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通販・ECの行政処分、4案件中3件が最終確認画面における表示義務違反【消費者庁の特商法執行状況】

9ヶ月 3 週間 ago

消費者庁が2024年5月から12月末までの8か月間を対象期間として公表した、特定商取引法の執行状況、処分内容によると、通販分野では行政処分(指示、業務停止命令および業務禁止命令)を4案件実施している。そのうち3案件については、いわゆる最終確認画面における表示義務違反を含む事案となっている。

行政処分を受けた4つの事業者とその事案は次の通り。最終確認画面における表示義務違反を犯したのは、SUNSIRI(サンシリ)、Happy Life Bio(ハッピーライフバイオ)、VERIFY(ベリファイ)となっている。

SUNSIRI

行政処分の対象となったのは「ケシミシワ」と称する美容クリーム。2024年5月22日から7月2日までの期間、効能について広告した際、しみやしわが消すことができるような表示を行っていた。根拠を示す資料の提出を求めたところ、合理的な根拠を示す資料とは認められなかった。

さらに、定期継続の解除に関する事項において、最終確認画面における表示を行っていなかった。

消費者庁は指示、業務停止命令3か月、代表取締役に業務禁止命令3か月を命じた。

Happy Life Bio

行政処分の対象となったのは「ハダキララ」と称する美容液。2024年5月22日から7月9日、「ハダキララ」の販売条件について広告した際、効能・効果の合理的根拠を示す資料の提出を求めたが、提出された資料は根拠を示すものとは認められなかった。

さらに、チャットボットページ上で定期購入契約の申し込みを受けた際、映像面の画面において売買契約の解除に関する一部事項しか表示していなかった。

消費者庁は、指示、業務停止命令9か月、代表取締役に業務禁止命令9か月を命じた。

マーキュリー

行政処分の対象となったのは「o-dent Clear White」(オーデントクリアホワイト)と称する薬用歯磨き。2024年1月13日から3月26日、2024年2月27日から7月9日までの期間、「o-dent Clear White」の販売条件を広告した際、効能に関する合理的根拠の提出を求めたところ、マーキュリーは資料を提出しなかった。消費者庁は、指示、業務停止命令3か月、代表取締役に業務禁止命令3か月を命じた。

VERIFY

行政処分の対象となったのは、「白雪若肌 スノースキン ラグジュアリークリーム」と称する美容クリーム。2024年7月23~29日までの期間、この美容クリームの効能について広告した際、効能・効果について合理的根拠を示す資料の提出を求めたところ、提出された資料は合理的根拠を示す資料とは認められなかった。また、販売条件について広告したとき、定期購入契約ではないかのような表示を行っていた。

さらに、チャットボットページ上で本件定期購入契約の特定申込みを受けた際、映像面で契約に基づく表示や契約解除の方法を明示していなかった。

消費者庁は、指示、業務停止命令6か月、代表取締役に業務禁止命令6か月を命じた。

行政指導は6案件。うち3案件は連絡の取れない電話番号を表記

消費者庁は2024年5月から12月末までの8か月間で、行政指導も6案件実施。このうち、電話で解約を受け付けているにもかかわらず、広告に確実に連絡が取れる電話番号を表示していなかった事業者に対する行政指導は3案件だった。

契約の申込み前の最終画面である旨の明記を提唱

2022年6月1日から施行されている改正特定商取引法では、「申し込み直前の画面に注文内容を表示」「注文内容や契約の申し込み手続きに関して、消費者を誤認させる表示の禁止」「申し込みの撤回や解約をさまたげる不実告知(嘘)の禁止」などが義務づけている。

消費者庁は、ECサイトの最終申込画面に「分量」「販売価格・対価」といった各契約事項を表示する義務を課す条項などの運用に関する「通信販売の申込み段階における表示についてのガイドライン」を通販事業者向けに公開している。

消費者庁が提唱する最終確認画面の一例(画像は消費者庁の発表資料から編集部がキャプチャ)
消費者庁が提唱する最終確認画面の一例(画像は消費者庁の発表資料から編集部がキャプチャ)
松原 沙甫

黒字転換をめざす千趣会の再生計画とは? 現状の経営課題+通販事業の抜本改革+新規事業の取り組みまとめ

9ヶ月 3 週間 ago

千趣会は2025年12月期から2027年12月期までの3年間を対象とした再生計画を発表した。2022年12月期から3期連続の営業赤字を計上している千趣会は、2026年12月期の営業黒字転換。2027年12月期には売上高500億円、16億円の営業黒字を計画する。

黒字転換をめざす千趣会の再生計画とは? 現状の経営課題+通販事業の抜本改革+新規事業の取り組みまとめ
再生計画の概要(画像は千趣会のIR資料からキャプチャ)

現在抱えている経営課題は「不明瞭なターゲットとトレンド対応の弱いMD」「通販事業の強みを生かした事業拡大が不十分」「通販事業以外の収益基盤の不存在」。これに対して、通販事業の抜本改革、通販アセットを活用したビジネス拡大、新たな収益源の開発――といったアプローチで再建を進める。

黒字転換をめざす千趣会の再生計画とは? 現状の経営課題+通販事業の抜本改革+新規事業の取り組みまとめ
全社戦略(画像は千趣会のIR資料からキャプチャ)

主力事業の通販事業「ベルメゾン」の抜本的な改革

幅広い世代をターゲットに多様な商品を展開してきたが「ベルメゾン」。近年は顧客のニーズが多様化、トレンドの変化が加速したことにより、新規顧客獲得コストの増加、売り上げの伸び悩みを抱えていた。

これまで1ブランド・マルチターゲットで展開してきた「ベルメゾン」を、世代別に3つの事業ドメインに再編。具体的には、「With Family(子育て世代)」「Around 50(団塊ジュニア世代)」「Grand Generation(シニア世代)」に分類。それぞれの世代に特化した商品開発、マーケティングを展開していく。

世代ニーズに合わせた商品や提案、マーケティングを実施し、最新トレンドを捉えた新商品の投入、新鮮で共感性の高い売り場作りを進める。

黒字転換をめざす千趣会の再生計画とは? 現状の経営課題+通販事業の抜本改革+新規事業の取り組みまとめ
通販事業の構造改革(画像は千趣会のIR資料からキャプチャ)

特に注力するのが「Around 50(団塊ジュニア世代)」だ。「ベルメゾン」の売り上げを支える最大のボリュームゾーンであるこの世代に対しより深くフォーカスし、顧客ロイヤリティを高め収益拡大につなげる。

さらに、ECモールとの販売強化も進める。30歳代〜40歳代向け商品群を強化し、外部ECモールでも競争力のあるブランドへと育成することで、新たな顧客層を獲得していく。

コスト構造の見直しも重要な課題。世代別に最適なチャネル戦略を展開することで、注文獲得比を効率化。カタログのラインナップや配布方法を見直し、コールセンターや物流センターの合理化を進めることで、経費削減を実現する。

通販アセットを活用したビジネスの拡大

通販のアセットを活用したビジネスの強化・拡大も進める。

「ベルメゾン」で培った顧客基盤を生かした広告事業を強化する。「ベルメゾン」のターゲット層に合わせた広告メニューの見直しや新たな広告サービスモデルの開発を進めることで、広告収入の増加を図る。

