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【視聴レポ】「これからのウェブ解析」小川さん、江尻さん対談

5 years 10ヶ月 ago

こんにちは、雪の降らない新潟でウェブ解析をやっている、提案型ウェブアナリスト兼ウェブ解析士の杉山です。

あるようで無かった、ウェブ解析の最前線に立つ小川さんと、ウェブ解析士協会代表理事、江尻さんの対談。

 

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Chromeのサードパーティークッキー、AIや自動分析、SafariのItpなど、今後のウェブ解析の行方は?対談の中で特に気になった5つをピックアップしました。同時接続人数も最大70名を超えており、30分ほどの延長となりましたが、多くの方が視聴しコメントをされていました。

 

2020年とそれ以降どうなるか?

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小川さん(以下、小)Chromeが2年後に向けてサードパーティークッキーを使えなくする。UAを廃止して固定化するという検討も進んでおります。取得出来る情報自体が大きく減ってくるのは間違いないでしょう。

blog.chromium.org

 

groups.google.com

 

江尻さん(以下、江)ここ数年では一番大きい変更ではないんじゃないですか?

 

小:複数回来てもらうことでコンバージョンに繋がるサイトや、同業他社が多いところ、ECサイトなんかが集客しずらくなってくる。Safariがすでに違う方式で取り組んでいますね(ITP)。

 

そのため集客については今まで以上に、ブランド認知(サイト名や特徴を覚えてもらう)が大切になってくることは間違いありません。戦いにくくはなるかと思いますが、その分様々な可能性があるのかなと感じています。

 

江:広告主とユーザーのいい接点を作っていくということですね。

 

これから先はどうなるか?

江:2025年とするとどうなっていくと思いますかね?

 

小:逆に5年前と比べると実際そんなに変わっていないんじゃないですか?

ソーシャルやアプリの台頭はありましたので、Webサイトそのものの重要度は相対的に下がってきているし、今後もその傾向は続くでしょう。

 

江:2015年はRTBみたいな、アドテクとかですかね?。

 

小:そうですね、広告周りが進化していったり、画像動画・SNS系とかですかね。

今後はVRとかARもウェブマーケティングや解析の対象範囲になってくるでしょう。それに伴って、先ほどもお話ししたようなプライバシーの問題も今後大きなテーマになってくるでしょうし。

 

江:VRとか、ARが出てくると、そこの広告やユーザー行動のトラッキングが必要になってきますね。

 

小:そうですね、ウェブサイトだけの分析はすでにきつくなってきていますね、サイトは無くならないけれど、ソーシャルメディアやアプリなどの範囲自体は確実に広がっていって、そっちも見ないとわからなくなっていくし、実際に見る案件も増えています。

 

江:僕らがウェブ解析と言った時に「ホームページを解析」してるけど、変わるよねってことですね。

 

小:そうですね、解析ツールがどうなっていくかはわかりませんが、分析の自動化も少しずつ進んでいくとは思います。そのため分析そのものよりは、データの設計の部分は2025年も確実に存在するし、重要度は増すかなと。

 

江:他には「個人情報を守る」ということも大事な仕事になってくるんじゃないかと、例えばログデータ取らないなどマスキングすることも重要になってくると思ってます。

 

小:そういった仕事が増える可能性もありますね、解析で取得出来るデータで何がOKかNGか我々がしっかり認識し、ウェブ解析士協会としても発信する責任があるかなと。

 

江:VRやARなど、トレンドを知ることが重要ですね。オウンドメディア+αが必要になってきています。

 

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Cookieに代わる対応策はあるんですか?

小:FingerPrintingとかですかね*1

 

江:Googleは嫌がっていますが。

 

小:後は、ユーザーが同意した上での会員登録をしてもらうような仕組みとかをサイト側が整えるなどかなぁ。

 

江:ユーザーが望まない形で個人情報(Cookie)を使うのがアウトになりますね。

 

小:そうなっていくでしょうね。ただ取得出来るデータが減っても、分析や改善は出来ると思っています。例えば、5年ほど前にGoogle アナリティクスでは検索キーワードが取得できなくなりましたが、それでもどうにかなっていたりするので。

 

AIや自動分析が進む中でどう生きて行けばいいのか

江:僕らはAIにとって変わられるんですかね?

 

小:AIとか自動分析は進んだ方がいいですね。むしろ、とって変わられた方がいいと思っています。

ここ数年、データ設計の仕事がすごく増えました。設計が間違っていると正しいデータが取れないし、自動分析しても精度落ちますよね。

 

江:リスティング広告とかもだいぶ変わってきてますよね、解析も上手く使えるように設計する、そうなっていくんですかね?

 

小:改善案を考えられる時間が相対的に増えるので、我々にとっては追い風かなと。AIは今あるデータでしか判断できないが、改善案は人間が考える必要があり、自分の引き出しやノウハウから出てくるものですし、そこは無くならないと思います。

 

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小川さん、江尻さん、二人の今後のウェブマーケティングのあり方について。

小:一つだけあるとしたら、ユーザーに取って価値のあるKPIとか数字をを考えて、設定して行って欲しいですね。

 

例えば、コンテンツ(オウンドメディアなど)はユーザー(読んだ人に)の態度変容をさせることじゃないですか、旅行したい、やってみたいなど。そこをどうにか計測していくことが重要かなと。

 

ユーザーに取って価値があるか無いかの指標を測る、ウェブマーケティングを意識していただけると良いかなぁと思います。

 

江:ユーザー軸のKPIやウェブマーケティングと言うことですね。それは僕は全く同感で、もう一つ言うと、そいういった事を経営層とか幹部層に適切に伝えて納得してもらいやすいのは、多分マーケターではなくて解析士なんかじゃないかと思っています。

 

小:そうですね、満足度が高いユーザーは繰り返し来てくれるとか、購入してくれる確率が高いなど、データで分かれば、そこもきれいに繋がりますね。ちょっと中長期的な指標になるかと思いますけれども。

 

江:中長期的な指標を大事にして、ユーザーを見ましょうということですね。

 

視聴しての感想

他にも音声検索や、アクセス解析の力をつけるための方法、地方のウェブ解析士の活動についてなどもありました。

 

比較的共通して言えることは「ユーザーの事を見て、解析設計や分析、改善提案を進めていく」事が大事かなと感じました。

 

地方にいると、ウェブの技術の進み方に必ずしも対応できると限らない(資金的にも、人員的にも)企業さんもいるのですが、無理して対応するのではなく、ユーザーを見て、できることをやっていこうかと思います。

 

ウェブ解析士協会では、もしかしたら今後も対談があるかもしれないとの事です、気になる方はこちらからどうぞ!


(一社)ウェブ解析士協会

www.waca.associates

 

 

 

www.youtube.com

 

 

江尻さんTwitter

twitter.com

 小川さんTwitter

twitter.com

*1:という話をしていましたが、前述のUserAgent回りの方針などを見ると、こちらは今後相当厳しそうですね

売上を全額NPOに寄付するZOZOの「夢企画」、2020年に毎月実施

5 years 10ヶ月 ago

ZOZOは1月24日、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」の15周年企画として、衣食住や音楽、スポーツなど各界の著名人の私物などを販売するチャリティー企画「ZOZO夢」を開始した。

2020年を「ZOZOYEAR」と題し、毎月異なるテーマで商品を販売。売り上げの全額を、難民の子どもたちの教育支援などを行なっている特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)に寄付する。

1月は「初夢」をテーマに16品目を販売する。フランスのプロサッカーチーム「パリ・サン=ジェルマン」に所属するネイマール選手らの直筆サイン入りユニホーム(20万2020円)や、女優でモデルの水原希子さんが着用した私物コーディネート(2万200円)、写真家レスリー・キーさんにポートレートを撮影してもらえる権利(2万200円)などがある。

