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今後2年間の検索に関する4つの予測

8ヶ月 ago

この記事は、2025年1月 9日に botify で公開された Morgan McMurray氏の 「The Future Is Here: 4 Predictions for Search in the Next Two Years」 を翻訳したものです。

2024年は検索業界にとって、信じられないほど変革の年でした。人工知能(AI)が、消費者の意思決定プロセス全体に統合され、検索の専門家は戦略を見直し、新しいツールを取り入れ、さらに高速でパーソナライズされた検索エコシステムに対応する必要がありました。

今年のBotify Connectでは、最新のSEO動向に基づき、SEOに関する4つの主要な予測を検討しました。この記事では、それぞれの予測を詳しく説明し、変化がブランドにどのような影響を与えるのか、そしてその準備方法についての洞察を提供します。

予測1 : オーガニック検索は消えないが、キーワードは消えつつある

まず、キーワードの重要性が薄れていく理由を理解する前に、新しい検索環境を知る必要があります。オーガニック検索は依然として有効ですが、キーワードの追跡方法は、個別のキーワードターゲティングから、検索行動に基づいた広範な傾向に焦点を当てたものに進化しています。

消費者行動の変化

自然言語処理(NLP)や生成AIへの投資が成果を上げ、検索の仕組みが根本的に変わりつつあります。AIが統合されたインターフェースにより、ユーザーはより自然で流動的な方法でコンテンツにアクセスし、ロングテールのパーソナライズされたクエリが急増しています。その結果、消費者は会話型でコンテキスト主導の質問をするようになり、従来のキーワードが関連性を失う可能性があります。

また、ツールやプラットフォーム、AIアシスタントの普及により、検索はますます分散化しています。消費者は複数のインターフェイスを使ってコンテンツを検索しているので、ブランドのコンテンツが表示されるためには、これらのプラットフォームにインデックスされる必要があります。

AIアシスタントは、消費者の検索の大部分を担当するようになります。これらのアシスタントは、結果を提供するだけでなく、ユーザーに代わって行動し、ユーザーの好みに基づいて意思決定を行い、タスクを完了します。この傾向により、消費者のクエリがより複雑になり、ニーズに合わせたハイパーパーソナライゼーションが進みます。そのため、検索のロングテールはさらに細分化し、専門家が特定のキーワードに焦点を当てることが難しくなる可能性があります。

ポストキーワードの世界にはまだ遠い

従来のキーワード追跡の重要性は低下していますが、キーワードを完全に無視することはできません。検索は依然としてユーザーの意図を満たすことが重要であり、キーワードデータは消費者の意図を予測するうえで価値があります。重要なのは、新しい検索時代が「ターゲットキーワードの文字列」で構成されるクエリから「会話」の時代に移行しているということです。

従来の検索エンジン(GoogleやBingなど)とユーザーのインタラクションは、現在の検索インデックスやランキングを形作っており、短いクエリからより長く詳細な検索への移行が進んでいます。消費者のクエリも、AIアシスタントによって将来の質問を理解する手助けとなるでしょう。消費者がGoogleで行っていた検索は、ChatGPTやPerplexityなどのツールで提示されるプロンプトと似ています。しかし、会話型検索や検索の分散化(Googleが検索の中心ではなくなりつつある状況)への傾向は、消費者行動の細分化が進むにつれてランキングの重要性を低下させることを意味します。

長期的には、AIが生成した回答(AI Overviewなど)が広く統合され、消費者が情報を検索する方法が多様化していく中で、従来のランキング指標は新たな指標に取って代わるでしょう。ブランド認知度の指標として、シェア・オブ・ボイスやブランド言及は、キーワードランキングよりも優先されるようになると考えられます。

キーワードの重要性低下に備える方法

幸いにも、キーワードトラッキングが減少していく中で、検索戦略を将来に向けて確実にするために実行できる対策があります。

  1. 関連プラットフォームにインデックスされていることを確認 : 消費者がどこでブランドを見つけているかを理解し、従来の検索とAI統合検索の両方に最適化されていることを確認しましょう。
  2. 今日のキーワードデータを活用して未来のクエリを予測 : 消費者が明日ChatGPTで何を尋ねるのかを予測します。頻繁に出てくる質問は何かを把握し、ターゲットキーワードに関連する疑問を特定しましょう。
  3. シェア・オブ・ボイスやブランド言及、ブランドの権威を追跡 : ブランドの可視性を報告するときには、さまざまなプラットフォームで消費者がどのようにターゲットキーワードを使用しているか、ブランドの権威を追跡する指標を活用しましょう。あなたのブランドは表示されていますか?競合他社はどうですか?提示された情報は正確で、最新のものですか?
  4. 会話型 AIやAI概要(AIO)に重点:上位ランクのコンテンツがAI概要ライブ検索引用などの生成応答に表示されることを目指しましょう。ライブ検索を備えた回答エンジンは、上位ランクのコンテンツを取得して応答を更新するため、コンテンツが正確で、定期的に更新され、AIボット向けに適切に最適化されていることが重要です。

予測2 : 来年の今頃には、トラフィックの大部分がAIボットからのものになる

ウェブサイトへの人間のトラフィックはすでに減少傾向にあり、2026年までにトラフィックの25%が従来の検索から離れると予測されています。現在、消費者が何を検索し、何をクリックし、何を読むかなど、すべての行動は消費者に依存しています。しかし、近い将来AIボットが消費者に代わって検索やコンテンツ配信のプロセスをより頻繁に代行するようになり、検索結果から得られる大量リンクの記事の読み取りや、クエリ結果の要約といった多くの流れをAIボットが担うようになるのです。

消費者はAIアシスタントの効率性に満足しており、これらのツールは使えば使うほど精度も高まっていきます。そのため、消費者はさらにAIに依存し、使用頻度とエンゲージメントが高まるサイクルが生まれます。この結果、ウェブサイトへのトラフィックの大部分が人間のユーザーではなく、AIボットが中心になる可能性が高まっています。

AIボットによるトラフィック増加がブランドに与える影響

従来、トラフィックが多ければコンバージョンも増えるという関係がありました。しかし、AIボットによるトラフィックはコンバージョンとしてカウントされません。AIアシスタントは、ユーザーのために上位のコンテンツを要約し、ウェブサイトへのクリック数を減少させるため、インプレッションとクリック数の減少が見込まれます。しかし、これは同時に新たなチャンスをもたらします。

トラフィック量の減少は、より情報に富んだクライアントベース、向上したクライアントロイヤルティ、そして長期的な顧客エンゲージメントとコンバージョンの向上によって相殺される可能性があります。結果として、AIボットによるトラフィックの増加が、より高品質で影響力の大きいインタラクションへと繋がり、ブランドにとっては新たな価値を生むことになるでしょう。

ボットトラフィックの増加に備える方法

AIボットの数と、それらがもたらすトラフィックの量は今後さらに増加していくことが予想されます。これに伴い、ブランドは検索コンバージョンのみならず、サイトのインフラストラクチャに与える影響についても注意深く考慮する必要があります。将来の負荷を軽減するために、今から取り組むべき戦略がいくつかあります。

  1. ボット管理戦略を策定する:許可するボットとブロックするボットについて、リーダーシップと情報に基づいた決定を行いましょう。たとえば、大規模言語モデル(LLM)をトレーニングするためにコンテンツを収集するAIボットを許可しない一方で、ライブ検索ボットによる新しいコンテンツ表示は許可するなど、戦略的に対応します。ボットを管理するための戦略を組織レベルで策定すれば、関連するコストをどう処理するかについての方針が決められます。
  2. ボットの動作を追跡するログファイルを使ってボットの動作を追跡し、どのボットがどのコンテンツにアクセスしているのかを把握します。この情報に基づき、どのボットがブランドにとって優先すべきかを特定します。
  3. コンテンツをAIモデルや検索インデックスにプッシュする:ブランドにとって重要なボットを特定したら、IndexNowやPush to Bingなどのツールを活用して、コンテンツを検索インデックスやAIモデルにプッシュします。これにより、ライブ検索でコンテンツが参照され、消費者向けに生成されたAIコンテンツに正確に表示されるようになります。
  4. AIボットトラフィックがウェブサイト指標に与える影響を経営陣と共有する:AIボットによるトラフィックがウェブサイトのパフォーマンスに与える影響について、経営陣と明確にコミュニケーションを取りましょう。

予測3 : 今後300日以内に汎用人工知能(AGI)が実現し、検索の変化が加速する

正確には今後300日以内にAGIが実現するわけではないかもしれませんが、AGIは遅かれ早かれ実現する見込みです。そのため、重要なのはその準備を始めることです。AGIが実現すると、検索における変化が飛躍的に加速し、AIが消費者の検索行動を支援する方法や、SEOがAIツールを活用する方法が一変します。

AGIとは何か?(また、AGIではないものとは?)

AGI(汎用人工知能)は、人間のような認知能力を持ち、平均的な人間が実行できるあらゆる知的タスクをこなせるとされています。学習だけでなく、推論や新しい状況への適応も可能です。しかし、AGIは超人のような存在ではありません。人工超知能(ASI)は、理論的には特定の分野で人間の専門家よりも優れた知能を持ちますが、現在はまだ実現していません。

そのため、AGIに対して悲観的に考えるのではなく、検索において深い専門知識を持つ担当者はこれをチャンスと捉えるべきです。ブランドはAGIを活用してさまざまなプロセスを自動化し、内部の効率性を高めるとともに、消費者に対してより良い体験を提供できるようになるのです。

AGIは検索にとって何を意味するのか?

現在のAIモデルからAGIへの進化により、検索の新たな可能性が広がります。たとえば、リアルタイムでウェブサイトをクロールできるインテリジェントクローラーや、消費者のニーズを事前に予測して、ユーザーが質問する前に回答を提供するAIアシスタントなどが登場することが考えられます。AGIは消費者のニーズを表明する前に予測するため、カスタマージャーニーはさらに予測的かつユーザーの先回りをするものになるでしょう。

AGIに向けてブランドを準備する方法

チャンスを捉えるマインドセットを持ちましょう。ブランドには、AGIが実現する未来で成功するために必要なすべての準備を整えることができます。AGIに備えて、積極的にその機会を活用することが重要です。

自動化に投資し、AI技術を活用する:自動化に投資することで、効率とスピードを高め、リソースを節約できます。データの追跡頻度を増やし、長期的な基盤を確立して、急速に加速する変化のサイクルに備えましょう。

・すべてのプラットフォームでインデックスを維持する:コンテンツをインデックスにプッシュし、AIアシスタントがそのコンテンツを参照できるようにすることが重要です。消費者の意図と行動に注力し、検索プラットフォーム全体でブランドがどのように表示されるかを把握しましょう。

・テクノロジースタックを検証しレベルアップする:AGIが求める要求に対応できるように、テクノロジースタックを見直し、アップグレードすることが必要です。

予測4 : 2026年までに、SEOチームは生成AI検索チームになる

SEOはこれまで、マーケティングやブランド認知という広範な機能の一部として機能してきました。しかし、検索がますます分散化し、多くのプレイヤーや消費者の選択肢が開かれるにつれて、「SEO」という言葉は、従来の検索エンジン最適化にとどまらず、AI検索プラットフォーム全体でのより幅広い消費者体験やジャーニーを含む用語へと進化していきます。

SEO専門家の役割の変化

SEOの需要はなくなることはありません。むしろ、SEOの仕事は増加する可能性があります。

SEOの仕事は従来、検索というブラックボックスを解明することに注力してきました。その側面は今後もほとんど変わらないでしょう。しかし、検索プラットフォームの多様化に伴い、SEOの専門家は、ユーザーの意図、ブランドの可視性、コンテンツの最適化に関する深い理解を、より多くのチャネルに適用しなければならなくなります。つまり、SEOの仕事は、従来の検索エンジンの最適化から、すべてのAIインターフェースにおけるシームレスなエクスペリエンスを確保することへと進化します。

それでも、従来の検索SEOとAI時代の検索で成功するために必要な知識は非常に似ています。AI検索での最適な測定方法やランク付け方法はまだ確立されていませんが、SEO専門家は、これまでの不確実で曖昧なアルゴリズムの中で多くの経験を積んできました(そして最終的に非常に正確に予測してきました)。最適化戦略を決定するためのテストと追跡の方法は、AI時代にも十分に役立つはずです。

SEOチームの準備方法

つまり、実践者は既存の技術スキルを活用し、ブランドリーダーはそれを積極的にサポートする必要があります。

・AIテクノロジーの理解を深める:検索組織内でAI技術の理解を高め、進化させることが重要です。

・技術的なSEO専門家の確保:技術的なSEOの専門家をチーム内に取り入れ、十分なリソースを確保しましょう。彼らは、検索エンジンとAIアシスタントの両方に最適化されたサイトを構築するために必要なスキルとノウハウを持っています。

・主要クエリのランキングに注力:トップテールやミッドテールのクエリで上位10位にランクインすることを重視し、ロングテールの明確なコンテンツインデックスを確立しましょう。

・AI駆動型検索プラットフォームで働くスキルを習得:SEOチームがAI技術を活用して作業できるよう、専門的な能力開発とAIテクノロジー教育に投資することが必要です。

検索の未来には柔軟性が必要

AI、中央集権からの分散化、そしてAGIの導入により、検索業界のルールは劇的に変化しています。検索の実践者やリーダーにとって、今こそ適応する時期です。変化を受け入れ、チームを準備し、常に最先端のテクノロジーに投資していきましょう。2026年までに、今日の準備が検索の未来でどれだけ成功するかを決定づけることになります。

seojapan

消耗品を自販機で販売します! 高頻度使用の消耗品は24時間調達できるミスミグループの間接材向け新サービス「MISUMI floow」とは

8ヶ月 ago

ミスミグループ本社は4月4日、高頻度で使用する消耗品は工場常設の自販機で販売するといった間接材のトータルコストダウンサービス「MISUMI floow(フロー)」の提供を開始した。​