また、株主優待事務局サービスの営業および運用の強化、継続的な物流受託先開拓といった「法人向けサービス」、既存の得意先との協業強化による「ギフト」の拡大なども進める。

新たな収益源の開発

子育て支援事業、エシカル推進事業、海外事業を強化する。

子育て支援事業では、通販事業と保育園などを掛け合わせたサービスを展開。各園の施設長と連携し、園児獲得活動、保護者、子育ての支援といった観点からさまざまなサービスを開発し、導入していく。

エシカル推進事業では、リユース事業を強化。古物商の許可を取得し、買取商品の再販を自社で内製化するほか、「kimawari宅配買取サービス」の有料版を開発し、循環型社会の実現に貢献していく。

海外事業では、中国以外への販売地域拡大と取り扱いジャンルの拡大を推進。千趣会商品のライセンス販売事業を海外展開するほか、日本発のIP商品の企画コラボを海外展開するなど、グローバル市場でのプレゼンスを高めていく。

◇◇◇

千趣会が2月13日に発表した2024年12月期連結業績によると、売上高は前期比7.4%減の456億円、当期純損失は39億5800万円(前期は47億8200万円の損失)だった。最終損失は3年連続。ただ、損益面は改善しており、2024年12月期の最終損失は前期と比べて11億2400万円縮小した。

2022年12月期に「継続企業の前提(ゴーイングコンサーン)に重要な疑義を生じさせるような状況」が存在しているとして、決算短信に「継続企業の前提に関する重要事象等」の注記を記載。2024年12月期もゴーイングコンサーンの注記が継続している。

瀧川 正実

利用しているQRコード決済上位は「PayPay」「楽天ペイ」「d払い」/千趣会とJR東日本が資本業務提携を解消【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

9ヶ月 3 週間 ago
2025年2月14日~2025年2月20日にアクセス数の多かった記事のランキングを発表! 見逃している人気記事はありませんか?
  1. 利用しているQRコード決済の上位は「PayPay」「楽天ペイ」「d払い」。普段利用している支払い方法トップは「現金」

    MMD研究所が実施した「2025年1月決済・金融サービスの利用動向調査」によると、普段利用している支払い方法の上位は「現金」「クレジットカード」「QR・バーコード決済」だった

    2025/2/17
  2. 千趣会とJR東日本、資本業務提携を解消

    千趣会とJR東日本の資本業務提携の解消は、経営環境の激変などを踏まえ、それぞれが独自の成長戦略を柔軟に推進できるようにするためとしている。

    2025/2/18
  3. 【2/18~24の大雪予報】ヤマト運輸、一部地域で荷物の配送に遅延が生じる可能性

    ヤマト運輸は荷物の配送について、「日数の余裕をもってご利用くださいますようお願い申し上げます」とアナウンスしている。

    2025/2/18
  4. 【楽天グループの2024年国内Eまとめ】流通総額は1.5%減の5兆9550億円。4四半期連続のマイナス成長から4Qでプラス転換

    楽天グループは、2025年以降の国内EC流通総額について、1ケタ半ばから後半をめざし、10兆円の目標達成に向けて成長を加速するとしている。

    2025/2/17
     
  5. 大雪による予防的通行止めで東日本⇔西日本間を発着する荷物の配送に遅延

    ヤマト運輸は、「今後の天候・道路状況次第では通行止めの可能性があり、お荷物のお届けに遅れが生じる場合がある」とアナウンスしている。

    2025/2/20
     
  6. 佐川急便の不在荷物を郵便局で受け取れるサービスを全国展開

    日本郵便と佐川急便は2023年から、東京都、中国エリア、四国エリア、九州エリアの一部エリアで受け取り拠点の共同化を展開してきた。それを全国に拡大する。

    2025/2/19
     
  7. 千趣会、3年連続の最終損失。通販事業の苦戦が続き売上高は7年で半減以上の規模に

    1000億円台を維持していたのは2017年12月期まで(1012億7900万円)。主力の通販事業の売上高はこの7年で5割以上減っている。

    2025/2/18
     
  8. 「ECは小コストで運営できる?」答えはNO! 売り上げを伸ばすための「認知&投資」が大事な理由と運用のヒントとは【ネッ担まとめ】

    ネットショップ担当者が読んでおくべき2025年1月18日~2月14日のニュース

    2025/2/18
     
  9. EC注文のキャンセル率は平均5.6%。“キャンセル落ち”ユーザーの約7割が再購入した事例もあるキャンセル対策、やってますか?

    日本でのECビジネスにおけるキャンセル比率の統計データは少ないが、海外では「配送に1週間以上かかる場合は38%が注文をキャンセルする」「配送に4~5日かかる場合は15%が注文をキャンセルする」といった調査結果もある。

    2025/2/14
     
  10. パルのアパレルブランド「DISCOAT」に学ぶ社内報の波及効果。「スタッフのモチベーション」「接客ノウハウ」の向上を実現する社内報作りとは

    マニュアルを作るばかりが人材の育成につながるとは限らない――。パルのアパレルブランド「DISCOAT」では、社内報を作成し、顧客の声や他店のスタッフの取り組みを紹介している。トップダウン型のマニュアルではなくても、社内報を通じて自然とスタッフのスキルアップや士気向上につながっている

    2025/2/17
     

※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

藤田遥

「発送までに時間がかかる」と感じた4割が買い物を中止、その5割のユーザーが他のECサイトで商品を購入

9ヶ月 3 週間 ago

NEXERとバリューテクノロジーが共同で実施した「通販サイトの発送までの時間」についてのアンケート調査によると、約4割の回答者が発送までに時間がかかるという理由で商品購入をやめたことがあることがわかった。約半数が他のECサイトで購入している。

調査対象者は事前調査で「ECサイトを普段から利用している」と回答した全国の男女で回答数は819人。調査期間は2025年2月5日~10日。

ECサイトで買い物しようとした際、想定より発送までに時間がかかるという理由で買うのをやめた経験を聞いたところ、39.4%が「ある」と回答した。「ない」は60.6%。

想定より発送までに時間がかかるため、購入をやめた経験
想定より発送までに時間がかかるため、購入をやめた経験

「買うのを止めたことがある」と回答したユーザーにその後の行動を聞くと、約半数の50.2%が「他のECサイトで購入した」と回答。その理由は「早く届いてほしかった」、他のECサイトの方が販売価格が高くても「欲しいものは多少高くてもほしい」という意見があった。「買わなかった」は30.0%、「実店舗で買った」は17.6%だった。

購入をやめたあとに、とった行動
購入をやめたあとに、とった行動

発送までにかかる時間で絞り込みができたら便利だと思うか聞いたところ、「とても思う」(28.3%)、「やや思う」(44.7%)を合わせると73%が便利だと思うと回答している。回答者からは「急ぎで頼みたい時に便利」「楽に買い物できる」といった意見が寄せられた。

「あまり思わない」は22.3%、「まったく思わない」は4.6%だった。

発送までにかかる時間で絞り込みができたら便利だと思うか
発送までにかかる時間で絞り込みができたら便利だと思うか

商品が早く届くなら割高でもECサイトで購入するか聞いたところ、20.5%が「商品が早く届くなら割高でもECサイトで購入する」と回答。理由は「値段より速さを重視するから」「買いに行く手間が省けるから」などがあがった。

商品が早く届くとしても、割高ならECサイトで購入しないと答えたのは79.5%。その理由は「なるべくお得に買いたいから」「値段が高くなるならあきらめる」などだった。