1月の出品内容は以下の通り。

  • 書道家・青柳美扇によるお子様の命名書
  • クロスフィットトレーナーAYAの特別パーソナルトレーニング
  • 藤原裕(ベルベルジン)のハンパねぇ私物ヴィンテージアイテム
  • アーティスト加賀美健が名前を書いてくれる権利
  • 天才ヴァイオリニスト木嶋真優の特別演奏
  • 人気コスプレグラドル九条ねぎとリアル脱出ゲームで1日デート
  • スタイリスト熊谷隆志のヴィンテージチェア2脚
  • レスリー・キーにポートレートを撮ってもらえる権利
  • 水原希子の私物コーデ一式プレゼント
  • 気学鑑定士/ビューティージャーナリスト中嶋マコトによる占い&メイクアップ指南
  • ネイマール・エムバペ・カバーニ 3名のサイン入りユニフォームパネル
  • ROLANDとの夢の一夜@THE CLUB
  • BEAMS設楽社長からNIKEが誇るあの未来のシューズを!
  • MANHOOD 辻のぞみの私物ヴィンテージアイテム4点セット
  • ALEXIA STAMのレセプションパーティーご招待&コーディネート提案
  • LIFE's 吉田怜香がコーディネート&ヘアメイクをしてくれる権利

応募者の中から抽選で購入者を決定する。抽選結果は当選者のみにメールで通知する。応募には「ZOZOTOWN」の会員登録が必要。支払い方法は銀行振込のみ。

なお、ZOZOでは、ファッション、食、住、音楽、スポーツなどさまざま分野の「ZOZO夢」商品を一緒に実現するパートナーを募集している。

 

渡部 和章
渡部 和章

「au Wowma!」が「au PAY マーケット」に名称変更、、「au Pay」のオンライン決済にも対応へ

5 years 10ヶ月 ago

KDDIは1月28日、グループで提供する決済・コマースサービスに関し、「au PAY」ブランドを冠したサービス名称へ2020年2月以降、順次変更すると発表した。

ショッピングモールの「au Wowma!」は「au PAY マーケット」へ名称変更となる。

KDDIは、グループで提供する決済・コマースサービスに関し、「au PAY」ブランドを冠したサービス名称へ2020年2月以降、順次変更すると発表し
「au PAY」ブランドを冠したサービスに名称変更する

「au PAY」は現在、オンライン決済に対応していない。ショッピングモール「au PAY マーケット」は2月以降、「au PAY」のオンライン決済に対応していく方針。

KDDIは2月4日、「au WALLET アプリ」を「au PAY アプリ」へと名称変更。「au PAY アプリ」は、1つのアプリで家計や日常生活に関わるすべての入り口となる「スーパーアプリ」をめざすとしている。

2019年4月にスマホ決済サービス「au PAY」の提供に合わせてアプリのリニューアルを実施。1つのアプリで決済・金融・コマース・でんき・エンタメなど、さまざまなサービスを管理、確認できるようにしている。

今後、「おつり投資」などの金融サービスをさらに拡充していくほか、「au PAY アプリ」上に公共料金の請求書払いの機能などを追加していくとしている。

KDDIは、グループで提供する決済・コマースサービスに関し、「au PAY」ブランドを冠したサービス名称へ2020年2月以降、順次変更すると発表した
「au Pay」のスーパーアプリ構想

 

瀧川 正実
瀧川 正実

EC事業本部を作るヤマトホールディングスがめざす「ECエコシステム」の確立とは?

5 years 10ヶ月 ago

ヤマトホールディングス(YHD)は1月23日、経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」を策定したと発表した。

宅急便のデジタルトランスフォーメーション(DX)、ECエコシステムの確立、法人向け物流事業の強化に向けた3つの事業構造改革と、グループ経営体制の刷新、データ・ドリブン経営への転換、サステナビリティーの取り組みの3つの基盤構造改革からなるもの。こうした改革を通じて、持続的な成長をめざすとしている。

ECエコシステムの確立では2021年4月、「EC事業本部」を新設。今後も進展が予想される「産業のEC化」に特化した物流サービスの創出に取り組む。

ヤマトホールディングス(YHD)は経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」を策定。ECエコシステムについて
ECエコシステムの確立について

まず2020年4月から、EC事業者、物流事業者と協業し、一部の地域でEC向け新配送サービスを開始する。外部の配送リソースとヤマトの拠点やデジタル基盤を融合し、まとめ配達や配達距離の短縮化、オープンロッカーや取扱店受け取り、安心な指定場所配達などを展開。EC事業者、購入者、運び手のそれぞれのニーズに応えるEC向けラストマイルサービスを構築、全国展開をめざす。

また、あらゆる商取引のEC化に対応する統合受発注、輸配送、在庫管理、決済、返品などを一括管理できるオープンなデジタル・プラットフォームを構築、2021年4月からの提供をめざす。EC事業者のサプライチェーンのスリム化や、輸配送のオープン化を通じて、社会のニーズに応えるECエコシステムを確立する。

ヤマトホールディングス(YHD)は経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」を策定。ECエコシステムの概念図
ECエコシステムの概念図

「YAMATO NEXT100」に基づき、現在の機能単位の部分最適を、顧客セグメント単位の全体最適な組織に変革し、経営のスピードをより速めるため2021年4月、現在の純粋持株会社であるYHDが、グループ会社8社を吸収合併および吸収分割することにより、リテール・地域法人・グローバル法人・ECの4事業本部と、4つの機能本部からなる事業会社に移行する。

具体的にはYHDが、ヤマト運輸、ヤマトロジスティクス、ヤマトグローバルロジスティクスジャパンを含む100%子会社7社を簡易吸収合併。100%子会社のヤマトシステム開発の事業の一部を簡易吸収分割により承継して事業会社となる。

事業会社となったYHDは、新たな経営体制である以下の4事業本部および4機能本部を構築する。YHDがヤマト運輸、ヤマトロジスティクス、ヤマトグローバルロジスティクスジャパンの各事業を再編し、リテール・地域法人・グローバル法人・ECの顧客セグメント単位の4事業本部を構築。輸送・プラットフォーム・IT・プロフェッショナルの4機能本部に再編する。

ヤマトホールディングス(YHD)は経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」を策定。事業会社後の組織体制
事業会社移行後の組織体制

 

石居 岳
石居 岳

「ビックカメラ 日本橋三越」(2/7開店)は電子棚札、家電コンシェルジュなどを展開

5 years 10ヶ月 ago

三越伊勢丹とビックカメラは1月23日、日本橋三越 新館に「ビックカメラ 日本橋三越」を2020年2月7日にオープンすると発表した。すべての商品に電子棚札を採用し、ビックカメラ全店舗およびインターネット通販で共通化している商品価格を、常に最新の表示で確認できるようにする。

「ビックカメラ 日本橋三越」は、三越のおもてなしと、ビックカメラの家電に関する専門的品ぞろえを融合した「家電の新スタイルショップ」。「ビックカメラ 日本橋三越」だけの「家電コンシェルジュ」が三越のスタイリスト(販売員)と連携し、家電製品の全般的な提案を行う。商品搬入の立ち会いやアフターケアまで買い物全般をサポートする。

ビックカメラは「ビックカメラ 日本橋三越」でも、店頭の電子棚札とECの連携を進める。NFC(近距離無線通信規格)を搭載した電子棚札には、ECのレビュー件数や評価を表示。スマートフォンをかざすと商品情報が閲覧できる。

ビックカメラの電子棚札(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

「ビックカメラ公式アプリ」を起動したスマートフォンを電子棚札に触れるだけで、購入者のレビューや商品情報、在庫などが見ることができる「アプリでタッチ」機能にも対応している。

取扱商品は、ハイエンド商品を中心に展開する。このほか、ビックカメラの既存店舗では取り扱いのない、百貨店限定モデルも取り扱っていく。

ビックカメラの2019年8月期連結決算におけるグループのEC売上高は、前期比約25%増の1081億円。EC化率は12.1%。

ビックカメラグループのEC売上高は、ビックカメラ、コジマ、ソフマップのEC事業の売上高と、楽天ビックへの卸売りを合計した金額。ビックカメラ単体のEC売上高の成長率は前期比25.0%増。コジマ単体のEC売上高は同37.7%増。

石居 岳
石居 岳

楽天の売上公式基準が変わった?! 専門家が語る「店舗への影響と対策、集客について」

5 years 10ヶ月 ago

「楽天市場のR-Karte(店舗向けのデータ分析システム)で表示される売上公式が、訪問者数(UU)基準からセッション数基準に変わった」と聞いて、「なぜ? これは大きなことでは?」と思った元楽天店長で現在は『ネットショップ担当者フォーラム』編集部の私、藤田。変更に至った背景や店舗への影響など、いろいろなことが気になる……。疑問解決のために、ECコンサルティングを手がける二天紀の山本頼和氏にお話を伺いました。

サードパーティーCookieのブロックが発端

――今回、R-Karteで表示される売上公式がセッション数ベースに変わった背景には何があるのでしょうか?

