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ECサイトにコミュニケーション型AI、会話を通じて顧客ごとに商品提案

7 years 9ヶ月 ago

対話型の人工知能(AI)エンジンの開発を手がけるSELFは2月21日、ECサイトやアプリにコンシェルジュ型のIAを搭載できるサービス「SELF CMP(Communication Marketing Package)」の提供を開始したと発表した。

対話を通じてユーザーの興味・関心を推測した上で、最適な情報提供、商品を提案したりする。

「SELF CMP」は、ECサイトといったWebサイトやアプリなどにコードを1行追記することで、AIを搭載したキャラクターによる対話機能を実装できる。キャラクターがユーザーに質問を投げかけ、ユーザーが選んだ回答に基づきユーザーが求めている情報を推測する。

コンシェルジュ型のIAを搭載できるサービス「SELF CMP(Communication Marketing Package)」

「SELF CMP」の稼働イメージ

一般的なチャットボットは、ユーザーの投稿に対して一問一答で返答するものが多い。「SELF CMP」はAI側からユーザーに質問を投げかけ、ユーザーが選んだ回答に応じてAIが返答するため、スムーズに対話のキャッチボールが進むという。

ユーザーから聞き出した情報をシステム内部で一元管理し、商品開発などに生かすこともできる。

AIのキャラクターは企業ごとに変更できる。導入費用はサービスの要件に応じて個別に見積もりを行う。初期導入にかかる期間は2か月から。

SELFによると、SELFのAIエンジンはベネッセコーポレーションの「進研ゼミ中学講座ハイブリッドスタイル」に導入されている。自動コミュニケーションエンジンをキャラクターに導入し、生徒と積極的にコミュニケーションを図った結果、「レッスン消化率が約2倍」「端末起動率、レッスン消化率の向上」「会員契約残存率の向上」といった成果が表れたという。

SELFは、一般消費者向けにAIとコミュニケーションを取れるアプリ「SELF」を提供している。ダウンロード数は2月21日時点で50万DL(同社発表値)。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

チャットボットでリピート購入を促進、フォーム入力支援で離脱率改善・CVRを向上

7 years 9ヶ月 ago

リピート通販専門カート「たまごリピート」を提供するテモナは2月21日、Web接客ツール「qualva(クオルバ)」(開発・販売はPROFESSY)と連携し、「たまごリピート」のオプションサービスとして「チャットボット受注オプション Powered by qualva」を3月に開始すると発表した。

Webサイトを訪れた消費者に対し、チャットボットによる対話形式で接客を実施。ECサイトなどのフォーム入力をアシストすることで、サイト離脱率やコンバージョン率(CVR)の改善を後押しする。

「チャットボット受注オプション Powered by qualva」の利用イメージ

「チャットボット受注オプション Powered by qualva」の利用イメージ

「チャットボット受注オプション Powered by qualva」は、サービスやユーザーの属性に合わせ、接客のシナリオや返答内容を自由に設計できる。

また、消費者が離脱した項目や、広告効果測定結果などをダッシュボード上で可視化する。

PROFESSYの調査では、フォーム入力アシスト機能を使った場合よりも、「qualva」を導入した方がCVRの改善効果が高かった。

フォーム入力アシスト機能を使った場合よりも、「qualva」を導入した方がCVRの改善効果が高い

テモナは今後、「qualva」のAIによる音声案内機能をかわきりに、問い合わせ対応の自動化・効率化、コミュニケーションの多様化などを展開していく予定。

「たまごリピート」は顧客管理、受注、決済連携、出荷、ショッピングカート、ステップメール、分析といった、定期通販や頒布会に必要な機能を備えた通販システム。導入企業は約1000社、年間流通総額は約900億円(同社公表値)。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

Instagramの画像でECサイトのCVRを高めるビジュアルマーケティングとは

7 years 9ヶ月 ago

Instagram(インスタグラム)などのSNS上に投稿された写真をECサイトのコンテンツとして活用し、アクセス数の増加やコンバージョン率(CVR)の向上を狙うEC事業者が増えている。ユーザーが投稿したコンテンツでECサイトの売り上げを伸ばすには、どんな施策を打てばいいのか。ecbeingの井上純氏(ソーシャル海外推進室 部長代理)が、海外のトレンドやクライアントの成功事例を交えて解説した。写真◎Lab

SNSのコンテンツをEC活用する動きは国内外で加速

SNS上の写真をECサイトに活用する手法は、4~5年前に先進的なブランドで始まり、今では多くの企業が実施している。これから日本でも、こうした動きが本格的に広がっていくと思う。(井上氏)

消費者がインターネット上に投稿したコンテンツは「User Generated Contents(UGC)」と呼ばれ、活用したサービスは口コミサイトやレシピサイトなどに多かった。

井上氏がこう指摘するように、近年はECサイトに使用するクリエイティブとして活用する動きが活発化。SNSユーザーが撮影した「消費者目線の商品写真」は、他の消費者に共感されやすいことなどから、事業者やプロが撮影・制作したクリエイティブよりも高いクリック率(CTR)やCVRを叩き出すケースも出てきている。

株式会社ecbeing ソーシャル海外推進室 部長代理 井上 純 氏
株式会社ecbeing ソーシャル海外推進室 部長代理 井上 純氏

また、既にブランド認知がある場合、たくさんの写真を短期間に、比較的安価に集めることができることも、SNS上のコンテンツを活用するメリットという。

海外企業の事例を紹介した井上氏によると、ファッションブランド「UrbanOutfitters」は、ユーザーが投稿したコーディネート写真をフォトギャラリーのように掲載するコンテンツページを常設。コンテンツページから商品詳細ページにリンクを貼り、コンテンツページを見てから商品詳細ページに移動するユーザーは約15%に上るなど、CVR向上に成果を上げているという。

このほか、「ナイキ」「クロックス」「ザ・ボディショップ」「ティンバーランド」「イヴ・サンローラン」といった世界的なブランドをはじめ、すでに1000ブランド以上の取り組みが本国のサイトで知られていると説明した。

