知識も予算もないけど32店舗100万人にメルマガを――未経験のWeb担当者が挑んだ来店促進
ひとくちにメルマガ発行といっても、「スマホ対応」、「顧客の利用店舗や興味ごとに異なるメールを送る」、「クーポン発行」、「ソーシャル連携」などさまざまなニーズがある。“知識も予算もないけど100万人にメルマガを送る”――新任Web担当者が挑んだ来店促進策を通して、O2Oマーケティングを実現し、顧客とのリレーションシップを育てるメールマガジンの実現方法を探る。
未経験担当者に、ネット集客施策のすべてが任された
冒頭のコミックの状況を見て、「笑えない……」「ウチも同じ状況だ……」と胸を痛めた読者もいるのではないだろうか。
「ネットの知識や経験がない」「予算がない」「リソース(人員)が足りない」、そのような“3つのない”に苦労しながら日々の業務をこなしているWeb担当者は少なくない。どんな企業であっても、Web担当者たるものインターネットやITを熟知しているはず――というのは、大きな間違いである。特に小売店やサービス業などデジタルとの縁が普段は遠い業界ならなおさらだ。しかし、あらゆる企業がインターネットを活用する現代において、Web担当者が担う責任は重く、高い目標を達成するために、膨大なタスクをこなしているのだ。
スポーツ用品店チェーン「B&D」を首都圏に32店舗展開する、株式会社ビーアンドディー販売部販売促進チームの彌富(いやどみ)大輔氏もその一人だ。自身でもサッカーとランニングを楽しんでいるという彌富氏は、店舗で販売員を経験したのち、本社の情報システム部を経て、販売促進チームのWeb担当に着任した。
それまでは業務でインターネットに関わることは全くなかったです。周囲にも、デジタルに強い人はほとんどいなかった。しかし、着任するとすぐ、雑誌広告などの管理に加えて、PC向けサイト、モバイルサイト、メールマガジンといったインターネットを活用したあらゆる集客施策の運用を任されることになりました(彌富氏)
同社にとって、ネット集客施策の見直しは急務だった。それまでの主な店舗集客手段は、スタンプカード会員へのダイレクトメールと新聞の折り込みチラシ、雑誌への広告出稿といったアナログな手段が中心で、メールマガジンは6年以上展開していたものの、不定期にお知らせを配信するくらい。会員数は1万人にも達していなかったのだという。「担当者1人で多くのことを処理していかなければならず、忙しさからネットの活用は後回しになってしまいがちでした
」(彌富氏)。
しかし、彌富氏は就任早々、「いずれは100万人の購読客を目指すメールマガジンの運営」というミッションを受け、取り組むことになったのだ。
限られた予算ですぐに動き出したいニーズに応えた
「Bizマーケティング モバイルウェブ」
まず彌富氏が見直したのが、メールマガジンの配信システムだ。「旧来から利用していたシステムは構築から長期間が経っていて、使い勝手が悪かったですね。予約配信もできないようなものでした
」と彌富氏。さらに、メルマガ会員がよく利用する店舗を登録情報として取得しておらず、店舗ごとのセールやキャンペーンといった情報を告知することができなかった。また、「野球に興味のあるユーザーにだけ、用品のキャンペーン情報を配信」といった、嗜好性に合わせた情報を適切に配信することもできなかった。顧客が求める情報を適切に届けることができる状態ではなかったのだ。
現在の仕組みを改善するにも、コストと手間が膨大になってしまい難しいという状況で、彌富氏はシステムを一新することを決断する。
利用店舗や興味のあるスポーツごとのオススメ情報を提供したり、割引クーポンを配信したりして、メールマガジンをもっと来店促進に活用したかった。しかし、予算をかけられる状況ではありませんでした。なるべく早くスモールスタートで始めて、成功体験を積み重ねながら大きくしていこうと考えました。かつ、ネットに精通していない私でも簡単に導入でき、求めている機能を実現できるメールシステムを探しました(彌富氏)
導入にあたり、彌富氏はいくつかのサービスを検討したが、予算、導入にかかる期間と手間、求めている機能などを比較していくなかで、ほとんどのサービスは脱落していった。最後まで残ったのが、NTTコミュニケーションズが提供する「Bizマーケティング モバイルウェブ」だった。同サービスは、初期導入費用は1万円(税抜)と安価で、かつ10営業日という短期間で導入することができる。これが導入の決め手になった。「初期費用の安さはもちろん、導入までの早さには本当に驚かされました