「MISUMI floow」は、デジタル技術を活用し顧客の需要データに基づいて最適なチャネルで商品提供、工場における間接材調達の整流化を実現するトータルコストダウンサービスサービス。

高頻度で使用する消耗品は工場内に設置した自動販売機で販売、企業は24時間調達できるようにする。ミスミが自動補充をするため在庫管理は不要。

中頻度品は定期配送で発注作業を削減。低頻度の都度調達品はECサイトや専任窓口で見積もり対応する。​国内外3000社のブランドを取り扱い、間接材調達の最適化によってトータルコストダウンを支援する。

ミスミグループ本社が提供する、高頻度で使用する消耗品は工場常設の自販機で販売するといった間接材のトータルコストダウンサービス「MISUMI floow(フロー)」
「MISUMI floow」のサービスイメージ

先行してサービス展開している中国では、すでに約400工場に1500台以上の自販機を導入。日本国内では約50工場でテスト導入を経て、本格的な提供を開始する。

「MISUMI floow」は、煩雑な調達業務時間を7割削減し、間接材費用だけでなく作業負荷などトータルコスト削減に寄与するという。​

工場に常設する自販機 ミスミグループ本社が提供する、高頻度で使用する消耗品は工場常設の自販機で販売するといった間接材のトータルコストダウンサービス「MISUMI floow(フロー)」
工場に常設する自販機

なお、「MISUMI floow」は次の4つの「レス」を実現する。

  • 在庫レス:自販機内の未使用品はミスミの資産となり、顧客の在庫ゼロを実現
  • 発注レス:見積もりから発注、支払いまでの間接業務を削減
  • 管理レス:在庫データの可視化により、棚卸しや自社での在庫管理が不要
  • 不正レス:誰が、いつ、利用したかをデータで可視化し、経営の透明化に貢献
宮本和弥

「SHEIN」「Temu」などの中国発格安ECを利用したことがある人は23%。ソーシャルコマースの利用経験は16%

8ヶ月 ago

トランスコスモスが実施した「世界8都市オンラインショッピング利用調査2025」によると、国内で「SHEIN」や「Temu」といった中国初の格安ECを利用したことがあるユーザーの割合は23%だった。またソーシャルコマースの利用経験は16%だった。

「SHEIN」や「Temu」などの利用状況

東京では「よく利用している」(8%)「利用したことがある」(15%)で23%が利用経験があることがわかった。国外では利用経験が全体的に高く、ロンドン(70%)とロサンゼルス(63%)、バンコク(60%)の3都市が突出していた。東京とジャカルタでは利用率が低く3割程度にとどまった。

トランスコスモスの調査 「SHEIN」「Temu」などの中国発格安ECを利用したことがある人は23%。ソーシャルコマースの利用経験は16%
「SHEIN」や「Temu」などの利用状況は国外では利用経験は全体的に高かった

「SHEIN」や「Temu」などの印象について、総じて好印象を持たれている。8都市共通して「国内で買うよりも安価に購入できる」がトップ。価格以外では購入のしやすさもポジティブな印象を持たれている。

また、「人気ブランドの類似品を安価に購入できる」も一部都市では上位にあがっており、正規品ではないことを把握した上で購入している利用者が一定層いることも明らかになった。

トランスコスモスの調査 「SHEIN」「Temu」などの中国発格安ECを利用したことがある人は23%。ソーシャルコマースの利用経験は16%
「SHEIN」や「Temu」などの印象はポジティブな声が多い一方、東京とソウルは品質面の懸念などが目立つ

ポジティブな声も多い一方、東京とソウルでは他都市と比べて品質面への懸念が多い。「思ったほど商品の品質は高くなかった」や「正規品ではないものが届く」などの回答が多かった。

中国発の格安オンラインショッピングサイトが世界中で支持を広げている背景には、単なる価格の安さだけでなく、比較や購入のしやすさといったスピード感、ブランドにとらわれないコスパ重視の価値観の浸透がある。(トランスコスモス グローバル事業統括 アナリスト・萩原雅之氏)

ソーシャルコマースの利用状況

東京を除く7都市ではソーシャルコマースの利用経験が過半数を超えた。特にジャカルタ、上海、バンコク、ムンバイでは約8割と高い割合で利用されている。一方、東京の利用経験の調査結果は16%と他都市と比べて低い。

トランスコスモスの調査 「SHEIN」「Temu」などの中国発格安ECを利用したことがある人は23%。ソーシャルコマースの利用経験は16%
東京を除く7都市ではソーシャルコマースの利用経験が過半数を超えた

ソーシャルメディアの利用目的は、8都市共通で「買い物をするため」が上位にあがった。なかでもジャカルタ、上海、バンコクでは買い物目的でソーシャルメディアを利用する割合が高く、8割を超える。

ソーシャルコマースの主な購入先で、特に高い利用率だったのは「TikTok(抖音)」。なかでも上海とジャカルタ、バンコクでの利用率が高く7割を超えた。また、「Instagram」や「Facebook」などのプラットフォームもよく利用されているが、東京では「YouTube」が最も利用されている。

トランスコスモスの調査 「SHEIN」「Temu」などの中国発格安ECを利用したことがある人は23%。ソーシャルコマースの利用経験は16%
東京では「YouTube」が最もソーシャルコマースで利用されている

ソーシャルメディアが情報収集の手段から購入の場へと進化しており、特にアジアの新興国では、TikTokやInstagramが検索窓のように機能し、ECへのエントリーポイントとなっている。(萩原氏)

新しいテクノロジーのショッピング体験への関心

没入型AIを活用したショッピングなど、ショッピング体験を向上させる新しいテクノロジーへの関心についても調査した。全体的に関心が高く、なかでも上海とムンバイは回答率が高かった。一方、東京とロサンゼルスでは、新しいテクノロジーを試したくない利用者が一定層存在し、特に東京の関心は低く「試したいものはない」が53%となった。

トランスコスモスの調査 「SHEIN」「Temu」などの中国発格安ECを利用したことがある人は23%。ソーシャルコマースの利用経験は16%
東京では新しいテクノロジーによるショッピング体験への関心度は低かった

関心の高いテクノロジーとして、試着や試し置きが可能な没入型体験、画像認識やレコメンドなどAI活用、仮想空間でのウィンドーショッピングなどがあげられた。一部都市ではライブコマースや音声による対話型コマースなどへの需要が高い。ライブコマースは、ジャカルタと上海、対話型コマースはムンバイでは高い関心が寄せられ、各都市で関心度は5割を超えた。

没入型や対話型といったテクノロジーを通じた購買体験への関心も高まっており、消費者の購買行動は確実に次のフェーズへと移行しつつある。今回の調査結果は、グローバル消費者が安さだけでなく、即時性、手軽さ、体験価値といった複合的な要素を重視しながら、より多様な購買体験を求めていることを明らかにしている。(萩原氏)

調査概要

  • 調査手法:グローバルパネルを利用したオンライン調査、現地語によるアンケート
  • 調査地域:東京(日本)、上海(中国)、ソウル(韓国)、ムンバイ(インド)、バンコク(タイ)、ジャカルタ(インドネシア)、ロサンゼルス(米国)、ロンドン(英国)
  • 調査対象者:15歳から49歳の男女、直近1年以内のオンラインショッピング利用(購入)経験者
  • 回収サンプル:320サンプル × 8都市、計2560サンプル
  • 調査実施期間:2025年2月17日~2月25日
  • 調査機関:クロス・マーケティング
鳥栖 剛

物価上昇で9割が「家計の見直しの必要がある」。見直すのは「食費」が7割超、日用品・水道光熱費が4割超

8ヶ月 ago

家計簿アプリ「Zaim」などを展開するくらしカンパニーグループのくふう生活者総合研究所は4月3日、「家計の見直し・節約」についての調査結果を公表した。

約9割が「家計の見直しの必要がある」と回答。理由は「物価上昇」が約9割、「老後資金の不安」が約5割となった。「食費」を見直したい回答者が7割以上と圧倒的で、日用品、水道光熱費が4割超だった。そのほか、家計の見直しは「取りかかるまでのハードルの高さ」がネックになっていることがわかった。また約3割が「家計簿をつけたい」と回答。2割以上が「投資」「副業」への関心があった。

直近1年の家計や生活状況の変化

「悪くなっている」(24.8%)「どちらかというと悪くなっている」(36.7%)を合わせて61.5%が「悪くなっている」と回答した。

物価上昇で9割が「家計の見直しの必要がある」。見直すのは「食費」が7割超、日用品・水道光熱費が4割超
6割強が家計や生活状況の悪化を実感

「家計の見直し」の必要性

「とても感じる」(46.6%)「やや感じる」(42.4%)を合わせて89.0%が「家計の見直しの必要性を感じている」と答えた。

物価上昇で9割が「家計の見直しの必要がある」。見直すのは「食費」が7割超、日用品・水道光熱費が4割超
家計の見直しの必要性を感じる人が約9割に

家計を見直す理由は「物価の上昇が続いているから」が89.3%と断トツのトップ。「老後資金が不安だから」(55.3%)「貯蓄を増やしたいから」(40.1%)「生活に余裕がないから」(37.2%)と続いた。

物価上昇で9割が「家計の見直しの必要がある」。見直すのは「食費」が7割超、日用品・水道光熱費が4割超
家計見直しを必要と感じる理由1位は物価上昇

見直したい家計の項目

米や野菜など食料品の価格高騰が影響を与えていることから「食費」が72.8%と圧倒的に多かった。「日用品費」(42.9%)「水道光熱費」(42.1%)「通信費」(36.9%)と続いた。

物価上昇で9割が「家計の見直しの必要がある」。見直すのは「食費」が7割超、日用品・水道光熱費が4割超
見直し項目トップは「食費」、次いで「日用品」「水道光熱費」

家計の見直しの課題

「何から始めたらよいかわからない」(38.3%)「面倒くさい・後回しにしてしまう」(38.0%)がそれぞれ約4割。また「計画を実行できない・続かない」(30.8%)「現実を直視したくない」(27.7%)が約3割と、取りかかる段階でのハードルの高さを感じている回答者が多い。さらに「今以上に切り詰める余裕がない」(30.2%)と限界を感じている回答者は約3割、「家族の協力が得られない」(13.3%)といった声もあがった。

物価上昇で9割が「家計の見直しの必要がある」。見直すのは「食費」が7割超、日用品・水道光熱費が4割超
見直し課題には「何から始めたらよいかわからない」「面倒くさい・後回しにしてしまう」がツートップ

家計やお金に関することでやりたいこと・挑戦したいこと

「家計簿をつける」が29.1%で最多だった。「ライフプランを立てる」(24.8%)「家族で家計状況の共有」(19.1%)も上位にあがり、お金にしっかり向き合いたいという気持ちを持つ回答者が多いようだ。また「投資」(24.9%)や「副業・複業」(24.8%)など、資産運用や収入を増やすことにも関心が高い。

物価上昇で9割が「家計の見直しの必要がある」。見直すのは「食費」が7割超、日用品・水道光熱費が4割超
「家計簿をつけたい」人が3割弱

調査概要

  • 調査テーマ:「家計の見直し・節約」について
  • 調査エリア:全国
  • 調査対象者:家計簿サービス「Zaim」ユーザー、チラシ・買い物情報サービス「トクバイ」ユーザー合計6163名
  • 調査期間:2025年3月19日(水)〜3月21日(金)
  • 調査方法:インターネットによる調査
鳥栖 剛

シモジマがECサイト「シモジマオンラインショップ」にEC商品検索・サイト内検索エンジン「ZETA SEARCH」を導入

8ヶ月 ago

シモジマは、ECサイト「シモジマオンラインショップ」にEC商品検索・サイト内検索エンジン「ZETA SEARCH」を導入した。

絞り込み条件の切り替え、関連する特集記事を掲出する機能を実装

「シモジマオンラインショップ」では、包装用品、店舗用品、食品包材、梱包資材、紙袋、ポリ袋、OPP袋、リボン、シール、箱、販促用品など、100万点以上の専門的な商品を取り扱っている。

ZETA ZETA SEARCH シモジマ シモジマオンラインショップ
シモジマオンラインショップ(画像はサイトからキャプチャ)

検索中の商品の特性にあわせて絞り込み条件の項目が切り替わる機能を実装した。たとえば、「手提げ紙袋」の絞り込み条件なら「幅」「マチ」、「リボン」であれば「用途」「色」「巾」などに切り替わる。ユーザーがより少ないアクションでイメージと近しい商品を見つけやすくすることで、サイトのUX向上につなげる。

ZETA ZETA SEARCH シモジマ シモジマオンラインショップ 絞り込み条件の切り替えでUX向上につなげる
絞り込み条件の切り替えでUX向上につなげる

検索窓で入力したキーワードに関連する特集記事を、検索結果一覧ページ上部に掲出する機能を実装した。ユーザーが商品に関する情報を収集しやすくすることで、新たな商品との出会いやクロスセルの促進をめざす。

ZETA ZETA SEARCH シモジマ シモジマオンラインショップ 特集記事の掲出で商品選びをサポート
特集記事の掲出で商品選びをサポート

「ZETA SEARCH」とは

ECサイト内の検索における「絞り込み」「並び替え」の設定の自由度・柔軟性を追求したEC商品検索・サイト内検索エンジン。

キーワード入力時のサジェスト機能、もしかして検索、ドリルダウン式の絞り込み、事前に検索結果の該当数を表示するファセットカウントなど、多数の検索機能を有している。

JRE MALL ZETA SEARCH サイト内検索 EC商品検索
「ZETA SEARCH」の基本機能(画像は「ZETA CX」サイトからキャプチャ)
藤田遥

