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ECの立ち上げがうまくいっていない中小EC実施企業の方へ。コストと品質を最適化する重量課金型の「シェアリング物流」とは

5 years 5ヶ月 ago
「シェアリング物流」は、「皆でシェアして使った分だけ支払う」という従来の「通常課金型」とは全く異なる物流の利用形態。早く・安く・簡単にECを立ち上げられるシェアリング物流の実態を紹介

物流センター内の設備や保管スペースなどを複数の荷主で共同利用する「シェアリング物流」は、配送料の値上げといった経営環境を踏まえ、EC物流に関する初期投資や固定費を抑制できる物流アウトソーシングの選択肢として注目を集めている。

倉庫内の自動化・省人化機器や情報システム、保管や作業のスペース、作業スタッフといった物流に必要なリソースを複数の荷主で共同利用。通常であれば相当の初期投資や月額利用料金を従量課金で使うことができる。物流業務・コストを最適化したいスタートアップや中堅・中小企業が押さえておくべき「シェアリング物流」についてお伝えする。

使った分だけ支払う、従量課金型の「シェアリング物流」とは?

使った分だけ料金を支払う形式の従量課金型「シェアリング物流」は、自動梱包ラインや無人搬送ロボットといった最新機器、情報システム、保管スペース、作業スペース、作業者、梱包材などを複数の事業者で共同利用するというもの。

物量に応じた“使った分”だけを支払う形式で、事業規模の拡大に合わせて保管スペースを柔軟に拡張することもできる。

最大の魅力は、使った分だけ支払う「従量課金型」を採用していることから、初期投資や固定費を抑えながら事業拡大に向けてEC事業を運営できる点。その最たる例がAmazonの物流サービスだ。

直販や第三者販売で流通額を拡大。物量の増加に伴い広がった物流センターで提供するAmazoの物流ノウハウを生かしたFBA(フルフィルメント by Amazon)は、AmazonのリソースをEC事業者が共同で利用。FBA利用企業は1個あたりの配送単価を抑えながら、スピード配送など、Amazonの強力な物流サービスを利用できている。

「通常課金モデル」と「従量課金モデル」を比較した図
「通常課金モデル」と「従量課金モデル」を比較した図(物流コンサルタント・Linkth小橋重信代表取締役が作成)

通常課金モデル

EC事業者の物量ごとに、物流スペースを区分することから、スペース費用、事務管理費、システム利用料などが固定費でスタートする場合が多い。物量の少ないスタート時のEC事業者にとっては、物量が増えるまで1件あたりの物流費が高くなる

従量課金モデル

スペース、システム、事務管理などは1点あたりの料金としてカウントされたり、出荷料に含まれたりするため、使った分だけ支払うことになる。数量が少ないスタートアップ企業には、導入しやすいコスト体系となっている。

近年は、佐川グローバルロジスティクス、日立物流などの大手物流会社もこうした従量課金モデルのシェアリングサービスを推進。EC事業者は、物流各社が提供する最新のロボティクス設備を低コストで利用することができる環境となっているのだ。

佐川グローバルロジスティクスに物流センター「Xフロンティア」内にある、最新のロボティクス設備を紹介した動画。EC事業者は最新設備を共同で利用できる

「シェアリング物流」はスタートアップや新規EC参入事業者、ECがうまくいっていない事業者らが、押さえておくべき近年の物流トレンドだ。

EC新規参入、ECがうまくいっていない事業者が意識すべきことは「バックヤード」

取扱数が増えた!でも、「基礎工事」ができていないと……?