商品が早く届くなら割高でもECサイトで購入するか
商品が早く届くなら割高でもECサイトで購入するか

調査概要

  • 調査手法:インターネットでのアンケート
  • 調査対象者:事前調査で「ECサイトを普段から利用している」と回答した全国の男女
  • 有効回答:819サンプル
  • 調査期間:2025年2月5日 ~2月10日
高野 真維

オフィス通販のカウネット、アウトレットを刷新。CX向上+環境配慮活動を推進

9ヶ月 3 週間 ago

コクヨグループ傘下のカウネットは、アウトレットのECサイト「カウネット アウトレットモール」をリニューアルした。CX(顧客体験価値)のさらなる向上と環境配慮活動の推進をめざす。

CX向上と環境配慮を狙いとして刷新したカウネットの「アウトレットモール」(画像はサイトから編集部がキャプチャ)
CX向上と環境配慮を狙いとして刷新したカウネットの「アウトレットモール」(画像はサイトから編集部がキャプチャ)

「カウネット アウトレットモール」は法人も個人も利用できるECサイト。文房具からオフィス用品まで幅広く展開している。

リニューアルでは、顧客視点でのわかりやすさ・選びやすさに重点を置き、サイト上におけるカテゴリ別の商品整理、「PICK UPアイテム」コーナーの新設など、利便性を高める複数の機能を実装。CXのさらなる向上、省資源・廃棄物削減をめざした環境配慮の取り組みを推進する。

昨今、法人顧客による環境配慮活動への関心が高まっており、ECサイトの在り方についても多くの意見が寄せられているという。これらの取り組みを推進するため、ECサイトのリニューアルを実施した。

リニューアルにおける主なポイントは次の通り。

カテゴリ別の商品整理

商品検索の利便性向上を目的に、毎月サイト上に追加されるアウトレット対象商品を5つのカテゴリ(生活用品・事務用品・OA用品・家具・その他)で体系的に整理。併せて「PICK UPアイテム」コーナーを新設し、注目商品の魅力をわかりやすく訴求する構成へと刷新した。

「わけあり商品」と「アウトレット商品」掲載ページの統合

顧客から従前、サイト上における「わけあり商品」と「アウトレット商品」の違いがわかりにくいという声があったことを踏まえ、両コーナーの入口を統合し、よりわかりやすい導線を整備した。

カテゴリ別の商品整理を実施。「わけあり商品」にもアクセスしやすくした(画像は「カウネット アウトレットモール」から編集部がキャプチャ)
カテゴリ別の商品整理を実施。「わけあり商品」にもアクセスしやすくした(画像は「カウネット アウトレットモール」から編集部がキャプチャ)

WebサイトURLの固定化

従前は、週単位でWebサイトURLが変更される仕様となっており、一時的に顧客がサービスを利用できない状況があったが、URLの固定化により、常時安定したアクセスが可能となった。

高野 真維

Googleのランキングは実際どれくらい変動しているのか?

9ヶ月 3 週間 ago

この記事は、2025年 2月 3日に Search Engine Landで公開された  Mordy Oberstein氏の「How volatile have Google rankings really been?」を翻訳したものです。

2024年のGoogleランキングは、前年に比べて26%の変動率の増加が見られ、一部の業界ではさらに大きな変動が発生しました。以下で、データとその洞察をご覧ください。

人生には一定の事柄がいくつかありますが、Googleのランキングはそのうちの1つではありません。ランキングの変動に関心を持っている方、またはこのウェブサイトを読んでいる方は、近年そのランキングがますます不安定になっていることに気付いているでしょう。特に業界のベテランにとっては、この変化がより顕著に感じられているかもしれません。

そのため、SEOは新しい方向に進化していると私は考えています。進化が意味することや、業界がその変化にうまく適応しているかどうかについては、また別の機会に詳しく議論しましょう(要約すると、私たちは完璧にうまくいっているわけではありませんが、失敗しているわけでもなく、変化に対応している最中です)。

この変化の主な要因の1つは、SERP(検索結果ページ)の不安定性です。私は、これを探求し、いくつかの具体的な事実を示すことを目的としています。

2024年のランク変動率

2024年のGoogleのランキング変動は、2023年と比較して26%増加しました。この変動は、単純なものではなく、複数の指標を確認し、できる限り正確なデータをもとに分析しています。しかし、2024年のランク変動がどれだけ増加したかを調べ、2023年と比較すると、少なくともデスクトップ検索では26%の増加となっています。

カテゴリー別のランク変動性:2023年から2024年の比較_デスクトップデータ

これはすべての業界に当てはまるわけではありません。
例えば、特定のニッチな業界では、2023年と比較して2024年にボラティリティが大幅に増加しています。

あなたのサイトが人気のスナックについての情報を提供している場合、そのサイトのランキング変動性は50%以上高くなる可能性があります(ちなみに、レリッシュは誰にとっても好きなスナックではありませんが)。

ただし、ほぼすべての業界で2024年に順位の変動が増加しており、1つの例外を除いて、Semrushによる追跡データでもそれが確認されています。

カテゴリー別の平均ボラティリティレベル – デスクトップデータ

2023年(それ自体がすでに「顕著」だった)と比較すると、2024年を通じてほぼすべての業界でランクの変動性が「顕著」に増加したと言えます。唯一例外は不動産業界です。

ここで注目したいのは、データが示すのはあくまで「平均的なボラティリティ」であり、2023年にすでに高かった数値が2024年にはさらに高くなっている点です(不動産業界を除く)。

Googleアルゴリズムのアップデートに関する議論をする際、私は通常、デスクトップとモバイルの比較を行うことはありません。理由としては、デバイス間の数値が非常に近いため、時間を無駄にする価値がないからです。

しかし、今回のケースでは、デバイス間で明確な違いがあり、なんと10パーセンテージポイントもの差が見られました。

カテゴリー別のランク変動性:2023年から2024年の比較_モバイルデータ

デスクトップのSERPは2023年よりも2024年に26%の変動が見られましたが、モバイルのSERPは「わずかに」16%の変動にとどまりました。

デバイス間の格差は、ニッチな業界にもわたって広がっていました。

例えば、健康分野では、デスクトップでは2024年に最も変動性が高まったニッチの1つではありませんでしたが、モバイルではその逆で、明らかに大きな変動が見られました。

これは、医療分野に関連するキーワードがモバイルで非常に不安定だったわけではなく、実際にはヘルス分野のデータはデバイス間でかなり似ているということです。主な理由は、2023年に他の業界でモバイルの変動率がデスクトップよりも高かったため、2024年においてその差が生じたことです。

カテゴリー別の平均ボラティリティレベルモバイルデータ

eコマース分野では、2024年にデスクトップとモバイルの両方で同じレベルのランク変動がありました。しかし、モバイルではその変動の平均が5ポイント高くなっていました。

モバイルとデスクトップのボラティリティ増加の差は、2023年におけるモバイルのボラティリティレベルが既に高かったことに起因しています。そのため、2024年には変動の増加が比較的小さく見えます。

とはいえ、絶対的な変動性のレベルはデバイス間でほぼ同じです。(たとえば、ショッピング業界の場合、2024年の平均変動性は両方のデバイスで8.5/10でした。)

ちなみに、ボラティリティスコアが8.5というのは非常に高い数値です。

これらの数字を見れば、2023年から2024年にかけてのボラティリティの増加がいかに驚異的であるかが分かります。

SERPは決して安定していません。

ランク変動の増加は永続的な傾向か、それとも一時的な急増か?

