ネットショップ担当者フォーラム

CPA高騰時代を乗り越える! EC集客の課題を解決する「インフルエンサー」×「広告」メソッド

1 year 5ヶ月 ago
新規顧客獲得に悩むEC事業者必見! CPAを抑えつつ売り上げを最大化する、インフルエンサーマーケティングの最新手法を専門家が徹底解説
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EC事業者にとって新規顧客の獲得は大きな課題。「集客をしたいが最適な手法がわからない」「CPA(Cost per Acquisition、Cost Per Action)を改善したい」こんな悩みを持つEC事業者も多いはずだ。CPAを最適化しながら新規顧客を獲得するにはどうすれば良いのだろうか。さまざまな企業のデジタルマーケティングを支援しているPLAN-Bの岡田清亮氏が、新規顧客を獲得して売上拡大をめざすSNSマーケティングについて解説する。

ECで一番の課題は「新規顧客の獲得」

EC運用の悩みに関する調査結果(ネオマーケティングが実施)によると、「ECサイト運用について課題に感じていることは?」という質問に対して、「新規顧客獲得」(15.9%)「運用リソース不足」(14.5%)「サイト集客」(13.6%)という回答が多かった。

ECサイト運用者が感じている課題(出所:ネオマーケティング「EC運用の悩みに関する調査」2021年1月25日)
ECサイト運用者が感じている課題(出所:ネオマーケティング「EC運用の悩みに関する調査」2021年1月25日)

別の調査(SUPER STUDIO実施)では、「新規顧客獲得単価(CPA)は高騰していると感じるか?」という質問に対し、19.3%が「高騰していると感じる」、47.2%が「やや高騰していると感じる」と回答。およそ7割の事業者がCPAの高騰を実感している。

新規顧客獲得単価(CPA)が高騰していると感じている割合(出所:SUPER STUDIOが2023年6月に実施した「EC/D2C事業者のマーケティング活動における実態調査」)
新規顧客獲得単価(CPA)が高騰していると感じている割合(出所:SUPER STUDIOが2023年6月に実施した「EC/D2C事業者のマーケティング活動における実態調査」)

新規顧客獲得を実現するペイドメディア+アーンドメディア

企業が集客の手段として利用できるネット上の媒体は、「PESO(Paid、Earned、Shared、Owned)」の4つに分類できる。

  1. Paid:ペイドメディア……広告出稿スペースに対価を支払って掲載する通常の広告
  2. Earned:アーンドメディア……口コミやSNSなどにおける、消費者やインフルエンサーによる発信、UGC(User Generated Contents)
  3. Shared:シェアードメディア……アーンドメディアのうち、SNSのシェア機能を利用した発信
  4. Owned:オウンドメディア……公式アカウントやブログなど、自社でコントロールできるメディア

すでに多くの企業がペイドメディア、オウンドメディアの運用に取り組んでいるが、このうち、自社の公式アカウントやブログなど、オウンドメディアでリーチできるのは、その多くがブランドやサービスをすでに知っているユーザーだ。そのため、公式アカウントで既存のフォロワーに発信するだけでは、新規顧客の獲得は難しい

Instagramのリーチの平均は10%~20%程度と言われている。1万人のフォロワーがいても投稿を見てくれるのは1000人から2000人の「すでに知っている人」だけ。自社の発信だけだと、リーチや認知を広げて新規の人に知ってもらうのはかなり難しい。(岡田氏)

PLAN-B Cast Me!事業部 フィールドセールスユニット リーダー 岡田清亮氏
PLAN-B Cast Me!事業部 フィールドセールスユニット リーダー 岡田清亮氏

Instagramのリーチはコンテンツの質、フォロワー数、ハッシュタグの使用や投稿時間など、さまざまな要因に影響される。そのため、一概には言えないが、岡田氏によるとリールのコンテンツの品質が高ければ再生数が伸びやすく、拡散力は高いという。ただし、動画を作成するにはリソースや費用の問題があり、クリエイティブ作成へのハードルも高い。

投資効率の高いインフルエンサー×広告

そこで岡田氏が提案するのは、アーンドメディアである「インフルエンサーの投稿」とペイドメディアである「通常広告」を組み合わせてリーチを広げる手法だ。「インフルエンサー×広告」は、インフルエンサーの作った広告感の低い自然な口コミ性のあるクリエイティブで、商品の良さをたくさんの人に知ってもらおうという施策だ。

新規獲得には、「インフルエンサー×広告」の最適化が重要
新規獲得には、「インフルエンサー×広告」の最適化が重要

この方法でCPAの最適化、CVRの向上、ひいては売り上げの最大化につながった事例がすでにある。

PLAN-Bのお客さまであるジュピターショップチャンネルでは、インフルエンサーのリールを広告に二次活用することで、CTRの向上やCPAの減少、クリエイティブ制作の工数削減を実現しただけでなく、売り上げ4倍を実現した。(岡田氏)

ジュピターショップチャンネルでは1商品に対して3人のインフルエンサーを起用し、それぞれのインフルエンサーにリール動画を投稿してもらい、その投稿をすべてInstagram広告に出稿した。1週間程度でABテストを繰り返し、PDCAを回したところ、数か月で売り上げが約4倍に伸び、これまで売れなかった商品が一気に売れるようになったなどの効果を得た。

ジュピターショップチャンネルの事例
ジュピターショップチャンネルの事例

なぜインフルエンサー投稿の二次活用が高い成果をあげるのだろうか? その理由について、岡田氏は次のように語った。

商品の機能性やブランドの良さを伝えるには、画像よりも動画の方が適している場合が多い。自社で動画を作ろうとすると、社内に動画作成スキルを持つ人が必要になるので、難しい場合が多く、外部に頼むにしても高額なケースが多い。ならばインフルエンサーの作る動画を活用した方が良い。

消費者はありきたりの広告を見飽きているが、インフルエンサーが作るコンテンツには客観性があり、消費者にはより自然に感じられる。見る人を引きつけるクリエイティブが反応率を高めてくれる。(岡田氏)

成果が出るインフルエンサーの条件とは?

続いて、拡散力と広告成果の高いクリエイティブを作ってくれるインフルエンサーの条件について解説する。

広告への二次活用を前提にするのであれば、フォロワー数はそれほど多い必要はない。インフルエンサーへの報酬は、おおよそのフォロワー数×0.5円~1円なので、フォロワー数が多いとアサイン費用も高騰する

フォロワー数よりも重要なのは、インフルエンサーの作る動画がリーチを増加させるかどうか。つまり、「コンテンツの品質」がポイントになる。「保存」(=コンテンツパワー)はInstagramのアルゴリズム上でも重要視されており、Instagramでの「保存」とリーチは相関することがわかっている。品質が高いコンテンツとはたくさん「保存」されているコンテンツだと言えるのだ。

フォロワー数に対して、投稿に「保存」がつく割合を「保存率」と言うが、岡田氏によると保存率が0.1%を超えると「プレゼンの上手な良いインフルエンサー」で、保存率が1.0%を超えると「バズって売れる」という成果につながりやすくなるという。

また、岡田氏は「投稿したコンテンツのプレゼン力が高いからこそ保存率が高くなる」と語り、プレゼンがうまいと広告の反応率が向上するという。

「保存率」と「プレゼン力」の関係
「保存率」と「プレゼン力」の関係

「Cast Me!」で労力をかけずに高い効果を

具体的にどうやってインフルエンサーを選定するのか。基本的には「保存」と「リーチ」がたくさん取れるかどうかが決め手になる。リーチ率は平均10%~20%と想定されるので、これよりもリーチ率が低いインフルエンサーを活用した時点で売り上げは伸びないと考えた方が良い

岡田氏は、実際に良いインフルエンサーを見つけて、投稿の二次活用を始めるために便利なツールとして、インフルエンサーマーケティングプラットフォーム「Cast Me!(キャストミー) influencer」を紹介した。

「Cast Me!」の「インフルエンサーマッチング機能」を使えば、在籍するおよそ1万名ものインフルエンサーのなかから最適なインフルエンサーを選定できる。マッチングの方法には公募と指名があり、インフルエンサー選定の際には、各インフルエンサーのフォロワー数やエンゲージメント率といった基礎情報だけでなく、男女比率や年代比率といったフォロワー情報、リーチやインプレッション率、保存数といった過去の実績も確認できる

「Cast Me!」は「UGCの量と質を最大化するツール」「ROIを最大化するためのサービス」という説明をしている。自社からの発信だけでなく、「Cast Me!」を活用してインフルエンサーの活用を効果的に行うことで、売り上げが伸びていく状態を作っていく。(岡田氏)

もちろん、「Cast Me!」経由でインフルエンサーが投稿したクリエイティブは無期限で二次活用可能で、WebサイトやSNSアカウントへの転載、広告配信など幅広い用途で活用できる。また、投稿の成果を確認できる機能や、投稿と売り上げとの関連性を分析する機能なども備えている。

「Cast Me!」はInstagramだけでなくTikTokにも対応しており、現在およそ3000社が導入している。月に商品を何点PRしても、インフルエンサーを何人採用しても料金は変わらない。

「Cast Me!」は、売れるインフルエンサーを見つけ、直接アサインすることが可能
「Cast Me!」は、売れるインフルエンサーを見つけ、直接アサインすることが可能

自社ECサイトでの売り上げの計測をサポートする「効果検証機能」は、サンクスページでポップアップを表示させ、消費者に認知経路や購買決定要因について質問し、分析や可視化を実施する機能だ。これにより、消費者がどこで商品を知ったのか、購入の決め手になった情報はどこの情報なのか、どのメディアに効果があったのかといったことがわかるため、自社のマーケティングの精度を高めるのに役立つ

最後に岡田氏は「今回紹介した“インフルエンサー×広告”を活用したメソッドは、労力をかけずに高いパフォーマンスを出せるので、ぜひ実施してほしい」と提案する。

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渡辺 淳子

フューチャーショップ、Kivaのウェブアクセシビリティツール「ユニウェブ」と連携

1 year 5ヶ月 ago

フューチャーショップは、SaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」とKivaが提供するウェブアクセシビリティツール「ユニウェブ」との連携を開始した。

「futureshop」または「futureshop omni-channel」を利用しているEC事業者は、ECサイトでアクセシビリティ機能をスムーズに提供できるようになる。

ウェブアクセシビリティとは、高齢者や障害者を含めた誰もが、ホームページなどで提供される情報や機能を支障なく利用できること。4月1日に改正された障害者差別解消法により、努力義務だった合理的配慮の提供(障害のある人から「社会的なバリアを取り除いてほしい」と意思が示された場合、その実施に伴う負担が過重でない範囲で、バリアを取り除くために必要かつ合理的な対応をすること)が事業者にも義務化された。

そのため、合理的配慮の提供を的確に行うための環境整備として努力義務となったウェブアクセシビリティの向上に着手するECサイトが増えている。「ユニウェブ」はウェブサイトにコードを追加することで、導入当日にウェブアクセシビリティに対応できる。