現在、リアルチャネルを販路の中心にしてきた中小企業が、急ピッチでECビジネスの立ち上げを進めている。コロナショックで、店舗の一時閉鎖や営業時間の短縮など打撃を受けたことが要因だ。秋から冬にかけて訪れると予測される、新型コロナウイルス感染症第2波、第3波に備えてECを始めようと考える事業者も多い。これまでECがうまくいっていなかった事業者もしかりだ。

中には無料のECプラットフォームを使い、「一日でも早く」と、後先かまわず立ち上げ優先でプロジェクトを進める事業者も少なくない。こうしたサービスは手軽にスタートできるのが最大のメリット。一方、売り上げや取扱量が増えた場合のバックヤード設計を意識したプラットフォーム選定、およびバックヤードを構築しなければ、ビジネスが立ちゆかなくなる可能性が出てくる。

EC事業者向けに物流コンサルを手がけるLinkthの小橋重信代表取締役は、次のように指摘する。

ECは、「売る」と「届ける」が1つになって初めて完成するビジネス。無料で利用できるECプラットフォームで「売れる」フロント面は作れても、「届けるための適切なバックヤード構築ができていなければ、基礎工事ができていないところに家を建てるようなもの。受注が増えて処理できない、在庫管理などが追いつかない……。売り上げや取扱量が増えれば、商品を顧客ニーズに沿って届けられないなど、ビジネスが破綻する可能性がある。(小橋氏)

EC事業者の悩みは、「数多い物流会社から、どこを選んだら良い?」

できるだけコストを抑えてバックヤードを構築したい……。ただ、EC事業者が「適切なバックヤード構築」を進めにくい理由も存在する。その理由の1つが「物流会社は数多くあるが、どこが自社に適しているのかが分かりにくい」という問題だ。

自社の取り扱う商品やビジネスモデルに応じて、拠点の立地・規模、設備機能、WMS(倉庫管理システム)、対応配送キャリア、配送スピード、同梱物の設定方法など、物流倉庫を選択する際に比較検討すべき材料は多岐にわたる。

たとえば、EC事業者が物流会社を利用するときに提示されるエントリーシート。「返品」「システム」「CS」「その他現状」など質問事項は細かく分かれており、サービス導入前、それらすべてに回答していくことになる。

こうしたフォーマットや見積もり項目は物流会社ごとによっても異なることから、導入を検討するEC事業者は比較検討がしにくく、「結局どこを選んだら良いのか分からない」と足踏みをしてしまうケースも多い。

エントリーシート例
エントリーシート例(シートはLinkth小橋氏が作成)

それ以外にも、ECショップに関する基本情報、入庫作業について、保管作業について、出荷作業について、返品作業についてなど、書面ベースで事前確認を必要とする事柄が非常に多い。

こうした事務的作業の負担に加え、スタートアップやうまくいっていないEC事業者は物量が少ないことから、取り扱ってくれる物流倉庫が限られるという問題もある。システム利用料、スペースなどを含めたコストでは採算割れしてしまうといった理由で物流センターの利用を断念。自社で出荷対応するといったケースも散見される。

ただ、前述したとおり、適切なバックヤードが構築できていなければ、売り上げや取扱数量が増えた場合、「商品が届かない」などのトラブルにつながる恐れがある。では、どうすればいいのか?

その解決方法の1つとして、スタートアップや新規参入、うまくいっていないEC企業は、リスクやコストを最小限に抑えながら、規模拡大に向けた柔軟な対応などができる「シェアリング物流」に目を向けるべきなのだ。

◇   ◇   ◇

ネットショップ担当者フォーラム編集部では、7月9日(木)16時半〜、シェアリング物流についてネット通販のプロ10人が解説するウェビナーを開催します。

失敗しないECビジネス新常識~『システム選び』『シェアリング物流』をFS、フラクタ、Hamee、アイル、オープンロジ、清長、日立物流、SGLらネット通販のプロ10人が解説~」

  • 日時:7月9日(木)16:30-18:00
  • 会場:オンライン配信
  • 受講料:無料(事前登録制)
  • 主催:インプレス
  • 詳細はこちらhttps://netshop.impress.co.jp/node/7766
上記の画像をクリックするとイベントページへ遷移します
公文 紫都
公文 紫都

