成長したのか、ということじゃなくて、写真(撮影)の目的がすごく大きく変わってきたよね、ということ。

むかし(と言っても数年前)は、写真って楽しい想い出を記録するものだったじゃないですか。それが、ここ最近で起こった、スマホの普及、高性能な無料カメラアプリの台頭、共有するSNSの存在という3つの変化がつくり出したエコシステムによって、写真の目的は「記録」という本来の機能から、「誰かとつながっていたい」 「すごいねって言って欲しい」という人間関係構築ツールに変わってしまった。これってすごい変化だな、と。


写真は、「記録するため」に撮るものから、「誰かとつながって、すごいね、よかったね」って言ってもらうための人間関係構築ツールに


確かに身に覚えがあります。少しばかり恥ずかしいですが、自らの投稿を振り返ってみましょう。過去1年くらいの自分のFacebook投稿を見直してみると、こんな感じの投稿が多い。

これは会社のスタッフから誕生日プレゼントとしてもらった似顔絵イラスト入りゴルフボールでティーショットを打つときに撮ったもの。心理は「みんなからもらったボールで今からティーショット。こんなキュートなボールで今からゴルフやる俺って幸せ!いいでしょ!」って感じ(恥)

次は、この前、出張で青森に行ったときに現地の皆さんに連れて行ってもらったお店で乾杯するときの一枚。お気に入りの一番搾りが地域特産品のグラスで飲めるってことでパチリ。これも気持ちとしては上と同じかな。あとは、こんな早い時間から飲んじゃうよ!しかもいま青森だよ!幸せだよ!みたいな感じかな…。

これは、ここ数年使い続けてきたマスメディアンさんから頂くカレンダーから、かわいらしいカレンダーに変更したときの記念に撮ったもの。気持ち的には 「ほら、俺のデスク、こんなに遊び心があってかわいらしい感じなんだよ。お茶目でしょ。シャレオツでしょ!」 みたいな感じ。もう死にたい。

こちらは目黒で有名なカレーうどん屋さんに行ったとき。名物のエビ天を乗せてパチリ。レストランやラーメン屋さんで皆さんもよくやりますね。皆さんは、焼肉、ラーメン、お寿司、今日のランチなどをどんな気持ちで撮影し、そして何を目的にFacebookやTwitterに投稿してますか? きっと僕も同じです

最後は昨年のポッキーの日に、イベント会場の東京タワーに行ったときに撮った(投稿)した写真。目が上を向いているのは、恥ずかしさ半分と、茶目ッ毛アピール半分です。今日はポッキーの日だぜ!みんなも楽しもう、俺は楽しいぜ!アピールが目的です。

いかがでしょう。

バカなの? と思った人も、「わかる!」と思った人も両方いるでしょう。バカなの? と思ったあなた。自分のスマホの写真アルバムを開いてみてください。アルバムに入っている写真のうち、SNSなどで共有することを目的とせず(自身の記録用として)撮った写真は何枚あるでしょう。

ちなみに、僕は驚くべきことに(ホワイトボードなどのEvernote保存用を除いて)ほぼ100%が 「共有用」 の写真でした。愕然としましたが、まあそんなもんです。写真は「想い出を記録するもの」から「共有して人とつながるためのもの」に変わったのです。言ってみれば、僕のスマホに入っている100数十枚の写真は、(TwitterやFacebookなどのような)友人や知人と共有するための手段がなければ、撮影しなかったということなのです。

さて、この現象をマーケティングの視点から考えたらどうなるでしょう。

ここであえて造語をつくってみたい。


Shootablity(撮られやすさ)/Shootable(撮られやすい)


用法は、Talkability(話されやすさ)、Buzzability(話題になりやすさ)、Sharability(シェアされやすさ)などと同じです。意味は「写真への撮られやすさ」。

Facebookのフィードには、テキストや動画よりも写真が圧倒的に多いですよね。それは(企業も個人も)写真が一番「いいね!」してもらえることを経験的に知っているからです。だったら、企業のマーケティング(特にショップやイベントなど)は、どれだけ来店者や来場者が写真を撮りやすいか?(撮りたくなるか?)をもっと積極的・徹底的に考えた方がいいと思うんです。だって、撮影さえしてもらえたら、TwitterやFacebookに投稿してもらえる可能性が高いわけですよ。あわよくばチェックインもしてくれるかもしれません。

できることはたくさんあるはずです。例えば、

● 撮影スポットにTwitterやFacebookのロゴ看板を立てる
● ソーシャル文脈の被写体を用意する(思わず撮ってしまいたくなるようなもの/Likeが多く付きそうなもの)
● 「写真お撮りしましょうか?」と積極的に声を掛けるスタッフを用意する(デジカメで撮ったら 「スマートフォンでもお撮りしましょうか?」 と促す)

などなどです。お決まりの写真投稿キャンペーンで「無理に」投稿を促すのではなく、いかに自然に写真を撮って投稿したくなるかを考えるのです。

ソーシャルメディアのユーザーは、日々ネタを探しながら生きています。街を歩いていても、家でご飯を食べていても、仕事をしていても、TwitterやFacebookに投稿する格好の「被写体」を探しています。企業はそれを提供するんです。名付けて「被写体マーケティング」です。

ほら、何かヒントが浮かんできそうでしょ?

ということで、今日は一億総かまってちゃん(&俺スゲーだろ。ドヤッ)社会の到来についてでした。これからも変わらずかまって頂ければ幸いです。

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