IT企業のマインドセットとスピード感に学べ ―デジタル・メディア時代のマーケティング | ネットPR.JP

ネットPR.JP - 2014年2月6日(木) 11:07
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マーケティングと情報技術(IT)に関する業界カンファレンス「マーケティング・ITパートナーシップ・サミット」が1月28日、ニューヨーク市内で開催された。マーケターを中心に約100名が来場し、デジタル・メディア時代のマーケティングの課題や先端事例に耳を傾けた。

全体を通して話題に上ったのは、業種にかかわらず、今後は全ての企業が、ある意味IT系企業に変わる必要があるということだ。ITを単なる生産性向上ツールとして使うのではなく、収益機会の拡大や改善に積極的に生かすため、マーケティング企画段階からマーケターとIT専門家が協力することが重要という。同時に、技術面の整備は、そのための準備に過ぎないという指摘も。企業にとって本当の課題は、IT系企業のマインドセットやスピード感を取り入れることであり、そのためには、企業トップがリーダーシップを発揮することや、デジタル・メディア時代にふさわしい人材育成が不可欠であるとの意見が多く聞かれた。

常識を壊す

基調講演は、モンデリーズ・インターナショナルのグローバル・メディアとコンスーマー・エンゲージメント担当バイス・プレジデントのボニン・バウ氏が行った。モンデリーズは、ナビスコやオレオ、リッツなどのブランドを展開する世界的スナックメーカー大手。同社でメディア戦略を率いるバウ氏は、既存のプロセスを破壊し、新しい価値を創造する概念「ハッコノミー(Hackonomy)」と、それがマーケティングに与える影響を説明した。

モンデリーズ・インターナショナルのバイス・プレジデント、ボニン・バウ氏

モンデリーズ・インターナショナルのバイス・プレジデント、ボニン・バウ氏

ハッコノミーとは、ハッキングとエコノミーを掛け合わせた造語だ。ハッカーといえばITシステムに不正侵入する犯罪者のイメージがあるが、バウ氏は、「問題解決の専門家」としての側面に注目。「行き詰まりと思われる状況を打開し、扉を開くのがハッカー」と述べ、ハッカーの思考で従来の商習慣や常識を壊すことにより、企業や社会、あるいは製品開発といった全ての組織やプロセスにおいて、新しい価値を創造できる可能性があると語った。

ハッコノミーを提唱するようになった背景には、モバイル端末の急速な普及と、ソーシャル・メディアの利用拡大があったという。また、「2020年までに、スーパーストアで売られる全商品がWebサイトに接続される」という調査会社の予想を紹介。「それが本当なら、モンデリーズはいずれ世界最大の技術系企業の一つになる」と考えたことも、デジタル・メディア戦略見直しのきっかけになったという。

ゲームアプリから利益を創出

バウ氏が取り組んだ「常識破り」の1つが、モバイルゲームアプリの開発だ。クッキーのオレオ・ブランドを若者層に認知させるため、ゲームアプリ開発を提案してきたブランド・マネージャーに対し、バウ氏はモバイルゲーム開発会社と協力することをアドバイス。ブランド・マネージャーはそれを聞き入れず、従来のマーケティング企画の場合と同じく代理店に開発を依頼した。こうして出来たアプリは、5万超のダウンロードを記録した。

しかしバウ氏は、それとは別にゲームアプリ開発会社を使ってのアプリ開発を指示。オレオ・クッキーを操作して遊ぶアプリ『Twist, Lick, Dunk』は400万ダウンロードを達成し、一時は12カ国でナンバー1アプリになった。このアプリでは、モンデリーズ以外のブランドにインゲーム広告を販売。ゲームアプリという同社にとっては新しいマーケティング・チャンネルから、利益を創出する成果を上げた。

バウ氏はほかにも、テレビ広告とソーシャルおよびモバイル要素を統合したブランド・キャンペーンとして、音楽系ケーブルテレビ番組向けに行ったガムのブランド、トライデントの例を紹介。トライデントがターゲットとする若者層に「今聞いている曲」をツイートさせ、その結果を番組内容に反映させた。その結果、ターゲット層へリーチできた割合が、従来の18%から50%超に急拡大したという。

新興企業で幹部を教育

モンデリーズでは、ハッコノミーを大企業の文化に根づかせるための取り組みも実施した。「モバイル・フューチャーズ」という企画では、新興企業を対象に同社ブランドのキャンペーン案を募集。集まった約300件から9件を選び、それぞれにブランドを割り当て、ブランド・マネージャー、新興企業、代理店、メディア、そして流通パートナーでチームを組ませ、パイロット・プログラムを立ち上げた。

モバイル・フューチャーズのルールは、参加ブランド(モンデリーズのブランド)がプログラムの予算を保証する、プログラムを90日以内に開始する、ブランド・リーダーが新興企業で1週間勤務する――の3点だけだった。

この企画は、幹部に新興企業の思考やスピード感を学ばせるという点で効果があったという。

レストランも技術系企業に

飲料大手ペプシコや流通大手ターゲットを顧客に持つデジタル・メディア専門代理店ヒュージの最高経営責任者(CEO)、アーロン・シャピーロ氏は、企業がデジタル経済を勝ち抜くため、マーケターが技術に明るくなる必要があると訴えた。

ヒュージのCEO、アーロン・シャピーロ氏

ヒュージのCEO、アーロン・シャピーロ氏

シャピーロ氏は、「デジタル(技術)は、かつては社内で数人の専門家だけが理解していればよかった。しかし、今や米国企業の(活動の)中心的役割を果たすようになり、それとともに組織も変化してきた」と現状を分析。地方のレストランから世界最大のピザチェーンに成長したピザハットを例にとり、Webサイトは当初、顧客に来店してもらうために存在したが、今ではWebサイトと店舗の役割が逆転していると説明、「店舗が顧客をWebサイトへ誘導し、オンライン注文につなげる役割を果たしている」と述べた。ピザハットは年商55億ドルのうち、オンライン売上が半分近くの20億5000万ドルに達するという。

シャピーロ氏は、「好むと好まざるにかかわらず、現在は全ての企業が技術にかかわっている」「ピザを焼いているレストランもフットボールを売っている会社も、アマゾンやグーグルと同じ技術系企業だ。技術系企業のマインドセットを持たない企業は、将来、生き残るのは難しい」と指摘。「これからは、ITに一度投資すればそれで終わり、ではなく、継続的にアップデートと投資が必要だ。IT系以外の企業にとっては、意識改革が必要になる」と述べた。

>>次ページ「マーケターに必要な素質

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