しまむらが2020年秋に始めるEC事業――ホームページと公式アプリでECサービスを展開、「しまコレ」はサービス提供を終了へ

5 years 5ヶ月 ago

しまむらが2020年秋に運用を始めるECサイト運営に関する概要が明らかになった。

しまむらのホームページ、チラシなどの情報を把握できる公式アプリ内でECサービスを展開する方式を採用。2020年2月期で売上高9億5000万円を計上した、スマホで商品を注文し店頭取置が行えるアプリ「しまコレ」のサービス提供は終了する。

ECサイトでの注文商品は、送料をしまむらが負担する店舗受け取り、送料は購入者が負担する個人宅配送の2つの方法で運用。決済方法は、店舗受け取りの場合は店舗での支払い、個人宅配送はクレジット払いとする。

埼玉県の東松山商品センターを増築し、増設部分をECセンターとして稼働させる。サプライヤーが東松山商品センターに納品後、隣接するECセンターで検収、在庫として保管する。店舗受け取りはしまむらの物流網で配送し、個人宅配送の場合は宅配業者に配送を委託する予定。

しまむらが2020年秋に運用を始めるECサイト運営に関する概要 埼玉県の東松山商品センターを増築し、増設部分をECセンターとして稼働させる
物流センターについて(画像は決算説明会資料からキャプチャ)

なお、ECセンターではマテハンの設置が完了するなど、ハード面、商品手配やシステムなどのソフト面の準備が順調に進んでいるという。

2021年2月期は「しまコレ」とEC事業で約20億円、2022年2月期は25億円の売り上げを見込む。また、2020年2月期にはアベイル、バースデイなど他事業の商品も取り扱う計画。

しまむらが2020年秋に運用を始めるECサイト運営に関する概要 2021年2月期は「しまコレ」とEC事業で約20億円、2022年2月期は25億円の売り上げを見込む
注文金額とアプリDLの推移と計画(画像は決算説明会資料からキャプチャ)

2月にEC事業部を新設、1Qは「しまコレ」注文額5億円

ECサイトの開設や既存アプリへのEC機能搭載によって運用の終了が予定される「しまコレ」。2020年3-5月期(第1四半期)で累積ダウンロード数は100万ダウンロードを超え、注文金額は計画通りの約5億円だった。

4月度までは新型コロナウイルスの影響で「店頭で受け取り」のメリットが生かせなかったものの、5月度は計画比20%増と伸長した。

しまむらはECサイトの開設に先駆け、2月21日付でEC事業部を新設。商品部・販売企画部・広告宣伝部・市場調査部統括を担っていた取締役執行役員の齋藤剛樹氏が、システム部・EC事業部・物流部・貿易部を統括する。

2018年7月に初めてのECビジネスとして「ZOZOTOWN」に出店したものの、2019年6月、出店コストの高さを理由に退店。出店理由は、店舗がない地域や来店が難しい顧客の利便性向上、新規顧客の開拓のほか、「自社ECサイトを運営するためのノウハウの獲得」(しまむら・企画室)だった。

瀧川 正実
瀧川 正実

【30分で実践可能】優れたコンテンツのアイディアを出すための15の質問

5 years 5ヶ月 ago

コンテンツの作成がWebマーケティングにとって重要であることは明らかですが、実際は、どのようなコンテンツを作成すべきか悩むことも多いです。オリジナルで、顧客の役に立ち、サイトの価値を高めてくれるコンテンツが望ましいですが、そのアイディアを出すことも一苦労かと思います。今回は、そうしたコンテンツ作成の悩みについて、ポイントとなるシーンをまとめた記事を紹介します。単純なアイディアのリストではなく、そこから考えることで初めて役に立つような記事です。考え方の整理としても、非常に有用な内容となっています。 続きを読む

投稿 【30分で実践可能】優れたコンテンツのアイディアを出すための15の質問SEO Japan|アイオイクスのSEO・CV改善・Webサイト集客情報ブログ に最初に表示されました。

空調服訴訟・後日譚/やらないことを決めるとうまくいく【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

5 years 5ヶ月 ago
2020年6月26日~7月2日にアクセス数の多かった記事のランキングを発表! 見逃している人気記事はありませんか?
  1. 製造委託先から訴えられた「空調服」は、その後どうなったのか?

