Aggregator

自社ECサイトの集客で押さえておくべきWebマーケティングの基本&「Shopify」構築後にまず始めるべき集客施策 | 「Shopify」でECサイトを構築・運営塾

5 years 6ヶ月 ago
自社ECサイトを運営する場合に押さえておくべきWebマーケティングの基本、「Shopify」で作ったECサイト運用スタート時にやるべき施策を解説

「Shopify」は高機能な自社ECサイトをライトに立ち上げることができるという意味で画期的なECプラットフォームです。ただ、「Shopify」「BASE」「STORES」といった“手軽”“簡単”にECサイトが立ち上げられるカートの普及で、「作ったけど集客に困っている」というニーズも今まで以上に顕在化しました。「自社ECサイトを運営する場合に押さえておくべきWebマーケティングの基本」を踏まえ、「Shopify」で作ったECサイト運用スタート時にやるべき施策を解説します。

自社ECの課題「収穫」、ECプラットフォームは解決してくれない

まず最初に、これは絶対に押さえておきましょう。自社ECサイト特有の課題である「集客」は、プラットフォーム自体が解決してくれるわけではないということです。

「Shopify」でも他のASPカートを利用したとしても同じ課題です。自社ECサイトの「集客」は自ら解決しなければならない点が、多くの既存や新規の顧客が集まるモールと、自社ECサイトの大きな違いです。

「Shopify」でECサイトを開設したばかりの店舗はもちろん。ECサイトの運営を長らく手がけているベテラン店舗さんも、おさらいをしながら、かつ効率化、お得な情報が入った内容にしています。

集客のためのWebマーケティングの基本

Webマーケに「絶対にこれが正解!」はないが、「こう進めるのが正しい!」はある

まず、最もお伝えしたいことの1つが「自社ECサイトを運営する上でのWebマーケティングに、絶対こうしたらうまくいく!」は、ありません。なぜなら、ECサイトによって「商材」「利益率」「店舗運営方法」などが異なるからです。

たとえば、同じ商材を売っていても、価格で勝負する企業もあれば、お客さまへの細かいサポートやアフターケアなどで勝負する企業があるように、店舗によって“売り”“強み”“特徴”が異なってくるからです。

自社の“売り”“強み”“特徴”を発見するには、ひたすらトライ&エラーを繰り返すしかありません。高速で回せれば回せるほど、自社に適したWebマーケティングが見つかります。

しかし、何でもかんでもトライしていると資金も時間がいくらあっても足りません。ですので、

  • リスクが少ないPDCA
  • 自社のターゲットに対して接点が多そうな面を持っているWebマーケティング

の2点に当てはまる施策を、優先順位を付けて順番にトライしていくというのが正しい進め方になります。Webマーケティングは「絶対にこれが正解!」はありませんが、「こう進めるのが正しい!」はあるのです。

自社ECサイトを運営する上でのWebマーケティングに、「絶対こうしたらうまくいく!」はない

認知訴求と売上創出のバランス

自社ECサイトを運営する上で、Webマーケティングで気をつけるべきことは商品、店舗の「認知訴求」と「売上創出」のバランスです。これはどういうことか?

「認知訴求」とは、あなたの商品・店舗が、ターゲットとなる顧客の目に触れ、知ってもらい、気になるという状態までに持っていくことです。Web上には数多くの商品が存在していますので、自社ECサイトを開設しただけでは、埋もれた状態が続くことになります。そう、何もしなければ認知すらされないのです。

この状況から、「知ってもらい」「気になる」という状態まで認知を広げていくことが、自社ECサイトのWebマーケティングで非常に重要となります。

「売上創出」とは、「知っていて気になる」という状態のターゲットユーザーに、商品購入などの行動を起こしてもらうことです。「売上創出」は数字として反映されるため、これまでやってきた成果が見えやすいのが特徴です。そのため、「売上創出」に躍起になってしまう事業者も存在します。

しかし、「売上創出」だけに目を向けてしまうことはNGです。「認知訴求」という畑の耕しを常時行い、適切なタイミングで「売上創出」をしなければ、将来にわたって刈り取る“芽”が何もない状態になってしまいます。

Webマーケティングにおいては、やっている施策・これからやろうとする施策が「認知訴求」「売上創出」のどっちを目的としたマーケティングなのかをきっちりわけて行うことが重要です。そして、「認知訴求」「売上創出」の両輪をバランスよく回していくことが重要です。

Webマーケティングは「認知訴求」と「刈り取り」のバランスが重要になる

各種、集客マーケティングの要点

  • PDCAを回すためのリスク少なく、ターゲットユーザーとの接触点が高いWebマーケティング手法を選ぶ
  • 認知訴求と売上創出はバランス良く両輪で

この基本を踏まえた上で、さまざまなWebマーケティング施策を試していくわけですが、その際、どのような手法があるのかを解説していきます。大きく3つにわけて説明します。

アドネットワーク広告

アドネットワークと呼ばれる技術が、あなたの店舗の商品に興味がありそうなユーザーを自動で抽出、そのユーザーに接触点が多そうなメディアを自動選定し商品の広告を出すという仕組みです。

  • メリット:ターゲットユーザーにリーチしやすい
  • デメリット:クリック課金型なので購買が発生しなくても料金がかかってしまう

この仕組みを利用して広告出稿しているのが、以下のような広告です。

検索連動型広告

「Google」や「Yahoo!」の検索結果ページの上位に「広告」という表示とともに表示される広告です。

「EC」で検索、赤枠内が検索連動型で表示された広告
「EC」で検索、赤枠内が検索連動型で表示された広告(画像は「Google」検索から表示結果画面をキャプチャ)

ディスプレイ広告

メディアの広告枠(「更新」ボタン押したら用意されている画像や動画広告、テキストがコロコロ変わる枠です)に出向広告できる広告です。

「Yahoo! JAPAN」トップページでのディスプレイ広告例
「Yahoo! JAPAN」トップページでのディスプレイ広告例(赤枠がディスプレイ広告枠、画像は「Yahoo! JAPAN」からキャプチャ)

SNS広告

Facebook、instagramといったSNSのタイムラインなどにでてくる広告。あれもアドネットワークの一種です。

Facebookプラットフォームにおけるフィードの広告配置場所
Facebookプラットフォームにおけるフィードの広告配置場所(画像はFacebookのビジネスヘルプセンターからキャプチャ)

インフルエンサー広告

インスタグラマーやYouTuberのように「インフルエンサー」と呼ばれる人々へ、自社の商品のPRをしてもらう方法です。アドネットワークと異なり、ほぼ手動で行われます。インフルエンサーに商品を取り上げてもらうための契約を結び、サンプルを送って使用感などをSNSにアップしてもらうという手法が主流です。

  • メリット:インフルエンサーの世界観と相まって訴求できるので、売り上げだけでなく認知訴求にもつながる。時に爆発的な効果を生む
  • デメリット:ほぼ1回の紹介で○万円といった固定費契約が多い。場合によっては逆ザヤになりやすい。爆発的に売れ過ぎて在庫欠品が発生する可能性がある。逆に在庫を積んでいたが売れ残るというリスクもある

アフィリエイト

個人ブログなどに自社商品の紹介記事や比較記事を掲載してもらい、記事を閲覧したユーザーがその商品が載っているECサイトに来訪、その後、商品購買が起こったときにECサイトが集客に寄与したメディアに成功報酬で手数料を払うという仕組み。

