EC・通販事業を運営する上で、同梱物はリピート率や顧客満足度を向上させる重要な販促手段です。しかし、同梱を行わない企業、どのような同梱物にすべきか悩んでいる企業は少なくありません。同梱物の種類や役割、効果、顧客ロイヤリティを高める具体的な方法を解説します。
同梱物はただの贈り物ではない。LTVを引き上げる重要なファクター
同梱物とは商品と一緒に送付する印刷物のこと。代表例として納品書、挨拶状、商品パンフレットなどがあげられます。
商品が入った配送箱を開封する際、同梱物は必ず目に触れます。そのため、ほぼ100%開封される重要な販促ツールになるのです。
さらに、顧客との最初のコミュニケーションにもなるので、「ただ単に同梱物を入れればいい」というわけではありません。適切な訴求を行うことでリピート率や顧客満足度の向上など、多くの効果を期待することができます。
同梱物の種類と役割
同梱物にはさまざまな種類があります。同梱物の種類とその役割について解説していきます。
挨拶状
商品の購入に対して、感謝の気持ちを伝えるのが挨拶状です。店舗とは異なり、通販では誰とも接することなく商品の購入に至りますので、届いた荷物を開封する時が商品に直接触れる最初の接点になります。
商品開発者や代表からの直筆メッセージなど、丁寧にお礼を伝えることで安心感につながります。それだけでなく「ぜひお試しください!」などのメッセージを入れることで、なるべく早く商品を使ってもらえるように促すこともできます。
利用ガイド① 定期コースについて
送料、2回目以降の価格、解約手続きなど、定期コースのルールをまとめた説明書です。
購入時に確認していた定期コースのルールも、手元に届くころには内容を忘れている可能性があります。メールで内容を配信していても、メールを開封しないユーザーもいるため、同梱物で必ず案内しましょう。
利用ガイド② 商品について
商品の使い方や配合成分、こだわりポイントなどをまとめた説明書です。
商品を正しく使用して効果を実感してもらうことや、商品に対する良いイメージを再度伝えることで利用促進につなげます。
また、「商品が使い切れなかった」ということも解約理由として非常に多いため、化粧品の場合は使用量を実寸大で伝えるなど、わかりやすくなるような工夫が必要です。
ブランドブック
ブランドのコンセプトや商品の開発経緯を冊子にまとめたものです。
「どんな悩みを抱える人に役立つ商品なのか」「どのような理念で商品を開発・販売しているのか」などを伝えることで、ブランドや商品に対する信頼感を高めることができます。
VOC(Voice Of Customer:ユーザーの声)
ユーザーの声や体験談をまとめたものです。特に初回購入の場合は、商品に対してまだ不安要素がある状態のため、2回目以降続けているユーザーのポジティブな声を紹介することで、安心感や期待感を与えます。
ユーザーの声を選ぶ際は、購入回数や年齢などの顧客属性によってカスタマイズするとより効果的です。
その他の同梱物
ここまで紹介した同梱物以外にも、以下のような同梱物も顧客ロイヤリティ向上に効果的です。
種類 役割 チェックシート たとえばサプリメントの場合、カレンダー形式にして商品を飲んだらチェックをする習慣をつけてもらい、継続的な使用を促す アップセルツール 商品のまとめ配送や大容量への切り替えを案内するチラシを同梱し、アップセルによる購買単価アップが期待できる クロスセルツール 取扱商品をまとめたチラシやパンフレットを同梱し、クロスセルによる購買単価アップが期待できる
同梱物は制作する手間やコストがかかりますが、入れ続けるだけでも高い効果が見込めます。
また、商品と一緒に届くため、ポジティブな感情・期待感が高まっている状態でコンテンツを見てもらうことができるため、適切な訴求を行うことで商品に対する好感度をより一層高めることができるのです。
同梱物選定時の注意点
同梱物にはさまざまな種類がありますが、「たくさん同梱しておけば満足度が上がるだろう」といった考え方は危険です。
制作コストや工数、人的コストが増えるだけでなく、顧客に押し売りのような印象を与えかねません。
- 提供した商品の早期使用を促す
- 悩みを解決できる商品だとアピールできる
- 正しいマニュアルで満足度をより高める
- 利用者の声で商品の優良性を追求する
- 関連商品を訴求することで売り上げを増加させる
- 追加注文を促すために割引クーポンの贈呈する
など、各同梱物の目的を整理して構築することも重要なポイントです。
顧客属性に合わせて同梱物をカスタマイズ
同梱物を最大限に活用して顧客ロイヤリティを向上させる、具体的な方法を紹介します。
新規顧客と既存顧客で同梱物を分ける
同じ同梱物を入れ続けると、初回に感じたワクワク感は薄れていきます。そのため、新規顧客と既存顧客で内容を変えると良いでしょう。
- 新規顧客:商品だけでなくブランドや企業の情報などを幅広く提供
- 既存顧客:回数に応じた挨拶状、次回の特典、顧客の声、アンケート実施 など
新規顧客と既存顧客のみならず、継続回数に応じた1対1のコミュニケーション設計を行うことで、飽きずに新鮮な気持ちで商品を継続してもらうことにつながります。
購入経路に応じて同梱物を分ける
購入経路(オンラインかオフライン)によって同梱物の仕様を変えることで、顧客満足度はより高まります。
- オンライン購入の場合
- オフライン購入の場合
- 購入専用の往復はがきを添付する
- 電話番号、FAX番号を記載する
このように顧客のニーズにあった同梱物を設計することで、反応率も大幅に上がります。
逆に、二次元バーコードや電話番号を記載した往復はがきを同梱することは、顧客にとって不必要な情報を提供していることになりかねません。そうすると、反応率が下がるだけでなく、顧客管理面でも以下のようなデメリットを引き起こします。
例:初回購入が電話のケース
初回は電話注文のため、コールセンターが入力した顧客情報で受注できる一方、その顧客が同梱物の二次元バーコードからクロスセル商品を注文することで、顧客情報が重複する可能性がある
このような事態を防ぐためにも、できる限り購入経路に応じて同梱物を分けることが大切です。
付加価値のある同梱物を提供する
初回の同梱物に、自社の通販サイトで使える割引クーポンを入れている企業は多いですが、ただ入れるだけではそのまま捨てられてしまう可能性があります。
そこで、糊付けやミシン目に沿って剥がせるカード型や財布に入れても目立つようにお札サイズにすることで「保管しておこう」という心理が働き、クーポンの利用率(クロスセル率)も向上します。
また、商品サンプルを同梱することで、店舗で商品を買ってサンプルがついてきた時と同じワクワク感を創出することができます。サンプルを気に入ってもらえた場合はクロスセルにもつながります。
対面で接客ができない通販でも、同梱物の活用によって店舗と遜色ないサービスや、特別な体験を提供することができます。そして、それが顧客ロイヤリティを向上させる重要な役割を果たすのです。
※このコンテンツはWebサイト「ネットショップ担当者フォーラム - 通販・ECの業界最新ニュースと実務に役立つ実践的な解説」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:顧客ロイヤリティ向上に重要な同梱物。どんなものを入れたら良い? どんな効果がある? | みんなのCRMアカデミー byライフェックス
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