「ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないリスク」って? | イケダノリユキのCommunitainment Blog

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何やら今日はブログとtwitter界隈で熱い議論が繰り広げられているので、新幹線車中ということもあり、便乗してみます。


まず、ことの発端は、こちらのブログ。


大企業はなぜソーシャルメディアを恐れるのか?|ループスコミュニケーションズの斉藤社長


そして次に、こちらへ波及。


大企業がソーシャル メディアに踏み込まないわけ|マイクロソフト ソーシャルメディアリード クマムラゴウスケ氏


さらにこちらへ。


SMM、求められているのは議論すること。権威を信じないこと。|イケダハヤト氏


という、議論の連鎖が生まれた。スバラシイことですね。


ブログでのこういった建設的な議論を通して、書き手の考えも整理されるし、ブログの読者の方々も大変参考になると思います。


ということで、どこまで便乗できるかわかりませんが、ちょっと僕の考えを書いてみます。


まず、大前提として、僕はマーケッターであり、ソーシャルメディアマーケティングエージェンシーを名乗る会社の代表であるということ。


大学教授でも思想家でも作家でもジャーナリストありませんので、あくまでクライアントワークの視点から全てを考えています。あるべきソーシャルメディアのありようや、ソーシャルメディアマーケティングの「べき論」も当然考えますが、それは全て事業主(クライアント)が納得して実施に至らなければ意味がない。


だからと言って、「お金をもらえれば何でもやります」というスタンスではありません。どちらかと言うと、それの真逆のスタンスを心がけています。つまり、クライアントがソーシャルメディアマーケティングを実施したがっていて、予算もついていて、うちに頼みたいということがほぼ確定していても、そのオーダー(オリエン内容)自体が間違っていると思ったら、まずはそこから正します。


●今回のケースでは、そもそも問題はソーシャルうんぬんの話ではなく、ボトルネックは別にあるのでは?
●そのボトルネックを解決するためには、ソーシャルメディアマーケティングというオプションは優先順位が低いのでは?
●そもそもその期待する効果は、ソーシャルメディアマーケティングの強みでは解決できない領域のため、こちらの施策に切り替えた方が良いのでは?


こんなやりとりをするようにしています。


うちも営利を追求する株式会社ですから、「発注したい」というオーダーに対して断るなんて言語道断なわけですが、近視眼的な取り組みでは誰もハッピーになれません。


大切なお金を出すクライアント、クライアントのお客様、そしてうちの会社がハッピーになるオールウィンの取り組みじゃないと、意味はありません。(ちょっとキレイゴトですかね・・・でも本心です)


ということで、前段がやたら長くなってしまいましたが、そういった視点で、今回の皆さまのエントリーを読んでいてまず頭に浮かんだのは、ソーシャルメディアマーケティングを検討する事業主の認識です。


これはまさにクマムラさんが仰るとおり、企業規模の問題というよりも、企業文化の問題だと思います。例えば、サントリーさんはハイボールのキャンペーンで、かなり緻密かつ大規模な取り組みを実施して大成功をおさめましたし、日産自動車のTIIDA Blog、歴史100年の貝印が取り組んでいるカイタッチプロジェクトなど、事例はいくらでも見つけられます。


もちろん、失うものやステークホルダーへの影響力などを考えると、大企業の方が「チャレンジすることによるリスク」は大きいかもしれません。でも、これは逆に言えば、「チャレンジしないことによるリスク」も同様に大きいわけです。


つまり、取り組みも影響力も大きいため、中小企業よりもその触れ幅が大きい。今回の議論の発端は、「ソーシャルメディアマーケティング」と「企業規模」についての議論で、たぶんループスの斉藤社長も(これは僕の勝手な想像ですが)日々事業主と営業で接している中で、話がなかなか前に進まないという葛藤もあったんだと思います。


同様に僕も同じ葛藤を感じますが、でもこれは企業規模というよりも、業界やその企業の文化なんですよね。同じ業界でも新しい取り組みに積極的な企業もいれば、そうじゃない企業もある。例えば、食品業界は「安心・安全・品質」が重要です。金融業界だって、コンプライアンスの観点からすごくセンシティブです。でも、やる企業はやるし、やらない企業はやらない。


