ソーシャルキャンペーンを成功させる7つのポイント(+10の補足事項) | ikedanoriyuki.jp | Tribal Media House, Inc.

ikedanoriyuki.jp | Tribal Media House, Inc. - 2012年6月12日(火) 13:32
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最近では、キャンペーンのソーシャルメディア連携が当たり前になりました。成功事例、失敗事例もたくさん出てきましたが、成功しているキャンペーンにはどんな共通項があるのか、ちょっと考えてみました。

まず前提ですが、これから整理する7つのポイントは、ソーシャルキャンペーンとして実施されたものではないものも多く含まれています(むしろそうじゃない方が多いかも)。あくまで僕が、「これはソーシャルキャンペーンを成功させるに当たって大切なポイントだな」と感じたものを、要素として抜き出し、紹介させて頂くものです。

ちなみに、ここで言う「成功」とは、
 ・ ユーザーの自分ゴト化が促進され
 ・ ソーシャルメディアで情報が拡散され
 ・ 話題になって
 ・ サイトに人がたくさん来てくれ
 ・ ブランド理解が進んだりコンバージョンに至る

というようなことを指しています。

当然、これらの成功ポイントは、必ずしも全てのキャンペーンに適用できるものではなく、商材特性やプロモーション目的によって異なります。あくまで「一般的に」という感覚で見てください。



■ ソーシャルキャンペーンを成功させる7つのポイント ■


1. 一瞬でわかるシンプルなメッセージにする

ネットやソーシャル(TwitterのタイムラインやFacebookのニュースフィード)を見ているとき、僕らは相当なスピードで「見る情報」と「無視する情報」を峻別しています。企画者(プランナー)と同じくらい高関与で、じっくりとなんて見てくれません。だからこそ、メッセージは超わかりやすくなくちゃならない。1秒で「おもしろそう!」「なんだろ、これ」と自分ゴト化してもらえなければ、光のスピードでどこかへ行ってしまいます。1秒で捉まえる覚悟で臨みましょう。

香川県のキャンペーンサイト「うどん県」はわかりやすいですよね。「えっ?うどん県!?」⇒クリック、みたいな。


先日から無印良品が実施している「無印良品史上最大のキャンペーン」もすごくわかりやすい。2年間、無印良品の家(家具付き)に住める人を募集するというもの。これは相当な応募者数になるだろうな。

2009年に話題になった、オーストラリアのハミルトン島で年収1,000万円の簡単なお仕事(管理人)をしませんか?にも似たわかりやすさとパワーを感じます。


2. ソーシャルグラフの特性を理解した情報伝播経路を設計する

ソーシャルメディアはソーシャルグラフ(ソーシャルメディア上の人間関係)によって情報が伝わります。だから、ユーザーにいかに会話や情報発信をしてもらえるかが鍵となります(誰も会話してくれていないブランドは、ソーシャルメディアでは存在していないも同然)。

多くのキャンペーンサイトには、ソーシャルメディアへの情報拡散を期待して、いわゆる「ソーシャルボタン」が付いています。TwitterのツイートボタンやFacebookのいいねボタンなどですね。でも、ボタンを置いただけじゃ、そんなに押してもらえないわけです。面白いキャンペーンサイトでしょ!だからみんなに教えてね!というのは企画者側の思惑であって、ユーザーはそんな期待通りの行動はしてくれない。だから、ソーシャルボタンは大切だけれど、設置するだけじゃダメ。どうやったらユーザーがツイートしたくなるか、シェアしたくなるか、という文脈開発が大切です。

これを猛烈にうまくやっているのは、AXE告白の塔のキャンペーンサイトです。


「Twitterでラブレターを送ろう」というコンセプトのこのサイトで、たとえば僕の友人である@a_d_m_a_n が@SMM_JPさんに告白をします。そうすると、下記のようなツイートが吐き出されます。


@a_d_m_a_n のフォロワーである僕ががこのツイートを見てURLをクリックすると、こんなページに飛んできます。つまり、あなたのお友達が勇気を出して告白をしたから、応援してあげましょう、と促してくるんです。