2024年の平均ボラティリティの増加だけでは、すべてを理解することはできません。単一の出来事、例えば1か月または2か月の極端な変動がデータを歪めている可能性もあるため、慎重に判断する必要があります。

その答えは、「いいえ」です。

2024年のボラティリティは非常に広範囲にわたっており、7月(およびある程度8月)を除けば、年初から一貫して高いボラティリティが続いていました。

月間平均ボラティリティによるSERPボラティリティの傾向 – デスクトップデータ

2023年7月には公式なアップデートがなかったため、振り返ってみると興味深い点があります。

2023年7月のボラティリティは、その月の中旬頃に発生した、奇妙で継続的な極端なランクの変動によるものです。

SERPボラティリティ – 2023年7月

画像提供:Search Engine Roundtable

このデータの重要な点と結論は、単に「ランクが不安定な時期」があっただけではなく、それがいつ収まるのか分からない「不安定な時期」であったということです。

むしろ、これからはSERPのボラティリティがどのようなものであるかについて、新しいシナリオが生まれてきているように感じられます。

Googleが今後、継続的かつ定期的にアルゴリズムのアップデートを行うと報じられていることから、状況はさらに悪化する可能性が高いと予想されます。

劇的とはどの程度劇的か?

ボラティリティの平均レベルやボラティリティの傾向だけでは答えられないもう一つの疑問があります。それは、ボラティリティがどの程度劇的なのかということです。

つまり、ランクの動きはどれほど劇的であるべきなのでしょうか?

より不安定なSERPの大きな部分は、実は小さなマイクロムーブメント(微細な動き)である可能性も十分にあります(ちなみに、SERPは何年も前からすでに非常に不安定でした。これについては後で詳しく説明します)。

標準偏差は、ランクの変動性を測定するための最良の指標の1つです。

ベースラインとボラティリティがどれほど離れているかを見ると、ランクのボラティリティ自体はそれほど劇的ではないことが分かります。

各カテゴリーの標準偏差(2023/2024)

画像提供:Search Engine Roundtable

2023年と比較して、1つを除くすべての業種で標準偏差が減少しました(「ニュース」SERPは独自の問題を抱えています)。

現在の状況では、ボラティリティの「量」は増加していますが、動きの程度自体は2023年に比べて減少しているというシナリオになっています。

これを「順位はそれほど大きく変動していない」と誤解しないでください。これは絶対的なものではなく、2023年との相対的な変動に関するものです。

例えば、デロリアンを時速88マイルで運転すると、2021年のニュースを除いた標準偏差は1.15から1.69の範囲であったことがわかります。

各カテゴリーの標準偏差(2020/2021)

2024年の標準偏差は、ニュースを除いて1.3~2.5の範囲となっています。順位が時間の経過とともに「変動が少なくなる」というわけではありません。

ランク変動の平均レベルは2023年ほど劇的ではないかもしれませんが、2021年に見られたレベルにすら達しておらず、2020年に見られた極端なランク変動のレベルを超えています。

2020年当時は、1を超える標準偏差が注目されていましたが、現在では2を超える標準偏差について話している段階です(ちなみに、自宅には標準偏差2を超えるものが4つあります)。

まださらに変動が大きくなる可能性があります。

全体的に標準偏差が高くなっている理由は、ランクの変動性が急激に上昇した数回の出来事に関係しているのでしょうか?

毎年の最高スコアと最低スコアの差

そのようではないようです。

上記のグラフは、ボラティリティの最小レベルと最大レベルの差が縮小していることを示しています。

2023年の最小ボラティリティと最大ボラティリティの差は8.1ポイントでしたが、2024年には7.2ポイントに減少しました。

これは、最大ボラティリティの「急上昇」がそれほど劇的ではなかったことを示しています(相対的に言えば)。

これには2つの理由が考えられます(それ以上の理由はありません):

  1. 最小スコアの方が高かったため、より高いレベルのボラティリティからスタートしたことになります。その結果、ボラティリティの最小レベルと最大レベルの差は狭くなります。
  2. 大きな急上昇は少なかったものの、全体的にランクの動きが「それほど劇的ではなかった」ため、2024年には変動がそれほど大きくならず、結果としてボラティリティの最小レベルと最大レベルの差が縮まりました。

すべてのデータを総合的に見ると(私の方法論にはしっかりとした根拠があります)、全体的には劇的な変動は少ないものの、ボラティリティが高まっている兆候がいくつか見られます。

なぜ?

  • 2024年には平均ボラティリティが上昇しています。
  • 2024年の順位変動は全体的にそれほど劇的ではない(標準偏差を参照)。

したがって、オッカムの剃刀(実際の剃刀とは関係ありません)を適用すると、最小ボラティリティと最大ボラティリティの差が縮まった理由として最も可能性が高いシナリオは、ボラティリティはより頻繁に発生するようになったものの、2023年ほど多くの「高値」には達しなかったということです。

しかし、反論としては、先に見た月ごとのボラティリティの傾向(便宜上ここでも追加しています)があり、これはボラティリティ量の急上昇が2024年よりも2023年の方が急であったことを示しています。

SERPボラティリティ月次平均ボラティリティ別の傾向

簡単に言うと、2023年8月と2024年8月はほぼ同じレベルのボラティリティを示しています。しかし、2023年のボラティリティが始まった時点と比べると、2024年はその時よりもかなり低いことがわかります。

もし2023年のようにボラティリティが急上昇した場合、そのレベルも上がると考えるかもしれませんが、この点に関しては「わからない」としか言いようがありません。これを公式なSEO記事で書くことは避けるべきですが、ここではそう伝えるべきではないということです(つまり、これは記事に書いていないということです)。

ただし、これが次のデータポイントに導いてくれます。この転換点は非常に優れたもので、まるでポッドキャストを聞いているかのようです。

状況は不安定ですが、誰が数えているのか?

私が数えています。

Semrushが2024年にわずか15日間、または低いボラティリティしか記録しなかったことをご存知でしょうか?

もちろん、そんなことは誰もすぐに知りませんよね?それが少し奇妙に感じるかもしれません。

しかし、これが実際の事実です。

デスクトップでは、ボラティリティが低かった日はわずか15日間、ボラティリティが「通常」だった日は83日間でした。

記録によると、2024年は365日ではなく366日でした。うるう年でしたので、数字の足し算は理解しています。

したがって、気分を良くするために、ボラティリティの高い日が1日減ったと仮定しても問題ないかもしれません。

年別ボラティリティレベルの内訳 – デスクトップデータ

ちなみに、2024年におけるボラティリティが低い日数は64%減少し、ボラティリティが通常の日数も39%減少したことを意味します。

一方で、2024年には「高ボラティリティ」の日が19%増加し、「非常に高ボラティリティ」の日が80%増加するという大きな変化が見られました。

モバイルの場合、少し異なり、2024年を通してボラティリティが低い日が数日増加しています(ただし、ボラティリティが高い日の数は変わりません)。

年別ボラティリティレベルの内訳 – モバイルデータ

ただし、2024年にはモバイルで「非常に高い」ボラティリティの日が12日減少したため、良い兆しではあります。

それでも、基本的にはどれも好ましくはありません。

2024年のデスクトップにおけるボラティリティは約78%が不安定で、そのうち36%は非常に不安定な状態でした。それはまるで悪夢のような状態で、多くの人にとって、それは実際に悪夢でしたし、今もそうです。

ボラティリティがさらに高まる? 誰が気にするのか?

