現役大手企業マーケッター8名のガチンコ勝負! ネットマーケティング検定受験でトップに輝くのは?
ゴールデンウイークが明けて間もない5月初旬、大手企業のネットマーケティングを担う現役マーケッター8名が都内某所の会議室に集まった。今から、「ネットマーケティング検定」を受験するためだ。「マークシートの試験なんて、まるでセンター試験だね」などと笑顔で談笑しながら試験を待つ一同だが、その場には見えない緊張が張りつめていた。
なぜなら、今回の企画は、現役マーケッターが、所属している企業名と氏名を公開してネットマーケティング検定試験を受け、その合格・不合格まですべて記事上で発表されてしまうという過酷なものだからだ。
職場でネットマーケティングの中枢を担ってきた彼らにとって、もし不合格ならその面目は丸潰れ、翌日から何を言われるかわからない。下手をしたら給料査定にも関わってくる可能性もある……。“絶対に負けられない戦い”なのだ。果たして合格することができるのだろうか。
有名企業のマーケッターが集結!
全員合格は当然……のはずだが、まさか!?
まずは、今回の検定に挑戦する8名のマーケッターたちを紹介しよう。
アドビ システムズ 株式会社 井上慎也氏 (マーケティング本部 マーケティング インテリジェンス部 デジタル マーケティング スペシャリスト) 社内からかなりのプレッシャーを受けながら参加。「『お前の立場なら当然トップ取ってこいよ』と言われました」とトホホ。 | 日本電気株式会社 田中滋子氏 (CRM本部 宣伝グループ シニアエキスパート Webコミュニケーション推進) NECのコーポレートサイトをはじめ、数多くのオウンドメディアを運営するNECのWebマスター。「もし不合格だったら内緒にできる?」ダメです。 |
ソニー銀行株式会社 下園哲史氏 (営業統括部 マーケティング担当) サイトやツールの企画・開発業務を経て、現在Web広告(アドテクノロジー)担当。「テキストを読んで、自分の知識の偏りに気づけました」 | ソフトバンクモバイル株式会社 小田晋太郎氏 (マーケティング・コミュニケーション本部 Webコミュニケーション部 Webマネジメント1課 課長) 事前に送られたテキストに「ネットマーケを網羅した教科書は珍しいですね」と興味しんしん。 |
株式会社デサント 松倉蛍太郎氏 (セールスプロモーション統括部 SP部 WEB推進課) 結婚式を翌週に控えながら、その準備時間を削って試験勉強。Web担のせいで奥様に怒られたらすみません。 | 株式会社ヤマハミュージックジャパン 前田武敏氏 (事業企画部 WEB・CRM推進課) 楽器と音楽をこよなく愛するWebマーケ担当15年目! ヤマハ音楽部Facebookの部長も務めている。 |
株式会社ニューバランス ジャパン 鈴木健氏 (マーケティング部 部長) 「合格すればトップじゃなくても大丈夫」と余裕の表情で参加。履いている靴はもちろんニューバランス。 | ネットサービス企業 A氏 (グロースハックチーム) 参加者唯一のネット専業ベンチャー。ピンチヒッターとしてなんと2日前に参加が決定。 |
- 概論
- インターネット技術概論
- 総論
- リサーチ
- PR・ブランディング
- 広告
- インターネット販売
- 効果測定
- 外注管理
- ポリシー
- 関連法規
- 事例問題
名だたる企業に名を連ねる彼らがこれから挑戦するのは、2012年に開始されたばかりの「ネットマーケティング検定」だ。これは、企業のWeb担当者に必要なファシリテート能力、Webの知識と技術、マーケティングの知識、経営戦略と連動したWebブランディング能力などを確かめる検定試験である。あらかじめ参加者には公式テキストを配布し、短い期間ではあるが勉強をしてもらっているため、言い訳はできない。自社のネットマーケティングを担っている8名にとって、不合格となることは許されないというわけだ。
一同は、検定開始と同時に、笑顔から真剣な顔つきへと一変し、問題に挑んだ。スムーズに回答用紙に答えを書き込んだかと思えば、じっと考え込む場面もあった。
凄腕マーケッターである彼らを考え込ませている理由。それは、ネットマーケティング検定の大きな特長であるその試験範囲の広さだ。検定の対象となる項目は、ネットマーケティングに関するあらゆる分野にわたっており、どれかひとつの知識に精通しているだけでは、合格することはできない。ネットマーケティングに関する総合的な知識を問われる検定なのだ。たとえば、試験勉強をするだけでも、自分がどの分野が得意で、どの分野が不得意かが歴然となってしまうのだ。
試験当日は空模様が不安定で、試験中に大きな雷が鳴ったり、ヒョウが降って窓を打ち付けたりするなど、会場の外は大変な状態だったが、8名の挑戦者たちは動じる様子もなく、集中して試験問題と向き合っていた。
→ 8名の採点の結果は、記事の最後に!