で、応援メッセージを入れて送信すると、それがツイートされるというわけです。こんな感じで。


このうまさ、わかりますか? つまり、「あなたのツイッターのフォロワーさん全員に情報を送りましょう」ではなく、「あなたの友達の @a_d_m_a_n さんを応援してあげましょう」という文脈をつくってるんです。その @a_d_m_a_n への応援メッセージが、結果として他のフォロワーさんにも見えている(届いている)。これぞ、ソーシャルグラフの特性を深く理解したツイート促進の文脈開発だと思います。(2人のやりとりのように見えて、@ikedanoriyuki と @a_d_m_a_n の両方を知る共通の友人や知人は「おや、なんだろ」って自分ゴト化されますよね)

このように、ユーザーに情報を共有したり、拡散してもらいたい場合、「ユーザーのモチベーションや必然性」をリアルに想像することが大切です。単にソーシャルボタンを設置して終わり!ではなく、「ユーザーがツイート(もしくはシェア)したくなる文脈」を考え尽くし、実装する。ここ、とっても重要なポイントです。


3. インフルエンサーを巻き込む

昔はアルファブロガーでしたが、最近ではアルファツイッタラー(耳慣れない言葉かもしれませんが、影響力のあるツイッターユーザーの方をこう読んだりします)などが「自発的に」ツイートしたくなるような情報やコンテンツを届け、話題の拡散を狙うやり方です。

重要なのは、「お願いする」「強要する」のではなく、いかに相手が「自発的に」ツイートしたくなるかを設計するということ。

有名どころでは、Old Spice Manが代表例でしょう。キャンペーンの詳細は、「3日間で1100万回以上視聴されたP&Gのバイライル動画キャンペーン:Alyssa Milanoをバスタオル一枚にさせてしまったThe Old Spice Man」(the Public Returns – 続・広報の視点)にとてもよくまとまっています。

このキャンペーンは、テレビCMも連動していますが、ツイッターフォロワー100万人を超えるDigg.comの創業者Kevinの感動ツイートがきっかけで大きく話題がドライブしています。きっかけになった動画がこれ。「肺炎に苦しんだ」とTweetしていたKevinに、わざわざ彼だけへのメッセージ動画を制作し、メンションを飛ばしたのです。「大丈夫かいケビン?と」。

インフルエンサーのツイートは、ものすごいパワーがあります。だから、企画者はみんなそれを期待する。でも、当たり前ですが、有名人は忙しいし、そんなに簡単になんて反応なんてしてくれない。だから、この「インフルエンサーを巻き込む」というのはすごく難しい。

でも、もしここに果敢にチャレンジするのなら、重視すべきは「インフルエンサーのことを徹底的に研究し、労を厭わず、愛を持ち、礼節をわきまえ、ときにユーモアをもってアプローチする」ことです。

そして、反応が無かったとしても「スルーされて当たり前」と考えましょう。あれ、見てないのかな、と、何度もしつこくアプローチするとウザがられて炎上ツイートをされてしまう可能性もありますからご注意を。相手はとにかくとっても忙しい方々。こちらの都合でプロモーションに勝手に巻き込むのですから、プランナーである前に人としてのモラルを大切にしましょう


4. ユーザーを巻き込む

ユーザー投稿キャンペーンなどが一般的なやり方です。「ソーシャルメディア=双方向」というイメージからか、「ユーザー投稿キャンペーンがやりたい!」というご依頼は少なくありません。

でも、そもそもユーザーにコンテンツを創ってもらったり、投稿してもらうことは、相手に相応の負荷がかかります(もちろん、「負荷」と捉えられない文脈開発が重要であることは言うまでもありません)。大成功と言われたロッテのFit’sダンスコンテスト(第一弾)ですら投稿された動画本数は約2,500本と言われています。これでも相当な数ですが、投稿数「数10~数100」なんて投稿キャンペーンはザラにあります。

何のために投稿してもらうのか? それは投稿キャンペーンでなければ伝わらないメッセージなのか? など、ユーザーを巻き込む場合はいまいちど冷静にキャンペーン設計を見直すようにしましょう。