山本氏:事の発端は、先日Googleが発表した「Chromeで2年以内にサードパーティーCookieのサポートを打ち切る」といった方針が影響したのではないでしょうか。Cookieがブロックされることにより、ユーザー情報の取得ができなくなるので、「今まで売上公式としていた訪問者数(UU)が将来的に使用できなくなる」と楽天が予測したからだと思います。

楽天 CVR 二天紀 集客 セッション数 訪問者数
二天紀 代表取締役の山本頼和氏

一番影響が出るのは意思決定

――店舗にどのような影響が出ると考えられますか?

山本氏:結論からいうと、意思決定に影響が出ると思います。今までは集客数を訪問者数(UU)のみで計測している店舗が多いと思います。

楽天市場のCVRは「売上件数 ÷ 訪問者数(UU)」で算出されています。今回の変更でCVRを求める公式が、「売上件数 ÷ セッション数」になるわけです。そうなると分母の数が増えるので結果的にCVRが下がったように見えるんです。ちなみにGoogleアナリティクスではCVRの分母はセッション数です。

このあたりを理解されていないと、変更後のデータを見た店舗は「集客は増えたのに、CVRが下がっている!? 」と思うでしょう。

扱っている商材特性や客層の特性にもよりますが、訪問者数(UU)が1,000とした場合、訪問数(セッション数)は1,200~3,000(1.2~3倍)くらいになると予想します。つまり、CVRは20%~60%ほどダウンしたように見えます

また、集客数は訪問者数(UU)とインプットされているはず。この集客数の値が訪問者数(UU)から訪問数(セッション数)に変わるのですから、集客が増えたように感じるでしょう。

つまり、集客が増えてCVRがダウンしたと読み取ると、意思決定を誤る可能性があるでしょう。

楽天 CVR 二天紀 集客 セッション数 訪問者数
CVRと訪問者数の見え方について。例として数値入力して計算してみると、訪問者数は1.3倍、CVRは3.1%から2.3%に下がっている

――セッション数ですが、1人のユーザーが同じ店舗で来店と離脱を繰り返したら、その度にカウントされてしまいますが、セッション保持期間はどのくらいなのでしょうか?

山本氏:毎回ではないですね。楽天は「30分以内の同じユーザーからのセッションは、何回でも1セッションとする」と明示しています。31分からは2セッション目になるということですね。

――従前の訪問者数(UU)ベースの各種データはもう見れなくなってしまうんでしょうか?

山本氏当面は過去のデータを含め、閲覧できるようにしているようですよ。店舗に強く勧めたいのが、「今のうちに過去のデータ、特にセッション数のデータをダウンロードしておく」ということ。今まで訪問者数(UU)基準でYoY(昨対比)のデータを見て分析・予算設定などをしていた場合、今後はセッション数を基準にする必要があります。その時、過去のセッション数がなければYoYを見ることができませんので。

CVRが下がるのはどんなジャンル?

――セッションが分母になると「CVRが下がる」と指摘していましたが、どのジャンルでも大幅に下がるのでしょうか?

山本氏:まず、もう一度おさらいですが、従来のCVRは「件数 ÷ 訪問者数(UU)× 100」、つまりUUのCVRでした。それが「件数 ÷ 訪問数(セッション数)× 100」という、セッションのCVRに変わります。セッションのCVRに変わることでCVRが大きく下がったように見える代表的なジャンルは、レディースアパレルだと予想します。服を買う時にサイズや色、デザインなどさまざまなことを比較、検討したり、購入までに複数回訪問する傾向があるので、1ユニークユーザーの購入までのセッション数が多いはずです。

反対に、そこまで下がらないと思うのは型番商品やコモディティ商品を扱うショップ。また、同一商品をリピート購入されているショップでしょう。たとえば水やコンタクトレンズなど、すでに購入する商品が決まっている、定期的に同じ商品を購入する場合は他の店舗と比較することも購入までの訪問回数(セッション数)も少ないはずなので、顕著に下がることはないと予想しています。

楽天に出店している店舗が現時点でできること、やるべきこと

――楽天に出店している店舗が「これだけはやっておくべき! 」ということを教えて下さい。

山本氏:おすすめすることは2つ。1つ目は、先にも言いましたが、過去のデータが閲覧できるうちに過去データをダウンロードしておくこと。そして、そのデータの中には訪問数(セッション数)も表示されているはずです。まず過去のデータはUUCVRのままでしょうから、セッション数で割り戻したセッションCVRに算出しておきましょう。

2つ目は、広告評価基準の見直しを行うこと。広告によると思うのですが、従来のレポートが見えるうちにこれまでの広告の集客数を、訪問者数(UU)から訪問数(セッション数)に置き換えて訪問数(セッション数)を分母としての広告別CVRの基準を残しておくことをおすすめします。

店舗の施策にどう影響する?

――意思決定やCVRの低下以外にも影響があると思いますが、他にどのような変化がありそうでしょうか?

山本氏:楽天市場に限らずEC事業者全般に思うことですが。1つ目が、サードパーティーCookieを使ったリターゲティング広告の効果が減少していく。サードパーティーCookieが取得できなくなると、ユーザーにひも付く情報が少なくなります。それに伴い効果が薄くなる可能性が高いリターゲティング広告の需要は減っていくのではないでしょうか。一方で、リスティング広告などの検索連動型広告・ショッピング広告の需要が上がるかもしれませんね。加えて、SNSでの広告が台頭してくる可能性もあります。

2つ目はユーザー検索数が増えるかもしれない。今までは自分から検索しなくても、Webページを閲覧していればリターゲティング広告で商品情報が表示されていました。しかし、リターゲティング広告が減れば、自ら情報や商品を探しに行くという行動が増えるかもしれません。

3つ目は、店舗にコンテンツマーケティング力の向上が求められるようになること。Cookieを使った広告が減るということはユーザーにアプローチできる“面”が減るともいえます。そうなると、ますますコンテンツマーケティングやSNSが重要になるかもしれませんね。また、訪問数が減少すると仮定すれば、訪問者の離脱率を減らしていく取り組みや、再来訪を増やす取り組みが必要になると思います。特にコンテンツを充実させれば店舗のリピーターやファンの増加につながる傾向になります

サードパーティーCookieが取得できなくなることで、リターゲティング広告マーケットも流入も減少していくとすれば、改めてSEOを見直す店舗も増えるでしょう。リスティング広告やGoogleショッピング広告へのシフトが始まるかもしれません。その場合は、クリック単価が高騰する可能性があります。また、この機会に店舗はコンテンツマーケティングに力を入れていったり、SNSプラットフォーマーも広告に力を入れていくかもしれませんね。

◇◇◇

こうした変化・対策を踏まえ、山本氏はインタビューをこう締めくくりました。

今回の楽天における基準変更は、大きな枠で捉えると、「集客について考える機会」だとも思います。

「集客」の単位は訪問者数(UU)、訪問数(セッション数)がありますし、集客する対象も「新規訪問の客」「リピート訪問の客」という訪問軸と「未購入の客」「購入済の客」という購入軸の4パターンが存在します

しかし、まだまだ多くの店舗は集客を “ひとつの塊”として考えているように感じます。また、集客アップを図るとなると無条件に「未購入の新規訪問客」を中心に設計する傾向があります。CVを増やそう、つまり「CVRを高める必要はない、CVを増やすことが大事」と考える際、「何回訪問していただくか」「どこから再訪問していただくか」といったユーザーが購入に至る過程を考慮することが重要になると考えます。

集客施策が多様化し、消費者のリテラシーが向上している時代こそ、訪問者がサイト内でどんな動きをしているかを考え分析し、施策を打つ力が大事になると考えています。

楽天 CVR 二天紀 集客 セッション数 訪問者数
藤田遙
藤田遙

「罪悪感? ありません」。ベストレビュアーも狙う中国のやらせレビュー業者の正体【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

5 years 10ヶ月 ago
ネッ担まとめ

もはやレビューはあてにできないと思わざるを得ない記事が公開されました。レビューではなく、実際に手に取ってもらうことを考えた方が良いかもしれません。

レビューの信頼性が崩壊中

アマゾン「やらせレビュー」の首謀者を直撃、楽天も餌食に | 日経ビジネス電子版
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00087/011700016/

