ネットショップ担当者フォーラム

Eストアー、ビットコインによる決済を「ショップサーブ」に標準搭載

9 years 4ヶ月 ago
フィスコ仮想通貨取引所に社名を変更するフィスコ・コイン、システム開発などを行うSJI と提携

Eストアーは今期中、ショッピングカート「ショップサーブ」に仮想通貨「ビットコイン」による購入代金の支払いを実装することを明らかにした。

「ビットコイン」は今後一般化し、市民権を得ると判断。ECのプラットフォーマートして「ビットコイン」に対応することで社会経済の発展に寄与できるとして導入を進めていく。

Eストアーは、フィスコ仮想通貨取引所に社名を変更(7月1日付)するフィスコ・コイン、システム開発などを行うSJI と提携。これにより、「ビットコイン」によりリアルタイム決済を可能にする。

実装後は「ショップサーブ」の標準決済として提供する予定。「ショップサーブ」を利用している事業者は、カード決済、コンビニ決済などと同様、個別契約なしで「ビットコイン」による決済を提供できるようになるとしている。

ビットコインによる決済の流れ

中川 昌俊

ネットショップ担当者フォーラム編集部

ネットショップ支援会社を中心にEC業界にかかわる企業や人を取材していこうと思っています。

読んで少しでも経営に役立ったり、なるほどと言ってもらえるような記事の執筆を心がけます。

中川 昌俊

完全無料のECモール「カート」、2タップの画面移動で商品購入できるUIに刷新

9 years 4ヶ月 ago
インタグラムで3000人のフォロワーを抱えるショップが、インスタ経由で約100万円/月を売り上げる事例も出てきたという

ショッピングアプリ「Cart」を運営するカートは6月27日、出店ストアの販売力を強化するため、商品紹介ページから2タップの画面推移で商品購入できるようにした。

ソーシャルメディアからのコンバージョンをアップするため、ユーザーインターフェースを刷新。

流入からコンバージョンまでの画面移動をスムーズにし、商品紹介ページから2タップの画面推移で商品を購入できるようにした。

完全無料のECモール「カート」、2タップの画面移動で商品購入できるUIに刷新

画面移動の比較

なかでもインスタグラムからの誘導を重視しており、ストアが発信する世界観を引き継げるように、写真イメージ中心のUIを採用したという。

カートによると、「ソーシャルメディアのトラフィックは、ECサイトにとってはコンバージョン率の低いトラフィックとされてきが、最近その傾向が変わってきている」と指摘。

インタグラムで3000人ほどのフォロワーを抱えているアクセサリーショップが、インスタグラム経由で月間約100万円を売り上げる事例も出てきているという。

カートは6月1日、月額費用・売上ロイヤリティ・カード決済手数料などの出店費用を無料化したオンラインショッピングモール「カート」の運営を開始。新規ストア数が1000店舗を超えている。

瀧川 正実

ネットショップ担当者フォーラム編集部 編集長

通販、ECに関する業界新聞の編集記者を経て、EC支援会社で新規事業の立ち上げなどに携わり、EC業界に関わること約9年。まだまだ、日々勉強中。

瀧川 正実

見逃しがちなバックヤードの進化がオムニチャネル時代の競争に打ち勝つ鍵になる! | いつも.ECコンサルタントが明かす売り上げアップにつながるEC最新情報

9 years 4ヶ月 ago
カートやユーザービリティを向上するページ制作等、お客様に直接触れる部分を中心に進化が進んできたECサイト。しかし、置き去りにされてきたお客様には見えないバックエンドの進化こそ、オムニチャネル時代に対応するためには必須!
Strategy Tactics Planning Direction Goal Target Chess Concept

みなさまこんにちは。株式会社いつも.のコンサルタントです。今回はカートやサイトデザイン等のフロントシステムの進化に対して、置き去りにされがちなバックヤードのシステムについてご紹介しましょう。

これまで多くのECサイトが、コンテンツ管理や見た目のデザインなど、お客様に直接接するフロント側のカート技術を中心に進化・成長してきたという背景もあり、実際のオペレーションに必要となるバックヤードの顧客管理・販売管理・在庫管理・物流管理などのビジネスプロセスについては、業務ごとに部分最適化が追求されてきました。結果として社内には複数の簡易システムが立ち上がり、手作業のデータ入力、バッチ処理によるデータ連携など、非効率な事務処理により、気付かない間に多くの時間を取られるようになっていきました。

この状況を改善したいと考えても、日々の運営やオペレーションを止めることはできません。しかし、煩雑なオペレーションは在庫欠品・受注処理のミス・出荷作業の遅れの原因となります。また、多くの人が介在することによる人的ミスでコストは肥大化し、在庫の確認などにかかるタイムロスは、顧客満足度低下につながり重要顧客の離反を招き、ひいては収益率の低下による自社のビジネス全体に損失をもたらしてしまいます。

企業価値を高めるための見えない部分での競争はすでに始まっている

バックヤードに関して、既に他社ではこんなことに取り組んでいるという一例をご紹介しましょう。顧客と販売データを照らし合わせて分析を行えば、ユーザーが何を求められているのか予測がつきます。そこに在庫データが紐付いていれば、その商品を出荷できるかどうかもわかります。業務が一元管理されていれば、その商品の発注が既に行われているかどうかもわかるのです。このように、顧客ニーズに応えるためには、最低でも商品、在庫、顧客データの統合はステップを踏んで統合していくべきでしょう。

年間10数%の成長を続けるECのマーケットは、急速に変化、進化を繰り返しています。しかし、スキルが各部門の担当者ごとに分散していたり、部門毎に分離したシステムがそれぞれのバージョンアップに振り回されたりするような運営体制では、マーケットの成長に付いていけないのです。

企業の経営幹部も、「これは●●部門の仕事だ」と決め付けた態度を取ることで、顧客ロイヤリティを向上させる施策を阻害してしまっている場合もあります。マーケティグ部門が重要な役割を担っていることは明確ですが、顧客ロイヤリティの育成は、いわばチーム・スポーツのようなもので、物流部、カスタマーサポート部、情報システム部含め、全ての部門が足並みを揃えない限り、ただ漠然と販売を行うだけとなってしまい、競争力を高めることはできないのです。

まだ体制を構築できていないECは、戦略的に成長できる運営体制を速やかに整えるべきです。弊社のようなコンサルタントに依頼する方法もありますが、弊社が提供する物流サービス、「コネクトロジ」のような御社の状況に合わせて物流のプロセスを最適化できるシステムも徐々に出始めています。そういった経営的な舵取りを含め、また次回詳しくご紹介していきましょう。

・ECに関する経営や売り上げアップのご相談は株式会社いつも.にお気軽にお問合せください。
・また、より実践的な情報がいつも.の本「ECサイト[新]売上アップの鉄則119」に掲載しています。
ご興味のある方はぜひご購入ください。

株式会社いつも.本多

「株式会社いつも.公式ブログ」掲載のオリジナル版はこちら:
見逃しがちなバックヤードの進化がオムニチャネル時代の競争に打ち勝つ鍵になる!(2006/06/15)

株式会社いつも.

Eコマースビジネス支援に特化し、成功に必要なコンサルティング、集客、構築・制作、販売、CRM、物流、カスタマー対応までを一社完結で提供。

現在、国内最大規模となる7700社以上の企業(2016年6月時点)とサポート実績があります。約4年前から米国Eコマースの成功事例や情報を研究する専門部署(EC未来研究所)を設け、情報収集と発信を実施。そこから日本流のスマートフォン、ソーシャル、O2O、フルフィルメント、CRMなどのコンサルティングも提供している。

株式会社いつも.