    「空調服」をめぐる株式会社空調服とサンエスの訴訟。その結末は意外なものだった(連載第16回)

    2020/6/29
  2. 「2,000円ベーコン」「ひとりEC」「ねこねこ食パン」。成功の共通項は覚悟と“やらないこと”を決めること【ネッ担まとめ】

    ネットショップ担当者が読んでおくべき2020年6月22日〜28日のニュース

    2020/6/30
  3. オイシックス・ラ・大地の奥谷氏、オプト伴氏が解説! 米国ECに学ぶ「Withコロナ」を勝ち抜くためのECビジネス【資料無料提供】

    日米の小売り・EC事業に詳しい、オイシックス・ラ・大地の奥谷孝司氏、オプトの伴大二郎氏が対談。米国の小売り最新トレンドや先端事例を交え、「Withコロナ」「Afterコロナ」で日本のEC事業者が今取るべき戦略について語った

    2020/6/29
  4. ロート製薬の「化粧品の買い方への挑戦」。D2Cのスキンケアブランド「SKIO」とは

    ロート製薬は、スキンケア関連事業をドラッグストアなどの販路で流通規模を拡大してきた。「SKIO」は、「SKIOオンラインショップ」「楽天市場」などのECサイトで展開。商品認知から購入までを統一したブランド世界観の中で行うとしている

    2020/6/30
  5. 今さら聞けないECシステムの選定ポイント。D2C、サブスクリプションモデル事業に必須の機能は何?

    session3 ASP型、オープンソース型、パッケージ型、クラウド型のメリット・デメリット

    2020/7/1
  6. 「食べログ」のカカクコムがECモール事業、全国の飲食店が扱うお取り寄せ品を販売

    「食べログモール」は飲食店のお取り寄せ商品を集めたECモール。国内各地の飲食店が扱うお取り寄せ商品を販売する。出店形式のECモールで、特商法上の販売主は出店した企業。商品は出店企業が配送する

    2020/6/30
  7. IoT宅配ボックス利用で再配達率が41.7%から14.9%に減少。ドライバーの労働時間は約178時間削減

    LIXILが東京都江東区・江戸川区で行った「IoT 宅配ボックスによる再配達削減『CO2削減×ストレスフリー』実証プロジェクト」の最終結果によると、再配達率は41.7%から14.9%に削減。実験に協力した佐川急便ドライバーの労働時間も約178時間削減した

    2020/6/26
  8. コロナ禍でニトリの通販事業は約4割増の168億円、休業店の落ち込みを通販などでカバー

    ニトリホールディングスの2020年3-5月期(第1四半期)通販事業の売上高は、前年同期比40.9%増の168億円だった。2019年の同時期における通販売上高は100億円で、前の期比33.4%増

    2020/7/1
  9. 顔認証のキャッシュレス+AIテクノロジー活用の未来型無人化店舗とは

    未来型無人化店舗の名称は「SECURE AI STORE LAB」。最新のAI(人工知能)テクノロジーの活用によって、顔認証によるキャッシュレス決済、無人化による店舗運営を省人化・最適化を実現する実店舗

    2020/6/29
  10. ヤマハがメーカー直販、ゴルフアクセサリーを扱うECサイト「ヤマハ ゴルフオンラインストア」を開設

    「ヤマハ ゴルフオンラインストア」はキャディバッグ、キャップ&サンバイザー、ヘッドカバー、グローブなどのアクセサリー関連商品の全59品番を販売。今後はECサイト限定商品の販売も行う

    2020/7/1

    ※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

    内山 美枝子

    通販の購入場所、ECサイトに限定してもEメールよりDMのほうが購入率が高い、日本リテンション・マーケティング協会が調査

    5 years 5ヶ月 ago
    一般社団法人日本リテンション・マーケティング協会は、商品の顧客維持・育成施策について、実証実験の結果を発表した。オムロンヘルスケアの自社運営通信販売において、コードレス低周波治療器「HV-F601T」...