メディア開拓は手動で行われるというところが少しインフルエンサーマーケティングに近いですね。

「購買」が発生した場合のみ手数料が発生する仕組みなので、リスクの低い集客手法です。メディアへの手数料は、商材によって異なりますが、一般的に2~15%の幅で設定されています。

アフィリエイト 商品ジャンルごとの成果報酬相場
商品ジャンルごとの成果報酬相場
  • メリット:成果報酬なのでリスクが低い。成果報酬型なので、相性のいい商材とメディアのマッチングが行われやすい
  • デメリット:ASP(アフィリエイトサービスプロバイダー)への商品申請が面倒(申請項目がそこそこ多いことに加えて手動)

「Shopify」で作ったECサイト運用スタート時にやるべき集客施策

まず、広告運用経験のない店舗が最初に手を付けるべき集客施策を解説します。それは「アフィリエイト」です。その理由は「圧倒的なリスクの低さ」です。

広告予算が限られる多くの自社ECサイトにおいて「リスクが少ない」は最大のメリット。また、売り上げが拡大して他のWebマーケティングを試すようになっても、アフィリエイトはリスクが低いことから、定常的な施策として残りやすい。

そのため、アフィリエイトを自社ECサイトにおいてどう有効活用するか? というPDCAを初期にやっておけばおくほど、自社ECサイトのアセットとして長く効果を発揮します。ECに関わる中でまず第1歩目、かつベースになる施策と認識しているのがアフィリエイトです。を試してみてください。

2020年秋に大手ASPのバリューコマース、ファンコミュニケーション、インタースペースと連携できるアプリがリリースされましたので、アプリインストールをするだけでアフィリエイトをスタートできるようになりました。

アフィリエイト経由でお客さまが増えていったら……。その後、少しずつ予算の許す限り他のマーケティング施策を順番に試していくのが良いでしょう。なので、優先順位が重要となるのです。

次回はCPC広告の活用の仕方とその順番について解説します。

安藤 祐輔
安藤 祐輔

コロナで変わったカスタマー・ジャーニー。フルフィルメントチャネル別によるロイヤルティへの影響とこれからの消費者像とは | 顧客時間が見たCES & NRFレポート2021

5 years 6ヶ月 ago
顧客時間 共同CEO / 取締役の奥谷孝司氏による2021年のNRF考察

Amazonへの対抗策、もしくは共存方法の模索といったテーマ、無人店舗の進化についての話題が多かった2020年の全米小売業協会(NRF)主催のリテール展示会「NRF Retail's Big Show」。しかし、2021年はガラリと変化。オムニチャネル化の重要性、コロナ時代の店舗体験に関する議論が中心となった。NRFで語られた議題の内容を深掘りし、新型コロナの余波が事業者、消費者双方に与えている変化を見ていく。

「BOPIS」と「カーブサイドピックアップ」が顧客にもたらす価値

筆者(編注:顧客時間の奥谷孝司共同CEO)が注目したのは、RPA(Robotic Process Automation)開発で有名なVerint Systems社のセッション「How retailers win on CX now(今、小売り事業者が顧客体験で勝つには)」で語られたコロナ禍におけるカスタマー・ジャーニーの変化だ。これは顧客時間が提唱する、オンライン・オフラインで見た「空間」軸、選択・購入・使用の「時間」軸で見た場合の購買体験から成り立つ「顧客時間」の変化に関するレポートだった。

「顧客時間」の概念図
奥谷氏らが考える「顧客時間」の概念図

セッションでは、コロナ禍において、アメリカの消費者が「検討→購買→商品受け取り」というプロセスをどのように行っているかが解説された。アメリカでもいまだに商品の検討、購買行為はお店、つまりオフラインが主流とのことだ。

しかし、購買商品の受け取り方法に関しては、店頭はもちろん、ECで購買し自宅に運んでももらうデリバリーに加え、車中受け取りの「Curbside Pick Up(カーブサイドピックアップ)」、店頭受け取りサービスの「BOPIS(Buy Online, Pick Up in Store」が台頭しているという。

NRF内のセッション中に語られた購買ジャーニーに関して
セッション中に語られた購買ジャーニーに関して(画像:セッション「How retailers win on CX now」からキャプチャ)

フルフィルメントが与える顧客満足度、信頼、ロイヤルティへの影響

特にスーパーなどにおいては、デリバリーに加えてカーブサイドピックアップの需要が高まっている。このことは、車社会、小売業における従業員の安全確保など、アメリカ独自のWIN-WIN関係が影響しているように思う。さらに、このセッションでは以下のような図から、商品受け取りチャネルはどのように顧客満足や信頼、ロイヤルティにつながるのかという解説が行われた。

NRF内のセッションで紹介されたフルフィルメントチャネル別の、顧客満足度、信頼、ロイヤルティへの影響を示した図
フルフィルメントチャネル別(左から自宅配送、カーブサイドピックアップ、BOPIS、店内購買)の顧客満足度、信頼、ロイヤルティへの影響を示した図(画像:セッション「「How retailers win on CX now」よりキャプチャ」

興味深い点は、ロイヤルティにつながるのはやはり店内購買であるが、EC購買後の自宅配送やBOPISはブランドに対する信頼に基づいて行われているということだ。

そして、この4つの商品受け取り行動に求められることとして、次のような点が紹介された。

  • 自宅配送:デジタル体験、品ぞろえ
  • カーブサイドピックアップ:価格、デジタル体験
  • BOPIS:デジタル体験、品ぞろえ
  • 店内購買:品ぞろえ、価格

さらに、顧客の期待においても、サービス浸透の差によって顧客が求めているものが大きく違うこともわかった。

  • 自宅配送:買った商品に対する満足
  • BOPIS:店員対応
  • カーブサイドピックアップ:わかりやすい利用方法

BOPISがうまくいっている業界は百貨店、専門店、カーブサイドピックアップはディスカウントストアという。

日本はまだBOPISが浸透しているとは言い難い状況だが、今後のオムニチャネルの進展を考えるのであれば、このような商品受け取りチャネルにおける顧客体験の違いを細かく理解し、サービス体験の向上に努める必要があるだろう。

また、今後はカーブサイドピックアップとBOPISの違いを顧客視点からも理解する必要があるように思う。さらに、企業側も店頭受け取りサービスを店内で行うのが良い業界、店外(駐車場)で行うのが良い業界といったことも調査していく必要がありそうだ。

フルフィルメントチャネルが与える顧客満足度、信頼、ロイヤルティへの影響は、技術受容を積極的に行い、新しい顧客体験を提供し続けるアメリカ小売業から学ぶべきことが多いと痛感させられた。

ウイルスと分断の時代で消費者は疲れ、癒しを求めている

コロナ禍を経て消費者はどのように変わっていくのかについて解説したい。顧客時間では、三井住友カードと共に1年近く、日本におけるコロナ禍の消費者行動変化を追い続けている(詳しくはサイトから見ていただきたい)。チャネルのデジタルシフトに始まり、応援消費、食関連ビジネスにおけるデジタル化の進展に見られる通り、顧客は今、家中消費へ移行している。

このような消費行動の変化は世界中で散見されるが、顧客の心理状態はどうなっているのだろうか? また、このような未曾有な経験を経た顧客が今後も同様の消費行動をとるのだろうか?

