WordPressテーマ変更でSEOに影響する5つのポイント【SEO情報まとめ】
WordPressサイトでテーマ(デザイン)を変えると、SEOにどんな影響があるのか? 見た目だけだから関係ない? それとも実はけっこう影響する? グーグルのミューラー氏の解説から学んでおこう。
ほかにも今回は「小ネタだがピリリと効く」SEO情報をまとめている。
グーグルがタイトルを勝手に変えちゃう件の続報、ページエクスペリエンスアップデートによる順位変動のデータや、CA木村氏によるインハウスSEO成功の秘訣などは、ぜひチェックしてほしい。
また、2ページ目には初心者にも役立つSEO情報をまとめている。リモートワークであまり顔を合わせていない後輩にちょっと教えてあげるのもいいだろう。
- グーグルがタイトル生成アルゴリズムを調整、前よりはマシになった!?
- ページエクスペリエンスアップデートによる順位変動が発生していた!?
- 自己参照rel="canonical"はちょっとしたミスの解決に役立つ
- インハウスSEOとして成功するために必要な8+1個の秘訣
- CWV最適化でもう迷わない、デザイン要素ごと注意点とベストプラクティス7選
- SEO初級者に本当に必要なリソースとは?
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今週のピックアップ
WordPressテーマ変更でSEOに影響する5つのポイント
影響する可能性あり (#AskGooglebot on YouTube) 海外情報
WordPressなどのCMSでは、サイトのテーマを簡単に変更できる(見た目のデザインと、HTML構造が変わる場合も)。テーマを変更すると検索のランキングに影響を与えることがあるのだろうか?
グーグルのジョン・ミューラー氏が動画で解説した。
ミューラー氏によれば、結論は次のとおりだ:
- 文字の色が変わったくらいでは影響はないだろう
- しかし、検索順位に影響を与える変更もある
ランキングに影響を与える可能性があるのは、たとえば次のような要素が変わる場合とのことだ:
- コンテンツの表示方法 ―― 見出し(タグ)、画像、テキストなど
- 内部リンク
- ページの表示速度
- コンテンツのオプション
- 構造化データ
どれも、クロールとインデックス、ランキングに関係する要素だ。テーマの作りによって違いがでる。テーマを選ぶときは、検索エンジンが理解しやすい構成になっていることが大切だ。
テーマを適用するかどうかを検討する際には、事前にテストサイトで試すこともミューラー氏は提案している(テストサイトがインデックスされないように設定しておく)。
またミューラー氏は、テーマ変更を最終決定する前に、次のことをチェックすべきだとアドバイスしている:
- SEO スターターガイドを読む
- テーマが生成したHTMLをチェックする
- Search Console のツールを利用した比較
SEOスターターガイドは、グーグル検索と相性がいいサイトを作るための教科書だ(読んだことがあるはずだが、何度読んでもいい)。HTMLのチェックは、たとえば JavaScript で生成するコンテンツがある場合には必須だ。Googlebot がレンダリングできることを確かめておきたい。モバイルフレンドリー テストできちんとスマホ対応できていることや、リッチリザルトテストで構造化データに不備がないことも確実にしておきたい。
- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
グーグル検索SEO情報
グーグルがタイトル生成アルゴリズムを調整、前よりはマシになった!?
