Googleアナリティクスの面倒なレポート作成をGoogleスプレッドシートで解消! (第1回)
Googleアナリティクスのレポート作成が面倒だ……というあなたにぜひ試してもらいたいGoogleスプレッドシートと自動更新APIを使ったレポート作成方法を紹介します。
自動更新APIを一度設定してしまえば、常にGoogleアナリティクスの新しい情報が反映されたデータをボタン1つで確認できるんです。レポート作成に費やしていた時間をほぼゼロにできます。
本連載では、無料で活用できる自動更新APIを使って、Googleアナリティクスのレポート作成にかかる時間を大幅に削減する方法を3回に渡って紹介していきます。
第1回では、下図の自動更新APIを使って参照元別のデイリーセッションレポートの作り方を紹介します。
ここで指すチャネル別デイリーレポートとは、上図のようなレポート作成日から過去2週間の流入数の増減と、その内訳の参照元メディアの情報が直感的にわかるグラフ付きのレポートのことです。
さっそく、APIレポートのチャネル別デイリーセッションレポートを作っていきましょう。
GoogleアナリティクスのAPIレポートを作る
Googleスプレッドシートを準備する
1.まずは普段使っているGoogleアナリティクスのアカウントで、Googleドライブを登録してみましょう。すでに使っている人は、そのアカウントでGoogleアナリティクスにログインできるようにしておけばOKです。
2.マイドライブから「新規」という赤いボタンをクリックし、プルダウンから「Googleスプレッドシート」をクリックします。
3.Googleスプレッドシート※の画面が開いたら、GoogleアナリティクスからAPIでデータを引っ張ってくるアドオンを導入します。上部のメニューから「アドオン」をクリックし、「アドオンを取得」をクリックします。
※Google社が無料で提供しているブラウザ上で動作するエクセルのようなものです。ウェブ上に保存されるものですが、インターネットにつながっているパソコンがあれば、どこでも閲覧・編集が可能です。上書き保存という概念がなく常時、自動的に保存されます。
APIのアドオンをインストールする
4.Googleスプレッドシートで利用できるアドオン一覧が出てきます。「Google公式のアドオン※」をクリックして「+ 無料」という青いボタンをクリックしてください。
※Google公式のアドオンに似たアドオンが複数あるので、間違えて入れないようにご注意ください。間違ってしまった場合には削除してください。
5.「Google公式のアドオン」をクリックすると、認証画面※が出てきます。日本語で表示されますので内容を確認して、最下部の「許可」という青いボタンをクリックしてください。
※概要としてはGoogleアナリティクスのデータを、Googleスプレッドシートへ抽出して良いかや、Googleスプレッドシートを編集して良いかなどの内容です。
6.これでアドオンがインストールされました。また、Googleスプレッドシートの画面に戻って上部メニューの「アドオン」をクリックすると、「Google Analytics」というメニューが出るはずです。「Google Analytics」にカーソルを合わせて一番上の「Create new report」をクリックします。
レポート作成の下準備
7.ここからは具体的なレポート構築に入っていきます。Googleスプレッドシートの右側にアドオンの管理画面が出てきます。「2)Select Account Information」のAccount、Property、View(Profile)のプルダウンをクリックして、Googleアナリティクスからデータを抽出したい対象アカウントをそれぞれ選択し、最下部の「Create report」という青いボタンをクリックしてください。
ここでは、弊社が使用している「Windsアカウント」をサンプルとして選択しています。
ちなみに、Googleスプレッドシートの「1)Name Your Reportはレポートの名前」、「2)Select Account Informationはデータ抽出の対象となるアカウント、プロパティ、ビュー」、「3)Choose Metrics and Dimensionsは軸と指標」の設定ができます。
8.Googleスプレッドシートの中に「Report Configuration」という新しいシートが追加されますので、それを開いてください。
この画面が、現在開いているGoogleスプレッドシート上でAPIによる操作を管理する画面のようなものです。ここで設定した内容を元に、新しいシートが生成されてデータが抽出されます。
ちなみに、A列はそれぞれの役割を示した項目の列です。B列のB3、B4、B7にそれぞれ値が入っていますが、この列単位でレポートが生成されます。
チャネル別デイリーセッションレポートを作る
