[新版]広告業界用語辞典-日常生活編 | ikedanoriyuki.jp | Tribal Media House, Inc.

ikedanoriyuki.jp | Tribal Media House, Inc. - 2012年3月5日(月) 09:32
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いつの間にかもう3月です。来月、大学を卒業した若者が多数業界に入ってくることですし、春は転職の季節でもありますので、新たに業界に入ってくる方に向けて裏広告業界用語辞典をつくってみることにしました。[新版]に特に意味はありません。なんとなくです。数が多くて書ききれないので、「あいうえお順」で何となく頭に浮かんだものから書いてみます。


※画像:FreeFoto.com


● あの人とは友達だよ

相手が著名な業界人の名前を発したら、臆せずに「あの人は友達だよ」と言いましょう。自分の顔の広さをアピールしたいときに効果的です。その人が講師を務めるセミナーに参加したことがある。パーティーなどで名刺交換をしたことがある程度でも構いません。「マブダチ」とまで吹いてしまうとボロが出ますので「友達」くらいにとどめておくことが安全です。「えっ!あの人と友達なんですか!?じゃぁ今度紹介してください!」と返されたら、焦らず「あの人も忙しい人だからねえ、まあ今度会ったら一応話してみるよ」と一目散に逃げましょう。


● おしり

締切日のこと。CM制作、プロモーション、イベントなど、広告業界のプロジェクトは大勢の人が係わるため、全員がそれぞれの締め切りを守ることが生命線となります。1日の遅れが命取りになります。先輩から何か仕事を振られたら、とにもかくにも締め切りを確認することが大切です。「このタスクのおしりはいつですか?」というセリフが板についてきたら一人前です。


● オリエンシート

ブリーフ。RFP(Request for Proposal)などとも言われる。発注主が広告会社などに依頼案件を整理して伝えるために作成する書類。オリエンシートを作成せず、口頭だけで仕事を依頼する事業主や広告会社も多いですが、だいたいの場合、後々「言った言わない」 「こんなはずじゃなかった」と揉めることになります。あなたが発注主の場合、必ずオリエンシートを作成し、文書で共有・すり合わせをするよう心がけてください。なお、「今回のオリエンシートは良くまとまってるね!」という場合、競合の広告会社が代理で作成している(つまり形式上のコンペ)になっている可能性が高いので注意が必要です。


● 完徹

「かんてつ」と読みます。「完全に徹夜した(もしくはする)」の意。「いやー、まいったよ、結局オレ今日完徹しちゃった」などと使います。「疲れてるね、大丈夫?」 「まじでしんどい。今日で3徹目だよ」などのバリエーションがありますが、常人が一睡もせずに3日も仕事ができるわけはありません。だいたいの場合、AM4時か5時くらいから3~4時間は仮眠しているので心配はいりません。ただし、この言葉は「オレ忙しくて大変なんだよ!」アピールを目的として使用されるため、かわいい後輩を演じるあなたは「先輩!大丈夫ですか?何かお手伝いできることがあったら何でも言ってください。先輩が倒れたら会社が回りませんよ!」と自尊心をくすぐる一言を忘れないようにしましょう。


● 完パケ

タスクを完全に終了させることを指します。「この提案書は明後日中の完パケ目標で進めよう」などと使います。もともとは映像制作用語。CM映像の編集や音入れが終了し、フォーマット組みが完了した映像の「完全パッケージデータ」が略されて「完パケ」になりました。複数人で作成する提案書などの場合、ファイル名に「120305_太平洋電機様ご提案書_【完パケ版】」などと付けられる場合がありますが、最終版に修正が入った場合、「120305_太平洋電機様ご提案書_【完パケ版の修正版】」などとなり、さらに「120305_太平洋電機様ご提案書_【完パケ版の修正版の今度こそ完パケ版】」など、最後は結局どのデータが完パケデータなのかよくわからなくなることも業界の愛らしい特徴です