元楽天幹部が始めたメディアECモール「kabukiペディア」。メディア型ECの新しい可能性を探る

9 years 4ヶ月 ago
「kabukiペディア」はどのように集客アップを図るのか? 既存メディアとの違いは? 大城社長へのインタビュー

元楽天の大城浩司氏が社長を務めるKABUKIは5月から、メディアECモール「kabukiペディア」の出店者募集を開始した(参考記事)。出店する店舗は、商品背景・ストーリーを伝える記事を執筆。SNSでその記事が拡散されたり、SEOからの流入が増えるといった集客促進が図れるサービスで、出店料は無料だ。とはいえ、コンテンツECはなかなか成功事例が少なく、ECサイトと連携したキュレーションサイトも中な成功事例は少ない。「kabukiペディア」は、どのように集客アップを図るのか、既存メディアとの違いは? 大城社長に話を聞いた。

商品の価値を記事で伝えることで、潜在的ニーズを取り込む

――メディアECモール「kabukiペディア」の特徴を教えてください。

2000年初頭はネット上で売っていない商品が多かったので、たくさんの商品をそろえれば売り上げを伸ばすことができていました。いまでは、多くのショップが生まれ、自社サイトも無料で開設できるようになり、ネット上ではたくさんの商品があふれています。その結果、消費者はほしい商品名を検索さえすれば、より安く買うことが可能になってしまいました。ほしい(顕在化した)商品を手にいれることは容易ですが、生活をもっと楽しく、そしてHappyにする商品、すなわち、潜在ニーズのある商品を手に入れるというところまでは至っていません。

「kabukiペディア」は関連情報の記事や製品に関する背景、作り手の思い、製品そのものの価値を、テキスト記事や動画、SNSなどのコンテンツでストーリーにして伝えます。消費者に楽しでもらいながら、最終的には集客につなげていく、ストーリーショッピングを標榜しています

一般的なECサイトの場合、いかに買いやすくするかという利便性に力を入れているため、商品のストーリー性を際立たせる必要がありません。またイベント感を演出し、消費者を楽しませるためのページ構成にしていたとしても、売り手側の目線で作られているため、主観的な情報が並んでいるのが現状です。「kabukiペディア」は記事という形で消費者のニーズをふくらませたり、課題解決へ導くことを主眼に置いています。ストーリー性が高まり、消費者目線を取り入れながら客観的に商品を紹介しているため、多くの人に共感され、SNSなどでシェアしてもらえると考えています。

たとえば、これからの季節であれば「おすすめのキャンプ場」「おすすめの夏の遊び場」といった記事をUPし、「この記事を見ている人はこうした商品に興味があります」という形で商品を紹介していきます。顕在化していない潜在的ニーズを取り込むことができるサービスとなっています。これによりEC業界のさらなる活性化を図ることができればと考えています。

kabukiは記事形式で商品などを紹介

記事形式で商品などを紹介

どんな効果が出ているかの成功事例を作る

――通販・EC企業でも、記事形式のコンテンツを増やすコンテンツマーケティングを始めるケースが増えていますが、まず記事を見てもらうという時点で苦労しています。どういった形で記事への集客を行っていくのでしょうか。

モール形式を採用し、多くのEC企業に参加してもらおうと考えています。1企業の情報だけだと、どんなに頑張っても記事量には限界があります。多くの店舗に集まってもらい、それぞれの企業が記事をUPすることで、多くの情報が集まる場となり、自然と記事を見るユーザーも増えてくると考えています。そのため、出店料を無料にして、今期中に1万店舗まで増やそうと思っています。

――ヤフーも2015年2月、店舗が作成したまとめ記事のキュレーションサービス「お買い物まとめ」を提供しています。ただ、成功事例はほとんど聞いたことがありません。「kabukiペディア」はどんなアクションを行い、成功に持っていきますか。

どんな効果が出るかわからないまま、ショップが運営側から「やってみて欲しい」と言われても、日々の業務で忙しいため、記事作成に本腰を入れられません。私が楽天で「あす楽」の担当になった時、まず、ショップと一緒になって「あす楽」に取り組み、「あす楽」をやるとコンバージョン率が上がるという数字を具体的に示すことができました。数字という成功事例が出ると、他のショップもやる気になります。運営側も自信を持って推奨することができます。

今回もクオリティショップとして数十社と現在成功事例を作る作業をしています。どんな記事を出せばどんな数字が出るのか、ということをしっかり伝えることで、ショップさんは記事を書くことに本腰になってくれると思っています。

――クオリティショップと成功事例を作るということですが、記事からECにつなげてくのはそれほど簡単なことではないのでは。

すでにICAという会社で「QuickMedia」というEC企業向けの自社メディア運営支援サービスを行っています。ローンチからわずか10か月で月間500万PVを稼ぐメディアを構築するノウハウを持っています。どんな内容の記事を書けばPVを稼ぐことができるか、どんな方法でメディアに集客させるかを理解しているため、クオリティショップでも成功事例を作れると確信しています。

kabukiには有力ECショップがクオリティショップとして既に出店している

有力ECショップがクオリティショップとして既に出店している

将来的には越境ECやVRへの取り組みも

――「kabukiペディア」を閲覧するユーザー層はどんな人でしょうか。また、どんな記事を出していくのでしょうか。

ショッピングに興味のある全ユーザーです。記事はグルメ、ファッション、インテリア雑貨など。ストーリーを作りやすい商材なので、最初はこうしたジャンルに偏ると思いますが、店舗が増えれば全ジャンルに広がると思っています。

――出店料は無料ですが、「kabukiペディア」の収入源は。

PV数が増えれば、広告収入を得ることが可能です。加えて、「この記事を見たユーザーはこうした商品に興味を持っています」という形で商品ページに送客します。そこから実際に売れた場合に、それに応じた料金をいただくことになっています。

――将来的な展望は。

すでに、越境ECへの取り組みやVR(バーチャルリアリティ)を使ったショッピングなどのサービスも準備を進めています。しかしながら、海外の消費者に対し国内と同じサーチを活用した送客モデルには限界があります。まずは、国内でスペック検索に対応するのではなく、商品の作り手の思いと消費者のHappyを演出できるメディアECを大きな流れにできればと考えています。まずは、国内でストーリーショッピングを強みにする「kabukiペディア」を充実させていくことに、全精力を注ぎたいと思っています。

元楽天の大城 浩司 氏

大城 浩司 氏

中川 昌俊

ネットショップ担当者フォーラム編集部

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中川 昌俊

「えびすマート」で「Amazonログイン&ペイメント」の導入可能に

9 years 5ヶ月 ago
コンバージョン率の向上、カート離脱率の改善を期待

インターファクトリーは6月22日、ECサイト構築パッケージ「ebisumart(えびすマート)」でAmazonのアカウントで商品の支払いができるサービス「Amazonログイン&ペイメント」を利用可能にするオプション機能の提供を開始した。

「Amazonログイン&ペイメント」を導入したECサイトは、ユーザーがAmazonに登録している住所や、クレジットカード情報を利用して買い物をすることが可能になるため、商品購入に至るまでのステップを軽減することができる。

ユーザー同意のもと、そのECサイトへの会員登録が同時に行えるため、会員登録に必要な情報入力が省略することが可能。

「Amazonログイン&ペイメント」を利用できるオプション機能をEC事業者が導入することで、新規会員登録の促進やコンバージョン率の向上、カート離脱率の改善が期待できるとしている。

Amazonは2016年4月から「Amazonログイン&ペイメント」の公式パートナーを認定する「グローバルパートナープログラム」を開始(記事参照)。インターファクトリーも現在、このパートナーへの認証を進めているという。

インターファクトリーは今後、Amazonと共同でセミナーなどを開催していくことで、導入者拡大につなげていくとしている。

中川 昌俊

ネットショップ担当者フォーラム編集部

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中川 昌俊

楽天、有機野菜の遠隔栽培サービス「テレファーム」に出資

9 years 5ヶ月 ago
今後も農業改革を進め、新規就農者の支援や耕作放棄地を活用した地方創生に貢献する

楽天は6月23日、推進している農業改革の第1弾として、遠隔農業サービスを展開するテレファームに出資したと発表した。出資比率の詳細は明らかにしていないが、比率は半数以下で子会社化していないという。

今後も農業改革として新規就農者の支援、耕作放棄地を活用した地方創生への貢献を進めていくとしている。

テレファームは、農作物育成シミュレーションと実際の有機栽培農業を結びつけ、ゲーミフィケーションを取り入れた有機野菜の遠隔栽培サービスを提供している。

ユーザーは、畑のレンタル代、野菜の種代、送料を支払うだけで、農家がユーザーの代わりに野菜を栽培、できた野菜を受け取ることができる。育成経過は定期的に更新される写真で確認できる。余った野菜はユーザーが販売することも可能。

現時点では具体的なサービス連携などはないとしているが、楽天のページ制作ノウハウやシステム構築能力を生かし、テレファームのホームページをより多くの消費者に見てもらえるように刷新する。システムも楽天のノウハウを生かし、強化を図る。2016年秋をめどにサイトの名称、サービス名も変更。新たなコンテンツを提供していく予定。

楽天は今後も農業改革として、農業分野での新サービスを検討していく。今後展開するサービスとの連携などを進めていく考え。

中川 昌俊

ネットショップ担当者フォーラム編集部

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中川 昌俊

Amazonが買取サービスを再開、自社展開から第三者企業による出店型に変更

9 years 5ヶ月 ago
まずは、宅配買取などを手がけるリコマースと出張買取を手がけるマーケットエンタープライズがサービスを提供

アマゾンジャパンは6月23日、「Amazon.co.jp」で買取サービスを再開すると発表した。2016年4月にサービスを一時休止していたが(参考記事)、新サービスでは従来の書籍やCD/DVD、ゲームソフトに加え、家電製品やカメラ、携帯電話などに対象を拡大した。