    コロナ禍でEC不正注文が増加。被害割合TOP3は「健康食品」「ホビー」「アパレル」

    5 years 5ヶ月 ago

    不正注文検知サービスを提供するかっこは、クレジットカードの不正利用、転売、なりすましといった目的の不正注文に関する傾向を商材別に調査し、2019年同時期のデータと比較・分析した。

    不正被害全体でみると被害件数は3%増、被害金額が21%増。「1件あたりの被害金額も増加していることがわかる」(かっこ)と言う。調査対象期間は2020年2月~5月。

    健康食品の被害が最多、増加率はアパレル

    不正被害の商材別ランキング EC不正被害 商材別 調査 不正被害 EC かっこ 健康食品 アパレル ホビー
    不正被害の商材別ランキング(2020年2月〜5月)
    (表はかっこの資料よりキャプチャ)

    不正被害の全体に占める割合が一番多い商材は「健康食品」(26.6%)で、2019年と同順位。「健康食品」はキャンペーンやトライアル施策を行うことにより新規顧客が増加するが、人気のある商品は悪質転売のリスクが高まり、不正被害のターゲットになる傾向があるという。増加率では「アパレル」がもっとも高かったという。

    不正者は初回と装って何度も初回限定商品を注文、初回購入時の価格で支払いをします。その後マーケットプレイスで購入金額より高く販売し、利益を得ています。(かっこ)

    「アパレル」は2019年の8位から2020年は3位。かっこは次のように分析した。

    緊急事態宣言を受けて店舗を閉鎖する企業が多く、補填のためにECの施策を増やしたことや注文件数が増加したことに比例して不正被害も増加したと考えられる。(かっこ)

    不正被害について2019年同時期と比較すると、件数では3%、金額では21%増加していたという。かっこは「経済産業省の調査にもあるように、2018年BtoCのEC化率の伸び率は8.12%となっており、年々増加していること」「新型コロナウイルスの影響で外出自粛により、ネット通販の需要が高まったこと」をあげている。

    不正アクセスも増加傾向

    警察庁が3月5日に公表した「不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況」によると、2019年における不正アクセス行為の認知件数は2,960件で、前年と比較すると1,474件(約99.2%)増加。不正アクセスを受ける対象の内訳では、「一般企業」が最も多く2,855件だった。

    不正アクセス行為の認知件数の推移 不正アクセス行為 認知件数 警察庁調べ 過去5年
    過去5年の不正アクセス行為の認知件数の推移
    (グラフは警察庁「不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況」からキャプチャ)
    不正アクセス行為の認知件数の推移 不正アクセス行為 認知件数 警察庁調べ 過去5年
    過去5年の不正アクセスを受けた特定電子計算機のアクセス管理者別認知件数
    (グラフは警察庁「不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況」からキャプチャ)

    2019年の不正アクセス後に行われた行為別の内訳を見ると、2位に「インターネットショッピングでの不正購入」(376件/12.7%)で、2018年と比較すると件数は約2.5倍、227件増加している。

    不正アクセス後の行為別認知件数 インターネットショッピングでの不正行為 令和元年 警察庁調べ
    令和元年における不正アクセス後の行為別認知件数
    (グラフは警察庁「不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況」からキャプチャ)
    不正アクセス後の行為別認知件数 インターネットショッピングでの不正行為 令和元年 警察庁調べ
    過去5年の不正アクセス後の行為別認知件数
    (グラフは警察庁「不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況」からキャプチャ)
    藤田遙
    藤田遙

    昔懐かしの映像・音楽商材のECでミドル・シニア層を開拓するポニーキャニオンのセグメント戦略

    5 years 5ヶ月 ago

    フジ・メディア・ホールディングスグループのポニーキャニオンが7月1日に開設したミドル・シニア層向け通販商品を中心に扱う通販サイト「お宝マーケット」は、ミドル・シニア層の開拓を目的にしたECサイト。