全員が「難しかった」と声をそろえる
試験時間の80分を終えて、すぐさま、検定を主催するサーティファイ(東京都中央区)の試験監督者による採点と合否判定が行われる。採点をしている間に、参加者に試験の感想などを伺った。「試験は難しかったか?」の質問に対しては、8名全員が迷わず挙手した。
難しかった理由
「
設問に普段は使わないような用語が多く登場して、理解するのが難しかった
」(ニューバランス ジャパン 鈴木氏)「
実務に照らすと迷いが出るところがあり、テキストと実務どちらに軸を置いて回答すべきか迷った
」(デサント 松倉氏)「
ネットマーケは日進月歩で進化している。そうしたなかで、知識をいつの時代に合わせていいのか、少しわかりづらかった
」(ソフトバンクモバイル 小田氏)
ネットマーケティングという業界の進歩の速さから、どこまで最新の知識をもって問題に回答すればいいのか、また問題文章中の言葉の定義などに迷う部分もあったようだ。最新のネットマーケトレンドに問題が追い付いていない部分もあり、これは検定側の課題のひとつとも言えそうだ。
業務で得た知識の整理のために、熟練のマーケッターこそ受験すべき
一方で、「試験を受けて良かったか?」という質問には、前向きな意見が多数挙がった。
試験を受けて良かった理由
「
試験問題の幅が広いため、ネットマーケティングの担当者が知っておくべき知識の広さに改めて気付いた。例えば「関連法規」などは、法務部がやることだから自分には関係ないと思ってしまいがちだが、そうした基礎知識をまんべんなく学ぶのにいいと思う
」(ニューバランス ジャパン 鈴木氏)「
まだ活用していないネットマーケティング手法に気づかされたことが大きかった。狭くなっていた視野が広がった。ネットマーケ業界は、どういった施策を打つのかという部分で担当者の裁量が大きいので、未経験の人がまず幅広く勉強するのに最適
」(ネットサービス企業 A氏)「
少人数でやっているうちのような会社だと、業務をカバーしあう必要がある。お互いの業務を理解するうえでも、マーケティング担当としてはネットマーケの一部分だけでなく、幅広い知識を持ったものが理想だ。うちの部署の新人向けにはぴったりだと思う。そのままではなくカスタムして使うことも検討したい
」(ソニー銀行 下園氏)「
あまりマーケティングに関する社員研修にコストやお金を掛けられない状況で、こうした試験を基に勉強することを必須にしても良いのではないか
」(アドビ システムズ 井上氏)「
ネットマーケティングに携わる中堅社員がステップアップするための資格として有効なのではないか。ネットマーケティングには公的な資格がないので、この検定はそういうポジションになれそう
」(NEC 田中氏)
今までネットマーケティングをどのように勉強してきたかという質問には、「業務の中で身につけてきた」という答えが多かった。ネットマーケティングを体系的に整理し、学べる場は少ない。だからこそ、実務経験のあるマーケッターが改めてその知識を整理して不足しているものを補う手段として、ネットマーケティング検定は有効なのかもしれない。
ただし、ネットマーケティングに対する考え方やメソッドは、企業によって大きく違う。担当者は、このネットマーケティング検定で得られた基礎知識をベースにしつつ、業務に活用する場合には実務上の慣例に合わせて柔軟に対応していくことが求められそうだ。
ネットマーケティングの知識が社内業務を円滑化させる
一方で、“基礎知識の習得”という観点で言えば、ネットマーケティング業務の直接の担当者はもちろん、業務に直接的に携わっていない、もしくは関連のある部門の社員に受験を勧めたいという意見もあった。
どんな人間が受験すべき?