4月までは自社(アマゾンドットコムインターナショナルセールス)による買い取りを行っていたが、新サービスは出店型として提供。買取ノウハウのある企業を集め、Amazon内におけるリユース市場の拡大を図る。

Amazonアカウントを外部業者に開放する「Amazonログイン&ペイメント」を活用し、Amazonのアカウントを使って1点から買い取りを申し込めるようにする。買取額はAmazonギフト券で支払う。

宅配買取などを手がけるリコマースと出張買取を手がけるマーケットエンタープライズがサービスを提供する。今後、買取サービスを提供する会社の出店を増やし、買取商材の拡大を図る。

従来は「Amazon.co.jp」の購入履歴などをもとに、メールなどで過去購入商品の買取金額を提示していたが、新たなサービスでは出店型になるため、こうしたサービスは行わない。

ただ、各社の買取サービスの特徴を反映しやすくする。マーケットエンタープライズは従来、Amazonが実施していなかった出張買い取りに対応。箱詰めが難しい商品や大型の商品を自宅まで出張し、その場で査定した上で引き取るサービスを展開する。

買取サービス

中川 昌俊

ネットショップ担当者フォーラム編集部

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中川 昌俊

アフィリエイターへの情報提供は「ニュースメール」を活用しよう[チェックリストあり] | アフィリエイトの効果が出ていないEC事業者のためのアフィリエイト再入門講座

9 years 5ヶ月 ago
アフィリエイターとのコミュニケーションに欠かせないニュースメールとは?(第11回)

アフィリエイト広告の稼働率を増やすには、キャンペーンや売れる時期をアフィリエイターに伝え、掲載したい気持ちを高めてもらう必要があります。ですが、広告主からアフィリエイターへ情報提供をする手段は限られています。今回は稼働率を増やすのに欠かせない「ニュースメール」について解説します。

「ニュースメール」とは、提携済みアフィリエイターに対してメールを送信する機能です。ASP各社での呼び方は「ニュース配信」「メッセージ」などさまざまですが、この連載では「ニュースメール」とします。

広告主からアフィリエイターへ情報提供したい時、利用できる方法は主に下記の3つです。

  ①管理画面のプログラム詳細に記載する
  ②ASPの広告枠で告知する
  ③提携済みのアフィリエイターにニュースメールを送る

①管理画面のプログラム詳細に記載する ②ASPの広告枠で告知する ③提携済みのアフィリエイターにニュースメールを送る
アフィリエイターに情報提供する方法は主に3つ

アフィリエイターは「興味のある商品を取り扱っているから」「知っているお店だから」といった理由で、多くの広告主と提携しています。しかし、この連載の第7回でお伝えしたとおり、多くのアフィリエイターは「提携しているだけ」という状態が多いのが現実です。

自ら提携申請してくれたのに、なぜ掲載をしてくれないのでしょうか。

「特集をしていたから」「テレビで見た商品だったから」「みんなが紹介しているから」「なんとなく興味あったから」など、まずは「とりあえず提携申請した」ということが多いのです。特に個人アフィリエイターほどこの傾向は強いと言えます。

ニュースメールでアフィリエイターに「気付いてもらう」「思い出してもらう」

ニュースメールの役割は「新しい情報を提供する」ことはもちろんですが、「提携していることを忘れられないために、継続的にコミュニケーションをとる」という側面もあります。送り過ぎてはただの迷惑メールですが、適切なタイミングで優良な情報を提供することはアフィリエイターから喜ばれますし、担当者の人柄を見せることで交流ツールとして活用できます

例えば、化粧品はアフィリエイトプログラムを利用している広告主がとても多いですが、実際に商品を試してみないと使用感が分りにくく、一見似た商材も多いので差別化がしにくいと言えます。

そこで、ニュースメールで「紫外線が強くなってくる7月は、販売がとても伸びる時期です」と伝えます。すると、「今が売りやすい時期なら紹介してみようかな……」とモチベーションを高めることができます。

また、「来週から送料無料キャンペーンを行います」と、エンドユーザー向けの情報を事前に伝えることで、掲載したら成果につながりやすいネタを提供することもできます。

ニュースメールの自由度はASPによってさまざま

しかし、残念なことにニュースメールはすべてのASPで標準利用できる機能ではありません。

ニュースメール機能
・ASP管理画面を使って広告主が自由に送信できる
・1か月の送信数など一部制限があるが、規定内ならASP管理画面を使って送信できる
・ASP担当者に依頼し、代理で送信してもらうことが無料で可能
・ASP担当者に依頼して代理で送信してもらうことが有料で可能
・広告主名ではなくASP担当者名でなら送信可能
・ニュースメールの機能を基本的には提供していない
ニュースメール機能の自由度はASPによって異なる

ASPによっては広告主側の管理画面に機能そのものがなく、ASP担当者を通して依頼をする必要があったり、オプションメニューとして有料での対応だったりすることがあります。

「ASPを通して送信できるなら問題ないのでは?」と思われるかもしれませんが、タイムセールやメディア掲載など、送りたい情報があるたびにASPを介すことは得策ではありません

1か月に配信できる数を制限しているところや、広告主がアフィリエイターへの直接連絡することを禁止しているASPもあります。それでは、そもそも情報提供ができません。

以下にチェック項目を掲載しますので、ASPを選ぶとき、まだニュースメールを活用していない方は参考にしてください。

チェックリスト① 提携済みアフィリエイターへの配信

チェックポイント 可能 不可能 ASPへ依頼 有料で対応
・すべての提携済みアフィリエイターに配信ができる
・特定のアフィリエイターに対して配信ができる
・「美容のみ」「ファッションのみ」といったカテゴリーごとに配信ができる
・広告主が自由にグルーピングし、グループに対して配信ができる

提携済みのアフィリエイターに送信する以外に、一部のASPでは未提携のアフィリエイターへ送信する機能も実装しており、管理画面内で新規アフィリエイターへのリクルーティングを可能にしています(有料メニューの場合もあります)。

チェックリスト② 未提携のアフィリエイターへの配信

チェックポイント 可能 不可能 ASPへ依頼 有料で対応
・すべての未提携のアフィリエイターに配信ができる
・特定のアフィリエイターに対して配信ができる

また、その他にも差込機能や配信日時の指定が可能なASPもあります。アフィリエイターに向けて、定期的に情報提供するのには便利な機能です。

チェックリスト③ その他の機能

チェックポイント 可能 不可能
・テキスト形式で作成できる
・HTML形式で作成できる
・アフィリエイターが利用できる広告素材を差し込める
・[アフィリエイトサイト名] [氏名]などを差し込める
・配信日時を指定できる
・テスト配信ができる

筆者が広告主だった当時はA8.netを利用して、毎月第2・第4木曜日の19時にニュースメールを送信していました。

運用当時は配信日時の指定機能はありませんでしたが、現在は実装されています。ASPの機能は、広告主にとって便利なものは随時追加されていきますので、今利用できなくても、リクエストをすることで先々実装されるかもしれません。

◇◇◇

広告主の立場になると、つい月額固定費のみでASPを選択しがちですが、できる限り自由度が高く、こまめなコミュニケーションをとれるASPを選ぶことで、運用の幅が広がります。

ニュースメールはアフィリエイトの稼働率を上げるために、なくてはならない機能の1つです。次回から数回に分けて、ニュースメールで提供すべき情報について、事例を交えてお伝えしていきます。

鈴木 珠世

鈴木 珠世

コミュニケーション・マーケティング コンサルタント

2004年よりギフトメーカーのWebショップ担当を経験。「モノを売る楽しさ」「アフィリエイトの楽しさ」に目覚め、2008年よりファンコミュニケーションズ、そしてリンクシェア・ジャパンにて、ネットショップ運営者やアフィリエイトサイト運営者に向けた教育・啓蒙活動に従事。その後、売れるネット広告社にて新規媒体営業と通販事業者向けのコンサルティングを行う。

日本アフィリエイト協議会による、アフィリエイト業界関係者が選ぶ「アフィリエイト業界MostValuable Player(MVP)」2012、2013、2014の3年連続の受賞など、受賞歴も多い。共著にて「成功するネットショップ 集客と運営の教科書」を出版。

現在フリーにて、ネットショップ(通販企業)向けのコンサルティングを開始。

鈴木 珠世

ロコンド、6期連続の最終赤字も損失が大幅縮小。2016年度はついに黒字転換の可能性も

9 years 5ヶ月 ago
売上高は前期比33.3%増の100億円、純損失は2億976万円(2015年2月期は6億3522万円)