うちの会社がご支援させて頂いている企業も、業界はバラバラです。ドメスティックかつコンサバティブな業界でも、チャレンジ精神が旺盛な企業もいる。だからうちは、まずお引き合いを受けたときに、業界ではなく、その企業の文化を一番見るようにしています。


「ソーシャルメディア」を受け入れる企業文化。それは、「真の顧客志向」を持っている企業かどうかです。タテマエやポーズで取り組むのではなく、真摯にソーシャルと向き合う文化や心の準備ができているかどうか。


「メンドクサイけど上からやれって言われたから」とか、「他社も成功していてうちもなんかうまくやりたいと思ったから」とか、「なるべく手間をかけないでやれる方法ってある?」などと仰るご担当者もしくは企業とは、なるべくそれ以上のお話はしないようにしています(すみません・・・)。


2010年のうちのテーマは、「ソーシャルメディアマーケティングの啓蒙」ですが、残念ながらまだまだ小さい会社なので、全てに対応できるわけではありません。だから、なるべく事業主、事業主のお客様、つまり社会に良いアウトプットが出るようなところから先に仕事をさせて頂いています。


経験則的に言えば、成功するプロジェクトとイマイチなプロジェクトの違いは、そのプロジェクトチームのメンバーによると思います。それが全てと言っても良いかもしれない。遠慮なしに言いたいことが言い合える雰囲気や、ソーシャルメディアマーケティングに対しての理解、そして何よりも熱意。


企業規模ではなく、そんなチームが組めるときに、良い成果が出ると思います。


だいぶ長くなってきましたが、もういっちょ(というか、これが本題だった・・・)


(1)なぜ企業はソーシャルメディアマーケティングを魔法だと思ってしまうのか
(2)ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないリスクは何なのか


この2点について考えてみます。


(1)については、本当に日々多くの事業主の方々とお話していて、体感値として感じることです。このブログを読んでくださっている、いわばソーシャルメディアマーケティング領域ではイノベーターかアーリーアダプターのような方々からすれば、「まだそんなこと言ってる奴がいんの?」と思われるかもしれませんが、僕の体感値からすると、まだ80%以上の事業主が、ソーシャルメディアマーケティングを魔法だと思っています。いろいろな議論の多くは、「正しい認識」がされていないことに端を発しているケースが多いように思います。だから、2010年はこういった認識を持つ事業主を1社でも少なくし、できる限り多くの事業主が「ソーシャルメディアマーケティングの本質」を理解して、それぞれの活動につなげていって頂きたいと思っています。(それらが他社のモノマネじゃダメですよ、というのは、先ほどのハヤト君のエントリーの通りです)


(2)については、意外と語られることないですよね。僕が気づいていないだけかもしれませんが、「ソーシャルメディアマーケティングに取り組むメリット」は多数語られていると思いますが、ソーシャルメディアマーケティングの知識がまだあまりなかったり、「炎上」などのリスクに敏感になっている事業主からすれば、「取り組むメリットはわかるけど、取り組まなかったらどんなリスクがあんの?」というところも気になるはずです。


クマムラさんも、「ソーシャルメディアマーケティングの一番のリスク。それは、ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないことだ」と仰っていましたが、僕も同感です。では、具体的にどんなリスクがあるのか。それをざっと書き殴ってみます(思いつくまま書きますので、異論反論は優し目でお願いしますw)



なぜ企業はソーシャルマーケティングを魔法だと思ってしまうのか


●メディアが扇動する煽り記事に触発されるから。導入初期は成功事例ばかりがもてはやされ、その裏側に数倍は存在している失敗事例は取り上げられない

●「何だかすごそうだ」という根拠のない万能感(打ち出の小槌感)が強く、その本質が深く議論されたり洞察されることなく「手法」だけが一人歩きしてしまう

●それを商売の生業にして一儲けしようとする周辺事業者が、これまた本質的なこと(できること、できないこと)をキッチリ事業主に伝えず、「これで全てが解決します!」と営業してしまい、事業主がそれを信じてしまうから(これは両社の勉強不足なので、ある意味両成敗)

