ネットショップ担当者フォーラム

自分で申請できる! EC担当者が知るべき小規模事業者持続化補助金とは?

1 year 11ヶ月 ago
EC企業にとっても、ビジネスに関する身近な費用を補助してもらえることができる「小規模事業者持続化補助金」。申請が難しいのではと諦めていませんか? 概要や申請のポイントを解説します

「新しい販促施策をしたいけれど予算がない」。こんな時に活用できるのが「小規模事業者持続化補助金」です。販売促進に関わる費用が広く対象となる一方で、WebやECサイト制作のみの申請、パソコンの購入には利用できないなど、EC事業者には気をつけたいポイントもあります。自社申請のポイントも含めて概要をお伝えします。
※本記事は、2024年2月10日時点の情報です。最新の情報は「小規模事業者持続化補助金」の公式ホームページを確認してください。

目次

  • 小規模事業者持続化補助金とは
    • 補助対象者
    • 補助率、補助上限
    • 対象経費
  • 最近の主なアップデート
    • 「ウェブサイト関連費」の上限が1/4に
    • 「専門家謝金」「専門家旅費 」の廃止(第12回)
    • 「雑役務費」の廃止(第15回) 
  • 自社で申請書を作成する場合のコツ
    • 1. 自社の経営状況分析の妥当性
    • 2. 経営方針・目標と今後のプランの適切性
    • 3. 補助事業計画の有効性
    • 4. 積算の透明性・適切性
    • 加点・減点
  • 留意点
    • 商工会・商工会議所で発行する書類があるため早めに
    • 使った後で振り込まれるため自己資金は必要
    • 補助対象期間のみが補助対象

小規模事業者持続化補助金とは

ECサイト運営事業者が申請できる補助金はいくつかあります。経済産業省は、「事業再構築補助金」「ものづくり補助金」「IT導入補助金」「小規模事業者持続化補助金」などを、通年で募集する補助金として設けています。

そのなかでも、小規模事業者持続化補助金は、補助上限額は50~250万円と先にあげた補助金の中では少額であるものの、対象となる経費の用途が広く、ECに関する業務の範囲と重なるところが多い補助金です。

つまり、補助金の活用により、販促施策を大きく前進させることができます。まずは概要をざっくりつかんでみましょう。

補助対象者

「商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律」に定義された「小規模事業者」です。

  • 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)……常時使用する従業員の数 5人以下
  • サービス業のうち宿泊業・娯楽業&……常時使用する従業員の数 20人以下
  • 製造業その他……常時使用する従業員の数 20人以下

個人事業主は対象になりますが、医師、歯科医師、助産師は対象にならないなど、範囲も定められています。詳細は公式サイトで公開されている公募要領を確認してみましょう。

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補助対象者の範囲(画像は公募要領からキャプチャ)

公募要領は、本補助金のルールブックのような存在です。募集回ごとに、少しずつ変更がありますので、判断に迷ったときや、詳細を確認したいときは、第三者の情報を鵜呑みにせずに、まずは公募要領を確認することをお薦めします。

補助率、補助上限

使った費用の全額が補助されるわけではありません。補助される割合を補助率、補助される金額の上限を補助上限と言います。多くの事業者が当てはまる「通常枠」では、補助率2/3、上限50万円ですから、75万円を使う計画を立て、75万円を使うとそのうち50万円が補助金として手元に戻ってくるものです。

自分で申請できる! EC担当者が知るべき小規模事業者持続化補助金とは?
※すべての枠(類型)で、インボイス特例の要件を満たす場合は、補助上限額に50万円を上乗せ

多くの企業は「通常枠」で申請することになります。しかし、国の施策を推進するためにいくつかの特別枠(類型)が設けられており、通常枠より補助金額が優遇されています。たとえば、賃上げを計画している事業者は、賃金引上げ枠に該当する可能性があります。公募要領をもとに、経営者や関係部署に該当するものがないか確認してみましょう。

対象経費

小規模事業者持続化補助金では、具体的に以下の経費が、補助の対象になります。以下、第15回の公募要領から抜粋し、一部わかりやすく表現を変更しました。EC担当者の皆さんにおいては、イメージのつきやすい経費が多いことでしょう。

経費区分概要対象となる経費例(抜粋)
広報費パンフレット・ポスター・チラシ等を作成および広報媒体等を活用するために支払われる経費
  • チラシ・カタログの外注や発送
  • 新聞・雑誌等への商品・サービスの広告
  • 看板作成・設置
  • 試供品(販売用商品と明確に異なるものである場合のみ)
  • 販促品(商品・サービスの宣伝広告が掲載されている場合のみ)
  • 郵送によるDMの発送
ウェブサイト関連費販路開拓等を行うためのウェブサイトや EC サイト、システム(オフライン含む)等の開発、構築、更新、改 修、運用をするために要する経費 
  • 商品販売のためのウェブサイト作成や更新
  • インターネットを介したDMの発送
  • インターネット広告
  • バナー広告の実施
  • 効果や作業内容が明確なウェブサイトのSEO対策
  • 商品販売のための動画作成
  • システム開発に係る経費(インターネットを活用するシステム、スマートフォン用のアプリケーション、業務効率化のためのソフトウェア、システム構築など) 
  • SNSに係る経費
展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)新商品等を展示会等に出展または商談会に参加するために要する経費
  • 展示会出展の出展料等
  • 関連する運搬費(レンタカー代、ガソリン代、駐車場代等は除く)
  • 通訳料・翻訳料
旅費補助事業計画(様式2)に基づく販路開拓(展示会等の会場との往復を含む。)等を行うための旅費
  • 展示会への出展や、新商品生産のために必要な原材料調達の調査等に係る、宿泊施設への宿泊代
  • バス運賃・電車賃・新幹線料金(指定席購入含む)・航空券代(燃油サーチャージ含む。エコノミークラス分の料金までが補助対象)、航空保険料、出入国税
新商品開発費  新商品の試作品や包装パッケージの試作開発にともなう原材料、設計、デザイン、製造、改良、加工するために支払われる経費
  • 新製品・商品の試作開発用の原材料の購入
  • 新たな包装パッケージに係るデザイン費用
委託・外注費販路開拓等の取り組み(以下「補助事業」)の遂行に必要な業務の一部を第三者に委託(委任)・外注するために支払われる経費(自ら実行することが困難な業務に限ります。)
  • 店舗改装・バリアフリー化工事
  • 利用客向けトイレの改装工事
  • 製造・生産強化のためのガス・水道・排気工事
  • 移動販売等を目的とした車の内装・改造工事
  • (補助事業計画の「Ⅰ.補助事業の内容」の「3. 業務効率化(生産性向上)の取組内容」に記載した場合に限り)従 業員の作業導線改善のための従業員作業スペースの改装工事
  • インボイス制度対応のための取引先の維持・拡大に向けた専門家(税理士、公認会計士、中小企業診断士等)への相談費用

上記の他、以下の経費区分が設けられ、販路開拓等の取り組みを、広く補助対象としています。

  • 機械装置等費:例)顧客管理ソフトウェア、試作のための3Dプリンター(通常のプリンターは不可)
  • 資料購入費:例)販路開拓等の取り組みに不可欠な図書等
  • 借料:例)補助事業を実行するために借り入れた機器・設備のリース料・レンタル料
  • 設備処分費:例)補助事業実施にあたり作業スペースを確保するために発生した廃棄・処分費用

「これも対象になるの?」と疑問に感じた場合は、公募要領を確認しましょう。「対象とならない経費例」についても記載があります。販路開拓等のプランの全体像を練る前に一読をお勧めします。

最近の主なアップデート

小規模事業者持続化補助金は公募を重ねるごとに小さな変更点が発生しています。大きなアップデートがあったのは第8回(2022年6月締切り)。最新の第15回の情報をもとに、『ネットショップ担当者フォーラム』で掲載された記事(2020年5月)からの変更点を確認してみます。

「ウェブサイト関連費」の上限が1/4に

ウェブサイト関連費という新たな経費区分が追加されました。これはホームページ制作などに関連する費用で、以前は広報費の中に含まれていましたが、第8回以降、独立した経費区分となりました。

EC事業者に重要なのが、ウェブサイト関連費には補助金交付申請額の4分の1を上限とする制限が設けられた点。ウェブサイト関連費には、商品販売のためのウェブサイト作成・更新費用、インターネットを介したダイレクトメール発送費用、インターネット広告費(Facebook、Instagram、Googleなど)が含まれます。すなわち、補助上限50万円の一般枠では、Webマーケティング関連の補助上限は12.5万円、その他に新商品開発やオフライン施策を申請に含める必要があるということです。

前項の「対象経費」も参考に、視野を広げてみましょう。補助金のスケジュールを踏まえて商品開発をしていく、施策をオムニチャネルで計画する、などとうまく補助金を使った計画が描いてください。

「専門家謝金」「専門家旅費」の廃止

専門家謝金と専門家旅費という経費区分が第12回から廃止されました。これにより、コンサルタントなどの専門家に対する謝金や旅費が認められなくなりました(インボイス対応の相談費用を除く)。

小規模事業者では専任担当が不在のことが多く、プロモーションに関連し、SEO対策、SNS運用、Webマーケティングの全体設計、プレスリリースの添削などの専門領域でコンサルタントに依頼することもあるでしょう。これらの経費は対象外である点に注意したいです。

「雑役務費」の廃止

雑役務費は、補助事業計画に基づいた販路開拓を行うために臨時的に雇い入れた者のアルバイト代、派遣労働者の派遣料、交通費として支払われる経費として設けられていた区分です。これが第15回から廃止となりました。

たとえば、プロモーションに関連して展示会出展時のブース出展の手伝い、パンフレット制作におけるモデル役、チラシ配布のためにアルバイトをお願いするといった費用は対象外になりました。 

自社で申請書を作成する場合のコツ

本補助金は審査があるため、専門家に代行をお願いする事業者も多いのですが、EC事業者の皆さまには、自社で申請書を書くことをお勧めします。審査といっても、ビジネスコンテストのように数社が選ばれる類のものではなく、事業計画の内容の適切性を審査し、総合的な評価が高い順に採択されるものです。コロナ禍以降、採択率が最も低かった一般型第4回でも約44%、7128件が採択されています。

審査では、「様式2」で記載する<経営計画>と<補助事業計画>の内容が肝になります。主に記載する項目は、日頃、ネット担当者の方がお考えの、新商品の販促やキャンペーンの企画書の項目と似通っているのです。ここでは、公募要領にある「審査の観点」をもとに、ポイントを解説します。

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審査の流れ(画像は商工会議所地区 小規模事業者持続化補助金のHPからキャプチャ)

1. 自社の経営状況分析の妥当性

会社の経営状況や、自社の、また商品やサービスの強みを把握しているかをチェックします。経営状況というと難しい印象がありますが、様式2の各欄に「1.企業概要」「2.顧客ニーズと市場の動向」「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」など、記載すべき項目が指定されていますので、参考にしながら、具体的かつ客観的な情報を記載します。

様式2は、Wordの申請書ですが、必要に応じて、写真、グラフ画像を貼り付けても構いません。本補助金にプレゼンテーションの機会はありませんから、書面だけで見やすい計画書の作成を心がけます。

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様式2の「経営計画」に関する記入欄(画像は公募要領からキャプチャ)

2. 経営方針・目標と今後のプランの適切性

経営方針・目標と今後のプランが、自社の強みや対象とする市場(商圏)の特性を踏まえているかをチェックします。<経営計画>の「4.経営方針・目標と今後のプラン」が、様式2の各欄1~3で記載した内容と整合性があるか確認しましょう。

たとえば、右肩下がりの市場にもかかわらず、根拠なく、「3年後に売り上げを2倍にする」という目標を掲げても、審査員の納得感は薄いでしょう。様式2の各欄1~3の中で、「自社商品に関連し、●●の観点でブームがきており、当社ホームページのPV数が前年比4倍となっている」「●●には、パートナー会社にノウハウがある」などと実現可能性に触れておき、「パートナー会社と提携し、●●の市場に商品を打ち出すことで、3年後に売上を2倍にする」など、1~3が根拠となっている、つまり、客観的に見て一貫性があることが望ましいでしょう。

3. 補助事業計画の有効性

補助事業計画において、具体的で実現可能性が高いか、経営計画の今後の方針・目標と整合性がとれているか、創意工夫があるか、ITを活用しているかを審査します。

この補助金は、2つ計画を記載する様式ですが、「<経営計画>」は会社全体の中長期計画を、「<補助事業計画>」はそれを達成するための今回申請する補助金の使い道となる販促施策のプランを記載すると、申請書がすっきりとまとまります。

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様式2の「補助事業画」に関する記入欄(画像は公募要領からキャプチャ)

「1.補助事業で行う事業名」は計画(施策)のタイトルは、「2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容」に具体的な計画を記載します。

計画は、新商品の販促やキャンペーンの企画書をイメージしながら書いてみましょう。5W3Hの観点で具体的に、かつ専門用語を使わずに記載していきます。背景と目的、ターゲット、取り組みの内容、実施期間、体制、プロモーション方法、予算、成果測定方法などの項目が考えられるでしょう。また、ITの活用も審査基準に含まれます。

EC事業者の皆さまであれば、販売促進施策を実施するときに、告知のためにSNSを使う、効果測定のためにGoogleフォームを使いアンケートを行う、GoogleアナリティクスでPV数を見るなど、日常的にITを利用しているでしょう。申請する費用でなくても、関連するITの施策や業務は記載しておくことが重要です。

また、「4.補助事業の効果」欄には、「販路開拓等の取組や業務効率化の取組を通じて、どのように生産性向上につながるのかを必ず説明してください。」と丁寧な記載があります。ここで指している「生産性向上」は業務効率化に限りません。

「利益の向上」と読み替えると理解しやすいでしょう。つまり、「(業務効率化による)コスト削減」や「(販路開拓等による)売上増加」を数値で示します。目標を「客数」×「客単価」で分解する、KPIを使った計画を立てるなどは、EC事業者の得意とするところです。因果関係を示した上で、具体的に数値で記載するのがポイントです。

4. 積算の透明・適切性

様式3「補助事業計画書2【経費明細表・資金調達方法】」が、補助事業計画との整合性があるか、費用の計算が正しいかを審査します。補助事業計画で触れていなかった費用を入れ込むのは控えましょう。

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様式3の「補助事業計画書2【経費明細表・資金調達方法】」に関する記入欄(画像は公募要領からキャプチャ)

加点・減点

審査の観点とは別に、要件に当てはまっていれば、一律に加点する項目、減点する項目があります。たとえば、「パワーアップ型加点」の「地域資源型」は、地域資源等を活用し、良いモノ・サービスを高く提供し、付加価値向上を図るため、地域外への販売や新規事業の立ち上げを行う計画に加点を行うものです。

たとえば、事業所がある地域の資源を活用した商品を、広くネット販売する計画であれば、加点が認められる可能性があります。また、郵送で提出すると減点がなされます。この加点、減点の項目は、募集回によって変わる可能性が高く、毎回、公募要領を確認するのが望ましいでしょう。

自分で申請できる! EC担当者が知るべき小規模事業者持続化補助金とは?
様式2の「補助事業画」にある「経営計画書兼補助事業計画書
」の「2.パワーアップ型加点」に関する記入欄(画像は公募要領からキャプチャ)

留意点

EC業務と相性が良い小規模事業者持続化補助金ですが、留意点もあります。

1. 商工会・商工会議所で発行する書類があるため早めに

自社で計画を策定し、申請書を書いたからといって、すぐに提出できるわけではありません。計画を策定した後、商工会・商工会議所で確認を行い「事業支援計画書(様式4)」を発行してもらう必要があります。原則、締め切りの1週間前に設定されています。商工会・商工会議所の会員である必要はなく、すべての事業者が必要となる書類です。商工会・商工会議所によっては、会員でなくても計画についてアドバイスを受けられる場合もあります。申請を決めたら、早めに問い合わせてみましょう。

2. 使った後で振り込まれるため自己資金は必要

補助金は、お金を使った後で振り込まれるため、一旦は、自社で資金調達をしなければなりません。仮に手元にお金がない場合、金融機関によっては、「つなぎ融資」を受けられるケースがあります。「つなぎ融資」とは、補助金が採択されてからお金が振り込まれるまでの間、短期的な融資を受け、振り込まれた補助金で返済するものです。経理担当者から、日頃付き合いのある金融機関に問い合わせてもらいましょう。

3. 補助対象期間のみが補助対象

募集回ごとに補助対象期間が定められており、これ以外の期間にかかった費用は対象外となります。たとえば、採択後に制作したパンフレットのうち期間内に配りきれなかった分や、採択後にネット広告の配信を始め、期間が過ぎて配信してしまった分などが考えられます。通例、補助期間は数ヶ月であるため、この規模感で計画を立てましょう。

まとめ

ネット担当者の業務と相性のよい小規模事業者持続化補助金。予算上、これまで諦めていた販促企画も、検討しやすくなるのではないでしょうか。現在、ウェブサイト関連費は1/4の制限がありますが、これを逆手に取り、オムニチャネルや新商品開発にもチャレンジし、ネット担当者としての経験値を高める機会としてはいかがでしょうか。

筑間 彰

【食品通販・EC市場】2021年度は0.3%増の4.5兆円、2023年度は1%増の4.6兆円と予測

1 year 11ヶ月 ago

矢野経済研究所が実施した2023年度の国内食品通販市場調査によると、2022年度の国内食品通販市場規模は、小売金額ベースで前年度比0.3%減の4兆5752億円と推計した。