「ユニウェブ」はWebサイトにコードを追加することで、事業者は導入当日にウェブアクセシビリティに対応できるようになるサービス。加齢による視力・聴力低下、視覚に障害、怪我をして一時的に手が使えなくなったといった状況のユーザーに対し、Webページのコントラスト変更といった対応を通じて、正しい情報を理解できる状態にする。

松原 沙甫

最低賃金の全国平均は51円引き上げの時給1055円/世帯年収2000万円以上の富裕層は一般消費者に比べてEC利用率は高い傾向【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

1 year 5ヶ月 ago
2024年8月30日~2024年9月5日にアクセス数の多かった記事のランキングを発表! 見逃している人気記事はありませんか?
  1. 最低賃金の全国平均は51円引き上げの時給1055円。最も高いのは東京都で1163円、低いのは秋田県で951円

    7月25日に厚生労働大臣の諮問機関である中央最低賃金審議会が示した「令和6年度地域別最低賃金額改定の目安について」などを参考に、各地方最低賃金審議会が調査・審議して答申した結果を厚生労働省が取りまとめた。

    2024/9/4
  2. 世帯年収2000万円以上の富裕層はどんな消費行動をする? 一般消費者に比べてEC利用率は高い傾向

    富裕層は一般消費者と比べてEC利用率が高く、特に「飲料(清涼飲料・アルコール)」や「日用品」では一般消費者より1割以上EC利用率が高いことがわかった。

    2024/9/3
  3. 【台風10号】引き続き西日本で荷物の配送に遅れ。ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の対応まとめ(9/1現在)

    西日本地域を中心に配送の遅れが生じている

    2024/9/1
  4. 「メルカリShops」戦略顧問に元楽天常務の高橋理人氏が就任

    メルカリのGeneral Manager Shops/Adsの江川嗣政執行役員、「メルカリShops」の営業責任者である藤樹賢司氏と連携し、「メルカリShops」事業のさらなる成長をめざすとしている

    2024/9/3
     
  5. LINEヤフーの「Yahoo!ショッピング」が25周年、最大23.5%のPayPayポイント付与「ヤフービッグボーナス」実施

    LINE連携済みのLYPプレミアム会員は9月22+23日は、事前期間の購入+対象ストア+PayPayステップ前月達成で23.5%のPayPayポイント付与を受けられる。

    2024/9/3
     
  6. 「ネッ担アワードはECのプロを育成する登竜門」。いまEC業界で求められている人材とは? 石川森生氏に聞く

    通販・EC業界の発展に貢献する「人」を顕彰する「ネットショップ担当者アワード」。選考委員の1人・石川森生氏が、昨今のEC市場が抱えている問題や、求められている人材を赤裸々に語る<アワードインタビュー第5弾>

    2024/9/4
     
  7. 千趣会、関連会社のテレビ通販会社「センテンス」の保有株式を讀賣テレビ放送へ売却

    株式譲渡でセンテンスは千趣会の持分法適用会社の対象から除外れるものの、パートナーシップを継続し、今後も相互の事業発展に協力していくという。

    2024/9/4
     
  8. 経済産業省、台風10号で被害の中小企業・小規模事業者に支援措置

    愛知県、宮崎県、鹿児島県の日本政策金融公庫、商工組合中央金庫、信用保証協会、商工会議所、商工会連合会、中小企業団体中央会、よろず支援拠点、並びに全国商店街振興組合連合会、中小企業基盤整備機構の中部本部、九州本部、中部経済産業局、九州経済産業局に特別相談窓口を設置する。

    2024/9/2
     
  9. 【20代+60代へのEC調査】便利な機能は何? よく買う商品は? 便利だと思うことは何?

    年代別のEC傾向の違いを調べるため20代と60代に絞って意識調査を実施。20代と60代では利用頻度や主に購入する商品ジャンルに差が認められた。

    2024/9/2
     
  10. CRMで都度購入客の継続率を高める方法とは? 重要なのは「バックエンドデータ」の活用+RFM分析に継続率を加えたセグメント化

    通販・ECの販売手法「都度販売」。そのメリットやデメリットをトリノリンクス 赤松氏が解説します【連載2回目】

    2024/9/2
     

    ※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

    藤田遥

    良品計画、宿泊事業の新プロジェクト「MUJI room」をスタート

    1 year 5ヶ月 ago

    良品計画は、「無印良品」の世界観が体感できる空間を宿泊施設のなかで提供する宿泊事業の新プロジェクト「MUJI room」を開始する。

    「MUJI room」はホテルや旅館、貸別荘など地域の既存宿泊施設のなかに、「無印良品」のある暮らしを体感できる場を作るプロジェクト。

    インバウンドにより訪日外国人は増加している一方、旅行スタイルの変化などから空室が埋まらなくなった旅館・ホテルは全国に多数存在。改善したくても資金不足や、状況打破に向けた企画が立てられない施設は多い。「MUJI room」はこうした課題を解決する事業として展開する。

    ホテルや旅館、貸別荘などに対し、事業者をバックアップしながら地域と作り上げていく「地域共生型」スキームと、空間デザインやサービスを業務として提供する「受託型」を提供していく。

    「地域共生型」は、良品計画が初期投資、PRと集客、予約管理を担い、既存の建築・空間を生かして省コストで空間作りを実施。空間設計や地域体験をプロデュースし、宿泊者向けサービスを開発することで、宿泊事業者は初期投資なく空室だった部屋を稼働できる他、宿や地域全体のPRにもつながるメリットがある。

    「受託型」は事業者からの依頼で、空間デザイン・サービスデザインを良品計画が業務として受託する。中長期の滞在や、地域性のある暮らしを感じる体験など、既存のホテル内で「無印良品」らしい空間を体感できる体験を提供する。

    良品計画は「地域に溶け込むもうひとつのくらし」をコンセプトに、地域における「無印良品」がめざす世界観を体感できる宿泊・滞在・体験を提供する宿泊事業「MUJI STAY」を展開。これまで、地域文化のショーケースとして位置付けている「MUJI HOTEL」、地域の遊休資産を活用した滞在型宿泊施設「MUJI BASE」、「自然を、自然のままに楽しむ。」をコンセプトにオープン30周年を迎える「MUJI Camp」を展開している。

    松原 沙甫

    価格転嫁は進んでいる? できている企業は過去最高の44.9%、できない企業は1割超え

    1 year 5ヶ月 ago

    帝国データバンク(TDB)が実施した価格転嫁に関する企業調査によると、コスト上昇分に対する販売価格への転嫁度合いを示す「価格転嫁率」は過去最高の44.9%となった。一方で「全く価格転嫁できない」企業の割合は1割を超えている。

    帝国データバンク(TDB)が実施した価格転嫁に関する企業調査
    前回調査より上昇も100円のコスト増に対し44.9円しか価格転嫁ができていない

    価格転嫁率とは、コストが100円上昇した場合に販売価格に反映できている割合を示す指標。2024年2月に実施した前回調査(40.6%)より4.3円転嫁が進んだものの、100円のコスト増に対し44.9円しか価格転嫁ができておらず、依然として5割強のコストを企業が負担する状態が続いている。

    企業からは、「価格高騰がユーザー目線でも一般化し、価格転嫁が進んでいる」「原材料価格の高騰に対して、販売先と認識を共有できている場合は、価格転嫁しやすい」など、値上げに対する社会全体の受け入れや取引先の理解が価格転嫁を多少なりとも進展させたようだ。

    自社の主な商品・サービスで、コストの上昇分を販売価格やサービス料金にどの程度転嫁できているかと聞いたところ、コスト上昇分に対して「多少なりとも価格転嫁できている」は78.4%だった。

    その内訳は「5割以上8割未満」が20.2%で最多。「2割未満」(19.6%)、「2割以上5割未満」(18.6%)、「8割以上」(15.5%)と続いた。「10割すべて転嫁できている」企業は4.6%にとどまった。

    帝国データバンク(TDB)が実施した価格転嫁に関する企業調査
    「全く価格転嫁できない」企業は減少傾向も依然として1割以上

    一方、「全く価格転嫁できない」は10.9%。前回調査からは1.8ポイント減少したものの、価格転嫁が全くできていない企業が依然として1割を超えている。価格転嫁できていない企業からは「厳しい競争環境があり、コストを転嫁すれば顧客を失ってしまう」という声があがっている。

    業種別に見ると、価格転嫁率が高いのは「化学品卸売」(65.0%)、「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売」(63.0%)などで6割を超えた。

    一方、価格転嫁率が低い業種としては一般病院や老人福祉事業といった「医療・福祉・保健衛生」(19.8%)が2割を下回ったほか、「娯楽サービス」(21.7%)、「金融」(25.8%)、「農・林・水産」(27.3%)などが低水準となった。

    サプライチェーン別の価格転嫁動向としては、前回調査と比べ改善幅は小さいものの全体的にやや価格転嫁が進展した。価格転嫁率が2割台にとどまっていた「運輸・倉庫」は34.9%と3割台に達した。「物流の2024年問題の後押しもあり、取引先との交渉がスムーズにいくことが多い」といった声もあり2024年問題への対応が価格転嫁の追い風となったようだ。

    帝国データバンク(TDB)が実施した価格転嫁に関する企業調査
    2024年問題が後押しとなり「運輸・倉庫」の価格転嫁率は上昇

    一方で、「飲食店」(36.0%)や「飲食料品小売」(40.9%)は前回調査から転嫁率が後退。「ある程度の値上げは消費者も理解してくれるが、あまりにも価格が上がると来店率が下がると思いなかなか値上げに踏み切れない」など、客離れを危惧して転嫁が難しいといった声もあった。業種間で価格転嫁に格差が広がりつつあるようだ。

    価格転嫁に対する理解は浸透し進展はしているものの、原材料価格の高止まりや人件費の高騰、同業他社の動向、消費者の節約志向もあり「これ以上の価格転嫁は厳しい」といった声も多かったという。進み出した価格転嫁が頭打ちになる可能性もありそうだ。

    調査結果を踏まえTDBでは「政府の価格転嫁に対する支援は一定の成果があがっているようだが、現状打破には、原材料の安定供給に向けた政策や賃上げの支援を継続しつつ、購買意欲を刺激する大規模な減税など収入の増加につながる多角的な経済施策が必須」と指摘している。

    鳥栖 剛

    余裕のある配送日の選択率が約6倍になったLINEヤフー「Yahoo!ショッピング」の「ECOくじ」とは

    1 year 5ヶ月 ago

    LINEヤフーが「Yahoo!ショッピング」における物流負荷低減の取り組みを強化している。7月から始めた、余裕のある配達日指定で10円相当の「PayPayポイント」が当たる「ECOくじ」施策を9月も継続する。

