Web担当者はプロジェクトマネージャーでありエバンジェリストであれ! 生田師匠からの叱咤激励メッセージ
自分の役割はプロジェクトマネージャーであることを理解しないWeb担当者に喝!
プロジェクトマネージャー不在のWebサイトに明日はない。
「Web担当者」と呼ばれているけれど
Web担当者といっても、最初は雑用係から。そんな風に仕事をスタートさせた方も多いだろう。
さらに専任ではなく、別の仕事との兼任であったり、社内でWebサイトのビジネスへの効果をまったく認識されていなかったり……。
Web担当者を取り巻く環境は、決して好ましいといえる状況ではない場合が多いかもしれない。
Web担当者は、自社Webサイトの「舵取り役」である。Webプロジェクトのプロジェクトマネージャーと言い換えることもできるだろう。
Webプロジェクトにおけるプロジェクトマネージャーの役割は、「企業のインターネットビジネスのプロジェクトすべてを統括して成功に導く」ことだ。
具体的なタスクとしては、大きく分けると「Webサイトを維持管理していく仕事」と「Webサイトを進化させていく仕事」の2つがある。
この2つの仕事を具体的にまとめると、次のようになる。
Webサイトを維持管理していくために
- コンテンツ制作
Webサイトの根幹である情報や記事を収集、制作、もしくは制作依頼する。
- オペレーション業務
制作したコンテンツを最適なタイミングでリリースしたり、修正が必要な部分を修正したり、古い情報を削除したり、常に最新で間違いのない状態にWebサイトを維持し、コンテンツの品質管理も行う。
- プロモーション施策
Webサイトへの集客施策を行う。検索エンジンの対策(SEO)や有料の広告(リスティング広告やバナー広告)などを利用した集客にとどまらず、ソーシャルメディアの有効利用などの施策も必要。
Webサイトを進化させていくために
- アナリティクス(分析)
Webサイトの効果測定を行う。
- 仮説検証
効果測定を参考に、目標を定めて、達成までの道程を決める。
- サイト改善(リニューアル等)
仮説検証を参考に、Webサイトの構造や大がかりな改善を行う。
Web担当者としてのはじめの一歩は「運用体制の確立」から
Web担当者は、自社Webサイトのプロジェクトマネージャーだといえる。
すべての業務を自分自身でこなしていたのでは、日々の雑用に追われ続けてしまう。ここで考えなければならないのが「運用体制」だ。
自社内に、Web担当者の手足となって動いてくれるメンバーがいれば、これに越したことはない。さらに、その人がディレクションとしてあるパートを担当してくれるレベルのスキルを持っているなら言うことなし。
加えて、実際の制作業務をこなせる現場のメンバーが数名いれば、日々の更新運用に割く時間も軽減されるはずだ。
外部の制作会社への発注コストが潤沢にあれば、上記のような問題も簡単に解決できるだろう。
もちろん、Web担当者自身が会社に対して「運用体制とはこうあるべき」と要望を出すことは必要だ。しかし、「そうか、ではそのとおりに進めてくれ」とすんなり了解してくれる会社は、めったにないのが現実だ。
だから、Web担当者としてのはじめの一歩は、「社内体制や外部協力体制の確立」ということになる。
企業のWebサイト運用体制には、次の図に示すようにさまざまな形が考えられる。
それでは、これをどのように成し得るのか。
それは、Webサイトの成果を「見える化」することに尽きる。その結果として、場合によってはダメな部分までも「見える化」することになる会社もあるかもしれない。
しかし、たとえそうであっても、とにかく社内のすべての人に、Webサイトがビジネスに貢献していることを「見える化」するのだ。
「アクセス解析の数字は、非常に細かく出している。だけど、うまくいかない……」というWeb担当者も多くいるかもしれない。
ここでは、数字を細かく出す必要はないし、Webの専門用語もNGだ。「ビジネスにどう貢献しているのか」を端的に伝えるだけで十分。定量化した数字が、明確になることもあわせて伝えよう。
また、マーケティングツールとしての有効性も十分に伝えるべきだ。「儲かる」「儲かりそう」などキーワードに、現状の問題をわかりやすく提示することで、偉い人がグッとくるようなレポートが必要なのだ。
そのためには、次の3つのことが求められる。
- 成果を決める
- それを定量的な数値で可視化する
- 成果に必要ないタスクをできる範囲でやめる
そして、Webサイトの数字を網羅した分厚いレポートではなく、1~2ページ程度で項目を絞ったシンプルなレポートを作成するべきだ。
数字を並べるのではなく、端的に結果が「良い」のか「悪い」のか、成果が数字にどう表れているのか、それを誰でも一目でわかるように作成する。
数字が示す意味を社内のだれもが理解できる言葉に翻訳して、「ビジネスにどう貢献しているのか」を伝えることが重要なのだ。
これらを実践できれば、今よりも少しだけ体制が前進するはずだ。
Web担当者としてのはじめの一歩は、Webサイトの成果を「見える化」すること。これに尽きる!
