近年、多くのECサイトが売上アップ施策の1つとして「メディアEC」の運営に取り組んでいます。メディアECを運営することでECサイトにどんな効果があるのか、運営の重要性を解説しつつ、メディアECを上手に活用し、ECサイトの成長に大きな成果をもたらしている事例を紹介します。
「メディアEC」とは? メディアECとは、簡単に説明すると「ECサイトとメディアを一体化させたWebサイト 」のことを指します。
ECサイトを「商品を販売するだけの場」とするのではなく、購入者にとって役立つ情報や興味を引く独自性の高いコンテンツとあわせて発信することです。
たとえば、ECサイト上で商品の使い方やお役立ち情報が書かれたコラムなどを目にしたことはないでしょうか。
それらのコンテンツの多くは、商品に関連するキーワードを検索した結果、サイトにたどり着いた人に商品やECサイトを知ってもらい、そこでより魅力的な情報を伝え商品購入を促す 、といった顧客獲得を目的としています。
また、1度購入した顧客に対して関連する悩みや関連商品の記事に回遊させることで、リピーター獲得やエンゲージメント向上につなげる ことを目的としています。
メディアECの種類 メディアECの種類について触れていきましょう。一口にメディアECと言っても、さまざまな種類があります。
記事コンテンツを展開する「Webメディア」 SNS(Facebook、X(旧Twitter)、Instagram、TikTok) YouTube 記事コンテンツを展開するWebメディアとECサイトを一体化させる形式は多く見かけます。
しかし近年、Webにアクセスできるデバイスの多様化、SNSの普及により、消費者の行動が日々刻々と変化しており、X(旧Twitter)、Instagram、TikTok、YouTubeなどのSNSや動画プラットフォームとECサイトを連動し購入を促すサイトも増えています。それらも「メディアEC」と言えます。
なぜメディアECが重要なのか なぜ、コンテンツを発信するECサイトが増えてきているのでしょうか。
自社を選んでもらうために、競合サイトとの差別化が必要に 2022年の国内における物販系分野のBtoC-EC市場規模は、2021年の13兆2865億円から7132億円増加し、13兆9997億円となり、EC化率も9.13%と年々増加しています。(参考:経済産業省『令和4年度 電子商取引に関する市場調査 報告書』 )
ECプラットフォームも増加・多様化傾向にあり、個人間取引を手軽にできるプラットフォームの利用者も多く、Webでモノを売るハードルが下がっています。
ECサイトが増えるということは、消費者が購入する店の選択肢が広がったということでもあり、自分たちのECサイトを見つけてもらうこと、そして「このお店で買いたい」と選んでもらうことの難易度が上がってきている と言えます。
そこで購入者に選んでもらえるような、他店との差別化を図る自社独自のコンテンツを持つことがより重要になってきました。
集客手段としてのコンテンツ活用 商品ページ以外に独自コンテンツをメディアECとして展開することは、集客の手段としても効果を発揮します。
たとえば、ショップ独自の有益な記事コンテンツは、内容によっては検索エンジンからの検索流入を増やす などSEO施策としても効果を発揮するケースがあります。
また、コンテンツの見せ方や発信方法を変え、メルマガ、SNS、動画プラットフォームなどに横展開し情報を発信することで、認知拡大やさまざまなチャネルからの流入も見込めます 。
集客手段が増えることは売上アップにおいて非常に重要であり、集客を目的にメディアECに取り組んでいるショップも多いでしょう。
ファン、リピーターの獲得 商品の開発秘話、ショップスタッフの思い、ブランドの歴史紹介といったストーリーコンテンツは、そのショップだけの独自コンテンツになります。
独自コンテンツを通して、購入者はただの消費者ではなくブランドや商品のファンになり、結果として顧客ロイヤルティの向上、長期的な顧客関係の構築、最終的には持続可能なビジネスの成長へとつながる のです。
ECサイトでは、新規顧客を獲得するよりリピーターの購入を増やす方が集客コストが少なく済むケースが多いため、コンテンツを通じて自社の魅力を伝えファンになってもらうこと は、ECサイトの売り上げを伸ばすために非常に重要な施策と言えます。
メディアECの活用事例「かわしま屋」 今回紹介するのは、オーガニック、無農薬、無添加の玄米、三年番茶、梅干し、三年味噌、化粧品などを販売している「かわしま屋 」さんです。
メディアECを活用しているECサイト「かわしま屋」さん(画像は「かわしま屋」さんのサイトからキャプチャ) 「かわしま屋」さんは「カラーミーショップ大賞2023 」で大賞を受賞したショップで、受賞理由のなかには、メディアECとして独自のコンテンツを発信している点が含まれ、評価されました。メディアECをうまく取り入れ、ショップの成長に生かしたい人にとって非常に参考になるでしょう。