書き換えが発生する具体例も説明 (グーグル 検索セントラル ブログ) 国内情報
検索結果に表示するページタイトルを生成するアルゴリズムをグーグルが変更したことを前回説明した。端的に言えば、グーグルが独自に作ったタイトルを、title
タグよりも優先して検索結果に表示することが多くなった変更だった。
このアルゴリズム変更に関する追加情報を、グーグルは検索セントラルブログに投稿した。
まず、フィードバックをもとにタイトル生成のアルゴリズムを改善したとのことだ。具体的には、title
タグの使用率が上がった。
時期 | title タグをタイトルに採用した率 |
---|---|
2021年8月のアルゴリズム変更後 | 80% |
2021年9月のアルゴリズム改善後 | 87% |
アルゴリズム更新直後よりも title
タグに従うようになったと言える。
それでも、title
タグを100%使うわけではない。タイトル要素以外を使う例をグーグルは挙げている。次のようなケースだ(タイトル例はいずれもグーグルの記事から):
- 部分的に空になっているタイトル
- サイトのtitle要素の例(前半部分が空になっている):
| サイト名
- この場合にグーグルが生成するタイトル:
製品名 | サイト名
- サイトのtitle要素の例(前半部分が空になっている):
- 古くなったタイトル
- サイトのtitle要素の例(古い年度の表記のまま):
2020 年度の入学基準 - 大学名
- この場合にグーグルが生成するタイトル:
2021 年度の入学基準 - 大学名
- サイトのtitle要素の例(古い年度の表記のまま):
- 不正確なタイトル
- サイトのtitle要素の例(ページに表示されない情報を含んでいる):
大きな動物のぬいぐるみ、テディベア、ホッキョクグマ - サイト名
- この場合にグーグルが生成するタイトル:
動物のぬいぐるみ - サイト名
- サイトのtitle要素の例(ページに表示されない情報を含んでいる):
- マイクロ ボイラープレート タイトル(サイト内の一部のページ群で同じタイトルを使っている)
- サイトのtitle要素の例(3ページぶんが同じ):
私が好きなテレビ番組
私が好きなテレビ番組
私が好きなテレビ番組
- この場合にグーグルが生成するタイトル(3ページぶん):
シーズン 1 - 私が好きなテレビ番組
シーズン 2 - 私が好きなテレビ番組
シーズン 3 - 私が好きなテレビ番組
- サイトのtitle要素の例(3ページぶんが同じ):
各ケースの意味や詳細な解説は元記事を参照してほしい。
適切なタイトルの付け方についてグーグルは最後にアドバイスしている。
タイトルに関するサイト所有者へのアドバイスは、同じトピックのヘルプページの内容とほぼ変わりません。優れた HTML タイトル要素の作成に注力してください。そうすることが一番の近道です。
さらに、この投稿の例を参考にして、Google のシステムでタイトル要素以外が使用されるパターンと同様のケースがないか把握するようにしてください。今回のシステム変更は、クリエイターが気づいていないタイトルの問題を補うことを主な目的としています。変更により、タイトル要素がまた使用されるようになる可能性があります。また、そうなることを期待しています。
アドバイスは、望まないタイトル書き換えを減らすことに "ある程度" は手助けになるだろう。納得できない書き換えが依然として発生している場合は、グーグルに直接フィードバックできる。
- すべてのWeb担当者 必見!
ページエクスペリエンスアップデートによる順位変動が発生していた!?
検索結果での露出度が、良いページは⬆、悪いページは⬇ (SISTRIX) 海外情報
ページ エクスペリエンス アップデートでは、どの程度の順位変動があったのだろうか?
話題になりながらもその影響が顕著ではないページ エクスペリエンス アップデートに関する調査データを、独SISTRIX(シストリックス)が公開していた。
ページ エクスペリエンス アップデートは、6月中旬に展開が始まり、1.5か月後の8月末には完了した。ページエクスペリエンス アップデートが明らかに影響していると断定できるような目立った順位変動は観測されていなかった。
しかしながら、全体的には確かにランキングに影響を与えていたと思われるデータをSISTRIXが公開した。30か国で1億以上のドメイン名について100万キーワードでの検索結果でのページの検索結果での出現度を、Visibility Index(ビジビリティ インデックス)という独自の指標で常時計測している。この指標をベースにして、ページエクスペリエンスシグナルの状況と順位変動の相関関係を調査した。
ページエクスペリエンス アップデートの前後でVisibility Indexのスコアを比較すると、次のような結果がでたという:
- ページエクスペリエンスシグナルが良好なページ ―― 平均よりも1ポイントアップ
- ページエクスペリエンスシグナルが1項目でも不良のページ ―― 平均よりも3.7ポイントダウン
相関関係と因果関係は異なるので、ページエクスペリエンス シグナル以外の要因が影響した可能性は排除できない。それでも、強い関係性が見られたため、ページエクスペリエンス アップデートによって計測可能な順位変動が起きたとSISTRIXは結論づけている。
なお、ページエクスペリエンス シグナルはランキング要因としては弱いものだ。よって大きな順位変動が起きたわけではないことも最後に補足しておく。あくまでも、データ上は、ページエクスペリエンス アップデートによる変動が起きたというだけだ。
- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
自己参照rel="canonical"はちょっとしたミスの解決に役立つ
ただし慎重に使う (reddit) 海外情報
自分自身のURLに向けた rel="canonical"
タグのことを「自己参照 rel="canonical"
」 と呼ぶことがある。
一般的な rel="canonical"
の使い方は、次のようなものだ:
- ページのURL:
https://example.com/hoge.html
- そのページの
rel="canonical"
に指定するURL:https://example.com/foo.html
この場合、hoge.htmlページに関する検索指標はfoo.htmlに正規化してまとめられる。
しかし、次のような自己参照rel="canonical"
を指定する場合もある:
- ページのURL:
https://example.com/hoge.html
- そのページの
rel="canonical"
に指定するURL:https://example.com/hoge.html
自己参照 rel="canonical"
は、「このURLに正規化するように」と指示するURLが現在のページと同一だという、一見すると不思議な構成になる。果たして意味があるのだろうか?