国内食品通販市場のチャネル別内訳の構成比率は、「ショッピングモール」((ECモール、カタログ通販含む))が42.4%、「生協(班配・個配)」が34.1%、「食品メーカーダイレクト販売(直販)」が15.7%、「ネットスーパー」が5.4%、「自然派食品通販」が2.4%だった。

矢野経済研究所が実施した2023年度の国内食品通販市場調査
食品通販のチャネル別市場規模構成比(2022年度)

2023年度の国内食品通販市場規模は、前年度比1.0%増の4兆6200億円と予測。食品通販市場全体を牽引してきたショッピングモールの成長率も鈍化すると見ている。

矢野経済研究所が実施した2023年度の国内食品通販市場調査
食品通販市場規模推移と予測

コロナ禍の需要増加後の反動減や物価上昇による節約志向の高まりが市場規模の推移に影響。特に労働時間の規制に伴う物流の2024年問題に起因した配送料の値上げが食品通販市場にマイナスの影響を与えるとしている。ただ、ギフト需要の堅調や商品の値上げによる販売価格上昇の影響で、食品通販市場の縮小幅は抑制される可能性が高いという。

配送料を含めた販売価格の上昇により、価格を重視する消費者の一部需要が通販やWebから実店舗に流出。プラットフォーム側も収益性を重視して、販促施策の方針転換や配送料優遇ライン(一定金額以上の購入で配送料無料など)の引き上げなど、サービス内容の見直しを図る動きが加速すると予測している。

物流会社の配送料値上げを受けて、食品通販事業者においても配送料の見直しや配送料優遇ライン(一定金額以上の購入で配送料を無料にするなど)の見直しに向けた動きが加速。消費者にとっては通販で購入することが割高に感じられることから買い控えなどへの影響が懸念されるとしている。

調査概要

  • 調査期間:2023年11月~2024年2月
  • 調査対象:通信販売事業者、食品関連企業、生協、食品小売事業者、食品卸等
  • 調査方法:やの経済圏所専門研究員による直接面談(オンライン含む)、アンケート調査、電話による取材ならびに文献調査併用
松原 沙甫

買い物体験の向上には何が重要? ウォルマート子会社の会員制スーパー「Sam's Club」の事例に学ぶオムニチャネル施策 | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

1 year 11ヶ月 ago
米国の会員制スーパー「Sam's Club」が顧客に支持され続けている理由とは? コロナ禍、現在、今後焦点となる取り組みまで広く解説します

米ウォルマートの子会社で、会員制スーパーマーケット「Sam's Club(サムズクラブ)」を運営するSam's West, Inc.(以下Sam's Club)は、顧客の利便性アップを追求しています。コロナ禍でも顧客に支持された数々の施策と成功事例を、Sam's Clubの担当者の話から解説します。

顧客の利便性アップを追求する米スーパーのSam's Club

Sam's Clubのeコマース担当副社長を務めるサブリナ・キャラハン氏は、コロナ禍の影響で顧客の生活やニーズが数日・数か月の間に次々と変化していく市況を目の当たりにしました。

「Sam's Club」の公式ECサイト(画像は同サイトから編集部がキャプチャ)
「Sam's Club」の公式ECサイト(画像は同サイトから編集部がキャプチャ)

Sam's Clubは2020年、コロナ禍で小売業全体が店頭とECのオムニチャネル化を迫られた際、困難な状況のなかで迅速に適応。そして2024年、Sam's Clubはこれまでの4年間に取り組んだこと、そこから学んだことを土台にサービスの見直しを図っています。

2020年にECで注文した商品を店舗の駐車場で受け取るカーブサイド・ピックアップ(車中受け取り)を米国全土で開始。Sam's Clubはこのほか、アプリを使って購入予定の商品を顧客が店内でスキャンできる「Scan & Go(スキャンアンドゴー)」に投資したことでさらにブランド価値を高めました。

顧客が店内商品をスキャンする決済システム「Scan & Go」

ここ数か月でSam's Clubが提供する決済テクノロジーはさらに進化し、コンピューター・ビジョンを利用した新しいチェックアウト方法をスタート。これにより、顧客が店舗から退店する際、購入金額をレシートで確認する必要がなくなりました。

キャラハン氏と、Sam's Clubのデジタルマーチャンダイジング担当副社長であるジョーダン・エディ氏は、米カリフォルニア州南部の都市であるパームスプリングスで2月27日に開催された小売業界の招待制カンファレンス「eTail Connect West(イーリテイルコネクトウエスト)」に登壇。注目している顧客の傾向、オムニチャネル戦略について語りました。

キャラハン氏は後日、米国のEC専門誌『Digital Commerce 360』のインタビューに応じ、キャラハン氏が見てきた市況の変化、Sam's Clubで現在うまくいっていること、そして今後の見通しについて詳しく説明しました。

Sam's Club eコマース担当副社長 サブリナ・キャラハン氏
Sam's Club eコマース担当副社長 サブリナ・キャラハン氏

EC責任者が振り返る顧客体験アップにつながったオムニチャネル施策

「Scan & Go」とカーブサイド・ピックアップが浸透

接客のホスピタリティーが求められるヒルトンホテルから転職してきたキャラハン氏がSam's Clubで最初に任されたのは、ブランドの開発と、そのソーシャルマーケティングの責任者でした。

キャラハン氏は「ブランドの開発と立ち上げ」という最初の任務を、自分にとって大きなチャンスだったと振り返ります。同時に、「Sam's Club」の会員がソーシャルプラットフォーム上でどのような顧客体験しているか注目するようにしました。

2019年の着任から、ブランドの立ち上げ、開発、展開が急速に進み、「Sam's Club」は大きな勢いがありましたが、そこに新型コロナが蔓えんしました。当時、私はEコマース事業に携わっていませんでしたが、コロナ禍で短期間にして市況が一変し、それに対して小売事業者がどのように適応していくのかを注視するのはとても興味深いことでした。(キャラハン氏)

キャラハン氏は、コロナ禍という最も困難な時期でもSam's Clubの従業員がきちんと出社して来たのを見て、やる気をもらったと語りました。さらに、オムニチャネル化の加速を通じて、新たに生まれたソリューションを目の当たりにすることができたと付け加えています。

コロナ禍でも「Sam's Club」が持ちこたえたのは、「Scan & Go」のおかげです。誰かと話したり、誰かに触れたり、誰かとの距離を気にすることなく店舗に来店して買い物できるのは、顧客にとって快適なことでした。しかし、そもそも「Sam's Club」の会員が店舗に来ることを避けたとしたら、どのような選択肢が残されていたでしょうか。ECで注文を受けた商品の配送サービスはコロナ禍当時もありましたが、即日配達に対応するサービスはありませんでした。そして、当時はカーブサイド・ピックアップのサービスもありませんでした。(キャラハン氏)

「Scan & Go」がコロナ禍のSam's Clubを支えたという

当時の夏、全米全土でカーブサイド・ピックアップが新たな買い物の仕方になったことで、すべての状況が変わったそうです。

カーブサイド・ピックアップはものすごい勢いで広がり、「Sam's Club」の会員たちもすぐに気に入ってくれました。突然、まったく新しい販売チャネルとまったく新しいサービスを導入することになったので、Sam's Clubにとっては大きな変化でしたが、会員たちからの要望に応えて素早くサービスを広げました。(キャラハン氏)

「Sam's Club」が会員向けに案内しているカーブサイド・ピックアップの手順(画像は「Sam's Club」の公式ECサイトから編集部がキャプチャ)
「Sam's Club」が会員向けに案内しているカーブサイド・ピックアップの手順(画像は「Sam's Club」の公式ECサイトから編集部がキャプチャ)

約半数の会員がアプリを利用

キャラハン氏は2022年にSam's ClubのEコマース事業に参画し、その後のオンラインと店舗のオムニチャネル化への取り組みでリーダーシップを発揮。「Sam's Club」のモバイルアプリは、オンライン注文以外にも複数の機能を提供しています。

たとえば、店内商品の「Scan & Go」に加えて、会員は店舗内のカフェでの注文、ガソリン代の支払い、店内で商品のバーコードをスキャンして個別に発送することもできるようになっています。

「Scan & Go」はカフェでの支払いなどもできる(画像はウォルマートのリリースからキャプチャ)
「Scan & Go」はカフェでの支払いなどもできる(画像はウォルマートのリリースからキャプチャ)

キャラハン氏によると、現在、「Sam's Club」の顧客の約3分の1がオンラインで商品を購入しているそうです。アプリの利用拡大が事業成長のチャンスとなるため、Sam's Clubは今後もアプリの活用を広げていくことになると考えています。

会員のうち約半数はアプリをダウンロードしていますが、実際に「Sam's Club」の商品をオンラインで購入している人は、そのうちのまだ3分の1にとどまっています。(キャラハン氏)

また、モバイル経由のサイトアクセス数が増えているため、今後はモバイルからのサイト利用者がアプリのユーザーになる可能性があるとキャラハン氏は見ています。

ECサイトのトラフィックのほぼ80%がモバイル経由です。現在、そのうちの50%はアプリ経由になっています。(キャラハン氏)

会員の「楽しさ」「快適さ」を広げる

一部のコアな会員によるニーズは変わっていません。キャラハン氏によると、利便性に焦点を当てると同時に、たとえば、商品棚をウィンドーショッピングしたり、サンプルの匂いをかいだり、食事を楽しんだりといった「Sam's Club」での体験を拡大するためのソリューションを増やしていくことに重きを置く予定です。

会員のために利便性を高めたいのです。それと同時に、さまざまな販売チャネルで購入体験をしてもらいたいと思っています。「Scan & Go」、カーブサイド・ピックアップ、当日配送サービス、店内での購入など、すべてのチャネルで買い物をしてもらえれば、会員の支出額は3倍になり、会員の更新率が向上して、ロイヤルカスタマーになる可能性も高くなることがわかっているからです(キャラハン氏)

市場調査や消費者動向に関するデータや統計を提供する、ドイツのStatista(スタティスタ)社が発表したデータによると、Sam's Clubの2023年売上高のうち、63%を食料品や消耗品が占めています

食料品や消耗品カテゴリーの優位性は、「Sam's Club」のECチャネルにも表れています。しかし、キャラハン氏は、季節的な変化、「Sam's Club」のデジタルクーポンやオンラインイベントによる販促キャンペーンが購買に影響することもあると指摘。そのような場合、「Sam's Club」は電子機器、アパレル、家具など、売り上げに占める割合が低いカテゴリーをプッシュする可能性もあるということです。

デジタルの強みはレコメンド機能

「Sam's Club」のデジタル施策では何が最も効果的でしょうか? キャラハン氏は、顧客がよく注文する商品のレコメンド機能をあげました。「自分にとって買い物が便利であればあるほど、『Sam's Club』を利用してくれる会員が増えるのです」(キャラハン氏)

多くの場合、顧客はオンライン上の商品カルーセルや商品ページから商品を選んでいます。商品の選択後、過去の注文履歴から、カーブサイドでの受け取りが可能な商品が表示されることもあります。レコメンデーション機能をこのように改善し、買い物のプロセス全体で消費者の利便性を引き上げることを、キャラハン氏は狙っているのです。

私は会員の皆さんに「Sam's Club」で買い物をしていただきたいですし、買い物の際には快適な購入体験をしてもらいたいのです。会員は、「Sam's Club」に便利さを求めてやってくるのですから。(キャラハン氏)

付加価値の創造をめざして

より優れたレコメンデーションと利便性の向上は、キャラハン氏が改善したいと考えている2つのトピックスです。キャラハン氏はまた、「Sam's Club」が保有する40年にわたる会員データから新たなインサイトを得て、その過程で改善していくつもりです。将来的には、モバイル端末からのオンライン購入、店舗での受け取り(BOPIS)の両方が重要な役割を果たすと考えています。同時に、顧客がどのようなサービスを選ぶのかにも注目しています。

テクノロジーをどこまで活用できるのかを考え、より会員のためになる判断をするためにデータを活用し続け、さらに膨大な量のA/Bテストを行う予定です。新たな機能を会員に気に入ってもらえたかどうかを見るためです。テストの結果、会員に付加価値をもたらしていることがわかれば、新サービスとして迷わず展開していきます(キャラハン氏)

キャラハン氏は、利便性アップに価値があることを確信しています。

なぜなら、「Sam's Club」の会員は、『利便性がアップするなら、もっとお金を払ってもいい』と言っているからです。それが会員にとって重要なことであるなら、Sam's Clubも応えなければなりません。(キャラハン氏)

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

Digital Commerce 360

ECの満足度につながるのは「送料の安さ」「商品数の豊富さ」が上位。物流2024年問題で消費者は「送料アップ」を懸念

1 year 11ヶ月 ago

EC事業支援のアートトレーディングが実施したECサイト活用の意識調査によると、満足度につながる重要項目として送料の安さ、商品数の豊富さなどが上位にあがった。調査対象は全国の男女20代~90代の合計1000人。

満足度のカギは「送料無料」「商品数」「配達スピード」

ECサイトで商品を購入する際、最も満足度が高いポイントについて、「送料無料」(26.4%)、「商品数が多い」(22.8%)、「注文から到着までが早い」(18.2%)の順で票数が集まった。

「問い合わせ対応」「梱包の丁寧さ」といった店舗やEC運営側で行う対応は、上位結果と比較するとあまり重要視されていない傾向が見られた。

満足度の高いECサイトの特徴
満足度の高いECサイトの特徴

物流2024年問題、7割の消費者が理解

物流2024年問題についてどの程度知っているかという質問には、「内容を説明できる」(16.5%)、「なんとなく知っている」(49.7%)を合わせると約7割が、問題について理解している状況にある。

物流の2024年問題とは、働き方改革関連法の施行に伴う「時間外労働時間の上限規制」などが2024年4月から「自動車運転の業務」にも適用されるようになることで、運送会社では収入減少によるドライバーの離職や売上減、荷主企業は運賃値上げの可能性などが危惧されている物流業界の諸問題のこと。

物流2024年問題の理解度
物流2024年問題の理解度

消費者の多くが送料に関わる料金アップを懸念

物流2024年問題によってECサイトの活用にさまざまな影響が出ることが予想されるなか、最も「これだけは許せない・何とかしてほしい」と感じることは何かを聞いたところ、「送料が高くなること」(33.9%)、「送料無料が撤廃されること」(25.2%)、「不在時の再配達料がかかること」(19.7%)といった料金に関する回答が上位を占めた。

物流問題2024年問題の影響で「許せない」「何とかしてほしい」と感じること
物流問題2024年問題の影響で「許せない」「何とかしてほしい」と感じること

アートトレーディングは調査結果を踏まえて、下記のような対策を行うことで、消費者の意識改善、さらには「物流2024年問題」解決の一助になると提唱している。

  • 送料負担の所在を明確化し、実際に生じている物流コストについて消費者の意識を促す
  • 「送料無料」と表記する場合は、同梱発送の実施や、上限金額を設ける

なお、消費者庁は、消費者の物流問題に対する意識改革や行動変容を促すため、EC事業者に対し、「送料無料」の表記をする場合は送料負担の所在を明確化するなど見直しを求めている。

調査概要

  • 調査名:ECサイト活用に関するアンケート
  • 調査内容: ECサイト活用における意識調査
  • 調査対象:全国20代~90代の男女
  • 有効回答数:1000人
  • 調査実施日:2024年2月16日~2月17日
  • 実施:アートトレーディング
高野 真維

アイスタイルと花王、肌や体の状態がわかるRNA情報をビジネス活用するコンソーシアム設立。幹事社にキリンHDなど

1 year 11ヶ月 ago

アイスタイルと花王は、「RNA共創コンソーシアム」を3月11日に共同設立した。目的は花王の独自解析技術「皮脂RNAモニタリング」を核としたビジネス共創。両社が両社が理事となって運営委員会を組織する。

RNAは、体調や食生活、運動、ストレス、紫外線といった環境要因によって日々変化し、その時々の肌や体の状態を知るのに有用な体内情報。「皮脂RNAモニタリング」は、あぶらとりフィルムで顔の皮脂を採取し、その皮脂からRNAを抽出して網羅的に分析する解析技術。

花王 アイスタイル RNA共創コンソーシアム 

「RNA共創コンソーシアム」は、RNA情報基準に、生活者にとって満足度の高いパーソナルな商品・サービス選択がかなう仕組みの創出をめざす。また、商品の需給バランスを整えることで、人にも環境にも負荷をかけないサステナブルな消費サイクルの実現も目標に活動する。

花王とアイスタイルは2022年からの取り組みにより、RNA情報が商品選択の1つの基準として有用である可能性を見いだしたという。そこで、「皮脂RNAモニタリング」技術を核としたさまざまな企業とのビジネス共創をめざし、「RNA共創コンソーシアム」を立ち上げた。

花王が取り組む「皮脂RNAモニタリング」の流れ
花王が取り組む「皮脂RNAモニタリング」の流れ

共創のパートナーとして、コーセー、マツキヨココカラ&カンパニー、キリンホールディングス、パーフェクト、ヘルスケアシステムズといった企業を幹事社とする。

コンソーシアムを通じて、美容・ヘルスケアサービスの「作る」「売る」「選ぶ」ための新基準制定や標準化、ビジネスユースケースの実証、ビジネス連携支援などの活動を推進する。

