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「プライベートDMP」改め「CDP」――顧客文脈のコミュニケーションを進めるデータ基盤の仕組みと活用法

デジタルマーケティングのデータ基盤には、ばらばらに蓄積された顧客情報をひも付けて管理する機能が必要だ。以前のプライベートDMPは「CDP」と名前を変えている。

世の中に流通する大量の情報のなかで自社のメッセージが顧客にきちんと届くようにするためには、「顧客文脈のコミュニケーション」が重要だ。そのために、デジタルマーケティングのデータ基盤として、ばらばらに蓄積された顧客情報をひも付け、管理し、分析・可視化できる機能を据える企業が増えてきている。

そうしたシステムをこれまでは「プライベートDMP」と呼んできていたのだが、最近では「CDP(Customer Data Platform、顧客データ基盤)」と呼ぶようになってきている。

「プライベートDMP」と「CDP」は何が違うのか。企業の顧客コミュニケーションに対する考え方や方法論をもとに、トレジャーデータの堀内健后氏が解説した。

本記事では、富士通が2月に開催した「BtoCデジタルマーケティングセミナー」の様子をレポート形式でお届けしている。

「BtoCデジタルマーケティングセミナー」レポート記事
トレジャーデータ堀内氏
トレジャーデータ株式会社 マーケティング担当ディレクター 堀内健后氏

「プライベートDMP」改め「CDP」

顧客情報をマーケティングや営業活動に利用するという考え方は、90年代に始まっている。当時はCRM(顧客関係性管理)やDWH(データウェアハウス、データ保管庫)といったデータベースシステムで顧客情報を管理していたが、扱えるのは自社のデータだけで、情報を取り出すにはIT部門に依頼しなければならないのが普通だった。

その後2010年代になると、ディスプレイ広告の配信を最適化するためのシステムとしてDMPが登場した。いわゆる「サードパーティDMP」だ。オンライン広告事業社がCookie(ウェブサイトが訪問者を識別し、属性などを記録しておくための機能)を利用してユーザーのデモグラフィックデータや趣味・嗜好を特定し、広告主はその情報に基づき、条件に合致したユーザーに狙いを絞って広告を配信できるという仕組みだ。

一方、自社で溜まっていくCookieログや広告配信ログ、メールのログなどを集約して管理するデータベースを、日本(と欧州)では「プライベートDMP」と呼んでいた。こちらのDMPは、ウェブサイトのアクセスログやCRMのデータ、POSデータやサードパーティのデータなど、顧客理解やコミュニケーションの最適化に役立ちそうなデータなら何でも収集して活用しようというデータベースであり、各社が独自にデータを蓄積している。

異なる両者に対して同じDMPという用語を使うのは紛らわしいので、最近では「プライベートDMP」をCDP(Customer Data Platform)と呼ぶようになってきている。プライベートDMPサービスを提供しているトレジャーデータも、2017年7月からサービス名を「TREASURE CDP」とした。

TREASURE CDP
TREASURE CDP

CDPは、さまざまなデータを収集して統合・分析・セグメンテーションを行い、広告配信や各種マーケティング、分析やレポーティングなどに活用できるシステムだ。しかし、CDPで求められるさまざまな機能を1つのベンダーの製品だけですべてでまかなうのは難しい。また、複数の企業の製品を利用するとなると、データをひとつひとつ連携させるのも大変な作業だ。

トレジャーデータの製品では、よく使われるサービスやプロダクトと連携できる仕組みをもっている。

さまざまなサービス/プロダクトと連携するCDP
さまざまなサービス/プロダクトと連携するCDP

最近はIoTのデータと連携させることも進めており、デバイスデータとユーザーデータを組み合わせることによるビジネスイノベーションが期待されている。

またトレジャーデータでは、コンバージョン済みのデータを教師データとして機械学習を行い、顧客のデータをスコア化することで、将来コンバージョンに至る可能性の高い見込み顧客を予測できる「予測リードスコアリング」という機能を提供している。教師データが多いほど予測の精度が上がるので、コンバージョン数の多いBtoCビジネスで特に威力を発揮する。

データの連携でコミュニケーションを最適化

データを連携させることでどんなことができるのか、いくつか事例を紹介する。

事例①:消費財メーカー
ブランド・メディア・小売のデータを全部連携

ブランド・メディア・小売のデータを連携した事例である。具体的には、次のようなデータをトレジャーデータに集めてデータの可視化や分析を行い、その結果を、広告やウェブのパーソナライズ、メールやLINE、アプリ通知に使っている。

  • 1st Partyデータ
    ブランドサイトや自社ECサイトのデータ、小売店のPOSデータやメンバーズカードの会員データ、サンプル申し込みなどのキャンペーンデータ
  • 2nd Partyデータ
    メディアサイトなど信頼できる外部サイトの閲覧データ
  • 3rd Partyデータ
    性別、年齢、職業、趣味嗜好などの基礎データ(Cookieデータ)

導入はサイトなどにタグを埋め込むだけなので、必要なデータは1か月程度で溜まる。

消費財メーカーの導入事例
消費財メーカーの導入事例

事例②:EC 販売業
「解約しそうな人」を予測してケア

機械学習を活用した事例である。月額課金サービスで機械学習を活用する場合は、新しく顧客になってくれそうな人を予測するよりも、月額課金サービスを解約しそうな人を予測することのほうが重要だという。

本企業が提供する定期宅配ではウェブのログを用いて機械学習を行うことによって解約しそうな人を予測し、ケアコールや特別キャンペーンなどでフォローすることができる。

機械学習を用いた解約予測
機械学習を用いた解約予測

トレジャーデータは昨年から富士通との協業を開始しているため、MAツールなどとの組み合わせで導入すれば大きな効果を期待できそうだ。

「BtoCデジタルマーケティングセミナー」レポート記事
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