ユーザーを巻き込むにも何段階かのレベルがあります。最も難しいのは動画。撮影の手間、編集の手間、動画アップロードの手間など、相当負荷が高い。次は画像やテキストの投稿。よくあるのが「あなたの日常で感じた小さな幸せを投稿してください」的なもの。

みなさん、「あなたの日常で感じた小さな幸せを投稿してください」と言われて、1秒で答えが見つかりますか? 僕は見つかりません(小さな幸せは感じているんでしょうけれども)。個人的に、お題を振られて「えっ?う~んと・・・」って考えちゃうお題はよくない。

ユーザーを巻き込む場合、企画者ではなく、逆の立場(ユーザー側)だったらどう反応するか、という検証テストは何重にも行ってください(企画者は高関与な状態ですから、企画に関与していない人に「これってわかりやすい?」「投稿する?」と徹底的にヒアリングしましょう)

最近ではライフネット生命上場記念で実施された、はてなの「出口社長におもしろいことを言わせてお祝いしよう!」キャンペーンがツボでした。わかりやすいし、これくらいの関わりならユーザー負荷も少ない。


5. ユーザー同士のコミュニケーションを活発化させる

ユーザーを巻き込む目的は、何も情報拡散だけではありません。ユーザー同士のコミュニケーション(ソーシャルインタラクション)を活発化させることによって、キャンペーンの参加継続率を高めることができます。

たとえば、現在第2回目が行われている花王のヘルシア12週間健康チャレンジ

このキャンペーンは、12週間という比較的長い期間、継続して取り組みます。毎日ヘルシアを飲んで、運動して、脂肪を燃やし、目標の体重や体脂肪率を目指すもの。正直、ひとりぼっちじゃなかなか続かない。だからこそ、キャンペーンサイトでは、TwitterやFacebookアカウントでソーシャルログインしてもらい、チャレンジャー同士で応援し合ったり、記録がフィードに流れてソーシャルグラフの友人からコメントをもらったりできるような仕様になっています。

これも、機械的にソーシャルログインをさせて、ユーザー同士でつながろう!とやってもうまくいきません。「ユーザー同士がつながる必然性があるか? つながりたい気持ち、つながることによるメリットは何か?」を徹底的に考えることが大切です。


6. PRと連携させる

日本のソーシャルメディアは、40人~60人という比較的小さなソーシャルグラフが形成されている場です。だから、Twitterの月間アクティブユーザー(推定)1,400万人、Facebookの国内会員数約1,000万人、mixiの月間アクティブユーザー1,500万人と言っても、1人のユーザーが発言して伝わる情報の範囲というのは意外と小さい。

たとえ、「ソーシャルメディアで話題」になったとしても、それはあくまで一部のソーシャルメディアユーザー(アーリーマジョリティくらい)までが知っている情報。仲間はみんな知っている「仲間ゴト化」はされていても、誰に話してもみんなが知っている「世の中ゴト化」にはなりづらい。

ひとつのキャンペーンで世の中ゴト化をつくるのは大変だとしても、ソーシャルメディア上の仲間ゴト化を大きくドライブさせるためには、小さなソーシャルグラフ内の枠を超えて情報を伝播させる力が必要です。それは、ソーシャルメディア単体ではできません。必ず、マスメディアとの連携が必要です。そしてそれは、広告ではなくPRです。

ソーシャルメディアのクチコミは、CMを打ってもさほど反応はありません。ソーシャルメディアが反応するのは、Webニュースやテレビ番組、つまりPRなんです。

この戦略を(本当に)うまく採用しているのは、ドミノピザです。「日本上陸25周年を記念して、時給250万円のアルバイトを募集する」というPRキャンペーンは記憶に新しいのではないでしょうか。

このインパクト抜群のメッセージは、約5億円のPR露出(広告価値換算)があったそうです。そして、応募者数は約1万人。意外と少ない?と感じるかもしれませんが、紙の履歴書に自分で切手を貼って郵送するというハードルの高さの割には多かったんじゃないかと思います。

ソーシャルメディアで大きな話題を起こしたいのなら、「ソーシャルメディアで話題になるコンテクストのニュースをPRによってマスメディアから発信する」ことが鉄則です。ぜひ実践してみてください。


ソーシャルキャンペーンのPR連携法については、『ソーシャルインフルエンス』(本田哲也・池田紀行著、アスキー新書)を合わせてどうぞ!