「RNA共創コンソーシアム」を起点とした各タッチポイントでの活動イメージ
「RNA共創コンソーシアム」を起点とした各タッチポイントでの活動イメージ

RNA情報を基準としたケアやサービスが社会に浸透することで、生活者にとって満足度の高い商品選びを実現する。

また、美容、ヘルスケアをはじめとするさまざまな領域の企業においても、生活者の悩みに対応する新たなソリューションの提案、商品開発・サービス開発におけるイノベーションの推進につながることが期待される。

参画企業は美容や健康・食といった幅広い業界から募る。各社の持つデータや研究知見を融合して顧客や産業の課題解決を促進し、新たな価値を創造することで、業界のサステナブルな発展をめざす。

活動内容は次の通り。

  1. 「皮脂RNAモニタリング」技術を活用した事業の実証実験への支援と推進(実証活動)
    ・生活者の悩みに対応する新たなソリューションのデザインと検証
    ・ビューティ領域、ヘルスケア領域における商品開発やサービス開発のイノベーションの推進
    ・データ保護と厳格なポリシーに基づいた生活者データの利活用
  2. 「RNA共創コンソーシアム」内外のビジネスマッチングや連携支援
    ・コンソーシアムで得た実証実験結果の社会への発信
    ・実証実験で得られた成果の社会実装支援
  3. RNAに関するデータ保護とプライバシーに関する厳格なポリシーの設定

美容・健康業界では、生活者が今の自分の状態を正しく知り、多くの選択肢のなかから「自分にあった商品を選び」を手助けする新たな基準が求められるようになっている。また、ESG(環境、社会、ガバナンス)への配慮も求められる昨今、需給バランスのアンマッチなどによる商品廃棄も業界課題になっている。こうした背景もコンソーシアム設立の理由となっている。

アイスタイルと花王のこれまでの取り組み

アイスタイルと花王は、2022年から似た皮脂RNA特徴を持つ人をグルーピングし、選ばれる化粧品の傾向を解析する共同の取り組みを進めてきた。

第一段階の検証では、これまで皮脂を直接顔から採取しなければ解析できなかった肌タイプ分類(肌遺伝子モード)を、顔写真から特定する技術を花王が開発。また、RNA発現の類似度に基づき2つの肌タイプが存在することも特定した。

第二段階として、利用シーンの1つのとして肌遺伝子モードの店頭利用を想定し、「顔写真からの肌遺伝子モード判定を活用した肌診断」「店頭での肌遺伝子モード別の高評価アイテムの紹介を体験してもらう実証」を実施。この取り組みには1000人超の応募があり、「新たな化粧品選択の方法」に対する生活者の期待の高さがうかがえたという。

「RNA共創コンソーシアム」の概要

  • 名称:「RNA共創コンソーシアム」(RNA Co creation Consortium)
  • 理事企業(運営委員会):花王、アイスタイル
  • 参画企業(幹事):コーセー、マツキヨココカラ&カンパニー、キリンホールディングス、パーフェクト、ヘルスケアシステムズ
高野 真維

SNS投稿に「ChatGPT」は有効? アイデア出し、コンテンツ生成、精度向上、時短などにつながる活用法 | 中小企業診断士が解説する「ChatGPT」のECビジネス活用法

1 year 11ヶ月 ago
話題を集めている生成AIの「ChatGPT」。ECビジネスのシーンで活用する方法などを、現役中小企業診断士が解説【第6回】

ChatGPT(チャットGPT)などの生成AIについて、多くの企業が利用および活用の検討をしています。ChatGPTの活用で着手しやすいのは、機密情報が含まれない公開文章の作成。SNSの投稿にChatGPTを活用し、成果が出るか、否かを検証していきます。

ChatGPTでSNS投稿に関する業務は楽になるのか?

インターネットでモノを売る際、消費者と関係性を深めるツールとしてSNSは不可欠になりました。しかし、SNSは情報を「ストック」と「フロー」にコンテンツ分けした場合、「フロー」の部類に入ります。SNSで顧客接点を保ち続けるには、投稿を維持していくことが重要になります。

ただ、消費者とコミュニケーションをとり続けるための投稿文を作成し続けることは、精神を消耗していくと感じることがありますよね……。

「これが少しでも省力化できれば」。そんな時に使いたいのがChatGPTです。ICPコンサルティングのX(旧:Twitter)アカウントを利用して、実際にChatGPTで作った文章を投稿。どんな結果が得られるでしょうか。

ChatGPTで何ができるのかを確認

まずはChatGPTで何ができるのか、ChatGPTに聞いてみましょう。次のようなプロンプトを投げかけました。

あなたはSNSコンサルタントです。Xのフォロワーを増やすためにChatGPTに支援をしてほしいと考えています。ChatGPTはXのフォロワーを増やすために、どのような利用方法がありますか?

するとこんな回答が返ってきました。

SNS投稿に「ChatGPT」は有効? アイデア出し、コンテンツ生成、精度向上、時短などにつながる活用法

これが本当にChatGPTですべてできるなら、SNS投稿業務は大幅に削減できるでしょう。

そこで、時短を目的に「1. コンテンツの生成」をしてもらい、「3. 定期的な投稿スケジューリング」をして、HootSuite(注:複数のSNSを一括管理できるサービス)で予約投稿してみます。

目標設定とスケジューリング

「1.コンテンツの生成」にあたっていくつ投稿文を作るか、そして「3.定期的な投稿スケジューリング」が最初のステップで必要になるでしょう。まずは目標を設定し、スケジューリングの戦略を立ててもらいましょう。

利用するアカウントは、ICPコンサルティング(BtoBのコンサルティング会社)のアカウントのため、フォロワーを増やすことを目的としていきます。

ネットショップ担当者のみなさんであれば、フォロワー増加の他、ECサイトやランディングページの流入などを目的にしてみてはいかがでしょうか?

目標設定では、ICPコンサルティングの概要、ツイートの目的、投稿期間は10日を想定していることを伝えた上で、

現在フォロワー2名であることを考慮し、まず、定量的な目標値を試算してください。試算にあたって情報(変数)が不足している場合は、私に確認をしてください。

と問いかけました。すると、

SNS投稿に「ChatGPT」は有効? アイデア出し、コンテンツ生成、精度向上、時短などにつながる活用法

なんと30から50名まで増やせるというのです!いま、2名ですよ?さすがは最新AI!と心躍ります。ここで戦略立案のために各種確認が入りました。これはタイピングが面倒。拡張機能を導入します。

「Voice In」でテキスト情報のインプットを加速

最初のプロンプト(指示文)を作成する上では「#制約事項」など各種記法にのっとるのが回答を安定させる1つの有効な手法です。

しかし、フィードバックしながら微調整をかけていくなかでは、音声入力の方が早くて便利です。スマホは音声入力が標準で備わっていますが、パソコンの場合は、Google Chromeの拡張機能Voice Inが精度高く音声を認識します。

スケジューリングと投稿テーマが示される

Voice Inで、ChatGPTの質問に答えていきます。さらに過去にリーチ数が伸びた投稿、他のユーザーとのコラボレーションの可能性、投稿するコンテンツの具体的な種類をインプットすると、以下のような戦略が提示されました。

SNS投稿に「ChatGPT」は有効? アイデア出し、コンテンツ生成、精度向上、時短などにつながる活用法

一応、中小企業の経営コンサルタントのアカウントに相応しいテーマがそろっています。一方で、あまたあるコンサル企業の中で、独自のコンセプトを訴求するには乏しい内容です。

ここでフィードバックしてさらに調整する手もありましたが、この時点でChatGPTを完全に信じきっていた私は、自身のアカウントの可能性を広げるために、この戦略に乗ることにしました。

ChatGPTにSNS投稿文を考えてもらう

早速1日目の投稿文を考えてもらいます。「教育的な動画(補助金について)のリンクと紹介」とあるので、YouTubeの動画の名称を伝え、「Xの投稿文を作成して」と指示すると、以下のような回答が返ってきました。

SNS投稿に「ChatGPT」は有効? アイデア出し、コンテンツ生成、精度向上、時短などにつながる活用法

この時点では、一切調整をかけていませんが、かなりXを意識した文体です。コンサル会社の割にポップなトーンなのは、中小企業・起業検討中の方をターゲットにしているからでしょうか。絵文字や改行も適度で比較的見やすいものとなっています。

また、ChatGPTが販促系の文章作成において、特徴的かつ利用価値が高いと感じるのは、常に顧客メリットを意識した内容になっていることです。今回も、動画を見ることによる視聴者のメリットが明示されています。

ハッシュタグも効果は不明なものの違和感がありません。「パーフェクトではないが、SNS投稿のPDCAを回す1回目の投稿としては十分そのまま使える」といえるのではないでしょうか。

ここで、内容面のブラッシュアップとして、ちょうど補助金の締め切りが近づいていること、また字数が超過しているため(当社は無料アカウントのため140字が上限です)、フィードバックし、ChatGPTに作成してもらった文案そのままで、最終的に以下を投稿しました。

SNS投稿に「ChatGPT」は有効? アイデア出し、コンテンツ生成、精度向上、時短などにつながる活用法

ここまで30分程度。今回戦略策定から最終的な投稿文の調整まで行ったので、かなり時間がかかりました。さて、この投稿結果は以下の通りです。フォロワーが2名ながら、エンゲージメントが3発生しているので、まずまずではないでしょうか。

SNS投稿に「ChatGPT」は有効? アイデア出し、コンテンツ生成、精度向上、時短などにつながる活用法

この調子で、3日間投稿を続けました。しかしながら、当初の期待と反し、インプレッション1ケタの状態が続いたため(上の画像の82は最終日の確認結果です)、さすがにChatGPTの戦略に不安を覚えた私は、他のフォロワーが多いツイートの傾向を分析してもらうことにしました。

ChatGPTに競合と現状を分析してもらい、戦略を見直す

シンプルに、フォロワーが多い競合他社(中小企業向けのコンサルティング会社または個人のコンサルタント)の投稿を5つ抜き出し、さらに投稿テーマをブラッシュアップしたいと思います。

以下はフォロワーが多いSNSコンサルタントの投稿です。これを分析し、あなたなりに投稿における重要なポイントを3つあげてください。

というプロンプトと合わせて、投稿文5つを抽出しました。すると、以下のような回答が返ってきました。

SNS投稿に「ChatGPT」は有効? アイデア出し、コンテンツ生成、精度向上、時短などにつながる活用法

これは全採用。有益なノウハウを提供するコンサルティング会社のアカウントとして、利用者に価値を提供するものと判断しました。特に2の「話題性や時事性を取り入れる」はこれまでの戦略になかったので、競合のノウハウを取り入れた効果です。「具体的な例を示す」というのはChatGPTの活用ポイントの1つといえるでしょう。

さらに、今回使っているアカウントの3日間の投稿内容とリーチ数を同じように抽出して分析してもらった上で、競合分析も踏まえながら今後の投稿計画を再構築してもらいました。

SNS投稿に「ChatGPT」は有効? アイデア出し、コンテンツ生成、精度向上、時短などにつながる活用法

今後の投稿戦略は、当初のものより、時事性を高めたものがでてきました。Xの特性を踏まえると妥当であると思えます。

投稿に加え、プロフィールも見直してもらいました。利用者が投稿を見た後、フォローを判断するにはプロフィールも重要です。同業他社でフォロワーが多い3アカウントをランダムに抽出、同様に分析してもらい、提案してもらったプロフィールに変更しました。

Before

SNS投稿に「ChatGPT」は有効? アイデア出し、コンテンツ生成、精度向上、時短などにつながる活用法

After

SNS投稿に「ChatGPT」は有効? アイデア出し、コンテンツ生成、精度向上、時短などにつながる活用法

動画コンテンツを配信していることを意識し、アカウントのコンセプトを踏まえたプロフィールに生まれ変わりました。さて、最終結果はどうだったでしょうか。

最終日に奇跡が……。ChatGPTはSNS投稿に使える?

この後、あまりのリーチの少なさにモチベーションが下がり、投稿期間が空いてしまうこともありましたが、最終的に20日間で計25投稿を行いました。結果は「フォロワー50%増」という結果で幕を閉じました。

とはいえ、最初の2名が3名に増えただけなのですが、最終日にポチってくださった1名の方には本当にラブレターを送りたい気持ちでいっぱいであります。では20日間を振り返り、SNS投稿にChatGPTを利用する可能性について振り返ってみます。

1. アイデア出しに利用することで投稿の幅が広がる

これまで当社のアカウントは、YouTube動画、執筆などの情報提供に留まっていました。今回、エンゲージメントを多く獲得したのは、ChatGPTをテーマとしたものでした。うち2つはニュースの引用リツイートで、このタイプのツイートは当アカウントでは初めて。これがエンゲージメントを獲得したのは大きな発見です。

うち1つは経営手法とChatGPTを掛け合わせたもので「このパターンもあるのか」と大きな発見につながりました。しかも、投稿文は手直しなしでChatGPTが作成したものです。これだけでもChatGPTを使った甲斐があるというものです。

SNS投稿に「ChatGPT」は有効? アイデア出し、コンテンツ生成、精度向上、時短などにつながる活用法

2. 何もないところから50点のものを作るところまでは時短できる

投稿文を作る際、1つ目の投稿文を出すところまでは、Voice Inなどでアカウントの特徴、目的、ターゲット、内容、見本にしてほしい投稿、トーンなどを一気に入力することで、1分からかかっても数分で完成します。「悪くないね」という印象の投稿文が生成されます。

一方、ここから、普段、自身で中の人として言葉の一言一句にこだわり合格点と感じられる投稿に詰めていくには、4~5回のラリーが必要な場合もありました。正直、面倒です。ここは、今後、成功パターンの投稿の特徴をChatGPTに抽出してもらい、プロンプトに追加していくことで、ラリーの回数は減る可能性があります。

また、スレッド自体が好みの文章を学習していきます。それでもChatGPTが中の人として100点の回答を常に出すには、相当なプロンプトの作り込みが必要と思います。「60から70点で見切りをつけて人間が手直しをかける。並行してプロンプトのブラッシュアップ、安定化の取り組みをする」というのが一旦の現実解と感じました。

3. 具体例を入れると分析や成果物の精度が高まる

戦略立案、分析、投稿文作成の際、精度を上げるには、Voice Inで詳細なプロンプトを入れるだけでなく、実際の投稿文やアカウントの情報を伝えることで、精度が一気に向上しました。

1回目の投稿スケジュールと2回目の投稿スケジュール。違いとしては、1回目はVoice Inで詳細な情報を音声入力した結果として出てきたものです。内容は一般的な経営ノウハウ+動画投稿で構成されています。

一方、2回目は同業他社と自社アカウントの投稿を抽出して分析した結果です。ビジネスニュースや紹介・引用を中心に構成しています。結果として、エンゲージメントを獲得しているのは後者。一部、動画の紹介投稿でリーチが伸び続けているものがありますが、総じて後者の戦略の方が、エンゲージメント獲得(≒目的のフォロワー数増)に貢献しています。

まとめ

普段、SNS投稿を業務にしていない者からすると、20日間で25投稿は相当ハードではないかと想像しましたが、振り返ると、そこまで大変ではありませんでした。大変だったのは最初の数投稿です。ChatGPTとの業務分担を探り探り、どこまでChatGPTがサクッとやってくれるのかを見切るまでが大変でした。

しかし、ChatGPTの使い所がわかってくると、ここまではChatGPT、ここからは手動で調整して投稿、と良い意味で、流れ作業で投稿数が稼げるようになります。エンゲージメントも比例して上がってきました。ツールを連携させて投稿を完全に自動化する方法もありますが、 まずは、ChatGPTをよい相棒として、業務分担を探るところから始めてみてはいかがでしょうか。

次回は、後半の投稿で時短に大活躍したChatGPTのプラグインをご紹介します。

ICPコンサルティング

一定の効果を示す根拠がある場合の暗示表現+「打消し表示」の有効性を認めた適格団体とインシップの係争とは? | 通販新聞ダイジェスト

1 year 11ヶ月 ago
インシップが展開する健康食品の広告表示が優良誤認に該当するとして、適格消費者団体が差止請求訴訟をしてきた係争。地裁は請求棄却とし、高裁も地裁の判断を踏襲した。係争の要点を解説する

適格消費者団体の消費者ネットおかやまが、インシップを相手取り起こしていた差止請求訴訟は2023年12月12日、広島高裁が請求を棄却した。景品表示法の優良誤認にあたらないと判断。「打ち消し表示」の有効性も評価した。

インシップは、「証拠提出したノコギリヤシエキスの頻尿改善効果を示す数々のヒト臨床試験が評価され、岡山地裁の判決が維持された」とコメント。上告の検討や、団体に対する今後の対応に回答は得られなかった。

編注:消費者ネットおかやまとインシップの係争とは?