まとめると、

  • Amazonや楽天市場で横行している「やらせレビュー」は、中国の深センにある坂田(バンティエン)地区で量産されている。Amazonで自社製品を購入させ(実際に購入するとレビュー欄に「Amazonで購入」と表示され信ぴょう性が増す)、指定したキーワードを盛り込んだレビューを書き込ませる
  • FacebookやLINEでヤラセに協力する日本人を募集し、チャットでレビューの書き方を指導する。Amazonに検知されないよう、レビュー数や書き込むタイミングを工夫している。五つ星ばかりでは不自然なので、あえて低評価のレビューを依頼することもある
  • レビュアーには報酬として商品代金をそのまま返金する。レビュアーは実質的にタダで手に入れた商品をネットで転売して自分の利益としている。ただし、ベストレビュアーは優遇する

アマゾンにやらせを検知されないように坂田地区の住人も日々腕を磨いています。例えばやらせレビューを掲載するタイミングです。ある日、突然レビューが増えたらアマゾンに不正を察知され、アカウントを凍結されかねません。そのため初日に10件、2日目に15件というように徐々に投稿するレビューの数を増やしていき、4日目に減らすといったことをやっています。初期の需要が一巡して、いったん販売が落ち着く状況を再現しています。

 それと五つ星ばかりが並ぶのも不自然です。通常であれば、一般の購入者が三つ星をつけたり、不良品を手にした購入者が一つ星をつけたりするものですが、いくら待っても低評価がつかないことがあります。その場合、あえて一つ星や三つ星のやらせレビューを依頼することがあります。

これを読んでしまうとAmazonや楽天市場のレビューだけでなく、他のサービスのレビューそのものが信用できなくなってきますよね。業者側もどんどん進化というか対応してきていますし、ベストレビュアーの中にもヤラセ業者がいるかもしれないということなので……。
この流れが強まると店舗で実物を見たくなる人やチャットで相談する人も増えるはずなのです。そういったところに商機を見出すチャンスかもしれません。

楽天内部でごたごたしている場合ではないのですが……

楽天ユニオンが公正取引委員会に陳情書。「送料無料一律化施策は、優越的地位の乱用にあたる可能性がある」 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/7183

まとめると、

  • 楽天ユニオンは1月22日、楽天の送料無料化施策などが、独占禁止法で禁じている「優越的地位の乱用」にあたるとして、公正取引委員会に調査を求める陳情書を提出した
  • 陳情書の数は、楽天に出店する約5万店舗のうち約4,000署名
  • 提出された陳情書には「アフィリエイトサービスの料率が最大8%となった規約の撤回」「決済システム楽天ペイの撤回要求の調査」「楽天市場による違反点数制度、罰金制度の廃止および罰金返還要求」も含まれている

3,980円以上の商品購入時に発生する送料を店舗が負担することは、楽天が店舗に対し一方的にコストを押しつける強制的な行為である

楽天の試算では「送料無料制度を導入した場合、より多くの消費者が楽天市場に訪れ、売上が15%増加する」となっている。しかし実際の店舗で試算した場合、利益が減少し「直接の利益」が生じることはなく、不利益が生じる

本施策によって発生した送料負担は、出店契約時に計算できなかった不利益であり、「あらかじめ計算できない不利益」を与える行為にあたる

こうしたくなる気持ちもわかりますが……。価格は自分たちで変更することができますので、こちらの記事にもあるように、商品価格に乗せるという対応をするしかないかと思います。AmazonやPayPayモールがどんどん伸びていく中で、楽天内でのこうした騒ぎは何のメリットもありませんので、早めに収束してほしいものです。新春カンファレンスも近いので、その時に何かしらの動きがあると思われます。

関連記事

ニトリが化粧品とアパレルに参入

ニトリが化粧品販売に本格参入、スキンケアブランド「GUARDIO」を展開 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/7175

ニトリがアパレルに本格参入 第2のワークマンになれるのか|NEWSポストセブン
https://www.news-postseven.com/archives/20200119_1526980.html

まとめると、

  • ニトリはスキンケアシリーズ「GUARDIO(ガーディオ)」の販売を開始した。デコホームとニトリの一部店舗で販売する
  • 女性衣料専門店「N+(エヌプラス)」も開始した。実験店は2020年に10店舗まで増やす予定(新規出店はすべて関東地方)
  • ニトリは長期的目標として2032年に3,000店、売上高3兆円を掲げている。これを達成するための切り札の1つがアパレル

ニトリの売り切る力の源泉はなにか。商品構成は、家具よりもホームファニシング(家庭用品)と呼ばれる商品が多い。毛布、カーテン、布団カバーなどの衣料系ホームファニシングは、家具よりも購買頻度が高い。

 また、トレンドに左右されないベーシックな売れ筋商品を効率良く回転させている。これがニトリの売る力の本質なのだ。ニトリ本体で、ベーシックな肌着や部屋着を開発してきた経験を、アパレル進出でも生かせるとみている。特に、物流まで自社で構築してきたことは、通販サイトとの連携が、より重要になってきた今こそ大きな戦力となる。
https://www.news-postseven.com/archives/20200119_1526980.html

市場規模が大きなところはどんどん異業種から参入されますよね。ワークマンがワークマンプラスで成長して今度はニトリ。引用文にある通りニトリの家具はベーシックでお手ごろな価格のものが多いですよね。それと同じ考えで化粧品やアパレルも伸ばすことができるのか? 実験店での売れ行きが気になるところです。

EC全般

中川政七商店の緒方氏が語る「ECと店舗の役割」「ブランディング」「自社ECのこと」 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/7119

過去に何度か取り上げた中川政七商店の緒方さんのお話。1記事にまとまっていますので保存しておくと良いですね。

「とにかく一度食べてみて!」熊本の山と大地に育まれた「こめたつ 」のお米 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/7014

送料無料の話もありますが、こうして自分たちがやれることをやり切ることからかなと思います。

TikTokがEC機能をテスト導入、勢いを増すソーシャルコマースの波。 | ZOZO FashionTechNews
https://ftn.zozo.com/n/n6ba6e65c8154

「1日で10万アイテムを販売、約3,000万ドル(約32億円)を売り上げた」とのこと。

成長するには「事業のヒリヒリ感」が必要 24歳EC事業部長が率いる「全員野球のEC運営」とは | ECzine
https://eczine.jp/article/detail/7369

ECで結果を出さないことには店舗が付いて来てくれないのは知っておきたいですね。

自社ECで利用される決済方法はどう変化したのか 2020年、◯◯Pay時代を迎えるためのおさらい | ECzine
https://eczine.jp/article/detail/7391

株式会社Origamiのメルカリグループ参画に関するお知らせ | 株式会社メルペイ
https://jp.merpay.com/news/2020/01/origami/

カード決済すら面倒になってきているので○○Payは必須です。そして、決済業界も再編が進んでいます。

Amazonの配送会社が急変し、熾烈になる競争。2020年EC物流大予測 | Agenda note
https://agenda-note.com/retail/detail/id=2353

通販・ECの差別化はフルフィルメントにあり! ARやロボットなど2020年の5大トレンド | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/7171

Amazon、置き配の実証実験を東京都・大阪府の各3区と名古屋市・札幌市に拡大 | ECzine
https://eczine.jp/news/detail/7428

モールの独自配送が広がっています。その中で既存の配送業者との競争も激化。

今週の名言

最も危険なのが、経営陣が他社のECを見て焦り、早くそこに追いつけと現場にむちゃな指示を出してしまうことだ

サイト停止が相次ぐファッションEC ecビーイング林社長「ECのリプレースは駅の改修工事」 | 繊研新聞
https://senken.co.jp/posts/ecbeing-200122

これは7Payでも同じだったはず。先行している競合は長い期間積み重ねた結果なので、追う側はそれを知った上でどうするかを考えないと。

森野 誠之
森野 誠之

ウェブコンサルや勉強会講師の「料金の決め方」と「公開している理由」(HAPPY ANALYTICSの場合)

5 years 10ヶ月 ago

私が代表を務めている HAPPY ANALYTICSではウェブサイトの分析・コンサルティング・勉強会などを業務としており、その料金を公開しています。

happyanalytics.co.jp

例えばコンサルティングであれば以下の通りです。

f:id:ryuka01:20200104214130p:plain

 

勉強会であれば以下のページをご覧ください。

happyanalytics.co.jp

 

このように料金をオープンにしており、また会社の大小や、依頼主との関係性などは考慮しない一律の値段となっております。カスタマイズの大小によって若干値段はぶれますが、8割くらいの案件は書いてある通りそのままの値段です。