もちろん、社内のだれもが理解できる言葉に翻訳して。
Web担当者の明日はどっちだ!? めざすはエバンジェリスト
Web担当者はプロジェクトマネージャーであり、マーケティングを中心にタスクをこなす、自社Webサイトのエバンジェリストでもあってほしい。
私は、Web担当者にそんな理想を描いている。
Webサイトは、企業にとって非常に価値のあるマーケティングツールである。
だからプロジェクトマネージャーは、マーケティングツールとしてWebサイトが有効に機能することをプロジェクトの中心業務にすべきなのだ。
たとえ今どのような立場に置かれていようとも、すぐに始めてほしいことがある。
Webサイトの有効性を社内に広めよう。あたかも自分がエバンジェリストであるかのように。
Web担当者であるあなたが、すばらしいWebサイトのエバンジェリストになることを心から切望してやまない。
本日のまとめ
Web担当者は、Webサイトの「舵取り役」と心得よ!
成果の見える化こそが、社内外の協力を得る唯一の方法。
「社内外の協力」がなければ、Webサイトで成果を出すことはできない。
すべては、お客さまの問題解決のために!
この連載も今回で12回目、約1年間のお付き合いになりました。
ありがとうございます。
私たち制作会社が良い仕事ができるのは、Web担当者のおかげだと思っています。
制作会社は、社内の意志のとりまとめや意識改革のお手伝いはできますが、その主たる原動力はWeb担当者にほかなりません。
これまで、たくさんの仕事をさせていただいて、たくさんの成果を出すことができました。ひとえにこれはWeb担当者の力によるものであり、疑う余地もありません。
良いWeb担当者との出会いこそが弊社の求めるものであり、その出会いによって制作者として力を発揮できる可能性が生まれます。
このコーナーで1年間、「これじゃいけない」とWeb担当者に苦言を呈してきたのは、良いWeb担当者が増えることを心から望んでいるからです。
良いWeb担当者が増えることは、私たち制作会社の仕事にも直接影響するからです。
ところで、弊社には受注基準がありますが、きっと弊社のメンバーも十分に理解していないかもしれません。
制作会社によって、受注条件はさまざまだと思います。
会社の規模か、金額か、それとも業種や事業内容か、他にもいろいろな基準が考えられます。
弊社では、立ち上げ前のベンチャー企業から従業員数6万人の大企業まで、金額も数万円から数億円まで、さまざまな仕事内容の案件を受注しています。これだけを見ると、受注に基準などないようにしか思えないかもしれません。
しかし、実は明確な基準があるのです。その基準とは、Web担当者のパッションです。
Web担当者に強いパッションがあれば、私たちが良い仕事をやらせてもらえる可能性は広がります。さらに、そのプロジェクトが成功する確率も高くなります。
他力本願で誠に申し訳ないのですが、私たちの仕事にはWeb担当者の力が欠かせないのです。
私たちだけではできないこと、私たちにはできないことが、企業のWebプロジェクトには数多く存在します。
これまで20年にわたりWeb構築の仕事に携わってきたなかで、何人ものWeb担当者と一緒に仕事をさせていただきました。数多くのすばらしいWeb担当者との出会いこそが、20年間も継続してこの仕事をやり続けられた理由だと確信しています。
プロジェクトごとのWeb担当者のお名前を思い返すたびに、感謝に堪えません。
「ありがとうございました」と声を大にしてお礼を申し上げたい。そんな気持ちでいっぱいです。
Web担当者を出世させる。
これが弊社のプロジェクトの裏ミッションです。
キノトロープ
生田 昌弘
キノトロープ主催セミナーのお知らせ
ソーシャルもやってます!