消費者ネットおかやまが、インシップが取り扱う健康食品「ノコギリヤシエキス」の暗示訴求の是正を求め、2020年2月、岡山地裁に差止請求訴訟を行った。インシップの販売する健康食品の広告が「医薬品と誤認され、景品表示法の優良誤認にあたる」と主張していた。

これに対して、岡山地裁は2022年9月に請求を棄却。岡山地裁は昨今の景表法処分で度々「無効」が指摘されてきた「打消し表示」の有効性も認めた。

消費者ネットおかやまは判決を不服として広島高裁に控訴した。

通販新聞ダイジェスト

健康食品の暗示訴求は景表法違反?「打消し表示」の有効性を認めた“暗示訴求”の差止訴訟とは

岡山の適格消費者団体が「いわゆる健康食品」の暗示訴求の是正を求めていた差止請求訴訟は、岡山地裁が請求を棄却。昨今の景表法処分で度々「無効」が指摘されてきた「打消し表示」の有効性も認めた
通販新聞[転載元]2022/10/19 7:00040

におわせる程度なら“優良誤認”にあたらず

消費者ネットおかやまは、「立証できるだけの証拠がなく、裁判所を納得させられなかった」とコメント。上告は検討中とした。

消費者ネットおかやまによると、判決では、相当の打ち消し表示があれば、「漠然とした効果をにおわせる程度の表示は景表法の優良誤認にあたらない」と判示されたという。

インシップは、ノコギリヤシエキス配合の健康食品について、「夜中に何度も…」、といった記載とともに、困った表情を浮かべ下半身を震わせる寝間着を着た男性のイラストを広告で掲載していた。

消費者ネットおかやまが「医薬品との誤認を招く」と主張して違法性を指摘したインシップの新聞広告
消費者ネットおかやまが「医薬品との誤認を招く」と主張して違法性を指摘したインシップの新聞広告

消費者ネットおかやまは医薬品との誤認を、インシップは“誇張の範囲にとどまる”と主張

一審で、消費者ネットおかやまは、表示が頻尿を改善する医薬品的効果を示していると指摘。医薬品との誤認を招き、景表法の優良誤認にあたると主張した。また、頻尿改善効果も、前立腺肥大症の男性を対象にした研究論文について、「現時点では効果がないと示唆される」との医薬基盤・健康・栄養研究所の「健康食品」素材情報データベースの評価を引用して根拠がないとした。

インシップは、表示は抽象的内容で一般に許容される誇張の範囲にとどまると主張。頻尿改善効果が想起されても合理的根拠があり、表示と商品内容にかい離はないとした。

地裁判断は“誤認は生じない”“打ち消し表示は有効”、広告表示の優良誤認を否定

岡山地裁は、広告は、全体の印象から頻尿の男性向けの商品であるとの印象を受けると評価した。一方で、疾病名や症状、具体的な治療効果の記載はなく、「飲んでみたら、早めにスッキリした」など抽象的表現にとどまるため医薬品と誤認は生じないとした。

打ち消し表示は、パッケージの「栄養補助食品」、「健康食品のインシップ」との記載、広告の「効果効能を保証するものではありません」などの脚注の有効性を評価した。

頻尿改善効果は、双方が提出した肯定・否定の研究論文を評価。「肯定する研究報告も相当数みられ、少なくとも個人差のある一定程度の頻尿改善効果が認められる可能性は否定しきれない」、「有効性を厳格に審査して承認を受けた医薬品でも治療効果が否定する試験結果は存在しうる。その場合もただちに治療効果がないと評価できない」と指摘。

広告は、「改善の可能性があるとの印象を生じさせるものにとどまり、個人差も想定できる。一般に許容される限度を超えて『著しく優良』であるとの誤認を与えるとは言えない」とした。

※記事内容は紙面掲載時の情報です。
※画像、サイトURLなどをネットショップ担当者フォーラム編集部が追加している場合もあります。
※見出しはネットショップ担当者フォーラム編集部が編集している場合もあります。

「通販新聞」について

「通販新聞」は、通信販売・ネット通販業界に関連する宅配(オフィス配)をメインとしたニュース情報紙です。物品からサービス商品全般にわたる通販実施企業の最新動向をもとに、各社のマーチャンダイジング、媒体戦略、フルフィルメント動向など、成長を続ける通販・EC業界の情報をわかりやすく伝え、ビジネスのヒントを提供しています。

このコーナーでは、通販新聞編集部の協力により、毎週発行している「通販新聞」からピックアップした通販・ECのニュースや記事などをお届けしていきます。

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通販新聞

EC業界で働く20代、集まれ~! 若手同士+有識者とつながることができる交流会【3/27開催】

1 year 11ヶ月 ago

EC支援サービスを手がけるTsuzucle(ツヅクル)は3月27日(水)、若手の交流促進を目的とした「U30 ECYC #4 - 業界の若手向け交流会 -」を開催する。参加対象はEコマース領域に関わりを持つ20歳代。

▼「U30 ECYC #4 - 業界の若手向け交流会 -」(3/27開催)

Tsuzucle ツヅクル 交流会 「U30 ECYC #4 - 業界の若手向け交流会 -

「U30 ECYC」は、「E-Commerce Young Club」の略称。同交流会は今回が4回目の開催となる。

歴史が浅く、圧倒的に人材不足なEC業界では、若手の突き上げこそが非常。一方で、ECに携わる20代が交流する場は少ないのが現状です。業界のプロフェッショナルな方々にお越しいただきつつ、業界のトッププロと現場の交流会を実施します。(Tsuzucle)

当日のタイムテーブルは次の通り。

  • 19:45:開場
  • 20:00:乾杯
  • 20:00~21:30:懇親会

「U30 ECYC #4 - 業界の若手向け交流会 -」に参加する業界のプロフェッショナルと、交流会のファシリテーターは次の通り。

コマースメディア株式会社 代表取締役 井澤 孝宏氏
コマースメディア株式会社 代表取締役 井澤 孝宏氏
上智大学卒業後、楽天株式会社に新卒入社。ECコンサルタントとしてのべ300社以上の売上改善業務を担当。2016年、コマースメディア株式会社を設立。EC業界を中心にコンサルティング事業を開始。2017年、コマースメディア株式会社が日本で3社目の「Shopify Experts」に認定。「Shopify」を中心としたEC支援サービスの強化を行う。
Co-founder / Chairman 磐井 友幸氏
Co-founder/Chairman 磐井 友幸氏
2006年、株式会社ネバーセイネバーを設立。アパレルEC事業開始。2011年、年商30億円達成。アパレルブランド「STYLE DELI」事業開始。2012年、「Rakuten Shop of the Year」受賞/D2Cブランドを複数立ち上げ。2016年、渋谷区渋谷にオフィスを移転。オフィス内に縫製工場とショールーム/スタジオなどを併設するプロジェクトをけん引。2020年、ファッションD2Cに特化した支援会社「D2C Branding株式会社」を設立。2022年、食領域に特化したD2C/クリエイティブコンサルティング会社「株式会社CyBUM」を設立。
グーグル合同会社 広告ソリューション技術本部 リテールスペシャリスト 菅原 智弘氏
グーグル合同会社 広告ソリューション技術本部 リテールスペシャリスト 菅原 智弘氏
大学卒業後、2018年にP&G Japanに入社し大手小売店本部向き合いの営業に従事。ECサイトの立ち上げやデータ分析を通じて、店舗・ECの売上および利益率向上に貢献。2020年にGoogle Japanに入社し、主にEC事業者に対するGoogle広告を用いたコンサルティング営業に従事したのち社内異動し、リテール領域の広告プロダクトのスペシャリストとしてEC事業を展開する大企業群に対してプロダクトの展開と浸透を進めている。
【ファシリテーター】株式会社Tsuzucle 執行役員 久保 遼太郎氏
【ファシリテーター】株式会社Tsuzucle 執行役員 久保 遼太郎氏
在学中に株式会社Tsuzucleを創業。チャネル支援を入り口としたECPM支援と、現場に入った上でのDX/CX支援を主に行い、Tsuzucle Business Platformの立ち上げを行う。EC支援としては売り上げと教育に寄与するという観点で、従来のコンサルよりも一層伴走型の強いPM支援を展開している。

また、19:00~20:00の間に勉強会を開催する予定で、スピーカーはコマースメディアの井澤社長が務める。

  • 勉強会テーマ:EC業界で市場価値の高い人になるためには?
  • スピーカー:コマースメディア株式会社 代表取締役 井澤 孝宏氏

開催概要

  • イベント名:U30 ECYC #4 - 業界の若手向け交流会 -
  • 日時:3月27日(水)20:00~21:30
  • 実施形式:リアル開催
  • 場所:東京都渋谷区神宮前1-8-14 ラセーヌビル (株)バニッシュ・スタンダード オフィス
  • 参加費:無料(事前申し込み必要)
  • 主催:Tsuzucle
  • 詳細と申し込みhttps://tsuzucle.notion.site/U30-ECYC-4-1d7bdd39e244460695c0d5a5aefec9c1
高野 真維

食品ECのメリットとは? 事前準備+必要な資格+注意点+成功の10事例などで解説 | E-Commerce Magazine Powered by futureshop

1 year 11ヶ月 ago
食品ECの成功事例10選をご紹介! 食品ECを展開する上で必要な事前準備や注意点、成功するためのポイントなどを詳しく解説します

「実店舗で食品の販売をしているが、ECのチャネルを増やしたい」と考える食品関連の事業者は多いと思います。特にコロナ禍以降、顧客は食品をECで購入することが増えました。ただし食品ECは「事前に準備しておくべきこと」「特に注意すべきこと」があります。この記事では、食品を製造・販売している事業者が安心してECに進出できるよう「食品ECで気を付けるべきこと」「食品ECで成功するためのポイント・事例」などを詳しく解説します。

食品ECの種類

食品ECの主な種類は、以下の3つです。

  • 一般的な食品ECサイト
  • ネットスーパー
  • 定額制の食品ECサイト

ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しくみていきましょう。

1.一般的な食品ECサイト

一般的な食品ECサイトでは、生鮮食品、加工食品、酒類、飲料などの商品が取り扱われます。これらは「メーカーや小売店が自社サイトで販売する」「大手モールに出店する」という形式で販売します。

近年では「DtoC(Direct to Consumer)モデル」が注目されており、生産者や食品メーカーが直接消費者に商品を販売するスタイルが普及しています。

2.ネットスーパー

ネットスーパーは、スーパーマーケットがインターネット上で注文を受け付け、顧客の自宅に商品を配送するサービスです。

この形式には「既存のスーパーがEC事業に参入するケース」と「実店舗を持たずにECに特化するケース」があります。

地域限定のモデルを取るケースが多いため、総合系ECサイトで構築すると失敗してしまう可能性があります。また差別化をすることが重要になるため「サイトの作り込み」が重要です。

3.定額制の食品ECサイト

生鮮食品や加工品などを定期的に顧客に届けるサービスもあります。

このタイプのECサイトは「日常的に必要なものを扱うモデル」と「高品質な商品に特化したブランド重視のモデル」の2種類があります。

前者は中小企業にはおすすめできません。OisixやAmazonといった大手との差別化が難しいため、勝ち目が薄いです。

一方で後者は商品・ブランド力で勝負できるため、中小企業にも勝ち目があります。特に「高級品をECで買って家でたしなむ」という文化はコロナ禍で盛り上がり、市民権を得ました。

食品販売の市場規模とEC化率

経済産業省の調査によると、2021年のBtoC市場における「食品、飲料、酒類」分野のEC化率は3.77%であり、物販系分野の平均EC化率8.78%と比較して低い状況にあります。

しかし、市場規模全体は2兆5199億円と他の分野より大きく、食品ECの将来性は注目されていることがわかりました。この結果から、EC市場は今後の成長が期待されるため、食品EC業界への関心は高まっているといえます。(参考:電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました|経済産業省

食品ECを展開する3つのメリット

食品ECを展開するメリットには、以下の3つがあげられます。

  • 販路拡大が狙える
  • 食品それぞれの魅力を伝えやすい
  • 営業時間外の機会損失を減らせる

1.販路拡大が狙える

食品ECの大きなメリットは販路の拡大です。地域の商圏に限定される実店舗と異なり、ECサイトなら全国規模で販路を拡大できます。これにより、売り上げの増加も見込めます。

特に、人口減少が進む地方ではEC化による商圏の拡大は重要な戦略です。オンラインでの販売は、地元客以外にアプローチできます。

2.食品それぞれの魅力を伝えやすい

食品ECサイトでは、各商品の魅力を詳細に伝えやすいです。実店舗ではディスプレイ上で1つずつ商品説明をすることが難しいですが、ECサイトでは各商品に対して写真や文面でアピールできます。

「産地」を含めたストーリーを紹介できるため、ブランディング効果を発揮しやすいです。

3.営業時間外の機会損失を減らせる

ECサイトのもう1つの大きなメリットは、24時間365日営業できる点です。実店舗では営業時間や休業日の制限がありますが、ECサイトは常に開いており、時間に関係なくいつでも購入が可能です。

これにより、営業時間による機会損失を防げます。この利便性が食品ECの大きな魅力となっています。

食品ECが抱える3つの課題

食品ECが抱える課題には、以下の3つがあげられます。

  • 物流での温度帯管理・賞味期限管理が難しい
  • ブランディングが難しい
  • 品質管理が難しい

それぞれ詳しくみていきましょう。

1.物流での温度帯管理・賞味期限管理が難しい

ECサイトで生鮮食品を扱う際の課題は、商品の鮮度維持と温度管理です。

冷蔵・冷凍の処理、保冷剤の同梱などにミスが生まれ、配送途中で商品が腐ってしまう、というケースもありえます。

配送時には、生鮮食品を新鮮な状態で届けるために、速やかな配送と冷蔵・冷凍などの温度管理が重要です。これを実現するためには、特化した物流システムと配送ルートの構築が必要となります。

2.ブランディングが難しい

食品ECサイトのブランディングは難しいとされています。なぜなら食品の「味」は一度食べた後に忘れられがちだからです。

そのため効果的なブランディングのためには、商品の背景にある「ストーリー」や「生産者の価値観」を伝えることが重要です。

事例でいうと、ある京都の漬物店では、商品の味だけではなく「地域性や歴史」の訴求に力を入れました。その結果、漬物のブランド価値が高まり、リピーターを多く獲得できました。

食品の味は比較的早く忘れられることがありますが、ブランドの背景やストーリーは消費者の記憶に長く残ります

3.品質管理が難しい

実店舗の場合は、購入者が鮮度や産地を直接確認できます。また提供側も手渡しするため、最後まで商品の状態を確認できます。

一方、EC販売の場合は間に物流が入ります。そのため提供する側は商品を渡す際の状態を確認できません。ほとんどあり得ませんが「商品のピックアップや配送にミスが発生して賞味期限切れの商品が届いてしまった」という可能性は捨てきれません。

食品の鮮度や食中毒などは事業者にとってこの上ない痛手です。品質のリスク管理は特に重視しましょう。包装の選択や注意書きの記載など、さまざまな注意点があります。

食品ECで成功するための3つのポイント

食品ECで成功するためのポイントには、以下の3つがあげられます。

  • ギフト需要に応えられるようにする
  • 食品の品質を担保するため物流システムを構築する
  • 実店舗にはない独自性をアピールする

それぞれ解説しますので、詳しくみていきましょう。

1.ギフト需要に応えられるようにする

食品ECサイトでは、ギフト需要が高いといえます。このニーズに対応するユーザビリティを強化しましょう。たとえば「目立つ場所にアイコンや説明を配置する」「ラッピングの種類を選べるようにする」などの対策をして、利用者にわかりやすく訴求することが求められます。

一方、ギフトと自家用両方の需要を持つサイトでは、ギフトオプションの説明を「買い物方法」セクションにまとめる方法が有効です。

2.食品の品質を担保するため物流システムを構築する

食品ECを成功させるには、食品の品質を保証する物流システムの構築が必要です。特に、鮮魚や食肉などの鮮度を保つためには、湿度や温度を管理できる倉庫が欠かせません。

食品管理や輸送を専門に取り扱っている物流会社に委託するのが大きな解決策の1つです。これは企業・ブランドの信頼性を高めるうえで重要な要素となります。

3.実店舗にはない独自性をアピールする

食品ECサイトの成功のためには、実店舗とは異なる独自の魅力を打ち出すことが重要です。たとえば以下の施策などで独自の価値を打ち出しましょう。

  • 現地でしか手に入らない食材の提供
  • レシピと食材のセット販売
  • 季節限定の特産品の提供
  • リピート購入向けのクーポン配布

これらの施策は、新規顧客の獲得やリピーターを増やすのに効果的です。顧客のニーズに合わせた独自の商品やサービスを提供することで、他の競合との差別化を図れます。

食品ECの成功事例10選

食品ECで成功した事例を紹介します。ブランドの特徴・成功までのストーリーなどを参考にしてみてください。

1.ジャン=ポール・エヴァン

ジャン=ポール・エヴァンは、フランス発の著名なショコラティエです。このブランドは日本の主要デパートにも店舗を構えています。

彼らのオンラインブティックでは、オンライン限定の商品を提供することでプレミアム感を演出しています。

この戦略は、実店舗の顧客をオンラインショッピングへと誘導する効果があり、オンライン顧客に対してはニュース配信などを通じて継続的に関係を構築できる点がメリットです。

2.Royce’ Chocolate

Royce’ ChocolateのECサイトでは、高品質なチョコレートと焼き菓子をオンラインで販売しています。サイトは洗練されたデザインと使いやすいナビゲーションを特徴とし、親しみやすい雰囲気を持っています。

加えて、ギフトボックスの注文やギフトラッピングサービスも提供しているのが特徴。贈り物としての利用を含め、幅広い顧客のニーズに応えている事例です。

3.豊洲市場ドットコム

豊洲市場ドットコムは、プロ向けの品質や特別な商品を提供するオンラインプラットフォームです。もともとは「築地市場ドットコム」として知られていましたが、築地市場の移転に伴い名称を変更しました。