UGCの活用事例と効果

TシャツのECサイト「グラニフ」

ECサイトにUGCを活用する場合、どのような施策が効果的なのか。井上氏は、ecbeingのクライアント事例をあげながら、具体的な方法と効果を説明した。

プリントTシャツなどを実店舗とオンラインショップで販売している「グラニフ」は、ユーザーが投稿したコーディネート写真を掲載するコンテンツページ「#graniph User Photo Collection」をECサイト内に開設している。

ハッシュタグ「#graniph」や「#graniphoto」を付けて投稿された写真を収集し、それらの写真をフォトギャラリーのように一覧で掲載。写真をクリックすると、商品詳細ページに移動するようにしている。

現在、グラニフのECサイトで商品を購入した顧客の約25%が、このコンテンツを閲覧しているという。また、コンテンツページを閲覧したユーザーのCVRや客単価は、閲覧していないユーザーと比べて高い数値を記録し、実績に大きな差が生まれている。

ECサイト内のコンテンツページ
ECサイト内のコンテンツページ(画像は編集部がキャプチャ)

ビーズ・アクセサリーパーツ販売の「パーツクラブ」

手作りアクセサリーの材料を実店舗とオンラインショップで販売している「パーツクラブ」は、顧客がInstagram上に投稿した商品を紹介するコンテンツページ「#パーツクラブファン」をECサイト内に常設している。

掲載された写真をクリックすると、関連商品の詳細ページに飛ぶ。Instagram上に投稿された写真をECサイトのコンテンツとして活用するためのクラウドサービス「visumo(ビジュモ)」を導入したところ、約1割ほどPVが増加しており、現在、「#パーツクラブファン」の一覧ページの閲覧者の約17%は、商品詳細ページへ移動しているという。

写真をクリックすると関連商品の詳細ページに飛ぶ
写真をクリックすると関連商品の詳細ページに飛ぶ

2社の取り組みを紹介した井上氏は、Instagram上の投稿写真をECサイトに掲載することで、ページビューやコンバージョン率の改善などにつながっていると説明。このことを踏まえ、「ユーザーが投稿した写真は、ECサイトの魅力的なコンテンツになる」(井上氏)と強調する。

ECは「ビジュアルマーケティング」の時代

ECサイトにInstagramのコンテンツを利用する企業が増えている背景には、「ECがスマホ中心に移行していることで、ECサイトにおける写真やバナーなどクリエイティブの重要性が高まっている」(井上氏)ことがある。

画面が小さいスマホサイトでは、ページのデザインや、文章による商品説明よりも、写真や動画の「見せ方」を軸にサイトを設計する必要があると井上氏は指摘する。

スマホサイトの場合、サイト全体のデザインよりも、写真やバナーの素材そのものがCVRに影響しやすいWebデザインという従来の考え方から脱却する必要があるのではないか。(井上氏)

井上氏は、写真や動画を中心としたEC戦略のコンセプトとして「ビジュアルマーケティング」を提唱する。商品ページには写真を多用し、写真だけでは伝えきれない情報は、動画で伝える――これからのECサイトには、こうした施策が求められると強調した。

ECサイトのUGC活用を効率化する方法は?

ecbeingは、Instagram上に投稿された写真をECサイトのコンテンツとして活用するためのクラウドサービス「visumo」を提供している。

「ビジュモ」を使えば、ハッシュタグを使ってInstagram上の写真を収集し、専用ツールで投稿者へ利用許可を申請することが可能。

掲載したい写真をピックアップし、表示させたいページにタグを貼ってCSSで表示の仕方を調整できる。さらに、写真と商品情報を紐づけて商品詳細ページにリンクを貼り、アクセスログなどを分析してCTRやCVRを計測することも可能だ。

visumoの機能
収集:ハッシュタグをキーにして、Instagram上の写真を検索し取り込む
許可申請:写真の2次利用の許可申請をツールからユーザーに案内が可能
掲載:掲載したい写真だけをピックアップしてコンテンツ化
表示:表示させたいページにタグをはるだけで掲載が可能
商品登録:写真と紐づける商品情報の登録が可能
リンク付け:対象写真に関連する商品のリンク付けが可能
カテゴライズ:コンテンツのカテゴライズにより様々な内容で表示が可能
投稿:フロントからユーザーが掲載したい写真の投稿が可能(近日公開予定)
写真の収集から利用申請、ECサイトへの表示、リンク付けなどを一元管理できる

事例にあがった「グラニフ」や「パーツクラブ」も、「visumo」を利用して成果を上げている。

写真や動画を中心とした「ビジュアルマーケティング」を実現するには、たくさんの写真やバナーが必要になる。また、動画などリッチコンテンツの制作も求められ、大量のクリエイティブを制作するにはコストがかさむ。

クリエイティブ制作に時間がかかると、スピード感を持ってPDCAを実行するのは難しい。

Instagram上の写真を、ECサイトやWebサイト、ブランドサイトに掲載していく一連の流れが1つのツール上で管理できる「ビジュモ」は、ビジュアルーケティングにおけるクリエイティブ制作の課題を解決できるのだ。

コンテンツ収集は顧客とのコミュニケーション

SNS上の写真を収集する方法は、ユーザーが自発的に投稿した写真を見つけて利用許諾を取る場合と、写真投稿キャンペーンなどを実施して意図的にSNS上に写真を増やす場合がある。どちらにせよ、ユーザーが投稿した写真をECサイトに掲載する際は、二次利用の許可をとる必要がある

ユーザーが自発的に投稿した写真を使う場合は、SNSを通じて投稿者にメッセージを送り、利用目的などを説明して許可を取ることが一般的。写真投稿キャンペーンを実施する場合には、あらかじめ利用目的などを明記しておくことが多い。

井上氏は、投稿者に掲載許可を取る行為そのものが、顧客との関係強化に役立つことがあると説明する。

商品写真やコーディネート写真などをSNS上に投稿するユーザーは、ブランドロイヤルティが高い場合が多い。そのため、自分の写真がブランドサイトなどに使われることを好意的に受け取ることも珍しくない。