少なくとも、あなたは気にすべきです。マーケティングチャネルとしてのGoogleの概念は、すでに変わり始めています。

まず、検索結果が必ずしも良い結果を出さないことが増えています。例えば、私は病状についてGoogleで検索していたところ、メイヨークリニック、WebMD、Redditなど、さまざまなウェブサイトから同じようなコンテンツを選ばなければならないことがありました。

それは、まるで「ストロベリーアイスクリーム」と「ナッツ入りストロベリーアイスクリーム」のどちらかを選ばなければならないようなものです。

そして、LLM(大規模言語モデル)やAI検索エンジン、AIO(AI最適化)、AI生成コンテンツなど、さまざまな要素が登場しています。

さらに、コンテンツの消費傾向は私の意見では完全に変化しています(ちなみに、これは常に変化し続けています)。

ああ、RedditがSERPに大量に表示されたことを忘れていました。(アイスクリームにスプリンクルをつけますか?)

それに加えて、SERPは不安定な状態です。これはかなり大きな問題です。

まるで家族や義理の家族と一緒に感謝祭のディナーを食べ、出されるのはゆで豆腐だけというような感じです。

さらに、テレビもないのでフットボールは見られず、ビールもありません。唯一あるのは1992年のZimaだけです。

それで、あなたはどうすべきか?

私はアドバイスをしているわけではありません。ただ、「なぜ気にするべきなのか」を示しているだけです。

何をすべきかは、また別の話です。それは「チャネルを多様化する」や「独自の視聴者を狙う」以上のことだと思います。

個人的には、それは私たちがどのように観客にアプローチし、彼らと共鳴するかを非常に真剣に検討することを意味すると感じています。

とりあえず、それについてよく考えてみましょう。

さらに詳しく: Google を超えた SEO: Reddit、Quora、TikTok などでブランドを構築する

seojapan

わかさ生活X運用担当者が退職、今後はGMOサインのXを運用へ

9ヶ月 3 週間 ago

わかさ生活が運営する公式Xの「わかさ生活 広報部」は2月19日、運用担当者が退職し、運用を後任へ引き継ぐと発表した。後任への運用は引き継ぎは2月24日という。

現在のX運用担当者は今後、GMOグループのGMOグローバルサイン・ホールディングスのX運用に携わるとしている。担当するのは電子契約サービス「GMO_Sign」のX運用。

X運用担当者は新卒でわかさ生活に入社。1万人未満だったXフォロワー数を、約5年で17万超に広げた。

世界第4位を含む計6度のXトレンド入り。テレビや新聞、Webメディアへの出演などで、わかさ生活に大きなパブリシティ効果をもたらせた。

転職を決めた理由は「まだ自分の知らない新しい環境でNo.1めざして頑張りたい」という思い。自らの意思で転職を決めたという。

瀧川 正実

大雪による予防的通行止めで東日本⇔西日本間を発着する荷物の配送に遅延

9ヶ月 3 週間 ago

名神高速道路・北陸自動車道・新名神高速道路など中部地域の主要高速道路、併走する国道を含めて「予防的通行止め」が実施されたことを受け、ヤマト運輸は2月19日、東日本と西日本間を発着する一部荷物の配送に遅れが生じていると発表した。

なお、名神高速、北陸道、 東海環状道(大野神戸IC~養老IC間)、新名神高速などの予防的通行止めは、2月19日16時までに解除されている。る。

荷物の配送に遅れが生じる可能性が高い区間は次の通り。

  • 北海道 ⇒ 関西・中国・四国地方
  • 東北・関東・甲信越・北陸・中部地方 ⇒ 関西・中国・四国・九州地方
  • 関西・中国・四国地方 ⇒ 北海道・東北・関東・甲信越・北陸・中部地方
  • 九州地方 ⇒ 東北・関東・甲信越・北陸・中部地方
  • 新潟県 ⇔ 東北・関東地方発着分

ヤマト運輸は、「今後の天候・道路状況次第では通行止めの可能性があり、お荷物のお届けに遅れが生じる場合がある」とアナウンスしている。

瀧川 正実

世界最大のEC事業者は、Amazon、Walmart? それともアリババグループ? データで見る世界のEC市場 | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

9ヶ月 3 週間 ago
ECの巨人として君臨しているAmazonですが、Walmart、Alibabaとグローバルで比較すると、必ずしもそうとは言えない事実が浮かび上がります。2024年の実績とともに解説します

米国においてAmazonが最大のEC事業者であることは揺るぎない事実ものですが、WalmartやAlibabaのグローバル展開と比較すると、まだAmazonにも成長余地があることがわかります。Walmart、Alibabaとの比較を通じて、Amazonが遅れをとっている分野を掘り下げます。

米国では最大も「世界最大」のEC事業者ではないAmazon

Amazonは米国最大のオンライン小売事業者であることは間違いありません。AmazonのEC売上高を見るとその事実は明らかです。しかし、これらの数字を主要分野でAmazonとWalmartを、グローバルでAmazonとAlibaba Groupを比較すると興味深い事実がわかります。

Amazonの競合企業であるWalmartとAlibabaの2社と比較すると、ECの巨人であるAmazonがリードしている分野と、まだ遅れをとっている分野が浮き彫りになるのです。

米国のEC専門誌『Digital Commerce 360』の2つのデータベースにおけるAmazonのランキングを見てみましょう。

「Amazon.com」は、「北米EC事業トップ2000社」で1位にランクイン(編注:『Digital Commerce 360』が、北米のオンライン小売事業者を対象に、年間のEC売上高で順位付けしたもの)。AmazonはWalmartよりも上位に位置し、Walmartは2位にランクインしています。

ところが、『Digital Commerce 360』の「グローバルオンラインマーケットプレイス」のランキング調査では、Amazonは3位にランクインしています。1位はTaobao、2位はTmallです。「グローバルオンラインマーケットプレイス」のランキングは、第三者総商品販売額(GMV)で世界トップ100社のグローバルマーケットプレイスをランク付けしています。

米国ではAmazonが2位のWalmartを突き放しトップシェア

米国および北米におけるオンライン小売事業者のなかで、AmazonとWalmartの間には大きな差があります。

『Digital Commerce 360』は、Amazonの2024年のEC売上高(編注:製品売上高と第三者販売売上などから『Digital Commerce 360』が推計)を4486億4,000ドルと推定。Walmartは1232億ドルでAmazonの3分の1未満でした。

間違いなくAmazonもWalmartも、競合他社よりもはるかに優れていますが、Amazonがいまだに圧倒的なリードを握っています。

Amazonは別の重要な指標でもWalmartを凌駕しています。Amazonの2024年10-12月期(純第4四半期)決算で、売上高は前年同期比10%増の1878億ドルでした。Walmartが2月20日に第4四半期の決算発表を控えていますが、一部のアナリストはWalmartの四半期売上高がAmazonの売上高を下回るのは今回が初めてになると予想しています。