このサイトでは、豊洲市場からの鮮度の高い商品を提供し、一般の小売店では手に入らないような特別な品や量を提供しています。東京23区内では、朝8時までの注文を同日中に届ける迅速な配送サービスを提供しており、顧客の満足度を高めています。

4.ウェルネスダイニング

ウェルネスダイニングは、健康と美容に着目した高栄養価の食品や飲料を扱うECサイトです。特にオーガニック、非遺伝子組み換え、ノンカフェインなど、健康に優しい商品が豊富です。

各商品には、原材料や栄養成分に関する詳細情報が提供され、ユーザーが自身の健康や美容のニーズに合わせた商品を選びやすくなっています。また、管理栄養士への相談が可能なサービスもあり、個々の健康管理に役立てられる点が特徴です。

5.職人醤油

フューチャーショップ futureshop 食品EC 成功事例 職人醤油
引用:職人醤油

職人醤油は、100mlの小容量でさまざまな醤油を気軽に試せるECサイトです。それぞれの醤油は蔵元ごとに異なる特徴があり、気に入ったものは直接蔵元から購入することをおすすめしています。

このサイトの大きな特徴は、料理レシピや醤油の情報など豊富なコンテンツを提供している点です。また、シーンや食材、地域別に商品を分類することで、顧客の興味を引きつけ、購入後の満足度を高める工夫をしています。

6.オイシックス・ラ・大地(Oisix)

オイシックス・ラ・大地(Oisix)は、利便性が高い有機・無農薬野菜のネット販売を実施しています。野菜の組み合わせ選択と配達日時指定が可能で、野菜を美味しく食べるための詳細な説明が付いた配送が特徴です。

定期購入のミールキットでリピーターを増やしており、スマートフォンアプリでは商品検索や注文履歴の確認、定期便の変更が簡単にできます。さらに、限定商品や割引クーポンなどの特典が提供されています。

7.47CLUB

フューチャーショップ futureshop 食品EC 成功事例 47CLUB
引用:47CLUB

47CLUBは、全国各地の地方新聞社が選んだ商品を集めたECサイトです。このサイトの特徴は、地域の特産品を地方新聞社が厳選し、紹介している点にあります。商品ページには新聞社社員が顔出しでコメントを寄せることで、信頼性を高めています。

また、海外転送サービスも提供し、国外への発送も可能です。主に高年齢層をターゲットにした商品ラインナップや、お中元やお歳暮などのギフト需要に応える複数配送先指定サービスも特徴的です。

8.Amazonフレッシュ

Amazonフレッシュは、Amazonが提供する食品ECサイトです。生鮮食品を含む17万点以上の商品を取り扱っています。

このサイトの特徴は、鮮度や賞味期限を保証するサービスに力を入れており、顧客が安心して食品を購入できるよう配慮しています。特に東京の一部エリアでのみ提供されているこのサービスは、Amazonプライム会員であれば最短2時間で商品を受け取ることが可能です。売上高が高い点もAmazonフレッシュの特徴の1つです。

9.熊本馬刺しドットコム

利他フーズは、自社運営のECサイト「熊本馬刺しドットコム」を通じて、馬肉・馬刺しの販売で年間売上No.1を達成した成功例です。2012年の設立から、彼らは年間数億円の売り上げを達成するまでに成長しました。

ECサイトに顧客からの問い合わせを反映させることで、顧客満足度を向上させる努力をしました。このように、顧客の声を商品開発やサービス改善に積極的に取り入れることで、利他フーズは食品EC市場で顕著な成功を収めています。

10.大江ノ郷自然牧場

ひよこカンパニーは鳥取県に拠点を置き、平飼い養鶏場で採れる卵を通販で販売する成功事例を築いています。2021年にオムニチャネルを開始。自社ECサイトの売り上げを5年間で10倍に伸ばした実績を作っています。

「天美卵」というブランド卵の販売が好調です。単なる卵ではなく「にわとりの飼育環境」など、背景としてのストーリーを伝えられた結果、ブランディング効果を発揮できています。

また、彼らは「大江ノ郷自然牧場」という複合リゾート施設も運営しており、年間36万人以上の来訪者を迎える人気スポットに成長しました。この施設には飲食店やホテルが含まれ、実際に卵を味わえます。

ひよこカンパニーは顧客との強い結びつきを重視し、通信販売とEC事業の両方で新規顧客の獲得とリピーターの増加に努めています

食品ECでよくある3つの質問

食品ECでよくある質問には、以下の3つがあげられます。

  • 質問1.食品ECで必要となる資格や許可は?
  • 質問2.食品ECを運営する際の注意点は?
  • 質問3.食品ECを開設する手順は?

ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しくみていきましょう。

質問1.食品ECで必要となる資格や許可は?

食品のオンライン販売においては、特定の資格や許可が必要です。まず、食品衛生法に基づく知識を持つ「食品衛生責任者」が最低1人必要です。さらに、扱う食品の種類に応じて追加の資格や許可が求められます

たとえば、酒類のオンライン販売には「通信販売酒類小売業免許」が、精肉販売には「食肉販売業許可」が、鮮魚の販売には「魚介類販売許可」がそれぞれ必要となります。

さらに、都道府県によっては他の食品にも特別な許可が必要になる場合があるため、販売予定の商品については管轄の保健所で確認することが重要です。

質問2.食品ECを運営する際の注意点は?

食品ECを運営する際の注意点は、以下のとおりです。

  • 徹底した衛生管理
  • 義務表示事項の表示

食品表示法に従った正確な表示をECサイト上に行うことが義務付けられています。これには原材料、添加物、栄養成分、保存方法、消費期限、アレルゲン情報、原産地などが含まれます。

特に重要なのが、衛生管理の徹底です。鮮度が重要な食品に関しては、温度や湿度の管理を適切に行い、適切な配送業者を選定することが欠かせません。

また、2021年6月1日からはHACCPに基づく衛生管理がすべての食品事業者に義務付けられました。これは食品の製造、調理、運搬、販売の各工程で衛生管理計画を実施することを意味します。

質問3.食品ECを開設する手順は?

食品ECの開設には、ほかの分野とは異なる独自の手順が必要です。

  • 営業する施設の図面を用意する
  • 図面を基に保健所に相談する
  • 営業許可の申請を保健所に提出
  • 施設の確認検査を受ける
  • 営業許可書が交付されたらECサイトを構築する
  • サイトをオープンして事業を開始する

ただし、都道府県によっては手順に違いがありますので、食品ECを開設する前に管轄の保健所で手順を確認することが大切です。これらの手順を適切に踏むことで、食品ECの開設がスムーズに進行します。

まとめ

食品ECの成功事例や展開するメリット、成功について解説しました。食品ECでは、自社の独自性を打ち出し、顧客の心をつかむかが重要です。ぜひ、紹介した成功事例を参考にして自社の強みを訴求できるサイトを構築してみてください。

この記事はフューチャーショップのオウンドメディア『E-Commerce Magazine』の記事を、ネットショップ担当者フォーラム用に再編集したものです。

E-Commerce Magazine

「メタボメ茶」で行政処分のティーライフに課徴金納付命令、何が問題だった?

1 year 11ヶ月 ago

ティーバッグ用のお茶「メタボメ茶」を飲むと著しい痩身効果が得られるような表示で販売したとして消費者庁は3月6日、景品表示法第8条第1項の規定に基づき、販売元のティーライフに対して課徴金納付命令を発出した。課徴金額は1771万円。

ティーライフは2018年4月3日~2019年12月24日まで、通販大手ベルーナが販売する商品に同梱して配布した冊子において、「メタボメ茶」を摂取すると著しい痩身効果が得られるような表示をした。

たとえば、同梱冊子「中年太り解決読本」で体型が異なる2名の人物のイラストとともに、「もう一度、あの頃のスリムな私に!」と表示。また、飲料の入ったティーカップの画像とともに、「漫画でわかる! 日本一※売れている中年太りサポート茶とは!?」「2年半で-43kg!! その方法を公開中!」などと表示した。

このような表記について消費者庁は、景品表示法の規定に基づき、ティーライフに対して当該表示の裏付けとなる合理的な資料の提出を求めたところ、ティーライフから提出された資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠として認められなかった。

ティーライフは2021年3月、「メタボメ茶」の広告を対象に消費者庁から措置命令を受けたが、これを不服として東京地裁に行政処分取消訴訟を提起。2022年4月に東京地裁が請求を棄却している。

ティーバッグ用のお茶「メタボメ茶」を飲むと著しい痩身効果が得られるような表示で販売したとして消費者庁は3月6日、景品表示法第8条第1項の規定に基づき、販売元のティーライフに対して課徴金納付命令を発出した
ティーライフが実施した表示の例

今回の課徴金は、2021年3月の景品表示法に基づく措置命令によるもの。

景品表示法とは?

不当表示や不当景品から消費者の利益を保護するための法律が「景品表示法(正式名称:不当景品類及び不当表示防止法)」。景品表示法は、商品・サービスの品質、内容、価格などを偽って表示を行うことを規制。また、過大な景品類の提供を防ぐために景品類の最高額を制限している。

不当表示は大きく分けて3つの種類がある。

  • 優良誤認表示(商品・サービスの品質、規格、その他の内容についての不当表示)
  • 有利誤認表示(商品・サービスの価格、その他の取引条件についての不当表示)
  • その他 誤認される恐れのある表示(一般消費者に誤認される恐れがあるとして内閣総理大臣が指定する不当表示)

ティーライフのケースは優良誤認に該当。商品・サービス品質を、実際よりも優れていると偽って宣伝したり、競争業者が販売する商品・サービスよりも特に優れているわけではないがあたかも優れているかのように偽って宣伝する行為が、優良誤認表示に当たる。

景品表示法に課徴金制度が導入されたのは2016年4月。課徴金制度は、法律に違反することで不当に利益を得た法人・個人から、その利益を没収するもの。課徴金の金額は違法表示によって得た売上額の3%。

消費者庁では、各種資料をまとめた景品表示法用コーナー、「不当景品類及び不当表示防止法ガイドブック」(PDFが開きます)などで、景品表示法に関するさまざまな情報を提供している。

松原 沙甫

AOKI(アオキ)が公式通販サイトにEC商品検索・サイト内検索エンジン「ZETA SEARCH」を導入

1 year 11ヶ月 ago

AOKIは、公式通販サイト「AOKI」にEC商品検索・サイト内検索エンジン「ZETA SEARCH」を導入した。

詳細な絞り込み機能などを実装

サイズやカラーだけでなく「着用シーズン」「キーワード入力」などの詳細な絞り込み機能を実装し、よりユーザーのニーズに合った検索結果を表示。これにより、探している商品が表示されないことによるサイトからの離脱防止が期待できるという。

AOKI ZETA SEARCH 詳細な絞り込み表示
詳細な絞り込み機能で、ニーズに合った商品を表示

商品カテゴリごとに絞り込み項目の1つである「サイズ」の選択肢が自動で切り替わるようにした。これにより、ユーザーが探しているサイズの商品を見つけやすくなり、「自分に合うサイズをなかなか見つけられない」などの不満を解消し、CX向上につなげる。

AOKI ZETA SEARCH 商品カテゴリごとにサイズの選択肢を自動で切り替え
商品カテゴリごとに「サイズ」の選択肢を自動で切り替え

「ZETA SEARCH」とは

ECサイト内の検索における「絞り込み」「並び替え」の設定の自由度・柔軟性を追求したEC商品検索・サイト内検索エンジン。

キーワード入力時のサジェスト機能や、もしかして検索、ドリルダウン式の絞り込み、事前に検索結果の該当数を表示するファセットカウントなど、多数の検索機能を有している。

JRE MALL ZETA SEARCH サイト内検索 EC商品検索
「ZETA SEARCH」の基本機能(画像は「ZETA CX」サイトからキャプチャ)
藤田遥

コメ兵さんの進化をちょっとだけ振り返ってみたらその一貫性に驚いた。特に現場力の磨き方がすごい!【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

1 year 11ヶ月 ago
ネットショップ担当者が読んでおくべき2024年3月4日~3月10日のニュース

絶え間ない進化を続けているコメ兵さん。よく見かける企業名ですし、記憶にも残っているのでサッと過去記事を振り返ってみました。ブレることのない一貫性が売り上げを伸ばす要因だったんですね。

方針があってこその手段であることを忘れずに

【コメ兵のOMO+EC戦略】取り寄せサービスをフックに顧客の定着化、LINE活用の1to1接客、外部モール強化 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/11965

コメ兵のEC関与売上高が好調な理由は、外部環境がプラスに向いていることや、「取り寄せサービス」が機能している点に加え、コロナ禍直後にスタートした全社横断型の「OMOプロジェクト」の進化も見逃せない。

当該プロジェクトでは、新しい時代の顧客行動に合わせた営業スタイルへの変革をめざして、LINE接客の強化やコンタクトセンターの設置、中国向けライブコマースの推進を掲げた。

コメ兵さんのEC関与売上高が好調との記事がありました。さまざまな施策が機能していることや進化していることもありますが、取り組みが一貫していることも理由の1つではないかと思っています。ちょっとだけ振り返ってみましょう。

コメ兵は数年前からO2O戦略を推進。ECサイトで掲載した商品を顧客が希望する店舗に送り、実際に見てから購入してもらう他、店頭に在庫が無い場合はiPadなどのタブレットで他店舗の在庫を調査し、商品を取り寄せるといった取り組みを行ってきた。

◇オムニチャネル経由の売上高30億円、コメ兵のECサイトと実店舗の連動策 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/100

大切にすべきことは、お客さまの「お買物体験」の向上です。「お客さまにとって良い事」を中心に考え、実践していくことを重視しています。

コメ兵のEC事業が成長を続けていくためには、現場力を磨いていくことに最も力を入れる必要があります。当社はインターネット専業ではなく、店舗でのお客さまの接点が一番大きく、重要です。ECサイトだけではなく、店舗も含めたスタッフの商品知識、接客対応力をとても重要視しています。

◇コメ兵が手がけるECの成長の源泉は“現場力”「商品知識」「接客対応力」を磨く1年に | 2015年のEC市場を占う! 押さえておくべきポイントは? | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/1402

一貫してオムニチャネル戦略を進めていますし、現場力を重視しています。このブレない方針があってこその今なので、表面だけを見て真似しないようにしたいところです。EC関与売上高というKPIを設定しているのもポイント。今では同じようなKPIを設定しているところが多いと思いますが、ちょっとだけ復習です。

同社のように店舗も持ち、ECも行っている企業の場合、どの施策が売上に結びついたのか判断することは難しい。これは経営者の戦略としてはもちろん、社員の立場で考えても評価に関わる重要な部分である。藤原氏はWEB事業の成果を判断するためのKPIを設定するにあたり、売上の種類を大きく2つに分類した。

◇リアル小売の逆襲が始まる。オムニチャネル推進で720万円のダイヤを売るコメ兵の戦略 | MarkeZine
https://markezine.jp/article/detail/24242

このように社員同士で売り上げの取り合いが起きたり無関心になったりしないような評価基準を作ることで、一貫した取り組みができているんですよね。ECで売り上げを伸ばすというのはマーケティングや広告だけではなくて、物流なども含めた全体の力が問われてくるわけです。

この前提で冒頭に紹介した記事から引用します。

1to1接客に使用する社用スマートフォンの台数は昨年10月末時点で325台まで拡大。1年前と比べて40台程度増えた。コメ兵では接客技術の高いスタッフからLINE接客をスタートし、接客事例やノウハウを共有しながら対象スタッフ数を拡充するとともに、LINE接客の精度を高めてきた。

現状、優良会員の約3割がLINEでコミュニケーションをとれる状態にあるという。

元々現場力が磨かれているので、LINEでの接客もスムーズにできていると思われます。接客スキルが高い人から始める→ノウハウを貯める→固まってきたら拡大、というステップを踏んでいるのも良いですね。焦らず着実に。

同社は年配の顧客も多いため、電話で注文できる「電話注文」のサービスを自社ECで展開。サイト上では「スタッフとの会話で安心な電話注文」と目立つように表示している。

チャットについても100%有人で内製化しており、商品に対する問い合わせにただ返答するだけでなく、「取り寄せサービス」があることも伝えているという。

ECの人は電話注文を嫌う傾向にありますが、ユーザー増に合わせてきちんと対応。チャットも100%有人化というところが素晴らしいです。チャットだからAIと効率化を安易に考えてしまいがちですが、現場力にこだわっているのであれば意味がないですよね。くどいようですが一貫性があるのが強い。

ECの成功事例記事はたくさん読むことができます。成功の本当の理由は企業の歴史まで調べないとわかりません。気になる成功事例が出てきたら、今回のように歴史を振り返ってみてください。

今週の要チェック記事

Amazon、楽天、LINEヤフーのモール運営はどう改善された? どんな対応を求めている? 【経産省の「透明化法」評価まとめ】 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/11946

【経済産業省に聞く】2回目の「大臣評価」でオンラインモールに求めた改善とは? | 日本ネット経済新聞
https://netkeizai.com/articles/detail/10897

LINEヤフーに行政指導 約52万件の情報漏えいで 「改善が見られなければ、より強い措置も」と松本総務大臣 | ITmedia NEWS
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2403/05/news166.html

行政の動きがモールに影響して、それが店舗にも影響を与えます。どのような未来になるのか想像できる部分があるので、流れを追っておきましょう。

成長のために覚えたのは業務を手放すこと フルーツギフトEC「蝶結び」が取り組む“未来への種まき”とは | ECzine
https://eczine.jp/article/detail/14195