コンテンツをECサイトに利用することは、「ロイヤルティの高い顧客と直接コミュニケーションを図るチャンスと捉えることができる」(井上氏)と強調。そして、「ロイヤルティが高い顧客とのコミュニケーションを起点に、口コミを広げていくこともできるのではないか」と述べ、ビジュアルマーケティングから、アンバサダーマーケティングへとつながっていく可能性があることも示した。

講演風景

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

Google、桜🌸の季節に多くのサイトをモバイルファーストインデックスに移行📲

7 years 9ヶ月 ago

およそ1か月半後に、多くのサイトを Google はモバイル ファースト インデックスに移行するとのこと。米オースティンで開催された PubCon でゲイリー・イリェーシュ氏が明らかにした。多くはないが、移行はすでに始まっておりモバイル版 Googlebot が活発化したかどうかで確認できそうだ。

- Google、桜🌸の季節に多くのサイトをモバイルファーストインデックスに移行📲 -

Posted on: 海外SEO情報ブログ - SuzukiKenichi.COM by Kenichi Suzuki

Kenichi Suzuki

あなたのECサイトに「買う理由」はありますか? 競合との差別化を実現する4つの方法 | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

7 years 9ヶ月 ago

ECサイトでは、価格、カスタマーエクスペリエンス(CX)、商品のラインナップ、プロダクトの4つが大きな差別化要因になります。自社の強みを生かして、デジタル戦略の方向性を決めていきましょう。

すべてが普通レベル、勝ち残りは難しい

米国のオンライン通販市場では11万以上のEC事業者がひしめき合っています。

新しい取り組みや、提供しているサービスのリニューアルについて社内で検討するのも良いでしょう。ですが、最終的に消費者が知りたいこと、求めていることはそこではありません。

他のECサイトではなく、あなたのECサイトで買う理由を知りたいのです。そこで、他社とは異なる自社のECサイトにおける差別化要因が必要になってきます

他社と異なる自社の特徴は何ですか? 競争力を高める要素はありますか? これらを把握しない限り、暗闇の中で手探りをしている状況が続きます。

差別化要因は多くのケースで、価格カスタマーエクスペリエンス商品のラインナッププロダクトの4つに分類されます。1つの要素に特化する場合もあれば、バランス良く力を入れるケースもあります。

どんな場合でも、自社の立ち位置を正確に把握して、強みをさらに強調できるようなデジタル体験を提供することが重要です。すべてにおいて普通のレベルでは、現代のグローバルなデジタルマーケットで勝ち残っていくのは難しいのです。ですから、あなたのECサイトのユニークな部分に焦点を当てましょう。

もし自社の差別要因がわからない場合は、次の項目を確認してください。

① 価格

消費者10人のうち6人以上は、実店舗とオンラインで価格を比較し、最も安く売られているお店を選びます。オンライン通販を利用するユーザーにとって、価格はいまだに大きな購入決定の要因となります。

大手ECサイトの利用者が商品購入時にインターネット上で検索する情報の上位は「商品のスペック」「レビュー」「複数ショップの価格」
日本では、大手ECサイトの利用者が商品購入時にインターネット上で検索する情報の上位は「商品のスペック」「レビュー」「複数ショップの価格」だった(出典はニールセンデジタルが2017年に公表した調査レポート「PCユーザーのEコマースサイト利用状況」、画像は編集部が追加)

ですから、価格に競争力があるのであれば、それを打ち出していきましょう。多くの企業は、低価格での購入を目的に訪れている消費者に対し、ブランドエクスペリエンスや膨大なカタログを提供しようとしています。

価格という差別化要因を上手に活用している素晴らしい事例がWalmart Inc.(ウォルマート)です。「毎日安くする」というウォルマートの価格戦略が、現在の成功の基盤になっているのです。

商品のラインナップで勝負するなら、Amazon(アマゾン)やウォルマートを真似する必要はありません。特定のカテゴリーで競争すれば良いのです。

低価格で有名なウォルマートなどの大きな企業に対し、中小企業が価格で競争するのは難しいでしょう。しかし、価格が差別化要因なのであれば、デジタル戦略もそれに基づくものでなくてはいけません

「当社より安い価格で販売している商品を見つけたら、差額を倍にして返金します」といったうたい文句を使って価格を強調し、ECサイト全体で価格を訴求しましょう。

他には、年間の購入額に応じてインセンティブを支払うといった施策もできるでしょう。上位顧客は、他のECサイトよりも価格が高い商品があっても、最終的にお得な方を選ぶからです。

最も理想的な方法は、特定カテゴリーで豊富な商品ラインナップを実現し、それらを常に低価格で提供することです。成功するには、競争力のある価格を提示し、消費者に多くの選択肢を提供することが大切なのです。

② カスタマーエクスペリエンス

ほとんどの消費者は、実店舗や他のオンライン通販で、同じ(もしくは類似)製品を簡単に手にいれることができると知っています。しかし、一部の消費者にとっては、カスタマーエクスペリエンスが購入の意志決定の肝になります

米国の大型百貨店チェーンNordstrom(ノードストーム)は、顧客中心のカスタマーエクスペリエンスに特化しているユニークな企業の好例です。メールによるメッセージ戦略、店頭の販売員まで、徹底してカスタマーエクスペリエンスにこだわっています。

誕生日ボーナスといったさまざまな特典を用意したロイヤリティプログラムの提供を検討しましょう。顧客にはVIPになった気分になってもらうのです。店舗同様のカスタマーエクスペリエンスを、オンラインやモバイルアプリでも提供できるようにしましょう。

③ 商品のラインナップ

アマゾンが成功している1つの理由に、増え続けている圧倒的な商品ラインナップがあげられます(長年アマゾンで販売をしていなかったNikeでさえも、アマゾンで商品を販売するようになりました)。