小さな違和感を見逃さない! 「今までなかった」を徹底的に掘り下げよう【ネッ担まとめ】 | 新・ネットショップ担当者が知っておくべきニュースのまとめ

8ヶ月 ago
ネットショップ担当者が読んでおくべき2025年3月22日~4月4日のニュース

時代は少しずつ、しかし着実に変化しています。今まで売れていた商品がパタリと止まることもあるはずです。そしてそれは競合の問題だけではなく、市場(顧客)の購買への意識とズレが生じた表れかもしれません。

人には商品を買う「理由」がある

「売れなくなった」を売れるに変える最強思考の型 | 東洋経済ONLINE
https://toyokeizai.net/articles/-/842496

「インサイト」とは、「人を動かす隠れたホンネ」を指します。表面に現れたデータや事実だけに頼るのではなく、その奥にある、まだ言語化されていない人々のホンネや本当の欲求を捉えることで、他にはないアイデアや解決策を生み出すことができるのです。

(中略)

成長に伴い名前が変わる出世魚のように、自分の感覚で捉えた小さな違和感を、思考の順番に沿って掘り下げ、最終的に「人を動かす隠れたホンネ」、つまり「インサイト」へと育てていきます。

この「小さな違和感」というのがマーケティングを転換する上で大切ですよね。

特に、「お客さまが今までに聞いたことがない問い合わせをしてきた」「お客さまが今までになかった商品の購買をしてきた」というような、「今までになかった」系の違和感に気づくことがインサイトを探すための第一歩になります。

「何故今までになかったことが起こっているのだろう」と小さな違和感を見逃さず、徹底的に掘り下げることが重要です。

そこで考えられたのが、ミルクと一緒に食べるものを、ミルクを欲しがらせるために広告の中で使うというアイデアでした。こうして実際に生み出されたのが、「ミルクある?(got milk?)」という広告です。チョコレートチップ・クッキーを食べるシーンでミルクがない事にショックをうけるTVCMなど、組み合わせる食べ物はあるけれど、ミルクがないことで、食べ物もその時間も台無しになってしまうという内容を描いていきました。

この「ミルクある?(got milk?)」って言葉、いいですね。

お客さまには商品を購入する目的や理由があります。もちろん何となく買っているケースもありますが、マーケティングとしては、あくまで目的や理由を探していきたいところです。

そして、その目的や理由は日々小さく、でも着実に変化しています。問題はここをキャッチできるか。「売れなくなった」もあれば、「売れるようになる」のチャンスもあるはずです。時間は常に流れているのですから。

ちなみに私は、カップ焼きそばと一緒にミルク(牛乳)を飲むのが好きです。

要チェック記事

古墳墓のECサイト「古墳の窓口」がカード分割決済を導入!終活の一環としての古墳墓購入をサポート 株式会社前方後円墳(代表 竹田恒泰) | 前方後円墳
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000021.000146985.html

古墳を新しい(新しいのか?)お墓として売るなんて頭良すぎるでしょ。カード分割決済導入とのことです。

「お客さまを起点に考え、信頼を構築していく」という考え方が成長の源泉。「Amazon Pay」新責任者の長尾氏に聞く | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/13246

「Amazon Pay」についてというよりも、長尾氏の生き方やAmazonの思想を知ることができる良インタビューです。

選ばれるお店は知っている。お客さんに刺さる「商品名」の考え方 | コマースデザイン
https://www.commerce-design.net/blog-staff/250324-naming/

検索結果からクリックされて、それがECサイトの「1セッション」になるんですよね。クリックされる前をイメージすることが大切。

ファミマ、新ECサイト滑り出し好調 “二度目の正直”成功したワケ | ITmedia ビジネスオンライン
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2503/23/news080.html

こういった大手の場合、ECの目的をどこに置くかが大切だと思うのだけれど、ひとまず記事で紹介されているアイテムは欲しい。特にファミチキ寝袋。

マーケター100人の本音を徹底調査!マーケターが今、可能性を感じているSNSは? | wellma
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000155245.html

弊社の顧問先も「YouTubeから集客したお客さまと、Instagramから集客したお客さまの客層はかなり違う」と言っていた。YouTube経由の方が「アツい」と。

マスメディアから「コミュニティメディア」へ。今、ラジオは全盛期 | 電通報
https://dentsu-ho.com/articles/9226

実は私もラジオやっているんですよね(笑)。世の中、自動車移動の人って想像以上に多いので、動画メディアとともに音声メディアも成長するだろうなと。

今週の名言

情報強者になるためのたった一つの戦術(新入社員を指導するならこれだけ) | note | ふじはらよしあき/経営・戦略アドバイザー
https://note.com/yfujihara/n/n902fc1a624b7

新人に「一つだけ教える」としたら「挨拶をしなさい」と言いたい。なぜなら、これほどまでにシンプルで、しかも情報や人間関係の流れを変える威力を持った行為は他にないからです。最初は恥ずかしく感じるかもしれませんが、いざ実践してみると、周囲の反応がポジティブに変わっていくのが分かるはずです。

いや、もう、本当に挨拶は大事。

私自身、昔からけっこう斜に構えるところがあったので、長年挨拶の本質に気づけませんでした。子どものころから、親や先生に「挨拶は大事」って何度も言われてきたのにね。

知人の会社では、会議で議論が白熱した翌朝、お互いが目を見て挨拶を交わさなければ「減点」というルールを敷いています。それは仕事上での衝突はあっても「あなたは敵ではない」と伝えるため。このルールによって、変なわだかまりを残さない、翌朝には仕切っているんですよね。

本当に挨拶は大事なんです。

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石田 麻琴

楽天が法人向けECに参入した理由とは? グループシナジーで周知拡大+差別化する「ビジネス割」の戦略 | 通販新聞ダイジェスト

8ヶ月 ago
楽天グループは法人を対象とした「ビジネス割」の実証を開始。法人アカウントの導入はせず、会社情報を登録すると割引などが受けられるサービスとしている。中小規模の事業者の利用拡大を見込む

楽天グループでは、昨年12月より仮想モール「楽天市場」において、ビジネス向けメンバープログラム「ビジネス割」を開始した。現在は半年間の実証期間中だが、新規顧客獲得などに成果が出ているという。グループとしてのシナジーを武器として、中小規模の事業者を対象に利用を促進したい考えだ。

事業者向けECのニーズを満たす「ビジネス割」

業務用品の買い物で役立つ情報を提供

ビジネス割は、コピー用紙や文房具、OA機器、OAサプライなどといった事務用品から、現場で使える工具や部品まで、業務用品の買い物において、特典や役立つ情報などを提供するというもの。職場情報を登録すると、約1日でビジネス割のメンバーシップページが閲覧可能となる

楽天グループが「楽天市場」で提供するビジネス向けメンバープログラム「ビジネス割」
楽天グループが「楽天市場」で提供するビジネス向けメンバープログラム「ビジネス割」

マーケットプレイス事業アカウントイノベーションオフィス(AIO)事業企画課の加藤雅人マネージャーは「アスクルやアマゾンビジネスなど、事業者向けECの需要が高まるなかで、『楽天市場』としては対応できていないのが従来からの課題だった」と明かす。

ただ、あくまで個人向けである「楽天市場」において、新たに法人用アカウントの仕組みを導入するのはハードルが高く、さらに「楽天市場」の強みである「楽天ポイント」も消費者向けに付与しているもので、法人が利用する場合は扱いが問題になってくる。こういったハードルがあるため、サービスの立ち上げが思うように進んでいなかったという。

法人向けビジネス需要高まる

しかし、近年はAIOのクライアントであるメーカーから、「法人向け販促を強化したい」「法人向けに広告を打ちたい」という声が増加。また、「楽天市場」のなかには、法人利用が多い出店店舗も少なくなく、たとえば、あるチョコレートを販売する店舗は、売り上げのうち30~40%は法人からの注文となっている。こうした店舗から「法人向けビジネスに特化した場を設けてほしい」という要望も出ていた

会社情報を登録させる仕組み

同社では「楽天市場」出店店舗のほか、「楽天市場」とは無関係な企業の総務などへのヒアリングも実施。「『楽天市場は個人として使い慣れているので、法人向けのサービスがあれば使うことを検討したい』という声が多かったので、実験的に“場”を設けてみることにした」(加藤マネージャー)。

まずは法人アカウントの導入はせず、会社情報を登録すると割引などが受けられるサービスとしている。

ターゲットは中小規模の事業者

ただ、法人アカウントではなく、稟議の機能なども設けていないことから、購買管理の厳しい大企業の利用は想定していない。ある程度融通がきく、中小企業や個人事業主がターゲットだ。

「ビジネス割」のターゲット(画像は「楽天市場」の「ビジネス割」ページから編集部が追加)
「ビジネス割」のターゲット(画像は「楽天市場」の「ビジネス割」ページから編集部が追加)

加藤マネージャーは「『楽天市場』が法人向けEC市場においてどれだけ戦えるのか。あるいはどういう人なら『楽天市場』で買ってくれるのかが明確に見えてないので、そこを明らかにしていくのが実証実験の目的。どのくらいの規模の、どういった業種の事業者が使ってくれるのかを明確にすれば、楽天としての勝ち筋なども見えてくる」と話す。

大都など4店舗で「ビジネス割」開始

現段階でビジネス割の対象となる「楽天市場」店舗は、オフィス用品・サプライ用品は、楽天が運営する「Business Supply Shop」、衛生・福祉用品は楽天運営の「Pro Lab. & Healthcare Shop」、オフィス家具はネットフォース運営の「LOOKIT」、工具・建設用品は、大都が運営する「DIY FACTORY」の4つとなる。

「ビジネス割」の対象店舗(画像は「楽天市場」の「ビジネス割」ページから編集部が追加)
「ビジネス割」の対象店舗(画像は「楽天市場」の「ビジネス割」ページから編集部が追加)

このうち、2つは楽天の直営だ。「やはり(直営店は)こちらとしてもお願いしやすい部分があるので、実験期間中はそういう店舗があった方がいいと判断した」(加藤マネージャー)。

とはいえ、商品のバリエーションや価格帯、配送スピードなどを考慮すると、直営店だけではわからない部分も多いことから、請求書払いに対応した「LOOKIT」と「DIY FACTORY」も対象とした。ただ、家電がカバーできていないほか、飲食品なども商品数が足りないことから、実験期間中に対象店舗を増やしたい考えだ。

特に「DIY FACTORY」の大都とは「法人向けECについて、5年ほど前から話をしていた」(同)。同店は工具や塗料、建材などを扱っていることから、法人からの注文はもともと多いが、「ビジネス割」が始まってからの3か月で、新規顧客の割合がかなり増えており「これまでリーチできなかった顧客が獲得できているのではないか」(同)という。

グループ内の連携で周知拡大

「ビジネス割」で法人向けECに参入した楽天グループ。新規顧客獲得などに成果が出はじめているとはいえ、課題となってくるのはサービスの周知だ。

まず、進めているのが他のグループサービスとの連携。マーケットプレイス事業アカウントイノベーションオフィス(AIO)事業企画課の加藤雅人マネージャーは「たとえば、『楽天トラベル』には『総合出張管理サービスRacco』がある。これはいうなれば『B2B版楽天トラベル』なので、『出張は楽天トラベル、会社の備品も楽天市場』というような環境が作れれば」と話す。

楽天グループ マーケットプレイス事業アカウントイノベーションオフィス(AIO)事業企画課 加藤雅人マネージャー
楽天グループ マーケットプレイス事業アカウントイノベーションオフィス(AIO)事業企画課 加藤雅人マネージャー

楽天トラベルだけではなく、楽天銀行の口座を保有している個人事業主や、「楽天ペイ」決済端末を導入している飲食店にメールを送るなど、グループと互恵関係がある企業のなかでのターゲット層にリーチする。

外部企業とも連携

もう一つ検討しているのは、エアコンクリーニングやハウスクリーニングといった企業との連携。個人事業主や小規模事業者の顧客が多いことから、こうした外部企業とも連携し、ビジネス割を周知していく。

「法人版SPU」で差別化

強い競合サービスと比べるとビハインド

加藤マネージャーは実証実験の成果について、「メンバーの登録数は、目標に若干届いていないが、購買金額は高いので、メンバーを増やせばライフタイムバリュー(LTV)は期待できるのではないか。また、店舗に送客するなかでの新規率も思ったより高い数字が出ている」と評価する。

ただ、先行する法人向けECはすでに多くの顧客企業を抱え、サービスも充実している。たとえばアスクルの場合は、2000円以上の注文で送料が無料であり、最短当日に届く。1400万点以上の商材を備え、365日以内であれば返品・交換が可能となっている。

「楽天市場」の場合、「3980円以上の注文で送料無料」という「送料無料ライン」には多くの店舗が参加しており、さらには出荷代行サービスとして「楽天スーパーロジスティクス」を手がけてはいるものの、安い送料や短納期、返品・交換などのサービスはあくまで店舗に付随するもの。「楽天市場」でも「最強翌日配送」といった仕組みを整えてはいるが、たとえば「アスクル配送スピードを競う」となると、現時点では分が悪いのも事実だ。

楽天の武器はグループシナジー

では、楽天が手がける法人向けECの強みはどこになるのか。加藤マネージャーは「グループが手がけるサービスの多さだろう。同じ会社でグループのいろいろなサービスを使ってもらい、『法人版SPU』ができることだ」と話す。