この問いに答えてくれているセッションがあった。「Consumer Behavior: Making sense of Aftermath of Uncertainty(消費者行動:不確実性の余波を利用する)」と題したこのセッションで、まさに「不確実な世界に突入した顧客はこれからの消費行動にどう折り合いをつけていくのか」といったテーマを取り扱い、2023年を見据えた消費者像について語っていた。

このセッションが示したこれからの消費者像は4つのペルソナだ。

NRF内のセッションで語られたこれからの4つの消費者像
セッションで語られたこれからの消費者像(画像:セッション「Consumer Behavior: Making sense of Aftermath of Uncertainty」よりキャプチャ」

この中で、もっとも詳細に説明されたのが「The Predictors」と「The New Romantics」というペルソナ。直訳すると「予言者たち」と「新しいロマンティシズム(新ロマン派)たち」といったところだろうか。

「The Predictors」(予言者たち)

NRFの中で語られた消費者像の1つ「The Predictors」
消費者像「The Predictors」(画像:セッション「Consumer Behavior: Making sense of Aftermath of Uncertainty」よりキャプチャ」

まずは「The Predictors」について解説する。私の理解では、彼らは新しい保守派と表現できる。

  • タイプ:オンラインとオフライン、家庭と仕事を忙しなく行き来することで、感情的にも経済的にも疲れ果てた消費者
  • 求めていること:安定と安心を求めながら、マルチタスクを最適にこなすためのインターフェースとしての企業やサービス
  • 適した(必要とされる)サービス:自動補充、事前予約、サブスクリプション、個別最適化された自動値引き

このトレンドは日本でも顕在化していきているように思う。三井住友カードとの調査でも、「変化適応型」というペルソナが出てきている。彼らは一見、現在の生活をうまくこなしているようだが、実際はかなり心理的にも精神的にも疲れがたまっていると考えられる。

一方、このような顧客セグメントは、これからの時代の新サービスを利用してくれるアーリーアダプターとなる可能性が高い。買い物の迅速化とシームレス化は、まさにオンライン小売業の得意領域だ。

先述の通り、オフライン小売業もBOPIS、EC対応などやるべきことが多くある。消費者の利便性向上にデジタルを活用しながらいかに対応していくのか? この課題に対する迅速な対応がオンライン小売業だけでなく、オフライン小売業にも求められているだろう。

「The New Romantics」(新ロマン派)

NRF内のセッションで紹介された新しい消費者像「The New Romantics」
消費者像「The New Romantics」(画像:セッション「Consumer Behavior: Making sense of Aftermath of Uncertainty」よりキャプチャ」

「The New Romantics」であるが、筆者の理解では2020年代の新しいヒッピーとでも表現したい顧客セグメントである。このセッションの解説を聞いた筆者が抱いた消費者像は、以下の通りだ。

  • タイプ:内向きで、心理的癒しと精神的衛生を求めている人たち。「The Predictors」同様に、コロナ禍での生活には柔軟に対応
  • 求めていること:テクノロジーを活用して仕事の生産性を高めながら、ワークライフバランスを求めて郊外、地方へと気持ちを向かわせることで、Local Community(地域コミュニティ)への想いを強くしている。自然への回帰やメンタルヘルスへの志向が高い
  • 適した(必要とされる)サービス:(ここはアメリカらしいとも言えるが)合法ドラッグも含めて、マインドフルネスや瞑想へのニーズも高い

この顧客像を三井住友カードとの調査に照らし合わせると、巣篭もり消費のセグメントが思い浮かぶ。日本人消費者の場合は、メンタルヘルスへの対処法がサービスとして未発達でもあるためアメリカ人のように消費意欲が旺盛とはいかない。だが、地方への憧れ、温泉旅行への思いといったニーズは見え隠れする。やはり、コロナ禍で世界中の消費者は疲れ、癒しを求めているのだ。

その抑圧された環境が、「損したくないという防衛反応から来るスマートショッパー」へと向かうのか。それとも、「世界を動き回ることのリスクや無駄を改めて理解し、テクノロジーを活用して地元と身近な人々を愛するスマートショッパー」の方に向かうのか? 正解はないが、おそらくこのようなマインドを誰もがある程度有しながら、これからの時代を生きていくことになるのであろう。

これからの消費者像と向き合うには?

最後にこのセッションのTakeaways(論点)として4つのポイントがまとめられた。1つ目は「予測の力」。今後はよりサブスクリプションや自動補充サービスが求められるようになる。

NRF内のセッションでまとめられた論点の1つ「予測の力」
1つめのTakeawaysとして示された「予測の力」(画像:セッション「Consumer Behavior: Making sense of Aftermath of Uncertainty」よりキャプチャ」

2つ目はコミュニティや家族、友人と言った身近なコミュニティや集団の重要性。ライフスタイルを表現できる商品やサービスへのニーズが高まる。

NRF内のセッションで論点として紹介された「ダウンタイムの多様化」
2つめのTakeawaysとして示された「ダウンタイムの多様化」(画像:セッション「Consumer Behavior: Making sense of Aftermath of Uncertainty」よりキャプチャ」

3つ目は、買い物とエンターテインメントを掛け合わせた「ショッパーテインメント」の重要性だ。ここにはライブストリーミング、アメリカでは「Pinterest」を経由した“Webrooming”(消費者が事前に商品情報をWebで検索して、価格やレビューなどを調べた後に、実店舗を訪問し、店頭で購入すること)、オンライン接客などの進化に加えて、オフラインでのデジタルを活用した新しいショッパーテインメントも求められるであろう。

個人的にはこんな時代だからこそ、BOPISやカーブサイドピックアップといった顧客の利便性向上に寄与する買物体験だけでなく、新しいリアル店舗での楽しさをデジタル活用しながら、実現したいところだ。

NRF内のセッションで紹介された論点の1つ、「ショッパーテインメントがメインストリームになる」
3つめのTakeawaysとして示された「ショッパーテインメントがメインストリームになる」(画像:セッション「Consumer Behavior: Making sense of Aftermath of Uncertainty」よりキャプチャ」

最後は、仮想現実世界への準備だという。世界最大のテクノロジー展示会「CES」でも、アバターを作って自ら参加する展示会体験を提供するメーカーもあった。私のような世代には「セカンドライフ」の再来のように感じるが、2000年代前半にはまだ早すぎたアバターを活用した仮想現実の世界に“居心地の良さ”を感じる顧客は確実に現れてくるであろう。ただ、最後のポイントは、今考えるには時期尚早であるように思う。

NRF内のセッションで紹介された論点の1つ「流れを変える」
4つめのTakeawaysとして示された「流れを変える」(画像:セッション「Consumer Behavior: Making sense of Aftermath of Uncertainty」よりキャプチャ」

まず現在の小売業は、先の3つのポイントをしっかり押さえて、今お客さまにできることを考えることをおススメしたい。以上が、私からの「CES & NRFレポート」となる。

オンライン開催となった両カンファレンスの全体感を正しく捉えることができたとは思えないのだが、何度も見返し、いつでも見ることができるオンラインカンファレンスは言葉のハンディキャップを時間でカバーすることもできる。みなさんもぜひ、オンラインカンファレンスに参加してみてもらいたい。

奥谷氏から日本の小売り・EC事業者への「Takeaways」

最後に、私からの「Takeaways」は以下の2点だ。1つはまさに世界はデジタルで何ができるかのフェーズから、デジタルがいかに使えるかのフェーズへと進化しているという、行動のフェーズに移行していることだ。

ここで注目すべき点は、企業のテクノロジー活用が顧客にどのように受け入れられるかと、ハードウェアへの注目が高まるということだろう。改めてIoTに注目が集まっているが、ここはスタートアップだけではなく、ソニーのような大企業であっても活躍の余地が十分あることを覚えておいてほしい。

最後はやはり、消費者心理の変化に敏感になることだ。今の消費者は利便性と癒しを求めている。合理的な買い物だけでなく、新しい買物体験、“リテールティンメント”で消費者の課題解決を推進していくことが今後はますます重要になる。