    「物流の2024年問題」対策が求められているなか、「Yahoo!ショッピング」では、置き配や実店舗受取など多様な受取方法の活用を呼びかけるなど再配達削減に向けた取り組みを推進。2023年4月からは余裕のある配達日指定で「PayPayポイント」を付与する「おトク指定便」を始めている。

    7月から実施している「ECOくじ」は「おトク指定便」と近しい施策。最短配達日+3日以降の配達日を選択すると、10円相当の「PayPayポイント」が当たるくじ券を獲得できる。合計1000円以上の商品購入時の「お届け日時の変更」で「ECOくじ券獲得」のアイコンが表示されている日程を選択するとくじを獲得できる。

    くじの付与には対象注文日を設けている。9月の対象日は5日(木)・7日(土)・8日(日)・14日(土)・15日(日)・16日(月・祝)・21日(土)・22日(日)・23日(月・祝)・25日(水)・28日(土)・29日(日)――の12日程。配達日時指定ができるほぼすべてのストアが対象となる。

    LINEヤフーが「Yahoo!ショッピング」における物流負荷低減の取り組みを強化している。7月から始めた、余裕のある配達日指定で10円相当の「PayPayポイント」が当たる「ECOくじ」施策を9月も継続
    「お届け日時の変更」画面に「ECOくじ券獲得」のアイコンが表示される

    LINEヤフーによると、「ECOくじ」施策を導入したところユーザーの3人に1人が余裕のある配達日を選択。余裕のある配達日指定の選択率は約6倍に伸びたという。最短配達日が選択される傾向がある中、ユーザーが余裕をもった配達日を指定するきっかけとなり、物流観点でも負荷軽減につながる取り組みだとしている。

    LINEヤフーが「Yahoo!ショッピング」における物流負荷低減の取り組みを強化している。7月から始めた、余裕のある配達日指定で10円相当の「PayPayポイント」が当たる「ECOくじ」施策を9月も継続
    「ECOくじ」施策で最短+3日以降の配達日選択が6倍に

    「ECOくじ」利用ユーザーの傾向としては、30代~60代の女性が多かった。商品では、食品・飲料の買い置きなどすぐに使用しない商品の購入で「ECOくじ」を利用する傾向があった。一方、PC・スマホ用品や、DIY・自動車関連用品などすぐに必要になるものは、最短配達日指定が多く、商材によってニーズがわかれた。

    「ECOくじ」利用ユーザーからは、「急いでいない荷物だったのでゆっくりな配送にしてポイントがもらえるのは10円でも嬉しい」といった声があがった。ストアからは「集中する注文を分散・平準化できることで、発送出荷業務の負担軽減につながっている。余裕をもった配送日を指定するというユーザー購買行動が今度より浸透していけばいい」といった声もあがっているという。

    鳥栖 剛

    本格緑茶「伊右衛門」で知られる老舗茶舗「福寿園」がECサイトをリニューアル、刷新ポイントとは?

    1 year 6ヶ月 ago

    日本茶の製造・販売を手がける福寿園はこのほど、公式ECサイトとコーポレートサイトを統合し、企業情報の発信とネット通販の2つの役割を担う仕様にリニューアルした。

    刷新前のコーポレートサイトはさまざまな情報が複雑に掲載されており、ユーザーが知りたい情報が見つけにくい仕様だった。2つのサイトの情報を整理し、統一性を持ったユーザーが迷わない導線のWebサイトを設計。検索ストレスや離脱率の軽減、商品を通じた自社ブランディングの向上が期待できるWebサイトに変更した。

    福寿園の創業は1790年(寛政二年)。230年の歴史のなかで蓄積したお茶作りのノウハウ、歴史あるストーリーや世界観などがある。その幅広い情報を掲載することで、ユーザーの興味を高めることができるWebサイトに仕上げたという。

    日本茶の製造・販売を手がける福寿園はこのほど、公式ECサイトとコーポレートサイトを統合し、企業情報の発信とネット通販の2つの役割を担う仕様にリニューアルした
    リニューアルしたWebサイト

    ECサイトのリニューアルには、ECサイトの構築・導入支援を手がけるエートゥジェイが提供している、販促・CRM機能一体型のクラウドECサイト構築プラットフォーム「メルカート」を採用した。

    福寿園は将来的に、顧客が実店舗とECサイトでシームレスな買い物体験ができるようなOMOの実行をめざしている。OMOの実現構想を踏まえ、上位互換のあるECプラットフォーム「ecbeing」へ移行がスムーズにできる「メルカート」を採用した。

    松原 沙甫

    BtoB(法人取引)の受発注業務をEC化するクラウドサービス「Bカート」が導入実績2000社を突破、その理由は?

    1 year 6ヶ月 ago

    Dai(ダイ)はこのほど、BtoB(法人取引)の受発注業務をEC化するクラウドサービス「Bカート」の導入実績が累計2000社を突破したと発表した。

    「Bカート」は、BtoB取引を前提として開発したECサイト構築クラウドサービス。BtoC向けのカートシステムでは難しい取引条件やシステム要件にも対応、スクラッチ開発・カスタマイズで課題となる開発コストや納期リスクを抑制できるとしている。

    SaaS型で月額9800円から利用可能。初めてBtoB-ECを立ち上げる企業でも対応できる予算設定が支持を集めているという。

    2022年6月にリリースした「Bカートアプリストア」により、「Bカート」にさまざまな拡張機能を追加するできるBtoB-ECプラットフォームへと進化。物流、決済、メール管理など、さまざまなアプリケーションを利用できる。

    2023年6月に公式BtoB決済サービスとして「Bカート掛け払い powered by Money Forward Kessai」をリリース。「Bカート」を利用する事業者を対象に展開し、ECサイト上で発生する請求業務や掛け売り決済の効率化を実現した。

    2024年4月には公式カード決済サービス「Bカートクレカ決済」を発表。「Bカート」を利用している事業者は、システムの追加開発を行わずに、クレジット業界のセキュリティ規準である「PCI DSS Version3.2.1」に準拠できるようにした。さらに国際ブランドが推奨する本人認証サービス「EMV 3-Dセキュア」に対応したクレジットカード決済を簡単に導入できるようになった。

    松原 沙甫

    アマゾンの有料会員サービス「プライム会員」にどう対抗する? ウォルマートは他社連携で特典サービスを拡充、会員増+維持を狙う | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

    1 year 6ヶ月 ago
    Walmartの有料会員制度では、エクソンとモービルのガソリンスタンドでガソリン代の割引き、ペット向けのデジタルヘルスクリニックであるPawpとのパートナーシップを通じた無料のペット遠隔医療サービスなども提供している

    米小売大手のWalmart(ウォルマート)が有料会員向けサービスの特典内容を充実させ、少しずつAmazonの「プライム会員」との差を縮めています。このほどハンバーガーチェーンのBurger Kingと提携し、Burger Kingのハンバーガー「ワッパー」を無料で進呈する内容を特典に追加しました。有料会員向けサービスをさらに充実し、会員数の増加、既存会員の維持につなげようとしています。

    Walmartが会員向けの特典を拡充

    Walmartは、有料会員サービス「Walmart+(ウォルマートプラス)」の会員に対して、Burger Kingとの提携による新たな特典の提供を始めました。その1つが、Burger Kingの商品をオンライン注文する際、価格が毎日25%割引になるというものです。

    「Walmart+」のサービスの1つとしてBurger Kingの特典をラインアップしている(画像は「Walmart+」の公式サイトから編集部がキャプチャ)
    「Walmart+」のサービスの1つとしてBurger Kingの特典をラインアップしている(画像は「Walmart+」の公式サイトから編集部がキャプチャ)

    また、「Walmart+」の会員は9月から、Burger Kingの商品を購入すると、Burger Kingのハンバーガー「ワッパー」を3か月ごとに無料で受け取ることができるようになりました。

    この取り組みは、「Walmart+」の会員登録数を増やし、さらに既存顧客を維持するための戦略の一環。Walmartは、「Walmart+」をより多くのユーザーにとって魅力的なものにしたいと考えており、8月22日の提携発表でWalmartは次のように説明しています。

    このユニークな特典は、会員が食料品の買い出しに行ったり料理を作る時間がなかったりするときでも、彼らの忙しいライフスタイルに寄り添い、時間とお金を節約できるように設計しています。(Walmart)

    「Walmart+」の会員にBurger Kingのハンバーガーを3か月ごとに無料で進呈する(画像はWalmartコーポレートサイトのニュースルームから編集部がキャプチャ)
    「Walmart+」の会員にBurger Kingのハンバーガーを3か月ごとに無料で進呈する(画像はWalmartコーポレートサイトのニュースルームから編集部がキャプチャ)

    多岐にわたる所得層の顧客にリーチ

    「Walmart+」はすでに、WalmartのECの送料無料、食料品の即日配達、ガソリン代や旅行の割引など、さまざまな特典を提供しており、Amazonの有料会員制度「Amazonプライム」の強力なライバルとなっています。

    ガソリン代、旅行の割引、返品する商品の自宅引き取りなど「Walmart+」は会員にさまざまな特典を提供している(画像は「Walmart+」の公式サイトから編集部がキャプチャ)
    ガソリン代、旅行の割引、返品する商品の自宅引き取りなど「Walmart+」は会員にさまざまな特典を提供している(画像は「Walmart+」の公式サイトから編集部がキャプチャ)

    「Walmart+」の会費は月額12.95ドルまたは年額98ドルで、公的支援を受けている利用者には49ドルの割引オプションを用意しています。

    「Amazonプライム」と比較すると、「Amazonプライム」の会費は月額14.99ドルまたは年額139ドルで、「Walmart+」よりも会員費は高いことがわかります。EC利用時の送料は、Walmartと同じく無料です。

    「Walmart+」はBurger Kingとの新たな提携により、より幅広いユーザー層にとってさらに魅力的なものとなり、成長に拍車がかかるでしょう。

    登録者数は2桁成長

    Walmartのダグ・マクミロン最高経営責任者(CEO)は2024年5-7月期(第2四半期)の決算説明会で「会員登録者数が2桁増加した」と説明したものの、正確な数字は明らかにしていませんでした。第2四半期におけるグローバル会員による会費売上は前年同期比23%増加しています。

    「Walmart+」は、市況に左右されず、高所得層から人気です。Walmartが成長し続ける基盤を築いています。人気の理由は、送料無料の配送サービス、店舗リニューアル、その他の米国での取り組みなどが相まっています。(マクミロン氏)

    Walmartの米国CEOであるジョン・ファーナー氏は、「Walmart+」はすべての所得層に対応できるように設計していると説明しています。

    「Walmart+」の会員は、たとえば配送頻度が非常に高いグループだけに注目した場合、年収が5万ドル未満の人もいますし、年収が10万ドル以上の人もいます。(ファーナー氏)

    「Amazonプライム」との差を縮める

    ドイツの大手メディア、アクセル・シュプリンガーの子会社で、市場調査を手がけるeMarketerによる6月度のEコマース調査によると、6月時点で米国成人の26%が「Walmart+」の会員となっており、この割合は前年から12ポイント増加。