ロコンドは創業7期目(2017年2月期)にして、通期での黒字転換が視野に入った。

2016年2月期(第6期)の業績がこのほど明らかになり、売上高(出荷高ベース)は前期比33.3%増の100億円、純損失は2億976万円(2015年2月期は6億3522万円)と損失幅が大幅に縮小した。

ロコンドは2015年10月度、月次ベースの収益が創業以来初となる黒字に転換。閑散期の2月度を除き、2015年度は10月度以降の単月黒字を維持した。

ロコンド・田中裕輔社長は「年間売上高100億円が損益分岐点」と想定しており、2017年2月期の通期黒字化が視野に入っている。

ロコンドの2016年2月期の決算公告、純損失の幅が大幅に縮小

出典は5月31日付の官報

2016年度はこれまで単月黒字を続けている。ただ、業容拡大のために新倉庫への移転を決定し、5年間で22億円を投じる予定。他社のEC支援事業などの拡大といった今後の規模拡大をにらんだもので、通期黒字化は増収効果で物流への投資を吸収できるかがカギとなりそう。

瀧川 正実

ネットショップ担当者フォーラム編集部 編集長

通販、ECに関する業界新聞の編集記者を経て、EC支援会社で新規事業の立ち上げなどに携わり、EC業界に関わること約9年。まだまだ、日々勉強中。

瀧川 正実

お金持ちはどこで買い物をしているのか? 「プチ富裕層」行動調査 | 週間人気記事ランキング

9 years 5ヶ月 ago
2016年6月17日~23日にアクセス数の多かった記事のランキングを発表! 見逃している人気記事はありませんか?

世帯年収1千万円以上を対象としたネット行動ログデータの調査結果が注目を集めました。ゴルフと旅行関連が上位にランクインしています。他にはラルフローレンの通販撤退、ヤマダ電機をかたる詐欺メール、MakeShopやスパイラルECへの不正アクセスによる情報漏洩など、「事故・トラブル」アイコンが並ぶランキングになりました。

  1. 年収1,000万円以上の「プチ富裕層」が集まるECサイトはどこ?

    tweet73このエントリーをはてなブックマークに追加

    世帯年収の高い層のサイト閲覧行動を解析。通常のランキングとは異なる顔ぶれが続々ランクイン(連載第7回)

    2016/6/20
  2. ラルフローレンがネット通販から撤退、約3年半運営した日本のECサイトを閉鎖

    tweet17このエントリーをはてなブックマークに追加

    6月9日には韓国で展開しているECサイト「Ralphlauren.co.kr」を閉鎖している

    2016/6/21
  3. ヤマダ電機をかたった詐欺メールが大量送信、「ヤマダウェブコム」で注意喚起

    tweet35このエントリーをはてなブックマークに追加

    記載されているアドレスにアクセスすると意図しないサイトへ誘導されるという

    2016/6/20
  4. 店舗情報6116件・会員情報62万件が流出していた。漏えい事故でGMOメイクショップが再調査

    2年前の当時、漏えいしたのは店舗情報320件、会員情報10万1624件と公表していた

    2016/6/22
  5. EC化率が高いジャンルは「家電」系で28% いまは低いけど成長余地が大きいのは……

    2015年でEC化率が最も大きいのは、「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」で28.34%(EC市場規模は1億3103億円

    2016/6/20
  6. パイプドビッツのECシステムから個人情報漏えい、導入サイトの会員データ98万件が流出の可能性

    アパレル特化型ECプラットフォーム「スパイラルEC」に不正アクセス

    2016/6/23
  7. 大手のEC実施企業が10年以上も継続契約する物流会社「ボーダーライン」の裏側

    「最適倉庫マッチング」を提供しているディヴォートソリューションの星川氏がおすすめの物流代行企業を紹介(vol.2)

    2016/6/21
  8. リクルートが中国EC市場に本格参入 「ポンパレ」店舗は負担なしで「天猫国際」に出品へ

    C2Jジャパンと業務委託契約を締結し、中国向け越境ECをスタートするための準備を開始

    2016/6/22
  9. まだまだやれる? もう危ない? 経産省「平成27年度 電子商取引に関する市場調査」まとめ

    ネットショップ担当者が読んでおくべき2016年6月13日〜19日のニュース

    2016/6/21
  10. なぜ、ルタオや茅乃舎は元気なのか? 地方の通販企業に学ぶ成長のヒント

    「茅乃舎」の久原本家、「ルタオ」ブランドの寿スピリッツ、健食通販のアイリンクス、愛しとーとなどの事例を紹介

    2016/6/22

※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

uchiya-m

LINEビジネスコネクトでレコメンド商品を表示、サイバーエージェント

9 years 5ヶ月 ago
シルバーエッグ・テクノロジーのレコメンドエンジンを活用

サイバーエージェントは6月21日、LINE ビジネスコネクト向けメッセージ配信ツール「CA Link」で、ユーザーの趣味嗜好に応じたおすすめ商品のバナーを自動生成し、メッセージ配信する機能「Link Dynamic Banner(リンクダイナミックバナー)」の提供を開始した。

シルバーエッグ・テクノロジーのリアルタイム・レコメンドメールサービス「レコガゾウ」と連携して実現した。ユーザーの趣味嗜好に合わせたバナーを表示することで、クリック率を向上。EC企業の売上拡大に貢献することができるとしている。

「Link Dynamic Banner」は、ユーザーがLINEメッセージを開いた時点で会員情報をシステム側に送信し、その会員情報とシルバーエッグ・テクノロジーのレコメンドエンジン「アイジェント・レコメンダー」を導入しているECサイトで蓄積したユーザーの商品閲覧履歴や購買履歴をリアルタイムで紐付ける仕組み。最適なバナーをLINEメッセージ上で表示する。

「Link Dynamic Banner」を利用するには、サイバーエージェントのLINEビジネスコネクト向け配信ツール「CA-Link」のほか、ECサイトにシルバーエッグ・テクノロジーの「アイジェント・レコメンダー」を導入し、「アイジェント・レコメンダー」のオプションサービスであるリアルタイムレコメンドメール「レコガゾウ」を使う必要がある。

「Link Dynamic Banner」の概要

中川 昌俊

ネットショップ担当者フォーラム編集部

ネットショップ支援会社を中心にEC業界にかかわる企業や人を取材していこうと思っています。

読んで少しでも経営に役立ったり、なるほどと言ってもらえるような記事の執筆を心がけます。

中川 昌俊

パイプドビッツのECステムから個人情報漏えい、導入サイトの会員データ98万件が流出の可能性

9 years 5ヶ月 ago
アパレル特化型ECプラットフォーム「スパイラルEC」に不正アクセス

メール配信サービスなどを行うパイプドビッツは6月22日、アパレル特化型ECプラットフォーム「スパイラルEC」が外部からの不正アクセスを受け、導入EC企業から預かっている個人情報が不正に閲覧された可能性と個人情報流出の痕跡が判明したと発表した。最大98万件のECサイト会員データが流出した可能性があるとしている。

「スパイラルEC(R)」を利用するファッションECサイト「NET ViVi Coordinate Collection」では、2015年8月22日~2016年4月18日の期間に注文をしたユーザー、1万946人分の個人情報が流出した痕跡が認められるという。

流出した項目は注文者氏名、注文者住所、注文者メールアドレス(PC/携帯)、配送先氏名、配送先住所、配送先電話番号、注文金額、送状番号など。会員IDや注文情報は含まれていない。クレジットカード情報はシステム内で保有していないため、流出していない。

現時点で、流出した個人情報が悪用された報告はないという。

また、「スパイラルEC」を利用しているECサイトの運営会社、43社53サイトの管理画面にアクセスするログインIDおよび暗号化されたログインパワード314人分が、第三者に閲覧された可能性が高いとしている。

上述した43社53サイトのうち、40社42サイトにおける約98万件の会員データについて、第三者がアクセスした可能性を排除できないとして、不正に閲覧された可能性があるという。

パイプドビッツはすでに同様の手口による不正アクセスを防止するための措置を実施。今後は、第三者機関であるセキュリティ専門会社の調査結果をもとに脆弱性等の課題に対処する。セキュリティレベルを強化し、人的組織的体制の整備を推進するとしている。

中川 昌俊

ネットショップ担当者フォーラム編集部

ネットショップ支援会社を中心にEC業界にかかわる企業や人を取材していこうと思っています。

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中川 昌俊

中国の新越境EC制度、通関と税制の変更内容は知ってる? 今後の見通しも徹底解説

9 years 5ヶ月 ago
中国政府が2016年4月にスタートした越境ECの新制度、内容や現状を踏まえ、今後のビジネスの可能性を解説

中国でスタートした越境ECの新制度により、税制制度のほか、通関の仕組みも変更されました。ただ、突然の発表だったため中国の現場は大混乱。保税区を活用した越境ECなどに大きな影響が出ているため、中国政府は5月、一部の新制度は1年の猶予期間を設けるといった施策内容を公表しました。新制度に関する内容や現状を踏まえ、今後のビジネスの可能性を解説します。