幅広いラインナップがあれば、競合と差別化できます。しかし、全ての企業が「何でも売っているお店」になれるわけではありません。

ラインナップで勝負するのであれば、アマゾンやウォルマートを真似するのではなく、特定のカテゴリーで競争力を高めましょう。あるカテゴリーに関しては、他のどこよりもラインナップが充実しているとを消費者に訴求しましょう。

ラインナップが差別化要因であれば、スマホであれパソコンであれ、商品を簡単に探せるようにすることが重要です。

そして、短時間で商品を探したいと考えている消費者に、ワンストップで欲しい商品が手に入るというメッセージを明確に伝えるのです。どんなカテゴリーで戦うのかを注意深く選択し、利益を増やしてきましょう。

④ プロダクト

自社ECサイトのみで商品を販売しているブランドもあります。たとえば、メガネなどの通販サイト「Target Optical」で、メガネブランド「Warby Parkers」のメガネは販売されていません。

プロダクトを差別化要因にしている企業は、他のECサイトでは手に入らない特別感と一貫したブランディングを意識する必要があります

他のECサイトでは手に入らないプロダクトを提供するなら、アマゾンなどの第三者プラットフォームでの販売には注意しましょう。「Warby Parker」は自社ECサイトだけでプロダクトを販売しつつ、自社限定のユニークなサービスを用意しています。

たとえば、自宅での眼鏡試着、1人ひとりにカスタマイズしたお勧め商品を案内しています。そうすることによって、「Warby Parker」という唯一無二のブランドアイデンティティを確立し、競合他社と差別化しているのです。

◇◇◇

御社は自社ECサイトで最高のカスタマーエクスペリエンスを提供できていますか? それとも、ラインナップで勝負できそうですか?

自社の強みを決めて、デジタル戦略の方向性を決定しましょう

自社ブランドのコアを理解することで、市場のトレンドや新しいチャネルの登場に左右されることなく、カスタマージャーニーを作り上げることができるようになります。

競争力を保ち、今後数年にわたってEC業界で成功するのは、ユニークな自社の強みに集中し、その強みを差別化の武器として前進していけるブランドです

Internet RETAILER

世界最大級のネット通販業界の専門誌「Internet Retailer」は、雑誌のほか、Web媒体、メールマガジンなどを運営。Vertical Web Media社が運営を手がけている。

Eコマースの戦略に関し、デイリーニュース、解説記事、研究記事、電子商取引におけるグローバルリーダーをランク付けする分析レポートなどを発行している。

Internet RETAILER

ハウステンボスも中国向け越境ECに参入、国営中央テレビとタッグ

7 years 9ヶ月 ago

ハウステンボスは2月19日、中国向け越境ECを支援する新規事業を2018年4月に開始すると発表した。

CCTV(中国国営中央テレビ)グループが運営するインターネットモール「CCTVMALL 日本館」の広域特約代理店として、九州・沖縄地区の企業や個人事業主の出店を支援する。

また、ハウステンボスも「CCTVMALL 日本館」で中国向けに商品を販売。ハウステンボスが中国越境EC事業を手がけるのは初めて。

CCTVは中国の国営放送で、視聴者数は9億人を超えるとされる。「CCTVMALL」は、CCTVが2017年9月に開設したテレビショッピング型のECモール。「CCTVMALL 日本館」は中国で根強い支持を集める日本商材を集めたもの。

ハウステンボスは「CCTVMALL 日本館」の中に、九州や沖縄の商品を集めた「ハウステンボス九州館」を2018年4月に開設する。

「CCTVMALL 日本館」で九州・沖縄地区の商材を販売する

「ハウステンボス九州館」は「直接出店型」「出品型」「観光RP型」の契約形態がある。

  • 直接出店型
    「CCTVMALL 日本館」に直接出店し、本格的に事業を取り組みたい事業者向け。登録商品数100品以上。
  • テナント出品型
    商品を出品して販売する。本格展開前のテスト販売を行う事業者や、直接出店するほどの商品数がない事業者向け。登録商品数10品以上。
  • 観光PR型
    インバウンドの誘致を行う事業者、地方自治体、関係団体向け。動画でのPRなど各種要望に対応する。

ハウステンボスは3月中旬に、出店・出品希望者向けの合同説明会を開催する予定。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

CVR85%増とUX向上を実現したナノ・ユニバースがやったスマホ時代のECサイト改善策

7 years 9ヶ月 ago

アパレルセレクトショップのナノ・ユニバースは、2016年度のEC化率(全社売上高に占めるEC売上高の割合)が40%を超えるなど、EC事業へ積極投資している企業として注目されている。WEB戦略部・越智将平部長が、公式オンラインショップのサイト内検索エンジンを入れ替え、コンバージョン率(CVR)の大幅な改善に成功した事例、スマホEC時代を勝ち抜くための取り組み、今後のデジタル戦略などを語った。写真◎Lab

ナノ・ユニバースが取り組んだECサイト改善策

ナノ・ユニバースは全国に65店舗の実店舗を展開し、自社サイトのほかは「ZOZOTOWN」、「マガシーク」、「楽天市場」など合計8店舗のECサイトを運営している。

2005年のECサイト運営以来、EC売上高は右肩上がり。2013年からはITやECへ積極的に投資している。基幹システムを全面刷新した上で、2014年に実店舗とECの顧客IDを統合。さらに、店頭には公式アプリを立ち上げると会員の来店を検知するビーコンを設置するなど、ECと実店舗の連携にも力を注いでいる。

ここ数年、ナノ・ユニバースはITやECで積極的に先行投資を行い、失敗も繰り返しながら、EC事業を伸ばしてきた。全社売上高に占めるECの割合(EC化率)は40%を超えた。(越智部長)

WEB戦略部・越智将平部長
WEB戦略部・越智将平部長

「ゼロ件ヒット」をなくすため「goo Search Solution」を導入

EC事業に積極投資を続けるナノ・ユニバースが2017年に取り組み、大きな成果を得た施策の1つが、自社ECサイトのサイト内検索エンジンを入れ替えたこと。NTTレゾナントが提供している「goo Search Solution(グー・サーチ・ソリューション)」を2017年3月に導入した。