    「Walmart+」の会員普及率はCostcoの27%に近づいています。食料品の即日配達サービスを運営する米国企業Instacartの有料会員制度で、普及率が9%となっている「Instacart+」と比べると約3倍です。

    eMarketerは「Walmart+」の利用者数について、2024年末までに3180万人に達すると予測しています。しかし、米国の調査会社Consumer Intelligence Research Partnersによると、「Amazonプライム」の米国での会員数は2024年3月時点で1億8000万人(前年比8%増)。有料会員数を多く持つ事業者としては、依然として大きくリードしています。

    ただ、Walmartは会員プログラムに特典を追加することで、「Amazonプライム」との会員数や人気の差を徐々に縮めています。「Walmart+」の会員は「Amazonプライム」と同様に、ECの注文商品の無料配送に最低注文金額を設けていません。また、商品の先行発売、ブラックフライデー期間中のオンラインセール、動画配信サービス「Paramount+(パラマウントプラス)」の視聴、返品時の自宅への無料集荷といった特典が受けられるようになっています。

    Walmartは6月、第2回目の「Walmart+Week」を実施しました。これは、Amazonの「プライムデー」に似たオンラインのセールイベントです。7日間にわたって、主に会員を対象に買い得品が販売されました。2024年の「Walmart+Week」は、7月のAmazonプライムデーの、わずか数週間前のタイミングで実施されています。

    2024年の「Walmart+Week」は6月17~23日に開催された(画像はWalmartコーポレートサイトのニュースルームから編集部がキャプチャ)
    2024年の「Walmart+Week」は6月17~23日に開催された(画像はWalmartコーポレートサイトのニュースルームから編集部がキャプチャ)

    「Walmart+」は、Walmartが提供する重要なサービスの一部ですが、Walmartが提供するサービスはそれだけではありません。他にもさまざまな取り組みをしています。しかし、「Walmart+」に加入するお客さまに対しては、できる限り最高の体験を提供したいと考えています。(ファーナー氏)

    この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

    Digital Commerce 360

    ファミリーマート、上新電機、東京スカイツリーなどに導入予定の決済やポイント獲得などが手ぶらでできる生体認証サービスとは

    1 year 6ヶ月 ago

    東武鉄道と日立製作所は9月3日、生体認証の活用により手ぶらで決済などを実現するデジタルIDプラットフォーム「SAKULaLa(サクララ)」の本格展開を開始すると発表した。2026年度までにファミリーマート、上新電機、東京スカイツリーなどで導入する予定。

    「SAKULaLa」は、カードやスマートフォンを用いることなく、生体認証を活用して手ぶらで決済やポイント獲得などをできるようにするもの。ユーザーは業種横断の共通プラットフォームに氏名・生年月日などの利用者本人の情報、クレジットカード情報・各種ポイントカードのID・企業のキャンペーンIDなどを登録。その情報と指静脈や顔などの生体情報を紐づけることで、さまざまなサービスの利用時に生体認証だけで本人確認、決済、ポイント付与などをワンストップで実現する。

    4月11日から東武ストアの3店舗において指静脈認証による決済をスタート、約3700人が指静脈を登録し利用したという。2025年度には指静脈認証に加え顔認証を可能とする予定。将来的には生体認証による鉄道改札の実現などさまざまなユースケースを検討している。

    東武鉄道と日立製作所は9月3日、生体認証の活用により手ぶらで決済などを実現するデジタルIDプラットフォーム「SAKULaLa(サクララ)」の本格展開を開始する
    SAKULaLaの利用シーンイメージ(画像は公式サイトから編集部がキャプチャ)

    2025年度からは、日立ソリューションズが提供する複数の共通ポイント事業者に接続できるゲートウェイサービス「PointInfinity マルチポイントゲートウェイ」と連携し、国内の主要な共通ポイントの獲得・利用もできるようにする予定。

    今後はコンビニ、家電量販店、ショッピングモール、観光施設、鉄道などさまざまな業種での導入を進め、全国100か所以上に順次導入する。直近では、9月に東京ソラマチなど商業施設でのポップアップストア、11月には埼玉県の越谷と川越エリアの飲食店など約20店舗で導入する。2024年度中には東京スカイツリーのオフィシャルショップ、2025年度には上新電機の大阪2店舗、東武東上線の座席指定制列車、2026年度にはファミリーマートでの導入を開始する予定だ。

    指静脈認証を用いて店舗のセルフレジで決済を行うイメージ

    ファミリーマートでは「手ぶらで買い物ができ、決済スピードアップにつながりお客さまへのサービス向上の一助として期待している。無人決済店舗やセルフレジ導入を進めているが、(SAKULaLaは)年齢確認が可能な仕組みとなり将来的な展望にも期待している」(リクルーティング・開発本部 ライン・法人部の坂本敏史部長)とコメントしている。

    「SAKULaLa」は公式キャラクターとして「サクラッコ&ララガイ」も用意。またサービスの普及拡大に向け、ジェーシービー、DGフィナンシャルテクノロジー、博報堂と協力パートナー関係を結んだ。

    鳥栖 剛

    顧客獲得単価(CPA)削減に役立つAI+電話を組み合わせたボイスコマースプラットフォーム「テレAIカート」とは

    1 year 6ヶ月 ago

    AI技術と電話を組み合わせたボイスコマースプラットフォームを開発・提供のテレは9月4日、ECサイトのカゴ落ちを防ぎ顧客獲得単価(CPA)削減につながるという電話受付専用サイト機能を持つ「テレAIカート」をローンチした。

    AI技術と電話を組み合わせたボイスコマースプラットフォームを開発・提供のテレは9月4日、ECサイトのカゴ落ちを防ぎ顧客獲得単価(CPA)削減につながるという電話受付専用サイト機能を持つ「テレAIカート」をローンチ
    「テレAIカート」による電話受注の流れ

    「テレAIカート」はECサイトから電話で注文受付するボイスコマースプラットフォーム。ユーザーは通常のECサイトと同様にほしい商品をタップし、買い物カゴに投入。「注文へ進む」をタップすると専用の電話番号が画面に表示される。注文手続きは表示された専用番号に電話し、音声ガイダンスに従って「氏名」や「住所」などの必要情報を伝えるだけで完了する。音声データはAIにより自動で受注データとして処理。そのためEC事業者は入電対応の人員を配置することなく、「24時間365日電話注文を受け付ける」という販売チャネルを構築できる。

    AI技術と電話を組み合わせたボイスコマースプラットフォームを開発・提供のテレは9月4日、ECサイトのカゴ落ちを防ぎ顧客獲得単価(CPA)削減につながるという電話受付専用サイト機能を持つ「テレAIカート」をローンチ
    「テレAIカート」で電話受注する際の画面遷移の流れ

    「テレAIカート」はECにおけるカゴ落ち防止にも役立つという。「メールアドレス・パスワード入力・支払い方法の登録などといった入力作業」の手間を理由に離脱してしまうユーザーを電話注文に誘導することで、カゴ落ち改善が期待できるとしている。

    すでに成功事例もある。健康食品メーカーの商品LPに「テレAIカート」による電話受付導線を設置。1日平均7件電話経由で注文が発生し顧客獲得単価(CPA)の削減に成功したという。テレによると「Web広告で集客するECサイトに『テレAIカート』を導入した場合、1日平均3~5件の電話注文が発生すればCPAが数千円削減できる」(同社)としている。

    「テレAIカート」の利用料は、基本料金6600円(税込)、カート機能利用料金1万5400円(税込)の月額費用と、売上1件につき課金の成果報酬費用がかかる。申し込みから利用開始までは最短1週間としている。

    鳥栖 剛

    「紅麹」の健康被害で報告漏れや遅延が相次いだ小林製薬。今後の信頼回復に向けた方針とは? | 通販新聞ダイジェスト

    1 year 6ヶ月 ago
    報告漏れや遅延の原因を「社内で徹底できていなかった」と振り返る、小林製薬の山根聡社長。「紅麹」問題の余波がまだ収まらないなか、小林製薬が掲げる今後の改善や方針を聞く

    「紅麹」による健康被害問題で、小林製薬は、厚生労働省に報告する死亡との関連性を調査する対象事例数に誤りがあったと公表した。8月19日、同社は補償の受け付けを開始。報告漏れを公表した会見で、山根聡社長は、「補償をやり切ることが大前提。正確な内容の把握の基盤になる」と、体制を強化する方針を示した。

    健康被害の報告漏れ11件

    原因はオペレーターのチェック漏れ

    補償対応に向けデータベースを改めて検証するなかで、担当者が8月8日に可能性を確認した。同日、山根社長も確認。翌9日、集計数に齟齬があることを知った。同13日に会見で公表した。

    報告漏れは、今年3~7月に寄せられた11件。同社の紅麹関連製品を摂取していないことが確認されたのは5件、医師への詳細調査を進めるのが4件、製品摂取の有無の精査中が2件あった。

    この件数を加え、厚生労働省に報告する死亡の申し出件数は356件になる(8月8日時点)。製品摂取の確認中は3件、詳細調査中が113件、調査完了は22件(同)。

    顧客からの申し出は、健康被害情報、解約など複数の項目に分類して記録している。オペレーターによるチェックに漏れがあり、遺族の問い合わせを受け、定期解約や返品の申し出した中に、健康被害情報が含まれているものがあった。健康被害情報は、「飲んでいたかもしれない」など、可能性を否定できない事例を広く収集していた。

    相次ぐ報告遅延、報告漏れ

    小林製薬は、再発防止に向け、「システムやルールの設定と徹底、人員体制の拡充を進める」(山根社長)としている。

    8月19日には、紅麹関連製品の健康被害に対する補償の受け付けを始めた。調査完了は22人(8月8日時点)。いずれも「因果関係の有無は調査中だが、一定数。積極的に関係性が認められるものは確認されていない」(渡邊淳信頼性保証本部本部長)とする。

    製品から検出された「プベルル酸」のほか、2つの化合物の検証結果が確定していないことも、因果関係を確定できない一因になっている。主治医による詳細調査も加え、対応を決める。

    健康被害問題では、今年3月の製品回収の公表の報告遅延のほか、6月には、死亡の疑いのある事例数の報告遅延があった。小林製薬は、腎障害に絞り死亡例を調査し、がんなどの死亡例は報告しなかった。7月には、原料供給先の報告漏れが見つかった。

    信頼回復に向け、ルール徹底+人員拡充を強化

    小林製薬の山根聡社長
    小林製薬の山根聡社長

    小林製薬は、「紅麹」の健康被害問題で、厚生労働省への調査対象数の報告漏れが発覚した。正確・迅速な情報の把握に向け、人員体制の強化を図っていく。8月13日の会見で、同社の対応を聞いた。

