デジマツール優先でCMSを入れるとぶつかる運用問題~テンプレートの呪縛から解放されるハイブリッド運用のススメ

CMSを入れたのに、入れる前より納期やコストがかかるようになってしまった――その原因は「テンプレート」一辺倒のCMSにある?
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マーケ

新商品の売上がいまひとつ伸びないので、キャンペーンを実施することになりました! CMコンテンツを流用して、自社サイトにこんな感じのページを作ってほしいんです。すぐできますか?

制作担当

ちょ、ちょっと待って、これは既存のテンプレートでは作れませんね。テンプレートを修正しないと……。

マーケ

キャンペーンは2週間後からの予定なんですけど……。

制作担当

そんなに急には作れませんよ! それに、外注に出すので予算も数百万ほど取ってもらわないと……。

マーケ

ええっ、CMSも入れているんだし、内製でなんとかならないんですか? デジタルマーケティングはスピード感が大切なんですよ!?

制作担当

そんなこと言われても、このCMSはテンプレートしか使えないんだから仕方ないだろ!

マーケ

そんなぁ! 困りますよ!

エンタープライズWeb制作の現場で最近よく聞かれる悩みに、「せっかくCMSを入れたのに、入れる前より納期やコストがかかるようになってしまった」というものがある。

これは、自社の制作現場の事情を考慮せず、デジタルマーケティング先行でツール選定をしてしまった場合によく発生する事案だ。その原因は、多くのCMSが「テンプレート」一辺倒なところにある。そんな現場の悩みを解決するためにはどうすれば良いのだろうか。

Web制作・Webコンテンツ管理に20年近く携わり、多くの顧客の悩みを解決し続けてきたオープンテキストの小口氏と、デジタルマーケティングの上流から下流のインプリメント(実装)まで面倒を見る、“実際に動く系”コンサルであるアンダーワークス代表の田島氏に、企業はこの問題をどうすれば解決できるか聞いてみた。

小口 貴史氏

小口 貴史

オープンテキスト株式会社 カスタマーエクスペリエンスマネージメント製品 ソリューションコンサルタント。日本におけるCMSの黎明期から現在まで20年近く、さまざまな企業のWebコンテンツ管理の導入に携わる。

田島 学氏

田島 学

アンダーワークス株式会社 代表取締役社長。さまざまなマーケティングテクノロジーの上流のコンサルティングだけでなく、現場の導入やインプリメントまで支援する。特定ベンダーだけではなくマルチベンダーを取り扱い、中立的に業界を俯瞰している。

変化するデジタルマーケティング業界のトレンド

四谷 志穂(以下、四谷) 自社に合ったCMSの選び方をお伺いする前に、現在のデジタルマーケティング(デジマ)業界のトレンドについてどう捉えていらっしゃいますか。

田島 学氏(以下、田島) Webサイトは昔からすごく重要な顧客接点でした。ただ、以前は、コンテンツをいかに効率よく出していくかという考え方がメインで、CMSもその観点で選ばれていました。

しかし最近は、コンテンツをただ出すだけでなく、

  • そのコンテンツはどう見られているのか
  • そのコンテンツを見た人には次にどのようなコンテンツを見せればいいのか
  • 営業担当はそのコンテンツを見た人にどうアプローチすればいいのか

を考える方向に変わってきています。コンテンツ・マネージメント・システムの頭文字を取ったCMSも、カテゴリ名がエクスペリエンス・マネージメントに変わってきました。

また、アプリやメール、SNSといった、いわゆるオフィシャルサイト以外の接点も増えてきました。それらの情報も組み合わせてどんなバリューを提供できるかが、CMSベンダーの新しい打ち出し方になってきていると思います。

もうひとつはクラウドベース、サブスクリプションベースというトレンドですね。CMSは古くからあるツールのため、オンプレミス導入からスタートしているものがほとんどですが、そのため初期費用が高く、システム開発が必要になる。その負担を減らしたいということで、クラウド化・サブスク化が進んでいます。

自社の運用体制に適したツールを選ばないことで起きた悲劇

四谷 そうしたトレンドのなか、CMSを導入したが運用面で壁にぶつかっている現場担当者は、どのような悩みを抱えているのでしょうか。

小口 貴史氏(以下、小口) とあるBtoC企業の例です。その企業では、全社的にデジタルマーケティングに力を入れるため、デジマツールを入れた。すると、そこにCMSも含まれていた。いわゆる、デジマ系の機能を網羅したスイート製品(複数のツールをセットにした製品)だったわけです。

そのCMSはテンプレートベースのものでした。テンプレートは、HTMLの詳しい知識がなくてもコンテンツの更新ができるという利点があります。ただ、その会社では、もともと実際のコンテンツ制作は外注に出しており、HTMLを書く負担という課題はそもそもなかった。それなのにテンプレートベースのCMSを入れてしまった結果、「テンプレートから少しでも外れたものを作ろうと思うと、テンプレートの修正からやらなければならない」という状況になってしまったのです。そのたびにいちいちツールベンダーに発注せねばならず、時間やコストがかかってしまう。