スマートであることの定義も多様化していることを忘れずに、今後の消費トレンドをウォッチしておきたい。

さらにCESでも見られた通り、ヘルステックに今後注目が集まることは確実だろう。この市場でどのようなことができるか今から考えてもらいたい。

癒しを提供するのに必ずしもデジタルは必要ないし、ヘルステック市場に参入する必要はない。まずはデジタルを通して、今企業が提供できる“癒し体験”を表現し、理解してもらうことから始めてみてはどうだろうか。

多くのD2C企業は製品価値に加えて、このようなヒーリング要素を兼ね備え、ライフスタイルに新しい意味と価値を提供している。“癒し”というキーワードを広く捉えて、新しい買物価値と顧客体験を提供することで、この未曾有の世界を共に乗り越えていけたらと考えている。

奥谷孝司
奥谷孝司

ナレーション違いで70種類以上の動画広告

5 years 6ヶ月 ago

ひとつのビデオに対して、視聴者セグメントごとに異なるボイスオーバーを行い、70種類以上の広告を制作。グーグルの「Director Mix」を使用。ペプシコ。

Zero Sugar. Zero Compromise
https://www.youtube.com/playlist?list=PLXEP0qousrR32WuU-ljc3_sqAncXNEVFb
Director Mix
https://create.withgoogle.com/tools/director-mix

Pepsi Zero Sugar wants men to stop compromising
https://www.campaignlive.com/article/pepsi-zero-sugar-wants-men-stop-compromising/1708700

読み込みに57分かかるサイト

5 years 6ヶ月 ago

ハインツのトマトケチャップの瓶から中身を注ぐには、ちょっとした忍耐が必要なこともある。カナダのクラフトハインツフーズカンパニーは、ハインツのウェブサイトが表示されるまでに57分かかる細工をして、ファンの忍耐力を試した。57分辛抱できたファンだけが、バーガーキットの当たる懸賞に応募できるようにした。これはカナダからウェブサイトに訪問した場合のみで、またすでに終了している。

The Heinz ketchup website takes 57 minutes to load
https://adage.com/creativity/work/heinz-ketchup-website-takes-57-minutes-load/2317241

ビジョナリーHD、アウトレットサイトを開設。使用期限が短い商品を特別価格で販売

5 years 6ヶ月 ago

VHリテールサービス(旧メガネスーパー)などを傘下に抱えるビジョナリーホールディングスはこのほど、使用期限までの期間が短いコンタクトレンズやケア用品をグループ全店から集約し、特別価格で販売するアウトレットサイト「メガネスーパーコンタクト アウトレットサイト」を開設した。サービスを通じて商品廃棄を減らし、環境に配慮したビジネス展開をめざす。

使用期限が近い商品を、期限までに使い切れる顧客へ販売

ビジョナリーホールディングスが3月1日に開設した「メガネスーパーコンタクト アウトレットサイト」では、グループ店舗で扱うクリアコンタクトレンズ、カラーコンタクトレンズ、コンタクトレンズケア用品など、使用期限までの期間が短い商品を特別価格で販売。

また、特別価格の「アウトレット商品」、使用期限が十分にある「通常商品」の2種類を展開し、「(アウトレット商品の)在庫はないが、すぐに欲しい」という顧客ニーズにも対応する。

アウトレット商品は数に限りがあるため、顧客が求める商品や度数の入荷を知らせる「再入荷案内メール」に登録すると、いち早くメールで通知を受け取れるという。

アウトレットサイト開設の理由について、ビジョナリーホールディングスでは以下のように説明する。

コンタクトレンズの使用期限切れを理由とした廃棄処分によって生じる二酸化炭素や窒素酸化物による環境負荷、プラスチックゴミによる海洋汚染が深刻化している中、これまで当社グループでは使用期限が一定期間に近づいた商品は、売れる店舗へ転送し消化促進を図り廃棄処分の抑制に取り組んできました。

そこで、さらなる廃棄処分の抑制を実現するため、「使用期限までに使いきることができる」というお客様と商品をマッチさせることで廃棄なしの消化促進を図る、アウトレットECサイトをコンタクトレンズ販売店の中でいち早くオープンいたしました。

また、1商品ごとの使用期限管理を行うためのシステム刷新に着手中という。

使用期限に余裕を持った段階で販売できる体制を整える予定です。環境に配慮したビジネス展開と共に、眼の健康寿命延伸に繋がるアイケアサービスの拡充・普及と、それに応じたシステム投資を加速させてまいります。

◇◇◇

「メガネスーパーコンタクト アウトレットサイト」は、ECサイト構築パッケージシステム「ecbeing」を採用。ビジョナリーホールディングスは「メガネスーパー公式通販サイト」でも「ecbeing」を採用しているほか、2020年11月に公開したLINEトーク画面上で注文が完結する新サービス「コンタクトレンズのかんたん注文LINE」を、「ecbeing」を展開するecbeingと共同開発している。

公文 紫都
公文 紫都

ユニクロとジーユー、消費税の「総額表示義務」で本体価格をそのまま「税込価格に。全商品で実質約9%の値下げ

5 years 6ヶ月 ago

ファーストリテイリンググループのブランドであるユニクロとジーユーは3月12日から、すべての商品価格を総額表示に変更、これまでの商品本体価格をそのまま消費税込みの価格にすることにした。

現在の価格と比較して約9%の値下げとなる。総額表示に関する特別措置法が3月31日で終了するための措置。

一例として、2020年冬商品の商品タグでは「本体価格1990円+消費税」と表示していたが、2021年春商品の商品タグでは消費税込みで「1990円」にする。タグと同様、ECサイトで表示する商品価格も、すべて消費税込み価格に移行する。

ファーストリテイリンググループのブランドであるユニクロとジーユーは3すべての商品価格を総額表示に変更、これまでの商品本体価格をそのまま消費税込みの価格にする
商品価格を税別表記から総額表示に変更する

ファーストリテイリングの柳井正代表取締役会長兼社長は、「私たちは、できるだけ多くの商品の価格をそのままに、消費税込みのお求めやすい価格で販売し、お客様の生活に寄りそっていきたいと思っている。これからもLifeWearを提供し、服の領域で社会を支えるインフラ企業になりたいと思っている。これが我々の使命であり存在意義だ」と述べている。

消費税に関しては4月1日から、消費税額を含めた価格を記載する「総額表示」が義務化される。「総額表示義務」とは、値札やチラシなどにおいて、商品やサービスの価格を表示するときに、消費税額を含めた価格を記載すること。対象となるのは、一般消費者に対して商品の販売やサービスの提供を行う消費税課税事業者。BtoBは対象外。

総額表示の義務化で、消費者が商品やサービスの購入を検討する際、すべての価格が税込表示されている状態になる。値札やチラシを見ただけで、本来支払うべき価格が簡単にわかるようになり、比較や購入の判断がしやすくなる。

EC事業者は、ECサイトの表示価格を税込み価格に変更することが迫られる。ダイレクトメールやインターネットサイト、チラシなど、広告出稿をしているEC事業者は、広告媒体の総額表示にも対応する必要がある。

石居 岳
石居 岳

補助額は最大1億円「事業再構築補助金」とは/Shopifyまとめ【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

5 years 6ヶ月 ago
2021年2月26日~3月4日にアクセス数の多かった記事のランキングを発表! 見逃している人気記事はありませんか?
  1. ネット通販の開始、飲食店のオンライン注文など新規事業や業態転換を支援する「事業再構築補助金」(補助額は最大1億円)を解説

