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「カスタマージャーニー」はもう古い?変化し続ける消費者ニーズに対応する方法とは | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

5 years 10ヶ月 ago

2010年代のデジタルマーケティングを定義した概念があるとすれば、それは間違いなく「カスタマージャーニー」でしょう。毎日チェックするニュースフィードから、プレゼンテーション、調査報告書、会議まで、すべてがカスタマージャーニーについて取り上げ、それを最適化する方法について議論されてきました。ですので、「カスタマージャーニー」なんてものは実は存在しないと知ったら、驚くかもしれません。

従来型カスタマージャーニーは意味を成さない?

消費者は全員、それぞれの人生の旅の途中です。好みは絶えず進化し、取り巻くトレンドに対応しています。消費者はその過程で、企業が配信するコンテンツに触れ、どう反応するかを選択し、ブランドとの間に独自の関係性を築いていくのです。

消費者が辿る道はそれぞれ異なりますし、Googleマップのように事前に地図化することもできません。各ステップの計画をいくら慎重に練っても、消費者は常に驚くような意外な道を見つけるものです。

大好きだった流行り物に突然飽きてしまうこともあれば、転職したり、子どもができたりすることもあります。そして、まったく異なる趣味を持った新しい友達を作ったりします。そうなると、慎重に考えられた「カスタマージャーニー」が、煙の中に消えていくのです。

幸いなことに、消費者が次にどこへ向かっているのかを予測して、新しい地点に到着したときに待ち伏せすることは可能です。その為には、アップグレードされたツールが必要です。そしてさらに重要なのは、消費者が辿る「カスタマージャーニー」に対する考え方を変える必要があることです。

従来型のカスタマージャーニー
従来型のカスタマージャーニー。Harvard Business Review「Using Customer Journey Maps to Improve Customer Experience」より編集部が作成

消費者の生活は、ブランド戦略よりもはるかに急速に進化する

100年の歴史を持つ由緒あるブランドであろうと、アジャイルでデジタルファーストな風雲児ブランドであろうと、新しいマーケティング戦略に方向転換するには時間がかかるものです

コンセプトミーティングを開き、クリエイティブチェックを何度も行い、中核となるメッセージを明確にする必要があります。もちろん、これらの新しいアイデアすべてを、経営幹部レベルにも理解してもらわなければいけません。

1つのキャンペーンを企画している間にも、消費者の嗜好やライフスタイルは変わっていきます。企画を実行する頃には、彼らの現実の生活は、想定していたペルソナとは全く違うものになっているかもしれません。

「ミレニアル世代のマギー」は結婚し、家を買い、子どもをもうけているかもしれません。「CEOのスティーブ」は引退後、モンタナに移り住み、フルタイムの趣味としてフライフィッシングを始めているかも知れないのです。

その結果、何が起こるでしょう? 何千通ものメールを送っても、クリックはされません。言うまでもなく、膨大な時間と社内リソースが、消費者の新しい興味や嗜好にそぐわない内容を開発するために費やされているのです。

もっといい方法があるはずですし、実際にあります。しかし、戦略の重要な転換から始めなければいけません。戦略転換の為のアイデアをいくつかご紹介します。

「カスタマージャーニー」を事前に計画するのではなく、待ち伏せする

消費者の好みや欲求は予測できないように見えるかもしれませんが、それらは無秩序に変化している訳ではありません。1人ひとり、変化する生活環境に応じて、新しい習慣、興味、願望を持つようになります。結婚や退職などの大きな変化もあります。もしくは古いワードローブに飽きる、などの些細な変化もあるかもしれません。

しかし、ここで忘れてはいけない重要な事実があります。消費者はある商品カテゴリーに興味を失うたびに、別のカテゴリーに新しい興味を持っているのです。

消費者が何かしら新しいニーズを発見したときに、そこで待ち伏せするのです。彼ら自身がニーズを認識する前に、求めている新しいエクスペリエンスを正確に示すことが大切です。この魔法を実現するには、「カスタマージャーニー」の計画を前もってやめる必要があります。

白いキャンバスへ消費者に色をつけてもらう

従来の「カスタマージャーニー」は、本質的には一次元的な線で表されます。事前に決定された一連のポイントを消費者に案内するのです。そして、予測された道から消費者が大きく逸脱したとき、あなたのアルゴリズムは突然、手がかりを失います。

必要なのは新しい機械学習モデル。消費者が自由にカスタマージャーニーを描けるように手助けする、マーケティングツールが使えるキャンバスになるのです。事前に指定されたセグメント全員に同一メールを機械的に送信する代わりに、最新のパーソナライゼーション・ソフトウェアを使えば、消費者データを使用して各個人の最近の購入履歴を「点で結び」、そのパターンを分析して彼らが次にどこに向かっているかを予測できます

最新のソフトウェアでは、すべての消費者に対してその場で生成される予測モデルを使用して、どの商品を購入する人が高価値帯の商品に興味を持つかを知ることも可能です。

実際、特定のビジネス目標を達成するために、そのソフトウェアを活用することもできます。そうすれば、消費者1人ひとりを目的の商品に導くことができるのです。何百万人にも上る消費者の進化する好みや願望と完全に同期したレコメンデーションを、すべてリアルタイムで適用します。

◇◇◇

このような一歩進んだ視点から振り返ると、旧式の「カスタマージャーニー」はフィクションであり、そもそも実在しないものだったことは明らかです。適応性のある多次元的な白いキャンバスという新しい世界に足を踏み入れると、消費者の方向性が突然、または急激に変わっても、常に数歩先を行くことができます。

つまり、消費者の魔法のような商品発見の瞬間に、待ち伏せすることができるのです。そして、そのように個人レベルで繋がった後は、過去を振り返りたくなることは決してないでしょう。

Internet RETAILER
Internet RETAILER

日本郵便 × テクノロジー企業の物流ラストワンマイル問題への取り組み。自律走行型ソフトロボットによる「動く宅配ボックス」の実証実験

5 years 10ヶ月 ago

アメーバエナジーと日本郵便は1月30日、神奈川県相模原市の「さがみロボット産業特区プレ実証フィールド」において、自律走行型ソフトロボット「Amoeba GO-1」による集合住宅へのラストワンマイル配送を想定した実証実験を行った。