たとえば、楽天モバイルで法人契約しているアカウントが「楽天市場」で商品を購入すれば、ポイントはプラス4倍になる。さらには、「楽天市場」で開催される「楽天スーパーセール」や「お買い物マラソン」との連携、AIOのクライアントであるメーカーとの連動、法人への販促を強化するなど、グループシナジーを武器に競合と差別化していきたい構えだ。

もちろん、価格も重要にはなってくるが、法人向け販売の場合は「多少高くでもいつも買っているところで買う」という傾向も強い。「顧客基盤を作るためのトラフィックビルダーが大事になってくる。つまり『何でも品揃えする』というよりも、高頻度で購入されるアイテムを、できる限り安価で買いやすい形で提供することで囲い込む。そうなれば、『ついで買い』も誘発できるのではないか」(加藤マネージャー)。

「ビジネス割」で展開する商品の一例(画像は「楽天市場」の「ビジネス割」ページから編集部が追加)
「ビジネス割」で展開する商品の一例(画像は「楽天市場」の「ビジネス割」ページから編集部が追加)

商品点数は10万点を見込む

商品数は約6万点。実証期間中には10万点まで増やしたい考えだ。加藤マネージャーは「業務用エアコンの設置や厨房機器の設置など、役務を手がける店舗も『楽天市場』にはあるので、そういったサービスを提供することで競合と差別化していきたい」と展望を語る。

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通販新聞

自転車のあさひ、EC売上は23%増の127億円でEC化率16%。受け取り拠点拡大のOMO戦略が寄与

8ヶ月 ago

「サイクルベースあさひ」を運営するあさひの2025年2月期におけるEC売上高は、前期比23.1%増の127億500万で、EC化率は同2.4ポイント増の16%だった。EC商品の受け取り拠点にもなる実店舗の拡大といったOMO戦略がEC化率の拡大などに寄与した。

直近3期のEC売上高の年平均成長率は23.7%で、店舗受け取りなどのOMO施策やCRM強化が奏功したとしている。

自転車のあさひ、EC売上は23%増の127億円でEC化率16%。受け取り拠点拡大のOMO戦略が寄与
直近3期のEC売上高の年平均成長率は23.7%(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)
2025年2月期はWebサイトの内容充実や売れ筋商材の確保などで売上拡大につなげた。EC利用率が高いエリアへの出店を加速し、EC受け取り拠点を拡大するといったOMO展開で収益性を改善。OMO強化でEC化率が上昇し生産性も改善したという。

2025年2月期の新規出店は12店で期末の店舗数は545店。EC販売の受け取り拠点・修理修繕の受け皿となる都市型店舗の出店が進み、「認知工場→客数増加→収益向上」の流れが確率してきたという。

自転車のあさひ、EC売上は23%増の127億円でEC化率16%。受け取り拠点拡大のOMO戦略が寄与
OMO推進としてEC利用率が高いエリアへの出店を加速(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

2026年2月期のEC売上高は前期比11%増の141億円をめざす。EC化率は同0.9ポイント増の16.9%を目標とした。利便性の高いWEBサイト構築や店舗・物流網を活用したOMO戦略をさらに推進し成長につなげる。全体としてもOMOとCRMの連携を強化し、リユース、パーツ、修理・メンテナンスの販売増加をめざす。

鳥栖 剛

経済産業省、トランプ政権の相互関税で「米国関税対策本部」を設置。特別相談窓口、資金繰り支援などを実施へ

8ヶ月 ago

経済産業省は4月3日、米国トランプ政権による自動車に対する追加関税措置の発効と相互関税の発表を受け、「米国関税対策本部」を設置、短期の対応として、特別相談窓口の設置、資金繰り支援を実施すると発表した。

経産省は関税措置による国内産業への影響を精査し、必要な支援に万全を期すとしており、4月3日から関税措置の対象から日本の除外を求める対米交渉を進めている。

あわせて関税措置から国内の産業・雇用を守り抜くため影響を評価し、必要となる国内対策を速やかに実行するため「米国関税対策本部」を経産省内に設置した。

短期対応として資金調達など4つの支援実施

自動車に対する追加関税措置が実際に発効したこと、日本から輸出する広範囲の品目に追加関税を課す相互関税が実施されたことを受け、短期の対応として次の4つの支援を実施する。

  • 特別相談窓口の設置
  • セーフティネット貸付の要件緩和
  • 官民金融機関への相談呼びかけ
  • 日本貿易保険(NEXI)による資金調達等の支援

特別相談窓口の設置

各地方経済産業局と全国の政府系金融機関、商工団体、中小企業基盤整備機構などに、自動車部品メーカーなど追加関税措置の影響が懸念される企業からのさまざまな相談を受け付ける窓口として、「米国自動車関税措置等に伴う特別相談窓口」を設置。全国約1000か所に設置する。

セーフティネット貸付の要件緩和

日本政策金融公庫などが実施するセーフティネット貸付の要件を緩和。支援対象を米国の自動車等に対する追加関税措置の影響を受ける事業者にまで拡大する。

官民金融機関への相談呼びかけ

金融庁・財務省らと官民金融機関に対し、資金繰りなどに重大な支障を来すことがないよう、影響を受ける中小企業の相談に丁寧に対応するよう要請する。

日本貿易保険(NEXI)による資金調達などの支援

日本貿易保険(NEXI)は、輸入関税措置により影響を受ける北米などで事業活動を手がける日系子会社の資金ニーズに応えるため、運転資金の調達を支援する。また、関税措置に起因した損失を、輸出保険のカバー対象にする。

鳥栖 剛

浮気されてしまうワケとは? ブランドスイッチの理由、サプリやスキンケアは「ブランドへの飽き」

8ヶ月 ago

フュージョンとネオマーケティングが実施した「浮気されてしまうブランド」をテーマにした調査によると、ブランドを乗り換える理由は、サプリメントやスキンケアでは「ブランドへの飽き」が上位にあがった。

調査期間は2月12日~13日。調査対象は全国の18歳以上の男女1000人。

購入・契約している商品の継続意向について聞いたところ、最も多かったのは「キャッシュレス決済」で95.2%。続いて「クレジットカード」が93.0%、「動画ストリーミングサービス」が88.9%だった。

その一方、「サプリメント(プロテイン含む)」「スキンケア」「自動車」などの有形商材の継続意向は比較的低い結果に。サプリメントは82.9%、スキンケアは81.1%だった。

自身で選んで購入・契約している商品の、今後の継続意向
自身で選んで購入・契約している商品の、今後の継続意向

継続意向について「今後は違うブランドを購入・契約したい」と答えた回答者の理由のうち、「飽きたから」はサプリメントで27.4%、スキンケアで19.1%だった。また、「費用対効果が悪いから」はサプリメントで24.2%、スキンケアで20.2%。

フュージョンとネオマーケティングは「サプリメントやスキンケアは効果が出るまでに時間がかかることが多い。『新しいものを試してみたい』という欲求が生じやすくなり、ブランドスイッチにつながる可能性がある」と考察している。

今後ブランドスイッチしたい理由(左からサプリメント、スキンケア)
今後ブランドスイッチしたい理由(左からサプリメント、スキンケア)

サプリメントとスキンケアで「今後も同じブランドを購入・契約したい」と答えた回答者にその理由を聞いたところ、サプリメントでは「購入しやすいから(手に入れやすい)」が最も多く40.3%だった。次点は「品質が良いから」で37.3%だった。

スキンケアでは「品質が良いから」が最多の47.3%で、「購入しやすいから(手に入れやすい)」が36.4%で続いた。

フュージョンとネオマーケティングは「商品の買い足しが定期的に発生し、ファッションや化粧品よりもルーティン的に利用される商材。面倒な手間をかけずにスムーズに手に入ることが重要視されている」と見ている。

今後も同じブランドを購入・契約したい理由(左からサプリメント、スキンケア)
今後も同じブランドを購入・契約したい理由(左からサプリメント、スキンケア)

各商品カテゴリーにおける購入・契約者特典の活用状況は、サプリメントは「活用している」が48.3%、スキンケアは「活用している」が39.4%だった。

購入・契約者特典の活用状況
購入・契約者特典の活用状況

「購入・契約者特典」の満足度は、サプリメントでは「満足している」「やや満足している」を合わせると81.2%だった。スキンケアでは「満足している」「やや満足している」の合計は79.1%だった。

「購入・契約者特典」の満足度
「購入・契約者特典」の満足度

ブランドからどのような対応を受けると「大切にされている」と感じるか聞いたところ、サプリメント、スキンケアともに「記念日や特別な日のお祝い」が最も多かった。サプリメントでは28.2%、スキンケアでは29.7%だった。

2番目に多かったのは、サプリメントは「困った時の迅速な対応」で26.2%。スキンケアでは「特別感のあるサービスや体験」で22.5%だった。

「大切にされている」と感じるブランドの対応(左からスキンケア、サプリメント)
「大切にされている」と感じるブランドの対応(左からスキンケア、サプリメント)

購入・契約後のサポートへの満足度は、スキンケアでは「満足している」「やや満足している」と答えた回答者が合わせて80.1%だった。サプリメントでは「満足している」「やや満足している」の合計は78.2%だった。

購入・契約後のサポートへの満足度
購入・契約後のサポートへの満足度

調査概要

  • 調査方法:Webアンケート方式
  • 調査期間:2025年2月12日~13日
  • 調査対象:全国の18歳以上の男女1000人
大嶋 喜子

「尊厳を傷つけられることなく健康で安全に働ける環境を確保することが責務」。アダストリアが「カスタマーハラスメントに対する基本方針」を策定

8ヶ月 ago

アダストリアは「カスタマーハラスメントに対する基本方針」を制定した。従業員1人ひとりが尊厳を傷つけられることなく、健康で安全に働ける環境を確保することを自社の責務としている。顧客と従業員の安心・安全の確保と信頼関係を構築しながら、より良い商品やサービスの提供をめざす。

アダストリアはカスタマーハラスメントに対する企業姿勢を明らかにしている
アダストリアはカスタマーハラスメントに対する企業姿勢を明らかにしている

アダストリアはカスタマーハラスメントへの対応として、顧客、従業員、アダストリアに対する暴力、暴言、誹謗中傷などの事実または行為を確認した場合、アダストリアが提供するサービスの利用を断る、または提供中のサービスを中止することがある――と自社の姿勢を発表している。

カスタマーハラスメントの対象となる顧客の行為の例は次の通り。

  • 暴力、暴言、脅迫、恐喝または威圧的な発言や行為
  • 侮辱、人格を否定するような発言や行為
  • 合理的な範囲を超えた要求や、社会通念上過剰なサービスの提供の要求
  • 長時間にわたる同じ内容の𠮟責(しっせき)などを繰り返す行為
  • かつて行われた行為や発言を繰り返す行為
  • ほかの顧客に著しい迷惑を及ぼす行為
  • 虚偽の情報提供
  • SNSやインターネット上における誹謗中傷行為
  • 法令の規定、公の秩序もしくは、善良の風俗に反する行為
  • 根拠や確証のない内容の流布(るふ)、偽計、威力により、アダストリアの信用を毀損(きそん)または業務を妨害する行為
  • その他、上記に相当する発言や行為

アダストリアは企業の姿勢を「顧客からの意見は、全社での継続的な改善活動に役立て、顧客へのサービスと品質の向上に取り組む」「顧客からの商品やサービスに対する不満や指摘を真摯(しんし)に受け止め、社内で共有し原因の調査を行い、再発防止に努める」「顧客と従業員の安心・安全を確保することを最優先に、ほかの顧客や従業員の安全を脅かす行為には毅然(きぜん)とした姿勢で対応し、状況に応じ各専門機関との連携体制をとり組織的対応を行う」と掲げている。

アダストリアは自社の方針に基づき、企業としての姿勢を明確にする。カスタマーハラスメント防止に関する啓発や教育なども行う。

大嶋 喜子

企業PR動画制作の費用相場は?10万円〜200万円の予算別事例と費用を抑える3つの方法

8ヶ月 ago

企業PR動画制作の費用相場は?10万円〜200万円の予算別事例と費用を抑える3つの方法

視覚と聴覚に訴えかける動画コンテンツは、文字や静止画では伝えきれない企業の魅力や製品・サービスの価値を、わずか数分で効果的に伝えることができます。しかし、多くの企業担当者が頭を悩ませるのが「どのくらいの予算が必要なのか」という点です。

本記事では、企業PR動画の種類や長さ別の費用相場、制作工程ごとの費用内訳、予算別の制作事例などを詳しく解説します。また、限られた予算でも効果的な動画を制作するためのコスト削減方法についても紹介します。

企業PR動画の制作費用相場は10万円から200万円と幅広い

企業PR動画とは、企業が自社のブランド、製品、サービス、理念、または活動を効果的に伝えるために制作する映像コンテンツのことです。主にマーケティングやブランディングを目的としており、視覚と聴覚を活用して情報を分かりやすく、かつ印象的に伝える手段として広く利用されています。

企業PR動画の制作費用は、動画の種類や長さ、内容の複雑さ、使用する技術や機材など、様々な要素が費用に影響するため、10万円から200万円程度と、実に幅広い価格帯です。