 

この記事では「どのように料金を決めたのか」そして「公開している理由」について紹介をいたします。基本、社員は私(と奥さん)しかいないので、それを前提にした記事内容となっております。

 

注:2020年1月時点の内容と状況であり、今後変わる可能性があります+既にこの記事を読んでいらっしゃる時点で変わっている可能性があるのでご了承ください。

 

 

勉強会の場合の料金体系

勉強会については割とシンプルです。外部でご講演の依頼をいただく際に、依頼元から提案いただく料金を参考にしています。

 

外部からの講演依頼金額は1回あたり数万円~数十万円くらいです(テーマや講演時間によって変動)。そこで社内勉強会や社員研修等でも、同じくらいの金額を意識し5万円/1時間を基本としています。

 

稼働1時間で5万円は高いのでは?という意見もあるかと思いますが、勉強会に関しては「今までの知見」と「資料作成時間」もあるので、これくらいの金額で行っております。

 

f:id:ryuka01:20200104215056p:plain

 

なお、該当セミナーや勉強会の参加人数で値段は変えていません(また主催者が有料or無料で開催するかも考慮していません)。

 

人数が多いと金額を上げるという考え方もありますが、人数が多いほうが「解析の事を伝えられる人数が増える」という事を私としてはメリットに感じているので、人数によって変えない形をとっています*1人数によって変えるのが面倒というのもある。

 

複数回の開催で、間で宿題を出してフィードバックを行っていく形式だと、その部分での工数が発生するので金額が変わってきます。
基本的にはなんとなく「相場」があってそれをベースに考えているという感じですね。

 

コンサルティングの場合の料金体系

コンサルティングの場合は大きく分けて3種類あります。

1:分析やレポート作成など具体的な作業が発生するもの

2:知見を提供するためにミーティング等に参加する

3:その他もろもろ

 

それぞれについて説明していきます。

 

1:分析やレポート作成など具体的な作業が発生するもの

こちらに関しては(想定)稼働時間 × 時間単価 で工数を計算しています。案件をいただいた時に、かかる時間を今までの経験から算出します。例えばある案件でかかる時間が10時間だとしましょう。

 

その後に、10時間 × 時間単価 = 見積もりのベースとなる金額

 

という形で算出しております。

 

時間単価に関してはある程度、自分の中でガイドラインがあり、

 

1.5万円~3万円/時間
1人月(160時間)換算で 240万円~480万円

 

といった金額帯になります。時間単価の幅は難易度や希少性によって変化します。例えば英語で資料作ったりすると単価が高めになるので。

 

valueagent.co.jp

 

例えば上記記事で紹介されている、金額のざっくり1.5倍~2倍くらいかなと。また他のコンサルティング会社やツールベンダーのコンサルティング費用などを元に設定をしております。

 

ウェブアナリティクス界隈の(自称)上位プレイヤーの一人としては、安すぎるのはあまり良い影響がないと考えており、これくらいの金額感で行っています。*2

 

なお金額のレンジに関しては会社規模等では変えておりません。あくまでも案件の難易度やスキルの専門性(例:英語でTableauを使ったレポート作成と分析を行うなど)などによって変わってきます。

 

【余談】成果報酬型に関して

コンサルティングを成果報酬型にするのが良いのでは?という話を時々聞きますし、私も何度か検討しました。例えば「サイト改善によってコンバージョン率や数が●●まで上がったら■■万円とする。上がらなかった場合は0円あるいは最低コストとする」みたいな契約形態です。

今まで何度か提案をしたり、議論したりしたのですが結果実現に至っていません。そして実現に至らない理由は双方にあるのかなと思っています。

 

コンサル側からすると(事前ヒアリングや調整していたとしても)提案施策を実行してもらえない可能性がある。あるいは聞いた話だと、契約終えた後にその施策が実行されていたという話も。

クライアント側からすると、大体事前に決裁を取るが、決裁金額がFIXしないため社内で通しにくい

 

「施策が実行される可能性が極めて高い+相手が役員や社長でそういった予算レンジがあっても決裁可能」及び「条件定義が明確に出来る」場合に限り実行出来る可能性があるかなと。ということで色々と難しいなと。

 

時間単価に関しては色々とご意見あるかとおもいます。「安すぎる」「高すぎる」などありましたら、ぜひコメント欄か個別にご連絡いただけばー! 

 

2:知見を提供するためにミーティング等に参加する

こちらに関してはシンプルに講演と同じ感覚で決めております(5万円/時間)。

 

知見提供には「ミーティング中にGoogle アナリティクスのアカウントを見せてもらいその場で分析して改善案を出す」「実施予定のキャンペーンや施策に関してのアドバイス」「先方のレポートや施策の数値を見ての振り返りや改善点の提示」など多岐に渡ります。

 

なので基本的には「知見」に対しての費用という考え方になるので、勉強会と同じにしています。

 

3:その他もろもろ

例えば「ニフティライフスタイルの社外取締役」「ウェブ解析士協会の顧問」といったちょっと特殊なパターンの場合です。

 

この場合は作業量とは必ずしも比例せず、「私の名前や経験・知見を利用していただく」という側面もあるので、都度の判断となっております。この辺りは一般化するのが難しい感じですね。基本的には月での固定金額という考え方になります。

  

何故、金額を公開しているか?

コンサルティングや勉強会・セミナーなどを行っているサイトでは、金額感を出していない会社も結構あります。しかし弊社ではこの辺りの金額は全て出すようにしています。

 

出していない会社に関してはそれぞれの理由があるとは思いますが(同業他社対策・見積もりに幅を持たせておきたいなど)HAPPY ANALYTICSでは金額を公開するほうが楽なので公開をしています。

 

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出している3つの理由は

 

1:オープンにすることでお問い合わせ時の受注率が上がりやすい

2:会社規模等によって金額を変えることが無く、やりとりを減らせる

3:自分自身のユーザー体験から出すべきだと感じた

となります。

1:オープンにすることでお問い合わせ時の受注率が上がりやすい

オープンにしておくことで金額感が合わない場合の問い合わせを減らすことが出来る。つまり事前に期待値を調整出来ることにより、「見積もりを出した後に金額が高いからやっぱりやめる」といった失注ケースを大幅に減らすことが出来ています。

 

依頼主そして弊社にとってお互いに工数削減を出来るし、依頼主が値段を見て断りたい時の理由を考えるメールを作ったり、などの手間も省けるのも良いかなと。

 

また金額を出しているため、コンペにもなりにくいです*3

 

2:会社規模等によって金額を変えることが無く、やりとりを減らせる

書いてある通りですが、あくまでも内容と工数で決めているため、記載している金額より極端に高く・安くなることはありません。

 

そのため値段交渉も応じてはいないし、依頼主も金額感が分かっているので、最初の打ち合わせから具体的な内容についてお話することができます。

 

特に私のような会社だと、自分の工数に上限があり、こういった部分でのやりとりに時間を使うのがもったいないというのもあります。

 

また新規案件の場合、打ち合わせ時に「大体どれくらいの金額になりますか?」と聞かれるのですが、すぐその場でだいたいの金額を伝えちゃいます。自分が社長だからというのもありますが、想定工数×単価=金額 なので、想定工数さえその場である程度分かれば、すぐにお伝え出来るためです。

 

【余談】

会社規模によって金額を変えないは賛否両論あるかと思います。私の会社のコンサルの金額感だと、手掛ける案件は、どうしても小規模の会社だと金額が合わないこともあるでしょう。

 

しかしそのような場合は、正直分析やコンサルにお金払うより、集客やサイトのコンテンツ作りにお金を使ったほうが良いのかなと思ってもみたり…

 

ただ制作会社や広告代理店の場合は、その会社の規模関係なく、その先のクライアントの数や規模によるので、費用対効果は合うかなと!

