Randから一言:僕はDavid Temple氏に、中国の厦門(アモイ)で開催されたSearch Engine Strategies China(SES China)のセッションをいくつか記事にしてくれるよう依頼した。Temple氏はその言語能力と、検索エンジンや中国のあらゆることに関する経験から、この仕事にはとびきりの適任者なんだ。それでは、同氏によるイベントのレポートをお楽しみあれ。
美しいリゾート都市の厦門。この地で5月24日と25日の両日、SES Chinaが開催された。
基調講演
基調講演では、Yahoo! ChinaおよびAlibabaの副社長を務めるYvonne Chang氏が、Chris Sherman氏およびInway Ni氏と対談した。Ni氏はChang氏に、Yahoo!でChang氏の名前を検索するよう求め、その結果1位に出てきたのはNi氏のブログだった。Chang氏は、観衆の95%が中国人だということを考慮し、中国語で講演を行うとみんなに告げた。同氏の前職は、台湾のYahoo! Kimoの副社長だったという。全広告予算のうち、オンライン広告に費やされるのはわずか4%だったが、Chang氏がYahoo! Kimoを去るときには、8%にまで伸びていた。
Chang氏によると、Yahoo!は中国で新しい道筋を築き上げたいと考えているが、中国は他国と大きく異なるため、西側諸国のモデルを流用できないという。Chang氏は、中国の市場に本物のリーダーが存在しないことに触れ、リーダーとなる者は「パイを大きくする」べきだと語った。またChang氏は、Yahoo!が成功するために、新たな方法でそれを実行しなければならないというAlibabaの最高経営責任者Jack Ma氏の言葉を伝えた。その1つの方法は、Yahoo!がビジネスポータルに注力していくことだ。Yahoo!は中国の巨大市場のシンボルで、世界がどこに向かっているのかを示すものでもある。新しい広告プラットフォームであるPanamaについての質問が出た際、Chang氏は(その名が示すとおり)パナマ運河のように、Panamaも古代文化と現代文化を結びつけると説明した。Yahoo!を新時代のリーダーにしたいと考えているのだ。同氏はPanamaについて、片方のエンジンが火災になっても、もう片方のエンジンが役割を担うジェット機のように、非常に高度なものだと語った。「Panamaは、ユーザーと広告主、そしてYahoo!の3者すべてに利益をもたらすものだ」と、Chang氏は述べた。
Sherman氏が検索業界に乗り出したばかりの人々について質問すると、「もし店を構えるなら、最高の立地を探そうと努めるものだ。同じことはインターネットでも言える」とChang氏は答えた。さらにSherman氏が、Yahoo!はどこに向かっているのか尋ねたところ、Chang氏は「まず第1に、われわれはユーザー中心主義で、今後もユーザーに注力していく。第2に、われわれには株主からの圧力がないので、他社ができないことを実行できる。そして最後に、われわれは前途にある課題を克服していく」と語った。
複数の検索広告の購入
このセッションの司会を務めたのは、TimeVの社長RQ Zen氏で、まずAllyes AdNetworkの社長Willy Yang氏が登壇した。Yang氏は、検索広告料金を支払う際に予期すべき事柄を正確に把握できる非常に複雑な数式を、同氏の会社が開発したと語った。同氏は、検索ランキングトップの地位が必ずしも最高とは限らないとし、その例として、キーワード「plasma tv(プラズマテレビ)」の場合は検索ランクトップであることが奏功するが、キーワードが「tv(テレビ)」の場合、検索ランクが2番目の方がましだと説明した。
次に演壇に立ったのは、Asia SEOの副社長Sophie Hsieh氏だ。Asia SEOは台湾で事業展開しているが、米国に拠点を置く企業だ。Hsieh氏によると、キーワードの選択こそ、検索エンジンマーケティング(SEM)キャンペーン展開の上で、最も重要な戦略だという。また、台湾には複数の検索エンジンがあり、その競合は熾烈だが、広告主にとっては選択の幅が広いという点から、好ましいことだとも述べた。同氏は、オンラインとオフラインの統合が重要だとし、キーワードを頻繁に取り上げるテレビコマーシャルを披露した。
その後には、Search FrontierのマーケティングディレクタJim Zhang氏が演壇に立った。同氏によると、検索エンジンが良好なユーザー体験をもたらすと答えたユーザーはわずか33%に留まるという。また、大きな予算で単一の検索エンジンに広告を出すのなら、さまざまな検索エンジンを試すべきだと指摘した。
モバイル検索広告の購入
こちらのセッションは、Digitalwallの社長Max Huang氏が司会進行を務めた。最初に演壇に立ったのは、In-Stat Chinaの常務Jason Yin氏だ。中国は携帯電話の普及した国で、一部のホームレスの人々ですら、携帯電話を持っているとYin氏は説明した。また2005年には、月に少なくとも1回モバイル検索を行う人の数が、820万人に上ったという。その数は2006年に1600万人まで増加した。また、週に1回以上検索を行う人の数は、2005年の190万人から2006年には420万人に増えている。中国におけるモバイル検索の最大の障害は、(2007年4月の調査によると)速度の遅さと関連性の低い検索結果だという。さらに、携帯電話用のコンテンツが不十分で、SEM業者らも関与していない。
次に演壇に上がったのは、mInfoのAlvin Wang Graylin氏だ。Graylin氏によると、mInfoでは自然言語検索に力を入れているという。同氏はワイヤレス市場が急速に成長していると指摘した。人々は旅行により多くのお金を費やしており、コミュニケーション・マーケティングの規模は世界最大だ。モバイル検索の成長を阻む巨大な障壁は、端末の画面が小さすぎることで、大型画面で閲覧するインターネットのマーケティングモデルを踏襲することはできないという。さらに同氏は、第3世代(3G)移動体通信は重要だが、サービス配備が2008年末までかかるとし、中国は3Gのみに依存せず、多様なプラットフォーム運用を行うべきと語った。また、誰も正確にキーワードと一致させることはできないし、すべてのリンクをチェックする時間もないため、キーワードやリンクを当てにすることは間違っていると、Graylin氏は述べた。そして同氏によると、検索が長いほど、正確な結果を導きやすいという。最も多く検索の対象となっている分野は、ショッピング、着信音、ゲームだという。
最後に登壇したのは、NokiaのGang Li氏だ。Li氏は、近い将来モバイル検索がインターネット検索を上回ると指摘し、検索機能を携帯電話上でパーソナライズ化すべきだとする。また中国の人々は、朝目を覚ますと、何よりも先に携帯電話をチェックするという。モバイル検索が今後成長していく1つの方法は、携帯電話と連携した決済システムを提供することだ。GPS機能の搭載により、所在地に基づく情報を提供できる。
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