今回の実証実験の内容は下記のとおり。

  1. オートロックを想定したエントランス部分で、配達員がロボットに荷物を預ける
  2. 段差や階段を乗り越え、各戸の前まで荷物を運ぶ
  3. 住戸の前で指定された荷物を下ろし、荷物を置いた状態を撮影する
  4. ロボットが撮影した写真をユーザーに送信する
配達員が「Amoeba GO-1」に荷物を入れる
①配達員が背面のフラップを開けて荷物を入れる。ロボットは狭い場所でも旋回できる
階段を登る「Amoeba GO-1」
②段差が18センチまで、傾斜角度が35度までの階段なら昇降できる
③ゆっくりと傾斜を付け、背面から滑らせるようにして荷物を下ろす
「Amoeba GO-1」の配達完了画面
④配達完了の通知画面

なぜソフトロボットなのか

「Amoeba GO-1」は従来のロボットのイメージを覆す「ソフトロボット」。「ソフトロボット」とは生物が持つ柔らかい素材が持つしなやかな動き、適応性の高さ、接触したときの安全性、心理的な親近感などを持つロボット。柔らかなスポンジ状のキャタピラで、階段もしなやかに移動できる。

今回の実証実験は、配達員が宅配ボックスではなくロボットに荷物を預けるという、ロボットを動く宅配ボックスとして活用する試み。開発を手がけるアメーバエナジー代表の青野氏は、「宅配のラストワンマイルの課題を解決するには、置き配の自動化が必要だが、住宅には段差や階段がある。ソフトロボットなら柔軟に対応できる」と語った。

Amoeba Energy 代表取締役社長 青野真士氏
Amoeba Energy 代表取締役社長 青野真士氏 

日本郵便ではマンガで置き配の利用を促進するコンテンツを作成するなど、置き配の普及に取り組んでいる。日本郵便 オペレーション改革部 部長の五味儀裕氏は、「宅配業界では再配達をどう減らすかが大きな課題。日本郵便でも置き配を進めているが、オートロックが障壁になって置き配ができないことが多い。今回の実証実験はオートロックの内側からアプローチするのがポイント。ドローンや車輪型のロボットなど、さまざまな新技術の実験をしているが、Amoeba GO-1は階段を登れるところが魅力」と語った。

日本郵便 オペレーション改革部 部長 五味儀裕氏
日本郵便 オペレーション改革部 部長 五味儀裕氏

日本郵便×テクノロジー企業の取り組み

①宅配ロボット

日本郵便は2019年1月31にも福島県双葉郡浪江町においてZMPの宅配ロボット「CarriRo Deli(キャロルデリ)」による実証実験を行っており、ゆうパック配送の過程においける人の飛び出しや、自転車や人とのすれ違いなどについて実験した。

ZMPのプレスリリースよりキャプチャ

②自動運転

2019年3月にはアイサンテクノロジーと自動運転の実証実験を行った。東京国際郵便局から新東京郵便局の間における郵便物の輸送を想定し、新東京郵便局構内においては運転者が乗車しない自動運転を実施した。

③ドローン

小型無人航空機(ドローン)については2018年11月に福島県南相馬市の小高郵便局と、福島県双葉郡浪江町の浪江郵便局の間でドローンでの郵便局間輸送を開始している。また、2020年1月14日からは、奥多摩郵便局と周辺地域で、自律制御システム研究所製の「PF2」による輸送を開始している。

④IoT宅配システム

2020年2月1日からは京セラと横浜市による「IoT宅配システム」の実証実験にも参加している。

内山 美枝子
内山 美枝子

ホットペッパービューティーやないかい!

5 years 10ヶ月 ago
リクルート「ホットペッパービューティー」が、ミルクボーイによる漫才で宣伝。
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美容室を探すのに便利なサービス編
https://twitter.com/hotpepperbeauty/status/1219838922458402816
よく使うサービス編
https://twitter.com/hotpepperbeauty/status/1219838645592416258
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noreply@blogger.com (Kenji)

「ネクストエンジン」のHamee、滞留在庫を可視化する「滞留在庫アプリ」をメーカー・小売業者向けにリリース

5 years 10ヶ月 ago

Hamee(ハミィ)は2月4日、クラウド(SaaS)型ECプラットフォーム「ネクストエンジン」の追加機能として、ネクストエンジンユーザーの滞留在庫を可視化する「滞留在庫アプリ」の提供を開始したと発表した。

「滞留在庫アプリ」は、EC事業者が生産・販売している商品について、どの商品が滞留しているのか在庫量を可視化し、完売するまでの期間を予測することができる機能。滞留していると判断された商品は、2020年3月オープン予定のHamee運営の新ECサイトに出品できるようにする。

Hamee(ハミィ)は2月4日、クラウド(SaaS)型ECプラットフォーム「ネクストエンジン」の追加機能として、ネクストエンジンユーザーの滞留在庫を可視化する「滞留在庫アプリ」の提供を開始
Hameeが開始予定のECサイトの概要(画像は「ネクストエンジン」から編集部がキャプチャ)

Hameeはスマホケース「iFace」の販売、「ネクストエンジン」を通じた3790社のEC事業者との取引から、業界内での大量廃棄や滞留在庫について危機感を感じていた。商品価値があるはずの在庫商品は「ネクストエンジン」内だけでも600億円以上あるという。

「滞留在庫アプリ」を通じ、スマートフォンアクセサリー類の販売事業者、3790社のEC事業者と取引を行うプラットフォーマーとして、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」と、大量生産・大量販売によるゆがみを解消していきたいとしている。

在庫問題で先行してサービスでは、在庫問題を解決するクラウドサービス「FULL KAITEN」をフルカイテンが開発・販売している。「在庫の実力を可視化」「仕入れ個数の最適化」「販売手法を最適化」といった機能を搭載し、ECやリアル店舗の在庫削減、仕入れ最適化、粗利増加を支援している。