    ――度重なる報告遅延や報告漏れをどう改善する。

    山根聡社長(以下敬称略):大混乱のなかで人員体制が追い付かず、徹底できていなかった。再発防止に向け、ルールの徹底と人員拡充を図る。

    ――人員体制に加え、コールセンターにおける情報管理強化に向けた取り組みはあるか。

    渡邊淳信頼性保証本部本部長(同):各オペレーターの判断のぶれがあった。ダブルチェックも一つの方法。オペレーターがどのような点でばらつきに悩むか、ルール化や教育も必要に思う。

    山根今回の件では学びが多くあったが、それをきちんと見える化し、周知徹底していくことだと思う。

    品質や安全を徹底し、取り組みは開示

    ――8月8日開催の取締役会で、紅麹事業からの撤退を決めたが、それ以外の健康食品等の販売は続ける。事業継続に向け、業界、消費者に向けてどのような取り組みが必要と考えているか。

    山根2つある。1つはモノづくりについて、社内外に向けて品質・安全の徹底などポリシーを実践していくこと。もう一つは、その取り組みを積極的に開示していくことだと思う。

    ――製薬業界では「医薬品副作用被害救済制度」がある。健食で同社独自の取り組みとして想定していることはあるか。

    山根現時点で明確に答えられないが、今後、検討したいと私は考えている。

    ――製品回収の状況は。

    渡邊:9割台まできている。

    ――信頼回復に向けた取り組みの検討の過程においても健康食品の販売など事業は継続する認識か。

    山根そう考えている。

    ――国内は、紅麹の健康被害問題の発生以後、全製品の広告を停止している。再開のタイミングはどう考えている。

    山根:少なくとも年内は停止と考えている。

    ――海外は広告展開しているか。

    山根エリアにより再開しているところもある。

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    千趣会、関連会社のテレビ通販会社「センテンス」の保有株式を讀賣テレビ放送へ売却

    1 year 6ヶ月 ago

    千趣会は8月30日付で、テレビ通信販売会社のセンテンスの保有株式全てを讀賣テレビ放送へ売却した。

    株式譲渡でセンテンスは千趣会の持分法適用会社の対象から除外れるものの、パートナーシップを継続し、今後も相互の事業発展に協力していくという。

    センテンスは株式譲渡後、讀賣テレビ放送の完全子会社として意思決定を迅速化。テレビ番組コンテンツと連携した商品提供により、讀賣テレビグループとの相乗効果の最大化をめざす。

    センテンスは、これまで培ってきたブランド力、通信販売ノウハウ、顧客基盤を生かすことで、讀賣テレビグループの通販会社としての機能と役割を一層強化するとしている。

    このほか、関西を拠点とする企業として地場産業との連携を深める事業活動に注力。まだ広く知られていない関西の逸品を讀賣テレビグループのコンテンツ力を生かして発信していく。

    センテンスは2006年10月3日、讀賣テレビ放送と千趣会の合弁会社として設立。設立時の出資比率は讀賣テレビ放送が51%、千趣会が49%。現在の資本金は8000万円。

    松原 沙甫

    最低賃金の全国平均は51円引き上げの時給1055円。最も高いのは東京都で1163円、低いのは秋田県で951円

    1 year 6ヶ月 ago

    厚生労働省は8月29日、地方最低賃金審議会が答申した2024年度の地域別最低賃金の改定額を取りまとめた。それによると、答申額の全国加重平均額は1055円で、2023年度(1004円)と比較して51円の引き上げとなった。

    全国加重平均額の51円引上げは、1978年度に目安制度が始まって以降の最高額。47都道府県の改定額は50円~84円の引き上げとなった。

    厚生労働省は8月29日、地方最低賃金審議会が答申した2024年度の地域別最低賃金の改定額を取りまとめた
    2024年度の地域別最低賃金の改定額

    改定額が最も高かったのは東京都で1163円、2番目は神奈川県の1162円、3番目は大阪府の1114円。以下、埼玉県が1078円、愛知県が1077円、千葉県が1076円などとなっている。

    改定額が最も低かったのは秋田県で951円。それに続くのが岩手県、高知県、熊本県、宮崎県、沖縄県の各952円だった。2023年度比で改定額が最も増えたのは徳島県で、2023年度比84円増の980円。徳島県に続き、岩手県が952円、愛媛県956円で2023年度比59円の増加となった。

    最高額(1163円)に対する最低額(951円)の比率は81.8%(2023年度は80.2%)。この比率は10年連続の改善となっている。

    答申された改定額は、都道府県労働局での関係労使からの異議申出に関する手続を経た上で、都道府県労働局長の決定により、10月1日から11月1日までの間に順次発効する予定。

    松原 沙甫

    Z世代、ミレニアル世代が集まるコンテンツ作りのポイントとは? 動画制作ノウハウをEC運営に生かした「McGuffin STORE」のノウハウ

    1 year 6ヶ月 ago
    動画メディア「McGuffin(マクガフィン)」と連携したECサイト「McGuffin STORE」。動画コンテンツ制作ノウハウやコンテンツをECサイト運営+商品開発に生かし、Z世代・ミレニアル世代を中心に支持を集めている。動画活用のポイントや成功の秘訣とは?

    EC事業者が取り組む施策として「ファン作り」は重要だ。自社商品やサービスの認知度を高め、優良顧客やリピーターを増やすために、EC事業者を含め多くの企業が取り組んでいる施策の1つに「動画」活用があげられる。動画活用で重要なのは単なるファン作りではなく売り上げを伸ばすことだが、どのように運用すればいいのか悩む事業者も多いのではないだろうか。動画メディア「McGuffin(マクガフィン)」を運営し、動画コンテンツ制作のノウハウや強みを生かしたEC運営を行うニューステクノロジーの林慎哉氏に、動画コンテンツを活用したECサイト運営、ECと親和性の高いコンテンツなどについて取材した。

    メイン視聴者が“尖ったもの”を好む、動画メディア「McGuffin」

    ニューステクロノロジーは2014年創業、モビリティプラットフォーム・メディアを中心に事業を展開している。動画メディア「McGuffin」の他にも都内最大級のタクシーサイネージメディア「GROWTH(グロース)」などを企画・運営。そんなニューステクロノロジーは、「McGuffin」運営で培った知識やノウハウ、強みを生かした商品作り、ECサイト運営で、売り上げやファン数を伸ばしている。

    「McGuffin」は、「YouTube」をプラットフォームとして展開する動画メディア。2024年8月19日時点でチャンネル登録者数39万人以上、音楽、ファッション、アートなどのユースカルチャーを中心に、Z世代やミレニアル世代に向けたコンテンツを提供している。

    めざすコンセプトは「若い世代の人たちの人生が進むようなきっかけになるようなメディア」で、若者が普段触れないような世界を提供。興味・関心をひきつつ、学びを得られるようなコンテンツを制作・配信している。

    動画メディア「McGuffin」 ニューステクノロジー YouTubeチャンネル
    動画メディア「McGuffin」(画像は「McGuffin」からキャプチャ)

    制作・運営体制は社内の編集部3人、ECのデザインなどを行う外部委託を含めると10数人。動画のクオリティや配信頻度、本数を考えると少数精鋭だ。

    人気が高いシリーズは「知的好奇心探求企画」で、最も再生回数が多い動画は284万回を超える。

    動画メディア「McGuffin」で人気のシリーズ「知的好奇心探求企画」 ューステクノロジー YouTubeチャンネル
    「McGuffin」で人気のシリーズ「知的好奇心探求企画」(画像は「McGuffin」からキャプチャ)
    最も再生回数の多い動画「【ルームツアー】呪物コレクター田中俊行の呪物ガイド!」

    「McGuffin」の視聴者層は、動画によって多少ばらつきはあるものの男性8:女性2で、20代~30代の男性がメインだ。全体の年齢比率はZ世代、ミレニアム世代と呼ばれる20代が多数を占めている。

    「McGuffin」の視聴者は、ややマイナーなものや少々尖ったコンテンツを好む傾向があるというか、物事にこだわりの強い人が多い。日頃触れる機会がない物事や、皆が知らないことを知ることが好きな人が多い印象だ。ECの購入に際しても、「流行ではない、尖っている。それでも自分が気に入ったものを持ちたい、買いたい」という人が多い。(林慎哉氏)

    ニューステクノロジー McGuffin 林慎哉氏
    ニューステクノロジー McGuffin 林慎哉氏

    動画と連動したオリジナルアパレルを主力とした「McGuffin STORE」

    ECサイト「McGuffin STORE」は2023年10月にスタートした。「McGuffin」を7年間運営し、2023年にチャンネル登録者数が30万人を突破するなど数字の伸びが見えてきたこともあり、「何かコミュニティのようなものを作っていけたら」(林氏)という思いがあったという。

    動画コンテンツと連動したアイテムも販売 McGuffin STORE 動画メディア「McGuffin」 ニューステクノロジー YouTubeチャンネル
    動画コンテンツと連動したアイテムも販売している「McGuffin STORE」
    (画像は「McGuffin STORE」からキャプチャ)

    そうしたなか「McGuffin」のユーザー文化・嗜好にもマッチしそうだと考え、アパレル商品の製造・販売をスタート。海外ではメディアがアパレル商品を展開する事例も多いこと、チャンネル登録者数と再生数が伸長し続けていたことから、ある程度の人数にリーチできると予測した。さらに熱量の高い動画ファンが多く、購入につなげられるチャンスがあるという見込みもあった

    こうして始まった「McGuffin STORE」は、「Shopify」で構築している。その利用している理由は動画との連携のしやすさだ。「Shopify」では「YouTube」動画の下部に商品を掲載できる「YouTubeショッピング」機能を利用でき、ユーザーをECサイトに誘導しやすいというメリットがある。

    最初は別のECサービスを利用していたが、「McGuffin」が動画メディアである強みを生かすためにも、「Shopify」の活用を決めたという。

    動画メディア「McGuffin」 ニューステクノロジー YouTubeチャンネル 「YouTube」動画の下部に商品を掲載できる
    「YouTube」動画の下部に商品を掲載できる(画像は「McGuffin」からキャプチャ)

    「Shopify」に移行した結果、「McGuffin STORE」への流入数は以前のECサービス利用時と比べて2倍に増加した。以前はオーガニック検索やSNSからのみだったアクセスが、「McGuffin」のさまざまな動画から流入するようになった。

    これまで1200本弱の動画を公開していますが、そのすべての動画に商品をタグ付けするようにしている。たとえば240万回再生されている動画があるが、それはシンプルにそれだけのインプレッションがあるということ。商品を目にしてもらう機会が多いというのは、ECサイト成長にとって大きな影響力がある。(林慎哉氏)