  

3:自分自身のユーザー体験から出すべきだと感じた

単純に金額書いてあったほうが分かりやすいし、嬉しいよねという自分自身が事業会社で働いていた時の経験が大きいかなと。10年以上事業会社で働いていましたが、コンサルやツールの選定などや調査などに関わることが多かったのですが、値段が掲載されていないとどうしても後回しになりがちなんですよね…

 

掲載されているだけで、問い合わせや検討の優先順位が上がりやすいかなと。それだけでも同業他社との差別化になるのではと思っております。ただ掲載しない理由もよくわかるので、一概に正解とは言えませんが。

 

まとめ

というわけで「料金の決め方」と「公開している理由」について紹介をしてきました。あくまでも私個人の考え方ですし、今後も変わっていく可能性があります。しかし1つの参考になればと思い、記事を書いてみました。

 

以下の「資料・ホワイトペーパー」のページでは、「コンサルティング」及び「勉強会」に関してより具体的な金額や事例、勉強会のラインナップなどを記載した資料をダウンロード可能です。

happyanalytics.co.jp

 

興味がありましたら、ぜひご覧くださいませ!

 

 

HAPPY ANALYTICSの稼働やお金周りが気になる方は、以下の記事もどうぞ!

analytics.hatenadiary.com

*1:これは弊社のミッションが1人でも分析に興味を持ってもらい実践してもらうことをゴールにしているからというのもあります

*2:以前はもう少し安かったのですが、結構色々な人から安すぎると言われたりしたので…

*3:今までコンペの案件はコンサルを8年近くやっていますが2件しか無かったです

【ベトナムの最新EC事情】東南アジアでECの将来性が高いマーケットの今を解説 | ベトナムの最新ネット通販事情~トランスコスモスベトナムからの現地レポート~

5 years 10ヶ月 ago

ベトナムは、国内外のEC企業にとって大きなチャンスのある市場です。若年人口割合の高さ、高いインターネット普及率、伸び続けるスマートフォンの普及率により、東南アジア地域でEC事業の将来性が最も高い国の1つと言えます。

ベトナムのECに関する各種統計データまとめ

現在、ベトナムのECユーザー数は3,540万人とされ、2021年にはさらに660万人増加すると言われています。拡大するECユーザー数4,200万人は、ベトナム総人口の58%を占める計算になります

ベトナムの各種統計データ
ベトナムの各種統計データ(画像はトランスコスモスが執筆した『海外ECハンドブック2019』(インプレス刊)からキャプチャ)

ベトナムEC協会(VECOM=Vietnam e-commerce Association)の発表によると、ベトナムECは複数分野で爆発的な成長率を示しています。

  • オンラインリテール分野
    2017年、数千にものぼるECサイトの売上成長率が35%増加しました
  • 決済分野
    ベトナム国家決済株式会社(NAPAS=The National Payment Corporation of Vietnam)の2017年におけるオンライン上の国内カード決済件数が2016年から約50%増加、取引額は75%増加しています
  • オンラインマーケティング分野
    2017年に複数のアフィリエイトマーケティング企業が100~200%の成長を遂げています

ベトナムのEC市場は2013年から高成長率で拡大。EC市場の規模は2013年の22億ドル(USD)から2017年には62億ドル(USD)に拡大しました。年平均成長率は20%です。

アフィリエイトマーケティング売上がEC市場規模の約15%を占めていることも興味深い数値。ベトナムローカルブランドの約80%がアフィリエイトプログラムを利用しています

オンライン販売で最も人気のある商品は、衣服・フットウェア(靴その他履物類)および家庭用品(59%)、電子機器(47%)、家電(47%)など。

ベトナム政府も関与し新たなコマースの時代を築こうとしています。ベトナムの法体系や指針、特にECに関する「政令52号」は、リテールEC市場の高成長率を後押しするものとなっています。

政令52号とは、ECと従来の小売りの公正性を確保するためのものであり、EC事業者は従来の小売り事業者と同様の法規制を遵守しなければなりません。

ベトナムEC市場で活躍する主なプレーヤー

ここからはベトナムのEC市場で活躍するプレーヤーを見ていきます。

ベトナムのECプラットフォーム「Tiki」「Thegioididong」「Sendo」は、iPriceグループが発表した「東南アジアで最もアクセス数が多かったサイトTop10」にランクイン。月平均トラフィック数ランクでそれぞれ6位、7位、8位となっています。なお、1位2位には多国籍企業である「Lazada」と「Shopee」がそれぞれランクインしています。

iPriceのデータによると、「Tiki」「Thegioididong」「Sendo」は2018年にプラットフォームを大幅刷新。ユーザートラフィック数を大きく増やし、投資も得て次のステージに向かっています。

「Tiki」はベトナムで最も急速な成長を遂げるリテール企業で、業界トップとなるチャンスが最も高いと言われています。「Tiki」の月次Webトラフィック数は2019年1月から6月にかけて大幅に増加し、2019年8月にはトラフィック数でベトナムECサイトランクの4位から2位に上昇しました(1位は「Shopee」)。

一方、東南アジア最大のECサイトであるLazadaは、2019年大幅な低迷トレンドを示しています(※「SimilarWeb」の数値より)。

「Tiki」はマーケットプレイス型のECサイト。2017年には中国の直販EC最大手の京東が出資している
「Tiki」はマーケットプレイス型のECサイト。2017年には中国の直販EC最大手の京東が出資している(画像は「Tiki」のサイトから編集部がキャプチャ)

「Sendo.vn」の月次Webトラフィック数も「Tiki」同様、2019年に入り6か月で急増し、ベトナム4位を維持しています(2019年8月時点、「SimilarWeb」より)。

これまでに8万を超える店舗が「Sendo.vn」で事業を展開し、衣服からテックアクセサリーまで500万種類以上の製品を販売。2018年には、日本のSBIホールディングスを含む投資家から5100万ドル(USD)の資金を調達しています。

「Sendo.vn」はマーケットプレイス型のECサイト。ベトナム有数のIT企業であるFPTグループの傘下企業
「Sendo.vn」はマーケットプレイス型のECサイト。ベトナム有数のIT企業であるFPTグループの傘下企業(画像は「Sendo.vn」のサイトから編集部がキャプチャ)

ランクインした企業の中で最も驚くべきプラットフォームは「Thegioididong」です。電子機器という1製品カテゴリーに特化しながら、月平均2400万ビジターを獲得したとされています(「SimilarWeb」より)。

「Thegioididong」はスマホやパソコンなどを扱うECサイト
「Thegioididong」はスマホやパソコンなどを扱うECサイト(画像は「Thegioididong」のサイトから編集部がキャプチャ)

ベトナムECトップ1位&2位はLazadaとShopee

ベトナムEC市場のトップを競うのは、複数の国で順調に事業を運営する「Lazada」と「Shopee」。

東南アジア地域におけるEC店舗のパイオニアである「Lazada」は、売上面ではトップの地位を維持。インドネシア・マレーシア・フィリピン・シンガポール・タイ・ベトナムで事業を展開し、13万5000を超える現地・多国籍セラーが、5億6000万人以上の顧客に「Lazada」でサービスを提供しています。Alibabaは東南アジアで「Shopee」の拡大に対抗するため、Lazadaに20億ドル(USD)の追加投資を実施しています。

トランスコスモスベトナム
トランスコスモスベトナム

【1月27日号】特許庁「商標拳」動画が攻めていると話題に!「桃太郎」で裁判員制度を解説ほか

5 years 10ヶ月 ago

2020年1月27日号

こんにちは!VIDEO SQUARE編集長です。
今回記事では、話題の動画からホッコリするウェブムービーまでVIDEO SQUARE編集長イチオシの動画を6本お届けいたします!

特許庁、啓蒙動画「商標拳」が攻めていると話題に

出典:JPO Channel

経済産業省の特許庁は、商標制度を普及するための啓蒙動画「商標拳」を公開し、ハリウッド映画顔負けのアクションシーン満載で「攻めている」と話題を呼んでいます。ロゴマークを模倣されたサラリーマンが自社ビジネスを守るために「商標権」ならぬ「商標拳」で戦うストーリーです。

遊び心のある振り切ったコンテンツであることから、より続きが気になる見せ方になっています。「商標権」を堅く説明せず、ストーリーをもたせて紹介することで、視聴者の興味をひき、商標制度に対する認知度を高めています。

<関連記事>コンテンツマーケティングで動画を活用する必要性とは?