サイト内検索エンジンを入れ替えた理由の1つは、「フリーワード検索で使われるキーワードの『表記ゆれ』に対応するため」(越智部長)。

「表記ゆれ」とは、1つの意味の事象に対して、複数の単語が使われることを指す。たとえば、「ナノ・ユニバース」というブランド名は、カタカナ表記のほか、「nano universe」「NANO UNIVERSE」「nano unibarse(※スペル間違い)」「なのゆにばーす」といった単語のパターンが考えられる。

アパレルブランドは英語表記が多いため、フリーワード検索で間違ったスペルを入力するユーザーは少なくない。ナノ・ユニバースが従来使用していたサイト内検索エンジンは、こうした「表記ゆれ」に対応できていなかった。

そのため、「表記ゆれ」で来訪者が検索した商品は、実際のところはECサイトで販売していても、検索結果に表示されない「ゼロ件ヒット」が頻発していたという。

越智部長は、「ゼロ件ヒット」が表示される悪影響について、強い危機感を抱いていた。

「ゼロ件ヒット」が続くと、お客さまはECサイトから離脱してしまう。それ以上に問題なのは、品ぞろえが悪いサイトであると誤解されてしまう可能性があること。その結果、ブランドイメージに傷がつく。(越智部長)

ECサイトのCVRは85%向上

「goo Search Solution」は、膨大な単語の表記ゆれのパターンを蓄積したデータベースを持つ。NTTレゾナントが約20年間も運営しているポータルサイト「goo」で収集した検索履歴から、膨大な量の表記ゆれパターンを蓄積してきた。いわば、「表記ゆれの辞書」を持っているということだ。

また、企業が持つ検索ログを使い、「企業ごとに表記ゆれの辞書を作ることもできる」(NTTレゾナント スマートナビゲーション事業部の北岡恵子氏)。

ナノ・ユニバースは自社ECサイトに「goo Search Solution」を導入したことで、サイト内検索経由のCVRが導入前と比べて85%向上したという。

スマートナビゲーション事業部の北岡恵子氏
スマートナビゲーション事業部の北岡恵子氏

スマホサイトの検索性を改善する「タッチサジェスト」

ナノ・ユニバースはスマホサイトの検索の利便性改善にも注力している。スマホサイトのサイト内検索のユーザーインターフェースを改善するため、NTTレゾナントが開発したスマホ用の検索機能「タッチサジェスト」も導入した。

「タッチサジェスト」とは、ユーザーが入力した検索キーワードに応じて、絞り込み検索の条件を自動的に表示する機能。たとえば、検索窓に「トップス」と入力すると、「無地」「ホワイト」「コットン」「長袖」といった、関連性の高い絞り込み条件を検索窓の下に表示。ユーザーは表示された条件をタップするだけで絞り込み検索を行えるため、片手で操作でき、直感的に欲しい商品にたどり着ける

「タッチサジェスト」のイメージ
「タッチサジェスト」のイメージ

「タッチサジェスト」を導入した理由について越智部長は、「通勤電車の中で、つり革につかまっているときなど、片手でスマホを操作していても使いやすい検索機能にした」と説明する。

ナノ・ユニバースのEC売上高の8割以上はスマホ経由。画面が小さく、片手で操作することが多いスマホサイトでは、サイト内検索の使い勝手の良し悪しがCVRを大きく左右する。実際、ナノ・ユニバースは、「パソコンに比べて、スマホを使ったサイト内検索からの離脱率が高いことが悩みの種だった」(越智部長)と言う。

「タッチサジェスト」の導入後、スマホサイトの訪問者1人あたりの滞在時間が1.5倍に増加した。「検索しやすくなったことで、滞在時間が増えたと考えられる」(同)と分析している。

コンバージョン回z線 検索体験の向上サイト内検索をgooサーチに変更スマホの検索補助タッチサジェストを開発表記揺れに強くなり、検索経由CVR85%向上一人あたりPVが1.5倍アップ
ナノ・ユニバースが取り組んだサイト内検索に関連するCVR改善のためのアクションなど

AIが検索結果を自動最適化

「goo Search Solution」の特徴の1つとして、人工知能(AI)が検索ログを読み込んで検索結果を自動最適化する機能があげられる。ユーザーが入力した検索クエリやクリックした項目、購入まで至っているか否かといった情報をベースに、「検索エンジンが最適な検索結果を学習し、表示順位を決定する」(北岡氏)。

EC事業者が検索エンジンの表示結果をメンテナンスしなくても、「ユーザーが最もクリックしやすい検索結果」を自動で生成するため、運用の負担が軽いこともメリットとなる。

最適化した検索結果 ログ解析 貴社ECサイト検索ログ ユーザー行動ログ 何を検索したか 何をクリックしたか 何を購入したか
ユーザーの行動ログを分析し、最適な検索結果を学習する

ECサイトを「メディア化」する理由

ナノ・ユニバースは近年、ECサイトで掲載する画像の充実化、読み物コンテンツを頻繁に更新したりすることで、「ECサイトのメディア化」を進めている。

ECサイトのメディア化を進める理由は、アパレル製品を購入する前にインターネットで商品情報を検索する消費者が増え、ブランドイメージはある程度Web上の情報で決まってしまうと考えているためだ。

1枚1000円以下でも服が買える時代に、弊社のECサイトで1万円の服を買ってもらうためには、Webを通じて「ブランドの価値」をしっかりお客さまにアピールしなくてはならない。(越智部長)

越智部長が特に重視しているのは、ECサイトの写真のクオリティー。社内にコンテンツ制作部門を設置し、写真撮影チームは14人(カタログ用など含む)、Web制作チームは8人、動画チームは4人を配置するなど、コンテンツ制作に手厚い布陣を敷く。

ECサイトにおけるクオリティーの高い写真とは、どのようなものか。ナノ・ユニバースは客観的な基準で写真のクオリティーを判断できるように、サムネイルや商品写真ごとにクリック率やコンバージョン率を計測している。