    動画から印象的なシーンや言葉をデザインに落とし込んだ「video series」を展開

    ECを展開していくなかで、「McGuffin STORE」における工夫点や注力したポイントを紹介していこう。

    「McGuffin STORE」のなかでも注力している商品「video series」は、2024年4月からスタートした、動画と連動したオリジナルのアパレルアイテムラインだ。「McGuffin」で公開している動画内の印象的なシーンや英訳した台詞をデザインに使用している。ピックアップする基準は「ある程度視聴回数が多い」「デザインとして成り立つか」「人に『これは何?』と聞かれて説明したくなるか」という点だ。

    例をあげると、人気インフルエンサー・経営者である森下直哉氏の動画から作成したアイテムがあるが、これは森下氏が所有する車の画像を使用している。本人自身の人気は高いが「McGuffin」のファンであり購入するユーザーの心理を考え、あえて人物の写真は避けたという。

    森下氏のTシャツを購入しようと思うユーザーにとって、ストレートすぎる表現はネガティブだと判断した。「顔が入っていると少しミーハーに感じる」「バズった人のTシャツはどうなの」などとマイナスな感情をもたれる可能性がある。(林氏)

    森下氏の動画から作成したアパレル商品 McGuffin STORE 動画メディア「McGuffin」 ニューステクノロジー YouTubeチャンネル
    森下氏の動画から作成したアパレル商品(画像は「McGuffin STORE」からキャプチャ)

    ファン層の心理を理解した編集部や、ユーザー層と近い年代のスタッフが商品の見せ方を考える

    「McGuffin」のファン層と編集部の心理はしっかりイコールになっている。編集部は他のメディアでは目に触れないような人物・事柄にアンテナを張ることを重要視しており、自分たちが好きなモノを動画で発信している。そして同じモノを好きになってくれるファンがついているのだ。

    商品やECサイトのコンテンツ制作時は、視聴者層や購入者に近い年齢のスタッフの意見も重視している。大学生であるインターンの意見に耳を傾け、「何を魅力的だと感じるのか、何が流行っているのか」という情報を収集するのだ。また、彼らに企画を立案してもらうこともあり、ECサイトに掲載している商品写真のディレクションはインターンである彼らに相談しながら制作したという。

    大学生のインターンの人たちに、コーディネートや撮影場所などを相談して決めていった。彼らと同世代の人が欲しくなるような絵作りをしたいからだ。またSNSの発信の方法なども参考になる。たとえば、タグ付けはどのようにしたら良いなど、いろいろな意見をあげてくれる。(林氏)

    ファンと同年代である大学生のインターンの意見を取り入れた商品写真 McGuffin STORE 動画メディア「McGuffin」 ニューステクノロジー YouTubeチャンネル
    ファンと同年代である大学生のインターンの意見を取り入れた商品写真
    (画像は「McGuffin STORE」からキャプチャ)

    なお、SNSでECに関する発信回数は月1~2回程度とあえて少なくしている。「McGuffin」のカルチャーを好きなユーザー、特に男性は「SNSで自社商品について発信しすぎること」を“ダサい”と感じる傾向があると感じているためだ。

    EC運営はゼロからのスタートも、動画やコンテンツ制作のノウハウ・強みを生かす

    ECの運営で苦労している点について林氏は、「『McGuffin』は動画制作のメディアであり、ECはもちろん、アパレル商品の企画・製造・制作のほぼすべてについてノウハウがなかった」ことだと話す。

    しかし、長年培ってきた動画やコンテンツ制作のノウハウはあった。商品の宣伝動画などを作れる強みがあり、動画出演者がモデルをしてくれるコンテンツも比較的容易に制作することができた。こうした強みを生かし、主力アイテム「video series」の売り上げは発売から2か月程で約3倍に伸長。動画コンテンツの広告収益の半分くらいまで利益を確保できるまでに急成長を遂げている。

    ECと親和性の高い動画とは?

    動画コンテンツ制作のノウハウを生かしたECサイトを運営し、売り上げアップにつなげている林氏が考える、ECと親和性の高い動画とはどのようなものなのだろうか。

    林氏が例としてあげたのは「インテリア系」だ。部屋とインテリアを見せる「ルームツアー」はTikTokやInstagramのリールでの人気が高い。「McGuffin」でもルームツアーシリーズは人気が高く、企業のタイアップ案件も多い。

    企業のタイアップ案件であるルームツアー動画 動画メディア「McGuffin」 ニューステクノロジー YouTubeチャンネル McGUffin STORE
    企業のタイアップ案件であるルームツアー動画(画像は「McGuffin」からキャプチャ)

    家具やディフューザーなどの家電はクライアント企業からの依頼が多く、動画の再生回数は何十万にも及ぶという。「フレグランスなどは動画内でさりげなく商品をアピールし、直接の販促というよりブランド訴求、ブランディングに向いている」(林氏)。

    「インテリアジャンルでは、動画内でさまざまなアイテムを紹介していくなかで1~2つほどPRしたい商品を取り入れ、アピールしすぎない方がユーザーに刺さる傾向がある」と林氏は話す。動画内に商品を自然と取り入れやすく、広告であることが強調されにくいのがインテリア系動画のメリットといえるだろう。

    要約を冒頭に入れ、しっかりとブランドイメージやこだわりを伝えることが重要

    EC事業者が動画コンテンツ活用時に気をつけるべきポイントとして、林氏は「動画の長さ」をあげた。昨今、切り抜きやショート動画が流行っているというイメージを持つ人は多いかもしれないが、林氏は異論を唱える。

    動画の尺が短いと、ユーザーは「誰の動画かわからない」「どこの媒体で見たのか覚えていない」となりやすい。私たちは「McGuffin」というチャンネルをしっかり覚えてもらいたいので、長尺の動画、1時間を超えるものも多い。動画が長ければ、視聴時間維持率、滞在時間が増えるのでプラットフォームのアルゴリズムにも良い影響を与える

    長尺でしっかりブランドのイメージやこだわりを説明していくのも良い方法だと思う。ただ、長尺にする場合は、冒頭で動画の見せ場や要約を入れて最後まで見てもらいやすくする工夫が必要だ。(林氏)

    動画メディアとEC、双方を高め合うための施策とは

    「McGuffin STORE」の今後の展望について、林氏はアイテム数の拡充をめざしていると話す。「McGuffin STORE」ユーザーの9割が新規顧客となっており、これは商品展開の少なさに起因するとみているためだ。現在はアイテム数を少しずつ増やしており、その影響もあってか徐々にセット買いも増えてきているという。

    「video series」の単価はおよそ6600円。それにもかかわらず、2024年6月の平均単価は1万5000円前後なので、複数アイテムを購入しているお客さまが増えている。動画を公開したらすぐに関連商品を購入できるという仕組みと流れを構築し、展開するアイテム数を増やしていきたい。(林氏)

    アパレル以外のカテゴリにも注力していく方針だ。2024年7月には使い捨てのフィルムカメラとステッカーのセット商品を販売した。

    2024年7月から販売開始したフィルムカメラとステッカーセット McGuffin STORE 動画メディア「McGuffin」 ニューステクノロジー YouTubeチャンネル
    2024年7月から販売開始したフィルムカメラとステッカーセット(画像提供:ニューステクノロジー)

    「McGuffin」では、動画出演者にこのステッカーを持ってもらい、フィルムカメラで撮影した画像をSNSにアップしている。“エモくてレトロな雰囲気”――こうした雰囲気を持つ写真の投稿を、開設当初から続けている。こうした写真が「McGuffin」にプラスの影響をもたらしていると考え、ユーザーが同じように撮影できるセットとして販売を開始した。

    ファン拡大に向け、メンバーシップを開始。チャンネル登録者数100万人もめざす

    「McGuffin」の目標としては、チャンネル登録者数100万人をめざしている。「そのために連載の強化、“番組感”を強化していく」(林氏)。動画の本数を増やしていくにあたり、これまでは単発の企画が多かったが、連載企画、番組として楽しめる企画に注力していくという。

    閲覧した番組を好きになってチャンネル登録してもらう、といった点をより意識していきたいし、その番組のグッズも制作していきたい。また「デザインが良くて欲しいと思ったアイテムが、動画のグラフィティだった」というように、「McGuffin STORE」や商品から「McGuffin」を知る流れも構築できれば理想的だ。(林氏)

    2024年5月から新規企画としてメンバーシップを開始、コミュニティ感をより押し出していく狙いだ。また、オンライン以外でファンとの接点を増やすオフラインイベントの開催や、メンバーシップ限定の商品割引も検討している。

    小林 義法

    国内ECサイト構築支援サービス市場規模は6.5%増の2134億円(2023年度)

    1 year 6ヶ月 ago

    矢野経済研究所は9月3日、ECサイト構築支援サービス市場に関する調査結果を発表、2023年度の国内のECサイト構築支援サービス市場規模は前年度比6.5%増の2134億円と推計した。

    ECサイト構築支援サービス市場は2027年に2500億円を超えると予測

    矢野経済研究所によると、2020年~2021年度はコロナ禍の影響で実店舗の事業者などEC事業への新規参入が急増し、ECサイト構築支援サービスへの需要が大幅に拡大。ECサイト構築支援サービス提供事業者の業績は高い伸び率で成長した。2022年度以降は消費者の実店舗への回帰の動きが見られたが、ECでの購買が定着したこともありEC需要は引き続き成長した。

    2023年度はEC事業への新規参入が落ち着き市場成長率は低下したものの、事業規模が拡大したEC事業者による上位サービスへのリプレイス需要が増加したという。2023年度のECサイト構築支援サービス市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比6.5%増の2134億円と推計。今後も市場は拡大する見通しで、2024年度は同5.9%増の2259億円、2027年度には2500億円を突破すると見ている。

    ECサイト構築支援サービス市場のトピックもAI

    ECサイト構築支援サービス市場におけるトピックとして「AI活用」をあげた。ECサイト構築支援サービスの主要事業者のほとんどがAIを活用し、さまざまな研究開発に着手。自社開発のAIサービスの提供、パートナー企業と連携してAI関連機能をEC事業者に提供する事業者が増えた。

    EC事業者向けサービスでAIが最も活用されている分野は「商品説明文の自動生成」と指摘。EC事業者が人材不足に直面するなか、ITリテラシーが高くなくても簡単に商品説明文を作成でき業務負担を軽減できることがポイントだとした。また、AIがEC事業者のブランドイメージやスタイルを学習することで、ブランド独自のクリエイティブの提案・作成を可能にするようなサービスもあると補足している。

    消費者からの問い合わせ対応は、ECサイト運営において大きな課題。そこで、AIチャットボットによる、接客などECサイト運用サポート機能の活用も広がった。AIチャットボット活用で消費者対応を自動化、業務効率を向上できることがポイントだ。また、ECサイトの運用側においても、EC事業者ごとにパーソナライズされたFAQとその回答をAIが推奨する機能を提供する機能もある。送料設定や在庫追跡など、あらゆる業務に対して迅速なサポートと具体的な指示を受けることもできる。