● クライアント

総合広告会社では「お得意」とも言われます。発注企業の文化や担当者の思想によって外注先を「パートナー」と呼ぶか「外注先」と呼ぶか分かれます。当然ながら「パートナー」として扱ってくれるクライアントと仕事をする方が幸せを感じることができるでしょう。ただし、言葉で「パートナー」と言いつつ、頭では「業者」と考えている人もいるため注意が必要です。決して騙されてはいけません。なお、「外注」が「パートナー」に昇格できるかはクライアントの文化や思想ではなく、自分(自社)のパフォーマンスによる、という噂が有力です


● 効果測定

業界が抱える永遠の課題。組織が縦割りであることをいいことに、それぞれの領域の担当者や業界企業がそれぞれの領域だけの成果を主張し、それがまかり通る傾向があります。でも、上司も、上司の上司もずっとそのやり方で事なきを得てきたため、「部長、試しにこの看板を1枚外したら売上がいくら減るか確かめてみましょう」などと、誰も難しいことは言い出しません。最近、デジタル領域では第三者配信やアトリビューション分析などへの取り組みが活発ですが、デジタル以外からの間接効果(テレビCM→CVRへの影響)や店頭への影響(サイトアクセス数→店頭送客数)などはほとんどわかりません。あまり突っ込むと煙たがれるため注意が必要です。相手の顔色を見ながら切り出しましょう。


● コミットメント

義務、契約などの意。平たく言うと「命を懸けるつもりある?」を意味します。クライアントから「御社は本件についてどの程度までコミットいただけるんですか?」と言われたら、それは、「お前、この案件、ちゃんと死ぬ気でやる気あんの?できなかったらどうやって落とし前つけんの?」ということへの回答を求められています。そのとき安易に「120%コミットしますのでご安心ください」と宣言すると、内容によって後々の揉め事になるケースがありますので、気をつけてください。コミットとはそのくらい重たい言葉なのです


● コンフィ

Confidentialの略。NDA(守秘義務契約)に基づく秘匿性の高い情報のこと。「この情報はコンフィなので宜しくお願いします」などと使います。「この資料はコンフィ系ですか?」 「あ、まあコンフィ的な感じで宜しくお願いします」など、系や的を入れると意味合いが曖昧になり、ファジーを好む業界人に喜ばれます


● じゃぁまぁそんな感じで

長い会議の最後に発せられる黄金の一言。話があっちこっちに行き、次までに誰が何をしなければならないのか全く何も決まっていない状態。そんな未来への不安を全て払拭し、「まぁそんな感じかな」とあたかも有効な会議だったかのように全員を錯覚・安心させる魔法の言葉。集中力も完全に切れ、腹も減ってもう切り上げたい場合、あなたも使ってみましょう。「じゃっ!まあそんな感じで!」と。ちなみに、この言葉はある程度上位役職者でないと逆効果となります。あなたが新入社員の場合、フルボッコにされる可能性が高いので、この言葉は数年間胸の中にしまっておきましょう。


● スコープ

業務の範囲を指します。「今日クライアントから依頼されたことって、明らかに今回のプロジェクトのスコープ外だよなー」などと使います。多くの会社や人間が係わるプロジェクトは、「誰が誰の指示によっていつまでに何をどの品質でいくらで企画・制作・納品するか」の「スコープ規定」が命です。これがブレるとプロジェクトは空中分解し、「カオス」の本質を知ることになります。優秀なプロジェクトマネージャーに求められる3つのスキル、つまり、スコープ規定力、タスク&スケジュールマネジメント力、見積力のうちの1つなのです。


● すり合わせ

ありとあらゆる場所で多用される言葉、それが「すり合わせ」です。社内、社外、様々な利害関係者と情報を共有し、一定の共通見解まで落とし込む作業を指します。日本企業の場合、「根回し」とデフォルトセットで実行されることが多いことも特徴的です。優秀な広告マンは「すり合わせ」上手です。メールや電話ではなく、直接会ってすり合わせる。昼間の会議室だけじゃなく、一杯飲みながらすり合わせる。「すり合わせのホニャララ(あなたの氏名)」などと評されるようになったら出世の合図です