さらに、写真を入れ替えながらクリック率(CTR)のABテストを行うなどして、PDCAを徹底。クリックされやすい写真の特徴を言語化して社内で共有し、「感性に頼らず、クリックされやすい写真を作るノウハウを社内に蓄積している」(越智部長)。

感覚と数値で写真を改善 画像差し替えによる効果検証
写真のCTRを計測し、画像を差し替えながらABテストを実施している

ECと実店舗が連動してロイヤルカスタマーを育成

越智部長は今後、「ECと実店舗を組み合わせてロイヤルカスタマーを増やしていく」と強調する。

ナノ・ユバースのロイヤルカスタマーの約90%は、実店舗で会員登録しているという。また、実店舗とECの両方を利用している会員の年間購入額は、顧客全体の平均と比べて約3.5倍。さらに、ナノ・ユニバースのWeb上のコンテンツを見てから来店する会員の店頭でのCVRは、Web上のコンテンツを見ずに来店した場合の約4倍に達するという。

こうした現状を踏まえ、ナノ・ユニバースは「ECサイト経由で実店舗に来店する会員」を増やすことを重視。2017年11月には公式アプリをリニューアルし、ECサイトで「お気に入り登録」した商品が店舗に入荷されるとプッシュ通知する機能を実装するなど、オンラインから実店舗へと誘導する仕組みを強化している。

また、WEB事業部では、ECサイトを閲覧してから実店舗に来店した会員の、購入金額や購入率を経営指標に設定しているという。

ファッションECは飽和が始まっており、今後はますます新規獲得が難しくなる。ロイヤルカスタマーを育てていくことが重要になっており、そのためにECと店舗の相乗効果を狙っていく。(越智部長)

講演風景

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

富士山頂からDM発送!? 静岡のお茶販売・ティーライフ流おもてなし術とは? | EC業界で活躍する女性の働き方に迫る“e-女”~Presented by売れるネット広告社~

7 years 9ヶ月 ago

こんにちは、売れるネット広告社の代表取締役社長 加藤公一レオです。この連載ではeコマース業界で活躍する女性にフォーカスし、ネット通販(EC)に携わる経営者や担当者とさまざまなテーマについて対談していきます。

2回目となる今回は、情報・バラエティ番組「ヒルナンデス!」で紹介された「メタボメ茶」など、お客さまの健康とキレイのためにこだわり抜いた商品を販売するティーライフ株式会社で、顧客開拓課の課長を務める鳥居麻理さんと対談します。

加藤公一レオ(以下加藤):本日はお越しいただきありがとうございます。よろしくお願いします!

鳥居麻理(以下鳥居):こちらこそ、ありがとうございます。よろしくお願いします!

今回の“e-女”

ティーライフ株式会社 鳥居麻理さん
1987年、静岡県生まれ。静岡文化芸術大学文化政策学部卒業後、ティーライフ株式会社に入社。入社以来Web漬けでリスティング、アフィリエイト、純広告などで新規顧客開拓を行い、初回注文から1年を通したCRMを担当。「1人でも多くの方に商品を愛用していただきたい!」という思いで、ティーライフとまだご縁をいただいていない方にどうしたら知ってもらえるか、好きになってもらえるかをひたすら考えている。2016年ダイエットアドバイザーの資格取得。2017年8月に顧客開拓部顧客開拓課課長に就任。

いかにお客様との関係性を築くかがネット通販の担当者としての腕の見せどころ

加藤:ネットショップ業界に入ったきっかけを教えてください。

鳥居:最初はネットショップ業界へ就職するとは思っていませんでした。私が働く上で重要だと感じていることは“誰と働くか”という点でした。就職活動中にティーライフの会社見学に行き「なんて温かい会社なんだ」と感銘を受け入社を決めました。ネットショップでお客さまとの接点を増やしていく社員のみなさんと一緒に働きたいと思ったんです。入社時は総務希望だったのですが、配属先は顧客開拓部門でとても驚きました(笑)。

顧客開拓部は希望部署ではなかったので不安でしたが、「通信販売の会社に入ったからには新規開拓が会社のエンジンだ!」という社長の言葉に感化され、今ではお客さまとティーライフの出会いを演出できる仕事にやりがいを感じています。

加藤:通販会社は、新規開拓をする部署が最も人気な部署なんですよね。そこに抜擢された鳥居さんは素晴らしいと思いますよ。入社して8年間、ずっと同じ部署なんですか?

鳥居:入社してから8年間、ずっとネット通販の新規開拓を担当しています。あとは、CRMも担当しているので、新規のお客さまを1年間サポートしています。メンバーは総勢7人です。少数精鋭でバリバリやった方がうまく連携も取れますし、チームワークがとても良いと感じています。

加藤: ネット通販部門に関しては、私の経験則上、少数精鋭の方が圧倒的に成績が良い傾向にあります。人数が増えすぎたチームはうまく機能しないと思っています。なぜかというと、広告・マーケティングの運用は1人か2人の責任者が、「すべての責任を取る」という自覚を持ってすべてを把握していないと難しいからです。

人が増えれば増えるほど連携は取りづらくなりますし、間違いなく効率が落ちます。1人ひとりがクライアントの目標を「自分事」として執着し、責任者として自覚を持って行動し続けるようにした方が、良い成果を導くことができます

鳥居:確かにそうですね。お互いに「あの人がやってくれるだろう」と頼りがちになってしまいますし、重要な判断も複数人いると意見がまとまらないケースが発生してしまいます。そうなるとどうしても動きは鈍くなるので、機会損失やトラブルが生じてしまうと思います。

ティーライフ株式会社 鳥居麻理さん

加藤:鳥居さんが新規開拓に携わってきた中で感じる仕事の面白さ、難しさは何ですか?