高品質な動画は制作コストが高くなる傾向がありますが、企業のブランド価値や視聴者に与える印象を大きく左右するため、過度に予算を削るのは避けた方が良いでしょう。

企業PR動画の長さ別費用相場を種類別に紹介

企業PR動画の費用は、動画の長さによっても大きく変動します。ここでは、長さ別の費用相場を紹介します。

これらの費用相場はあくまでも目安であり、企業の具体的なニーズや予算に応じて調整されることが多いです。

<関連記事>
動画制作・映像制作の費用相場・料金とは?動画の長さ別の費用から費用を抑えるポイントまで解説

企業PR動画の種類別に費用相場と制作事例を紹介

企業PR動画の制作費用は、動画の種類や長さ、内容によって大きく変動します。10万円程度の簡易的なものから、200万円を超える大規模なものまで様々です。

ここでは、会社紹介、商品紹介、ブランディングなど、種類別の費用相場を解説します。

会社紹介動画の費用相場は50万〜200万円

動画の種類 アニメーション
長さ・尺 15秒〜30秒
費用レンジ 50〜99万円

参考:会社紹介動画「Braze株式会社」
会社紹介動画は、企業の事業内容や企業理念、従業員の様子などを映像で紹介する動画です。視聴者に企業の魅力を伝え、認知度向上やブランディング、採用活動などの効果が期待できます。

会社紹介動画の制作費用は、企画構成、撮影、編集、CGやアニメーションの有無、ナレーションの有無など、様々な要素によって大きく変動しますが、一般的な相場としては50万円から200万円程度を見込んでおくと良いでしょう。

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会社紹介動画の事例12選!制作ポイントやメリット、費用相場について解説

商品・サービス紹介動画の費用相場は30万〜100万円

動画の種類 アニメーション・実写
長さ・尺 60〜120秒
費用レンジ 50〜99万円

参考:商品紹介動画「レキシリス.ブラック スカルプシャンプー」
商品・サービス紹介動画の制作費用は、30万円から100万円程度が相場です。この価格帯は、動画の長さや構成、撮影の規模、編集の複雑さなどによって変動します。

比較的シンプルな紹介動画であれば30万円程度で制作可能ですが、より高品質な映像や特殊な撮影、アニメーションなどを盛り込む場合は、100万円程度になることもあります。

<関連記事>
商品紹介動画とは?作り方から面白い・かっこいい事例17選まで紹介

ブランディング動画の費用相場は10万〜300万円程度

動画の種類 実写
長さ・尺 60〜120秒
費用レンジ 100~299万

参考:展示会動画・コンセプトムービー 「アルガルバイオ」

ブランディング動画の制作費用は、10万円から300万円程度と、非常に幅広いです。これは、ブランディング動画の目的や表現方法が多岐にわたるためです。

低予算の場合は、既存の素材を活用したり、シンプルな構成にしたりすることで費用を抑えられます。一方、企業のイメージを深く印象づけるために、高品質な映像や音楽、ストーリー性を重視する場合は、費用が高額になる傾向があります。

特に、著名なクリエイターを起用したり、大規模な撮影を行ったりする場合は、300万円を超えることも珍しくありません。

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ブランディング動画とは?作り方からメリット、活用シーン、事例まで解説

広報・IR動画の費用相場は50万〜150万円

動画の種類 アニメーション・実写
長さ・尺 120秒〜
費用レンジ 100~299万

参考:IR動画 キーコーヒー株式会社

広報・IR動画の制作費用は、50万円から150万円程度が相場です。いずれも企業の情報を正確かつ魅力的に伝える必要があるため、比較的費用が高くなる傾向にあります。

特にIR動画では、企業の業績や将来像を明確に示すため、グラフや図表、アニメーションなどを効果的に用いるケースが多く、広報動画においては、企業の活動や社会貢献を視覚的に伝え、視聴者の共感を呼ぶために、撮影や編集に高度な技術や工夫が求めらます。

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【広報動画成功事例13選】広報動画の効果的な活用法とは?メリットと制作する際のポイントについて解説
IR(株主総会・決算説明会)動画とは?制作のメリットやコツ、事例を紹介

h3 採用動画の費用相場は50万〜200万円程度

動画の種類 実写
長さ・尺 30〜60秒
費用レンジ 100~299万

参考:Youtube広告動画・採用動画「アンリツ株式会社」

採用動画の制作費用は、50万円から200万円程度が一般的な相場です。

インタビュー中心のシンプルな構成であれば比較的安価に制作できますが、社員の日常や仕事風景を密着取材し、企業の魅力をドラマチックに表現するような場合は、撮影期間や編集作業が長くなるため、費用が高額になる傾向があります。

採用動画は、企業のブランドイメージや求める人物像を明確に伝える重要なツールであるため、費用対効果を考慮しながら、最適な制作プランを選択することが重要です。

<関連記事>
採用動画の最新の事例11選!映像制作方法やポイント、流れについても紹介

企業PR動画の制作工程別の費用相

企業PR動画の制作費用は、工程ごとに分かれています。それぞれの工程でどれくらいの費用がかかるのか、詳しく見ていきましょう。(これらの費用相場はあくまでも目安です。)

<関連記事>
動画制作の流れとは?初心者でも分かる作成の手順やポイント、依頼時の費用相場について解説!

企画・構成の費用相場は5万~30万円

企画・構成の費用は、5万円から30万円程度が相場です。動画の尺や内容の複雑さによって費用は変動し、1分30秒~3分程度の簡易的なPR動画であれば5万円~10万円程度、5分を超える尺でインタビューなどを交えた本格的なPR動画の場合は15万円~30万円程度が目安となります。

企画・構成は動画制作の土台となる重要な工程であり、目的やターゲットに合わせた構成が求められるため、内容が複雑になるほど費用も高くなる傾向にあります。

撮影の費用相場は5万〜40万円

撮影費用は、5万円から40万円程度が相場です。撮影場所や機材、撮影日数などによって費用は大きく変動します。インタビュー形式の動画であれば30万円~80万円程度、プロの演者を起用する場合は200万円近くになることもあります。

また、特殊な機材の使用や遠方でのロケなど、撮影の規模が大きくなるほど費用は高くなる傾向にあります。

編集の費用相場は5万〜25万円

編集費用は、5万円から25万円程度が相場です。動画の長さや編集の複雑さによって費用は変動し、アニメーションやCGを多用する動画は編集費用が高くなる傾向にあります。

編集は、撮影素材を繋ぎ合わせ、テロップや効果音などを加えて動画を完成させる工程であり、クオリティの高い動画を制作するためには、編集技術のある編集者に依頼することが重要です。

音響・ナレーションの費用相場は5万〜20万円

音響・ナレーション費用は、5万円から20万円程度が相場です。動画に合わせたBGMの選定や効果音の挿入、ナレーションの収録などにかかる費用が含まれます。プロのナレーターを起用する場合や、BGMをオリジナルで制作する場合は、費用が上がる可能性があります。

音響・ナレーションは、動画の印象を大きく左右する要素であり、視聴者の理解を深めるためにも重要なポイントです。

その他オプションの費用相場は1万円〜10万円

その他オプション費用として、DVD・ブルーレイの作成や字幕・翻訳などで1万円から10万円程度かかる場合があります。これらの費用は、動画の用途や目的に応じて発生するもので、必要に応じて検討する必要があります。

企業PR動画の費用相場別の制作事例を紹介

「企業PR動画の種類別に費用相場と制作事例を紹介」では、企業PR動画の種類別に費用相場と制作事例を紹介しましたが、ここでは費用相場別に焦点を当て、具体的にどのようなクオリティの動画制作が可能かを事例を通して紹介します。

予算に応じた動画制作のイメージを掴み、最適な動画制作の参考にしてください。

~49万円|プロモーション動画「西川公式オンラインショップ」

動画の種類 アニメーション
長さ・尺 120秒〜
費用レンジ 〜49万

参考:プロモーション動画「西川公式オンラインショップ」
49万円以下の予算で制作された「西川公式オンラインショップ」のプロモーション動画は、サイトの魅力と具体的な操作方法を分かりやすく伝えることで、ユーザー体験の向上と購買意欲の促進を目指しました。

動画では、オンラインショップの利用方法や魅力を丁寧に紹介。特に、初めて利用するユーザーでも迷わないよう、実際のオンラインショップ画面に沿ってナレーションを加え、操作手順を具体的に解説しています。

制作のポイントは、オンラインショップの使いやすさを効果的に伝える構成です。実写映像とテロップ、BGMを組み合わせ、商品の魅力をテンポ良く紹介することで、視聴者の関心を高めています。
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50〜99万円|プロモーション動画「おやつタウン」

動画の種類 アニメーション
長さ・尺 120秒〜
費用レンジ 50〜99万

参考:プロモーション動画「おやつタウン」

50万円から99万円の予算で制作された「おやつタウン」のプロモーション動画は、施設紹介と新キャラクターのPRを目的としています。動画を通してキャラクターの魅力を伝え、来場を促進することを意図しており、子どもたちの興味を引くストーリーとなっています。

制作のポイントは、子どもが親しみやすく楽しめるように、題材、会話、効果音、アニメーション、色使いなどを工夫している点です。明るくポップな映像と音楽で、おやつタウンの魅力を効果的に表現しています。

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100〜299万円|プロモーション動画「株式会社リクルート(365日のケーススタディ)」

動画の種類 アニメーション・実写
長さ・尺 120秒〜
費用レンジ 100〜299万

参考:プロモーション動画「株式会社リクルート(365日のケーススタディ)」

100万円から299万円の予算で制作された「株式会社リクルート(365日のケーススタディ)」のプロモーション動画は、17歳から21歳の若年層への認知拡大を目的としています。

動画は「365日のケーススタディ」をテーマに、学生が抱える悩みを題材とし、それに対する解決策としてリクルート社員からのアドバイスを紹介する構成です。これにより、若年層の共感を呼び、企業への関心を高めることを目指しています。

現代的なイラストを用いることで、若年層に親しみやすい映像に仕上がっているのがポイントです。この事例は、ターゲット層に合わせたコンテンツと表現方法が、効果的なプロモーションに繋がることを示しています。

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300万円〜|茨城県石岡市 プロモーション動画

動画の種類 実写
長さ・尺 60〜120秒
費用レンジ 300万円〜

参考:茨城県石岡市 プロモーション動画

茨城県石岡市のプロモーション動画は、300万円以上の予算をかけた大規模な制作事例です。動画は、旅行先を探す女性たちが、マッチングアプリのように石岡市と「マッチング」するストーリーで展開されています。

制作のポイントは、情報の新陳代謝が早い20代、30代の女性の目に留まるよう、「綺麗」「映え」といった既視感のある情報に留まらず、斬新なストーリーで展開している点です。これにより、視聴者の興味を引き、石岡市への関心を高めることを目指しています。

この事例は、地域PRにおいて、ターゲット層に合わせたクリエイティブなアプローチが重要であることを示しています。

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企業PR動画を費用相場より安く制作する3つの方法

企業PR動画の制作費用は、相場として10万円から200万円程度と幅広く、動画の種類や長さ、内容によって変動します。ここでは、費用相場より安く企業PR動画を制作する方法を3つ紹介します。

自社で企画や素材を準備する

動画制作会社に依頼する際、企画構成や撮影素材の準備を自社で行うことで、制作費用を大幅に抑えることが可能です。また、撮影素材として、自社の写真や動画、社員インタビューなどを提供することで、撮影費用を削減できます。

ただし、自社で準備した企画や素材のクオリティが動画の仕上がりに影響するため、高品質なものを用意することが重要です。自社で準備できる範囲を明確にし、制作会社と連携することで、費用対効果の高い動画制作が実現できるでしょう。

短尺動画や静止画メインの動画にする

動画の尺を短くしたり、静止画をメインとした動画にすることで、撮影や編集にかかる時間を短縮し、制作費用を抑えることができます。

短尺動画は、視聴者の集中力を維持しやすく、SNSでの拡散にも適しています。静止画メインの動画は、写真やイラストを活用し、テロップやナレーションで情報を伝えるため、動画撮影の必要性が低く、比較的安価に制作できます。

ただし、短尺動画や静止画メインの動画にする場合でも、構成や演出を工夫することで、企業の魅力を効果的に伝えることが大切です。目的やターゲットに合わせて、最適な動画形式を選択しましょう。

複数社から見積もりをとって比較する

動画制作を依頼する際は、複数社から見積もりを取り、比較検討することが重要です。見積もりを比較することで、各社の料金体系やサービス内容を把握し、自社の予算や要望に合った制作会社を選ぶことができます。

見積もりを依頼する際は、動画の目的や内容、尺、納期などを具体的に伝えることで、より正確な見積もりを得ることができます。また、過去の制作実績や得意分野なども確認し、信頼できる制作会社を選びましょう。

価格だけでなく、提案内容やコミュニケーションの円滑さなども考慮することで、満足度の高い動画制作に繋がります。

Crevoなら予算に合わせた企業PR動画の制作が可能

動画制作会社のCrevoでは、お客様の予算とニーズに柔軟に対応し、幅広い価格帯で企業PR動画の制作を承っています。創業以来、2,000社以上、10,000件以上の動画制作を手がけており、幅広いジャンルに対応可能です。

Crevoの費用目安
〜49万円 シンプルなメッセージを伝える動画
50〜99万円 ストーリー性を取り入れた差別化動画
100〜299万円 表現の幅を広げた高品質動画
300万円〜 テレビCMレベルのハイクオリティ動画画

Crevoでは、企画から制作、そして動画の活用提案まで、トータルでサポートを提供しており、アニメーションや実写など、多彩な表現方法に対応しています。お客様の目的や予算に応じた最適な動画制作プランをご提案いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。

企業PR動画の制作費用の相場は幅がある!予算を抑えたいならクオリティを落とさずに工夫しよう

企業PR動画の制作費用は、動画の長さや種類、内容の複雑さによって10万円から200万円と幅広い相場があります。15秒〜30秒の短尺なら50万円程度、5分〜10分の長尺になると200万円程度まで費用が上がります。