田島 欧米の企業はここ数年ずっとコンテンツの内製化に向かっているので、CMSに求められているのは「内製がうまく回ること」です。しかし、日本の企業はまだまだコンテンツを外注しているケースが多いんですよね。

小口 日本でも内製化を進めている企業は徐々に増えてはいますが、内製化に踏み切った企業でも、自由度がなさすぎて、結局テンプレートでの運用を断念するというケースも見かけます。

デジマツールに“恋する”マーケター問題

四谷志穂
Web担当者Forum 編集長 四谷志穂

四谷 どうして、選定の際に、自社の運用体制を踏まえずにCMSを入れてしまうなんてことが起きるんでしょう?

小口 それは、CMSが、CMSとしてではなく、「デジタルマーケティングツールとして選定」されることが増えているためです。その場合、選定時にリーダーシップを取るのはマーケターの方になります。

以前にお客様から聞いたお話なのですが、デジマツールのスイート製品のベンダーは、「複数のツールが全部きれいに連携し、うまく導入できます」「さまざまなタッチポイントで顧客体験を最適化し、マーケティングオートメーションを可能にします」といったように、デジタルマーケティングのキラキラした機能をたくさん説明します。その結果、マーケターが、そのツールの描く素晴らしい未来像に“恋して”しまうそうです。

すると、恋は盲目で、「デジマ部分が素晴らしいものだとしても、CMS部分は自社の状況に合っているのか」という視点がおろそかになってしまって、結果として自社のWeb運用状況に合わないCMSが導入されることがあり得るんです。そのお客様はこれを“恋するマーケター”問題と呼んでいました(笑)。

しかも、マーケティングとWeb担当は別部署であることが多いため、きれいに連携することがメリットのスイート製品でも、実際には連携できていない、シナジーが生まれていなかったりということも多いんですよね。

マーケティングツールは“ベストオブブリード”がオススメ

小口 最近は、MAなどのデジマツールの導入が一巡した感もあります。すべてを捨ててスイート製品に置き換えなくても、自社が保有するテクノロジーを活かしたうえでインテグレーションしていく選択もあると思います。以前、田島さんはブログに「ベストオブブリード(Best of Breed)とスイートのどちらがいいか」という記事を書いていましたよね。

田島 書きましたね。デジマに限らずITシステム全般についての考え方なのですが、ベストオブブリードとは、ベンダーやアーキテクチャーの違いにこだわらず各分野でそれぞれ自社に最適な製品を選定して組み合わせること。一方、スイートとは、機能的に関連のあるソフトウェアをまとめて、一社がワンストップで提供するというものです。

レガシーITの場合は、とにかく無駄を省いて効率化するのが最重要課題でしたから、結果的にスイートに収束しています。デジタルマーケティングもそちらの方向に行くのではと思われていた時期もありました。ただ、私の個人的意見としては、レガシーITと異なり、マーケティングは“他社との差別化”にこそ価値があります。自社の強み・弱みに応じた最適なツールを選んでいくと、結果的にベストオブブリードに落ち着くと思います。

小口 ベストオブブリードは、最初のインプリメントは大変な部分もあります。ただ、セットで買うと、各部分がもし古いテクノロジーであっても、そのまま使わなければならないということが起きます。CMSはどんどん進化していますが、CMSだけ別の物に差し替えるというわけにはいきません。

田島 ベストオブブリードだからといって、他のツールと連携ができないとか、理想のデジタルマーケティングができないということではない。ツールを選定する時には、キラキラした部分以外もちゃんと見て欲しいですよね。

コンテンツすべてをテンプレート化するのは無理がある

四谷 テンプレートのお話に戻りますが、テンプレートベースのCMSには問題があるということでしょうか?

小口 いえいえ、テンプレートは便利なものです。ただ、自由度も必要なんです。テンプレートは定型のフォーマットなので、コンテンツによって向き不向きがあるんですよ。

どういうコンテンツはテンプレートが向いていて、どういうコンテンツが向いていないかは、デザイン変更の度合いと更新頻度で判断できます。例えば、デザイン変更がほとんどなく、頻繁に更新するものは、テンプレートを作っておいてテキストと画像だけを差し替えて公開できるようにすれば効率がいい。ただ、それ以外は、テンプレートがかっちり決まっていると都合が悪いんです(下図)。

テンプレート化すべきページの選択

四谷 4つの象限それぞれ、どのようなコンテンツが当てはまりますか?。

小口 例えば、具体的には以下のようなものです。

① デザイン変更度は低く、更新頻度は高い

  • ニュースリリース
  • コンテンツマーケティングの記事やブログ
  • IR情報(社外に出したくない情報なので社内で更新したい)