「
ネット専業の会社であればスタッフ全員が知っておくべき内容が網羅されているので、エンジニア、営業など関係なく最低限知っておくべき内容だと思う
」(ネットサービス企業 A氏)「
営業部門をはじめ、さまざまな部署が共通の基礎知識を持つことができれば、業務に関する社内コミュニケーションをより円滑に進められるのではないか
」(デサント 松倉氏)「
ITインフラ担当や製品開発担当のスタッフは、マーケティング担当がネットを使ってどんなことをやっているのか知らないことが多い。それを理解してもらえるかもしれない
」(ヤマハミュージックジャパン 前田氏)「
インターネットを販売チャネルのひとつとして重視しているのであれば、そこに関係する人たちはみんな知っておくべき
」(ニューバランス ジャパン 鈴木氏)
ネットマーケティングは専門的な業務と思われがちだが、現在、企業活動のあらゆる部分とインターネットは切っても切れない関係となっている。製品、営業、顧客サポート、広報、広告、研究開発、法務、管理部門などインターネットに直接的な関係のない部署であっても、最低限のネットマーケティング知識を保有しておくことで、スムーズに業務を進められる。
こうした発言をまとめてみると、ネットマーケティング検定は下記のようなタイプの人にオススメだと言えるだろう。
1.業務としてネットマーケティングに携わっているが、勉強は今まで自己流だったため、改めて体系的な知識を習得したい。
2.ネットマーケティングに網羅的な知識を持っているつもりだが、その知識が本当に定着しているか腕試しがしたい。
3.これからネットマーケティングに携わるので勉強したいが、何をやったらいいかわからない。
4.製品担当や営業担当だが、ネットマーケティング担当ともっと密に連携して業務を効率化したい。
採点結果は……全員、見事に合格! 最高得点は90点!
約1時間ほどの採点時間を経て、サーティファイの試験監督者から合否結果が発表される時が来た。合格ラインは70点だ(100点満点)。
全員、現役のマーケッター。もしこれで不合格になれば、会社の人間に何と言われるだろうか。8名の笑顔は祈るような表情に一変し、部屋に緊張が走った。
結果は果たして――。
8名、全員合格!
その瞬間、緊張感でこわばっていた8人の顔が一気にほころび、「あ~、よかった!」と安堵の表情に変わった。
成績トップはアドビ 井上氏と、ソニー銀行 下園氏
トップの成績で合格したのは、アドビ システムズの井上氏とソニー銀行の下園氏の2名で、得点は90点と高得点を記録した。
第3位は、86点を獲得した、ネットサービス企業 A氏。
本検定の合格ラインは70点に設定されているが、今回参加した8名は全員が見事にクリア。胸を張って会社に帰ることができそうだ。
結果発表を終えた8人は、和やかに答え合わせとディスカッションを行い、試験内容への知識を一層深めた様子だった。
自分の実力を試せる「ネットマーケティング検定」毎年2月、8月に全国一斉試験を開催
ネットマーケティング検定は、その名の通りインターネットマーケティング全般の知識・方法論を問う試験だ。主催は株式会社サーティファイWeb利用・技術認定委員会、監修は株式会社ワールドエンブレム。マーケティングを体系的・網羅的に学習する本格的な検定であり、下記の4つの要件が評価・認定対象となる。
- ファシリテート能力
- Webに関する知識や技術
- ネットマーケティングに関する知識
- 経営戦略と連動したWebブランディング能力
問題は、基本問題30題、事例問題10題で、試験時間は80分。得点率70%以上で合格となる。企業が部署単位で受ける「団体受験」を基本とするが、個人で受けられる「全国一斉試験」もある。
全国一斉試験は毎年2月、8月に、札幌、東京、名古屋、大阪、福岡の全5都市で開催予定だ。申し込み締め切りは試験日の3週間前のため、早めに申し込みたい。
ネットマーケティング検定の『体験版』『チャレンジ版』もこちらから無料で体験できる→http://www.sikaku.gr.jp/nm/
現代ビジネスに関わる全ての人に必須の知識が得られるネットマーケティング検定だから、どんな職種の人にもぜひ挑戦してほしい。