広報視点から菅直人内閣を見ると | ネットPR.JP

ネットPR.JP - 2011年9月1日(木) 13:34
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菅直人総理大臣が辞任し、新しい政権が誕生しました。


振り返ってみると、尖閣諸島問題、増税議論、震災・原発への対応などなど、いつも厳しい評価にさらされてきた菅政権、ここでその首相官邸のネットPR活動について、簡単にまとめてみます。


KAN-FULL TV

菅内閣・首相官邸のPR活動においてまず挙げられるのは、


●KAN-FULL BLOGとKAN-FULL TVを展開した。


ことです。


まずブログについては「ネットを通じて、首相が直接自分の言葉で語る」ことについては、メールマガジンの試みは小泉内閣からあり、ブログについても前任の鳩山由紀夫元首相による『鳩Cafe』があり、その取り組み自体はそれほど画期的ではありません。

確かに、よく読むと「ずいぶん踏み込んだことを書いたな」と思わせる文章が見られますが、残念ながら、

「菅首相→ブログ」と連想できる国民が、どれだけいたのか、KAN-FULL BLOGから、どれだけ他のブログやツイッターなどに引用されたのか

と考えると、その成果は限定的と言わざる得ません。

一方でKAN-FULL TVは、さすが元TBSニュースキャスターの下村健一氏を内閣審議官をスタッフに加えただけあって、一つ一つの映像はとてもいい出来です。


特に国民と直接対話するシーンが多い。テレビの報道ではなかなか伝わってこない姿です。


しかしこれも、やはり大きなインパクトを残したとは言えません。理由は上と同じです。


●東日本大震災直後に特設ページをつくりツイッター・英語版 を開始した


こちらは、とにかく情報が欲しかった震災直後の状況においては、非常に大きな役割を果たしていたと思われます。特に首相と枝野官房長官による記者会見の予告と要約は、大いに役に立ちました。ボランティア活動の支援にもなっていました。


こうして振り返ってみると、少なくともネットPR活動に対しては、それなりに健闘した内閣であると評価したい気もしてきます。


しかし、やはり感じてしまうのは「いろいろやっているのに、届いていない」という現実です。

ひとつは「特性に応じたツールの使い分けができていない」ということがあげられます。
KAN-FULL BLOGを見ればわかりますが、あまりにもテキストだらけで、ぱっと見読む気がしない記事が多いのです。内容も公式文書を噛み砕いたものや、KAN-FULL TVの音声まるごと書き起こしなどは、いまひとつ「わざわざブログでやる」意味が見えない。このあたりは『鳩Cafe』のほうがまだ明確でした。


首相が自ら執筆した「先を見すえて」と、スタッフによる「官邸雑記帳」だけに絞ってよかったのではないかと思われます。


記事ごとにつけられたボタンも、はてな・del.icio.us・Googleブックマークだけしかありません。むしろツイッターのツイートボタンや、Facebookの「いいね」ボタンを設置すべきだったと思われます。


KAN-FULL TVにしても、映像はいいのに、通常のYouTubeのようにブログなどに貼り付けて共有することができません。ちょっともったいない。


もうひとつは、他のPR活動との連動です。


記者会見やぶら下がり取材と、こうしたソーシャルメディアをもう少し連動させることはできなかったでしょうか。サーチエンジンによる検索を通じてサイトに訪問するユーザーが多いと考えると。検索行動の喚起を目標にマスと連動することで、ネットPRは確実にその効果を拡大させることができるはずです。メディアがどのくらい取り上げるかはわかりませんが、もう少しチャレンジして欲しかった。


記者会見の席でしつこいくらい、BLOGやTVを表示したiPadを見せるべきではなかったか、ということです。


新しい野田佳彦政権には、菅内閣をはじめとして、これまでの内閣が取り組んできたネットPR施策のうち、良かった部分を継承しながら、さらに発展させて欲しいですね。
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