    「事業再構築補助金(中小企業等事業再構築促進事業)」の補助額は100万円~1億円。新分野展開や業態転換、事業・業種転換、事業再編、またはこれらの取り組みを通じた規模拡大といった事業再構築に意欲のある中小企業などを支援する

    2021/3/2
  2. Shopifyの動きが激しすぎる! 今年(まだ2か月だけど)の動きをまとめました。【ネッ担まとめ】

    ネットショップ担当者が読んでおくべき2021年2月22日〜28日のニュース

    2021/3/2
  3. アマゾンが「置き配」拡充、マンションのオートロックを配送業者などが解除できる「Key for Business」を導入

    「Key for Business」は、マンションに住む注文者が不在でも、宅配ドライバーなどが玄関などへの「置き配」をできるようにするシステム。米国などで先行導入している

    2021/3/2
  4. ECに新規参入・強化したい事業者必見の「ECシステム9選」「カゴ落ち対策に役立つ決済手段」「IT投資を補助・助成する制度」

    ECを新たに始める、もしくは強化したい事業者に適した9つのECシステムを厳選し、特徴や実績などを解説。運用後に押さえておきたい「買いやすいECサイト作り」に必要なカゴ落ち対策、ECへの投資を助成・補助する政府の取り組みも紹介する

    2021/3/3
  5. 佐川グループと台湾大手EC「PChome」グループが提携、台湾向け越境ECサービスを提供

    SGHグローバル・ジャパンは、台湾最大のECモール運営会社であるPChomeグループと提携し、台湾への販売と物流を一体化する台湾向け越境ECサービス「BBチェックアウト」の提供をスタート

    2021/2/26
  6. 世界の潮流から見るデジタル活用。「What(何ができるか)」から「How(どのように)」へ

    世界最大のテクノロジー展示会「CES」、全米小売業協会(NRF)主催のリテール展示会から見えた、小売り・EC事業者が押さえておくべきポイントとは? 顧客時間の共同CEOで取締役の奥谷孝司氏が解説

    2021/3/1
  7. 【SDGs調査】消費で重視するのは「値段」「品質」「機能」。「エシカル消費」重視の関連回答は3割未満

    「SDGs」(エスディージーズ・Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標)、地域の活性化や雇用などを含む人・社会・地域・環境に配慮した「エシカル消費」の消費者意識を調査した

    2021/3/2
  8. 【2020年の広告費】ネット広告は2.2兆円でプラス成長、マスコミ四媒体広告は前年割れ。ECプラットフォーム広告は1321億円

    電通が公表した「2020年 日本の広告費」。2020年1~12月における日本の総広告費は前年比11.2%減の6兆1594億円。インターネット広告費のみプラス成長で、マスコミ四媒体広告費などは前年割れ

    2021/2/26
  9. 「楽天市場」の商品検索画面に広告を出稿できるメーカー向け運用型広告プロダクトに、リターゲティング広告の配信メニューを追加

    「RMP-Sales Expansion」は「楽天市場」に出店していないメーカーでも出稿できる運用型広告プロダクト。新たに「楽天市場」以外の広告媒体へリターゲティングできる広告配信メニューを加えた

    2021/3/1
  10. 大企業だけじゃない! コロナ禍の今、中小企業や地方企業こそ越境ECを活用すべき理由

    日本製マスクの需要を捉えた「ナナンワールド」と、“日本ロス”消費に応える青森県の事例(連載第3回)

    2021/3/3

    ※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

    内山 美枝子

    「BASE」が決済手段を拡充、1万社超が使うアマゾンのID決済サービス「Amazon Pay」を「BASEかんたん決済」に追加

    5 years 6ヶ月 ago

    BASEは3月3日、ECサイト構築サービス「BASE(ベイス)」で、Amazonが提供するID決済サービス「Amazon Pay(アマゾン ペイ)」の取り扱いを始めた。「BASE」加盟店は決済手段に「Amazon Pay」を追加できるようになる。

    「Amazon Pay」との契約は、「BASE」加盟店ではなくBASE社が行う形態。取引の安全性を保証するための仲介サービス「エスクロー決済」の形式で、「BASE」加盟店は決済手数料をBASE社に支払うフローになる。

    BASEでは、「BASE」加盟店にエスクロー形式の決済サービス「BASEかんたん決済」を展開。クレジットカード決済、キャリア決済、コンビニ支払い、PayPal決済、後払い、銀行振り込みといった決済手段があり、決済手数料は決済金額の3.6%、処理手数料で40円を一律で徴収している。

    BASEは3月3日、ECサイト構築サービス「BASE(ベイス)」で、Amazonが提供するID決済サービス「Amazon Pay(アマゾン ペイ)」の取り扱いを始めた
    カート内の表示イメージ(画像はBASEのサイトからキャプチャ)

    「Amazon Pay」はこの「BASEかんたん決済」の新たな決済手段の1つとして追加した。「BASE」加盟店の「Amazon Pay」利用に関しては、別途サービス利用料として決済金額の3%が必要になる。

    「Amazon Pay」とは

    Amazonアカウントに登録された配送先住所やお支払い情報を使うことで、Amazon以外のECサイトで簡単にログイン・決済ができるID決済サービス。

    「Amazon Pay」が導入されたECサイトでは、Amazonアカウントを利用すれば、購入時に配送先・クレジットカード情報の入力をすることなく、決済を行うことが可能。買い物カゴに商品を入れてから、最短2クリックで決済することが可能になるため、消費者の「独自ドメインのECサイトでの情報入力の不安」「情報入力のめんどくささ」「入力ミス」などの解消が期待できる。

    「Amazon Pay」が提供するベネフィット
    「Amazon Pay」が提供するベネフィット(画像は「Amazon Pay」のサイトからキャプチャ)

    日本で「Amazon Pay」の提供が始まったのは2015年5月。それから5年で、導入企業は1万社を突破。また、ジャンルを問わずにさまざまなECサイトが「Amazon Pay」を決済手段として導入している。

    商品の配送状況を音声でお知らせする機能にも対応

    「BASE」は、「Amazon Pay」を使って購入された商品の配送状況を音声で通知する「Alexa Delivery Notifications」(日本では「Amazon Alexa配送通知機能」と呼ばれている)にも対応した。

    対象商品であれば、Amazonのクラウドベースの音声サービス「Amazon Alexa」搭載のスマートスピーカー「Amazon Echoシリーズ」などを通じて配送状況を音声通知で受け取ることができる。

    「Alexa配送通知機能」を使用した配送通知の動画イメージ

    購入した商品の配送状況を音声で通知する取り組みは「Amazon.co.jp」で2019年夏頃からスタートしている。

    BASEは「BASE」加盟店での商品購入後に音声で配送状況を通知できる「Alexa配送通知機能」を実装。「Amazon Alexa」搭載デバイスを持ち、「Amazon Pay」で対象商品を買い物した消費者へ音声による配送状況の通知を行えるようにした。

    なお、「Amazon Alexa配送通知機能」はPCなどを販売するドスパラの自社ECサイト、「グローバルWiFi」を展開するビジョンなどが導入している。

    石居 岳
    石居 岳

    広告業界に衝撃を与えた「ステラ漢方事件」から考えるWeb広告への問題意識 | 通販新聞ダイジェスト

    5 years 6ヶ月 ago
    2020年7月に起きた「ステラ漢方事件」はWeb広告業界に衝撃を与えました。大阪府警はアフィリエイト・サービス・プロバイダ(ASP)への家宅捜索など、新たな事件捜査に着手しています