」(彌富氏)。ちなみに、月額利用料金も1万円(税抜)からとなっており、ランニングコストを抑えながら会員データベースを育てることができるのが特長だ。
簡単な設定で、旧メールシステムの課題をすべて解決
短期間の導入でメールシステムの一新を実現した同社だが、「Bizマーケティング モバイルウェブ」はインターネットの知識や経験がほとんどない彌富氏でも使いこなせている。「もし困ったことがあっても、ヘルプデスクの電話対応が素早く、助かっています
」(彌富氏)という。
- メルマガ配信
- 携帯・スマホサイト開設
- クーポン、ポイント管理
メールマガジンの登録フォームは、担当者が項目を設定するだけで自動的に生成され、出来上がったページはスマートフォン、フィーチャーフォン(ガラケー)両方に対応している。HTMLやデータベースの知識がない担当者でも、簡単にメール配信サービスを立ち上げることができるのだ。
また、会員の属性を指定したメール配信設定ができるため、ビーアンドディーでは、会員に2店舗までの利用店舗とお気に入りスポーツを登録をしてもらうことで、会員のニーズに合わせたメール配信を行えるようにした。例えば、「町田店利用者にのみ、町田店でだけ使える5%オフクーポンを配信」、「サッカーに興味のあるユーザーにだけ、サッカー用品のキャンペーン情報を配信」といったことが可能になる。
同サービスを導入して、メール配信でやりたいことがおおむねできるようになりました。今後は店舗のキャンペーンやイベントに合わせてメールを配信し、来店動機を作っていきたいですね(彌富氏)
ちなみに、メール原稿の作成やメールの配信・管理は当面、彌富氏ひとりで行っていく計画だ。しかし、配信設定や管理はブラウザーから簡単に行うことができ、難しい作業は必要ない。「差込コンテンツ機能」を活用すれば、店舗やスポーツごとに用意したクーポンやキャンペーンの原稿を自動的に基本のメールフォーマットの中に差し込んで配信することができるため、作業効率のアップも期待できる。
目標は100万人のメール会員獲得
モバイルを集客のプラットフォームに
同社がこうして、メール会員「ビーアンドディーモバイル」の募集を開始したところ、最初の2日間で1000人以上の登録があったという。今後は2014年8月までに1万人、将来的には100万人の会員獲得を目指している。
スタートダッシュに成功した要因としては、登録会員に対する割引クーポンの提供があるようだ。「当社のメイン顧客層は学生などスマートフォンを活用する若い人たち。クーポンの配布は来店だけでなく商品購入の促進にもなるので、積極的に活用していきたいです
」と彌富氏は展望を語る。
「Bizマーケティング モバイルウェブ」には、“どの会員がクーポンを利用したか”まで管理できる機能がオプションで提供されるため、いずれはその機能を利用して、より会員の好みや購買意欲に合わせたアプローチを行うことも視野に入っている。さらに、今後はモバイルサイトのリニューアルにも取り組み、企業と顧客を結びつけるプラットフォームとしていきたいという展望もある。
将来的には、ポイントカードやダイレクトメールの郵送といった現在あるアナログな会員組織も「ビーアンドディーモバイル」の会員に統合して、販売促進全体のコスト削減に取り組みたいですね。『Bizマーケティング モバイルウェブ』を活用して、今まで取り組めなかった顧客にもリーチして来店動機を作り、店舗をもっと盛り上げていきたいです(彌富氏)
- 手軽にメルマガを始めたい
- 顧客の利用店舗や興味ごとに異なるメールを送りたい
- スマホやガラケーに対応したモバイルウェブを作りたい
- 低コスト、低予算から始めたい
- いずれは大規模なメール配信を実現したい
- 知識がなくても簡単に運用管理を行いたい
- しっかりサポートしてほしい
- クーポン配信もしたい
- FacebookやTwitterとの連携もしたい
「Bizマーケティング モバイルウェブ」はそんなわがままなニーズに応える最適なソリューションだと言えるだろう。狙い通りのスモールスタートを成功させた彌富氏とビーアンドディーは、今後、顧客との関係構築をさらに豊かなものにしていくはずだ。
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