押さえておくべき中国向け越境ECの変更点&影響の4ポイント

越境EC試験区(保税区)を活用した中国向け越境ECは多くの日本企業が利用しています。上海、重慶、杭州、寧波、鄭州の各拠点で2013年8月に施行・スタートし、中国全土の都市に越境EC試験区は広がっています。

保税スキームを活用した物流は、従来の直送方式(日本から中国に個別配送する方法)や正規通関商品(一般貿易方式)に比べ、コスト面や配送スピードなどで圧倒的な優位性があるのが特徴。国内外の企業がその仕組みを活用し、中国越境EC事業を行っています。

この保税区活用を対象にした越境ECの新制度が4月にスタートしました。これまでは暫定的な位置付けとしての運用だった越境EC試験区でしたが、中国政府は保税区を活用した越境ECを“輸入における一般的な制度”として位置付けました。

新制度のスタートにより、行郵税(個人が海外で買ってきたものや個人輸入品に対して課税する税金)による課税スキームではなく、一般貿易と同じスキームで輸入増値税(流通段階で商品に対して課す税金、一部商品は消費税も課す)を課す仕組みに変更しました。

こうした税制のほか、通関手続きなどの制度も変わりました。その内容や影響をまとめると……

  • 越境EC商品に関しても輸入許可書(通関単)が求められるようになる
    ⇒ 通関単(正式名称は「入境貨物通関単」で、輸入港検疫局が審査し、問題がなければ検疫局が署名する通関証明書)が必要になり、手続きや審査が必要になる。商品によっては輸入許可証、輸出国の原産地証明書、放射能合格証明書などを事前にそろえなければならない。一般貿易の際には必ず必要なもの。
  • 保税区を活用して販売できる商品区分リストの公表
    ⇒ 4月8日と18日の発表で公表された商品カテゴリリストは1293種類。2回目の公表で、現状の越境ECで売れ筋となっている商品ジャンルはカバーされた。リストアップされた商品は税関に輸入許可証を提示する必要がない一方、化粧品、健康食品、粉ミルクなどはリストアップされたものの、販売のための高いハードルが設けられた
中国向け越境ECの新制度、税制と通関の変更内容とは? 現状と今後の見通しも徹底解説①
保税区を活用して販売できる商品区分リスト
  • 化粧品、健康食品、粉ミルクなどが大きな影響を受ける
    ⇒ 一般貿易で輸入販売が難しかった商品も、越境ECでは販売することができたため大きなメリットがあったが、今後、一般貿易と同レベルで通関手続きを経ることが厳しくなると予想される(申告書発行に必要な原産地証明および契約などの資料が取得できないケースが多いため、保税区経由での輸入を諦めざるを得ない状況が多発している)。化粧品や健康食品、粉ミルクなどは、初回輸入する際に輸入許可証の提出が必要とされた。今後、保税区を経由した販売が事実上難しくなるため、影響がかなり大きい
  • 1度の購入金額の上限は2000元が厳格になる
    ⇒ 消費者が越境ECにスキームで商品を購入する場合、1回の購入の上限金額を2000元に変更した。上限を超える高額商品に関しては、一般貿易と同じ課税の仕組みを適用する。
    ⇒ 越境CtoCサイトの場合、ブランド品を取り扱う個人バイヤーの販売が厳しくなる。

ただ、中国政府がこうした制度の変更を発表した当初、明確なルール(各保税区管轄の政府機関の判断基準)が定まっていなかったため、各EC事業者は手探り状態で動いていたのが実情です。

突然の発表による混乱と1年間の延期

税制度の変更と合わせて、商検(商検局が中国で販売・使用される商品の品質や安全性が国の基準に達しているかを検査すること)も問題となりました。

保税区を活用した越境ECは、中国国内の保税区域に商品在庫を置いて、簡易的な通関手続きを行ってから個配を行う仕組み。当然、一般的な通関手続きと越境ECの基準が異なるため、事業者は混乱しました。

今回の新制度は個人輸入から一般貿易に基づく基準へと変更されたため、多くの事業者は「税制が変わる」という認識がほとんどでした。しかし、制度の概要が実際に発表されると、税制変更以外の通関手続きに関しても大きな変更があることがわかり、越境EC事業者は大混乱に陥ります。

多くの越境ECモール(サイト)では発表直後、今後売れなくなる可能性の高い化粧品・健康食品・粉ミルクなどで、安売りなど在庫処分的な販売が頻繁に行われました(一般貿易並に通関手続きが厳しくなると予想されているため)。

たとえば、4月8日~5月8日の1か月間、アリババの本拠地がある杭州の越境EC総合試験区では1日平均4.6万件の出荷となり、57%も出荷量が低下したとのことです。

また、他の保税倉庫に関しても、「在庫が激減した」「今のうちに直送対応するため商品を海外に持ち出した」といったニュースがネット上であふれました。

この期間は、各越境EC総合試験区の担当者も運用基準の判断がつかなかったため、海外からの入庫を一旦ストップした例が多かったそうです。これも保税区の越境EC在庫が激減した理由です。

その混乱を鎮静化させるため、中国当局は5月5日に各部の責任者を集めた会議を実施し、次の措置を行うことを決定しました。

正式決定した内容

  • 税率に関し、新税制を適用する
  • 通関に関し、以前の基準を一定期間継続する
  • 通関に関し、移行期間として1年の猶予を置く

そして5月24日、中国税関官報によって通知が文書で発表され、上記の会議内容が正式に決定しました。保税方式による越境ECに関する新たな管轄ができるまでの猶予期間は2017年5月11日までです。

中国向け越境ECの新制度、税制と通関の変更内容とは? 現状と今後の見通しも徹底解説②
中国の当局が通知した資料(中国税関官報)

今後の中国向け越境ECのジャンル別予想

今回の制度変更で、保税スキームを活用した越境EC事業を行う事業者は、ルールに即した運用が求められます。そのため、さまざまな影響が出てくるでしょう。主なカテゴリに関する影響を予想してみました(※税制変更ではなく通関制度変更に絞った内容としています)。

中国向け越境ECの新制度、税制と通関の変更内容とは? 現状と今後の見通しも徹底解説中国向け越境ECの新制度、税制と通関の変更内容とは? 現状と今後の見通しも徹底解説 ジャンルごとの市場予測③
中国向け越境ECのジャンル別市場予測

中国政府が発動した越境Eの新制度は、課税や商品検閲を免れる「直送モデル」、中国で巨大な市場(流通量)となっている個人が行う「代理購入(代購)」の排除が目的であるという目的から考えると、今回の新制度によって、保税方式が越境ECの主流から外れることはないでしょう。

販売方法別のEC市場規模

  • 中国人が海外旅行などで購入をする金額 → 年間約7500億元(約12兆6000億円)
  • 淘宝(タオバオ)や微信(Wechat)や微博(Weibo)などを通じた代理購入的なCtoC(非正規通関による市場規模)→ 3000億元(約5兆円)
  • 保税方式による越境EC → 176億元(約3000億円)

中国政府の目的通りに対策が進めば、保税方式による越境ECはまだまだ大きな成長余地がある販売方法です。

ただ、一般流通に即した制度運用になることから、1年後以降は化粧品、健康食品、粉ミルクなどのベビーフード・食品といったジャンルは、厳しい状況になると予想されます。このカテゴリを扱う事業者にとっては、次のような対策が求められるでしょう。

【小売業】

猶予期間終了までに売ってもうける。また、越境ECユーザーを囲い込む。1年後以降、(もし本当に)厳しくなった時のために、別の商品カテゴリを準備しておく。1年後の新制度でも販売できる商品はあるので、その情報と商品の仕入れ先を確保しておく。

【メーカー】

猶予期間終了までにしっかりと自社商品のブランディングをしておき、1年後以降、(もし本当に)厳しくなった場合でも、ユーザーが「料金が高く、時間がかかる直送方式でも購入したい!」と思ってもらえるようにファン化を進める。また、人気の出た商品であれば、代理購入による人気商品として、日本での売り上げが伸びると思われる。

といった準備を進めることを推奨します。

越境ECは、最大カテゴリのファッションや美容雑貨、ベビー用品、雑貨など売れ筋が多くあり、一般流通から見ると優遇されている面があります。そのため、保税式越境ECは、大きな成長が見込まれている有望な分野であることは変わりません。