7. ソーシャル文脈を理解する

以上、いろいろと書いてきましたが、最後にまとめると、とにかく重要なのは、そのキャンペーンは「ソーシャル文脈になっているか?」という根本的なポイントです。

ネットでウケるネタについては、『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)の著者、中川淳一郎さんのこちらの記事を参考にしてほしいのですが、つまるところ、そのキャンペーンはBuzz-ability(話題になる要素)やTalk-ability(話したくなる要素)はあるか?という根源的な問いが重要です。

先ほども書きましたが、ソーシャルメディアでは、誰かが情報を発信しない限り、情報は存在しません。伝わる、伝わらないの前に、情報自体が存在しない。だから、最も重要なのは、ユーザーに会話してもらうことや、情報を発信してもらうこと。そしてそれは強制できません。お金で買うこともできません(Twitter広告によってブーストさせることはできます)。

いま現在起こっている不幸は、この根本的なソーシャル文脈を無視して、従来の広告脳でプランニングをしてしまっていること。広告は、お金を出せば、出したい場所(メディア)に、出したいクリエイティブ(メッセージ)で、出したいときに、出したいだけ、出すことができます。主導権は広告主が持てる。

でも、ソーシャルの主導権は消費者(ユーザー)です。だから、広告脳ではなく、徹底的にソーシャル脳(ユーザーの立場)でプランニングしなきゃならない。それって本当に興味を持つ? 1秒で自分ゴト化する? 友達に話したくなる? ツイートする必然性ある? 友達を巻き込むモチベーションある? と。

広告脳からソーシャル脳(ユーザー脳)への転換。実はここが一番難しく、一番大切なポイントなんじゃないかと思います。


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いかがでしょう。整理してみると、「当たり前のことばっかりだな!」と感じたかもしれません。でもまあ良い企画にウルトラCはありません。これらのアタリマエにビッグアイデアを付加し、いかにうまく組み合わせるか。そこがプランナーの腕の見せ所なんだと思います。

さて、上記7つの成功ポイントに加え、10の補足事項があります。これらも、どれも大切なことだと思いますので、思いつくまま列挙しておきます。


■ ソーシャルキャンペーンを成功させる10の補足事項 ■


1. 公式アカウントのフォロワーやファン獲得とつなげる

キャンペーンの話題化に成功すると、そこには多くの人が集まってきます。でも放っておくと、一時の関係しかつくれません。せっかくサイトに来てくれ、ブランド体験を深めてもらっても、もう会うことはできないかもしれない。だから、TwitterやFacebookの公式アカウントをフォローしてもらいましょう。そこからAlways Onの関係を始めるのです(詳しくはこちらのエントリーに書きました)。

最近、TwitterのフォロワーやFacebookページのファン獲得を目的としたプレゼントキャンペーンが目立ちますが、インセンティブで釣ってフォロワーやファンを増やしても、キャンペーンが終わったらすぐにアンフォローされてしまいます。アンフォローされなくても、こちらからの投稿はスルーされてしまう。そもそもプレゼントが目当てで、ブランドへの関与度が低いわけですからエンゲージメントは中々高まらないわけです。だから、物質的・経済的インセンティブで釣ることはあまりお勧めできません。

最近でウマイ!と感じたのは、さっきも紹介した無印良品史上最大のキャンペーン。ティザーサイトにはこう記載されています。

「キャンペーン情報は随時、無印良品の家 Facebookページ と無印良品 Twitter でお伝えします。「いいね」か「フォロー」を押してお待ちください。

うまいですよね。


2. iMedia(Web広告)を買ってしっかりと導線を張る

意外と抜けるのが、サイトへの導線設計。ストプラから始まり、ユーザーを自分ゴト化させる文脈開発、具体的なコンテンツの企画、PRプランなどに時間を取られ過ぎ、肝心なところが抜けてしまう。コンテンツはおもしろいけど、そもそもこのサイト(コンテンツ)、ユーザーはどうやって見つけるの?と・・・。