このことは、小売業においてECが重要な役割を果たしていることや、Amazonが提供しているクラウドサービス「AWS」や広告を含む、EC以外の収益源によるAmazonの成功を浮き彫りにしているとも言えます。

四半期ごとのAmazonとWalmartの売上高推移(単位:10億ドル)
四半期ごとのAmazonとWalmartの売上高推移(単位:10億ドル)

AmazonはECビジネスにおいて、価格競争力を維持する方法を確立しているようです。Amazonは2024年連結業績の決算発表会で、アンディ・ジャシーCEOが「Amazonは2024年のホリデー商戦で、Walmart、Best Buy、Targetを含む競合他社よりも低価格での販売を顧客に8年連続で提供した」と説明しています。

Amazonに立ちはだかるAlibaba Group

「当社はグローバルで見ても最大手のEC事業者」であるというAmazonの主張には落とし穴があります。この主張を正当なものとするには、EC事業に加えてBtoBサービスを展開する企業、特にAlibaba Groupを除外する必要があるからです。

中国に拠点を置くAlibabaは2024年11月、すべての国内およびグローバル向けのEC事業をAlibaba E-Commerce Business Groupという1つの企業に統合すると発表しました。個々の部門には、BtoBマーケットプレイス「Alibaba.com」や、世界最大級の2つのECプラットフォーム「Taobao.com」と「Tmall.com」が含まれています。

『Digital Commerce 360』は、2024年のTaobaoとTmallの合計第三者総商品販売額(GMV)を約1兆4,800億ドルと推定しています。

Amazonは「2024年に総売上高が前年比11%増の6,380億ドルに達した」と連結業績で発表していますが、Alibabaは依然として世界的に強い地位を保持しています。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

Digital Commerce 360

ベースフード、米国での販売事業をスタート。米Amazon、大手スーパーECのWalmart、Krogerで商品展開

9ヶ月 3 週間 ago

完全栄養食のD2Cブランド「BASE FOOD」を展開するベースフードは2月26日から、米国の「Amazon.com」、大手スーパーマーケットチェーンが運営するECサイト「Walmart.com」「Kroger.com」で商品販売を開始する。

販売する商品は「BASE Cookies Cocoa」と「BASE Cookies Coconut」。米国版「BASE Cookies」シリーズとして展開する。

「BASE Cookies Cocoa」
「BASE Cookies Cocoa」
「BASE Cookies Coconut」
「BASE Cookies Coconut」

既存の商品を米国市場に合わせて改良した。たんぱく質、食物繊維、21種類のビタミン・ミネラルなど24種類の栄養素が摂取できる全粒粉ベースのクッキーとなっている。内容量は1袋あたり35gで、価格は1袋あたり4.2ドル。

米国ではコロナ禍以降から健康への意識が高まり、「Better-For-You」(健康にいい商品・サービス)の市場が急速に拡大している。

Amazonが運営する「Amazon.com」、Walmartの「Walmart.com」、Krogerの「Kroger.com」といったECチャネルでの販売を通じ、「かんたん・おいしい・からだにいい」をコンセプトとした「BASE FOOD」商品を展開し、米国消費者の健康促進ニーズを開拓する。

なお、ベースフードは2018年8月に米国での商品販売を目的に米国法人BASE FOOD,U.S., Inc.を設立。その後、コロナ禍で事業の継続が困難と考え、2020年5月に現地法人を精算・事業撤退していた。

ベースフードは2022年11月15日、東京証券取引所グロース市場へ株式を新規上場。2024年2月期(通期)の連結業績は、売上高が前期比50.9%増の148億円7400万円、営業損失は9億200万円(前期は9億7000万円の損失)、経常損失は8億9100万円(前期は9億9500万円)、純損失は同8億5600万円(前期は10億800万円の純損失)。

海外事業は2023年2月期に香港、2023年5月からは中国、2024年1月からは台湾、シンガポールにも進出している。2024年2月期の海外事業全体の売上高は前期比13.5倍の1億3487万円だった。

高野 真維

「柔軟な働き方と成長機会を両立させる新たな選択肢を提供したい」。アイスタイルがエンジニアのキャリア支援構築支援会社に投資した理由

9ヶ月 3 週間 ago

アイスタイルは、前アイスタイルCTO(最高技術責任者)の松田進也氏が代表取締役を務め、エンジニアのキャリア構築支援を手がけるMIOへ出資したと発表した。「柔軟な働き方と成長機会を両立させる新たな選択肢を提供したい」と考たという。出資額は明らかにしていない。

また、アイスタイルで上級執行役員兼テクノロジー&クリエイティブ開発センターのセンター長を務める近藤俊太郎氏がMIOの外部取締役に就任した。

(左から)MIOの取締役 大芝義信氏、代表取締役 井上幹郎氏、代表取締役 松田進也氏、外部取締役 近藤俊太郎氏

アイスタイルは、エンジニアがアイスタイル在籍中、アルムナイ(卒業生)となった後も自分らしいキャリアを選んで働き続けられる「未来型のキャリアパス」のあり方を検討してきた。柔軟な働き方と成長機会を両立させる新たな選択肢を提供したい――という考えの下、エンジニアの多様な働き方の実現に取り組むMIOへの出資および業務提携に至った。

背景には、コロナ禍を経て働く場所・雇用形態・キャリアパスなどさまざまな面で「働き方の多様化」が進んでいることがあげられる。たとえば、リモートワークの浸透、副業やフリーランス(業務委託)として自ら案件を受注する働き方、プロジェクトや組織をマネジメントする「マネジメント型」・自身のスキルを追求する「スペシャリスト型」といった多様なキャリア形成などだ。

アイスタイルでは今後、アルムナイネットワークを活性化していく方針という。

高野 真維

モノタロウ、建機レンタルサービスを開始

9ヶ月 3 週間 ago

間接資材のECサイト「モノタロウ」を運営するMonotaROは、追加の契約手続きなしで建設機械(建機)のレンタルができる「建機レンタルサービス」を2月18日から始めた。レンタルする建機は全国で手配できる。

MonotaROが2月18日からスタートした建機レンタルサービス
MonotaROが2月18日からスタートした建機レンタルサービス

建機の新品購入には通常、数百万円〜数千万円と高額な費用やメンテナンスが発生するが、レンタルを利用することで、必要な時に機材を手軽に使え、煩雑なメンテナンス作業も不要になる。こうしたコスト面・運用面でのメリットから、建機レンタルの需要が年々高まっているという。

MonotaROは建機レンタルに関する現場の課題を把握するため、「モノタロウ」会員を対象にアンケートを実施。その結果、次のような意見が多く寄せられた。

  • 初めてレンタルする際、適切な機材の選定が難しい
  • 必要な機材が見つからない、または手配に時間がかかる
  • 営業所が遠く、引き取りに人手を割けない

こうした課題を解決し、顧客の生産性向上に貢献するために、MonotaROは他の商品購入と合わせてワンストップで建機を手配できる「建機レンタルサービス」の提供を開始した。サービスの特長は次の通り。

「モノタロウ」専⽤フォームで問い合わせ可能

ユーザーは、注文前に専⽤フォームに必要な情報を記⼊・送信することで、見積りを依頼できる。製品の選定について専⾨スタッフに相談もできる。

約1100機種約81万点の取り扱い商品

油圧ショベル、発電機、コンプレッサー、電動工具、通信・計測機器、イベント用品など幅広い商品を取り扱う。

全国の現場に配送。返却時もMonotaROが顧客の現場に向かい回収

顧客はレンタルする建機の受け渡しを、全国500以上の営業所でできる。建機の受け渡しのためにレンタル会社に足を運ぶ必要はないため、現場と営業所の距離を気にする必要はない。