記事冒頭にある前回インタビューを読んでからだと、より変化がわかります。成長のステージが1つずつ上がっていますね。

メルカリ、商品が本物か鑑定してもらえるサービス登場 「ポケカ」などのトレカ、バッグなど | ITmedia NEWS
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2403/04/news171.html

トレカ、スニーカーは2000円弱、バッグが4500円。これが安いと思えれば使うのがよさそう。出品者が「あんしん鑑定」を選択して出品した場合に限り適用されることには注意。

「楽天市場」の「楽天スーパーセール」は3/4の20時にスタート。「半額タイムSALE」「ポイント付与アップ」などを展開 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/11996

au PAY マーケットで「ポイント超超祭」、ポイント還元やクーポンの配布など――マルイ周年祭と同時開催 | ケータイ Watch
https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/1573573.html

PayPayキャンペーンまとめ【3月1日最新版】 4月半ばまで「超PayPay祭」開催 | ITmedia Mobile
https://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/2403/01/news077.html

年度替わりのタイミングで経済圏を利用したキャンペーン合戦となっています。多店舗展開中ならどこでいつ勝負するのかを決めておくこと。

商品ページで最短お届け予定日を表示+生活スタイルに合わせた受け取りを実現するShopifyとヤマト運輸の取り組みとは | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/12016

「最短お届け予定日自動表示アプリ」をヤマト運輸が開発。「配送カスタム.amp」「EC自宅外受け取りAPI」に対応しているのも良いですね。

今週の名言

171. マインドセットを変えるたった一つの方法 | 三浦優希 Yuki Miura
https://note.com/yukimiura36/n/nde74d597f9bc

マインドセットは、自らの経験によって変わります。それも、どん底であればあるほど、その後の人生において自らを支え続けてくれる大木となると僕は思っています。

売れない時にどれだけもがけるか、努力できるか。何かのせいにしているうちは変わりません。本当に「これは危ない」と思ったときに人間は変わります。

筆者出版情報

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CRMでめざせリピート率50%! 家具D2C「KANADEMONO」が考える 理想のMAツールとは

1 year 11ヶ月 ago
MAツール「OmniSegment」のビービットと家具のD2Cブランド「KANADEMONO」が語るCRMとEC事業におけるAI活用のいま
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消費者向けECを成長させるには何が必要か。人口減に直面する日本市場において、既存顧客との関係強化は最重要テーマと言える。リピート注文してもらうために顧客の購買履歴や興味をしっかり把握し、効率的にアプローチする方策の1つであるCRMの重要性はますます高まっている。

家具のD2Cブランド「KANADEMONO(カナデモノ)」は、リピート率の向上をKPIに掲げ、さまざまな施策を展開中だ。運営元のルームクリップ 松本好司氏(KANADEMONOカンパニーマーケティングチームゼネラルマネージャー)がMAツール「OmniSegment」をはじめとするUXソリューションを提供するビービットの生田啓氏と対談。高単価ゆえリピート注文されにくいという家具EC特有のハンデをどう打ち破ろうとしているのか。その詳細を明かした

モール出店でスタートしたD2Cが、すぐさま自社EC構築に動いた理由

松本氏が携わるKANADEMONOの設立は2018年2月。家具の開発・製造・販売を行う、いわゆるD2Cブランドである。特徴的なのはサイズオーダーに注力している点だ。たとえばテーブルの場合、幅や奥行きを1センチ単位で指定でき、好みの天板と鉄脚を自由に組み合わせることができる。

注文から配送までのリードタイムはおよそ1週間。配送まで1か月程度かかるケースも珍しくない家具領域のなかで、KANADEMONOのスピーディさは競合に対する大きな差別化ポイントだ。

KANADEMONOがメインで扱うのは中価格帯のセミオーダー家具。大手チェーンの家具よりは高いが、高級注文家具に比べれば買いやすい。そのターゲット層を考えれば、相応の販売数量が見込める。当初は集客力に優れたECモールへ出店し、売り上げも順調だったという。

モール出店でかなりの手応えを得たので、自社ECの構築にもすぐ取り組み、併走する形で運営した。かなり早い段階でモール出店はすべて止め、現在は自社ECだけに振り切っている。(松本氏)

ルームクリップ KANADEMONOカンパニー マーケティングチームゼネラルマネージャー 松本好司氏
ルームクリップ KANADEMONOカンパニー マーケティングチームゼネラルマネージャー 松本好司氏

大胆な選択の背景には、サイズオーダー無料というブランド特性があった。一般的なECモールはさまざまな商品を販売できるように配慮されているが、1品1品のサイズをWeb上で細かく指定するようなインターフェースは想定されていない。

「たとえば“スライドバーを動かしてサイズを変更できる”などのオリジナルな体験をしていただくこともブランドとして大切な要素」と松本氏が語るように、サイトの自由度を重視。顧客データ活用の土台を作りたいということも、自社EC一本化への後押しとなった。

モール出店を完全に止め、自社ECだけとしたタイミングで一時的に売り上げは下がったが、その後は顧客の来訪が回復し、成長率はモール出店時と同水準になった。サイズオーダーができる家具販売サイトがそもそも少ないという商品性の強みも大きいと松本氏は分析する。

自社ECサイトを「Shopify」で構築

KANADEMONOは「Shopify」で自社ECサイトを構築している。Shopifyは2006年にカナダで誕生し、日本には2017年に進出したECサイト構築プラットフォーム。低価格でスタートでき、アプリの追加によって柔軟に拡張できることが評価され、国内利用が広がっている。生田氏は「EC界の黒船」と評価する。

家具のサイズオーダーという、他のECサイトではあまり見かけない機能を実装するにあたっては、「Shopify」はほぼ唯一の選択肢だったと松本氏は振り返る。1つのプラットフォームのまま、小規模サイトから大規模ECまで、契約プランの変更で対応できる点も大きかったという。

日本では規模の拡大に合わせてECプラットフォームを途中で乗り換えるケースがよくある。だが、移行時には顧客データがどうしてもいくばくかは失われる。あまり語られないことだが(その損失が)まったくないというのは大事なことだと思う。(松本氏)

目標はリピート率50%、家具ECの戦略

KANADEMONOは現在、リピート購入率をKPIとしている。家具は単価が高く、一度購入するだけという顧客が少なくない。製品ジャンル的に、リピートが発生しにくいという訳だ。そんな商品特性だが、松本氏は「リピート率50%を達成するためのチャレンジをしている」と言う。

オーダーできる範囲を拡大

取り組み事例の1つ目にあげたのが、KANADEMONOが強みとしているセミオーダーの範囲を拡張することだった。これまではテーブルやデスクといった製品ではオーダーの自由度が高い一方、ベンチやテレビボード、シェルフなどには制限が多かった。これを製品開発チームとの協力で緩和していった。

たとえばラバーウッド素材のテーブルをお買い上げいただいたお客さまに、同じ素材のベンチやテレビボードをご案内できるようになった。家具の素材やカラーは部屋のなかで合わせることでお部屋のバランスは整えやすい。CRMとMAの連携によって、そうした提案が実現した。(松本氏)

リピート受注されそうな製品を外部から調達するのでなく、ある意味ゼロに近い状態から開発した、というところが特筆すべきポイント。これはマーケティング部門だけで実施できる施策ではない。製品開発部門の協力があってこそ実現できることだ。

スタイル・テイストを「顔」で表現

2つ目は、KANADEMONOのブランドロゴ。一般的に家具・インテリアは「北欧調」「モダン」「ラグジュアリー」というようなスタイリングジャンルで分類する傾向がある。しかし完全に分類できるものでもない。「この家具はカラーが○○だから北欧調」というような言い切りはそぐわない可能性がある。

そこでKANADEMONOではインテリアのテイストを顔のイラストで分類し、これをタグにしている。「おしゃれ」や「スタイリッシュ」といった呼称は付けず、あくまで顔とその名前だけ。顔は男性、女性、猫で5種類あり、ユーザーはその顔から受けるイメージを想像しながら、製品を探すことになる。

顔から好みのスタイルを探す
顔から好みのスタイルを探す

このロゴはMAやCRMの情報としても扱われる。これにより、「この家具は○○代の男性に好まれるはず」といった断定的な商品提案を回避しつつ、商品間の関連性はしっかり提示できるようになった

KANADEMONO独自の特集記事

3つ目は特集記事の扱いだ。松本氏によると、家具に限らずブランドで世界観が構築されている場合、特集やキャンペーンなど販促色が強いコンテンツはアウトプットが難しいという。

キャンペーンや、オファー性の強いコンテンツが紛れ込むと、一貫性がなくなるという考え方が背景にはある。だが、商品理解を広げるには必要なうえ、SEOの観点からも特集記事の効果は小さくない。

KANADEMONOでは洗練されたWebデザインを基本としつつ、撮影に工夫を凝らし、文章が多くない特集記事を積極的に掲載している。

「KANADEMONO」の特集ページの一例
「KANADEMONO」の特集ページの一例

「ChatGPT」はスタッフの良き相談相手

KANADEMONOではAIの活用も進めている。特集記事など全体としてコンテンツを拡充する方向にあるが、文章のたたき台を米OpenAI社の「ChatGPT」で生成する取り組みを始めた。

また、いったん書いた文章を部署内のメンバーで相互に確認し合うだけでなく、「ChatGPT」に読み込ませ、言い換え表現があるか、より優れた表現がないかといった推敲も行っている。

業務上の相談を「ChatGPT」にする機会も多いという。KANADEMONOではリモートワークが浸透しており、周囲のメンバーに「ちょっといいですか?」と気軽に聞ける機会が減った。その分の相談や確認はミーティングで行うことになるため、結果としてミーティングが長くなる傾向にあった。

それが現在は「ChatGPT」が気軽な相談相手になってくれている。スタッフは、言わば「ChatGPT」を相手に日々“壁打ち練習”しているため、松本氏も驚くほどミーティングが短くなったという。

生田氏も「AIはEC業界に少しずつ影響を与えていく」と展望する。現在は文章をはじめとした各種コンテンツの生成が始まりつつある段階。これに続いて、消費者がおおまかなイメージをAIに伝えて選定してもらい、そのまま注文まで済ませてしまうというような新しいインターフェースの登場もあり得る。またCRMという観点では、メール配信の最適なタイミングや、ユーザー別のコンテンツ差し替えなどでAIの出番が多くなるだろうと語る

ECにおけるAI活用の予測
ECにおけるAI活用の予測

本業への集中のため、MAは使いやすさを重視

KANADEMONOはCRMマーケティングに、ビービットのMAツール「OmniSegment」を活用。松本氏が評価するのは、その操作性と設定の容易さだ。

「OmniSegment」は「小売/ECに特化したMAツール」を標榜しており、EC業務での使いやすさを徹底的に向上させている。生田氏も「EC担当者の忙しさは重々承知しているので、UIの使いやすさはとにかくこだわった」と説明する。

我々マーケティングチームとしては、とにかくお客さまに良い情報を届けることに集中したい。となると、ツールは簡単であるに越したことはない。MAは入っているが難しくて使っていないという話もよく聞く。使いやすさは重要だ。(松本氏)

AI機能もすでに組み込まれており、たとえば「オーディエンススコア」機能では、購入履歴や消費者の行動を分析。今後購入する可能性の高い顧客を5段階のスコアで予測する

生田氏は、機能面はもちろんコンサルタントによる伴走型サポートにも注力しているとアピール。ECの成長に向けて「OmniSegment」をぜひ活用してほしいと呼びかけた。

「OmniSegment」の主な機能
「OmniSegment」の主な機能

コロナ禍のEC急進はいまや過去。既存顧客との関係強化に活路を

既存顧客のリピート購入促進の重要性は、ビービットが支援した企業の購買データからもはっきりしている。

あるECサイトは、1回のみの購入者が約80%で、複数回購入者は20%にとどまっていた。しかし全体売上に占める割合は、複数回購入者からの売り上げが47%にも達する。生田氏によれば、こうした傾向は一般的で珍しいことではないという。

また、会員数約50万件、年商12億円のサイトの例では、休眠顧客の再活性化プロモーションを行ったところ、その2%を掘り起こすことができた。「1回のプロモーションで2%というのはかなり現実的な数字で、まぐれ当たりとは思えない。もし、これを年1回ペースで繰り返したなら、成長ペースに与えるインパクトは極めて大きい」と生田氏は強調する。

「OmniSegment」の主な機能
「OmniSegment」の主な機能

最後に、CRMが重視され、「OmniSegment」のようなMAツールが必要になる背景を押さえておきたい

経済産業省の統計では物販系BtoC-EC市場が右肩上がりで、2019年から2020年にかけて、コロナ禍がその傾向を推し進めた。EC化率は年0.5ポイント程度のペースで恒常的に上昇していたが、2019年に6.76%だったところ、2020年は8.08%へと急進した。1年で1.32ポイントの増加である。

物販系分野のBtoC-ECの市場規模およびEC化率の経年推移(単位:億円) 出典:「令和4年電子商取引に関する市場調査報告書」(経済産業省)
物販系分野のBtoC-ECの市場規模およびEC化率の経年推移(単位:億円) 出典:「令和4年電子商取引に関する市場調査報告書」(経済産業省)

しかし生田氏が注目すべきとしたのは、その後の停滞について。2019年から2020年にかけて大きくジャンプアップした一方、2021年以降は増加ペースが年0.5ポイント程度に戻ってしまった点だ。同統計では、2022年のEC化率は9.13%なので、2年で約1ポイントしか上昇しなかった計算になる。

EC担当者の皆さんも、経営層から「これからはECの時代だ」「ネット販売に力を入れろ」と言われただろうが、市場環境的に勝手にECが伸びる時代はもう終わってしまった。これからは知恵と工夫が求められる時期だ。(生田氏)

ビービット ソフトウェア事業本部 マーケティング ソリューション セールス&マーケティングマネジャー 生田 啓氏
ビービット ソフトウェア事業本部 マーケティング ソリューション セールス&マーケティングマネジャー 生田 啓氏

そもそも少子高齢化の影響で、新規顧客は獲得しにくくなっている。個人情報の保護意識が高まるなか、顧客ターゲティングにも厳しい目が向けられており、結果として広告の費用対効果は落ちる傾向にある。さらにEC事業者は増え続けているので、顧客の獲得競争は激化している。

こうした状況である以上、新規顧客の獲得ももちろん重要だが、「既存顧客にどうすればもっと買ってもらえるかに注力するのもまた必然」と生田氏は説明する。

CRMで既存顧客育成に取り組むべき理由
CRMで既存顧客育成に取り組むべき理由
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森田 秀一

オイシックス・ラ・大地、食品小売店「旬八青果店」のアグリゲート社を連結子会社化

1 year 11ヶ月 ago

オイシックス・ラ・大地は3月、食品小売店「旬八青果店」を運営するアグリゲートを連結子会社化した。アグリゲートは2023年5月、オイシックス・ラ・大地の関連会社となっていた。アグリゲートの新株予約権の行使、既存株主からの株式取得で子会社化した。

オイシックス・ラ・大地は3月、食品小売店「旬八青果店」を運営するアグリゲートを連結子会社化

オイシックスはアグリゲートを関連会社化してから、ふぞろい野菜や商品開発、販売などの連携を推進、子会社化は関連会社化した当初から視野に入れていた。

今後、宅配サービスや実店舗での販売、弁当や調理加工も可能になることから、幅広い青果の取り扱いが可能になるという。フードロスの削減やグループ間での商品流通に取り組み、連携を強化することで事業成長を実現する。

具体的には、宅配で販売できなくなった食べ頃の青果など、豊作となった野菜などを「旬八青果店」で販売するほか、オイシックス・ラ・大地の子会社で水産品を飲食店などに卸販売する豊洲漁商産直市場の販路拡大など、グループの連携推進とフードロス削減につなげる。

「旬八青果店」は特色のある青果品の仕入れや産地開拓、豊洲漁商産直市場の水産品を活用した弁当販売、グループのネットワークを活用した卸販売など、仕入れや商品力などで事業強化を図る。

オイシックス・ラ・大地は3月、食品小売店「旬八青果店」を運営するアグリゲートを連結子会社化
オイラ大地とアグリゲート社のシナジーについて

オイシックス・ラ・大地は2023年5月、アグリゲートの第三者割当増資を引き受け持分法適用会社化。同年5月10日付でアグリゲートと業務提携契約を締結した。その段階におけるアグリゲートの所有株式割合は20%だった。

松原 沙甫

I-neの売上は18%増の416億円、ヘアケア系ブランド「ヨル」+ECモールの好調など2023年12月期実績まとめ

1 year 11ヶ月 ago

I-neの2023年12月期連結決算は、売上高が前期比18.1%増の416億4300万円、営業利益は同35.3%増の43億7900万円だった。

ヘアケア系ブランド、特に「ヨル」の伸長が増収をけん引した。物流拠点集約化や共同配送の実施などで物流費率は6.9%で前期比1.0ポイント改善し、一部商品の販売価格改定などで売上原価率は46.6%で同1.5ポイント改善。こうしたコストコントロールが営業増益につながった。

経常利益は同25.0%増の43億3700万円。持分法適用会社だったエンディアンの持分49.9%を日本コカ・コーラへ譲渡したことで特別利益29億9200万円を計上、当期純利益は前期比105.2%増の39億5400万円だった。