    昨年7月の「ステラ漢方事件」は、広告業界に衝撃を与えた。大阪府警が薬機法の「何人規制」を発動。広告主のステラ漢方だけでなく、広告代理店関係者の逮捕に踏み切ったためだ。だが、警察当局によるウェブ広告業界の監視は緒についたばかりだ。すでに年末から、アフィリエイト・サービス・プロバイダ(ASP)への家宅捜索など、新たな事件捜査に着手している。

    ウェブ広告業界に衝撃を与えた「ステラ漢方事件」

    「3年で売上高100億」。ここ数年、ウェブ広告業界は、そんなバブルに沸いていた。テレビや新聞など「オールドメディア」と呼ばれる媒体への広告規制が厳しさを増す中、広告主はこぞってウェブ市場に舵を切り始めたためだ。19年、国内のウェブ広告費は、20%増の約2兆円に到達。テレビの広告費を初めて抜いた。

    これに冷や水を浴びせたのが、「ステラ漢方事件」だった。大阪府警は昨年7月、「ズタボロになった肝臓が半年で復活」などと医薬品的効能効果をうたい、健康食品「肝パワーEプラス」を販売していたとして、健食通販を行うステラ漢方の従業員を逮捕した。広告違反の内容自体、業界に身を置くものであれば、誰でも「アウト」とわかるオーソドックスなものだ。

    通販新聞 アドネットワーク 広告配信 構造 ステラ漢方事件 ソウルドアウト
    ソウルドアウトが掲示した「審査ポリシー」に関する通知

    衝撃を与えたのは、広告掲載に関与したとして、広告業大手のソウルドアウト従業員など関係者計6人の逮捕に及んだことだ。これまで警察当局が「何人規制」を厳格に適用したケースは少なく、代理店、制作サイドに動揺が広がった。

    見過ごされてきた業界の構造問題

    だが、一連の事件で見過ごされてきたものがある。「アドネットワーク」をめぐる業界の構造的な問題だ。

    アドネットは、ウェブサイトに広告を配信するプラットフォーム。システムを構築する配信事業者は、媒体社に広告の配信・分析システムを提供する。一方、媒体社は自社のウェブメディアへの広告配信を委託する。

    通販新聞 アドネットワーク 広告配信 構造
    Web広告配信の構造

    有名どころは百度(バイドゥ)子会社のpopIn(ポップイン)、GMOアドマーケティング、Zucks(ザックス)、Logly(ログリー)、Speee(スピー)、Taboola(タブーラ)など。中には1000前後の媒体社をネットワーク化する事業者もいる。媒体社にとっても、アドネットは、ウェブメディアのマネタイズを図る上で無くてはならない存在になっている。

    JARO加盟も違反広告を配信

    不適切広告の掲載に至るプロセスはシンプルだ。本来、違反の蓋然性が高い広告は、配信事業者、媒体社が水際でブロックできる余地がある。それが媒体の信用にも関わる。

    アドネットもPopIn、Loglyは、日本広告審査機構(JARO)の加盟社。Loglyは東証マザーズに上場しており、Zucksは電通が53%を出資するCARTAHOLDINGS(カルタホールディングス)のグループでもある。

    だが、媒体社は、ウェブメディアの実質的な審査は配信事業者に丸投げしている。「Taboolaなど一部は、第三者機関の薬機法チェックの証明が必要だが、アドネットの多くは、審査がザル」(代理店関係者)、「アドネットも審査を緩くすればクリック率が上がり儲かる。代理店も自重しては市場で強い広告と戦えず、自然、過激になる」(別の代理店関係者)という中、薬機法や景品表示法の観点から問題のある広告が大量に垂れ流されている。

    そもそも、両者はあくまで広告主に配信・掲載を依頼された「仲介者」。遵法意識は醸成されにくい。自らメディアを持たない配信事業者であればなおさらだ。実際、「ステラ漢方事件」で摘発対象になった広告の一部もpopInにより配信されもの。同社もその事実を認める。

    こうしたウェブ広告の構造に、前出の関係者らは、「請け負った代理店も悪い。顧客獲得を優先する広告主も悪い。けれど、業界を根本的に変えるには媒体社、アドネットも変わる必要がある」、「本来はJAROが適正化を支援すべき。だが、加盟は、企業の信頼を得るためのロビー活動になっている」と指摘する。

    ASP運営企業の捜査当局への協力は「事実」

    自社で広告審査基準を運用する単一メディアは、審査厳格化の動きをみせている。ヤフーは、昨年8月、コンプレックス部分を露骨に表現した広告の出稿を禁止。20年度上半期に約1億1000万件の広告表現を「非承認」にしたことを公表した。一部のウェブメディアも「昨年以降、審査が厳しくなっている」(代理店関係者)という。

    通販新聞 アドネットワーク 広告配信 構造 Yahoo コンプレックスに関する表現
    「Yahoo!」広告ではコンプレックス部分を露骨に表現した広告出稿を禁止
    (画像は編集部が「Yahoo!広告」サイトからキャプチャし追加)

    一方、アドネットは事件後、「複数の配信事業者が協議したと聞いたが、『やられることはないから大丈夫』との結論に至った」(別の関係者)との話も聞かれる。

    今回、事件を受けた対応や審査体制について表の配信事業者に質問したが、回答があったのはpopInのみ(Speeeは「担当者の時間が確保できず辞退」と回答)。薬機法や景表法に基づく適法性審査を専門チームが「行っている」とし、事件を受け、「社内審査基準の一層の見直し、社内への注意喚起を行った」とする。ただ、基準運用の詳細は明かしていない。

    「ステラ漢方事件」から約半年。大阪地検は逮捕者の処遇を「開示していない」とするが、複数の関係筋は「まだ起訴・不起訴の判断は行われていない」と明かす。

    だが、警察当局は、すでに新たな動きをみせている。健食広告の薬機法違反に絡み、大阪府警がASPに家宅捜索を実施。府警は、「事実関係を含めノーコメント」とするが、当のASP運営企業は、「捜査当局へ協力しているのは事実」と認める。ウェブ広告関与の「代償」は確実に重くなっている。

    「JARO」の山本一広専務理事に聞く、ウェブ広告の問題意識

    日本広告審査機構(=JARO)には、「ステラ漢方事件」で逮捕者を出したソウルドアウトなど広告事業者が多く加盟する。アドネットワークによる不適切広告の配信の是正は「活動の範囲外」と回答。活動のスタンスは、こうした事業者の排除ではなく、適正化の支援とする。山本一広専務理事に、事件を受けた問題意識を聞いた。

    通販新聞 アドネットワーク 広告配信 構造 JARO
    「JARO」の事業目的と事業内容、10年ビジョン

    ――「ステラ漢方事件」で逮捕者を出したソウルドアウト、同社に社外取締役を派遣するヤフーが加盟社になっている。事件を受けて対応を行ったか。

    ソウルドアウトが加盟したのは事件後。適正化のために入会したいとの申し出があり、ヒアリングや理事会判断を経て会員になった。事業自体が反社会的でなく、広告の適正化を進める意思のある企業は積極的に受け入れるスタンス。会社自体の信用もあり、事件も組織的なものではないと判断して認めた。

    ヤフーは業界内でも広告適正化に前向きな会社と認識しており、協会の活動にも協力してもらっている。

    ――入会の基準は。

    基準というより、広告適正化に努める意思確認が中心になる。必要に応じて面談や業容の確認を行う。その上で法令順守、広告の質的向上に努めるなどの誓約書を提出いただき、最終的に理事会で承認する。