9.チャネル別デイリーセッションレポートを作るための命令をしていきましょう。B2へ全角でも半角でも結構ですので、新たに生成されるレポートの名称を入れてください。今回は「チャネル別デイリーセッションレポート」と入れてみます。
今回はサンプルを作りますので、下記の通りに入力してください。
下表は、上記と同じ内容です。ご自身で入力するとき、以下をコピーして入力すると入力ミスが減ります。
Report Name | チャネル別デイリーセッションレポート |
---|---|
Type | core |
View (Profile) ID / ids | ga:xxxxxxxx ※という画面で表示されているga:xxxxxxxxをそのまま使う |
Start Date | |
End Date | |
Last N Days | 14 |
Metrics | ga:sessions |
Dimensions | ga:date,ga:medium |
Sort | -ga:sessions |
Filters | |
Segment | |
Sampling Level | |
Start Index | |
Max Results | 100 |
Spreadsheet URL |
※全て半角です。大文字と小文字を区別します。上記には大文字は含まれません。
A列の意味は、以下の通りです。
名称 | 必須 | 説明 |
---|---|---|
Report Name | レポートの名称。ここに入力した文字列がsheet名になります。 | |
Type | 基本的に「core」のままにしておきます。 | |
View (Profile) ID / ids | ◎ | ga:xxxxxxxxというgaから始まる文字列がデフォルトで表示されています。慣れてくるまではそのままの表示を使ってください。 |
Start Date | ◎ | データ抽出期間の開始日を固定的に設定する場合に使います(2015/01/01など)。他にも本日を指すtodayや7日前の日付を動的に指す、7daysAgo(Aは半角大文字)などが使えます(例 today, yesterday,NdaysAgo)。 |
End Date | データ抽出期間の終了日を固定的に設定する場合に使います。開始日同様に、todayや7daysAgoが使えます。 | |
Last N Days | 上記の開始日と終了日を空白にして、このLast N Daysに整数を入れる方法があります。これはデータ抽出した日の前日から起算してN日間のデータを抽出するというコマンドです。14を入れれば前日から14日間のデータを毎回引っ張る、という内容になります。 | |
Metrics | ◎ | Googleアナリティクスで普段利用している指標(セッションやページビュー数など)を対応するコマンド分に入れ替えて、このセルに指定します。”,”カンマで区切って複数入れられます(最大128文字)。 |
Dimensions | 軸(参照元/メディアやページなど)を対応するコマンド分に入れ替えて、このセルに指定します。”,”カンマで区切って複数入れられます(最大128文字)。 | |
Sort | ソートの設定をします。昇順、降順を軸や指標に対して設定します。たとえばセッション数で昇順なら、セッション数を示す、ga:sessionsを入力するだけ。降順にする場合は頭にハイフンを付けします。 「-ga:sessions」となります。カンマで区切って複数付ければ後ろの要素からソートしてくれます。 | |
Filters | フィルタの設定をします。指標に対しては数値のフィルタ、軸に対しては文字列のフィルタがかかります。たとえば、ga:sessions<=5 セッション数が5未満、ga:pagepath==/index.html ページが/index.htmlと等しい、という意味になります。 | |
Segment | GAの標準セグメントまたは自作したセグメントを1つ設定して、さらに保存できます。 | |
Sampling Level | Googleアナリティクスのサンプリングという機能の効果の度合を指定できます。"FASTER"は処理速度を優先しますがサンプリングの度合は粗く、"HIGHER_PRECISION"は処理速度は優先せずにサンプリングがかかりにくくします。 | |
Start Index | 今回は省略します。 | |
Max Results | 通常は1,000件前後のデータを出すように設計されていますが、明らかに数千件のデータがある場合には、最大値の10000を入れてみましょう。上限10000レコードまでを出すように最大限努力してくれます。 | |
Spreadsheet URL | 今回は省略します。 |
10.入力が完了したら、上部メニューから「アドオン>Google Analytics>Run report」をクリックして、データを抽出してみましょう。