中国市場を狙う日本企業は、現状の制度変更をよく理解し対応をし続けることで、大きな流通額を見込むことが可能です。日本以外の多くの国が、中国市場を狙い、越境EC市場で売り上げを伸ばそうと日々努力をしています。

個々の事象にとらわれずに、その場その場できちんと対応し、中国という巨大マーケットに少しでも多くの日本商品が流通することを切に希望します。

小嵜 秀信

小嵜 秀信

GL-Plazaジャパン

大手流通小売出身。Eコマース初期より大手企業のECサイト・通販運営に従事。その後、EC事業会社、ECシステム会社の経営に携わる。

クロスボーダーEC(越境EC)事業などを手がけるGL-Plazaジャパンの代表取締役会長。GL-Plazaジャパンは、中国向け越境ECを手がける企業向けに保全地区を活用した中国向けECのサポート、高級スーパー(上海市内に3店舗)、ネットスーパーなどの事業を展開している。

 

小嵜 秀信

ロコンドが22億円を投じて物流機能を強化、GLP社の新倉庫に移転

9 years 5ヶ月 ago
総額22億円となる5年間の賃貸借契約を結び、ロコンドのEC事業者のほか、EC支援事業の商品を配送

ロコンドは22億円を投じて物流機能を拡張する。Global Logistic Properties社が千葉県八千代市に構える物流倉庫「GLP八千代倉庫」に物流機能を移転。総額22億円となる5年間の賃貸借契約を結び、ロコンドのEC事業者のほか、EC支援事業の商品配送の拠点とする。

新倉庫の所在地は千葉県八千代市。地上4階建ての倉庫の1階と4階を賃借する。増床を予定しており、敷地面積は約3万6000平方メートル。新倉庫の延べ床面積は現在比2倍となる予定。

現在倉庫を構えているのは東京都江東区。今回の倉庫移転は創業から4回目。

ロコンドは千葉県八千代市のGLP社の物流倉庫に物流拠点を移転

GLP社の倉庫内の1階と4階を賃借する

ロコンドではEC事業のほか、EC支援などのプラットフォーム事業が拡大している。自社EC支援事業(BOEM)は合計8社、店舗欠品フォーローなどのLOCOCHOCは合計約500店舗、全国百貨店や直営店に商品を配送する倉庫運営受託事業は合計2社。

瀧川 正実

ネットショップ担当者フォーラム編集部 編集長

通販、ECに関する業界新聞の編集記者を経て、EC支援会社で新規事業の立ち上げなどに携わり、EC業界に関わること約9年。まだまだ、日々勉強中。

瀧川 正実

中国向けECは酒類の販売に“商機”あり。ワインなどがオンラインでバカ売れする理由 | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

9 years 5ヶ月 ago
「JD.com」では、2015年に2200万本のワインを販売し、2014年比で倍以上を売り上げている

お酒をたしなむ中国人のうち、90%が店舗で酒類を購入しつつも、オンラインでも55%がワインなどのアルコール飲料を購入しているという調査結果をニールセン社が発表しました。飲酒習慣のある中国人の55%が、オンラインでお酒を購入しているのです。

なかでも、若い消費者がオンライン購入を利用しているようです。アマゾン中国の発表によると、2015年の輸入ワインの売り上げは550%増加。ワインの平均注文価格も40%上昇したそうです。

中国での酒類販売において、オンラインは重要なチャネルになっています。

ニールセン社は、酒類のオンライン売り上げは2014年比で23%増加したと試算。オンラインは酒類のバリエーションが豊富なため、多く購入すると答えた中国人回答者もいました。

2015年の中国での酒類売り上げは2014年比で8.9%上昇。ビールの売り上げは8.3%増だったのに対し、輸入ワインの売り上げは26.8%も伸びています。

一方、生産者が流通量を抑えたため、ウォッカ、ウィスキー、リキュール類の売り上げは落ち込みました。なお、調査の中で詳しい金額は明らかにされていません。

30~39歳の消費者が最も多くオンライン注文を利用しており、その世代は酒類の22%をオンラインで購入しています。この年代の消費者は、高級感のあるパケージのお酒を買う傾向があるそうです。

ニールセン社は、アルコール飲料のブランドや小売業社は、中国でのデジタルマーケティングを強化すべきだと指摘。20~39歳の中国人の8割は毎日インターネットを利用しているため、インターネット広告やソーシャルメディアでの活動が有効だそうです。

中国の小売企業にとって、ワインは注目度の高いカテゴリーです。インターネットリテイラー社発行の「中国 EC事業トップ500社 2016年版」で第4位に入っているアマゾン中国では、2015年の輸入ワインの売り上げが550%増加。ワインの平均注文価格も40%増えました(金額は非公開)。

アマゾン中国によると、中国の消費者はフランス、オーストラリア、チリ、アメリカのワインを好む傾向があるようです。

アマゾン中国で2015年に売れた輸入アルコール飲料トップ10

  1. ラフィット・レジャンド(赤)
  2. ジョエル・ロブション・ヴァントー(赤)
  3. カッシェロ・デル・ディアブロ(赤)
  4. バカルディ スーパー・ホワイト・ラム
  5. ジムビーム バーボン・ウィスキー
  6. ビエント・デル・スール(白)
  7. サフラム・ドライワイン(赤)
  8. ライラップ・ドライワイン(赤)
  9. サフラムIGP(赤)
  10. スカイウォッカ
    (Source: Amazon China)

インターネットリテイラー社発行「中国 EC事業トップ500社 2016年版」で1位の「JD.com」は先日、オーストラリアのワインブランド「ペンフォールズ」の販売を中国で開始すると発表しました。

「JD.com」は、2015年に2200万本のワインを販売。ワイン販売数は2014年の倍以上になっているそうです。「JD.com」のマーケットプレイスである「JD Worldwide」では、外国の小売企業が中国で酒類を越境販売できるようにしています。

「JD Worldwide」を利用する海外の小売企業は、消費者からオーダーが入ると、簡易的な通関システムを利用して、中国国内に商品を配送することが可能です。

中国でオンライン販売を始めたい海外ブランド向けのレポートは、2015年11月号のインターネットリテイラー誌内に、「オープン・ドア・ポリシー」(英語)というタイトルで掲載しています。

中国のECデータは、最新の「中国 EC事業トップ500社 2016年版」(英語)で閲覧できます。

  • 「Internet RETAILER」のオリジナル記事はこちら

Internet RETAILER

世界最大級のネット通販業界の専門誌「Internet Retailer」は、雑誌のほか、Web媒体、メールマガジンなどを運営。Vertical Web Media社が運営を手がけている。

Eコマースの戦略に関し、デイリーニュース、解説記事、研究記事、電子商取引におけるグローバルリーダーをランク付けする分析レポートなどを発行している。

Internet RETAILER

中国EC向け流通業者に追加出資、顧客企業の中国でのEC販売を促進、トランスコスモス

9 years 5ヶ月 ago
トランスコスモスの出資比率はこれまでの26.3%から39.9%に

トランスコスモスは6月20日、中国でコスメ・パーソナルケア・食品EC向けに流通事業を手がける優趣匯(上海)供応鏈管理(UNQ)に追加出資し、資本・業務提携を強化することで合意したと発表した。出資比率をこれまでの26.3%から39.9%に増やす。

追加出資でUNQとの関係を強め、トランスコスモスの顧客である日本企業の商品を、中国のEC事業者を通じて販売するモデルを推進する。

UNQは、資生堂、コーセー、サンスター、ユニチャーム、カルビーなど日本ブランドを中心にしたEC向け流通事業者。ブランドや販売会社からEC販売代理権を取得し、中国のさまざまなEC事業者に卸・販売促進を手がける。

EC向けの化粧品/パーソナルケア、食品流通事業者としては中国で最大規模。2020年の売上額は600億円を上回る計画。

トランスコスモスはUNQと2015年3月に資本・業務提携。これまで大きな実績が生まれているようで、連携強化で中国EC市場での顧客企業の商品の流通を促進する。

トランスコスモスは、グローバルECワンストップサービスに力を入れている。中国や東南アジア、欧州、米国など各国に対応。EC進出アウトソーシングサービスのほか、現地有力モールへの出店サービス、越境EC、商品仕入販売、商品ディストリビューションなど、企業のニーズに合わせて提案している(参考記事)。

中川 昌俊

ネットショップ担当者フォーラム編集部

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中川 昌俊

店舗情報6116件・会員情報62万件が流出していた。漏えい事故でGMOメイクショップが再調査

9 years 5ヶ月 ago
2年前の当時、漏えいしたのは店舗情報320件、会員情報10万1624件と公表していた

ネットショップ構築サービス「MakeShop」で2014年に発生した情報漏えい事件で、GMOメイクショップは6月21日、当時公表した数字を大きく上回る6116店舗の会員情報、合計62万5578件のメールアドレスなどが流出していたことを明らかにした。