種類別では、会社紹介動画は50万〜200万円、商品・サービス紹介動画は30万〜100万円、ブランディング動画は10万〜300万円、広報・IR動画は50万〜150万円、採用動画は50万〜200万円が一般的な相場です。

制作工程別では、企画・構成に5万〜30万円、撮影に5万〜40万円、編集に5万〜25万円、音響・ナレーションに5万〜20万円、その他オプションに1万〜10万円程度かかります。

予算を抑えたい場合は、自社で企画や素材を準備する、短尺動画や静止画メインの動画にする、複数社から見積もりをとって比較するなどの方法があります。

動画制作会社のCrevoでは、お客様の目的や予算に応じた最適な動画制作プランをご提案いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。

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VIDEO SQUARE編集部

PR動画制作の費用相場とは?10万〜300万円の価格差が生じる要因と種類別の制作事例も紹介

8ヶ月 ago

PR動画制作の費用相場とは?10万〜300万円の価格差が生じる要因と種類別の制作事例も紹介

デジタルマーケティングが主流となった現代、企業の認知度向上や商品・サービスの販売促進において、PR動画は欠かせない存在となっています。しかし、「PR動画の制作にはどれくらいの費用がかかるのか」と疑問を抱く担当者も多いのではないでしょうか。
本記事では、PR動画制作の費用相場を詳しく解説するとともに、種類別の費用目安や工程ごとの予算配分、価格差が生じる要因、費用を抑えるポイントなど、PR動画制作を検討している担当者必見の情報をお届けします。

PR動画制作の費用相場は10万~300万円以上

PR動画は、特定の商品やサービスの認知度向上や販売促進を目的とする動画コンテンツです。PR動画制作にかかる費用相場は10万〜300万円以上となっており、その規模やクオリティによって大きく変動します。

動画制作の総額の制作費用目安は下記の通りです。

小規模・簡易な動画 10万~30万円
中規模・標準的な動画 30万~150万円
大規模・高品質動画 150万~300万円以上

例えば、インタビューを中心としたシンプルな構成の動画であれば、10万円~30万円程度で制作できる場合もあります。一方、アニメーションを多用した動画や、俳優・モデルを起用したCM風の動画などは、150万円~300万円以上かかるケースも珍しくありません。

動画の長さや、ナレーションの有無、BGM、撮影場所なども費用に影響します。

PR動画の種類別に費用相場と制作事例を解説

PR動画にも様々な種類があり、それぞれ目的やターゲット層が異なります。種類によって費用相場も大きく変わるため、まずは代表的なPR動画の種類と費用相場、制作事例を見ていきましょう。

<関連記事>
動画制作・映像制作の費用相場・料金とは?動画の長さ別の費用から費用を抑えるポイントまで解説

商品・サービスのPR動画の費用相場は50万〜200万円

商品・サービスPR動画は、特定の商品やサービスの魅力を伝えるための動画です。新商品の機能説明や使い方を紹介する動画、既存商品の魅力を再発見させる動画などが挙げられます。制作の費用相場は、50万円から200万円程度です。

動画の種類 アニメーション
長さ・尺 ~15秒
費用レンジ 50〜99万円

参考:プロモーション動画 「KFCカード(クリスマス篇)
この動画は、「KFCカード」の魅力を効果的に伝え、利用を促進することを目的として制作されました。お礼や祝い事、日頃の感謝など、幅広いシーンで活用できる「KFCカード」の利便性を紹介し、最終的に主人公の悩みが解決されるという構成になっています。

制作のポイントは、カーネル・サンダースの立像を登場させ、ポップな色使いを用いることで、視聴者の注意を引きつつ、「KFCカード」の良さを分かりやすく伝えている点です。

この事例は、商品・サービスのPR動画において、ストーリー性と視覚的な工夫が重要であることを示しています。

商品紹介動画制作の事例をもっと見る

企業PR動画の費用相場は50万〜250万円

企業PR動画は、企業全体のブランドイメージ向上や認知度向上を目的とした動画です。企業理念や事業内容、企業文化などを伝えることで、顧客や投資家、採用候補者など、様々なステークホルダーへの訴求を目指します。制作の費用相場は、50万〜250万円程度です。

動画の種類 アニメーション
長さ・尺 15〜30秒
費用レンジ 50〜99万円

参考:会社紹介動画「Braze株式会社」

この動画は、インサイドセールスにおける架電後のフォローとして活用され、サービスの理解促進とアポイント率向上を目的としています。

制作のポイントは、サービスをアニメーションイラストで紹介することで、利用シーンを分かりやすく具体的にイメージできるように工夫している点です。

また、クライアントのブランドカラーを中心に動画を制作することで、企業の認知度向上と統一感のあるブランディングを図り、視聴者の印象に残るように仕上げています。

会社紹介の動画制作・映像制作の事例をもっと見る

広告(CM・ウェブCM)動画の費用相場は50万〜500万円

広告動画は、テレビやウェブ上で放送される、短尺の動画です。商品・サービスPR動画や企業PR動画と比較して、より多くの視聴者にリーチすることを目的としています。制作費用の相場は、50万〜500万円程度です。

動画の種類 実写
長さ・尺 ~15秒
費用レンジ 300万円〜

参考:WebCM・Web広告動画「三菱地所の住まいリレー」

このCM動画は、特に不動産売却を検討している層へのアプローチを目的として制作されました。不動産の売買を検討している顧客との対話シーンや回想シーンを中心に構成されており、サービスの利用を検討している視聴者の共感を呼び、行動を促すことを目指しています。

制作のポイントは、伝えたいメッセージを印象的なシーンに凝縮することで、ブランドに込めた想いを端的に表現している点です。また、無音環境でも情報が伝わるように、テキスト情報を効果的に表示しています。

広告(Web・テレビCM)の動画制作・映像制作の実績をもっと見る

PR動画制作の内訳とは?工程ごとの費用目安


PR動画制作は、複数の工程を経て完成します。各工程の費用は、動画のクオリティや制作会社によって大きく変動しますが、ここでは一般的な費用目安を紹介します。

企画・ディレクションの費用目安は5万〜50万円

企画・ディレクションは、動画制作の方向性を決定する重要な工程です。費用は、企画の複雑さやディレクターの経験によって変動し、5万円から50万円程度が目安です。

綿密な企画と的確なディレクションは、動画の成功を左右するため、予算をかける価値のある工程と言えます。

構成・シナリオ作成の費用目安は8万〜25万円

構成・シナリオ作成は、動画の内容を具体的に落とし込む工程です。企画で決定した内容をもとに、動画全体の流れやシーン構成、セリフなどを詳細に記述します。

シナリオは、撮影や編集の際の指示書となるため、分かりやすく、具体的な内容が求められます。費用は、シナリオの長さや複雑さによって変動し、8万円から25万円程度が目安です。

撮影の費用目安は5万〜40万円

撮影は、シナリオに基づいて映像を記録する工程です。撮影場所や機材、撮影日数、出演者の人数などによって費用は大きく変動します。

スタジオ撮影やロケ撮影、特殊な機材の使用などは、費用が高くなる要因となります。また、プロのカメラマンや照明スタッフを起用する場合も、費用が上がります。費用を抑えるためには、撮影場所を限定したり、撮影日数を短縮したりするなどの工夫が必要です。

編集の費用目安は5万〜50万円

編集は、撮影した映像素材を繋ぎ合わせ、テロップや効果音、BGMなどを加えて動画を完成させる工程です。編集の複雑さや動画の長さによって費用は変動します。

簡単な編集であれば比較的安価に済みますが、特殊効果やCGなどを多用する場合は、費用が高くなる傾向にあります。編集は、動画のクオリティを大きく左右する重要な工程であり、視聴者の印象を決定づける要素となります。

音響・ナレーションの費用目安は1万〜10万円

音響・ナレーションは、動画に音声情報を加える工程です。BGMの選定や効果音の挿入、ナレーションの収録などを行います。プロのナレーターを起用する場合や、オリジナル楽曲を使用する場合は、費用が上がることがあります。

音響は、動画の雰囲気を演出し、視聴者の感情を動かす重要な要素です。ナレーションは、情報を分かりやすく伝え、視聴者の理解を深める役割を果たします。

PR動画制作の費用相場はなぜ広い?価格に差が出る3つの要因


PR動画の制作費用は、10万円から数百万円と非常に幅広く、様々な要因によって価格が大きく変動します。ここでは、PR動画の費用相場に差が出る主な要因を3つ紹介します。

動画の長さや内容の複雑さ

まず、動画の長さが費用に直結します。30秒の動画と3分の動画では、必要な撮影時間や編集作業時間が大きく異なります。当然、長い動画の方が費用は高額になります。

また、動画の内容も費用に影響します。シンプルなインタビュー動画であれば比較的費用は抑えられますが、CGを駆使した複雑な演出や、ロケ地を複数使った大規模な撮影が必要な場合は、費用が大幅に増加するでしょう。

例えば、商品紹介のシンプルな動画と、企業理念を伝えるドラマ仕立ての動画では、後者の方が費用は高くなります。

実写かアニメーションかによる違い

実写動画とアニメーション動画でも費用は大きく変わります。実写動画の場合は、出演者の手配、撮影場所の確保、撮影機材のレンタルなどが必要になります。

一方、アニメーション動画の場合は、キャラクターデザイン、作画、アニメーション制作など、専門的なスキルを持った人材が必要になります。

どちらの動画形式を選ぶかによって、必要な人材や機材が変わるため、費用にも差が出ます。

使用機材や技術レベルの違い

動画制作に使用する機材や、制作会社の技術レベルも費用に影響します。高性能なカメラや編集ソフトを使用すれば、高画質でクオリティの高い動画を制作できますが、その分費用も高額になります。

また、経験豊富なスタッフや、高い技術力を持つ制作会社に依頼すれば、より効果的なPR動画を制作できます。しかし、当然ながら費用は高くなる点に注意が必要です。

PR動画の制作費用を抑えるための3つのポイント

PR動画の制作は、企業の魅力を効果的に伝えるための重要な手段ですが、費用を抑えたいと考える企業も多いでしょう。ここでは、PR動画の制作費用を抑えるための3つのポイントを紹介します。

動画の目的や構成を自社で立案する

動画制作会社に依頼する前に、動画の目的、ターゲット、伝えたいメッセージ、動画の構成(ストーリー展開)を明確にしておきましょう。

企画段階を自社である程度の方向性を固めておくことで、制作会社との打ち合わせがスムーズに進み、修正回数も減り、結果的に費用を抑えることに繋がります。

例えば、新商品のPR動画を制作する場合、「商品のどのような機能を誰に伝えたいのか」「動画を見た人にどのような行動を取ってほしいのか」などを事前に決めておくことが重要です。

フリー素材やテンプレートを活用する

動画素材やテンプレートを活用することで、撮影費用や編集費用を削減できます。

高品質なフリー素材サイトや、動画編集ソフトに搭載されているテンプレートを利用すれば、プロが制作したようなクオリティの高い動画を低コストで制作することが可能です。

背景動画や効果音、BGMなどをフリー素材で賄うことで、オリジナル素材を制作するよりも費用を抑えられます。

撮影規模や時間を最小限に抑える

撮影場所、出演者、撮影日数など、撮影規模を小さくすることで費用を抑えられます。

例えば、自社オフィスで撮影したり、社員を出演者にすることで、スタジオレンタル費用や出演料を削減できます。また、撮影時間を短縮するために、事前に綿密な撮影計画を立て、リハーサルをしっかり行うことも重要です。

PR動画制作は自社制作と外注、どっちがいいの?

PR動画制作を検討する際、自社制作と外注のどちらを選ぶべきか迷う方も多いのではないでしょうか。どちらの方法を選択するかは、企業の目的や予算、リソースなどによって異なるため、それぞれのメリットとデメリットを比較しながら検討してみてください。

PR動画制作を自社制作する場合のメリット・デメリット

メリット ・コストを抑えられる
・修正や変更に柔軟に対応できる
・社内の細かいニュアンスを反映させやすい
デメリット ・クオリティの高い動画を制作するのが難しい
・動画制作のノウハウがないと学習コストがかかる

自社制作の最大のメリットは、コストを抑えられる点です。外注する場合に発生する制作会社への費用を削減できます。また、修正や変更に柔軟に対応可能です。社内の細かいニュアンスを反映させやすい点もメリットと言えるでしょう。

一方で、デメリットも存在します。動画制作には専門的な知識や技術、機材が必要となるため、クオリティの高い動画を制作するには、相応の労力と時間を要します。さらに、社内に動画制作のノウハウがない場合、学習コストもかかります。

そのため、動画制作に慣れていない企業の場合は、外注したほうがよいでしょう。

PR動画制作を外注する場合のメリット・デメリット

メリット ・高品質な動画制作が期待できる
・動画制作にかかる時間や労力を削減できる
デメリット ・外注コストがかかる
・修正や変更の意図がうまく伝わらない可能性がある

外注のメリットは、高品質な動画制作を期待できる点です。専門的な知識と技術、高度な機材を持つプロに依頼することで、訴求力の高い動画を作成できます。また、動画制作にかかる時間や労力を大幅に削減できます。

しかし、外注にはコストがかかります。予算と求めるクオリティのバランスを考慮する必要があります。また、修正や変更の際に、意図がうまく伝わらず、想定していたものとは異なる動画に仕上がってしまう可能性もあります。

自社制作と外注、どちらにもメリット・デメリットがあります。社内のリソースや予算、求めるクオリティなどを総合的に判断し、最適な方法を選択しましょう。動画制作会社への依頼を検討する際には、実績や費用などを比較検討し、信頼できる会社を選ぶことが大切です。

<関連記事>
イメージ通りに仕上がる!外注で失敗しない動画制作のコツとは?