※対象は「モノタロウ」法人会員。MonotaROが提供する顧客専用サイト「モノタロウ ONE SOURCE Lite」、⼤企業向け購買連携システムを利⽤している顧客は対象外。

顧客による利用の流れは次の通り。

  1. 専用フォームに入力、送信
  2. レンタル内容の決定。レンタル商品は対象カテゴリのカタログから選択
  3. MonotaROが発行する見積書の確認
  4. 注文
  5. MonotaROからの商品納品後、レンタル開始
建機をレンタルするまでの流れ
建機をレンタルするまでの流れ

なお、レンタル料は1か月単位での支払い。サービスの利用対象は法人の顧客のみ。レンタル期間は1日単位で対応する。

高野 真維

楽天、LINEヤフー、ZOZOのAI活用事例。「工数7割減」「流通総額77%増」「ROAS1.5倍」「画像加工は1分に短縮」などの成果 | 通販新聞ダイジェスト

9ヶ月 3 週間 ago
国内大手ECモール運営企業のAI活用事例から、実際に成果をあげている事例をまとめる

AI(人工知能)のECへの活用が進んでいる。仮想モール各社はAIを活用して出店者への集客や業務の効率化などを支援する取り組みを本格化しており、すでに一定の成果をあげているようだ。楽天、LINEヤフー、ZOZOのAI活用の現状を見ていく。

「楽天市場」出店者のAI活用進む

楽天グループでは、仮想モール「楽天市場」出店者向けのイベント「楽天新春カンファレンス2025」において、AIを活用した店舗オペレーション支援の成果などを公表した。

「楽天市場」出店店舗によるAIの活用事例
「楽天市場」出店店舗によるAIの活用事例

パーソナライズ広告に強み。おすすめウィジェットでの購入は59%増

楽天市場におけるAI活用事例としては、ユーザーの意図を理解した上で、より関連性の高い結果を表示させる「セマンティック検索」を導入。これにより「検索結果ゼロ」になることが最大98.5%なくなり、流通総額引き上げ効果は最大で5.3%にのぼる

また、レコメンドに関しては、楽天市場アプリサイトにある、パーソナライズ化されたおすすめウィジェットでの購入が59%増えている。

さらに、AIを使って、よりパーソナライズ化された広告を表示するようにしたことで、楽天市場トップページに掲載された広告からの売り上げは4%の引き上げ効果が出ている。

同社の三木谷浩史社長は「『ブラシ』で検索した場合、普段は革製品を買う男性なら靴用ブラシを、普段は美容商品を買う女性ならヘアブラシを表示する。『ワンピース』でも、冬に着るものと夏に着るものは違うので、検索結果を変える。将来的には、沖縄に住む人と北海道に住む人が検索した場合の結果も分けていきたい」(同)と今後の展望を語る。

「10分かかっていた画像加工が1分に短縮」「ROAS1.5倍」など手ごたえ多数

同社では今年3月、AIを活用した店舗運営支援ツール「RMS AIアシスタント β版」を、出店者向け店舗運営システム「RMS」において提供を開始。すでに3万以上の店舗が利用しているという。

「雑貨ショップドットコム」では、商品画像加工支援AIを活用。これまで1商品10分かかっていたものが1分に短縮されたことで、 新規に登録できる商品が大幅に増加。流通拡大につながっている。

店舗カルテAIを活用している「ワインショップソムリエ」では、報告資料の作成時間が1時間から10分へと減少。浮いた50分を他の業務に充当することができた。

「樽の味」では、商品画像に対するフィードバックにAIを活用している。「最初に目に留まった商品はどれか」「最終的にどの商品をクリックしたか」など、AIとの対話を重ねることで広告画像の品質が大幅に改善広告パフォーマンス(ROAS)が1.5倍向上した。

「Smart Light」では、「楽天スーパーセール」の過去実績をAIで分析。注力すべき商品を選び、販促などのマーケティング業務強化を起こったことで、昨年9月と12月のスーパーセール期間中実績を比較した場合、流通総額は77%増販売件数は76%増となった。

モバイルでも法人向け生成AIサービスを展開

楽天モバイルでは1月29日、法人顧客向け生成AIサービス「Rakuten AI for Business」の提供を開始した。ユーザーの質問に対し、AIがチャット形式で返答。言葉の理解とタスク処理能力が特徴で、文書化や翻訳だけではなく、アイデア出しや分析、リサーチも可能だ。

三木谷社長は「通常の『ChatGPT』は、個人情報や企業秘密が外部に出してしまう可能性があるが、当社のサービスなら問題ない。そして、より事業に特化したものになっており、営業活動、事務・マーケティングの効率化に使ってもらいたい」と述べた。

ZOZO、業務効率化+売上アップに貢献

ZOZO(ゾゾ)はAI・自動化技術を活用し、業務効率化に伴うコスト低減で成果が出始めているほか、パーソナライズ化や計測技術のサービス化で「ゾゾタウン」の売り上げ拡大につなげる。

AI活用で業務時間を大幅削減

業務効率化に向けては、専任のチームが全部署の業務内容などをヒアリング。AIで業務効率を改善できそうな数十のテーマを設定し、課題解決のためのツールなどを開発している。

たとえば、「ゾゾタウン」に投稿されるアイテムレビューの内容に、ガイドライン違反がないかを生成AIを活用してパトロールするツールを開発。従来の目視でのチェック業務時間、チェック件数をそれぞれ7割弱削減できた。

また、「ゾゾタウン」の出店ブランドの仕様で「その他カテゴリー」に分類されているアイテムを適正なカテゴリーに振り分ける業務でも、商品名と説明文をAIに読ませることで最適なカテゴリーに自動で振り分けるツールを開発。同業務にかかる時間を月間17.6時間削減した。ゾゾによると商品をカテゴリーで検索をするユーザーも多く、振り分け業務が売り上げに大きく影響するという。

「その他カテゴリー」のアイテムを自動で分類する
「その他カテゴリー」のアイテムを自動で分類する

加えて、カスタマーサポートセンターに届いた問い合わせ一覧のCSVデータをもとに、生成系AIが分類と集計を行い、問い合わせ内容の傾向分析を行うBIツールを開発。クイックな現状分析が実現し、業務改善に充てられる工数が増えた。

パーソナライズ化推進によりリテンション率改善

売り上げ獲得に向けたパーソナライズ化については、「ゾゾタウン」のホーム画面で、来訪者が同じ30代女性であっても閲覧履歴や購入履歴などに即して表示するコンテンツの内容と順序を変更。たとえばAさんには手頃な子供服を訴求する一方、Bさんにはトレンドアイテムを提案するなどしている。

ホーム画面を見て「私に合ったサイトではない」と思われてしまうと定着率に影響するため、この数年、ゾゾではユーザー1人ひとりのパーソナライズ化に力を注ぎ、リテンション率が改善しているという。

天気に合わせたレコメンド表示も対応

また、「ゾゾタウン」ではウェザーニュースの高精度な気象データと連携し、ユーザーの現在地の天気・気温に応じたアイテムをレコメンドする取り組みも始めた。ファッションアイテムは天候によって需要が異なる特性を活かし、コントロールしにくい天候不順にも対応していく。