石居 岳
石居 岳

ECシステムはいつリリースすべきか? 失敗しないシステム刷新のポイント | EC部長が担当者に読んでもらいたいこと

5 years 10ヶ月 ago

ECシステムの刷新には、「社内にわかる人を置く」「経験ある開発者チームを雇う」「欲張らない」「とにかくソフトオープン」「企業の論理に負けない」、できれば「痛い目にあったことのある人をプロジェクトに入れる」ということを実施し、「どんなシステム、プロジェクトでもでもトラブルは起こりうる」ということを念頭に置いて取り組くむことが重要になります(参照記事:「失敗しないECシステム刷新のポイントとは?」)

今回、昨今のシステムリリースの課題で押さえるべき上記ポイントに加え、システムリリースを「いつ」するべきかを説明していきます。

タイミング選定は「売り上げ等の事業活動への影響最小化」「リスク回避」

企業の論理(都合)を優先したシステムリリースのよくある例として、「記念日に無理に合わせる」「トップが発言してしまった期日を死守しようとする」「キャンペーン等集客のピークをぶつけてくる」など、いきなりハードオープンになるのを避けるのは言うまでもありません

その上で、システムリリースのタイミング選定には、「売り上げ等の事業活動への影響最小化」と「リスク回避」という2つの考慮点があります。それに基づくと一般に次のようになります。

  • 売り上げ、トラフィックが少ないとき(≒繁忙期でないとき)
  • 繁忙期までに十分の期間を空けた時期(できれば、同月の月初月末を含む1か月以上前。何かあったときに繁忙期までに対処ができる時間を持つということ)
  • 世の中が止まっていないとき(年末年始、GW、お盆、3月中旬~4月中旬など)

これらは、売り上げや事業活動へのインパクトを一番減らす目的もあります。加えて、何かあったときに、リソース、人員などを活用できる時期(≒世の中が止まっていないとき)だからです

年末年始、GW、お盆は、多くの人が休んでいたり、会社自体が休業していますので、トラブルが生じた際、担当者に連絡が取れなかったり、作業にあたれないなど解決までに時間がかかることがあります

3月中旬~4月中旬は、日本企業の多くが年度末・年度始まりで、人員の獲得の問題もあります。また、人事異動などで組織内に落ち着きがなかったり、責任があいまいだったりということがありますので、この時期も避けた方がよいでしょう。

このような時期でも、「開発会社は人材を確保しているので大丈夫です」と言われます。しかし、その他の時期よりも課題があることは明白です。そのまま信じてリスクを取るかどうかは依頼側の責任となります

結果的に小売りなどでは、実店舗の改装のように、システムリリースも2月や9月が多くなります。ECなどWebシステムの場合、2月や9月を予定していたが、遅れて3月や10月になることも多いのが実情です。

ECシステムのリリースタイミングのポイント
ECシステムのリリースタイミングのポイント

BtoCシステムはソフトオープンを心がける

さらに細かい懸念を言うと、

  • 月末(末日)や月初(1日)にかぶらないようにする
  • 土日祝日にリリースしない

などがあります。

月末月初を避けるのは、会計の〆の際にシステム障害が起きて影響が広がることを防ぐためです。土日祝日は世間が動いておらず、また、月曜日のリリースになると土日に準備がいるため人材の配置が必要になります。金曜日リリースは何かの際に土日対応が必要になりますので、できれば「火水木」にリリースをすることをお勧めしています

開発会社がシステム要員をキープしている場合もありますが、リリースで何が起きるかわかりません。筆者の経験で、サーバを起動させた際、ハードウェア障害を起こしてしまい、結局メーカーの対応が必要になったこともあります。

開発会社が自社や協力会社のソフトウェアのエンジニアを待機させていることはありますが、金融機関でもいない限り、ハードウェアのベンダーまで待機させていることは少ないので、結局ハード障害に対応するために平日昼間まで待つことになります

もちろん、体制を整えれば整えるほど費用はかかります。それも、問題がなければいらない「無駄な」費用です。ですので、売り上げやその他のリスクと費用を鑑みた上で、どこまでの体制を採用するかという決断をする必要があります

上記を考慮したうえで、週半ばの平日の昼間、もしくは早朝にリリースすることが、結局一番リスクが低く、体制をとる費用は低くなります

◇◇◇

筆者がいつも指摘していることですが、BtoCシステムは、とにかくソフトオープンが重要です。

また、新規リリースの場合は事前予告しない限り、あまり対外的な問題はありません。リプレースの際は、ビジネスが止まったり、既存顧客に迷惑をかけるなどインパクトが大きいということです。

どこまで考慮するか、リスクをとるかは、会社や事業の状況、内容によります。そのため、一概には言えません。しっかり検討した上で、タイミングやどうするかを決定し、それに合わせた準備を行わなくてはならないのは当然ことと言えるでしょう

中島 郁
中島 郁

旧メディアハーツ(現ファビウス)、定期購入の表現巡る消費者団体の差止請求訴訟で一審勝訴

5 years 10ヶ月 ago

通販サイトの表現が景品表示法に違反しているなどとして、消費者団体が青汁通販のメディアハーツ(現在の社名はファビウス)に対して不当表示の差し止めを求めた訴訟で、名古屋地方裁判所は消費者団体側の請求を棄却した。ファビウスは1月27日に勝訴したと発表した。消費者団体側は判決を不服として1月8日に控訴している。

提訴したのは特定非営利活動法人消費者被害防止ネットワーク東海。消費者の利益を守るために、事業者に対して表示の差し止め請求などを行える「適格消費者団体」に認定されている。

消費者被害防止ネットワーク東海は2018年1月、メディアハーツ(社名は当時)が運営するECサイトの定期購入の表示が景品表示法に違反しているなどとして、表示の差し止めを求めて提訴した。

定期購入コース「ラクトコース」は4カ月分以上を購入する必要があり、支払い総額は最低でも1万1070円だが、通販サイトには初回購入の金額が630円であると目立つように表示しており、そのことが消費者の誤解を招くと主張した。また、返金の仕組みが消費者にとって分かりにくいなどとした。

