日本アドバタイザーズ協会、2025年度の事業方針と「広告の定義」を発表
公益社団法人 日本アドバタイザーズ協会(以下、JAA)は、4月23日に2025年度の事業説明会見を開催した。
開会の挨拶で川村和夫理事長(明治ホールディングス 代表取締役社長 CEO)は、世界経済の大きな変動や国内の厳しい経済状況に触れつつも、消費マインド回復に向けた広告宣伝活動の重要性が高まっていると述べた。
デジタル広告やSNSなど新たな手法の活用が進む中で、アドフラウドやブランドセーフティといった品質課題への取り組みを強化していく姿勢を示した。また、一部メディアにおける問題にも言及し、改めて「健全な広告市場の発展を目指す」と強調した。

新たな広告の定義を発表:公益性と信頼性を重視
続いて、中島聡専務理事からは、広告の望ましい姿と役割を明確化する「広告の定義プロジェクト」の成果が発表された。
本プロジェクトの背景には、偽・誤情報のある広告や誇大広告の増加による広告への信頼低下や、労働環境における人権問題、従来の広告の定義に当てはまらない広告手法が確立しつつある現状を踏まえて進められてきた。
昨年11月からマーケティング・広告の実務者6名、学術関係者3名、JAA関係者4名による議論を経て「広告の定義」を新たに発表するに至った。中島専務理事は、「この定義が今後の広告のあるべき姿についての議論を活発化させることを期待する」と述べた。
デジタル広告の健全化に向けた取り組み
中島専務理事は、デジタル広告の健全な発展も重要な柱として挙げ、デジタル広告品質認証機構(JICDAQ)※との連携強化による広告の透明性の推進や、社会課題に対応したコミュニケーションのあり方の研究を進めていくとした。
特に、総務省が進める「デジタル広告の適正かつ効果的な配信に向けた広告主等向けガイダンス※」の発信を契機と捉え、その普及啓発活動を行うとともに、デジタル人材育成講座の発展、業界全体の課題解決に向けた取り組みを強化していく方針を示した。
メディア委員会の活動:統合メディアプランニングの推進と課題解決
メディア委員会の鈴木あき子委員長(サントリーホールディングス 執行役員)は、昨年に発足した同委員会の活動方針について説明した。各専門委員会だけでは解決できない生活者のコンタクトポイントの統合という課題に対し、生活者を中心にメディア全体をユニバーサルに捉え、ニュートラルなプランニングと効果検証を行う「統合メディアプランニング」の重要性を強調した。
今年2月から3月にかけて会員企業を対象に実施したアンケート調査結果を公表した。「自社のメディア配分プランニングに満足している企業」は約45%に留まり、効果検証への満足度も約30%と低い現状を指摘した。
統合プランニングにおける悩みの上位には、「媒体ごとの指標が異なり比較できない」「より良い配分方法がわからない」「データ解析に詳しい人材がいない」といった点が挙げられた。
こうした課題を踏まえ、メディア委員会では今年度、実務者によるワーキンググループを設置し、課題の深掘りを行うとともに、媒体横断での指標の統一や可視化に向けた業界への提言、広告主向けの研修などを企画していく方針を示した。
その他、クリエイティブ委員会、サステナビリティ・コミュニケーション委員会、ブランディング戦略委員会など各委員会から報告があり、閉会した。
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