    AIによる高精度な商品レコメンド機能もある。消費者の属性やECサイト内での行動履歴に基づきパーソナライズされた商品を推奨し、コンバージョン率を向上させるサービスも提供されている。

    セキュリティ関連ではAIを活用したクレジットカードの不正利用検知、収集・項目設定・加工といった商品情報処理の自動化、AIとの対話を通じて希望の商品を検索・注文する対話型コマース、魅力的なコンテンツで消費者向けメール文を生成し配信するサービス、需要予測により在庫管理を最適化するサービスなど、さまざまなAIを活用したソリューションが提供・研究開発されている。

    鳥栖 剛

    わかさ生活、タニタカフェとコラボ。厳選ブルーベリー使用のスイーツなど提供

    1 year 6ヶ月 ago

    ブルーベリーサプリメントを通販で展開するわかさ生活は9月1日から、タニタが展開する「タニタカフェ」とのコラボレーションを始めた。「タニタカフェ」で、わかさ生活が厳選した国産ブルーベリーを使用した4つの限定メニューを提供。東京・日本橋、神奈川・横浜、石川・金沢の3店舗で11月3日まで実施する。

    ルーベリーサプリメントを通販で展開するわかさ生活は、タニタが展開する「タニタカフェ」とコラボレーション
    国産ブルーベリーを使用したコラボメニューを提供する

    展開するコラボメニューは「ポークステーキ わかさ生活のブルーベリーデミグラスソース」(=写真左上)、「“噛む”スムージー わかさ生活のブルーベリーカムージー」(=写真右上)、「ガトーショコラ」(=写真左下)、「ベイクドチーズケーキ」(=写真右下)の4つ。同期間中、コラボワンプレートのポークステーキを注文でわかさ生活の主力商品である「ブルーベリーアイ」の7粒入りを進呈する。

    コラボメニューで利用されるわかさ生活の「国産ブルーベリー」は、茨城県産で皮が肉厚で食べ応えがあるのが特徴。蜂と一緒に栽培している農園のブルーベリーを使用しているという。

    コラボを行うのは次の3店舗。タニタカフェコレド室町店、タニタカフェそごう横浜店、タニタカフェ金沢エムザ店。期間中に金沢店ではわかさ生活の公式キャラクター「ブルブルくん」も店舗に登場する予定としており、写真撮影も可能だ。

    ルーベリーサプリメントを通販で展開するわかさ生活は、タニタが展開する「タニタカフェ」とコラボレーション
    わかさ生活の公式キャラクター「ブルブルくん」
    鳥栖 剛

    「ネッ担アワードはECのプロを育成する登竜門」。いまEC業界で求められている人材とは? 石川森生氏に聞く | EC業界で活躍する人を顕彰!「ネットショップ担当者アワード」

    1 year 6ヶ月 ago
    通販・EC業界の発展に貢献する「人」を顕彰する「ネットショップ担当者アワード」。選考委員の1人・石川森生氏が、昨今のEC市場が抱えている問題や、求められている人材を赤裸々に語る<アワードインタビュー第5弾>

    EC業界で活躍する「人」にフォーカスし、企業や団体などで活躍する個人の功績や取り組みを表彰する「ネットショップ担当者アワード」の選考委員の1人である石川森生氏は、EC業界においてさまざまな企業とポジションに従事し、経験と知見を積んできた。現在は自身でEC支援会社を経営する傍ら、オルビスやルームクリップなどのEC事業に携わる。石川氏が捉えているEC事業に関する現状、危機感、問題点などについてインタビューした。

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    ECを本当の意味で運用できていない会社が多い

    ――EC業界での経歴など自己紹介をお願いしたい。

    石川森生氏(以下、石川氏):ECには15年ほど携わってきた。インターネット金融のSBIホールディングスに入社したが、金融に関心が高かったわけではなく、もともとEコマースをやりたいと思っていた。そのため、SBIグループ傘下のベリトランス(当時、現在はDGフィナンシャルテクノロジー)に配属してもらい、新規事業開発を担当していた。

    2008年当時、「決済のマーチャントの売上向上を目的にレコメンドエンジンを提供する」という事業を開始したところ芽が出たため、法人化しようという流れになり、その後ベリトランスの子会社であるSBIナビ(現ナビプラス)を創業した。

    【選考委員】ルームクリップ株式会社 KANADEMONOカンパニー管掌/オルビス株式会社CDO(Chief Digital Officer)/トレンダーズ株式会社 社外取締役/株式会社RESORT代表取締役CEO 他 石川 森生 氏
    【選考委員】ルームクリップ株式会社 KANADEMONOカンパニー管掌/オルビス株式会社CDO(Chief Digital Officer)/トレンダーズ株式会社 社外取締役/株式会社RESORT代表取締役CEO 他 石川 森生 氏
    新卒でSBIホールディングス入社、SBIナビ(現・ナビプラス)を創業、多くのマーチャントのECサイトグロースに携わる。その後、自身も事業会社の道に。ファッション通販サイト「マガシーク」のマーケティング部長、製菓製パンECサイト「cotta」を運営する株式会社TUKURU代表取締役社長、株式会社DINOS CORPORATION CECO(Chief e-Commerce Officer)を歴任。現在はオルビス株式会社CDO(Chief Digital Officer)、株式会社RESORT 代表取締役CEO、トレンダーズ株式会社 社外取締役、ルームクリップ株式会社 KANADEMONOカンパニー長&EC事業部責任者などを兼任する傍ら、複数の成長ベンチャーにハンズオンによるエンジェル投資を実施。常に実戦の中でEC事業の成長を再現し続けている。

    石川氏:ただ、一度は外に出て経験を積んだ方が個人としての評価などが築きやすいという考えがあり、事業会社に転職した。それが当時のクライアントの1社だったアパレルECのマガシークだった。マガシークでマーケティング部を立ち上げ、部長を経験。当時は伊藤忠商事の子会社で株式を上場していたが、TOB(株式公開買い付け)でNTTドコモ傘下に入るところまで所属していた。

    その後は、製菓・製パンECサイト「cotta」を運営する企業の立ち上げに携わり、社長に就任した。その後2016年に、ディノスに転職Eコマースを監修するポジションで入社した。転職当時から、自身で会社を経営しており、10年ほど続けている。ベンチャー投資も20社弱くらい手がけている。

    ――BtoB向けの事業、BtoC向けの事業、さらには大企業やベンチャーにも理解が深い。ECのクライアントから相談を受けるなかで、近年印象的なものは。

    石川氏ECを本当の意味で運用できていない会社が多いと感じる。ECはシステムを入れ替えただけで売り上げが伸びるわけではない。だからこそ、ECとしてやらなければいけないことをきちんとやりましょうと伝えたい。

    もちろんノウハウも必要。だが、ECをきちんと運営するためには、手を動かす人がいて、その作業ワークフローが確立されている状態を作り上げることが重要だ。ECはオペレーションで伸ばしていくものだが、それができていない。

    実際に手を動かす人材不足もあるが、中心で旗を振る人材も不足している。たとえば、取り扱っているモノは良いし、リアルの流通ルートも押さえてはいるが、ECの立ち上げはできていないという会社は多いのではないだろうか。

    手を動かすプロと、全体を横断して描くプロが必要

    ――マーケター視点で全体を俯瞰できる人が少ないということだろうか。

    石川氏:それもあるし、そういった人の下にきちんとチームが構成できていないこともある。よくあるのはEC専任が1人いて兼任で2~3人という体制。これではECを回していくのはほとんど無理だと思う。

    ECをきちんと回していくにはある程度、組織を作らなければいけない。だが、EC事業部を立ち上げたばかりで売り上げが小さい状態では、損益計算表(PL)上は固定費を増やすことができない。「ニワトリと卵、どちらが先か」の状況を続けてしまっている会社が多い。

    ――「今こういう人材が求められている」「こういう人材がいると良い」という考えを教えてほしい。

    石川氏:いわゆる旗振り役のCMO(最高マーケティング責任者)、CDO(Chief Digital Officer)、CECO(Chief e-Commerce Officer)など、Webマーケティング、MD、システムといった機能で分断するのではなく、それらをすべて横断して事業の絵が描ける人材を増やさないといけないと考えている。

    たとえば、リアル店舗の棚を押さえるためにマス広告を駆使する従来型のマーケティングだけでなく、デジタルを活用した広告SNS戦略を伴う集客、その後の顧客からの収益最大化を図るためのCRMの仕組みなど、統合的に理解している人材は希少だ。ある程度、マーケティング全般を俯瞰して事業の絵が描ける人材を生み出していかなければならないと思っている。

    2023年の「ネットショップ担当者アワード」第1回授賞式に選考委員として登壇した石川森生氏
    2023年の「ネットショップ担当者アワード」第1回授賞式に選考委員として登壇した石川森生氏

    石川氏:ただ、リアルとデジタルの両方を理解できている人の存在だけでは、事業そのものを推進するのは難しい。私がその立場を任されているとしたら、私の下にチームが必要となる。そのチームは個々に最適化されたプロフェッショナル集団で、デザイナーやエンジニアやWebディレクターなど、自分よりもアウトプットの質が高いプロ人材であってほしい。こうした専門的なスキルに突出したプロフェッショナルの手も足りていない

    少なくとも事業会社にはこうしたプロ人材がまったくと言って良いほど足りておらず、採用もほとんどできない売り手市場の状態。なので、1つのことを突き詰めて手を動かせるプロフェッショナルと、全体を横断して絵が描けるプロフェッショナルの両軸が必要だと思う。

    ――足りない部分を補う、足りない部分に気が付くためにコンサルティングの役割が求められているということか。

    石川氏:この話は最終的に人や組織設計、評価制度の話に行き着くことがほとんどだ。つまり、コンサルティングで数字を分析して“勝ち方”の絵を描くことはできるけれども、それを実現しようとすると「誰が、どこで、どうやるのか」という話になる。その際「組織の形をこう変えよう」「評価制度をこうした方が良い」などと進めて行くと、必ず「人財が足りない」という話に行き着く

    企業の担当者から「採用でどういう人を取れば良いのか」という相談を受けることもあるし、「最終面接には全部出てほしい。採用すべき人材を見極めてほしい」という相談を受けることも多い。結局、人と組織の話に行き着いているのが課題だ。

    人から聞かれる、頼られる存在になることからめざす

    ――EC業界における今後のトピックスとして注目していることは。

    石川氏チームの作り方や考え方を変えなければいけないタイミングに来ている、ということに注目している。

    果たして自社でそれだけのプロ人材を確保できるのか。さらには、そうしたプロをアレンジする人、つまり組織の中心で事業運営を設計していく、より経営に近い人を獲得できるのか。そう考えると、今後はそういった人たちを外部から採用する形になるのではないかと思う。

    その方が質の良い組織の再現性が高いし、万が一「方向性が合わなくなった」「もっと適任な人が見つかった」となった際、チームが有機的に変化し続けられることになる。それは会社にとっても個人にとってもWin-Winの新しい形になっていくのではないか。