消費者被害防止ネットワーク東海は、こうした表現は景品表示法が禁じる有利誤認(実際の取引よりも有利な取引であると消費者を誤認させること)に当たるとし、表示を変えるよう求めていた。

これに対し、名古屋地裁は消費者被害防止ネットワーク東海の請求を棄却した。

ファビウスによると、名古屋地裁は「(契約の)条件は十分明示されており(略)、社会一般に許容されている誇張の限度を超えて販売価格の有利性があると誤信させるものであるとは言えない」「初回の支払金額を定額にする表示が(略)有利誤認表示にあたるとは言えない」との判決を下したとしている。

渡部 和章
渡部 和章

メルカリとメルペイ、NTTドコモが業務提携。「メルカリID」と「dアカウント」の連携でシームレスな電子マネー決済が可能に

5 years 10ヶ月 ago

メルカリ、メルペイ、NTTドコモは2月4日、3社のユーザーの利便性とサービス向上、キャッシュレス推進、新規事業の検討などを目的に業務提携すると発表した。「メルカリID」と「dアカウント」の連携、「メルペイ」と「d払い」のウォレットの電子マネー残高・ポイント連携などを行う。

メルカリ メルペイ ドコモ メルカリid d払い 業務提携

業務提携の内容は次の通り。

  • 「メルカリID」と「dアカウント」の連携による顧客基盤の拡大(2020年5月開始予定)
  • 「メルカリID」と「dアカウント」の連携により、「メルカリ」での取引1回につき、取引額100円(税込み)ごとにdポイントを1ポイント還元(2020年5月開始予定)
  • dポイントを1ポイントあたり1円(税込み)として、「メルカリ」での取引に使用可能(2020年5月開始予定)
  • 「メルペイ」ウォレットと「d払い」のウォレットの電子マネー残高・ポイント残高を連携。3社のサービスにおけるポイントのシームレスな利用を実現
  • 「メルペイ」「d払い」加盟店の共通化、共同での営業推進(2020年初夏開始予定)
  • 一部ドコモショップで実施している「メルカリ教室」や「メルカリ」の梱包・配送サポートの全国展開の推進を検討
  • 3社が保有する各種データを連携したfintechサービスの開発を検討
  • 新たなマーケティングや販促ソリューションの開発を検討

今回の業務提携を記念し、2020年2月4日(火)から2月24日(月)まで「メルカリでd払いを使うと+10%還元キャンペーン」を実施する。2月の「毎週おトクなd曜日」と組み合わせることにより、「メルカリ」での買い物で「d払い」を利用すると購入金額の最大20%のdポイントが還元される。

メルカリ メルペイ ドコモ メルカリid d払い 業務提携 キャンペーン
期間中は「メルカリ」での「d払い」決済1回につき決済手数料、1回100円分のdポイントが付与されるキャンペーンも実施される

業務提携の背景について、メルカリのコメントは下記の通り。

メルカリとドコモは、2015年4月のキャリア決済のパートナーシップに始まり、2019年4月には「メルカリ」で売れたものを梱包・発送できる「つつメルすぽっと」のドコモショップ内への設置や、同年10月には「メルカリ教室」を共同開催するなど、これまで多くの取り組みを重ねてまいりました。

今回の業務提携により、これらの取り組みを拡大するとともに、両社IDの連携によりメルカリ、メルペイ、ドコモの3社で国内最大規模の顧客基盤を保有するアライアンスを構築し、さまざまなサービスを提供することが可能となります。

さらにスマホ決済領域での加盟店共通化など、3社が持つアセットを相互に活用し、ポイントをシームレスに利用できる決済サービスを実現することにより両グループのお客さまの利便性向上、日本におけるキャッシュレス推進をめざし、さまざまな事業を展開してまいります。

藤田遙
藤田遙

「SEOは死んだのか?」、データから考えるSEOの滅亡論

5 years 10ヶ月 ago
Googleのアルゴリズム変更やダイレクトアンサーの増加など、SEOを取り巻く環境は日々変化しています。以前は通用した施策が、今日では通用しなくなる場合も珍しくなく、情報やアイデアを常にアップデートする必要があります。こうした状況を指し、「SEOは死んだ」と言われることもありますが、ニール・パテル氏がそうした状況に一石を投じています。今でもブログへの流入数を増やし続けているパテル氏が、「SEO滅亡論」に対しどのように考えているか、この記事で紹介しています。 続きを読む

ざっくりわかる機能性表示食品制度の「事後チェック指針」

5 years 10ヶ月 ago

消費者庁は1月16日、「機能性表示食品に対する食品表示等関係法令に基づく事後的規制(事後チェック)の透明性の確保等に関する指針(案)」について、パブリックコメントの募集を開始した。意見募集期間は2月14日まで。3月上旬までに意見のとりまとめを行い、3月下旬に公表し、4月1日からの運用を目指す。指針案では「科学的根拠」の考え方と、「広告表示」の考え方の2つの柱を中心に定められている。

2015年にスタートした「機能性表示食品制度」。届出公表件数は2,300件を超え、市場も3,000億円規模に成長したが、「基準が不明確」という声も多く、景品表示法などに触れて行政処分を受ける事業者も後を絶たない。打ち出された指針案は制度の円滑な運用に寄与するのか? 公開された指針案の概要についてまとめる。

なぜ指針が必要なのか

健康食品の広告などの表示において、「不当表示」と判断される基準は下記の2つ。

① 「著しく」優良または有利に見える表現

広告にはある程度の誇張が含まれていることは消費者も想定しており、消費者も競合企業も容認できる些細な誤認ならOKだが、消費者が「表示が実際と違うのなら購入しなかった」「知っていればその商品でなくても良かった」と思うような表現はNG

② 一般消費者に誤認される表現

消費者は表示を手がかりに商品を選択する。世間並みの常識のある消費者が、表示から受け取る印象、認識、期待感などが、実際の商品と差が生じるような表現はNG。ただし、消費者の無知から生じる勘違いや、事実とは異なるが誰も本気では受け取らない表現は除く。