今回は「かわしま屋」さんのECサイトで参考になるポイントを3つ紹介します。
① 魅力を伝えるためにこだわった商品ページ まず紹介したいのが、商品ページへのこだわりです。1つの商品を紹介するために、写真・動画、ユーザーのレビュー、Q&Aと多くの情報を掲載 しています。商品ページでありながら商品紹介にとどまらず、記事コンテンツと呼べるほどの情報量は圧巻です。
商品ページに十分な情報を掲載することは、代表の河島さんが1人で商品ページを作っていた創業時から心がけていたそうです。
「かわしま屋」さんの商品ページ(画像は「かわしま屋」さんのサイトからキャプチャ) また、取り扱う商品によってはテキストでは伝えきれない部分もあるため、動画を撮影し商品ページに載せるなど、「商品の魅力をお客さまに伝えるにはどうすればいいのか? 」を常に考え、コンテンツを作成しているそうです。
動画も交えて商品の魅力を発信しています(画像は「かわしま屋」さんのサイトからキャプチャ) 現在はマーケティング的な役割を担う「コンテンツチーム」の約10人のメンバーが商品ページの構成・制作、コラム記事の執筆を担当しているとのこと。商品が増えている今も一貫して、商品ページを1つひとつ丁寧に作りこんでいます。
商品の魅力を伝えるためのこだわりは、ECサイト運営者ならぜひ参考にしたいポイントです。
② 信頼性のあるコンテンツ発信と体制 自社ECサイト内で運営しているWebメディア「Food for Well-being 」では、商品を使ったレシピを中心に味噌、玄米、麹など、ユーザーの関心の高い食品に関する知識をコラムとして掲載しています。
「かわしま屋」さんのWebメディア「Food for Well-being」(画像は「かわしま屋」さんのサイトからキャプチャ) 記事コンテンツの大部分を、医師、管理栄養士、研究者(大学教授)などの専門家の監修を入れるなど信頼性のあるコンテンツを作っており 、コンセプトのページ では記事コンテンツ作成に関わるスタッフや監修者の紹介もしています。
代表である河島さんにお話を伺いました。
主要な記事コンテンツは管理栄養士さんに見ていただくようにしています。自分たちでも文献を探して正しい情報をお伝えするようにはしていますが、より権威性のある記事のほうが読み手は安心できる と思っています。(かわしま屋 代表 河島酉里氏)
「誰がこのコンテンツを作ったのか」を明記することで信頼性や専門性を高める努力をしている点は、メディア運営をする人なら見習いたい姿勢です。
また、レシピコンテンツは印刷対応しているだけでなく、人数(何人分)を選ぶことで食材の量が自動計算される など、読者が次のアクションをしやすいような細かい配慮も。
レシピページでは、印刷対応だけでなく、人数に合わせて分量が計算できる設計に(画像は「かわしま屋」さんのサイトからキャプチャ) ③ 幅広いチャネルでのコンテンツ展開 自社ECサイトのオウンドメディアにとどまらず、Facebook、X、Instagram、LINEなど幅広くSNSを活用しています。
「かわしま屋」さんが運営しているSNS一覧(画像は「かわしま屋」さんのサイトからキャプチャ) たとえば動画をYouTubeで公開するだけでなく、関連記事内に埋め込むなど、テキストと動画、どちらでも読者にアプローチできる上手な見せ方 をしています。
まとめ 今回は第一弾として、メディアECとは何か、重要性や事例を紹介しました。
メディアECの運営は、売上アップにつながるというメリットがある一方で、リソースがかかるため、運営自体が厳しく継続が難しい、効果が出るまで時間がかかる といったデメリットもあります。
しかし、長い時間をかけてメディアECに取り組み、独自性を築きファンを増やした結果、中長期的に店舗の売上向上につながると期待できるので、挑戦する価値はあると思っています。
次回もまたメディアECの事例を紹介していきます!
※このコンテンツはWebサイト「ネットショップ担当者フォーラム - 通販・ECの業界最新ニュースと実務に役立つ実践的な解説」 で公開されている記事のフィードに含まれているものです。 オリジナル記事:コンテンツ+ECで売上を伸ばす「メディアEC」とは? メリット+成功事例を解説 | メディアコマースについて学ぼう! Copyright (C) IMPRESS CORPORATION, an Impress Group company. All rights reserved.
インバウンドが急速に復活というかそれ以上に伸びているので、外国人の皆さんが日本に触れる機会も増えていますね。日本を堪能した人たちが越境ECで買い物しようとするのは自然な流れですし、少子高齢化が進む日本では外に目を向ける必要もあります。