デジマ4つのマイルール

「もうダメだ…」は成長のチャンス? 若手時代のリアルな悩み8選と脱出ヒント

マーケ界隈で働く人たちのキャリアを取材してきた本連載。先輩マーケターの若手時代の悩みをピックアップし、どう乗り越えてきたかを振り返る。

若手ビジネスパーソンが抱える悩みは多岐にわたる。自分の強みをどう見つけるのか、どうしたらクライアントに信頼されるだろうか、思いがけず休職することになってしまった、やりたいことはあるけど一歩が踏み出せない。人の数だけ悩みもあるだろう。本記事では若手時代に抱える代表的な8つの悩みと、それを乗り越えた先輩マーケターたちの事例を紹介する。

※今回紹介するマーケターの所属部署や役職は、取材時当時の所属部署や役職を記載。

仕事内容・強みに関する悩み

若手の頃はまだまだ経験不足で、自分がどんな仕事に向いているのか、どんな強みがあるのかを客観的に理解することが難しい人も多いだろう。そんな仕事内容や自分の適性の悩みに直面した先輩マーケターたちは、どのように悩みを乗り越えたのだろうか。

「自分の強みって何だろう…」

「自分には強みといえるものがない」という壁にぶつかる若手のビジネスパーソンは多い。スターバックス コーヒー ジャパン株式会社でSNSマーケティングを担当する多羅尾(たらお)氏も、20代の頃に制作会社で勤務していた際に悩んだという。そこで自分の強みをつくろうと考えて、目の前の仕事に自分の「好き」を生かしていくことにした。多羅尾氏の好きなことは、物事を人にどうおもしろく伝えたらいいのかを考え、ユニークな見せ方を考えること。

この「好き」を担当業務であるメルマガに生かし、とにかく多くのアイデアを出して実践し、結果を見て改善するというPDCAをひたすら回していったのだ。その結果、「メルマガのコンテンツ作りができる」ことが多羅尾氏の強みになった。

周囲に『〇〇が好きなんだ』と伝えていれば、自然と縁をつないでもらえたり、チャンスがやってきたりすることがあります。そして、自分の好きを伝えることと同じように、周囲の人のやりたいことを理解し、いいところを見つけて称賛することも大切にしています(多羅尾氏)

スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社 多羅尾世里氏(2023年3月に取材)
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「仕事で成果を出せない…」

先輩からクライアントを引き継いだものの、クライアントは何かあるとまず先輩に連絡をする。「なかなか信頼を得られずに歯がゆい思いをした」と若手時代の悩みを語るのは、株式会社マネーフォワードのマーケティング部長である松原氏。

クライアントの信頼を得たいと考えた松原氏は、ファクトに基づいた改善提案を心がけることにした。分析資料は30ページにもわたり、当初クライアントは戸惑った様子を見せていた。しかし、定例会議を重ねるうちに松原氏の分析や改善に対する関心が高まり、信頼関係を築くことができた。

定例ではコンバージョンが増えた、クリック率が下がったなど数値の変化が話題になりやすく、なぜそうなったのかという深掘りは後回しにされがちでした。しかし、数値の変化を検証していけば、成功の再現性を高められ、同じ失敗を繰り返さなくなります。だからこそ、数値が変化した理由を分析して改善策を考えました(松原氏)

株式会社マネーフォワード 松原央達氏(2023年5月に取材)
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キャリアプラン・将来に関する悩み

社会に出て経験を積むにつれて、「今の仕事をこのまま続けていくべきなのか。それともキャリアチェンジをするべきなのか」とキャリアの選択に悩むこともあるだろう。そんなとき、何を基準に意思決定をするかにその人らしさが現れる。

「夢か安定か。どちらを選ぶべきか…」

公益社団法人日本プロサッカーリーグ(以下Jリーグ)のマーケティング担当の鈴木氏は、Jリーグに転職するときに非常に迷った。少年時代から大のサッカーファンである鈴木氏にとって、Jリーグで働くことはいつかかなえたい夢だった。しかし、大手企業で順調にキャリアを重ねていた鈴木氏にはふたつ懸念があった。1つは大手企業の安定路線を捨てる決断には勇気が必要だったこと。2つめは、その時点ではスポーツ業界に飛び込んだ先のステップが見えにくいことだ。