出典:経済産業省 特許庁

裁判員制度10周年記念アニメ「モモタロウ裁判」

出典:NICHIBENREN TV-日弁連公式動画チャンネル

日本弁護士連合会は、裁判員制度が開始から10年たったことを記念し、刑事裁判への関心を高めるためのアニメーション動画「モモタロウ裁判」を制作しました。

裁判員制度で、被告人席には童話「桃太郎」に登場する鬼ヶ島の鬼が立つ斬新なストーリーです。シリーズ動画の全3話となっており、第2話では童話「赤ずきん」の主人公あかずきんが法廷にたちます。

幅広い世代に親しまれている童話に焦点を当て、視聴者が親近感がわきやすい題材を取り入れることで、視聴者の「気になる!」を刺激しています。裁判員の質問に真摯に向き合う鬼の姿を見ていると、心が動かされ、裁判員側の立場を疑似体験できます。「鬼は悪事を働く」という固定概念に縛られない裁判をする難しさが垣間見られます。

<関連記事>YouTubeでどんどん拡散されるためには?バイラル動画を活用しよう

出典:PR TIMES

エアアジア、春節に帰省する少年を描くPR動画公開

出典:AirAsia

エアアジア・ジャパン株式会社(以下、エアアジア)は、春節に祖母の元に帰省する少年の冒険を描いたプロモーション動画「少年と獅子舞」を公開しました。2020年1月25日(土)から始まった春節を祝うグリーティング動画です。

初めての帰省にワクワクしながら、祖母と獅子舞に会うことを心待ちにする少年のまっすぐさが印象的です。エアアジアのコーポレートカラーの赤色と春節に縁起の良い色とされる赤色がマッチした動画ですね。

<関連記事>機内安全ビデオで「魅せる」企業ブランディング

子供が親の未来を想像した「みらいカルタ」ウェブムービー

出典:未来想像WEBマガジン

株式会社みずほ銀行(以降、みずほ銀行)は、自社が運営する「未来想像WEBマガジン」にてワクワクする未来を想像するきっかけを作る「みらいカルタ」のドキュメンタリー動画を公開しました。本動画では、実際に「みらいカルタ」を実践した14組の親子の様子が描かれています。

本動画では子どもたちが親の将来の夢を想像して「みらいカルタ」を楽しそうに作成し、そんな「みらいカルタ」を見て思わず涙してしまう親の姿も見られます。未来に対して、不安を感じがちな大人だからこそ「みらいカルタ」で未来にワクワクしてほしいみずほ銀行の想いが垣間見られます。

<関連記事>思わず共感のショートムービー!企業で人気の理由とは

出典:株式会社みずほ銀行

孫からの恩返しに着目した「#きっかけは三世代免許」ウェブムービー

出典:E-NEXCO driveplaza

NEXCO東日本は、2018年より「家族みんなで 無くそう逆走」プロジェクトを実施しており、本年のテーマ「三世代免許」にスポットを当てたウェブムービーを公開しました。

孫・親・祖父母の三世代で免許をもつ「三世代免許」のタイミングを「高齢ドライバーの運転や逆走」について家族で話す機会として描いています。

孫の運転でドライブを楽しむ嬉しそうな祖父母の優しい表情が印象的でした。年を重ねることで、遠出が減ってしまいがちな祖父母に、「ドライブ」で一緒に過ごす時間と運転をするおもてなしは素敵な恩返しですね。危険運転に警鐘を鳴らす啓蒙動画としても役割を果たしています。

<関連記事>SNSで話題!TEPCO速報のPR動画「あなたの見守りたい人は誰ですか?」

出典:PR TIMES

長崎県移住PR動画「故郷は、あなたと繋がっている。」でほっこり

出典:nagasakipref 長崎がんばらんばチャンネル

長崎県は、移住促進施策の一環としてプロモーション動画を制作し、公開から再生回数が100万回を突破し、再び注目を浴びています。地元を離れて頑張る我が子を心配する母の優しさが印象的な1本です。

「遠く離れても繋がっている故郷だからこそ、いつでも帰れる場所として待っている」と、前向きな気持ちになれる動画ではないでしょうか。また、離れていても家族と繋がることの大切さにも触れることでより、視聴者が見ていてほっこりするプロモーション動画となっています。

<関連記事>地元の魅力をアピール!拡散される地方PR動画の制作ポイント

今回はここまでです。次回号もお楽しみに!

crevoAdmin

ECサイトが約1か月停止したアダストリア、EC売上は10%増の314億円[2019年度3Q]

5 years 10ヶ月 ago

「ローリーズファーム」などのファッションブランドを展開するアダストリアの2019年3-11月(第3四半期累計)におけるEC売上高は、前年同期比10.2%増の約314億円だった。国内売上高に占めるECの比率(EC化率)は20.0%で、前年の同期間と比べて1.4ポイント上昇した。EC化率は5年で約2倍に拡大している。

自社ECサイト「ドットエスティ」経由の販売がEC売上高の約50%を占めた。ドットエスティの会員数は前期末と比べて130万人増え、1000万人を超えた。

アダストリア単体の業績が安定成長したほか、ネット専業ブランドを展開するBUZZWIT社が好調に推移したという。

「ローリーズファーム」などのファッションブランドを展開するアダストリアの2019年3-11月(第3四半期累計)におけるEC売上高は、前年同期比10.2%増の約314億円
3QベースのEC売上推移(画像はアダストリアの3Q決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

「ドットエスティ」は2019年8月上旬にシステムをリニューアルした際、システムに不具合が発生したことから、ECサイトの運営を8月8日から約1か月間休止した。

EC事業の主力チャネルである「ドットエスティ」は約1か月間休止したものの、2019年3-8月(中間期)におけるEC売上高は前年同期比16.0%増と増収基調。「ドットエスティ」は9月12日に運営を再開した。

渡部 和章
渡部 和章

家電EC大手のストリームが物流支援(3PL)事業に参入

5 years 10ヶ月 ago

家電EC大手のストリームは1月23日、物流倉庫・受注管理・出荷の包括的な物流支援サービス(3PL:Third Party Logistics)を事業化に向け強化していくと発表した。将来は事業の柱として育成する。

ストリームはこれまでも、家電ECサイト「ECカレント」をはじめ、サイト運営で培った販売から物流までをワンストップで管理するシステムを他のEC事業者に提供してきた。

ストリームの倉庫管理システム(WMS:Warehouse Management System)の特徴は以下の通り。

  • 荷主から提供された出荷データをもとに、ロジックなど様々な仕様構成が可能
  • 出荷実績データのインターフェースを自由に変更が可能
  • 各種上位システムにも簡単な作業でアップロードが可能

顧客企業であるEC事業者が、現在使用している注文管理システム(カートや受注管理ソフト、基幹システム)と、ストリームのWMSとのシステム連携を構築する。また、APIなどを用いて顧客企業ごとの固有のシステムカスタマイズにも柔軟に対応する。

物流業務は、ストリームの現場スタッフが中心となって対応する。経験の浅いスタッフでも迷うことなく作業ができるように、人材教育に力を入れ、ローコストオペレーションでの運営が可能となっているという。

物流センターは埼玉・さいたま市岩槻区にあり、保有面積は約8910平方メートルの規模。

ストリームの2019年1月期連結決算における「インターネット通販事業」の売上高は、前期比2.8%増の197億6900万円。売上高は前期を上回ったものの、広告宣伝費や配送費用などが増えたことで9000万円の営業赤字となった。

3PL事業への本格進出は、新たな収益手段を育成するとともに、前期は送料値上げなどでセグメント利益が赤字となったことから、他社の出荷業務を請け負ってボリュームを増やし、送料単価を減らす狙いがあるとみられる。

石居 岳
石居 岳

BEAMSとfifthの事例に学ぶ売上&ファンを増やし続けるECサイト運営 ~スタッフ主導のコンテンツ作りにおける動画・画像の活用法を徹底解説 ~

5 years 10ヶ月 ago

社内スタッフが「インフルエンサー」となりオンラインで情報発信することで、顧客との距離を縮めファンになってもらう――。近年、アパレル業界で浸透しつつあるスタッフによるコーディネート情報発信。人気ファッションECサイトを運営するBEAMSとfifthは、売上アップを目的にこうした取り組みを始めたわけではないが、ファンが増えたことで結果として売り上げの増加につながっている。2社が注力する動画と写真を活用した「ファン作り」とは。

EC化率20%超え、BEAMSのオウンドメディア活用例

EC化率が20%を超えるBEAMSは、オンラインを活用した先進的な取り組みを続けることで知られる。仕掛け人は、ビームス 事業企画本部 コミュニティデザイン部 部長の矢嶋正明氏だ。同氏が中心となり、スタッフが様々な方法で情報を発信できるようにと、公式サイトの「オウンドメディア化」を進めてきた。