    ポニーキャニオンは音楽関連、アニメや映画、ドラマ、バラエティ、スポーツ、韓流など幅広い商品ラインナップを持つ総合エンターテイメント企業 。

    オリジナル特典付きのブルーレイ・DVD商品などを販売するビジュアルセレクトショップ「ムビきゃん」、アーティストグッズの「MONOCAN」、NHK「おかあさんといっしょ」「おとうさんといっしょ」のBlu-ray・DVD・CDなどを販売するECサイトなどを運営している。ジャンルや作品に特化した特設ページの制作や運営を含め、ミドル・シニア層向けの直販サイトは初という。

    取扱商品は、フォーク、ニューミュージック、アイドル歌謡、ヒーリングミュージックなどのCDボックス作品群。通販ジャンルでは鉄板の人気を誇るという「ムードサックスの帝王」サム・テイラーや「ムードギターの巨匠」木村好夫氏の名曲集などをそろえた。

    ポニーキャニオンのミドル・シニア層向け通販商品を中心に扱う通販サイト「お宝マーケット」では、フォーク、ニューミュージック、アイドル歌謡、ヒーリングミュージックなどのCDボックス作品群。通販ジャンルでは鉄板の人気を誇るという「ムードサックスの帝王」サム・テイラーや「ムードギターの巨匠」木村好夫氏の名曲集などをそろえた
    扱う商品の一部

    刑事ドラマ「西部警察」などを含む石原プロモーション作品、「8時だョ!全員集合」のDVD、二十世紀に活躍した名馬、熱闘甲子園、フィギュアスケートなどのスポーツなど、「違いの分かる大人世代に訴求できる作品を多数掲載。思い出の作品をお手元で、いつでもあの感動を呼び起こせる」としている。

    現在、コロナ禍において外出自粛をする高齢者層のEC利用が増加。また、今後はさらにインターネットを利用する高齢者が増えると予想されており、新たなターゲット層として“シニア層”に注目するEC企業が増えている。

    ポニーキャニオンはシニア層向けにターゲットを絞り、商材を“昔懐かし”という切り口でセグメンテーション。保有する資産を有効活用すると同時に、潜在顧客が多数存在すると考えられるシニア層を開拓する。

    瀧川 正実
    瀧川 正実

    “オンライン美容部員”時代を見据えるアイスタイルの新プロジェクトとは

    5 years 5ヶ月 ago

    新型コロナウィルスの感染拡大で、化粧品業界では美容部員が顧客に直接メイクやスキンケアを行うといった従来型の接客ができなくるなど、取り巻く環境が激変している。

    アイスタイルは、自社のプラットフォームや美容分野におけるノウハウを活用。非対面接客に関するさまざまなソリューションを提供し、化粧品ブランドおよび美容部員が抱える課題を解決するプロジェクト「オンライン美容部員プロジェクト」を7月1日から開始した。

    アイスタイルの「オンライン美容部員プロジェクト」の取り組み
    アイスタイルの「オンライン美容部員プロジェクト」の概要

    現在予定している取り組みは下記のとおり。

    ① オンライン美容部員の委託・育成サポート

    アイスタイルグループで美容領域に特化した人材事業を行うアイスタイルキャリアを中心に、美容部員のオンライン上でのコミュニケーション設計を支援。デジタルマインドの高い美容部員を育成する「活動支援サービス」と、オフライン/オンライン両面の接客スキルを持つBAでチーム構成する「店舗運営代行サービス」の2サービスを提供する。

    ② バニッシュスタンダード社との提携

    店頭スタッフのデジタル接客サービス「STAFF START」を運営するバニッシュスタンダードと提携。アイスタイルが化粧品ブランド向けの独占窓口となり導入支援などを行う。将来的にはアイスタイルのデータベースとの連携も検討している。

    アイスタイルの「オンライン美容部員プロジェクト」の取り組み
    「STAFF START」との連携

    ③ オンライン共通台帳の活用

    非対面接客が進むにつれて浮上する「オンライン/オフラインを横断した顧客データの管理」「カウンセリング内容の管理共有」「専門店を巻き込んだ形の非対面接客の実現」といった課題を総合的に解決するために、店舗・ブランドを横断したオンラインのカウンセリング台帳「共通カウンセリング台帳」を追加開発。オンライン美容部員時代を見据えた機能を追加開発する。