② デザイン変更度が低く、更新頻度も低い

「商品情報」「サービス情報」など、新製品が出た時に新しいコンテンツを作る必要があるもの。製品スペックなど、入れるべき情報はある程度決まっているので、大幅なデザイン変更は必要ではないもの。

③ デザイン変更度が高く、更新頻度も高い

「キャンペーンページ」のように、その都度デザインが変わり、頻繁に作る必要があるもの。

④ デザイン変更度が高く、更新頻度は低い

広告代理店が作ったCMコンテンツをそのまま使う場合など、外部から「仕上がった完パケ(完成品)」が提供されるようなもの。

いいとこ取りができる“ハイブリッド”がオススメ

小口 この4種類に分けたコンテンツに、同じテンプレートのみで対応するのは難しい。そこでオススメしたいのが、「ハイブリッド」です。4種類のコンテンツに対し、それぞれの目的に応じて、以下の図のような3種類のテンプレートと非テンプレートで対応するのです。

目的に応じたテンプレート化

3種類のテンプレートがどのようなものかを説明したのが以下の図です。

利用目的に合わせたテンプレートの種類
  • 自由度の高い「空白テンプレート」
  • 定型作業で簡単に更新できる「フィックスレイアウトテンプレート」
  • その中間に当たる「プレースホルダーテンプレート」

田島 このやり方は柔軟性があっていいですね。CMSベンダーも、ガチガチに固まったテンプレートだと使いづらいというのは最近わかってきていて、「パワポのように自由にデザインできます」という売り文句のものも出てきています。

ただ、デザインが自在にできることが強みになるかというと、最近のスマホシフトの環境ではそうでもないんですよね。スマホの小さい画面では、凝ったデザインにすると逆に見にくいこともある。特に8~9割がスマホで見ると言われるBtoCの場合は、デザインの自由度の重要さは下がって、制約の中でいかにクリエイティビティを出すかの方が重視され始めています。

だから、デザインが固まったテンプレートの方がいいものはテンプレートで、自由度が必要なものは非テンプレートで、それぞれのコンテンツに適した方法を、いいとこ取りで制作できる「ハイブリッド」運用はとてもオススメだと思います。

テンプレートと非テンプレートの使い分けで効率的にコスト削減

田島 OpenTextさんのTeamSiteはハイブリッドの代表的な製品ですよね?

四谷 ご紹介いただけるようなハイブリッド運用の事例はありますか。

小口 弊社の製造業のお客様では、まずテンプレート化できるコンテンツをすべてテンプレート化することで、コストを30~50%削減することに成功し、さらに制作から公開までの時間を数週間から数日に短縮されました。

一方で、外注で制作していたテンプレート化できないHTMLコンテンツはそのままTeamSiteに取り込むことで、テンプレート型CMSにありがちなすべてのコンテンツを無理やりテンプレート化するよりも、コスト面でも納期の面でも満足がいくものになったそうです。柔軟に対応できるハイブリットCMSについて「懐深いCMS」と表現されていました。

四谷 コンテンツの種類によって最適な制作方法が異なるのだから、テンプレートだけでも、非テンプレートだけでも、うまくいかないということですよね。

小口 そうですね。ある程度の規模のサイトでは、テンプレートと非テンプレートの制作を共存させたうえで、コンテンツ管理やワークフローの部分は共通化するのが一番効率が良いと思います。

ITのサーバー運用でも、一時期は「クラウドがいい」と盛り上がりましたが、「クラウドは便利だけど、すべてをクラウドにするのは無理だ」ということに気づきはじめ、クラウドとオンプレミスを併用するハイブリッドが主軸となってきましたよね。CMSも、「テンプレートは便利だけど、すべてをテンプレートにするのは無理だ」ということだと思うんです。テンプレートの柔軟性がなくてWebサイトの運用に困っている場合は、ぜひハイブリッド運用を検討していただきたいと思います。

四谷 ありがとうございました!

◇◇◇

オープンテキストの提供する「OpenText TeamSite」は、国内外で20年以上も支持され続けている、中規模~大規模サイト向けのCMSだ。

「フィックスレイアウトテンプレート」「ブレースホルダーテンプレート」「空白テンプレート」と、複数のテンプレート形式を備えるとともに、テンプレートに取り込めないような外部制作物や他CMSからの移行コンテンツなども一元管理でき、柔軟性の高い「ハイブリッド」運用を行えるのが特徴だ。

  • 現在のCMSのテンプレートに使いづらさを感じている
  • テンプレートの修正にコスト・納期がかかりすぎている
  • 多くのブランドサイトを一元管理したい
  • グローバル展開している現地サイトを一元管理したい
  • 動的サイトも静的サイトも一元管理したい
  • 大規模サイトをスムーズに移行したい

こんな方は、「OpenText TeamSite」を検討してみてはいかがだろうか。

  • ハイブリッドCMS TeamSiteのお客様事例はこちら
  • 3分でわかるTeamSite動画はこちら
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