どんなに秀逸な文脈やコンテンツでも、導火線に火をつけなければ花火はあがりません。認知獲得のためのディスプレイアドやターゲティングメディアへの出稿だけでなく、Twitterのプロモツイート(Twitter広告)や、Facebookのスポンサー広告なども織り交ぜ、ソーシャルユーザーにしっかりとリーチするようにしましょう。

「面白いコンテンツさえつくれば、広告に頼らなくても情報はバイラルで伝播する(だからお金はかけない)」という認識は誤りです。コンテンツが秀逸であれば情報は広がります。しかし、発火は意図的・計画的に行う必要があります。発火にはお金がかかると心得ましょう


3. Flashでサイトを重くしすぎない

ブロードバンド回線でローディングに30秒以上かかるようなコンテンツはいただけません。ブランドのコアファンであれば我慢してくれるでしょうけれども、一般ユーザーであれば5秒で帰ってしまいます。商材やプロモーション目的によってリッチコンテンツは重要ですが、ユーザーが見てくれてナンボです。「過ぎたるは、なお及ばざるが如し」です。


4. スマホ最適化をさせておく(もしくはスマホサイトを用意しておく)

意外かもしれませんが、たまにスポッと抜けることがあります。
 ・ クライアント:「そういえば、今回のサイトは携帯でも見れますか?」
 ・ ベンダー:「いえ、今回の予算には含まれておりません」
 ・ クライアント:「えっ?」
 ・ ベンダー:「えっ?」

きょうび、スマホ対応しないキャンペーンはほぼ皆無だと思います(今後、より一層スマホを中心としたキャンペーン設計が主流になっていくと思われます)。プランナーはスマホ最適化(もしくはスマホサイトの開発)を織り込んで企画を進めるだけでなく、逆にスマホならではのアイデアを付加するくらいの余裕は欲しいものです。


5. ユーザーに多くを期待しすぎない

プランナーが陥りがちな罠。とにかくユーザーにいろいろとやってもらいたがる。コンテンツを投稿してもらう、投票に参加してもらう、情報をTwitterやFacebookにフィードしてもらう、友達を誘ってキャンペーンに応募してもらう・・・。

ユーザーはそんなにみんな高関与じゃないし、暇じゃないよ!

キャンペーンに接触するユーザーには、ブランドへの高関与者から低関与者まで、いろんな人がいます。時間があってじっくりサイトをみている人もいれば、仕事中に1分でナナメ読みしている人もいる。なのに、とにかくユーザーにいろんなことを強いてしまう。

ときに凝った仕掛けやユーザーの参画も重要ですが、多くの場合、より簡単な関与のしかたくらいにしておく方がうまく行くと思います。


6. 投稿キャンペーンのお題は赤の他人が見ても楽しめるものを

伝えたいブランドメッセージやキャンペーン目的にもよりますが、ユーザーの投稿キャンペーンを成功させるためには、投稿されたコンテンツが「赤の他人が見てもおもしろいもの、興味深いもの」の方が2次拡散が狙いやすくなります。

たとえば、恋愛や結婚に関連した商材の場合、「恋をしていて幸せを感じた瞬間」というお題よりも、「嬉しかった・びっくりしたプロポーズ」の方が、「誰が」投稿したかに関わらず、コンテンツとしての伝播力は高くなります。

投稿のお題は、ときと場合によって、「Who」に依存せず、「What」が面白いかどうか、というのも重要な視点です(さきほどのAXE告白の塔とは逆の視点です)。


7. 小さな軌道修正をする予算を残しておく

ソーシャルキャンペーンは、ローンチしてすぐにアクセスログやソーシャルメディアでの拡散状態をチェックすることができます。

従来の重たいキャンペーンは、ローンチしたらあとは動向を見守るのみでしたが、ソーシャルキャンペーンの場合はユーザーの反応を見ながら、キャンペーン実施期間中にきめ細かくPDCAを回すことができます