● タスク&スケジュール

スコープ規定されたプロジェクトの具体的業務とスケジュールを分解したものです。A3横のエクセルで日別スケジュールが組まれることが多い。より細かく規定する場合、WBS(Work-Breakdown-Structure)を作成する場合もあります。成功するプロジェクトと失敗するプロジェクトの境目は、このタスク&スケジュールが明確であるかどうかに大きく影響を受けます。あなたが係わるプロジェクトにおいて、タスク別に担当者氏名が明記されているタスク&スケジュール表が無い場合、保身のため、なるべく早くそのプロジェクトから逃げる方法を見つけ出しましょう


● 着地(点)

議論や納品物に関する議論をどのあたりで両社合意するか、予め企てておくこと。「今回の見積さ、だいたいこのくらいの金額で着地できないかな」 「そうですよね、クライアントはああ言いますが、うちとしてはこのくらいの着地点じゃないと赤が出ちゃいますしね」などと使います。これとは逆に、プロジェクトが途中で崩壊することを「空中分解」と言います。この2つから類推するに、プロジェクトは空中で行われているもので、プロジェクトマネージャーはメンバーが乗る飛行機をうまく操縦し、全員が目指す着地ポイントに着陸させる技を持った職人、ということが言えます。


● 提案書

広告会社や制作会社が前日に徹夜をして仕上げる広告業界の血液とも言えるもの。全ては提案書に始まり、提案書に終わる、といわれるほど重要なもの。大規模な競合プレゼン(ピッチ)の場合、営業、ストプラ(ストラテジックプランニング)、プランナー、AD(アートディレクター)、CD(クリエイティブディレクター)、コピーライター、メディア担当など総勢数十人のチームが組まれ、数週間から1ヶ月程度のプランニングプロジェクトが始まる。「船頭多くて船進まず」 「ブレスト長くて最後は3徹」などというパターンが多いため注意が必要です。


● 握る

主にクライアントとの意思疎通、信頼関係やスコープの合意加減などを指します。「グリップ」とも言われます。「お前さ、結局今回の一件って、スコープについてクライアントと握れてなかったからこうなったわけだよな!?」などと先輩から怒られるときに使われます。社内で「ホニャララ(あなたの氏名)のクライアントのグリップ力ってすごいよな。あそこの客先はもはやお前じゃなきゃ担当できないよ」という声が聞こえてきたら昇給の合図です。


● フィックス

「確定」の意。「太平洋電機さんへの次回訪問、来週水曜日の10時でフィックスしました」などと使います。グループウェアのスケジュールなどで、「(仮)3月5日15:00~16:00太平洋電機様Mtg@先方【フィックス】」など、(仮)と【フィックス】が併用されることもあるなど、随所にトラップが仕掛けられていますので注意してください


● 見積

提案書と同じ、いやもしかしたらそれ以上に重要なものでありつつ、提案書作成に全ての体力を時間を使い切り、プレ日前日くらいから慌しく見積作成に入り、結局抜け漏れありまくりの概算見積を提出して、にもかかわらずそういうときに限ってあわや受注に至ってしまって後々死ぬほど苦労することがある天使と悪魔が混在している書類。優秀な営業やプロジェクトマネージャーは「見積力が高い」ため、提案書が60%くらいまで出来上がり、大まかな見積スコープがわかった段階で見積書作成を始めます。「下げるの1秒、上げるの数ヶ月」と言われる見積金額。完全に裏取りができていない見積は「概算見積」とし、さらに注記に「スコープやタスクによって金額は変更される可能性があります」などとリスクヘッジを忘れないようにしましょう。

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以上、如何だったでしょうか。ここで紹介した用語の定義はフィクションです。良い子の皆さまにおかれましては決して鵜呑みになさらぬよう、ご注意ください。健闘を祈ります。

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