こうした基準はあるものの、「特定の文言を使っていたらNG」というような単純なものではなく、広告を構成する文章、図版、写真などから総合的に判断し、その広告を見た一般的消費者が持つ「印象」や「期待感」と、事実との間に相違があると判断されたらNGということになっている。実際に事業者からも、

「処分を受けた会社と、処分を受けなかった会社の表示はどこが違うのかわかりにくい」

「広告全体で総合的にケースバイケースで判断され、基準が抽象的」

「規制を予見できる可能性が低すぎる」

といった声が寄せられてきた。このため消費者庁は、ルールの予見性と透明性を高めるため、有識者や業界団体と「事後チェック指針」の作成を進めてきた。今後は各業界団体内でのチェックを含め、機能性表示食品制度の円滑な運用を目指す。

事後チェック指針「広告表示」の考え方

1月29日に健康食品産業企業議会、日本健康・栄養食品協会、日本抗加齢協会、日本チェーンドラッグストア協会、日本通信販売協会の5団体と消費者庁が共同で開催したセミナー「機能性表示食品、新ルールを徹底解説」の中で、消費者庁表示対策課特命室長の田中誠氏は、「広告表示において、事業者の方がつい行き過ぎてしまうポイントが7つある。事後チェック指針では、アクセルを踏みやすい部分にオービスを設置した」と語った。

消費者庁表示対策課特命室長の田中誠氏
消費者庁 表示対策課 特命室長 田中誠氏

指針案の中で「景品表示法上問題となるおそれのある広告その他の表示の要素」としてあげられているのは下記の7つ。

①解消に至らない身体の組織機能等にかかる問題事項等の例示

届出された食品又は機能性関与成分が有する機能性では解消に至らない疾病症状に該当するような身体の組織機能等に係る不安や悩みなどの問題事項を例示して表示することや、当該食品又は当該機能性関与成分が有する機能性ではおよそ得られない身体の組織機能等の変化をイラストや写真を用いるなどにより表示することは、一般消費者が、表示全体から受ける印象によって当該食品を摂取するだけで当該身体の組織機能等に係る問題が解消されるものと誤認する蓋然性があり、そのような表示は、届出された機能性の範囲を逸脱したものとして景品表示法上問題となるおそれがある。

つまり、「飲むだけで(他には何もしなくても)悩みが解消する」というような、あり得ないことを印象づける表現はNG。

②届出された機能性に係る表示

簡単に言うと下記の4つ。

  • 届け出された機能性の範囲を逸脱した説明をしてはいけない
  • 機能性関与成分ではない成分を強調してはいけない
  • 医薬品や医薬部外品で認められているような効果効能を標ぼうしてはいけない
  • 効果が得られた対象者が限定されている場合、誰でも効果が得られるような表示をしてはいけない

具体的には「花粉症に効果あり」「糖尿病の方におすすめ」「高血圧の人に」など医薬品的な効果効能にあたる表現がNGのほか、健康の維持・増進という本来の範囲を超えた「肉体改造」「増毛」「美白」などの表現は「意図的な健康の増強の標ぼう」とされるためNG。

③実験結果及びグラフ

消費者に信憑性の高さを印象付ける試験結果やグラフにおいて、実際の試験結果よりも過大な効果があるかのように表示することは景品表示法上問題となるおそれがある。

④医師や専門家等の推奨等

医師や専門家の推薦がNGというわけではないが、下記の場合はNG。

  • 特定の疾病名を示すことにより、当該疾病の予防・治療効果が得られるかのように表示する
  • 推奨等の事実がないにもかかわらず、推奨等を得ているかのように表示する
  • 全面的に肯定していないにもかかわらず、肯定している部分のみを引用する
  • 有償、無償を問わず、肯定するよう依頼して行われた利害関係者の推奨等であるにもかかわらず、客観的な立場からの推奨等であるかのように表示している
  • 推奨者の肩書を、事実に反して利用者に信頼される専門家であるかのように表示する

⑤体験談

体験談において機能性表示食品の効果に言及されている場合において、一般消費者の誤認を招かないようにするためには、当該体験談を表示するに当たり事業者が行った調査における①体験者の数及びその属性、②そのうち体験談と同じような効果が得られた者が占める割合、③体験者と同じような効果が得られなかっ た者が占める割合等を明瞭に表示することが推奨される。

体験談によくある「個人の感想です」という打ち消し表示については、下記のように記載されている。

体験談については、これに関連する「個人の感想です」等の表示が一般消費者に認識されるものであったとしても、体験談で示された効果に係る打消しの効果は認められないことに十分留意し、体験談に表示されている内容が届出された機能性の範囲を逸脱していないかを、十分にチェックする必要がある。

つまり、「個人の感想です」と書けば何を言わせても良いわけではないということ。打ち消し表示についてはこれ以外にも

  • 強調表示と同一視野に記載されていない
  • 同一視野であっても離れた箇所に記載されている
  • 隣接した箇所に小さな文字で記載されている

など、強調表示と一体として認識されない表示方法である場合には、景品表示法上問題となるおそれがあるとしている。

⑥届出表示又は届出資料の一部を引用した表示

届出表示の一部を切り出して強調し、本来期待される効果の範囲を逸脱した過大な効果が得られるかのような誤認を与えてはいけない。また、届出資料に用いた論文を広告などで引用する際、届出表示やその根拠となる論文から逸脱した内容を表示した場合は景品表示法上問題となるおそれがある。

⑦その他留意すべき事項

効果を暗示させるキャッチコピーやイラスト、図版などについても、「一般消費者がどう認識するか」を十分に考慮する必要がある。

機能性表示食品の広告その他の表示においても他の一般的な商品又は役務 の広告その他の表示と同様に、例えば、「売上NO.1」などといった商品の優良 性を示す表示が行われることがあるが、その根拠が極端に短い期間のものであったり、対象者が限られていたり、機能性表示食品として届出する以前の当該食品の売上実績を合算したりする場合は、それらが明瞭に記載されていない場合、一般消費 者に実際よりも著しく優良なものと誤認させる蓋然性があり、景品表示法上問題となるおそれがある。