鳥居:面白いのはお客さまの年齢、性別、嗜好を分析して企画を考えられることです。さらにお客さまの声を参考に試行錯誤を繰り返す一連の流れが面白いです。

加藤:仮説を立てて施策を打って、多くのお客さまが喜んでいただける答えを導き出せたときはとても嬉しいですよね。ただ、そこで重要なのはそこで満足せずに絶えずPDCR(Plan Do Check Replan)を回し続けて最適化を図り続けることだと思います。

鳥居:レオさんのおっしゃる通り、この業界にいれば常に突き当たる壁だと思いますが、答えはないんですよね。成果が芳しくない時はこれで合っているのだろうかと不安になりますし。常にお客さまが満足いただけるように工夫し続けることが大切だと感じています。この仕事の難しさは、答えがないということです。また、お客さまを取り巻く環境が変化すれば求められことも変わっていくので、それを常にキャッチアップしていかないと取り残されてしまいます

時には、お客さまに当社を知っていただき、関係性構築の時間を長くいただけないこともあり、すぐに別の商品に目移りされてしまうことがあります。そんな中で。いかにお客さまとの関係性を築いていけるかが、ネット通販の担当者としての腕の見せどころだと思っています。

ティーライフ株式会社 鳥居麻理さん

「商品券セール」や「富士山頂からの暑中見舞い」で定期顧客の心をつかむ

加藤:ティーライフさんとは長いお付き合いになりますが、本当に愛社精神が強く社風もとても明るく前向きで、個人的に大好きな通販会社さんなんです。 御社の面白い取り組みや画期的な制度などあれば、教えてください。

鳥居:いくつかありますが、まず「商品券セール」という制度があります。これは、ご家庭で持て余している商品券や切手、未使用のハガキで当社商品を購入できる制度です。「お客さまが持っていて困っているものって何だろう?」ということを社内で考えたことがきっかけで始まりました。お客さまから使い道のない商品券や古い切手やハガキを送っていただいて、その分を商品購入額から割引できるようにしたんです。中には、段ボール1個分の年賀ハガキや大量の切手をいただくこともあります。

加藤:面白い! 確かに私の家にもタンスの肥やしになっている商品券がたくさんあります。私も商品券セール利用します! 他には何かありますか?

鳥居:優良顧客限定で「富士山頂からの暑中見舞い」をお送りしています。社長を含めた暑中見舞いメンバーで大量のお便りを持って富士山頂をめざします。富士山の頂上から送るお便りはとっても素敵なんです。お客さまからとても好評で、弊社の恒例行事になっています。私たちの会社は静岡県にあるので、そのアピールにもなっています。

富士山頂郵便局
富士宮口頂上にある富士山頂郵便局(開局するのは夏期のみ)。富士山と局舎をデザインしたオリジナルの消印が押される

鳥居:本当はすべてのお客さまにお送りしたいのですが、量が多くて富士山頂郵便局の方にご迷惑をかけてしまうので、いつもご利用いただいている優良顧客の方に限定してお送りしています。マーケティングという点では、お金も時間もかかる施策ですが、お客さまの喜びの声がとにかくすごいんです。

加藤:素晴らしいですね。今の日本のネット通販は、「また買ってくれる」と安易に考えているのか、定期顧客に引き上がったお客さまに対して何もしません。新規顧客の獲得にばかり気を取られ、定期顧客のフォローがおろそかになっているとLTV(顧客生涯価値)は上がりません。御社の取り組みは、定期顧客の心をつかむ最高のおもてなしだと思います。

主力は「ダイエットプーアール茶」と「メタボメ茶」。化粧品の新ブランドも展開

加藤:日本一のお茶どころと言えば静岡ですが、御社の商品について教えてください。

鳥居:当社の主力商品の中でも核となるのは「ダイエットプーアール茶」と「メタボメ茶」です。ダイエット茶として有名なプーアール茶を特別な蒸気殺菌技術によって美味しく飲みやすくしました。香ばしい黒豆をはじめ、プーアール茶やウーロン茶、杜仲茶(トチュウ)をブレンドした健康茶として人気です。健康とキレイを意識していただくために、飲みやすく続けやすいお茶をめざしています。

加藤:社内でもとても好評でみんな飲んでいますよ! 私も愛飲しています。みるみるとすっきり健康的な体になっていった社員もいましたね。美味しいお茶がダイエット効果もあるなんて本当にいい商品だと思います。 最近は、新しい商品を発売されたというニュースも聞きました。

鳥居:化粧品を出すことになりました。「teatea」という商品です。お客さまの声から開発したスキンケア商品で、お茶エキスを豊富に含んでいます。お茶から生まれたスキンケア商品なので、毎日飲むお茶のように自然と生活の一部に溶け込む化粧品をめざした新ブランドです。

加藤:そうなんですね。化粧品は中小企業にとってものすごく可能性がある世界だと思っています。なぜかというと、健康食品は効果が表れるまで時間がかかって即効性がないですよね。なので、面白く話題性のある商品を開発したところで、大手から類似商品を販売されてしまえば、たちまち市場を奪われてしまいます。

対して化粧品は効果が分かりやすいですし、お茶の名産・静岡県にある御社のように、強みを生かして差別化することができますし、健康のためのお茶、キレイになるためのお茶としてのブランドイメージがすでにあれば、他の化粧品メーカーさんは太刀打ちできないでしょう。

売れるネット広告社の代表取締役社長 加藤公一レオ氏

ユーザー環境が変化する中、お客さまに寄り添った親身なサービスをどう提供するかが課題

加藤:ここ数年だけでもEC市場、消費者は大きく変化したと思います。実際にネット通販の担当者として感じた変化について教えてください。 

鳥居:私が入社した8年前は、今とは違い広告へのネガイメージが少なかったので、「こうすれば買っていただけるだろう」という仮説が上手くはまっていました。しかし今は「広告は嫌い」「見たくない」「スキップする」という状況に変化しています。なのでお客様にとって、いかに有益な情報や商品をお届けできるかというところを意識しています

また、ここ数年のスマートフォンの普及により、顧客年齢層が高いティーライフでもスマートフォンの利用端末比率がPCを上回り、より見やすく、簡単に買い物ができるサイトが求められています

ティーライフはお客さまに寄り添った親身なサービスを売りにしている会社なので、AI(人工知能)などが日々進化している中、ティーライフらしい対面販売型の通信販売をどのように提供していけるか模索しています。

加藤:今のネットショップ業界について、どのように感じていますか?