●バナーやリスティング等、ある程度効果が予測できる手法に比べて、成功すれば大きな効果が得られる可能性があると感じてしまうため(成功事例ばかりが目につくためとちょっと同じ)

●とにかく既存の手法に対する閉塞感が強く「新しい手法」ということで飛びついてしまう(「これで今までには得られなかった何か新しい成果が得られる」という曖昧な動機、というか逃げ)

●上記に似ているけど、新しいもの好きな担当者が、とりあえず先駆的な取り組みをして注目されたいとして、深く考えず取り組んでしまう




次に、SMMに取り組まないことによるリスクについて。


ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないリスクは何なのか


まず、前提。


●高度に成熟した現在の市場においては、新市場開発は非常に難しい。となると、今後の自社の売上をつくる戦略オプションとしては、①既存顧客をいかに失わず、②競合顧客をいかに奪取できるかの2つしかない。この双方を従来のマーケティングコミュニケーション手法で解決しようとすると、莫大なコストがかかるし、コストをかけても実現させることは容易ではない


その上で、SMMに取り組まないことによるリスク。


●これからの競争ドライバーは、いままでのブランドエクイティを構成する要素(認知、連想、知覚品質、ロイヤリティ)から大きく変わってくる。今までは、これらを形成するために、商品力、広告、PR、CRMが重視されたが、ロイヤリティの形成は現状のCRMでは限界が見えている。ソーシャルメディアマーケティングに取り組まないと、既存顧客「以外」の潜在顧客とゆるやかにつながり、興味を持ってもらい、顧客になっていってもらうプロセスを効果的・効率的に行うことができない

●キズナの形成には時間がかかる。キズナはお金では買えないのだ。マーケティングは競争の学問である。自社がソーシャルメディアマーケティングに取り組まず、競合他社と自社の顧客もしくは自社が狙う潜在顧客と自社よりも先に深いキズナを形成されてしまうと、それをひっくり返すのは非常に困難となる(もしくは尋常ではないリカバリーが必要となる)

●ソーシャルメディアは現実社会そのもの。その現実社会を斜めに見て、「怖い」「必要性を感じない」などと考える旧態依然とした企業文化では、これから向かえる真の消費者主導社会の中で「浮いた」存在になるだろう。私たち消費者は、自分と対等かつ真摯に、そして継続的に会話をしてくれる企業及びその「中の人」に共感する。これからの商品選択のキードライバーとなる共感は、一朝一夕では得られない。言葉だけ独り歩きしたエンゲージメント。つまりキズナは、長い期間、蓄積されて始めて効果を発揮するのだ。

●消費市場は、商品市場、消費者ともに高度に成熟しており、今後の10年を見据えると、戦後60年続いてきたマーケティングパラダイムやマーケティングコミュニケーションでは思う効果が得られなくなることだけは間違いない。ソーシャルメディアマーケティングだけに限らず、新たな取り組みにしり込みする企業は、生活者や顧客に見放され、早晩、関与や信頼、ロイヤリティを失っていく可能性が高い(これはちょっと乱暴な議論かも)


という感じでしょうか。


長くなると相変わらず支離滅裂な感じがしますが、(毎度)ブログということでお許しを・・・。


とにかく、ソーシャルメディアマーケティングでできること、できないことを多くの方が理解することが大切だと思っています。私たちが思っているほど、その人数は多くありません。僕だって、まだまだまだまだ勉強の途中です。というか一生勉強です。


そんな状況の中で、「奴らはわかってねぇなぁ」とか、「だめだ、あそこは」と言うのは簡単です。でも、それじゃ意味がない。2010年、体は一つしかありませんが、幸いうちの会社には優秀なスタッフがいます(笑)。メディアでは「2010年はソーシャルメディアマーケティング元年」なんて言われ始めましたが、「流行」ではなく、「本質」を伝え、「実行」され、できる限り「成果を出す(&成果を測定できる)」啓蒙活動や実行支援をして行きたいと思います。


以上っ!

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