    広告露出の仕組みに踏み込む調査能力はない

    ――摘発対象の広告は、アドネットワークで配信された。本紙取材では、少なくとも当該広告の配信事業者1社は加盟社になる。把握しているか。

    していない。

    ――ソウルドアウトからヒアリングは検討するか。

    JAROの活動領域は広告・表示の適正化と認識している。アドネットワークでの広告露出の仕組みに踏み込んで調査する能力はない。それは個々の事業者の責任であると考えている。

    ――起きた背景を捉え正していくことは広告適正化の方向性と一致するのではないか。

    カバー領域はあくまで広告表示。表示の是非は判断できても、なぜ審査をすり抜け悪質な広告が掲載されたか、仕組みに踏み込めない。

    ――ソウルドアウトに聞けばわかるのではないか。他媒体とアドネットの配信広告の水準を横並びで見た時に、適正化に向けてできることもあるように感じる。

    不適切な広告が世の中に配信されない仕組みづくりは配信事業者がやること。JAROは構造を正していく立場にない。

    苦情を起点に見解を審議

    ――それではJAROが行うことは何か。

    消費者、時には事業者もいるが、原則は、苦情を起点に中立性を担保した場で広告に対する見解を審議し、広告主に伝える。あくまで苦情が起点である。一方で苦情がないものをJAROが恣意的に行わないのがポリシーだ。

    ――広告主でない関連事業者を加盟させる意味合いが希薄にならないか。

    加盟社は、大きな視点で広告適正化が広告業界にとって必要であるというスタンスで加盟してくれていると思っている。

    ――他媒体のように一定の考査基準の共有を目指す道もある。基準策定を支援することはないのか。

    定款に定める事業内容には業界団体が広告基準を策定する際に支援するというものがある。ただ、定款を定めた当時はウェブもなく、各業界で考査基準が共有されていない背景があった。業界特有の事情に即した基準策定は難しさもあり軽々に言えるものではない。

    今はこちらが業界が定めた基準を勉強させてもらい、審査や事前相談に活かす立場だ。

    ――加盟社は適正化に努める意思表示をした企業で方向性は一致する。

    起点は苦情なので苦情があれば指摘を行う。現状において苦情がない中で逮捕者を出たから問いただしていくことは範疇外。それはほかの方がやることで、こちらに強制力はない。

    ――今回の事件を起点にソウルドアウト、関連事業者に行う対応はない。

    過去のことでもあり対応することはない。

    Web広告への問題意識から新たな広告審査を設置

    ――広告審査は要請の程度が弱いものから「助言、要望、警告」で見解を示す。昨年4月、新たに「厳重警告」を設けた。ウェブ広告への問題意識からきたものか。

    そうなる。媒体で区別はないが、多くの媒体は事前審査が徹底している。現状で『厳重警告』にあたる広告が掲載される可能性は低い。ウェブは不適切な広告・表示を行う事業者が、まだすり抜ける手段がある。

    ――アドネットの配信広告に対する問題意識は。

    当然、関心は持っている。2年ほど前からウェブ業界の企業に積極的に加盟してもらい、連携・協力の輪を広げようと努めている。ウェブ広告業界も悪質な広告を放置しているわけではないが、新興企業の参入も多く、現状として悪意のある事業者がアドネットワークを利用した時にシステム上、適正化が難しい部分もあると理解している。

    ※記事内容は紙面掲載時の情報です。
    ※画像、サイトURLなどをネットショップ担当者フォーラム編集部が追加している場合もあります。
    ※見出しはネットショップ担当者フォーラム編集部が編集している場合もあります。

    「通販新聞」について

    「通販新聞」は、通信販売・ネット通販業界に関連する宅配(オフィス配)をメインとしたニュース情報紙です。物品からサービス商品全般にわたる通販実施企業の最新動向をもとに、各社のマーチャンダイジング、媒体戦略、フルフィルメント動向など、成長を続ける通販・EC業界の情報をわかりやすく伝え、ビジネスのヒントを提供しています。

    このコーナーでは、通販新聞編集部の協力により、毎週発行している「通販新聞」からピックアップした通販・ECのニュースや記事などをお届けしていきます。

    → 年間購読を申し込む(通販新聞のサイト)
    → 通販新聞の過去記事を読む(通販新聞のサイト)
    → 通販新聞についてもっと詳しく知りたい

    通販新聞

    コロナ禍のランドセル商戦。土屋鞄は貸出サービス&LIN相談、イトーヨーカ堂は「バーチャル店舗」で接客

    5 years 6ヶ月 ago

    3月のランドセル商戦が始まった。非接触ニーズが高まるコロナ禍での商戦で、ランドセルを販売する企業はどのような取り組みをしているのか?

    土屋鞄製造所は初となるランドセルの貸し出しサービス「レンタルランドセル」を導入、LINE相談なども行う。イトーヨーカ堂はスマホやパソコンで新作ランドセルが確認できる「バーチャル店舗」で、バーチャルスタッフが商品説明などを行う。

    消費者のニーズが高まる非接触に対し、各社はオンラインを活用した新たなランドセル販売に取り組んでいる。

    土屋鞄は3月10日に始める2022年入学用ランドセルの注文受け付けを前に、自宅でランドセル選びが楽しめる「レンタルランドセル」を導入した。2022年入学用のモデル全61種類をWebサイト上で選んで試着できるサービス。自宅で背負い心地や重さを試して、実際の色味、デザインなどが確認できる。

    ランドセル商戦、土屋鞄製作所、イトーヨーカ堂の非接触による商戦開拓に関する取り組み

    Webサイトから申し込むと自宅にランドセルが届き、ランドセルを試着した後、返送する仕組み。レンタル期間は2泊3日で、利用料金は1回3000円(税込)。送料・返送料は無料。1回の注文でレンタルできるのは1種類のみ。2種類以上を希望する場合は、複数回に分けて注文する必要がある。

    また、知識豊富なスタッフがLINEのチャットやビデオ通話機能を通じて質問に対応。チャットで寄せられた質問にスタッフが応える。相談時間は10:00~17:00で、土日祝は定休。チャットボットでの相談は24時間受け付ける。AI(人工知能)による自動応答システムで質問に回答する。

    ランドセル商戦、土屋鞄製作所、イトーヨーカ堂の非接触による商戦開拓に関する取り組み
    LINEを活用した接客のイメージ

    イトーヨーカ堂は3月1日、自宅などで家族と一緒にじっくりと商品が確認できるように「バーチャル店舗」を開設した。商品確認後、イトーヨーカドーのネット通販(オムニ7)で商品を購入できる。

    ランドセル商戦、土屋鞄製作所、イトーヨーカ堂の非接触による商戦開拓に関する取り組み
    イトーヨーカ堂が開設した「バーチャル店舗」

    試着したいという声も多いことから、「バーチャル店舗」で確認後、近くのイトーヨーカドーで実際の商品を試すこともできる。

    「バーチャル店舗」ではランドセルのブランドや商品の紹介に加え、一部商品で担当者による「ランドセル紹介動画」も用意。「バーチャル店舗」での接客を担う。

    ランドセル商戦、土屋鞄製作所、イトーヨーカ堂の非接触による商戦開拓に関する取り組み
    「バーチャル店舗」でのバーチャルスタッフによる接客イメージ(画像は「バーチャル店舗」からキャプチャ)

    機能やこだわりについて、詳しく確認できるようにしている。専用アプリをダウンロードして、カタログに記載されたアイコンをスキャンすると、子どもがランドセルを試着した画像を確認できるサービスも用意した。

    石居 岳
    石居 岳

    ウォルマートも導入した「プレミアムロイヤルティプログラム」とは? 顧客リピート化を生み出すインサイトとその効果を解説 | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

    5 years 6ヶ月 ago
    競合他社との差別化を図り、顧客のリピート率を高める「ロイヤルティプログラム」施策。2021年に注目したい「プレミアムロイヤルティプログラム」とは?

