米国企業が実施した調査によると、ECにおける人口知能(AI)の役割は拡大し、ECビジネスに大きな影響を及ぼしています。記事では調査結果から、EC業界におけるAIの影響、導入している企業が感じているメリット、AI普及のハードルになっている課題などを分析します。
ECのあらゆる分野でAIの活用進む
AIはまだ技術発展の初期段階ではあるものの、運用の効率化、顧客データの管理の強化、ユーザーエクスペリエンス(顧客体験)の向上に寄与しており、さまざまな規模の企業が手がけるEC事業で変革を起こしています。
ハーバード ビジネス レビュー アナリティクス サービス、AIを活用した検索エンジンの開発を手がけるCoveo、ソフトウェア開発企業のSAPによる調査によると、ECにおけるAIの役割は拡大し、小売業者から他の販売業者まであらゆる分野に影響を及ぼしています。
EC企業のAI活用状況(出典:ハーバード ビジネス レビュー アナリティクス サービス、Coveo、SAP)
ポイント:回答者の81%は、顧客向けのAI活用の運用を成功させるには、うまくいかなかった場合を想定したリスクヘッジが必要であると感じている。
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AI活用の責任者(出典:ハーバード ビジネス レビュー アナリティクス サービス、Coveo、SAP)
ポイント:ITチームと経営チームが一体となって、EC事業のIT活用を成功させるには、強力なリーダーシップを持ってAIや生成AIの活用を推進する人物を組織内に置くことが必要。
AIがECの運営や利益アップに寄与すること(複数回答/出典:ハーバード ビジネス レビュー アナリティクス サービス、Coveo、SAP)
ポイント:AIと生成AIは、カスタマージャーニーを自動的にセグメンテーションし、パーソナライズすることでECの運営を支援する
回答企業の7割がAIの導入を重視
EC企業200社を対象にしたこの調査では、回答者の70%がAIの導入を「非常に重要」または「極めて重要」だと考えています。すでにAIを導入している企業は、AI活用の大きなメリットを実感。また、回答者の69%が、業務効率の向上と作業プロセスが迅速化したことをメリットにあげています。
企業のこのような積極的な姿勢がある一方、AIの普及を妨げている次のような懸念もあります。
- 運用するデータのプライバシー保護やセキュリティが十分でない(55%が回答)
- AIに特化した専門知識を持つ人材の不足(49%が回答)
- 明確なAI戦略が打ち立てられていない(48%が回答)
AIはECの成長に欠かせない存在に変化
調査結果は、私たちが日々感じていることを明らかにしました。AIは、EC事業を成功させるために『あれば便利』な存在から、今では『なくてはならないもの』に変化しています。
こう話すのは調査を実施したCoveoの最高マーケティング責任者であるシェイラ・モリン氏。続けて、次のように指摘します。
顧客が求めるパーソナライズされた顧客体験を提供し、事業の効率アップと成長を推進するためには、事業者はデジタルマーケティングのあらゆる側面を強化するAI搭載プラットフォームの導入・活用を加速する必要があります。時代は今、AIを活用したマーケティングの優劣が問われるAIエクスペリエンスエコノミーに突入しているのです。競争力を維持し、拡張性の高いカスタマーエクスペリエンスを提供するには、AIの活用が不可欠です。(モリン氏)
※このコンテンツはWebサイト「ネットショップ担当者フォーラム - 通販・ECの業界最新ニュースと実務に役立つ実践的な解説」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
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