警察からの情報提供をもとに再調査を実施したところ、当初発表を上回る情報漏えいの件数が発生していることが判明したという。

問題となった事件は、「MakeShop」への不正アクセスで最大320店の店舗管理者用IDやパスワード、39店舗で最大10万1624件の会員情報が漏えいした可能性があると、2014年9月24日に公表していたもの。

改めて調査を行った結果、6116店の店舗管理用ID、パスワードのほか、当時店舗に登録されていた62万5578件の会員ID、ハッシュ化したパスワード、氏名、生年月日、性別、住所、メールアドレス、職業、ポイント情報、決算区分などの情報が流出していたことが明らかになったという。クレジットカード情報の流出はないとしている。

6116店舗のうち、現在も運営中の店舗数は531店舗。退店済みの店舗数は5585店舗。

GMOメイクショップは、運営中の店舗に対してパスワードの再設定をメールで案内。未対応の店舗に関しては強制的に変更した。すでに退店済みの店舗に対しては連絡ができないとして、専用フリーダイヤルで問い合わせの受け付けを行っている。

今回の事態を受けて、「MakeShop」管理画面ログインのセキュリティ強化を図り、抜本的なシステムリスク管理体制の強化策を進める。社内にシステムリスク管理委員会を設置。セキュリティ専門の第三者機関を交えたさらなるシステム運用改善計画を立案し、実行する。

中川 昌俊

ネットショップ担当者フォーラム編集部

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中川 昌俊

成長のカギはソーシャルメディア活用 自社ECサイトを伸ばす最新の米国EC事例 | IRCE2016から見えた米国eコマース最前線

9 years 5ヶ月 ago
今後の日本では何が起きる? 世界最大規模のeコマースイベント「IRCE」からEC事業者に役立つ最新情報を紹介(vol.2)

米国のEC業界では、ソーシャルメディアを駆使した“独自モデル”を構築して成長しているEC企業が増えています。なかには2500%という驚異的な成長を遂げている企業も。そんな事例などが明らかにしされた世界最大規模のeコマースイベント「IRCE(Internet Retailer Conference+Exhibition)」(6月7~10日にシカゴで開催)から、最新のEC事例、オムニチャネル事例を紹介します。

自社サイトECを成長させるための3ポイント

大手ではできないスピード感で、“独自モデル”を築いて急成長を遂げた事例をいくつか共有します。その事例に共通する成長のポイントは次の通り。

  • 新しいカテゴリーでビジネスチャンスを創出
  • 単品に絞って販売する
  • 食品以外の定期購入モデル作り

こうした点は、独自サイトを持つ中堅企業の成長のヒントになるはずです。

食品の通販で新しいカテゴリー創出したECサイト「HOME CHEF」。このサイトは2500%という驚異的な伸び率で成長しています。

レシピや食材をすべてセットにして消費者に配送、ユーザーはそれをレシピに沿って簡単に調理して食べるという日本でもありそうなビジネスモデル。「HOME CHEF」が急成長している理由は、「料理が苦手な人」をターゲットに設定しているという点です。

「HOME CHEF」のTOPページ

「HOME CHEF」のTOPページ

「単品」商材の販売に集中するマットレス販売の「saatva」のほか、男性用の髭剃りをユニークなYouTube動画をきっかけに新規客を獲得し、髭剃りの替刃やスキンケア用品を定期購入へつなげる「サブスクリプションコマース」の成功事例も紹介されました。

「サブスクリプションコマース」の事例として取り上げられたECサイト

こうした自社ECサイトを中心に成長している企業の集客方法は「YouTube」のほか、「Instagram(インスタグラム)」の活用といったソーシャルメディアを最大限利用しています。「IRCE」ではソーシャル経由売上が急速に増えているデータも紹介されています。

米国EC売上トップ500社が抱えている各ソーシャルメディアのフォロワー数

米国EC売上トップ500社の各ソーシャルメディア経由の売上推移

最近は、投稿した写真や動画が短時間で消える機能を持つ「Snapchat(スナップチャット)」も、ネット上のセール活用で急速に広がっています。近いうちに、日本でも利用が広がる可能性がありますので注目しておきたいところです。

シカゴのユニクロの入口の写真:あらゆるソーシャルを活用している

シカゴのユニクロの入口の写真:あらゆるソーシャルを活用している

オムニチャネル推進に必要な3段階の手順

日本のEC市場で注目を集める「オムニチャネル」は、米国においてその言葉が強調して使われることはありません。店舗やブランドを持つ企業にとっては、「ごく普通の活動」となっていることが印象的でした。

オムニチャネルの事例で有名なターゲット社の幹部が登壇したセミナーでは、これまでの取り組みを振り返り「いきなり理想のオムニチャネルをめざしても上手くいかないので、手順を追って進めていくべき」と指摘。ステップを踏んで進めることの重要性を説明していました。

その手順とは以下の通りです。

  1. ネットで注文した商品を在庫のある店舗で受け取れるようにする(店頭在庫の活用と店舗スタッフの慣れ)
  2. ネットで注文した商品を店舗や物流センターからスピーディーに届ける(お客さまの指定時間に確実に届ける仕組みを作る)
  3. ネットで注文した商品をどこでも好きな場所・都合の良い時間で受け取れるようにする(全店の仕組み、店舗の一体化)

その結果、ネット売上を増やしながら、ネット注文の内15%は店舗受け取りとなったとのこと。店舗への誘導を増やすことができ、ネットと店舗の相乗効果を出せるようになったそうです。

ターゲット社のセミナーの様子

ターゲット社のセミナーの様子

オムニチャネル化が進むと、日本では「ネットの売り上げは伸びるが、店舗の売り上げが喰われてしまう」と懸念する声もあります。ターゲット社の事例では、店舗での受取来店や商品体験をしたいというユーザーが増え、店舗売上アップつながることが起きています。

米国の事例を聞いてみると、日本の流通企業もオムニチャネルの取り組みを“普通に”進めていかなければ、主に20~40代の顧客を他社(オムニチャネルを推進している企業)に奪われるリスクが大きくなるでしょう。

企業経営にとって最大の効果は、店舗在庫の削減や最適化が進んでいくこと。全社の「資産の有効活用」によって経営効率指標も改善することが説明されました。今後のEC戦略の参考になる点も多いはずです。

◇◇◇

次回は、展示会で得た情報をご紹介。米国のEC支援企業が提供する注目のソリューションや気になったブースなどから、日本のECの近未来を予測していきます。

 

高木 修

株式会社いつも.コンサルティング事業部 部長兼 国際流通部長

株式会社いつも.のEC支援部隊を統括する事業部長。部門を統括する傍ら大手企業のEC事業拡大のコンサルティングを中心にEC多店舗で年商30億突破の成功プログラムを多数開発。アメリカ在住経験もあり、海外ECモデルの変遷にも精通し、最低年2回はアメリカ視察を行いアメリカの小売及びEコマースの最新動向も収集・整理して日本での活用を提案している。IRCEも4年連続で参加し、Eコマーストレンドの変化を現場視点で捉えて、クライアントの近未来の戦略立案に役立てている。

高木 修

なぜ、ルタオや茅乃舎は元気なのか? 地方の通販企業に学ぶ成長のヒント | 通販新聞ダイジェスト

9 years 5ヶ月 ago
「茅乃舎」の久原本家、「ルタオ」ブランドの寿スピリッツ、健食通販のアイリンクス、愛しとーとなどの事例を紹介

「通販」が社会的認知を得て大手メーカーの参入が増える中、地方の発信力を武器に大手に挑む中小通販が増えている。地域に根差す通販企業にとって、“地方の旗”はブランド価値を醸成する上で強みになる。だしを中心とする「茅乃舎」ブランドの久原本家や、洋菓子中心の「ルタオ」ブランドを展開する寿スピリッツはその成功事例。これに追随する企業が増えている。通販市場の競争が激化する中、顧客からその実態が捉えにくい通販とリアルの融合に挑む企業は独自価値を築くことができるか。

「茅乃舎」「ルタオ」の成功に注目

20億円前後の売り上げだった当時、茅葺屋根の古民家を建てるのに数億円もの設備投資をした。誰があんなに田舎に来るのかという話だった。今思えば通販に持っていく一つのツールだったのではと感じる。