このほか、景品表示法上問題となる恐れがあるのは下記の4項目。

  1. 届出された機能性の範囲を逸脱した表示
  2. 特定保健用食品と誤認される表示
  3. 国の評価、許可等を受けたものと誤認される表示
  4. 表示の裏付けとなる科学的根拠が合理性を欠いている場合

事後チェック指針「科学的根拠」の考え方

広告表現が「事実である」と認められるには、下記の2つの要件を満たさなければならない。

  1. 提出資料が客観的に実証された内容のもの(「試験、調査によって得られた結果」か「専門家もしくは専門機関の見解、または学術文献」のどちらか)であること
  2. 表示された効果、性能と提出資料によって実証された内容が適切に対応していること

科学的根拠について消費者庁食品表示企画課保健表示室長の森田剛史氏は、科学的根拠には真っ白(編注:間違いなく問題がないと言えるもの)と真っ黒(同:間違いなくNG)があるとし、「今回示したのは黒い部分だけ。黒に近いグレーについては、今後は、客観的に評価できる第三者機関の設置を含めて対応していきたい」としていた。

消費者庁表示対策課特命室長の田中誠氏
消費者庁 食品表示企画課 保健表示室長 森田剛史氏

主なNG例(指針案から抜粋)

  • 表示する機能性に見合ったリサーチクエスチョン(PICOまたはPECO)が設定されているが、表示の内容が科学的根拠の内容に比べて過大、また当該根拠との関係性が認められない
    例:主要アウトカム評価項目(成果のこと。通常1つを設定)において、表示する機能性についての有意な結果が得られていない
    例:主要アウトカム評価項目が複数設定されており、一部のアウトカム指標で有意な結果が得られていない場合に、その関連性を踏まえた説明がされていない
  • 条件を限定しない場合には特定の目的が期待し難いと考えられる結果であるにもかかわらず、表示の内容で当該条件に言及していない
  • 根拠論文が撤回され、機能性表示の科学的根拠となる査読付き論文が存在しない
  • エキスおよび分泌物(以下「エキス等」)に含有される特定の成分を機能性関与成分としているものであり、当該特定の成分のみでは表示する機能性を根拠論文等により合理的に説明できていない
  • エキス等を機能性関与成分とする場合において、指標成分が機能性関与成分たるエキス等との同等性について合理的に説明できていない
  • 根拠論文の対象者の一部に疾病に罹患している者が含まれる場合に、適切な層別解析がなされず、疾病に罹患している者が除外できていない(例外あり)
  • 試験の実施計画または実施方法に不備がある
    例:臨床試験(ヒト試験)の計画がガイドラインに規定する登録システムに事前登録されていない(例外あり)
    例:UMIN臨床試験登録システム等への事前登録後に、機能性の実証に係る項目に関して実質的な変更をおこなった
    例:倫理審査委員会の承認を受けていない
    例:プラセボ食等を摂取する対照群が設定されていない
    例:介入群に評価指標が高値または低値の者が恣意的に割り振られているなど、適切な参加者の割り付けが行われていない
  • 試験結果の評価に不備がある
    例:主要アウトカム評価項目における介入群と対照群の群間比較で統計的な有意差(P<0.05)が認められていない
    例:評価指標について、当該分野の学術的なコンセンサス等の観点から当該機能性を評価する指標として合理的な説明がされない
    例:評価指標に主観的な指標を用いる場合、日本人への妥当性が得られたものであり、かつ、当該分野において学術的に広くコンセンサスが得られたものであることについて合理的な説明がされていない
  • 必要な資料について、下記の情報等に関して客観性・透明性が担保されていない
    • 論文の検索条件や採択・不採択の論文情報など、結論に至るプロセス
    • 当該研究レビューにおけるスポンサー、共同スポンサー(研究の発案、運営、資金のすべて、またいずれかに責任を負う個人、企業、研究機関、その他団体)および利益相反に関する情報
    • 出版バイアスの検討結果
  • 研究レビューで採用した論文(臨床試験(ヒト試験)の内容に不備がある
    例:RCT(ランダム化比較試験)で表示する機能性を支持する査読付き論文が1報もない
    例:表示する機能性に見合ったアウトカムを適正に研究レビューへ反映せず、肯定的な結果のみを恣意的に選出している
  • 研究レビューにおける成分と届出食品中の機能性関与成分との同等性が担保されていない
    例:研究レビューで評価した成分(エキス等を含む)と届出食品中の機能性関与成分の同等性が合理的に説明されない
  • 研究レビューで有効性が確認された量よりも届出食品中の機能性関与成分の含有量が少ない
    例:研究レビューで有効性が確認された際の摂取時の形態や剤型と届出食品での形態や剤型が異なる場合において、有効性が確認された機能性関与成分の有効量の同等性が合理的に説明されていない
  • 「totality of evidence」の判断(採用論文数、最終的に肯定的と判断できる要素など)が適切になされていない
    例:バイアスリスクを著しく過小評価した論文をもとに、肯定的な結論を導き出している
    例:表示する機能性に対して否定的な結論での論文データを恣意的に除いている
    例:表示する機能性について総合的に肯定されるとの判断をするに至った合理的な理由が具体的に示されていない
    例:表示する機能性を支持する査読付き論文が1報もない
    例:結果の客観性・透明性を担保するために必要な情報が示されない
内山 美枝子
内山 美枝子

楽天・三木谷社長が語った「送料無料ラインの全店舗統一」実施への決意&2019年の総括と今後の取り組み | 大手ECモールの業績&取り組み&戦略まとめ

5 years 10ヶ月 ago

楽天の三木谷浩史会長兼社長が1月29日の「新春カンファレンス」で強調したのは「送料無料ライン全店舗統一」の3月18日スタート、自社配送ネットワーク作りなどの「ワンデリバリー」構想、そして、これまでの「楽天市場」の成果などだ。三木谷社長が語った講演内容をまとめた。