    顧客のリピート率を高める施策として有効な「ロイヤルティプログラム」ですが、より効果を出すための方法はあるのでしょうか。スーパーマーケットチェーン「Walmart(ウォルマート)」の導入で注目を集める「プレミアムロイヤルティプログラム」について解説します。

    ウォルマートが始めた「Walmart+」とは?

    ウォルマートは2020年9月、プレミアムロイヤルティプログラム「Walmart+(ウォルマート+)」を開始しました。

    Walmart+のサービス紹介ページ
    Walmart+のサービス紹介ページ(画像:サイトからキャプチャ)

    年会費を支払った「Walmart+」会員は、送料無料、食料品の無料配達、ガスの割引、スマートフォンでスキャンするだけで料金を支払える機能など、さまざまな特典を受けることができます。

    米国内最大手の小売事業者がこのプログラムを開始したことで、ロイヤルティプログラムが今後も重要なマーケティング戦略であることが証明されました。同時に、ロイヤルティプログラムの差別化が今まで以上に大切になります。

    「Walmart+」のイメージ動画(編集部が追加)

    「プレミアムロイヤルティプログラム」は「ロイヤルティプログラム」と何が違う?

    ロックダウンやソーシャルディスタンスの影響で、オンラインショッピングは増加傾向にあります。消費者には無数の選択肢が提供され、顧客のロイヤルティを獲得することはこれまで以上に難しくなっています。プレミアムプログラムも従来のロイヤルティプログラムも、会員に真の価値を提供すれば、顧客を引きつけ、リピート購入を促すための効果的なツールになります。

    プレミアムロイヤルティプログラムとは、会員が料金を支払うことで、会員限定の体験やすぐに利用できる特典と引き換えられるロイヤルティプログラムのことを指します。

    従来のロイヤルティプログラムは、顧客が買い物をして時間をかけてポイントを獲得し、後から特典を受け取ることができるシステムです。重要なのは、顧客が時間とコストを節約し、競合他社にはないユニークな体験を提供できるよう、顧客に適したサービスの組み合わせを見つけることです。

    ロイヤルティプログラムのレポートから得た4つのインサイト

    プレミアムロイヤルティプログラムの提供・導入支援を行う「Clarus Commerce」は2021年1月、「消費者のロイヤルティに関する調査2021」を実施。全米のマーケティングおよびロイヤルティプログラムの専門家300人を対象に、小売事業者の現在および将来のロイヤルティプログラム戦略などを明らかにしました。この結果を見ると、小売事業者がこれからのロイヤルティプログラムに何を期待できるかがわかります。

    このレポートでは、ほぼすべての小売事業者が顧客のロイヤルティに関心があることが判明しています。適切なタイミングで提供するリワードの重要性、マーケティング担当者の機会損失、プレミアムロイヤルティプログラムの価値、適切なベンダーとの連携の重要性が明らかになりました。

    1.“1週間以内の特典提供”でより良い結果に

    消費者はすぐに満足感を得たいと考えているため、ロイヤルティプログラム会員にすぐに特典を提供すればリピートにつながります。最初の1週間以内に特典を提供している小売事業者の86%が、「ロイヤルティプログラムの会員は少なくとも週に1回は買い物をする」と答えています。この数字は、最初の1か月以内に特典を提供している小売業者では63%にまで低下します。

    さらに、早期に割引を提供している小売事業者ほど、ROI(投資対効果)の目標を早く達成しています。最初の週に特典を提供した小売事業者では、62%が最初の6か月以内に費用対効果を確認しています。

    一方、最初の1か月以内に特典を提供した小売事業者のうち、「半年内に費用対効果が得られる」と回答したのは21%にとどまります。ロイヤルティ会員にすぐに特典を提供せず、満足感を感じてもらうタイミングが遅れると、会員の購買意欲が低下したり、買い物頻度が下がる可能性があります。

    2. ホリデーシーズン中に看過されるロイヤルティプログラム

    ロイヤルティプログラムを通じてホリデー割引を提供している小売事業者はわずか7%。これはチャンスを逃していることになります。2020年のロイヤルティに関する調査では、ミレニアル世代の73%がホリデーシーズンの割引のためにロイヤルティプログラムに加入していることがわかりました。

    さらに消費者の38%は、ホリデー割引があればプレミアムロイヤルティプログラムに加入する動機になると答えています。調査結果と現実の乖離(かいり)は、マーケティング担当者が顧客獲得とリテンションの機会を逃していることを示唆しています。ホリデー割引がなければ、顧客は競合他社でホリデーショッピングをするリスクがあるのです。

    3. プレミアムロイヤルティプログラムで顧客ロイヤルティをさらに引き上げる

    従来のロイヤルティプログラムはマーケティングミックスの重要な要素ですが、プレミアムロイヤルティプログラムや階級別のプログラムは、ロイヤルティをさらに引き上げます。

    プレミアムロイヤルティプログラムを提供している小売事業者の半数以上(51%)が、このプログラム会員には、通常の顧客の少なくとも4倍の価値があると考えています。これらのプログラムは、顧客をそのブランドでコンスタントに買い物するブランドの支持者に変えていきます。

    優良顧客の要望やニーズに合わせたプログラムを提供することは、自社と顧客の双方にメリットがあるのです。実際、プレミアムロイヤルティプログラムを導入している小売業者の82%が、プログラムの収益性を10点満点中8点と評価しています。

    4. 成功しやすいのはベンダーと提携している小売事業者

    ロイヤルティプログラムを開始する際の小売事業者の最大の壁は優先順位の付け方で、回答者の3分の1以上(37%)が優先順位を問題としてあげていました。また、社内リソースの不足(24%)とITサポートの不足(19%)も一般的な課題でした。

    このような社内のハードルが、一部の小売事業者がロイヤルティプログラムの構築と管理にベンダーを利用する主な理由となっています。ベンダーは、常に進化し続ける小売業界において、最新のプログラムを駆使して、ニーズに即したサービスの提供を行っています。ベンダーを利用している小売業者の27%が、過去1か月以内にプログラムを更新したことがあるのに対し、自社プログラムを利用している小売事業者は8%しか更新していません。

    さらにベンダーを利用している小売事業者には、リピート顧客が多いです。ベンダーを利用している事業者の44%が、「ロイヤルティ会員は少なくとも数日に1度は買い物をする」と回答しています。一方、自社でプログラムを管理している事業者のうち、「ロイヤルティ会員が少なくとも数日おきに買い物をする」と答えたのは30%にとどまりました。ベンダーを利用している小売事業者は、プログラムのROI目標をより早く達成しています。

    ◇   ◇   ◇

    顧客は、ニーズに沿ったメリットと価値をショッピング体験に求めています。小売事業者が顧客のロイヤルティ獲得合戦を繰り広げる中、差別化がこれまで以上に重要になっています。2021年には顧客の囲い込みが重要な焦点となるため、ロイヤルティプログラムで競合他社との差別化を図り、顧客のリピート率を高める方法を検討しましょう。

    この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん、白川久美さん、中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

    Digital Commerce 360
    Digital Commerce 360

    人気記事トップ10

    人気記事ランキングをもっと見る