I-neの2023年12月期(通期)カテゴリー別売上高(画像はI-neの決算説明資料から編集部がキャプチャ)
I-neの2023年12月期(通期)カテゴリー別売上高(画像はI-neの決算説明資料から編集部がキャプチャ)
コスト構造の改善(画像はI-neの2023年12月期(通期)決算説明資料から編集部がキャプチャ)
コスト構造の改善(画像はI-neの2023年12月期(通期)決算説明資料から編集部がキャプチャ)

2024年の通期業績は、売上高458億円(前期比10.0%増)、営業利益46億円(同5.0%増)、経常利益45億5000万円(同4.9%増)、純利益24億円(同39.3%減)を見込む。純利益は、2023年12月期は合同会社Endian(エンディアン)の持分譲渡による特別利益の計上があったため、2024年12月期では減益となる見通し。

I-neは2025年12月期を最終年度とした中期経営計画で、売上高550億円、営業利益率13%(2023年12月期は11.9%)をめざす方針を掲げている。現在はこの目標を上回るペースで成長しているという。2030年12月までに売上高1000億円をめざす。

I-neが見込む事業成長(画像はI-neの2023年12月期(通期)決算説明資料から編集部がキャプチャ)
I-neが見込む事業成長(画像はI-neの2023年12月期(通期)決算説明資料から編集部がキャプチャ)

I-neの事業拡大の要因の1つ「ECモールの好調」

売上高拡大の要因の1つが、国内ECモールの好調。2023年12月期(通期)の連結決算では、国内ECモールの売上高が前年同期比32.7%増となっており、全体の増収に貢献している。

LINEヤフー主催の「Yahoo!ショッピング Best Store Awards 2023」では、「コスメ、美容、ヘアケア部門賞」の第3位を受賞。楽天グループの「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー 2023」でも、「&Habit (アンドハビット)楽天市場店」が「スーパーDEAL賞」を、Amazonの「Amazon.co.jp 販売事業者アワード」でもヘルス・ビューティー部門の「カテゴリー賞」を受賞している。

「Yahoo!ショッピング Best Store Awards 2023」の「コスメ、美容、ヘアケア部門賞」第3位を受賞
「Yahoo!ショッピング Best Store Awards 2023」の「コスメ、美容、ヘアケア部門賞」第3位を受賞
「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー 2023」では「スーパーDEAL賞」を受賞
「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー 2023」では「スーパーDEAL賞」を受賞

「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー」の受賞は、2019年から約4年ぶり。今後も、安心で安全な製品とサービスを提供し、お客さまの声に真摯(しんし)に耳を傾け、製品やサービス改善に努めてまいります。(ダイレクトマーケティング本部 本部長 小松悠氏)

「Amazon.co.jp 販売事業者アワード 2023」ではヘルス・ビューティ部門のカテゴリー賞を受賞
「Amazon.co.jp 販売事業者アワード 2023」ではヘルス・ビューティ部門のカテゴリー賞を受賞
高野 真維

商品の受取拒否を繰り返すユーザーへの対策への対策提言など「第7回 楽天市場サービス向上委員会」まとめ | 大手ECモールの業績&取り組み&戦略まとめ

1 year 11ヶ月 ago
「楽天市場サービス向上委員会」は、2021年3月に運営をスタート。年2回開催される委員会のほか、地域・コミュニティ、システム、物流、顧客コミュニケーションなどのトピックについての改善を協議する分科会で構成されてる

楽天グループと「楽天市場」出店店舗による独立した任意団体である「楽天市場出店者 友の会」は、7回目となる「楽天市場サービス向上委員会」を2月16日に実施。友の会は楽天グループに対し、「R-Messe」を活用した問い合わせ対応の効率化、商品の受取拒否を繰り返すユーザーへの対策、より良い商品レビューの投稿タイミングなどを提言した。

「楽天市場出店者 友の会」と楽天グループの幹部ら

「楽天市場サービス向上委員会」は、「地域・コミュニティ」「システム」「物流」「顧客コミュニケーション」などといったトピックについての改善を協議する分科会によって構成。各分科会から提案された「楽天市場」の課題や施策への改善案に対し、楽グループから対応の進捗を報告、意見交換などを行う場として運営されている。

今回の「楽天市場サービス向上委員会」では、新設分科会についての意見交換も実施。友の会がまとめた出店店舗の意見に、「『楽天市場』のエンターテインメント性をさらに向上させ、出店店舗が多様な魅力をより発信できる売り場にしてほしい」という要望が多数あがったため、ショッピングの「エンターテインメント性」などを議論する新たな分科会を今後設立する予定という。

各分科会のディスカッション内容

地域・コミュニティ分科会

各地域の「楽天市場」出店店舗向け勉強会、自治体、学校、出店店舗、楽天の4者が協業し、地域の将来を支える次世代への教育活動を推進、深めるための取り組みについてディスカッションした。

各地域で順調に活動が実施されていることから、今回で「地域・コミュニティ分科会」の活動は終了し、今後は「地域・コミュニティ実行委員会」へと体制を変更する。

システム分科会

SKUプロジェクトの促進にテーマを絞り、SKU移行にむけたスムーズな店舗運営のための情報発信、出店店舗視点での活用事例を共有。多くの店舗がSKUへの移行を完了し、今後は運用フェーズに移ることから、今回で分科会活動を終了するという。今後は「システム実行委員会」へと体制を変え、他の分科会で議論されるシステム関連の議題を横断的にサポートしていくという。

物流分科会

7月をめどに導入する「配送品質向上制度」に向けて議論。「配送品質向上制度」の導入後も、店舗の声を聞きながら制度運用をブラッシュアップ、加えて「楽天市場」の配送のめざすべき姿について議論していくという。

顧客コミュニケーション分科会

「レビュー・不正レビュー」「不正ユーザー対策」「R-Messe」について議論。顧客コミュニケーションの質を向上するために、出店者の課題や悩みの改善に向けた取り組みについてディスカッションした。

「R-Messe」については UI・UX、「レビュー・不正レビュー」はレビュー投稿期間やレビューの活用方法などについて議論。「不正ユーザー対策」はシステム面での対策の可能性などについてディスカッションしたという。

瀧川 正実

「楽天ラクマ」、リユース事業者などが出店する「ラクマ公式ショップ」が伸びている理由+近況は?【責任者インタビュー】 | 通販新聞ダイジェスト

1 year 11ヶ月 ago
フリマアプリ「楽天ラクマ」が12月に過去最高月商を記録!高価格帯商品の売れ行きが好調な理由と今後の展望は?木下シニアマネージャーに近況を聞いた。

楽天グループが運営するフリマアプリ「楽天ラクマ」では、リユース事業者などが出店する「ラクマ公式ショップ」の流通額が好調に伸びている。10~12月の流通額は1~3月の約1.5倍に。特にラグジュアリー関連商品が伸びており、10月から配布を始めたラグジュアリーに特化したクーポンも貢献しているようだ。同社のラクマ事業部BtoC&AD事業課の木下春菜シニアマネージャーにラクマ公式ショップの近況を聞いた。

流通額+出店者が伸びている理由

――ラクマ公式ショップの流通額が伸びている。

昨年12月に過去最高となるギネス月商を記録した。試験運用開始から約3年間の積み上げに加え、12月から新しく始めた施策がうまくはまった。また、「安心・安全」をPRできるようなUX調整をしたほか、一般出品者向けにはコメ兵と組んだ「鑑定サービス」も始めた。そういった活動が奏功し、ブランド品を事業者から購入する層と、一般出品者からも抵抗なく購入する層、双方が活性化された。それに加え、越境取引における購入代行事業者経由の流通も毎月伸びていった

プロモーションとマーケティングにも力を入れた。消費者へのインタビューでも分かったことだが、アパレル関連とラグジュアリー関連では、消費者の値引きへの期待もかなり違うし、購買層も若干違う。そこで、ターゲティングとコンセプトとメッセージを分けて企画を充実させたことが奏功した。加えて、年末はクリスマスラッピングの企画や、ラクマ初となる「1店舗でのトップバナージャック」も実施した。バナージャックについては、参加した店舗の流通が相当伸びている。

ラクマ事業部BtoC&AD事業課の木下春菜シニアマネージャー
木下春菜シニアマネージャー

――出店店舗数は。

非公開だが、順調に伸びている。大手はもちろん、中小規模の事業者にも参画してもらっている。

――最近はどういった事業者が出店しているのか。

楽天市場でも活躍している企業の出店が多かったが、直近ではブランド品を取り扱う中小規模事業者からの問い合わせが多く、ECに初挑戦という事業者も少なくない。数年前と比べても裾野が広がっていることを実感する。

――そういった事業者はなぜラクマを選ぶのか。

「ラクマはブランド品が強いと聞いて出店したいと思った」という声を良く聞く。店舗からも、競合と比べて30万円以上の高価格帯商品の動きが良いと評価されている。リユース事業者は横のつながりが強いので、くちコミで広まっているようだ。

――ラクマで高価格帯商品が売れる理由は。

ラクマと事業者が原始を負担するクーポンによる押し上げ効果もあるが、通常時でもラグジュアリーは非常に売れている。これだけ物価高になると、一次流通ではなかなか買えないブランド品などを二次流通で買い求める消費者が増えている。また、円安の影響もあり越境経由の受注も多い。

リユース品を入り口としてブランド品の世界に入る若年層が目立つ。また、ルイ・ヴィトンなどは、二次流通で購入してもブランド価値が下がりにくいこともあり、資産価値を意識する消費者も増えているようだ。ラクマでいうと「オールドグッチ」や「ヴィンテージシャネル」といった検索ワードが非常に増えており、そういった消費者が流入してきていることが分かる。ラクマでは、そうしたラグジュアリーが得意な事業者を集めてセール企画を実施しているというところも相まって、高価格帯商品が売れているのではないか

――セールを定期的に実施している。

ラグジュアリーのクーポン企画を月1回は実施するようにしている。クーポンは平常時は7%割引だが、昨年12月は10%割引企画を行った。

9月から楽天の買い回り対象に

――昨年9月からは、ラクマでの買い物が「楽天スーパーセール」や「お買い物マラソン」の買い回り対象となった。

MAU(月あたりのアクティブユーザー数)が顕著に伸びている。エンタメ・ホビー関連の店舗が扱う書籍やトレーディングカードとの相性が良い。ラクマにおける期間中の合計購入金額が1000円以上であれば、セール中の合計購入金額におけるポイント倍率がプラス1となるので、低単価商材が売れやすい。また、楽天市場と違って「送料込みライン」となる3980円も関係ないところがユーザーに支持されているのではないか。

少数精鋭での店舗サポート

――店舗へのサポート体制は。

楽天市場の強みでもあるコンサルタント体制の良い部分と、消費者に対応するカスタマーサポート体制の良い部分をハイブリッドしている。楽天市場に比べると運営人員が少ないが、コンサルタントも営業マンも、消費者インタビューを担当している。また、公式ショップ専属のマーケターが事業者に対応したり、開発プロデューサーやエンジニアが、事業者とZOOMで会話しながら、新機能に関する意見を聞いたりしている。例えば、営業は店舗の方ばかり向いて仕事をしがちだが、消費者の声も聞くことで、それを店舗へフィードバックすることができる。役職を超えて事業者・消費者双方に向き合う体制を敷くことで、営業・開発トータルで事業者をサポートしている。

特に重視しているのは出品部分。多くの事業者は他モール展開をしているし、全国に実店舗を出店している企業も珍しくない。ECにおける新品の商流よりも在庫管理と出品管理が複雑なので、そこはプラットフォーマーとして支えなければいけない。事業者の要望、システムベンダーの要望、双方を聞いた上でラクマとしてのスタンスを決めて開発している。

――事業者にはどんなアドバイスをしているのか。

コメント欄を使ってほしいという提案や、商品説明文を仮想モールと同一ではなく、フリマらしい書き方にしてほしいといった提案をしている。例えばハッシュタグを活用したり、「この商品はこんなアイテムと合いますよ」といった定性的なコメントをしたり、といったものだ。

――ラクマのコンサルタントは楽天市場のECコンサルタント出身が多いのか。

半々くらいだ。

楽天市場との住み分けは?

――楽天市場とラクマ双方に出店している事業者も少なくないと思うが、住み分けはできているのか。

ラクマは楽天市場に比べてメイン顧客の年齢層が低く、リユース品に対する抵抗感が少ない。また「欲しいものがあるときはまずは中古で探す」というユーザーを抱えている。さらには個人からも法人からも買えるという点も大きなベネフィットだ。事業者からも「楽天市場とは顧客層が全然違うし、売れる商品も違う」という声をもらうことが多い。リユース企業にとっては、どちらにも出店するメリットはあるのではないか。

期待値の高いジュエリー系、今後の展望と目標は?

――今後伸びそうな分野はあるか。

ジュエリー系の商材が伸びはじめている。特にダイヤモンドは、鉱山の閉鎖で供給が減少するとみられているので、消費者が関心を持ちはじめているのではないか。アクセサリー関連では、新品仕上げに対応した事業者のビュー数が伸びている。新品仕上げは一般出品者にはできないことなので、事業者にアドバンテージがあるのではないか。

今回の「ラクマショップ・オブ・ザ・イヤー」においても、新品仕上げや商品の状態に関する説明を丁寧にしている事業者が受賞したという印象がある。在庫数の多さや運営規模の大きさ以外の部分で勝負できるという点で、面白いカテゴリーだと思う。

――事業者からは機能改善に関してどんな要望が出ているか。

出品・取引周りに関する要望が多い。中古は一品ものなので、他モールと在庫を共通化している関係上、欠品が大きな課題となっている。ラクマのシステムAPI改善はもちろん、ベンダーと協議しなければいけない部分もある。

――今後の取り組みや目標は。

集客力を高めるために、公式ショップのSNS開設を準備している。マーケティングの観点では、これまでは運営側主体のクーポン施策がほとんどだったので、店舗が企画・実施できるような機能も準備している。公式ショップの商品だけではなく、一般出品者の商品も含めて、ブランド品とアパレルを安心して買ってもらえるプラットフォームにするため、日々進化させていきたい。

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元競泳日本代表、調理師学校卒、EC業界10年のガチ勢など多様な人材が働くECの現場の裏側【ハックルベリー安藤社長+社員に聞く】

1 year 11ヶ月 ago
「Shopify」向けアプリ開発の実績に優れるハックルベリー。EC業界の人材が「成長できる」「働きやすい」環境が整っており、さまざまなバックボーンを持つ人材が成長しているという。現役社員が自社の魅力を語る
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「Shopify」向けアプリの開発・提供などのハックルベリーには、多種多様な経歴の人材が集まり、個々のスキルを生かしながら活躍しているという。意欲が高く、EC業界で成長し続ける人材がなぜ、ハックルベリーに集まってくるのだろうか? 2人の現役社員が、ハックルベリーがEC業界の人材を引きつける魅力や、働きやすさをはじめとした職場環境を本音で話す。

ハックルベリーならではの働きやすさとは

ハックルベリーとは

ハックルベリーは、D2C、サブスクリプションといったさまざまなモデルのEC事業を対象に企画・設計、ECサイト構築、運用まで幅広くサポートしている。これまでに約100件以上のECサイトの構築を支援。提供サービスの累計インストール数は2万となっている。

主力事業は、Shopifyが提供するECサイト構築サービス「Shopify」導入企業向けのアプリ開発とその提供。Shopifyの公式パートナー「Shopify Plus Partner(SPP。国内で限られたトップベンダーにのみ送られる認定)」の認定を受けている。

提供しているサービスは、

  • サブスクリプションに対応する「定購購買アプリ」
  • eギフトに対応する「All in gift」
  • 決済機能まで網羅するチャットボット「CommChat」
  • ランディングページ制作・運用サービス「サブスクPLUS」
  • ECカート「単品・リピートEC構築」

など。導入企業の売上アップ率は平均13.5%増(2022年5月時点)という。

創業者は、ECおよびECマーケティング領域のサービス開発が得意な連続起業家で知られる安藤祐輔氏(ハックルベリーのCEO)。東京消防庁に入庁後、筑波大学体育専門学群へ進学、学生時の起業を経て、ケンコーコム(現楽天24)へ。退職後は、海外向けEC事業などに携わり、Socketを創業して「Flipdesk」をリリース。代表を退いた後、ハックルベリーを立ち上げた。起業は計4度。

ハックルベリーが手がける事業
ハックルベリーが手がける事業

ハックルベリーの設立は2017年10月。社員数は30人超で、業務委託のスタッフを含めると90人規模だ。さまざまなメンバーが活躍しており、安藤氏と同様、バックボーンも個性的だ。メンバーのうち2人が、自身の経歴や働き方を踏まえながらハックルベリーの職場環境を語った。

Product Managerの佐藤環氏は調理専門学校卒業、未経験から人材派遣を手がける企業のエンジニアになったという異色の経歴を持つ。

ハックルベリー Product Manager 佐藤環氏
ハックルベリー Product Manager 佐藤環氏
調理師学校を卒業後、未経験から人材派遣を手がける企業のエンジニアに転じて受託開発のディレクター業務に従事。IT企業でエンジニアのPM(プロダクトマネージャー)などを経験したのち、2019年にハックルベリーに入社

Producer(プロデューサー)の飯田綾香氏は経験してきた単品リピート通販の運用業務のなかでは、男性向けの「チャップアップ育毛剤」や女性のヘアケアブランド「Bio Lucia」などで知られるソーシャルテック社に従事していた時期もあった。その際に「Shopify」を知り、「EC事業運営においてやりたいことが実現できるサービス」(飯田氏)と感じるようになったと言う。ECの事業会社を経験したのち、ハックルベリーと同様に「Shopify」向けの支援サービスやアプリを作る会社に転職したが、ハックルベリーで働きたいという気持ちが大きくなり、参画を決めた