送料無料ライン全店舗統一を導入する理由

購入者の送料負担を0円とする送料無料ラインを全店舗(一部除く)共通の3980円以上に設定する施策について三木谷社長は、「(この施策を)やらなければこれ以上の成長は難しい。前向きに捉えていただき一緒に成長していきたい。なにがなんでも成功させたい」と説明し、3月18日のスタートを断言。そして、約4000社の出店者にこう語りかけた。

(顧客ロイヤルティを測る指標である)NPSがAmazonに肉薄してきた。負けている理由は送料。送料であきらめてしまうユーザーが7割近くにのぼる。「楽天市場」に送料無料ラインが統一していれば購入をあきらめるユーザーが減る。(お客さまは)日本の店舗だったら応援してくれる。

5万店舗が多様性をキープし、安心・安全を維持しながら、買いやすいサイトを作る。そうしなければ「楽天市場」の持続的な成長はできない。送料無料ラインの変更は大変だということは理解している。

楽天 共通の送料無料ライン導入によって期待する効果
共通の送料無料ライン導入によって期待する効果

全店舗共通の送料無料ラインを導入するのは、楽天ユーザーからあがっている「送料がわかりにくい」といった課題を解決するのが目的。施策の導入によって購買頻度の増加、新規ユーザーの拡大によって、「流通総額は1割以上あがると確信を得ている」(三木谷社長)

楽天の調査によると、多くの楽天ユーザーが送料に関する不満を抱えており、7割近くが送料に関する原因で購入をあきらめた経験があるという。

楽天が実施した送料に関する自社調査の結果
楽天が実施した送料に関する自社調査の結果
楽天が実施した送料に関する自社調査の結果

こうした楽天ユーザーの不満を解消するために導入する、送料無料ラインを3980円以上にする施策。

  • 酒類
  • 大型宅配便やクール便、国際配送
  • 沖縄や離島など宛ての配送は9800円
  • 沖縄や離島などが出荷地の店舗

などは、3月18日の施策スタート段階では対象外となる。

楽天の送料無料ライン全店舗施策の概要
施策の概要

Amazonへの対抗

  • (店舗が出店する形式である)集合体としての良いところは店舗それぞれのキャラクターがあること。たとえば、Amazonではお客に対してEメールを送ることができないので、アプローチもできない。楽天は店舗とユーザーの関係性を作ることに注力してきた。
  • Amazonのようなプレーヤーが台頭してきて、集合体の楽天はどう対抗するか? 最終的にモノが安く便利に届くプラットフォームとして突き詰めていかなければ、我々はそうしたプレーヤーに対抗できないステージにきている
  • (顧客ロイヤルティを測る指標である)NPSがAmazonに肉薄してきた。負けている理由は送料。送料であきらめてしまうユーザーが7割近くにのぼる。「楽天市場」に送料無料ラインが統一していれば購入をあきらめるユーザーが減る。日本の店舗だったら応援してくれる。

2020年の新春カンファレンスで、三木谷社長が何度も口にしたのがECの巨人「Amazon」というキーワード。Amazonにどう対抗していくのか――。こうした対抗心が込められた講演で、三木谷社長は来場した約4000店の出店者へ次のようにメッセージを贈った。

皆さんのところで買わなくなったら何の意味もない。(南米最大級のECモール「MercadoLibre」が行った同様の送料無料ラインの導入施策によって)海外では3~4割あがった例がある。皆さんの流通総額も1割以上は上がると確信を得ている。

ECの競争はグローバルで激化していると強調し、A社としたAmazonがグローバル市場でシェアを拡大していることに危機感をあらわにした
ECの競争はグローバルで激化していると強調し、A社としたAmazonがグローバル市場でシェアを拡大していることに危機感をあらわにした

「公取委と対峙しても」の意味

送料無料ラインの全店舗統一施策を断行するにあたり、多くのメディアが「公取委と対峙しても遂行」との三木谷社長の発言を、現在の「公正取引員会vs.楽天」の構図に引用しているが、実際は少々異なる。この言葉には、過去に行った出店料金の定額制度から従量課金制度への変更などを振り返ったもので、当時のことを踏まえて、三木谷社長は次のように述べている。

(従量課金制度への変更がなければ)サーバも耐えられなかった。当時、(出店している)70%以上の店舗がやめるんじゃないかと考えたが、私たちはそれが店舗の成長につながると思った。公取委と対峙しても遂行していく――心の底から皆さんのためになると思ったから。

三木谷社長
三木谷社長

一部出店者などが参加する楽天ユニオンが、楽天が始める送料無料施策は独占禁止法で禁じている「優越的地位の乱用」にあたるとして、公正取引委員会に調査を求める陳情書を提出したのが2020年。

さかのぼること15年前の2005年。楽天が実施した出店料の固定制度から従量課金制度への変更などが、取引上の優越的地位の乱用を禁じた独占禁止法に違反するとして、一部の出店者が公正取引委員会に申告したことがある。

翌年、公取委は楽天、ヤフー、ディー・エヌ・エー(DeNA)の3社に対し、出店者に対する優越的地位の乱用などで、独占禁止法違反につながる恐れがある取引関係が存在すると指摘する調査報告書を発表。その後、2005年に申告した出店者に対して、公取委は実質的な“シロ”判定の決断を下している。

「ワンデリバリー」構想の実現に向けて取り組むこと

1月28日、配送サービス「Rakuten EXPRESS」の配送対象エリアを、秋田県、岩手県、山梨県、静岡県、岐阜県、三重県、滋賀県、愛媛県、山口県、佐賀県および長崎県に拡大したと発表。これにより、「Rakuten EXPRESS」の配送対象エリアは合計34都道府県となり、国内人口におけるカバー率は約61%となった

「(物流への)大型の投資をしなければ将来の成長はできない」。2019年8月にこう話した三木谷社長が掲げた「ワンデリバリー」構想への投資計画は2000億円超。「第1フェーズで700億円の投資がほぼ終わった。これから1300億円の投資をしていく」と説明していた。