PR動画制作会社を比較するときの注意点

PR動画制作会社を選ぶ際には、複数の会社を比較検討することが重要です。様々な会社の特徴を把握することで、自社のニーズに最適な会社を見つけることができます。

<関連記事>
【初心者向け】動画制作会社の選び方は?5つの選定ポイントを解説!

見積もりの取得は複数社に依頼する

複数のPR動画制作会社に見積もりを依頼することで、費用やサービス内容を比較検討できます。相場観を掴むためにも、少なくとも3社以上の見積もりを取得することをおすすめします。

例えば、A社は企画力に強みがあり、B社はアニメーション制作を得意とし、C社は低価格帯でサービスを提供しているなど、会社によって特徴が異なります。

これらの違いを比較することで、自社に最適な会社を見極めることができます。

PR効果に対する費用対効果を見極める

PR動画制作費用は、単に制作費だけで判断するのではなく、期待されるPR効果と合わせて費用対効果を検討することが大切です。

例えば、100万円の動画制作費用でも、それ以上の効果が見込める場合は費用対効果が大きく異なります。動画のクオリティだけでなく、ターゲット層へのリーチや、動画公開後のプロモーション戦略なども考慮に入れて、予算を組むようにしましょう。

オプション費や追加料金の有無を確認する

初期見積もりで提示された費用以外に、オプション費や追加料金が発生する可能性があるかどうかも確認しておきましょう。例えば、ナレーションの追加や、動画の長さ変更、修正回数などによって追加料金が発生する場合があります。

動画制作会社を選ぶ際には、見積もりの内訳を細かく確認し、不明点があれば担当者に問い合わせて、費用に関する疑問を解消しておくことが重要です。

Crevoなら予算に合わせた企業PR動画の制作が可能

Crevoの費用目安
〜49万円 シンプルなメッセージを伝える動画
50〜99万円 ストーリー性を取り入れた差別化動画
100〜299万円 表現の幅を広げた高品質動画
300万円〜 テレビCMレベルのハイクオリティ動画画

動画制作会社のCrevoでは、企業のPR動画制作において幅広い価格帯とプランを用意しているため、シンプルなメッセージを伝える動画から、テレビCMレベルの高品質な動画まで、お客様に合わせた様々なプランを提供しています。

予算とニーズに合わせた柔軟な対応が可能なため、安心して依頼できる制作会社です。お客様の目的やブランドイメージを丁寧にヒアリングし、最適な動画制作プランを提案いたします。

効果的なPR動画を制作するためのポイント

効果的なPR動画は、企業のブランドイメージ向上や商品・サービスの認知拡大に大きく貢献します。ここでは、視聴者の心を掴み、記憶に残るPR動画を制作するための重要なポイントを3つ紹介します。

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【担当者必見】PR動画を制作するポイントを活用事例とともにご紹介!

動画の視聴者層を明確にする

PR動画の制作において、誰にメッセージを届けたいのかを明確にすることは非常に重要です。視聴者層を絞り込むことで、彼らの興味や関心を惹きつけるコンテンツを作成できます。

年齢、性別、職業、趣味、価値観など、具体的な属性を洗い出し、ペルソナを設定することで、より効果的な動画制作が可能です。視聴者層のニーズや課題を理解し、彼らが求める情報や共感できるストーリーを盛り込むことで、視聴者の心に響く動画を制作できるでしょう。

PRしたい内容を1つに絞る

多くの情報を伝えようとすると、動画の焦点がぼやけ、視聴者の印象に残りにくくなります。効果的なPR動画を制作するためには、PRしたい内容を1つに絞り、そのメッセージを深く掘り下げることが重要です。

伝えたい情報を絞り込むことで、動画全体の構成が明確になり、視聴者も内容を理解しやすくなります。1つのメッセージに焦点を当て、それを印象的に伝えることで、視聴者の記憶に残りやすく、行動を促す効果も期待できます。

視聴者の興味を引きつける構成を考える

視聴者の興味を引きつけ、最後まで見てもらうためには、動画の構成が非常に重要です。冒頭で視聴者の心を掴み、ストーリー展開で引き込み、最後に印象的なメッセージで締めくくる構成を意識しましょう。

視聴者の興味や関心を考慮し、飽きさせない工夫も必要です。動画の構成は、起承転結を意識したり、視聴者の疑問や期待に応える形にしたりするなど、工夫次第で大きく効果が変わります。

PR動画制作費用を理解して効果的な動画マーケティングを実現しよう

PR動画制作は、企業や商品・サービスの魅力を効果的に伝える重要なマーケティング手段です。費用相場は10万〜300万円以上と幅広く、規模や目的によって大きく変動します。

種類別では、商品・サービスPR動画が50万〜200万円、企業PR動画が50万〜250万円、広告動画が50万〜500万円が一般的な相場です。各工程の費用目安としては、企画・ディレクション(5万〜50万円)、構成・シナリオ作成(8万〜25万円)、撮影(5万〜40万円)、編集(5万〜50万円)、音響・ナレーション(1万〜10万円)と分かれています。

費用に差が出る主な要因は、動画の長さや内容の複雑さ、実写かアニメーションかの違い、使用機材や技術レベルの違いです。

費用を抑えるポイントとしては、動画の目的や構成を自社で立案する、フリー素材やテンプレートを活用する、撮影規模や時間を最小限に抑えるといった工夫が挙げられます。また、自社制作と外注それぞれのメリット・デメリットを比較検討し、自社に最適な方法を選ぶことも重要です。

効果的なPR動画を制作するためには、視聴者層を明確にし、PRしたい内容を1つに絞り、視聴者の興味を引きつける構成を考えることが大切です。目的を明確にし、予算とのバランスを見極めながら、視聴者に響くコンテンツづくりを心がけましょう。

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VIDEO SQUARE編集部

アマゾンの「Amazon Pay」、支払い方法にJCBの「JCB Oki Doki ポイント」を追加

8ヶ月 ago

AmazonのID決済サービス「Amazon Pay」は、JCBのポイントプログラム「Oki Dokiポイント」を支払い方法に追加した。

 これにより、消費者は「Amazon Pay」を導入している自社ECサイトでも「Oki Dokiポイント」で支払いができるようになる。​

「Amazon Pay」は、Amazonアカウントに登録した配送先住所と支払い方法を利用して、「Amazon.co.jp」以外のECサイトでも買い物ができるID決済サービス。決済方法で「Amazon Pay」を選択し、支払い方法から「Oki Dokiポイントを利用する」をチェックすると、「Oki Dokiポイント」を利用して買い物できる。

「Oki Dokiポイント」の利用は、事前に「Amazonパートナーポイントプログラム」への登録が必要。利用手数料は不要。

「Amazon Pay」の支払い方法は「Oki Dokiポイント」のほか、クレジットカード、Amazonギフトカード、あと払い(ペイディ)となった。

AmazonのID決済サービス「Amazon Pay」は4月1日、JCBのポイントプログラム「Oki Dokiポイント」を支払い方法に追加
「Oki Dokiポイント」利用のイメージ
宮本和弥

三越伊勢丹の“館業”から“個客業”へ変革を進める新たな施策、年会費永年無料の「エムアイカード ベーシック」とは

8ヶ月 ago

三越伊勢丹ホールディングスはこのほど、新たな国内向けクレジットカードサービス「エムアイカード ベーシック」と海外顧客向けアプリ「MITSUKOSHI ISETAN JAPAN」のサービス提供を開始した。世界中から顧客を集客し、識別化してつながった顧客=「個客」に、多様な価値を提案するビジネスモデルの構築を進める。

三越伊勢丹グループは2024年11月に2025年〜2030年の中期経営計画を策定。「お客さまの暮らしを豊かにする、特別な百貨店を中核とした小売グループ」の実現に向けて、ビジネスモデルを“館業”から“個客業”へ変革を進めている。

三越伊勢丹グループの2025年〜2030年中期経営計画の全体像
三越伊勢丹グループの2025年〜2030年中期経営計画の全体像

“館業”から“個客業”へ変革について、具体的には①集客②識別化③利用拡大④生涯顧客化――の4つのプロセスで施策を展開する。

三越伊勢丹グループ “館業”から“個客業”へ変革について、具体的には①集客②識別化③利用拡大④生涯顧客化――の4つのプロセスで施策を展開
2つの新サービスは「識別化」施策の一環となる

「エムアイカード ベーシック」「MITSUKOSHI ISETAN JAPAN」は、「識別化」の施策の一環となる。従来から発行しているクレジットカード「エムアイカード プラス」や三越伊勢丹アプリでの識別化は堅調に推移しており、新サービス提供でさらなる識別化の規模を広げる。「識別化」をした上で、さらに三越伊勢丹グループの百貨店を中心に利用を促進し、顧客ごとに応じたパーソナルな体験の提供から生涯個客化をめざす。

エムアイカード ベーシック

「エムアイカード ベーシック」は3月19日からサービス提供を開始した。従来から発行している「エムアイカード プラス」と異なり年会費は永年無料。三越伊勢丹グループ百貨店でのカード利用で独自ポイント「エムアイポイント」を原則2%付与する。三越伊勢丹アプリと連携すると、アプリを通じてパーソナライズされた最新情報や利用履歴の確認ができる。

三越伊勢丹グループ エムアイカード ベーシック
年会費永年無料で原則ポイント2%還元

MITSUKOSHI ISETAN JAPAN

訪日外国人など海外顧客向けアプリ「MITSUKOSHI ISETAN JAPAN」は3月26日からサービス提供を開始。海外顧客の興味関心に沿った各店のイベント情報やフロアマップなどを掲載するほか、買い物に利用できる5%割引のショッピングクーポンなどを用意している。

国内顧客向けアプリ「三越伊勢丹アプリ」と同様に、海外の顧客1人ひとりに合わせたサービス提案、双方向コミュニケーションの実現に向けて、さらにサービス機能拡大をめざす。

三越伊勢丹グループ エムアイカード ベーシック
海外顧客向けアプリでは5%割引クーポンなどを用意
鳥栖 剛

アダストリアと伊藤忠商事、カリマーインターナショナルの株式を共同取得

8ヶ月 ago

アダストリアは3月31日、伊藤忠商事と共同でイギリス発のアウトドアブランド「カリマー」の日本事業を手がけるカリマーインターナショナルの株式を取得した。

アダストリアは伊藤忠商事とのJV(ジョイントベンチャー)を通じて「カリマー」の日本事業を展開、ライフスタイルブランドへの成長をめざす。

「カリマー」は、1946年創業のイギリスの老舗アウトドアブランド。リュックサックやアパレル製品が世界中の登山ファンに支持されている。アダストリアと伊藤忠商事が共同で、未開拓層へのアプローチを強化、ブランド成長を促進。アダストリアはアウトドアカテゴリーに本格的に参入することで、マルチカテゴリー展開をさらに強化していく。

アダストリアは伊藤忠商事と、「カリマー」の伝統的な価値を尊重しながら、丈夫で機能的な商品の開発をさらに進める。従来からの強みであるリュックサック販売を強化しながら、アパレルアイテムの拡充や店舗展開を推進。ライフスタイルブランドへの成長をめざす。

アダストリアが持つ商品企画力、ショッピングセンターやファッションビルなどの商業施設とのネットワーク、1900万人を超える会員基盤を活用しながら、日本市場での「カリマー」の販路・顧客層拡大、およびブランド認知度の向上を実現。将来的には、カリマーインターナショナルを基盤に、「カリマー」だけではなく複数のアウトドア・ライフスタイルブランドを取り扱い、アダストリアの事業成長につなげる。

鳥栖 剛

EC成熟期で重要なことは「力配分の見直し」。伸びしろを探せば、まだまだ成長できる! | 『売れる! EC事業の経営・運営 ネットショップ担当者、チームのための成功法則。』ダイジェスト

8ヶ月 ago
『売れる! EC事業の経営・運営 ネットショップ担当者、チームのための成功法則。』著者の坂本悟史が、EC成熟期における自社の"伸びしろ"を発掘する方法と解説します

かつてはSEOとメルマガだけでぐんぐん売り上げを伸ばせたEC業界。ところが今や、多店舗展開や即日出荷をこなし、SNS運営、動画の制作までしてもなお売り上げが足りない……。「このままで大丈夫だろうか」――そう不安に感じているEC事業者も多いのではないでしょうか。そんな成熟期を迎えたEC市場において、私たちが再び成長軌道に乗るためには何が必要なのか。本連載では、書籍『売れる! EC事業の経営・運営 ネットショップ担当者、チームのための成功法則』のエッセンスから、埋もれている“伸びしろ”を発見するヒントをお伝えします。

はじめに:ご挨拶

こんにちは。コマースデザイン代表の坂本です。このたび全21回の連載を担当することになりました。まずは自己紹介を兼ねて軽く経歴をお伝えします。

コマースデザイン 坂本悟史氏 経歴
楽天出身で現在はコマースデザインの代表を務めている

私は楽天(現:楽天グループ)出身で、マーケティングや出店者さんの支援などを手がけていました。そこからECコンサルティング会社のコマースデザインを立ち上げ、2025年2月に創業から丸17年を迎えました。

コマースデザインでは「経営者や店長さんの顧問」のようなコンサルとして、売上アップだけでなく、業務効率や組織体制、中長期の戦略まで幅広く支援。おかげさまで多くのお店からご依頼をいただいています。

2010年に出版した『売れるネットショップ開業・運営 eコマース担当者・店長が身につけておくべき新・100の法則。』は、おかげさまで累計2.6万部を突破。業界でも多くの人たちに読んでいただきました。2024年には新著『売れる! EC事業の経営・運営 ネットショップ担当者、チームのための成功法則。』を出版し、こちらも好評をいただいています。