キャリアで選択を迷っている時点でやりたい気持ちがあります。自問自答する中で、これまでのキャリアにこだわらず夢を追いたいという思いが強くなりました。
『次のステップが見えにくい』という懸念は、裏を返せば同じようなキャリアを経験する人が少ないともいえる。ならば、自分のキャリアにとっても間違いなくプラスになるだろうと発想を転換しました。最終的には、やらない後悔のほうが大きいと判断し、覚悟を決めてJリーグに転職しました(鈴木氏)

公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ) 鈴木章吾氏(2023年4月に取材)
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「転職したいけど、一歩が踏み出せない…」

2度の育休・産休を取得して13年間勤めた会社から転職を決意した心境を語ったのは、アドビ株式会社のマーケティング担当の松井氏だ。1社目は仕事と育児の両立に理解があり、ワーキングマザーも多かった。しかし、マーケティング活動が業績に貢献している感覚はあるものの数値で示せないことにモヤモヤしていたのだ。より高いレベルでBtoBマーケティングを通じて収益に貢献したいと感じた松井氏は、転職活動を始める。

当時、松井氏の子供は4歳と2歳。1社目の通勤時間は電車で片道15分だったが、新しい職場は1時間かかる。育児で時間が制限される状態で迷いながらも、松井氏は転職を決意した。最終的な決め手は何だったのだろうか。

仕事をしていてもマーケティングで貢献を示せないままだとハッピーではなく、マーケティングが進んでいる企業で学びたい、どんなオペレーションモデルが世の中にはあるのだろうとワクワクしました。転職したら、子どもたちに寂しい思いをさせてしまうかもしれない。でも、母親が楽しく仕事をしている方が家族にとってもいいと考え、転職を決断しました(松井氏)

アドビ株式会社 松井真理子氏(2023年7月に取材)
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ワークライフバランス・人間関係に関する悩み

仕事をする上でのストレスは人間関係に起因することが多いといわれる。若手の頃は上司や先輩から受ける影響も大きく、環境に恵まれないと長期的に働くことが難しいこともある。
また、仕事が充実していたとしても、仕事ばかりしすぎてしまうとプライベートとのバランスが崩れてしまうこともある。

「パワハラ上司とどう付き合っていけばいいのか……」

三井住友海上火災保険株式会社でCMOを務める木田氏は、過去にパワハラ上司の下で働き、上司との関係で苦労した経験があった。だからこそ、マネジメントをするようになった今は「己を知り強みや弱みを理解して、人にも理解してもらうことを大事にしている」と語る。

自分に足りないこと、周囲からどう見られているかを常に意識していると自分の弱さがわかり、何を強みにすべきかわかる。そのためには、相手が理解できるように伝える必要があり、信頼関係が必要だ。だからこそ、人と接するときは「ノーガード」を心がけている。

パワハラ上司の共通点は、つめる・怒る・閉鎖的の3つです。上司が部下を怒りに任せてつめる行為はマネジメント能力の欠如と自己満足に過ぎず、モチベーションダウンによる組織の生産性低下に繋がるだけで意味がないと感じていました。へこんで引きずる人もいるし、ときには病んでしまうこともある。誰かの生産性を高めるためには、正しく示唆してマインドをプラスに向けていくことが必要です(木田氏)

三井住友海上火災保険株式会社 木田浩理氏(2023年8月に取材)
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「休職して、もう復帰できないかもしれない…」

ウエディングパークのブランドクリエイティブ本部 本部長の菊地氏は、入社4年目の頃に担当事業の撤退を経験する。さらに、東日本大震災で実家が被災するなどの出来事が重なり、長期休暇明けに会社に行けなくなってしまった経験を語る。

「休職して申し訳ない気持ちと、もう復帰できないかもしれないという不安に襲われました」と話す菊池氏。休職して体を休めたことによって徐々に元気になって気力もわいてきた頃に、多くの本を読んだ。その中で特に印象に残ったのが『お金の教養』(泉正人)だった。

