BigQueryはGoogle Cloudが提供する費用対効果に優れたデータウェアハウスです。

Google アナリティクス 4(以下GA4)のデータをBigQueryにエクスポートし、そのデータを使ってGA4のレポート画面では再現できない独自の集計処理やLookerStudioをはじめとする様々なダッシュボード/BIツールでデータの可視化/分析を行なうことができます。
さらに、CRMや基幹データなど様々なデータと統合、連携することでより幅広いデータ活用が可能になります。

これまでのユニバーサルアナリティクスでは有償版しかBigQueryへデータエクスポートを行うことができませんでした。
GA4からは有償版、無償版問わず誰もがBigQueryへのデータエクスポートを行なうことができるようになりました。
このようにBigQueryを利用するためのハードルが下がり、導入を検討される企業が増加しているかと思います。

しかし、無償版のGA4を利用している場合はBigQueryへのデータエクスポート件数に上限が設けられています。

本コラムでは上限を超えた場合に起きること、その解決方法を解説します。

  1. BigQueryへのデータエクスポート件数の上限
  2. 上限を超えるとどうなるの?
  3. 解決方法
  4. 補足
  5. 最後に

BigQueryへのデータエクスポート件数の上限

GA4 無償版にはBigQueryへのデータエクスポート件数には以下の上限が設けられています。

100万イベント/日

GA4はページビューやコンバージョンなど様々なデータをすべて「イベント」を使って計測します。
そのイベントの合算した数が1日で100万を超えてしまうと上限にかかります。

なお、この上限はプロパティ単位で適用されます。

上限を超えるとどうなるの?

100万イベント/日を超えてしまうと、BigQueryへのデータエクスポートが停止します。
上限を超えた日だけが停止されるのではなく、停止された日からデータエクスポートされなくなりますのでご注意ください。

ただし、ある日突然停止することはなくGoogleから以下のようなメールが送付されます。

メールを受け取ってから6日以内に解決することで停止することなく継続して利用することができます。

また、GA4の管理画面にも警告が表示されます。

この画面は日本語表記になっており停止される日付も記載されているのでメールを受け取ったら管理画面を確認するとよいでしょう。

管理 > サービス間のリンク設定 > BigQueryのリンク

なお、解決せずに放置しているとデータエクスポートが停止し管理画面では以下のように表示されます。

解決方法

データエクスポートの停止を解決する手段は以下の2つがあげられます。

GA4 有償版にアップグレードする

GA4 有償版にアップグレードすることでデータエクスポートの上限数が以下のとおり増加します。

  • 数十億イベント/日

制限がなくなるわけではないのですが、実質無制限と言っていいでしょう。

アクセスが膨大なサービスはBigQueryの利用を検討している段階から有償版へのアップグレードも視野に入れて取り組むことをおすすめします。

データエクスポートの対象となるデータを制限する

GA4からBigQueryにエクスポートするデータを絞ることでエクスポート件数を減らし100万イベント/日以内にする方法です。

絞ることができるデータは以下の2種になります。

1.データストリーム単位で絞り込み

エクスポートに不要なデータストリームを選択から外すことで、そのデータストリームで計測されるイベント全てがエクスポート対象外となります。
例えば、検証用サイト/アプリのデータストリームがあれば外してしまってよいでしょう。

管理 > サービス間のリンク設定 > BigQueryのリンク

2.イベント単位で絞り込み

特定のイベントを指定または選択することで、その設定されたイベントがエクスポート対象外となります。

選択されたイベントはエクスポートされなくなります。

この設定はデータエクスポート後であってもいつでも変更できます。

ただし、注意点としてエクスポート対象外となった過去データは後から再エクスポートすることができません。(絞り込んだデータは設定後から反映されます)

BigQueryは全量データをもれなく扱えることにメリットがあります。

全量データがあれば様々な要件にそった集計処理や分析が可能です。

おそらく多くの企業はBigQueryのデータを様々な目的で利用しており、将来を見据えても細かな与件がないことも多々あるように思えます。

新しく生まれた与件の中に対象外データが必要となった場合、本来できたことができないという事態も考えられます。

与件がない状態で絞り込むのはリスクを伴いますので、GA4 有償版にアップグレードし上限数を増化しておくことが得策になります。

補足

GA4からBigQueryにデータエクスポートする、またはしている方で現在どれくらいイベント数があるか知りたいと感じる方が大半だと思います。

イベント数は以下より簡単に確認できます。

以下のキャプチャにある赤枠の数値がイベント数になります。

例えば1ヶ月間のデータを確認して30、31で割ると1日あたりの平均イベントが出せますので100万イベントを超えているか、超えそうかをご確認ください。

レポート > エンゲージメント > イベント

注意点としては「しきい値」が適用される場合があります。

しきい値が適用されると本来よりも少ない数値になることがあるためしきい値を適用しない状態で確認してください。

しきい値の適用有無はレポート画面の見出し横にあるアイコンをクリックすることで確認できます。

しきい値を適用しないようにするには管理画面上で設定します。
「レポート用識別子にGoogle シグナルを含める」の項目にあるスイッチをオフにします。

管理 > データの収集と修正 > データの収集

最後に

GA4 有償版はBigQueryのイベント数上限増加の他にも様々な機能の上限緩和や有償版独自の機能、SLA(データ品質保証)などたくさんのメリットがあります。

是非、以下のコラムもご欄ください。
GA4有償版はどんな時に必要?無償版との違いを解説

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この記事を書いた人
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藤田 佳浩
デジタルソリューション事業部
シニアデータソリューションコンサルタント
フロントエンドエンジニアからコンサルタントに転身。培ってきた技術を活かして、設計から実装、データのアウトプットイメージまで一気通貫での提案、サポートを強みとしている。
休日はベランダガーデニング、盆栽、テラリウム、ビオトープと、土と緑をこよなく愛する。
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