久原本家の「茅乃舎」ブランドをある通販関係者はこう評価する。

「茅乃舎」がだしの販売を始めたのは約10年前。福岡県糟屋郡に「レストラン茅乃舎」を展開。そこで扱うだしを全国の店舗と通販で売り、今では「売り上げの5割前後が通販では」(久原本家に近い関係者)と話すほどに成長している。

冬場の大根や、ニーズが下がる夏場にナスの煮びたしを使った広告のインパクトが強い。“茅乃舎だし2袋”など自社商品のリピートを意識した料理レシピ本など、CRMツールも工夫されている。「だしはリピート商材である点からももともと通販向き。けれどうまくいかない。地元に展開するレストランが生み出すブランドイメージで“通販だし市場”を築いた」と、注目する通販関係者が少なくない。

もう一つ、注目される企業が寿スピリッツグループのケイシイシイが展開する菓子ブランドの「ルタオ」だ。廃業寸前の道内の菓子工場を買収して98年に開業。小樽市を中心に道内にしか常設店を展開せず、通販や催事販売で全国に売る。「通販も焼菓子では面白くない。徹底した冷凍技術の研究でケーキを通販できるようにした点と優秀なパティシエの囲い込みがポイント」とみる通販関係者もいる。地方ならではの手法で通販とリアル店舗との融合に着目する企業が増えている。

なぜ、ルタオや茅乃舎は元気なのか? 地方の通販企業に学ぶ成長のヒント

通販企業の店舗展開相次ぐ

健康食品通販を手掛けるアイリンクスが目をつけたのは、JA糸島が運営する産直市場「伊都菜彩」で知名度が高まっている福岡県糸島市。久原本家が拠点を構える福岡県糟屋郡と市街を挟んでちょうど30、40分の距離にある。ここで展開する大正年間創業の福寿醤油を2014年末に買収。昨年4月、レストランやカフェ、無農薬野菜や調味料を販売する売店を併設する店舗「伊都安蔵里(いとあぐり)」をオープンした。

なぜ、ルタオや茅乃舎は元気なのか? 地方の通販企業に学ぶ成長のヒント アイリンクスは2014年末に地元の醤油屋を買収③
アイリンクスは2014年末に地元の醤油屋を買収

野菜の宅配・通販(8~14品、3000円~6500円のパック)も行うがまだ売り上げは年間数千万円規模。ただ、通販顧客への商品紹介を始めており、今後、アイリンクスが通販で培ったノウハウを活用していく。

なぜ、ルタオや茅乃舎は元気なのか? 地方の通販企業に学ぶ成長のヒント アイリンクスは2014年末に地元の醤油屋を買収④
店内では糸島産の野菜の販売も行う

同じく健食通販を行う愛しとーとも14年、岩本初恵社長の地元である佐賀県唐津市に約10億円をかけてバイキングレストランをオープン。7月5日に2周年を迎えるが、広告塔になる岩本社長のファンをはじめ、すでに来店者数はのべ20万人を突破している(今年5月末時点)。「社長抜きのオペレーションを予定していたが、会いにくる人が多く、テレビ出演や講演以外は土日もできる限りレストランに出ている。当初、想定していなかったが愛用者との交流の場になっている」(同社)という。

なぜ、ルタオや茅乃舎は元気なのか? 地方の通販企業に学ぶ成長のヒント 愛しとーとは佐賀県唐津市に約10億円をかけてバイキングレストランをオープン⑤
佐賀県唐津市にオープンしたバイキングレストラン

通販展開も進める。「レストランの食」シリーズとしてだしや万能つゆ、ドレッシングなどを展開。2月には人気の「もちもちパン」の専用通販サイトも立ち上げている。これら商品で百貨店での催事販売も行う。

なぜ、ルタオや茅乃舎は元気なのか? 地方の通販企業に学ぶ成長のヒント 愛しとーとは佐賀県唐津市に約10億円をかけてバイキングレストランをオープン②
バイキングレストラン「愛しとーと」は7月の2周年を前に、すでに来店者数がのべ20万人を突破した(2016年5月末時点)

都内に拠点を置く企業ではあるが、世田谷自然食品は14年末に立ち上げた新会社、吉祥寺スイーツで菓子販売を始めた。東京・武蔵野市の吉祥寺を拠点にバウムクーヘンの専門店「バウム吉祥寺」を出店。以降、昨年10月にはケーキなど生菓子、焼菓子の販売、カフェも併設する「パティスリー吉祥寺」も出店。通販も行っている。

「こだわり店舗」でブランディング

これら企業の狙いの一つは、通販のブランディングだろう。通販にマッチした“単品モデル”は鋭い切り口を生む。一方で単品依存は脆さもある。多くの企業が直面する課題が単品への集中で形成された「商品ブランド」から企業ブランドへの転換。その中で、「ブランディングの一つの手法として、通販とリアル店舗との融合が大事だと考えた」(アイリンクス)という。

ここ数年、健食市場は競争が激化。接点を持った顧客のLTVを意識する中、医薬品や食品など新たな領域に活路を見出す企業が増えた。

世田谷自然食品は、グルコサミン以降も青汁など複数の商材を育てるが、一方で食品通販も前期(15年6月期)に約15億円と拡大している。愛しとーとも食品通販を強化。14年8月に豆腐製造の五ヵ山豆腐(佐賀県神埼郡)の事業を継承したほか、水の販売事業を始めている。アイリンクスも今回の食品事業参入に「健食の表示規制があって機能が表現しづらい中、機能性表示食品やトクホ、医薬品など“機能”に寄せるのも一つの手法。一方で食もある。ただ、店舗がない中で“良い会社”をアピールしても伝わりづらい」と出店の理由を話す。

地域との連携事業を後押し

地域密着型の展開も事業展開を後押しする。愛しとーとは、岩本社長が地元である唐津市への貢献を目的に立地を検討。レストランは物流センター、健食の製造設備も併設し、すでに約100人の地元雇用を生んでいる。将来的に300人の雇用を目指す考え。開店時は佐賀県知事、唐津市長が駆けつけ、来店客の増加が地元活性化につながっていることから、旅行社も積極的にバスツアーを組むなどバックアップする。アイリンクスも「伊都安蔵里」で行うイベントに糸島市長が参加するなど、人口減に悩む糸島市との連携を強化していく。

先行する「茅乃舎」「ルタオ」モデルの好例のように、単品で成功をおさめた通販企業が店舗を持つこと自体それほど難しくはない。ただ、これら先行モデルの成功も商品や接客へのこだわりなど複合的な要素があってのもの。「ブランドイメージ」の醸成のみを目的にした店舗展開では厳しい競争を勝ち抜けない。通販とリアル店舗の融合に挑む企業の今後の行方が注目される。

「通販新聞」掲載のオリジナル版はこちら:
"地方"の発信力で大手に挑む、通販とリアル店舗の融合へ(2016/06/16)

通販新聞

リクルートが中国EC市場に本格参入 「ポンパレ」店舗は負担なしで「天猫国際」に出品へ

9 years 5ヶ月 ago
C2Jジャパンと業務委託契約を締結し、中国向け越境ECをスタートするための準備を開始

「ポンパレモール」に出店すると、初期費用・固定費用ゼロ円で中国向け越境ECに参入できます。

リクルートライフスタイルは2016年夏、「ポンパレモール」出店者の商品を「Tmall Global(天猫国際)」で販売する取り組みを始める。

「Tmall Global(天猫国際)」への出店・運用を代行するC2Jジャパンと業務委託契約を締結し、中国向け越境ECをスタートするための準備を始めた。

「ポンパレモール」出店者は、基準をクリアした商品を初期費用・固定費ゼロ円で中国向けに販売することが可能。リクルートライフスタイルと業務提携を結んだC2Jジャパンを通じて、「Tmall Global(天猫国際)」への出品、翻訳、決済、発送までをワンストップで利用できる。

出品情報の翻訳は手動翻訳。誤翻訳を防ぐことができ、商品の魅力を適切に表現することができるという。

中国向けの配送業務は、日本の通販商品を世界各国へ海外発送(国際転送)するサービスを提供するJapanTensoと組む。

リクルートが中国EC市場に本格参入 「ポンパレモール」店舗は負担なしで「天猫国際」に出品へ

中国向け越境ECサービスの仕組み

「Tmall Global(天猫国際)」は、アクティブ会員6500万人(2016年5月現在)を超える中国最大級の総合オンラインショッピングモール「Tmall(天猫)」の越境型ECとして、2013年9月にスタート。日本からの直送モデルで販売できる。

瀧川 正実

ネットショップ担当者フォーラム編集部 編集長

通販、ECに関する業界新聞の編集記者を経て、EC支援会社で新規事業の立ち上げなどに携わり、EC業界に関わること約9年。まだまだ、日々勉強中。

瀧川 正実
確認済み
43 分 13 秒 ago
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