「Shopify」を知ってからは、ずっと携わっていけたらいいなと思うようになりました。自分の将来像としては「『Shopify』の運用を支援するならハックルベリーで」と決めていました。(飯田氏)

ハックルベリー Producer(プロデューサー)飯田綾香氏
ハックルベリー Producer(プロデューサー)飯田綾香氏
アパレルECや単品リピート通販などの業務を10年以上経験。自社ECだけでなく外部モールへの出店も手がけ、ブランドの立ち上げにも尽力。その後、EC支援企業を経て、2022年にハックルベリーに入社

自分が携わる業務の価値を感じやすい

元競泳日本代表、アフィリエイト企業での事業開発経験者、決済システム提供企業での決済事業経験者など、多様な人材が活躍するハックルベリー。前職で培ったスキルを生かした取り組み、業務を通じたスキルアップ、市況に応じた臨機応変な対応など、さまざまな成長ができる場でもあるという。

たとえば飯田氏は現在、「Shopify」の導入事業者の運用支援を軸に、主にコンサルティング業務に従事している。EC業界での経験がある飯田氏によると、10年前は広告費をかけることがEC企業の売り上げに直結しやすかったが、現在は状況が異なってきているという。

今の時代は“広告投資=売上アップ”というわけにはいきません。だからこそEC事業者側の細かな悩みをサポートすることがより重要になり、運用者目線に立ったコンサルティングの大切さを感じるようになりました。実際、そうしたサポートに対するクライアントからのニーズは大きいです。EC業界に携わってきた前職までの経験も生かせていると感じています。(飯田氏)

佐藤氏は飯田氏と異なり、ECに仕事で深く関わるのはハックルベリーが初めて。そんな佐藤氏がハックルベリーの特色として感じているのは「自分が制作しているサービスの価値を感じやすいこと」だ。

ハックルベリーがサポートを提供する業務は、顧客企業が展開するEC事業と距離が近いです。一般的なシステム開発企業などと比較すると、クライアント企業が実現したいことを、具体的な企画に落としこんでものを作っていく――というベースは同じですが、ハックルベリーでは自分たちが作っているものの価値を感じやすいと思います。(佐藤氏)

ハックルベリー 採用

「ここがスゴいよ、ハックルベリー」の職場と働き方

OJTで先輩社員の仕事ぶりを学ぶ

マニュアルではなく、いわゆるOJTをメインとして人材を育成し、入社後の社内教育やスキルアップを図っている。

飯田氏の場合、入社後に先輩の営業に同行することで多くを学んだという。実際、先輩社員の話し方や提案の仕方に説得力を感じ、営業力や顧客企業への臨機応変な対応を学ぶことができたようだ。

ハックルベリーが顧客企業に提供するベネフィット。顧客企業の意向や状況に沿った対応を求められる
ハックルベリーが顧客企業に提供するベネフィット。顧客企業の意向や状況に沿った対応を求められる

先輩社員が顧客企業と打ち合わせをする機会に同行し、そこで業務につながる多くのスキルを吸収してきました。そのなかでも、先輩社員の商談の仕方、顧客企業に提出する資料の作りこみ、プロジェクトの進め方といった実務を学べたことは貴重な経験になりました。(飯田氏)

ハックルベリー 採用

創業2年目の2019年に入社した佐藤氏は、経営層に近い立ち位置で事業拡大に尽力してきた。日々の業務を通じてEC領域におけるさまざまなコミュニケーションや勉強を重ねてきたことで、クライアントの事業に対する理解度も深まっていったと実感している。

ハックルベリー事業成長に伴って、佐藤氏は社内メンバーのマネジメント業務にも携わるように。この経験を通じて、マネジメントスキルの成長にもつながったという。

社内間のリスペクトが高い職場。業務の「スピード感」「納得感」につながっている

ハックルベリーの特色として、「経営層と現場スタッフの距離が近い」と佐藤氏は指摘する。

社内におけるビジネスサイドと開発サイドの連動性が高いと言えます。その結果、現場の担当者が何のためにその仕事を行っているのかを納得した上で業務に取り組めるのが強みです。(佐藤氏)

この背景にあるのが、ハックルベリーの経営陣が事業拡大に向けたマネジメントをしながら現場の業務にも深く携わる体制。いわゆる「プレイングマネージャー」の位置づけであることが大きいと言える。

そのため、現場担当者の気持ちや悩み、さらにはモチベーションなどについて理解度が高い経営陣が下す現場スタッフへの評価に対して、スタッフ自身の納得度合いも高いという。

個々の多様性、チームのあり方、クオリティの高さなどにこだわるハックルベリーの指針
個々の多様性、チームのあり方、クオリティの高さなどにこだわるハックルベリーの指針

ハックルベリーの経営陣には“現場目線”が備わっています。そしてもう一点、サービスを作る側の「クリエイティブな人」、マネジメント業務などに携わる「非クリエイティブな人」が相互にリスペクトできていることも特徴です。こうした特色が好影響し、非常に速い事業のスピード感を維持できています。(飯田氏)

ハックルベリー 採用

メンバーの柔軟な働き方に対応

飯田氏はこれに加え、働き方を自由に選びやすいこともハックルベリーの利点だと話す。

リモートワークの働き方も可能ですので、非常に働きやすいです。オンライン・オフラインを問わずコミュニケーションが多いですね。業務の進捗確認や、わからないことの共有など、話し合う内容はさまざま。デイリーで朝と夜にミーティングを行う部署もあります。(飯田氏)

リモートか出社かといった働き方は部署によって異なる。エンジニアは基本的にフルリモート。ちなみに、佐藤氏の所属部署では原則として週に2回の出勤が義務付けられている。飯田氏が所属する部署ではメンバーが毎週水曜日に出勤しているという。

ある日のハックルベリーの出社風景
ある日のハックルベリーの出社風景

特筆すべき点としては、副業からでもハックルベリーのメンバーに参画できること。このほか、正社員には産育休の制度も設けている。メンバーのワークライフバランスや働きやすさなどを考慮しており、実際に産休を取得している社員もいる

ハックルベリーの仕事環境
ハックルベリーの仕事環境

前月までの常識が通用しないことも。成長意欲の高いメンバー活躍

ハックルベリーに集まっているメンバーについて、「成長に対する意欲が高いメンバーばかりで、惰性で仕事をしているような人はいないと思う」(佐藤氏)と話す佐藤氏。

飯田氏もその1人だ。ハックルベリーでの仕事を「楽しい」と話す飯田氏にとって、特にやりがいを感じるのは、企画や設計をしている時、プロダクトを作っている時だという。「業務を通じて、これからも自分にとって楽しいことを続けていきたい」(佐藤氏)

自分が開発したプロダクトが市場に提供されて、いろいろな方々に使っていただき、結果的に会社が成長していく。その起点に携わるのはとても楽しいですね。(佐藤氏)

ハックルベリー 採用

飯田氏は今後の目標として「ずっと成長していきたい」と話す。ECや「Shopify」は変化のスピードが非常に速い。そのため日々勉強をして自分を高めていきたいという。

「先月キャッチアップしたことがもう通用しない」ということも実際にあります。そのため、もっとEC業界の知見を深めたり、他社のアプリを調査したり、深掘りしていきたいと思っています。(飯田氏)

EC業界で「腕試し」してみたい人にぴったりの会社

ハックルベリーが求める人材とはどのような人物像だろうか。CEOの安藤祐輔氏は次のように話す。

成長意欲が高く、EC事業のサポートに携わるのが好きだったり、チームで仕事するのが好きだったりする人は合っていると思います。こうした環境で働くことに憧れている人も同様です。ECに携わった経験があり、EC業界でもっと自分の「腕試し」したいという人は、同社のメンバーに大歓迎。個々のスキルに合わせて仕事をお任せしたいです。(安藤氏)

ハックルベリー創業者でCEOの安藤祐輔氏
ハックルベリー創業者でCEOの安藤祐輔氏

採用条件としている「ECの経験」は、必ずしもECの事業会社での経験を求めるわけではない。たとえば「広告代理店に在籍しており、クライアントとしてEC事業者を担当したことがある」といった経験も採用条件に当てはまるという。

ハックルベリーでは教育フローの整備を進めており、4月から運用を開始する予定。教育フローの構想は次の通り。

  • 新入社員および経営層以外のメンバー:仕事をする上での基礎力研修を3か月に1回実施
  • 新入社員:入社時に1日研修。その後は日々の業務のなかで、具体的なスキルを身につけていく

多種多様な人材が集まり、個々の意欲を伸ばしながら成長を促せる環境作りを進めているというハックルベリー。EC業界で活躍したい人は、そんなハックルベリーで「腕試し」してみてはいかがだろうか。

ハックルベリーは一緒に働くメンバーを募集している
ハックルベリーは一緒に働くメンバーを募集している

ハックルベリーでは一緒に働くメンバーを募集しています。
詳細はこちら →https://huckleberry-inc.com/recruit

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キヨハラサトル
吉田 浩章

ZOZOとマッシュホールディングス、マッシュグループの社員に自社ブランドを横断したスタイリングを提案する企画を実施

1 year 11ヶ月 ago

ZOZOとマッシュホールディングスは、ZOZOのリアル店舗でパーソナルスタイリングサービスを提供する「niaulab by ZOZO(似合うラボ)」で、マッシュグループのアパレル、コスメを使用したスタイリングをマッシュグループの社員などに提案する企画「MASH GROUP × niaulab by ZOZO」を実施する。期間は3月9日(土)~3月17日(日)。

マッシュホールディングスの計14ブランドを横断し、新たなスタイリングを提案

マッシュホールディングスのアパレル、コスメ計14ブランドのアイテム約900点を「似合うラボ」で展開。マッシュグループの各ブランドの社員やインフルエンサーが、パーソナルスタイリングサービスを体験する企画。

ZOZO独自のAIとプロのスタイリストが、マッシュグループの複数のブランドアイテムを使用したスタイリングを提案する。

niaulab by ZOZO 似合うラボ MASH GROUP × niaulab by ZOZO ZOZOTOWN マッシュホールディングス スタイリング
「似合うラボ」で実施する企画「MASH GROUP × niaulab by ZOZO」

体験した各ブランドの社員が自身のSNSやブランドの公式SNSでアイテムの組み合わせや魅力を発信することで、ユーザーに対して新しいブランドとの出会い、組み合わせの可能性など、多角的な出会いを提供する狙いがある。

企画で提案したスタイリングの詳細は、4月10日(水)にファッションECサイト「ZOZOTOWN」上のコンテンツで紹介する予定だ。

「niaulab by ZOZO(似合うラボ)」とは

2022年12月、表参道にオープンしたZOZO初のリアル店舗で、ユーザー自身の「似合う」が見つかるパーソナルスタイリングサービス。ZOZOのAIとプロのスタイリストの知見をかけ合わせて、コーディネート提案を行う。2時間以上1人のユーザーに貸し切りかつ無料で提供する。

niaulab by ZOZO 似合うラボ ZOZOTOWN 似合うラボの特徴
「似合うラボ」の特徴(画像は「niaulab by ZOZO」のサイトからキャプチャ)
藤田遥

海外向けの越境EC販売は2桁成長。取引額成長の要因とは? 人気カテゴリーは? 【イーベイの2023年レポート】

1 year 11ヶ月 ago

越境ECのマーケットプレイス「eBay(イーベイ)」を運営する米eBayの日本法人イーベイ・ジャパンが発表した2023年の越境ECレポートによると、日本からの販売額は2ケタ成長となった。

越境ECレポートは、2023年(1-12月)に日本の販売事業者が出品した商品の販売動向をまとめたもの。

女性向けアパレルが取引額1位、自動車パーツの成長率は50%増

取引額ランキングは前年と同様、1位が「レディース アパレル&バッグ・ブランド小物」、2位が「時計・パーツ&アクセサリー」、3位は「アニメアート&キャラクターグッズ」だった。デジタルカメラは10位。

ブランドバッグは、プロによる商品鑑定サービス「eBay真贋鑑定・配送サービス 日本センター」が2023年にオープンしたことも追い風になったと見ている。同サービスは2024年内に全販売事業者へ対象の拡大を予定している。

2023年の「eBay」取引額ランキング
2023年の「eBay」取引額ランキング

取引額10位のうち、前年同期比で大きく成長したカテゴリーの成長率は前年3位の「自動車パーツ」が1位となった。「デジタルカメラ」は成長率ランキングで2位に。2021年に取引が急拡大した「トレーディングカード」は、近年市場の伸びが落ち着いていたが、再び成長率が高まった。

取引額10位までのカテゴリーにおける成長率1位、2位、3位
取引額10位までのカテゴリーにおける成長率1位、2位、3位

カテゴリー別の売れ筋・注目商品をピックアップ

2023年度に日本から多く売れた商品や注目度の高い商品をイーベイ・ジャパンの各カテゴリー担当者がピックアップしている。

ファッションカテゴリー

前半は米国オンライン市場が低調に推移した影響で苦戦を強いられたが、後半は米国のマーケットトレンドに合わせたクーポン施策などが奏功し、堅調に推移したという。ファッションカテゴリー全体の取引額は前年比7%増となった。

ファッションカテゴリーのピックアップ商品
ファッションカテゴリーのピックアップ商品

主力の2カテゴリーは、年間を通じて「ウィメンズバッグ」「時計」。取引額は前年比5%増で推移した。続く「メンズバッグ」は同24%増、「ファインジュエリー」は38%増に成長した。

ブランドでは「エルメス」「ルイヴィトン」「シャネル」「ロレックス」「オメガ」が売り上げをけん引。「ヴァン クリーフ&アーペル」「カルティエ」を軸とした高級ジュエリーもシェアを拡大している。

スニーカー:国内ブランドは「アシックス」などが健闘

ファッションカテゴリーにおけるスニーカージャンルのなかでは、売り上げをけん引しているのは「ナイキ」。約3割強のシェアを占めている。

日本の販売事業者特有のブランドでは「アシックス」「オニツカタイガー」「ミズノ」が上位5位に入っている。この3ブランドで全体のスニーカーの売上額の3割弱を占めているという。

コレクティブルズカテゴリー

2023年の取引額は堅調に成長した。要因は、日本郵便が取り扱う国際郵便の一種、小型包装物(スモールパケット)が11月に再開した影響や、最大8か国に出品できる多国展開ツール「eBaymag」を通して、欧州など米国以外のサイトでの売り上げが向上した点など。アニメグッズの取引額伸長につながった。

同カテゴリーのうち、トレーディングカードの取引額は前年比25.8%増となった。なかでも、2023年6月に発売された「ポケモンカード151」や、「ONE PIECE(ワンピース)」のトレーディングカードの伸びが目立ったという。

自動車パーツ・カメラ・楽器カテゴリー

カメラ:デジカメはじめ、小型カメラの需要が急上昇

「中古カメラを買うなら日本から」というイメージがバイヤーの間で根付いていると見る。特にコンパクトカメラは海外需要が急激に上がり、売り上げは前年の2倍になった。

カメラカテゴリーのピックアップ商品
カメラカテゴリーのピックアップ商品

自動車パーツ:右肩上がりに需要増

過去5年間で5倍、2年前からも2倍の市場規模に成長している。北米を中心に、右肩上がりに需要が高まっている。昨今の注目ポイントは、出品商品のバラエティが豊富になっている点だという。イーベイ・ジャパンは、2024年も自動車パーツは伸び率上位を維持した状態で売れていくと予想している。

自動車パーツのピックアップ商品
自動車パーツのピックアップ商品

スポーツ用品:若年層によるゴルフ人気目立つ

2023年の取引額は前年比23%増となった。なかでも、ゴルフ用品市場は同53%増と大きく成長している。ゴルフが従来の高尚なスポーツから、よりカジュアルなスポーツへとシフトしていることがあげられるという。若者層のゴルフ人気が急速に高まっていると見られる。

2024年の注目カテゴリーは?

  • 日本のアンティーク:「日本のアンティーク」は根強い人気があり、とりわけ「侍」は人気が高いジャンルだという。インバウンドも回復基調の傾向があるため、日本の文化に触れる訪日外国人も増え、さらに人気が高まると見ている。
  • レゴ:米国はすでに在庫切れになっている人気シリーズや、過去に人気を集めたレゴは高値で取引されている。日本からの出品点数はそこまで多くないが、「eBay」では需要が高いジャンルの1つだという。
  • ホーム&ガーデン:有名メーカーがラインアップする商品のほか、浄水器のフィルターなど、海外では購入できない根強い人気がある消耗品なども注目商品となっている。

2024年の展望として、イーベイ・ジャパンの北村直樹氏(カテゴリーマネージメント部 部長)は次のようにコメントを発表している。

今年も米国大統領選挙などの状況変化が予想されるが、社会に根付いたサステナビリティ意識のさらなる高まりや、円安による外国人旅行者の増加に伴う日本製品への需要増など、追い風が期待される要因が大いにある。

2024年の展望としては、真贋保証サービスの取り扱いカテゴリーの拡大や、「eBay」独自の配送サービスである「SpeedPAK(eBay公式物流サービス)」でのロジスティクスのサービス拡充を予定している。これらのイニシアティブを軸としてさらなる市場拡大を進めていく。(北村氏)

高野 真維
確認済み
30 分 46 秒 ago
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