    人手不足の現在の市況を考えると、旧来のように自社のメンバーが全員社員で、その人たちの月曜から金曜までのデイタイムをすべて自社の業務時間として押さえるというのは現実的ではない

    もちろん、そのような働き方ができる存在がいればいいし、コアなポジションの人たちにはそうあってほしいと思っている。しかし、人を獲得できるまで事業がドライブできないのでは話にならない。

    ――企業のEC部門で成長中の担当者に一言お願いしたい。

    石川氏:まず「この領域だったら彼/彼女に聞こう」と思ってもらえる人材をめざしてほしい。社内で問題が起きたときに「これは○○さんに聞いたら良い」という存在になってほしいと考えている。

    そうするとどんどん自分の領域が増える・拡大していくことにつながる。気が付けば、組織だけでなく、業界全体でも「この領域だったら彼/彼女に聞こう」と思われる人材になっていく。それが成長の近道の1つで、得意分野のプロフェッショナルになれるはずだ。

    石川氏はまず得意分野のプロフェッショナルになることを奨励している
    石川氏はまず得意分野のプロフェッショナルになることを奨励している

    石川氏:自分の場合、新卒の頃は社内で「レコメンドエンジンについてだったら石川に聞こう」となるように取り組んでいた。次に「ECの集客についてだったら石川に聞こう」「ECの売り上げを上げるなら石川に......」となるようにプロと呼べる分野の領域を徐々に広げていったこの延長線に会社の経営があった。

    得意領域を深掘りし“職人”になるか、横に領域を広げて経営者タイプになっていくのかということは選択だと思う。より数が必要なのは職人タイプだが、経営者タイプの人材も足りていない。専門領域が広い人材は1人で何社も見ることができるかもしれないが、実際に描いた戦略を実行する段階では職人タイプのプロフェッショナルが必要になる。

    経営者の立場として見ると、喫緊のニーズは、1つの職場に制約されず複数社の現場で自由に動けて手を動かせる職人タイプだろう。人気がある人の手は常に埋まっている状況で、外部の4~5人に声をかけてもタイミングによっては誰もつかまらないこともある。その意味で、まずは限定された領域でも良いのでプロ人材になることをめざすべきだ。

    ――「EC業界で伸びる人」ならではの特徴や、EC担当者が行動したほうが良いことは。

    石川氏:担当者レベルでは日々のルーチンワークが多いと思うので、ルーチンをこなすだけにならないようにする。自分の担当業務だけでも良いので、フローやルールを疑い、壊していってほしい。自分たちが作ったルールに縛られてしまいがちだが、新しいことはとにかく試すマインドを持ち続ける

    マネージャーなど、経営に近づくポジションになるほど多部署と協業しながら仕事を行うことが増える。この場合は、利害関係を統制する能力や社内調整力を意識する必要がでてくる。

    ――「ネットショップ担当者アワード」について一言お願いしたい。

    石川氏:自身の職能を横に広げるか、1つの領域のプロフェッショナルとして縦に深掘りするかはどちらでも良いが、このアワードを開催することで、個人のキャリアを考える上でのロールモデルを見つける手助けになるのではないか。

    「ネットショップ担当者アワード」は“ECのプロフェッショナル人材になるための登竜門”という位置付けでもあり、他人からの評価を得ることで「自分はプロだ」という自覚を持つことは意義深いように思う。

    とにかく、ECは業務が多岐にわたるし、業界全体で人が足りなさすぎる。たとえば社内でメルマガだけを担当している人は将来のキャリアプランの広がりを描きにくいのではないか。しかし、メルマガひとつとってもプロのノウハウが存在しているし、まずはそれを獲得し認められることで、自分が考える以上の人材ニーズに触れることができるようになるかもしれない。

    石川氏は「ネットショップ担当者アワード」がキャリアデザインの一助になると指摘している
    石川氏は「ネットショップ担当者アワード」がキャリアデザインの一助になると指摘している

    石川氏:表彰を通じて「自分もああなりたい」というロールモデルが顕在化してくると、どういったスキルを伸ばすことが転職時に有利になるかというイメージが沸きやすいと思うし、企業としてもスキルフルな人材が増えることは望ましいことだ。そうして具体的なスキルを持つ人材が増えていけば、雇用形態も正社員だけではなく外部のプロに委託するという選択肢も増えてくるだろう。

    私自身、複業やプロ人材の活用にネガティブな企業で仕事をしたいとは思わないし、実際に、お固いイメージがあるような大企業から1人のプロ人材として声をかけられる機会も年々増えてきていて、確実な時代の変化を感じている。

    企業側にとっても、担当者が生き生きと活躍している様子を通して人材活用のブランディングを行うことはとても重要た。企業としてもこのアワードが優秀で多様な人材が活躍しているというブランディングの場となり得るのではないか。

    石川氏(右)と、第1回授賞式で「ベストチーム賞」を受賞した大網あみあみ事業部マーケティング部 マーケティング課の小林裕児氏
    石川氏(右)と、第1回授賞式で「ベストチーム賞」を受賞した大網あみあみ事業部マーケティング部 マーケティング課の小林裕児氏

    石川氏:「自分の作業が事業にどう役立っているかわからない」という若手の悩みをよく耳にするが、若い頃からより責任あるポジションをめざすためには、まずは狭い領域でも良いので相対的に1位になることをめざしてほしい

    特定の領域に特化すれば、若手だったとしても頼られる状況を社内で作ることができる。経営に近い人間が事業を推進する際に、プロジェクトにその若手を含めることが合理的になる。どの分野の一番をめざすかは自由だが、先輩社員に得意な人がたくさんいる領域ではなく、誰も開拓できていない領域に特化していくのもキャリア上の競争戦略だと思う。

    ◇◇◇

    石川氏がjoinしている、「ネットショップ担当者フォーラム」4名の選考委員はこちら! 各人のインタビュー記事も続々配信中です。

    ↓↓↓↓↓

    【選考委員長】中島 郁 氏/ネクトラス株式会社 代表取締役【選考委員長】中島 郁 氏/ネクトラス株式会社 代表取締役

    【選考委員】大西 理 氏/スマイルエックス合同会社 代表【選考委員】大西 理 氏/スマイルエックス合同会社 代表

    【選考委員】石川 森生 氏/ルームクリップ株式会社 KANADEMONOカンパニー管掌、オルビス株式会社CDO(Chief Digital Officer)、トレンダーズ株式会社 社外取締役、株式会社RESORT代表取締役CEO 他【選考委員】石川 森生 氏/ルームクリップ株式会社 KANADEMONOカンパニー管掌、オルビス株式会社CDO(Chief Digital Officer)、トレンダーズ株式会社 社外取締役、株式会社RESORT代表取締役CEO 他

    【選考委員】逸見 光次郎 氏/株式会社CaTラボ 代表、オムニチャネルコンサルタント、日本オムニチャネル協会 理事【選考委員】逸見 光次郎 氏/株式会社CaTラボ 代表、オムニチャネルコンサルタント、日本オムニチャネル協会 理事

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    松原 沙甫

    「Yahoo!ショッピング」上半期のトレンドは?「VR」「電動キックボード」「防犯グッズ」「韓国コスメ」「メンズコスメ」など

    1 year 6ヶ月 ago

    LINEヤフーは、「Yahoo!ショッピング」の上半期(1月1日~6月30日)販売実績に基づき、「2024年上半期の7大トレンド」を発表した。

    「電動キックボード」「VR(バーチャルリアリティ)」、バスケットボール部の活動を描いた漫画「ハイキュー!!」関連グッズ、「メンンズコスメ」「韓国コスメ」「スマート家電」「防災グッズ」がトレンド入りした。

    LINEヤフーは、「Yahoo!ショッピング」の上半期(1月1日~6月30日)販売実績に基づき、「2024年上半期の7大トレンド」を発表
    2024年上半期の7大トレンド

    「電動キックボード」の取扱高は、前年同時期比約10.0倍に伸長した。2022年7月に改正道路交通法が施行され、16歳以上であれば運転免許がなくても運転できるようになったことが影響したと考えられる。

    「VR(バーチャルリアリティ)」では、メタバースに関する消費者の注目度が高まっており、VRデバイスの1つである「ヘッドマウントディスプレイ」の取扱高が同約5.2倍に伸長した。矢野経済研究所の調べによると、日本国内のメタバース市場規模(インフラ、ハードウェア、ソフトウェア、サービスの合計)は2024年度に約5000億円を見込んでおり、2027年度には2兆円を超えると予測している。

    2月に公開された「ハイキュー!!」劇場版映画の興行収入は100億円を突破した。漫画原作やアクリルスタンド、キーホルダーなど関連グッズの取扱高は同4.2倍と大きく伸びている。

    「メンズコスメ」「韓国コスメ」もトレンド入り。インテージの調べによると、男性用化粧品市場は右肩上がりで推移、2017年から2022年までの5年間で約1.5倍の376億円規模に伸びている。また、「韓国コスメ」の市場規模も2019年から徐々に成長、2023年には約6倍の約313億円規模に成長した。

    「Yahoo!ショッピング」では「メンズスキンケア、メイク」の取扱高は同1.2倍。「韓国コスメ」は2019年と2023年を比較すると取扱金額は2倍以上に拡大。2024年上半期はさらに前年同時期比約1.2倍に伸長した。

    このほか、「スマート家電」(取扱高は同2.1倍)、「防災グッズ」(同2.5倍)をトレンドとして選定している。

    松原 沙甫

    レビューの違反チェックにかける業務時間とチェック件数を7割減したZOZOのAI活用法とは?

    1 year 6ヶ月 ago

    ZOZOはユーザーが投稿した「ZOZOTOWN」のレビューに対し、生成AIを活用してガイドライン違反を検出する独自ツール「アイテムレビューパトロール」を自社開発、4月からの運用で担当者のガイドライン違反チェックにかける業務時間を導入時と比べて67.7%減、チェック件数を同68.5%減を実現したという。

    「アイテムレビューパトロール」は、ユーザーのアイテムレビュー投稿をAIがパトロールし、「ZOZOTOWN」のレビューガイドラインに基づいて違反レビューを自動で検出する大規模言語モデル採用の自社開発ツール。

    大規模言語モデル特有の不確実性に対応するため、検出されたレビューを担当者が目視で確認することを想定して開発した。

    ツール導入以前は、担当者が違反となるレビューの有無を目視でチェックしていた。ツール導入後は、ガイドライン違反の可能性が高いと判断されたレビューのみをチェックすればよくなり、生産性が向上した。

    4月の導入以降の4か月間運用により、担当者のガイドライン違反チェックにかける業務時間は導入時比67.7%減、チェック件数は同68.5%減につながった。

    今後もZOZOグループは、生成AIを含むAIの業務および事業への活用を進めていく。

    松原 沙甫
    確認済み
    1 時間 7 分 ago
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