三井不動産レジデンシャルと宅配ロッカー大手のフルタイムシステムは4月17日、マンションにおける宅配ロッカーの利用効率を高める新たな取り組みを開始した。
小型BOXの増設や着荷通知サービスの強化などを進めることで、宅配ボックスの利用に関する課題を解決。宅配ボックスの効率的な運用を通じて宅配便の「再配達ゼロ」をめざす。
宅配会社への聞き取りや、フルタイムシステムが蓄積したデータの分析などを行い、宅配ロッカーの利用に関する課題を抽出した上で4つの対策を考案。対策済みの新型ロッカーを三井不動産レジデンシャルが今後販売する分譲マンションに順次導入する。
再配達ゼロに向けた4つの対策
- 利用実態に適した「小型の宅配ロッカー」を増やす
- 宅配ロッカーの入出庫回転率を高める通知サービスを強化
- メール便を投函可能なポストを設置
- 「宅配ロッカーの利用情報閲覧サービス」を提供
① 利用実態に適した「小型の宅配ロッカー」を増やす
三井不動産レジデンシャルとフルタイムシステムが提供する既存の宅配ロッカーでは、小型の「S」サイズ(内寸法:W411×D546×H246mm)のBOX利用がロッカー利用全体の約80%を占めているが、宅配物の荷物のサイズは小型化している。
宅配会社に実施したヒアリングでは、同社が取り扱う荷物のうち約60%がロッカーの「S」サイズより小さい「80サイズ」(3 辺の合計が 80cmまでの荷物)であることが判明。この現状に合わせ、小型荷物に最適な「SS」サイズ(内寸法:W411×D546×H108mm)の宅配BOXを開発した。
宅配BOXを小型化することで、従来と同じ設置スペースにより多くのBOXを設置できるようになる。総戸数50戸のマンションの場合、従来のロッカーではBOX数は8個だが新構成ロッカーのBOX数は12個。総戸数に対するBOXの割合は従来比1.5倍の24%に高まり、多くの住民が宅配ロッカーを利用しやすくなる。
従来のロッカー構成と新型のロッカー構成
② 宅配ロッカーの入出庫回転率を高める通知サービスを強化
現在、宅配ロッカーに保管された荷物が滞留した場合、メール・FAX・自動電話による滞留通知を4日目・10日目・20日目のサイクルで発信している。この対策を強化し、滞留2日目にも通知することで、より早い荷物の取り出しを促す。
滞留通知の仕組み
また、宅配ロッカーに荷物が届いたことを知らせる「着荷通知場所」は従来のマンション集合玄関だけでなく、キーシステムが設置されている全てのセキュリティゲート(サブエントランスなど)も加える。
三井不動産レジデンシャルが手がけた首都圏の分譲マンション27棟における宅配ロッカーの利用状況を調査したところ、宅配ロッカーに空きがない状態が1棟のマンションで1日あたり平均約1.2回発生しているという。着荷通知サービスを強化することで、ロッカーの回転率の改善を図る。
着荷通知サービスの仕組み
③ メール便を投函可能なポストを設置
メール便サイズ(W340×D260×H35mm)を投函できる「メール便対応ポスト」を、集合住宅の郵便受けに導入する。メール便は多くのショッピングサイトで利用されているが、既存のポストに入らないために宅配ロッカーに保管されるケースが多く、宅配ロッカーのBOXに空きがなくなる原因となっていた。
メール便対応ポストのイメージ (左:投入側、右:取出側)
④ 「宅配ロッカーの利用情報閲覧サービス」を提供
宅配ロッカーの空き状況を事前に確認できる「宅配ロッカーの利用情報閲覧サービス」を宅配会社の配達員向けに提供する。配達員は専用Webサイトで宅配ロッカーの空き状況を事前に把握できるため、宅配ロッカーの前まで荷物を運んだものの、空きがないために引き返す無駄がなくなる。
宅配ロッカーの利用情報閲覧サービスのイメージ
三井不動産レジデンシャルが今後分譲するマンションにおいて順次、こうした対策を行う。第1弾となるパークタワー晴海では上記4対策のほか、「冷蔵・冷凍品お預かりサービス」「各住戸専用宅配ロッカーの設置(プラミア住戸に限る)」なども導入する予定。
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オリジナル記事:再配達ゼロはどうすれば実現できる? 宅配ロッカーの利用率UPめざす住宅分譲会社の取組
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