ネオマーケティングは、「AI故人」に関する調査結果を発表した。AIに興味を持つ20歳以上の男女1000人が回答している。「AI故人」(デジタルゴースト)とは、生成AI・画像合成・音声合成などのテクノロジーを使って、故人を再現したもの。一般から企業まで、さらにはエンタメやコンテンツ領域まで関心が高まっている。しかし、本人同意・肖像権・同一性の担保・遺族配慮などに加え、倫理面の課題も多い。
この調査では、AI故人について、認知、感じ方、許容・不許容の理由、関係性の範囲、利用目的、自己AI化への態度などを多角的に聴取している。
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AI故人の許容は、否定的な立場の人がやや優勢
まず「故人をAIで再現すること(=AI故人)」を知っているかを全体に聞くと、「名前は聞いたことがある」が42.8%に占める。年代が低いほど理解は進み、「詳しく知っている」割合は20代(23.0%)と60代(4.5%)とでは大きな差が見られた。
「AI故人を許容できるか、できないか」を聞くと、「許容できる」209人、「許容できない」283人と否定的立場がやや優勢。
AI故人を許容できる209人があげた「許容できる理由」としては、「故人との再会を望む気持ちがある」57.4%がやや多く、「生前の記憶を形に残せる」41.6%、「未練や後悔を癒す手段になる」39.7%、「家族の精神的支えになる」39.2%なども上位だった。「テクノロジーの進化として受け入れられる」34.9%や「故人の知識・思考を後世に残せる」32.1%といった合理性も一定支持があった。
男女別で見ると、男性は「未練や後悔を癒す手段になる」「故人の知識・思考を後世に残せる」が高め、女性は「生前の記憶を形に残せる」「家族の精神的支えになる」が高めと、やや傾向に違いがある。
一方、AI故人を許容できない283人があげた「許容できない理由」では、「故人の尊厳を損なうと感じる」42.0%と「違和感がぬぐえない」41.3%がほぼ並んで多かった。
男女別では、男性は「故人の尊厳を損なうと感じる」51.4%、「倫理的に問題がある」40.3%が高く、規範意識を重視しているのに対し、女性は「違和感がぬぐえない」47.5%、「精神的に受け入れがたい」35.3%など、感情を面の重視が見られる。
年代別では60代で「違和感がぬぐえない」50.7%が突出。一方20~30代は「故人の意思を確認できないため不適切」「遺族間で意見が分かれそう」など、手続き・合意に関する懸念が目立った。
あらためて全体に「AI故人の再現の許容対象(関係性の範囲)」を聞くと、「親」32.1%が最多だが、「誰であっても受け入れられない」30.0%がほぼそれに並ぶ。性別では、男性は「誰であっても受け入れられない」が高いが、女性は「配偶者」が高い。また女性は「ペット」18.8%が男性の9.2%のほぼ倍に達した。
あわせて「AI故人の利用目的で許容できる範囲」としては、全体の41.2%が「家族の精神的支え・供養」を主な許容目的としてあげた。特に女性は45.4%と平均より高い。一方で、男性は「生前の経験・知見の継承」25.0%、「科学的・歴史的アーカイブ」18.8%など、知的遺産活用に対する関心が相対的に高かった。
最後に「自身が死後、AI化されることについてどう思うか」を聞くと、賛成派(賛成+どちらかといえば賛成)は15.4%にとどまり、反対派(反対+どちらかといえば反対)は44.7%と多数。年代別では若年層ほど前向きで、性年代別では男性20代の賛成派30.0%、女性60代の反対派65.0%が目立つ。
なお「AI故人のサービスを利用したいと思うか」については、17.2%が前向きで、若年層ほどAI故人に対しポジティブで、男性20代では30.0%にまで達している。
調査概要
- 【調査対象】全国の20歳以上の男女(AI技術にまったく興味がない人は除く)
- 【調査方法】ネオマーケティングが運営するアンケートシステムを利用したWebアンケート
- 【調査時期】2025年9月28日~29日
- 【有効回答数】1000人
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