11.次のような緑色のメッセージが出れば成功です。
もし、下図のようなメッセージだった場合には、「Report Configuration」の入力で何らかの間違いがあります。よくある間違いは、半角スペースを入れていたり、大文字小文字を間違っていたり、日付の設定間違いをしていたり(2/29、11/31 など)、カンマとピリオドを間違えていたりです。よく見直しましょう。
なかなか上手くいかなくても大丈夫です。最終回に予め設定済みのテンプレートを無料でダウンロードできるように準備します。
12.Report Nameに入力したレポート名「チャネル別デイリーセッション」のシートが生成されます。最終更新日や指標の合計は、毎回必ずA15セルからデータが表示されます。
このままエクセルでダウンロードや、そのまま閲覧してもいいですが、今回はさらにデータを処理します。
13.A15セルからC列の最後の行までを全選択し、「データ」をクリックし、「ピボットテーブル」をクリックします。
※ちなみに、A15セルを選択し、Shiftキーを押したままC列の最後のセルをクリックすると、その間にあるデータを一括で選択できます。
そうすると、下図のようなピボットテーブルが設定できるsheetが新たに開きます。
14.ピボットテーブルの設定をしていきます。右側に表示された「レポートエディタ」で次の通り設定をしてください。
「行 フィールドを追加」をクリックし、「ga:date」を選択してください。すると左側の数表に日付が展開されます。
「列 フィールドを追加」をクリックし、「ga:medium」を選択してください。すると横軸見出しにメディアの情報が表示されます。
※Googleアナリティクスにおけるmedium(メディア)とは自然検索、広告、(deirect)/(none)のようにどうやってサイトに来たのかを表す指標のことです
「値 フィールドを追加」をクリックし「ga:sessions」を選択してください。すると、縦軸に日付、横軸にメディア、その交差する中身にセッション数が表示されます。
15.横軸で左からセッション数の降順ソートをかけたいので、「列 フィールドを追加」のga:mediumのところで、並び替えで「降順」を選択し、さらに下の並び替えで「ga:sessionsのSUM」を選択し、リストから「総数」を選択します。
ここでフィルタなどをかけても良いですが、日々更新されて今は無いけど、将来増えるかもしれない項目が誤って除外されてしまう場合があるので、慣れないうちはシンプルに使いましょう。
16.自動的に更新されるグラフを設定します。ピボットテーブルのA1から縦と横の総計以外を選択します。上図の場合ならA1~G15を選択します。選択後、メニューの「挿入」>「グラフ」をクリックします。
17.グラフの設定ウィンドウが開きますので、今回は「積み上げ棒グラフ」を選択し、青い「挿入」ボタンをクリックします。推奨のタブから任意でグラフを選択や、グラフの種類タブから自由に設定してもかまいません。
18.グラフの位置やタイトル、フォントサイズなど微調整が可能です。ピボットテーブルと並べてレポートのようにまとめれば完成です。
いかがでしたか? 皆さん設定はできましたか? ここまで、どのメディアからどのくらい流入しているかを日々確認できるレポートを作りました。これだけでも十分役立ちますが、さらに高度な分析ができるレポートを作る下準備を次回は紹介します。
カスタムレポートと何が違うの?
「カスタムレポートと何が違うの?」とよく質問されます。カスタムレポートは、既存のGoogleアナリティクス管理画面上の各種ルールに沿っているため、セグメント設定をすることはできますが、自分が出したいレポート形式の設定を保存できません(ショートカット機能で一部実現可能)。
また、グラフ表示には対応していないため、エクセルなどにデータをダウンロードして加工する必要があります。
一方、APIレポートは「Core Reporting API」というGoogle社が公式に提供する別サービスです。
GoogleアナリティクスのデータをGoogle公式のAPI経由でデータを引っ張り、公式のGoogleスプレッドシートへ反映することができます。そのため、カスタムレポートではできなかった、ピボットテーブルを設定したり、見やすいグラフ表示にしたり、異なるサイトのデータと比較したりできます。
カスタムレポートでは、定期的にメールでデータを送付することができますが、Googleスプレッドシートを一度設定すると、ネット環境さえあればいつでも、どこでも最新データが反映されたレポートを確認できるのです。
第2回では、自分好みの指標や軸でレポートを作るため用語やソート方法、フィルタなどを紹介します。
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