近年はセミナーにも力を入れていて、EC事業者向けのAI活用の講演なども行っていますので、機会があればぜひご参加ください。

EC業界は今、成熟期に突入している

さて、本題に入りましょう。私は楽天時代も含めて20年以上EC業界を見てきましたが、ここ数年は成熟期の風を強く感じるようになりました。

コマースデザイン ECの市場規模や前年対比成長率のデータ
EC市場規模や前年対比成長率のグラフ

上の図は、経済産業省が毎年発表しているECの市場規模や前年対比成長率のデータです。2020年のコロナ禍では21.7%と大きな成長があったものの、2022年からは伸び率が6%未満に落ち込むなど、明らかに勢いが落ち着いてきました

また、楽天の国内EC流通総額が2024年に初めてマイナス成長を記録したというニュースも、業界の成熟を物語っているように思います(参考:日本ネット経済新聞「【株式公開以来初めて】楽天、国内EC流通がマイナスに 「楽天市場」はプラス成長、三木谷社長「SPU改定なければ4.6%増」」。モバイル事業の赤字補填のためにポイント還元や販促費の引き下げが影響したと見られますが、それでもマイナスは衝撃的でした。

もちろんEC全体の規模はまだ成長しています。しかし、新興市場として爆発的に伸びていた時代は終わり、世の中の多くの業界と同じように当たり前の成熟した業界になりつつあると言えるのではないでしょうか。

頭を切り替えて、力配分を見直そう

ではこうしたトレンド下において、私たちEC事業者はどうすべきか。私は、まず「頭を切り替えて、力配分を見直すこと」が必要だと考えています。

長年のEC事業運営で、業務手順、販売手法、販路、取扱商品など、リソースやコスト、無駄などが膨れ上がっていませんか? これを見直し、捨てるべきものは捨てる。そうすれば、身軽になって勢いを取り戻すことができるはずです。

コマースデザイン EC業界が複雑化し付帯業務が増加することで、推進力が低下している
EC業界が複雑化し付帯業務が増加することで、推進力が低下している

そもそもEC事業は、商品を用意し、ページを作ってお客さんを集め、受注・出荷のバックヤードを回しつつ組織体制も整え――と、とにかく付帯業務が多い世界。これが昔は「楽天市場」一本だったのでまだ良かったものの、今では多店舗運営は当たり前、即日出荷もしなければならなくなりました。

現場もリーダーもみんな忙しいので、社内のコミュニケーションは減り、組織体制的にも混乱しやすい状況です。そのまま規模の拡大にひた走れば、当然どこかでほころびが生じるわけです。実際にコンサルの現場でも「業務フローを整備しないまま規模を拡大した結果、属人化が進み、ベテランが辞めた途端に業務が回らなくなった」というケースをいくつも見てきました。これでは規模の拡大どころではありませんよね。

ですから、必要以上に膨れたEC事業のカオス度合いを減らしてシンプルにし、伸びていく成長分野に投資をしていく。自分たちが幸せに商売できる規模を意識しつつ、事業を育てていく。いわゆる「力配分の見直し」が大切なのではないかと私は考えています。

実は伸びしろはまだまだ残されている

「いやいや、やれることをやりつくして伸びしろがなくなったから、規模を広げるしかなかったんだよ」――そんな声が聞こえてきそうです。

ただ、一度立ち止まって考えてみてほしいのですが、「本当にやれることはやりつくした」と自信を持って言えますか? 「あまり考えてこなかった盲点」や「気になりつつも後回しにしたままの仕事」が残っていませんか?

焼き魚は、表面を食べつくしたと思いきや、裏返してみるとまだまだおいしい身が結構残っています。これと同じで、EC事業も表面ではやりつくしたと思いきや、まだまだできることが残されていたりするものです。私はこれを「焼き魚の法則」と呼んでいます。

自分たちにとっての当たり前だけで「やりつくした」「規模を広げるしかない」と判断するのは、もったいないことかもしれません。

私が規模の拡大よりも力配分にフォーカスしている理由は、伸びしろを埋もれさせているお店があまりに多いと感じているからなのです。

マンダラ図で「伸びしろ」をチェックする

ではどうやって“魚の裏側”、つまり盲点になって埋もれている伸びしろを探せばいいのか。そのヒントになるのが、以下に示す「マンダラ図」です。「マンダラ図」は、野球の大谷翔平選手が高校生の時に書いていたというモノと構造はほぼ同じです。

コマースデザイン マンダラ図
"伸びしろ"を探すヒントになる「マンダラ図」

中央に「経営」の円があり、その周囲に4つの色つきの円があります。これは「販売」「業務」「組織」「戦略」の4つが循環することで、中央の「経営」が回っていくことを表しています。具体的には次のようなイメージです。

  • まず商品を販売する(青)
  • 売り上げが発生すると業務が発生する(オレンジ)
  • 業務負荷を分散させるためには組織が必要になる(緑)
  • 組織を円滑に回すために戦略や方針が必要になる(ピンク)
  • その戦略により販売が増える(青に戻る)
  • このサイクルにより、経営が回っていく(中央)

そして経営を囲む4つの円の内側にも、それぞれ小さな円がありますね。これも同じように各円を回すために必要なことを表現しています。

  • 販売を回すには、お客さんを集めて(集客)、商品ページで販売し(接客)、リピートしてもらう(追客)プロセスが必要になる
  • 業務を回すには仕入れや製造(MD)、販売促進などのストアフロント(SF)に加え、受注・出荷といったバックヤード対応(BY)が必要になる
コマースデザイン マンダラ図 ECの仕事はすべてがつながり合う「サイクル構造」になっている
ECの仕事はすべてがつながり合う「サイクル構造」になっている

つまり、ECの仕事はバラバラのように見えて、実はすべてがつながりあう「サイクル構造」になっているということです。

人体にも消化器系、呼吸器系、循環器系などのサイクルがあり、滞ると病気になりますよね。これと同じでEC事業もどこかに穴があいていると、サイクルが滞ってどんどん売り上げや成果が漏れ出て機能不全に陥ります

なので、あたかも人間ドックをするかのように、この「マンダラ図」に沿ってEC業務全体のやり残しや不足を細かくチェックし、穴(伸びしろ)を特定して埋めていくのです。

伸びしろを埋めると、あらゆることが改善する

「マンダラ図」で見つけた伸びしろを埋めると、あらゆることが改善します。たとえば、組織(緑)における典型的な問題である「リーダーが日々の業務に忙殺され、チーム運営にまで手が回らない」というケース。メンバーとの対話や相談に応じる時間もなく、育成まで手が回らないという状況、覚えのある人も多いのではないでしょうか。

この伸びしろが埋まり、リーダーに余裕が生まれてくると、たとえば以下のように組織(緑)以外にもさまざまな良い影響が連鎖して広がります。

  • 新商品を開発する時間が捻出される(オレンジの業務領域)
  • 未開拓の集客方法を試すリソースができる(青の販売領域)
  • 事業を次のステージに進める方針を検討する(ピンクの戦略領域)

「マンダラ図」に沿って事業を俯瞰(ふかん)し、不調の根本原因や伸びしろを特定して改善していくと、無理なく自然な形で事業を次のステージに進める取っかかりが見えてくるのです。

これが前半でお伝えした、「大規模な拡大」をがむしゃらに求めるのではなく、注力すべき成長分野に絞り込み「自分たちが幸せに商売できる規模での成長」をめざすことの本筋です。

一緒にEC成熟期を乗り越えましょう

コマースデザイン代表の坂本悟史氏
コマースデザイン代表の坂本悟史氏

長くなりましたが、今回の連載では、拙著『売れる! EC事業の経営・運営 ネットショップ担当者、チームのための成功法則』でも紹介する「マンダラ図」をもとに、EC成熟期を乗り越えるためのノウハウをお届けします。

本当は1から100まですべて伝えたいところですが、さすがに全21回では難しいので、基本的には「販売編」の話を中心に紹介していきます。

といっても、SEOやメルマガといった施策に閉じるつもりはありません。これらの販促の土台にある「そもそもどんなお客さん・競合がいて、そのなかで自分たちはどのような理由で選ばれているのか」「自分たちの強みは何で、どういったお客さんにアピールすべきなのか」。こういった本質的な角度から掘り下げていきます。

皆さんの伸びしろ探しの参考になる話ができればと思っています。お付き合いのほど、よろしくお願いします!

次回はEC販売の構造について解説します。自社の商品・サービスがお客さんから「比較されている」こと、きちんと意識していますか?

  • 販売は「比較されている自覚」から始まる。「価格以外の比較基準」に敏感になることが選ばれることの近道(X/XX公開)
売れる! EC事業の経営・運営 ネットショップ担当者、チームのための成功法則。

売れる! EC事業の経営・運営 ネットショップ担当者、チームのための成功法則。

坂本悟史 /コマースデザイン 著
インプレス 刊
価格 2,400円+税

ECの仕事を「販売・業務・組織・戦略」の 4 分類に整理。現代のEC販売はもちろんのこと、仕入れ・製造から受注・出荷までのEC業務、AIやリモートを活用したEC組織運営、商品開発やブランディング、会計や経営計画などのEC戦略までをカバー。経営者の学び直し、担当者の育成、組織の共通言語におすすめです。

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坂本 悟史

アダストリアのECモール「and ST」、2030年2月期に流通総額1000億円めざす中期経営計画とは

8ヶ月 ago

アダストリアは2030年2月期にECモール「and ST」の流通総額を1000億円に拡大させる。4月4日に公表した「中期経営計画2030」で明らかにした。また、アダストリアは2025年9月からホールディングス体制へ移行する。

アダストリアのECモール「and ST」、2030年2月期に流通総額1000億円めざす中期経営計画とは
「and ST」売上高は340億円をめざす(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

4つの収益モデルで「and ST」を拡大

中経では2030年に連結売上高4000億円、連結営業利益率8%、「and ST」の流通総額1000億円を目標に掲げた。「and ST」を擁するプラットフォーム事業は「グループ価値革新のエンジン」と位置付け、売上高は340億円(連結消去後200億円)、営業利益率31%(連結消去後22%)の達成をめざす。「and ST」をモール+メディアとして成長させ、カテゴリー拡張やポイント連携などを通じ、IDを基盤とするLTV拡大の成長戦略を進める。

「and ST」は多様なサービス(収益モデル)の展開で、「IDの拡大」と「LTVの最大化」を実現し好循環の創出をめざす。アクティブ会員数の増加と購買頻度の向上により、リアルも含めた豊かな顧客体験と持続可能な収益構造を実現するプラットフォームへと進化させる。収益モデルとしては、①モール&メディア②プロデュース③ソリューション④ユーザーサービス――を展開していく。

アダストリアのECモール「and ST」、2030年2月期に流通総額1000億円めざす中期経営計画とは
多様なサービス(収益モデル)の展開により「IDの拡大」と「LTVの最大化」を図り好循環の創出をめざす(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

モール&メディア

モール「and ST」の出店者から得る販売手数料収入。カテゴリー拡大で流通総額(GMV)を拡大させながら「メディア」を新設、広告収入も拡充していく。

プロデュース

卸やブランドプロデュース。ユニフォーム、空間などのクリエイティブやプロモーションなどの無形商材プロデュースを提供していく。

ソリューション

すでに展開しているアダストリアのスタッフによるコンテンツ「STAFF BOARD」や「STAFF VOICE」などのサービスを活用したシステムソリューションを外販。システム拡張を通した継続的な収益化をめざす。

ユーザーサービス

「and ST」が発行するポイント関連サービスを提供。ポイントの価値向上・LTV拡大を目的に、他社とのIDやポイント連携を推進し、連携範囲拡大での利便性を向上させる。

外販比率を自社97:他社3→自社60:他社40へ

「and ST」成長戦略のKPIも細かく設定した。2025年2月期に403億円だった流通総額を2030年2月期に1000億円へと拡大させる。外販比率は現在の「自社97:他社3」から「自社60:他社40」とした。重要指標として、アクティブ会員数は現在の750万人から1100万人へ、総会員数は1970万人から2600万人へ拡大させる。ユーザー1人当たりの年間平均購入回数は現在の3.0回から4.5回へと増やす。

アダストリアのECモール「and ST」、2030年2月期に流通総額1000億円めざす中期経営計画とは
アクティブ会員数を現在の750万人から1100万人に拡大へ(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

海外戦略では東南アジア向け「and ST」構想も

そのほか中経では海外戦略、既存ブランド強化などにも触れている。海外展開は中国・香港・台湾市場と東南アジアに注力。東南アジア市場では「and ST」を開設し、東南アジアと日本を相互につなぐEC先行進出モデルを推進していく。既存ブランドでは注力ブランドへの集中投資や出店戦略のアップデートを通じて収益性を高めていくとしている。

アダストリアのECモール「and ST」、2030年2月期に流通総額1000億円めざす中期経営計画とは
東南アジア地域にはEC先行進出モデルで拡大を図る(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

2025年9月よりHD体制へ移行

2025年9月1日からホールディングス体制への移行を予定している。「アンドエスティHD」とし、アンドエスティやアダストリアなどを傘下に置き、さまざまな個性を持つグループ会社を管理する。

HD体制とすることで、グループにない特色を持つ企業のM&Aを加速させ、マルチカンパニーを実現させるとしている。

アダストリアのECモール「and ST」、2030年2月期に流通総額1000億円めざす中期経営計画とは
9月から「アンドエスティHD」としてHD体制へ移行する(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)
鳥栖 剛

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