意味はある。ページの内容に変化がないパラメータがついたURLが別ページとして扱われるのを防ぐことだ。
たとえば、Googleアナリティクスでの計測用に次のようなURLを使うことはあるだろう:
https://example.com/hoge.html?utm_medium=email
これをうっかり次のように打ち間違えてしまったことはないだろうか:
https://example.com/hoge.html?utm_midium=email
打ち間違い以外にも、第三者の機械的処理によって意図せぬパラメータがついたURLがインデックス対象となることも有り得る。
こうした場合にも、自己参照 rel="canonical"
を設定していれば、重複コンテンツにならずにパラメータがない素のURLに正規化できる。
可能であれば、自己参照の rel="canonical"
を付けておくことが推奨される。確実に正規化に役立つ(必須ではない)。
ただし rel="canonical"
の使い方には注意も必要だ。すべてのページの rel="canonical"
をトップページに向けてしまい、トップページ以外のページがインデックスから次々と消えてしまったという事故が以前はよく発生していた(最近はグーグル側で検知して防いでくれる)。
- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
- ホントにSEOを極めたい人だけ
インハウスSEOとして成功するために必要な8+1個の秘訣
実体験から語る (サイバーエージェントSEO情報ブログ) 国内情報
サイバーエージェントグループのインハウスSEOチームを率いている木村氏が、社内の関連部署を巻き込んで円滑にSEOを進めていく際の秘訣を共有した。
次の8つだ:
- 情報の発信をする
- 施策の背景と展望を説明し見える化する
- 根拠を示す
- 相手の手数を減らす
- 小さい成功を積み重ねる
- 成功の手柄は協力者
- 検証と報告
- 相談事項には必ず答えを出す
さらに、番外編として次のことも挙げている:
- 人と人として仲良くなる
組織が大きくなればなるほど関係者が増えてきて、巻き込んだり調整したりすることが難しくなる。思うような施策ができなかったりスピーディに実行できなかったりして、SEO担当者の立場からはもどかしく感じる場面も増えるだろう。
こうした困難をどのように乗り越えたか(乗り越えようとしているか)を実体験から木村氏は語っている。
インハウスSEO担当者にとって非常に役立つ内容だし、その本質部分はSEO以外の広告やソーシャルメディアなどの担当者にも参考になるのではないだろうか。
- すべてのインハウスSEO担当者 必見!
コメント
論点が違う
「グーグル「ニュース記事を時間が経ったら削除する運営ルールは非推奨」」
こうこの記事を執筆された鈴木謙一さんが書いておられるが、あくまでグーグルの社員は「昔の記事であっても役に立つことも時にはあるので、削除は勧めない。」「ただ古いからと言ってやみくもに削除するやり方は、私ならとらない。」と言っているだけです。
「非推奨」とまでは言っていないと思うが。
「削除は勧めない」がなぜ「非推奨」になるのか。
それに新聞社の記事は古くなった分は削除されますが、有料のアーカイブサービスを契約してもらえたら見れますよ。という商売なのだから、論点が違うと思う。
ご意見ありがとうございます
あくまでも禁止ではないという点、おっしゃるとおりです。
文字通り「推奨しない」ことを表すのに「非推奨」と言う言葉を使っていました。しかしこの言葉は技術畑などで「禁止の少し手前」「のちほど禁止になる予定」といった意味あいで使われることが多いものですね。
まぎらわしくならないように、見出しの表現を変えました。ご指摘ありがとうございます!
ちなみに、新聞社やメディアの古い記事に言及したのは、国内でもこうしたことに関連するSEOの動きが以前にあったことを受けています。一般に大きく話題になったわけではありませんが、「古い情報は削除」というフローを変えることでSEO面で成功したメディアがありまして。
「プロ向けのアーカイブサービス」と「一般向けのSEO」のバランスという観点を考えていただくために、あえて入れました。詳しくはここでは解説できませんが、ご参考まで。