2020年内には新たな物流拠点として千葉(習志野)と神奈川(中央林間)が稼働する予定。物流拠点を増やすことで、楽天独自の配送サービス「Rakuten EXPRESS」の配送対象エリアを拡充する。「Rakuten EXPRESS」は楽天が運営する配送サービスで、日用品のECサービスを提供する「Rakuten Direct」、「楽天ブックス」「Rakuten BRAND AVENUE」、「楽天スーパーロジスティクス」で担う「楽天市場」の出店店舗の一部商品を楽天が配送している。

楽天が日本郵便と契約を結び、運賃を特別価格で提供する「楽天特別運賃プログラム」に関して、ゆうパケット(厚さ1センチ~3センチいない)は136円~220円(税別)の特別運賃を維持。ゆうパック(60~170サイズ)は平均10%の値下げになる515円で提供するという(税別、持込で年間5000件以上)

また、集荷・持込サービスをスタートしたことも公表。「楽天市場」以外の他モール向け出荷も同一価格で提供するという。

集荷・持込サービスの料金表(読者提供)
集荷・持込サービスの料金表(読者提供)

これまで常温のみ扱っていた楽天の物流サービスだったが、冷蔵・冷凍商材の扱いもスタートしたことを明らかにしている。

これまでの施策と効果、今後の取り組み

国内EC流通総額は4兆円規模に

2019年度(2019年1~12月期)国内EC流通総額が約4兆円、グローバル流通総額は20兆円規模になったという。

右肩上がりを続ける国内EC流通総額 楽天市場
右肩上がりを続ける国内EC流通総額

国内EC流通総額は「楽天市場」の流通総額に加え、トラベル(宿泊流通)、ブックス、ゴルフ、チケット、ブランドアベニュー、楽天ダイレクト、楽天西友ネットスーパーなどの流通額を合算した数値。

2019年度は年間3200億を超える楽天スーパーポイントを発行。ポイントを軸にした販促でヘビーユーザーやライトユーザーの購買が伸びたという。

楽天スーパーポイントは90%以上が消化され、「有効なマーケティングツールになっている」(三木谷社長)
楽天スーパーポイントは90%以上が消化され、「有効なマーケティングツールになっている」(三木谷社長)

このポイント施策の軸になっている「楽天スーパーポイントアッププログラム(SPU)」は、エントリー不要で「楽天市場」のお買い物においてポイントを最大16倍提供するプログラム。

「SPU」によってポイント提供を受けたユーザーの75.2%が「楽天市場」で商品を購入しているという。

「SPU」は「楽天市場」の満足度向上に寄与しているという
「SPU」は「楽天市場」の満足度向上に寄与しているという

「SPU」によってライトユーザーが増えているのに加え、ロイヤルティーの高いユーザーの増加も流通総額の拡大に寄与しているようだ。

たとえばダイヤモンドランクとレギュラーランクのユーザーを比較した場合、月間購入額では4.8倍、月間注文件数では4.9倍の開きがあるという。

ロイヤルティーの高いユーザーが増えているという
ロイヤルティーの高いユーザーが増えているという

安心・安全なECプラットフォーム作り

楽天は2016年に違反点数制度を導入。違反点数に応じた措置を公開し、その点数に達した場合には必要な措置を行うなど、罰則の透明化を図っている。たとえば、違反点数が年間累計で35点に達した場合、7日間のランキング掲載停止、検索表示順位のダウンといった措置が行われているという。

こうした違反点数制度について三木谷社長は次のように説明した。

罰則規定がない規定は有効性がない。警察との連携、第三者組織委員会などの設置行った。違反点数制度の導入で、権利侵害、不正レビューも大量に防ぐことがきた。制度スタート後、規約違反店舗は73%減少した。悪いことをやっている店舗は皆さんの敵。安心・安全便利に買ってもらえるようにしている

三木谷社長は違反点数制度の有効性を訴えた
三木谷社長は違反点数制度の有効性を訴えた

モバイルシフトが進む「楽天市場」

2019年12月時点で、「楽天市場」の流通総額に占めるモバイル経由の割合は73.4%。三木谷社長は「想像をはるかに超えてモバイル化が進んでいる」とし、次のように話した。

今後のネット通販は、タイピングしなくても購入体験ができるようになる。顔認証、音声で買える時代がやって来る。それに伴い、マーケティングはテレビ広告やソーシャルメディアの活用が重要になる。

「楽天市場」のモバイル経由流通総額の推移
「楽天市場」のモバイル経由流通総額の推移
「楽天市場」はソーシャルメディアなどを駆使してスマホやSNSユーザーを獲得しているという
「楽天市場」はソーシャルメディアなどを駆使してスマホやSNSユーザーを獲得しているという

「楽天ペイ」の導入でライトユーザーが活性化

ある店舗はクレジットカードが使えるものの、別の店舗では使えない――。こうした状況はユーザーにとってとても不便。こうした状況を打開するためにスタートした「ワンペイメント」。1つ決済プラットフォームに統一したことによって流通総額があがった。

決済手段の拡充によってライトユーザーが活性化されたという
決済手段の拡充によってライトユーザーが活性化されたという

三木谷社長はこう説明し、特にライトユーザーが活性化していると強調したのが2017年に一新した「楽天ペイ(楽天市場店舗向けペイメントサービス)」。そして、「楽天市場」で2019年に始まった後払い決済サービスの導入は、現在のところ各出店者の任意になっているが、「今後の大きな取り組みは後払い。『楽天市場』全体で導入していく」と三木谷社長は話した。

また、「楽天ペイ補償サービス」として、ユーザーに起因する出荷後の決済トラブルについても補償していく方針を示した。

「楽天ペイ」の補償サービスを拡充する
「楽天ペイ」の補償サービスを拡充する
瀧川 正実
瀧川 正実

CSS Nite Shift13のフォローアップを公開します。

5 years 10ヶ月 ago

Shift13:Webデザイン行く年来る年(CSS Nite LP59)

2019年12月21日に浅草橋ヒューリックホールで開催したCSS Nite Shift13「ウェブデザイン行く時代来る時代」のフォローアップを公開します。

「アクセシビリティ」、「フォント」、「デザイントレンド」セッションは、追って公開します。

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