「当社の強みは『ヒト』。ファッションが大好きで、個性的なスタッフが多いという資産を店頭だけではなくオンラインでも活かしたかった」と矢嶋氏が目をつけたのが、オウンドメディアを通じたオンライン接客だ。オンラインであれば、「24時間・365日接客が可能になる」(矢嶋氏)。

ビームス 事業企画本部 コミュニティデザイン部 部長 矢嶋正明氏

スタッフが紹介したコンテンツを経由して、店頭販売以上に売り上げるスタッフもいるなど、オウンドメディアはBEAMSのECサイト運営において欠かせない存在となっている。

現在BEAMSがオウンドメディアを通じて発信するコンテンツは、主に4つある。

①スタイリング

スタッフ自らが着こなし方法やコーディネートを紹介する「スタイリング」

②フォトログ

全国のスタッフが出会ったおすすめアイテムを、一枚の画像と短めのテキストで紹介する

③ブログ

スタッフがそれぞれの目線で、素材や着心地だけでなく、アイテムにまつわるストーリー背景を語ることで商品の付加価値を高める

④ビデオ

新しい訴求方法として、1年ほど取り組みを強化している「ビデオ」。スタッフの個性や人柄がより伝わるように、撮影から投稿までスタッフが自ら行う

売り上げを目標にしない! 動画閲覧数が投稿モチベーションを高める

BEAMSが行っていることは、魅力あるスタッフのオンライン接客での活用だ。多くのスタッフはインスタグラムなどSNSの活用には慣れているが、「訴求」を目的にした動画となると事情は異なる。

そこでまず会社がマニュアルをつくり、おすすめの編集アプリを紹介するほか、視聴されやすい動画にするためのアドバイスを提供。動画に慣れていないスタッフでも取り組みやすい環境を整えた。それらの努力が実を結び、動画をアップするスタッフ数は徐々に増加。この1年で2,035本(2019年11月13日時点)の動画コンテンツが投稿されている。

スタッフが投稿するビデオ例。社内マニュアルには、「テキストはカラフルにしない方が見やすい」などのアドバイスが書かれているという

たくさん動画がアップされれば視聴者数の増加は期待できるが、一方で動画コンテンツが増えればサイトが重くなるという問題も発生する。

BEAMSの動画は、アプリである必要はなく、スマホに標準搭載されているブラウザ上でタイムライン再生する。BEAMSの動画投稿システムを技術面で支援するCRI・ミドルウェアの幅朝徳氏(インターネット事業部 部長)は、次のように説明する。

iOS、Androidどちらの場合でも、ブラウザ上に複数の動画を載せると途端に重くなり再生されにくくなる。当社は大量の動画を高画質かつ軽いままブラウザ上で再生できる技術を持っているが、それでもBEAMS様が求める、非常に高水準の「速い」「軽い」「綺麗」のリクエストに応えるのは簡単ではなかった。CRIが有するミドルウェアのチューニングを行うとともに、例えばバックフォワードキャッシュの最適化などスマホブラウザでの視聴を徹底的に快適化するためのさまざまな調整を行うことで、要望に応えることができた。(幅氏)

BEAMSの動画コンテンツを技術面でサポートするCRI・ミドルウェア インターネット事業部 部長 幅朝徳氏

日頃からさまざまな企業の動画活用を支援している幅氏だが、「たった1年で2,000本以上の動画がアップロードされるのは驚異的」として、BEAMSの矢嶋氏に、スタッフの投稿モチベーションを高めるための工夫について質問があった。

「スタッフ1人ひとりが手持ちのスマホから投稿用のCMSにログインして、閲覧数や動画経由の収益を確認できる」と矢嶋氏が回答する通り、数値の可視化によってスタッフのモチベーションを高めているようだ。

また、「最初から動画投稿に対して売り上げを求めてしまうと、スタッフが構えてしまう」(矢嶋氏)。あえて売り上げをKPIにしないことで、スタッフが自分のペースで楽しく投稿できるようにしたとも付け加えた。

月間売上数億円のファッションEC「fifth」の事例

ハイビジュアル&ロープライスで差別化を図る

「ハイビジュアル&ロープライス」をメインコンセプトに急成長を遂げるのが、立ち上げから7年目を迎えるファッションECサイト「fifth」だ。

ZOZOTOWNやファッションウォーカーなどモールへも出店しているが、「自社サイト売上が大半を占める」とfifthを運営するCODE SHARE の南出憲吾氏(取締役副社長)が説明するように、「fifth」の強みは自社ECサイトに多くの顧客が集まっていることにある。

現在自社ECサイトの会員数は150万人、月間売上は数億円規模。月間UU数は170万UU、月間PV数は3,000万PV。

「fifth」のようにロープライスで勝負するファッションECサイトは多いが、顧客から支持され成長を続ける理由は、なんといっても画像枚数の多さにあるようだ。

写真で見たときと、手元に届いたときのイメージのギャップがないようにするため、いろいろな角度から撮影した写真を多めに掲載している。ギャップがあるとリピート顧客にはなってもらいにくい。(南出氏)

1アイテムだけで100枚以上の画像を掲載しているケースも。数色展開の場合には、1SKUごとにモデルのコーディネートを組んで撮影し掲載する

写真枚数が多いとそれだけデータ量が増えるのでサーバー負荷がかかり、コストも割高になる。以前は画質を落とすことで対処していたが、2018年11月から画像圧縮技術に優れる、ウェブテクノロジの「SmartJPEG」を導入。画像の質は保ちつつ、1枚あたりの画像容量を半分程度にすることに成功し、「体感的には、3分の1くらいのローディングタイムになった」(南出氏)という。

fifthを運営するCODE SHARE 取締役副社長 南出憲吾氏

この「SmartJPEG」の圧縮技術は、fifthだけでなく、BEAMSの画像コンテンツでも導入されている。両社の画像コンテンツを技術的に支援しているウェブテクノロジの三上夏代氏は、次のように述べた。

SmartJPEGは、画像の内容に合わせて1枚ずつ最適な圧縮処理を施しているため、「綺麗さ」と「軽さ」の両立を得意としている。自動処理なので、人の手を煩わせることもない。20数年間、ゲーム業界で培われたノウハウを盛り込んでおり、「この赤をもっと良くできないか」というような導入ユーザーの声を反映したチューニングを繰り返して、圧縮時に劣化しやすい色味の調整にも長けている。(三上氏)

画像を軽くすることでサイト運営コスト削減やUX向上に貢献できることから、「画像の多いEC運営企業には『画像軽量化』を施策のひとつとして取り入れていただきたいとオススメしている」(三上氏)という。

当セッションのモデレーターを務めたウェブテクノロジ 三上夏代氏

インスタアカウントのフォロワー数は80万弱、1回のインスタライブ売上が1200万円を突破したことも

fifthはインスタグラムマーケティングに力を入れている。2年前は8万フォロワー程度しかいなかったという公式アカウントのフォロワー数は、この2年で急増。現在は80万フォロワーに迫る勢いだ。

ここ2年でフォロワー数が急増。76万フォロワーを抱える

フォロワー数が増えている理由の1つに、「インスタライブ」の活用がある。インスタライブを通じてフォロワーとのコミュニケーションが活性化し、フォロワー数、売り上げともに増加傾向にある。

fifthのインスタライブ配信パフォーマンス実績。配信から24時間で、1,200万円を売り上げたことも

インスタライブの魅力は、「お客さまのリアルな質問に対して、リアルなタイミングで回答できるところ」と南出氏はいう。

ライブ配信で活躍するのは、著名なインフルエンサーではない。全員、CODE SHAREの社員だ。日頃は商品部として勤務しており、販売に長けているわけでもない。しかし、そこがウケている要因だと南出氏は分析する。

販売のプロではないスタッフが、どうしたら視聴者が欲している情報を届けられるかを工夫した結果、同時に2000人が視聴する人気コンテンツになった。その要因を南出氏は、「応援」という言葉を使って説明する。

実際の商品が手にとれないからこそ、等身大の人間がどう思うかがユーザーに刺さったのではないか。ライブ配信はカッコつけない方が応援してもらえる。社内でもスタッフがライブ配信を通じてやりたいことを、全員で応援していくというカルチャーを作るよう心がけている。(南出氏)

現在はライブ配信に注力しているが、「まだコンテンツ開拓の余地はある」と南出氏が今後の展開に意欲を見せ、セッションを終了した。

公文 紫都
公文 紫都

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