お金を使うことは消費、投資、浪費に分けられる。そして浪費をなくして投資にまわそうと書かれていました。その時に、会社から見ると自分は投資商品なのだと思ったんです。だからこそ、投資された分より大きなリターンを返さなければいけない。
そして、お金だけでなく時間やキャリアにも共通する考えだと思いました。仕事が忙しくて自分に投資する時間がないと、できる仕事は増えていかないことに気づきました(菊地氏)

株式会社ウエディングパーク 菊地亜希氏(2023年11月に取材)
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スキルアップ・自己成長に関する悩み

得意なことと、やりたいこと。ふたつが同じならば進むべき道は明確だが、現実はなかなかそうもいかない。自分は果たしてどんな方向に向かっていくべきなのかを悩む人も多いだろう。そして、方向性が決まってもリスクがある選択なのだとしたら、一歩踏み出す勇気も必要だ。

「得意なことと、やりたいことが違う…」

横浜美術館で広報を担当している山本氏は、若手時代にキャリアの方向性について悩み続けてきた。経験やスキルのあるデザインの仕事を続けていくのか、それとも純粋に好きという気持ちに従ってアートに関わる仕事に挑戦するのか。

迷った山本氏は「好奇心の赴くままに、興味があることは片っ端からやってみる」という選択をした。デザイン事務所に就職し、憧れのデザイナーに作品を送る。輸入商社でインハウスデザイナーとして働きながら、月に数回美術館のサポートの仕事も続けた。そんな日々を続けていたところに、友人から現在働いている横浜市芸術文化振興財団の募集の話を聞いて応募することにした。面接では、これまでの多様な経験がアピールにつながった。

美術館などのアート系組織には、自分が実際に作品制作を経験している人は実はそんなに多くないんです。そのため、作品制作をしていた経験があること、アーティストのアシスタントや美術館スタッフの経験があること、さまざまな立場の多角的な視点から業務にあたれることなどをアピールしました(山本氏)

横浜美術館 山本紀子氏(2024年4月に取材)
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「仕事が思うようにできない状況に…」

アクロバティックなボディアートを特技とするお笑い芸人、ビックスモールン。YouTubeの登録者数は335万人、再生回数は38億回以上(※2024年7月時点)を誇る。SNSに舵を切る前、彼らはテレビの影響力の低下を感じていた。さらにコロナ禍が重なり、お笑いの仕事が思うようにできない状況に陥る。そんな中、テレビからスマホへのシフトをいち早く察知し、流行りはじめていたTikTokのアカウントを開設。さらに、もともと二人組だったところに10歳以上年下のグリ氏が加入し、「海外でトレンドになっている動画を真似てみよう」というアイデアを出す。

まずは試してみようと全力で動画を撮影して投稿したところ、いきなり1,000万以上の再生数を記録し、TikTokアカウントは一気に軌道に乗った。

数字は何より説得力があります。1,000万回再生されたということは楽しんでみてくれた人がそこにいる。この出来事をきっかけに、それまでの価値観が一気に崩れました。たとえばテレビに出るときは番組のプロデューサーやディレクターに評価されなければ番組に出られません。でも、SNSは評価する資格を視聴者一人ひとりが持っている。視聴者が直接評価してくれることが新鮮でした(ゴン氏)

ビックスモールン 左からチロ氏、ゴン氏、グリ氏(2024年6月に取材)
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悩みを乗り越えるためのヒント

今回紹介した先輩マーケターたちは、悩みをそれぞれの方法で乗り越えてきた。そこには以下のような共通点があると言える。

  1. 自分の「好き」や「強み」を追求する
  2. 失敗を恐れず、挑戦し続ける
  3. 周囲との協力や情報交換を大切にする
  4. 常に学び、変化に対応する

悩みを抱えることは、現状に満足していない証拠ともいえる。つまり、悩みを乗り越えた先には必ず変化や成長があるはずだ。4つのマイルールでは活躍するマーケターの事例を数多く紹介している。先輩たちの悩みと、それらをどう乗り越えてきたかを知り、自分らしいキャリアを築くヒントにしていこう。

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