鳥居:業界の動向の変容がすごく激しいと感じています。Googleのアルゴリズム変動もしかり、モバイルファーストインデックスなど、とにかく動きが早いですね。ただ、ユーザーを操作しているという気持ちではなく、何よりもお客さまの声を第一に考え、人間臭いところをもっと重要視していかないといけないと感じています。

加藤:確かに私もそう思います。世の中、デジタルだからこそアナログにすべきだと思っています。だから、意外と手書きのお手紙が効果的なんですよね。伝えたい思いをアナログに伝えていく。富士山から暑中見舞いをお送りするということもそうですが、伝えたい思いをどうやって伝えるかということはとても重要ですね。

鳥居:実はお客さまから手書きのお手紙をいただくことが多く、本当にありがたく思っています。そういった思いは必ず1人ひとりに思いを込めて対応しています。「お客さまのためになりたい」という思いを精一杯伝えています。

加藤:素晴らしい。最後にズバリ、今後チャレンジしたいことを教えてください。

鳥居:新規開拓をずっとやってきたからこそのお客さま目線を大切にして、商品開発に携わりたいです。お客さまの声をダイレクトに反映させて市場とギャップのない商品作りがしたいです。

加藤:お客さまの声を商品に反映させるということは新規開拓をしていた鳥居さんだからこそできることですし、通販会社に勤める醍醐味でもありますよね! 本日は鳥居さんらしいお客様を思いやる回答をいただけてとても素敵な対談になりました。ありがとうございました!

売れるネット広告社の代表取締役社長 加藤公一レオ氏、ティーライフ株式会社 鳥居麻理さん

対談を終えて

本日は、“e-女”鳥居さんと対談しました。彼女が新卒入社から8年間、ネット通販一筋で追求してきた「お客さまのためになりたい」という思いは、ネット通販担当者の鏡だと思います。なぜなら、ネット通販は、お客さまに合った商品を提供し常に思いやる相思相愛の関係性を築く必要があるからです。今後も鳥居さんに目が離せません。

加藤 公一 レオ

株式会社 売れるネット広告社 代表取締役社長

1975年ブラジル・サンパウロ生まれ、アメリカ・ロサンゼルス育ち。 西南学院大学経済学部卒業後、三菱商事株式会社に入社。

その後、Havas Worldwide Tokyo、株式会社アサツーディ・ケイ(ADK)にて、 一貫してネットビジネスを軸としたダイレクトマーケティングに従事し、 担当した全てのクライアント(広告主)のネット広告を大成功させる。

その実践経験とノウハウをもとに、ネット広告のレスポンスを確実にアップさせてしまうため、 クライアント企業から『レスポンスの魔術師』との異名をとる。

やずやベストパートナー賞 受賞。 Webクリエーション・アウォード Web人貢献賞 受賞。 通販エキスパート検定1級。 「アドテック」「宣伝会議」「日経デジタルマーケティング」「通販新聞」など講演多数。

アドテック東京2012 公式カンファレンス 人気スピーカー1位。 アドテック九州2013 公式カンファレンス 人気スピーカー1位。 アドテック九州2014 公式カンファレンス 人気スピーカー1位。 「九州インターネット広告協会」の初代会長も務めた。

著書に『単品通販“売れる”インターネット広告』(日本文芸社)、『100%確実に売り上げがアップする最強の仕組み』(ダイヤモンド社)、『伝説のEC猫レオレオ売れるネットショップ繁盛記(インプレス)』がある。

加藤 公一 レオ

2018年に10兆円を超える通販・EC市場、ネット販売が拡大をけん引[富士経済調査]

7 years 9ヶ月 ago

富士経済は2月19日、国内における通販・EC(物販)の市場規模を調査した「通販・e-コマースビジネスの実態と今後2018」の一部を公表した。ECの伸びが通販・EC市場の拡大をけん引し、市場規模は2018年に10兆円を超える見通し。2019年には10兆7833億円に拡大すると予想している。

富士経済の「通販・e-コマースビジネスの実態と今後2018」、通販市場は拡大と予測

EC+カタログ通販などの通販(物販)国内市場は右肩上がりが続く

EC市場は、大手ECモールが流通額を伸ばし、実店舗運営企業がオムニチャネルを推進することなどから引き続き拡大。カタログ通販は、総合通販企業がEC 化を進めていることに加え、収益性改善を目的にカタログ発行部数の削減などを行っている影響で縮小する。

テレビ通販は、健康食品・医薬品などの専門通販企業が注力しているこや、一部企業がオムニチャネルの1つとしてテレビ通販に注力していることなどから微増と予想している。

「通販・e-コマースビジネスの実態と今後2018」では2019年のEC市場を8兆8537億円と予測。受注形態(デバイス)はスマートフォンが急増している。

富士経済の「通販・e-コマースビジネスの実態と今後2018」、EC単独の市場規模

EC単独による市場規模の推移

EC市場における商品カテゴリー別の市場規模を見ると、「食品・産直品」「アパレル」「生活雑貨」などの成長が目立つ。2019年の市場規模は「食品・産直品」が1兆2755億円、「アパレル」は1兆8563億円、「生活雑貨」 は9593億円。

富士経済の「通販・e-コマースビジネスの実態と今後2018」、EC国内市場における注目商品カテゴリー

国内EC市場における注目商品カテゴリー

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

Fetch as Googleのインデックス登録リクエストの回数制限が変更に――個別URLは1日10件まで、全URLは1日2件まで

7 years 9ヶ月 ago

Fetch as Google 実行後にリクエストできる URL の再クロールとインデックス再登録の上限数を Google は変更した。個別URLは1日2回まで、全URLは1日2回までの送信になった。

- Fetch as Googleのインデックス登録リクエストの回数制限が変更に――個別URLは1日10件まで、全URLは1日2件まで -

Posted on: 海外SEO情報ブログ - SuzukiKenichi.COM by Kenichi Suzuki

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