    内山 美枝子
    内山 美枝子

    「1秒の読み込み速度がECサイトの明暗を分ける」――小売事業者はデジタルエクスペリエンスの重要性を理解しよう | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

    5 years 5ヶ月 ago
    デジタルシフトに遅れをとっていた企業だけでなく、すべての企業にとって、今があらゆるレベルでデジタル化に取り組むべき時。どのように対応していくかが、今後数年間の小売業の行方を左右することになるでしょう

    これまでデジタルへ投資をしてこなかったブランドが苦戦する一方、過去に正しい戦略的な投資を実行したブランドは、現在の競争において最高の立場にいます。貴重な収益を失いたくない企業にとって、これからはシームレスなデジタルエクスペリエンスを提供できるかが死活問題になります。

    世界経済にとって歴史的な転換点となった新型コロナウイルス

    新型コロナウイルスが数理モデルで予測されているよりも早く収束するに越したことはありませんが、しばらくすればその危機は過ぎ去るでしょう。しかし、このウイルスの世界的な大流行は、一夜にして劇的な変化をもたらしました。多くの企業がオンラインに移行し、閉業に追い込まれる企業もありました。これらの変化は我々がウイルスを制圧した後も長く続くことになります。

    急速に進む小売り事業者のデジタルシフト

    新型コロナウイルスは、世界経済にとって歴史的な転換点となりました。多くの課題に直面する中、小売事業者が仕事や消費者との関わりのほぼ全てをデジタル化している急激な動きに、この変化が最も顕著に表れているでしょう。

    企業がオフィスを閉鎖し、大多数が自宅から仕事をする中、ビジネスパーソンの多くは、以前と変わらない効率と生産性が発揮できるリモートワークの方法を見つけていくと思います。同時に、オンラインへの急激なシフトにより、グローバルなトップブランドでさえも、Webサイトのトラフィック急増により、カスタマーエクスペリエンスやエンゲージメントが損なわれるなど、頭を痛めています

    ページの読み込み速度が1秒遅れるとCVRは7%下がる

    ソーシャルディスタンスの確保や屋内退避命令は一時的なものかもしれませんが、消費者や従業員がデジタルの利点を味わってしまったら、効果的なデジタルビジネスへの期待は消えません。企業はデジタルチャネルを優先し、従業員には高い生産性を、消費者には質の高いカスタマーエクスペリエンスを提供しなければなりません。

    現実は厳しいでしょう。貴重な収益を失いたくない企業にとって、シームレスなデジタルエクスペリエンスを提供することが死活問題になります。新型コロナウイルス危機の前に、デジタル顧客体験ソリューションを提供するイスラエル発の「Glassbox」がまとめたデータによると、ページの読み込み時間が1秒遅れるだけで、コンバージョンは7%下がり、ページビューは11%減少、顧客満足度も16%低下します。ビジネスでは1円でも大切なように、サイトでは1秒が明暗を分けるのです。

    デジタル対応への準備ができていない状態で始まった危機

    買いだめが横行し、Amazonでさえも技術的な不具合が発生しているのであれば、Amazonほど技術力のない企業がプレッシャーに晒されるのは当然のことです。

    コンサルティング会社の「Kantar」とeコマースパフォーマンス分析プラットフォームを運営する「Profitero」が実施した新しい調査で、そのプレッシャーの理由が明らかになっています。消費財企業のブランドリーダーのうち、自社の組織がEC運営において「時代の先を行っている」と答えたのはわずか17%で、61%が購入者分析やデジタルシェルフ機能に投資していないと回答しています。