そのためには、キャンペーンの実施見積に「最適化予算」を組み込んでおかなければなりません。

しかし、いままでのキャンペーン見積には「最適化予算」なる項目や費用計上はあまりなかったため、事前にクライアントとしっかりすり合わせ、予算を承認しておいて頂く必要があります。普通に出すと「何これ?何に使うの?」となって通りませんし、「そのときはそのときでまた考えましょう」となると、迅速な対応ができなくなってしまいます。クライアント側としては、当初に決めた予算が、キャンペーンが終わらないと最終Fixしない、というのは気持ち悪いし、社内承認などがとりにくいわけですが、ここはしっかりとご理解頂く必要があります。

理想的には、全体のキャンペーン予算の10%程度をバッファー(最適化予算)として確保しておきましょう(もちろん、使わなければクライアントへは請求しません)。


8. キャンペーン目的と効果測定指標を明確にしておく

ソーシャルキャンペーンの場合、とかく「話題化」や「拡散」が目的になってしまいがちです。

しかし、キャンペーンの目的は、「話題化や情報拡散による “何か” の達成」のはずです。そこをしっかりとクライアントとすり合わせ、合意しておきましょう。

ではないと、キャンペーン終了時に、「情報は広がったけど、今回のキャンペーンって成功だったのかなあ」というクライアントからの問いに明快な回答を提示することができません。

今回のキャンペーンターゲットは、潜在顧客の育成なのか、顕在顧客の取り込みなのか、既存顧客の深耕なのか。そのターゲットの、どんな意識変容や態度変容を促したいのか。

当たり前のことではありますが、キャンペーン実施前に、「どの指標が、どの数値を示したら成功とするのか」についてしっかりとすり合わせを行っておきましょう。


9. 詳細な効果測定を行い、次回のキャンペーンに活かす

広告宣伝部やマーケティング部は狩猟民族が多いからか、効果測定をおざなりに済ましてしまうことがあります。

もしくは、効果測定は行うけれど(レポーティングはするけれど)、そこからもう一歩踏み込んで、FindingsとLearningsを明確に整理しない

これだと、せっかくのデータが活きてきません。集計はしたけれど、分析はしていない。分析はしたけれど、改善策が見えない、ということになります。

キャンペーンデータはしっかりと測定・分析をし、「解釈」しなければ意味がありません。解釈した知見は、必ず次回のキャンペーンに活かすことができます。

キャンペーンの成功確率を上げていくためには、キャンペーンを毎回フルモデルチェンジしていくのではなく、過去のデータに学び、マイナーチェンジをしていくことがポイントです。


10. 最後にもう一度クライアント志向で考える

キャンペーン企画をしていると、どんどん「楽しいこと」や「話題になること」にベクトルが向いてしまいがちです。また、「TwitterやFacebookのAPIを使うとこんなことができます!」と、「やるべきこと」と「やれること」が逆転してしまうこともあります

出来上がった企画を、最後にもう一度、「これはクライアントのマーケティング課題を解決する企画になっているか」 「期待するキャンペーン目的を達成する企画になっているか」を再考するようにしましょう。

一度考えた企画を練り直すのはとても勇気がいることです。企画を考え直すのは大変だし、企画書を書きなおす作業もしんどい。でも、最後にもうひと踏ん張り、クライアント志向で検証することができるか。自戒を込めてですが、大切なポイントだと思います。


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以上、長々と書いてきましたが、「一番大切なのは、現場の人間がプランニングやキャンペーンオペレーションを楽しめているか」かもしれません。

どんなキャンペーンであれ、ゴールを達成するためには、人(ユーザー)の心を動かさなければなりません。

理論やロジックは大切ですが、眉間にしわをよせてうんうん唸りながら、楽しい企画なんて考えることはできません。成功しているキャンペーンは、企画者や実行者みんなが「真剣に楽しめている」気がします。

うちも、クライアントのマーケティング課題を解決することと同時に、世の中をもっと楽しくするようなキャンペーンをたくさん企画して行きたいと思っています。

以上、ソーシャルキャンペーンを成功させる7つのポイント(+10の補足事項)でした。

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