    デジタル投資を行っていないブランドが最も危機感を感じていますが、過去に正しい戦略的な動きを行ってきたブランドは、現在の競争において最も有利な立場にあります。

    デジタルへの投資を続けてきたWalmart。既存店売上高は3%増加の予測

    デジタルチャネルへの投資で高い評価を得ているWalmartのケースを考えてみましょう。流通インフラとオムニチャネル機能の構築に特に注力しているWalmartは、米国のEC売上高でアマゾンに次ぐ第2位の座を確固たるものにしています。

    2020年の米国小売事業者のECシェア率トップ10
    2020年の米国小売事業者のECシェア率トップ10(画像は、eMarketer.comの調査結果より編集部が作成)

    世界最大規模の金融コングロマリット「Credit Suisse」は、Walmartは主要な競合他社に対してデジタルの優位性があることから、今年の既存店売上高は3%増加すると予測。増加率は0.5%としていた当初の予測から増えています。

    デジタルエクスペリエンスを向上させる方法

    企業は今、デジタル化が小売事業者の生き残りを左右するという死活問題に直面しています。ブランドが消費者に提供するデジタルエクスペリエンスは、新型コロナウイルス危機が去った後も、新規顧客獲得や既存顧客維持に大きな影響を与えるでしょう。

    もちろん、AmazonやWalmartのようなリソースを誇る小売企業は他にほとんどありませんが、だからといって、この機会を利用してデジタル化を進めることができない、というわけではありません。

    消費者が求める質の高いデジタルエクスペリエンスを提供するために、まずブランドは最新の情報を入手し、従業員1人ひとりが変革の担い手として成功できるように準備しなければなりません。

    社内的には、従業員がどこにいても仕事ができるよう、デスクトップからノートパソコンに移行するためのハードウェアの購入、ZoomやWebExなどのビデオ会議ツールの導入、コールセンターのスタッフが自宅で仕事ができるようにするなど、あらゆることが含まれています。

    社外的には、企業はカスタマーエクスペリエンスを向上させ、売り上げを促進するために設計されたデジタル最適化ツールに投資し、注力しなければいけません。そうすることで、顧客のロイヤルティを獲得し、新型コロナウイルス危機後もリピートしてくれるようになります。

    たとえば、Webサイトとアプリのトラフィックのピークを管理する「Queue-it」は、サイト訪問者を先入先出のルール(※編注:先に取得したものから順に払い出されると仮定して、棚卸資産の取得原価を払出原価と期末原価に配分する方法)に則って処理することで、トラフィックが多い時のサイト管理をスムーズにします。このアプローチで、Webサイトのクラッシュや顧客の損失を防ぐことができます。このようなソリューションを、高度な分析ツールと組み合わせて使えば、わずか数週間で最適化されたデジタル体験を提供することができ、トラフィックが急増している食料品店や小売事業者にとっては、必要な生命線となるでしょう。

    最適化されたCX提供のために、サイトの利便性を最大限向上させる

    さらに企業は、最適化されたカスタマーエクスペリエンスを提供するために、サイト上での利便性を最大限に高め、リアルタイムで消費者とコミュニケーションを取る必要があります。あらゆるタイプの消費者(特に高齢者)に向けたWebサイトのアクセシビリティ、サイト訪問者にトラブルが発生した時やシステム障害の際の即時通知、パーソナライズされたコンテンツも必要です。

    また、今後欠品しそうな商品に関する明確な情報を、順番待ちの時間と共に伝えると同時に、高齢者や社会的弱者の購入を優先するソリューションを見つけることも必要になります。

    さらに、ブランドとの接触で利用されるさまざまなチャネル(Webサイト、ライブチャット、モバイルアプリなど)で、消費者がどのように関わっているかを瞬時に把握することは、状況に応じたニーズや期待に対応するために非常に重要になってきます。

    ◇    ◇   ◇

    何千もの企業が身をもって体験しているように、光の速さで新しい世界に適応するのは至難の技です。従来から遅れをとっていた企業だけでなく、すべての企業にとって、今があらゆるレベルでデジタル化に取り組むべき時なのです。この瞬間にどのように対応していくかが、今後数年間の小売業の軌跡を左右することになるでしょう。

    この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア「Internet RETAILER」の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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