ユーザーに合うコンテンツや商品提案を提供

ファッションコーディネートアプリ「ウェア」では、昨年5月のリニューアルに合わせて「好みのジャンル傾向」が分かる診断コンテンツを開始。ジャンル診断の結果に応じたコーディネート画像などのコンテンツを表示する。さらに、クリックされた画像を学習してよりユーザー好みのコンテンツにチューニングする。

ゾゾは計測技術のサービス化も進めており、最近では足の計測用マット「ゾゾマット」のキッズ向けを開発し、キッズシューズのレコメンドをスタートした。従来の大人用の「ゾゾマット」とは異なり、子どもの足の成長曲線を加味して「このサイズのシューズは、今は少し大きいけど1年間履けます」といった提案をできるようにした。

LINEヤフー、「AIタックル室」起点にAI活用推進

LINEヤフーは運営する仮想モール「Yahoo!ショッピング」で昨年4月に立ち上げた「Yahoo!ショッピング」でのAIの利活用を推進する11人からなる専門部隊「AIタックル室」が中心となり、ショッピング事業の利便性向上や効率化に有効なAIを活用した新たな機能・サービスを「Yahoo!ショッピング」内に実装し始めている

ページ作成の工数が7割減

たとえば昨年11月から「Yahoo!ショッピング」で掲載を始めた趣味や習い事、スポーツなど新しいことを開始する際に必要となることや商品など確認でき、探しやすくするためのコンテンツ「入門セットナビ」

趣味や習い事に関する100種類のガイドページを掲載し、各ページでそれぞれのテーマに関する楽しみ方や便利アイテムといった基本情報とともに関連商品の提案を行うページで、各ガイドページをすべて生成AIが作成

記事のベースとなる情報は生成AIが整え、最終チェックや校正を目視で行うことで、これまでのように人の手で行うページ作成よりも工数が約7割削減できるようになった。

ニーズを察知し、タイムリーにページを作成

生成AIによるページ作成ノウハウを生かして米不足の時に店頭にはないが、出店者は在庫しており、「ネット上には米があります」とアピールする特集ページを作成する際などに「これまでであれば同様の特集ページを人の手で作成する場合は時間がかかり、ニーズを検知しても時間がかかるからと何もやらなかったり、タイムリーに訴求できなかったが生成AIで2時間程度で特集ページを作ることができ、その結果、多くのユーザーに閲覧され、関連商品の購入にもつながった。瞬間風速を捉えられたことで通常の特集ページより10倍以上の成果が出たものもあった」(コマースカンパニーショッピング統括本部プロダクション2部本部本部長兼AIタックル室室長の市丸数明氏)という。

広告担当者の特集ページ作成に貢献

生成AIの活用は通常の特集ページの作成にも用いられ始めており、広告出稿先としての出店者への導線作りとしても機能しているようだ。

「売上拡大のために広告を出したいと思っているストアさんは多いがリソース不足で広告を掲載する特集ページが足りていなかった。生成AIを使うことによってエンジニアでなく広告企画のスタッフが特集ページを作れるようになった」(市丸室長)とし、たとえば1月から「Yahoo!ショッピング」で掲載を始めたワインの楽しき方や選び方などをまとめた特集ページ「初心者に贈るワイン特集ガイド」はこれまでページ作りを行ってこなかった広告担当者がテーマを設定して生成AIが作成した。

AIを活用して作成した特集ページの一例
AIを活用して作成した特集ページの一例

「初心者向けワイン特集」と生成AIに指示することでページ作り自体は3分程度ででき、調整や内容確認を含めて2時間程度で作成できたという。同等のものを人の手で作成すると情報集めや調査など含めて1週間程度はかかるよう。今後、広告企画を含めた特集ページの多くは生成AIで作成したものに切り替えていく方針のようだ。

類似商品をAIが自動提案

このほかのAI活用としては「Yahoo!ショッピング」でユーザーレビューの内容をもとに生成AIが類似商品をレコメンドする機能を昨年11月から実装。たとえばある服の購入を検討している際、当該商品について洗濯後に「縮みやすい」などという内容でその商品自体の平均評価より低い評価のレビューがついていた場合、「縮まない」といった「縮み」という観点でよりポジティブな評価なレビューがついている類似商品を「気になる点が解消されている似た商品」として生成AIが商品詳細ページ上で提案するもの。

1月には「Yahoo!ショッピング」とネット競売「Yahoo!オークション」の出店者の問い合わせに、生成AIを活用したチャットボット「ストアクリエイターPro AIチャット」が対応する取り組みも開始した。出店者の管理画面上で販売商品の背景を生成AIを用いて簡単に変えることができる機能なども昨年末にテスト的に導入している。

今後も「Yahoo!ショッピング」ではAIを活用した新サービスの導入していく方針で「ユーザー、出店者が『Yahoo!ショッピング』が使いやすくなったと実感頂けるような生成AIを活用した新たな仕組みを2025年度中には開始したい」(市丸室長)としている。

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通販新聞

法人向け商材、メルマガで4割が購入。読むか読まないかは「件名で判断」が4割

9ヶ月 3 週間 ago

ラクスが実施した調査によると、法人向けの商材では43.4%がメルマガをきっかけに商品購入などをした経験があることがわかった。また、メルマガを読むかどうかの判断は、「件名で読むか読まないか判断する」と回答した人が最も多く40.0%となっている。

調査対象は20~69歳の男女で、有効回答数は500件。調査期間は2024年12月。

メルマガをきっかけにBtoB商材の購入、資料請求、商談をしたことがあるかを聞いたところ、43.4%の人が「したことがある」と回答した。

BtoB商材のメルマガをきっかけとした商品の購入などの経験
BtoB商材のメルマガをきっかけとした商品の購入などの経験

SNSがきっかけでBtoB商材の購入・資料請求・商談などをしたことがあるかについて、「ある」と回答した人は33.5%。メルマガの方が10ポイントほど高かった。

SNSがきっかけでBtoB商材を購入などした経験
SNSがきっかけでBtoB商材を購入などした経験

メルマガで紹介された商品・サービスの購入や資料請求などをしたきっかけを聞いたところ、最も多い回答が「新しい商品・サービスが紹介されていて気になったから」で63.3%。次点は「キャンペーンやセールで通常の価格よりも安かったから」で61.5%となった。

メルマガで紹介された商品/サービスの購入や資料請求をしたきっかけ(複数回答)
メルマガで紹介された商品/サービスの購入や資料請求をしたきっかけ(複数回答)

会社アドレスのメールをチェックする時間帯は、「平日9~10時台」が34.4%で最も多かった。次いで「平日の17~18時台」が29.2%だった。

会社アドレスのメールをチェックする時間帯(複数回答)
会社アドレスのメールをチェックする時間帯(複数回答)

メルマガを読むかどうかの判断は「件名で読むか読まないか判断する」と回答した人が最も多く40.0%。「気づいたものは読むようにする」が33.6%で続いた。

メルマガを開封するかしないかの判断(複数回答)
メルマガを開封するかしないかの判断(複数回答)

調査概要

  • 調査方法:インターネットリサーチ
  • 調査地域:全国
  • 調査対象:20~69歳の男女
  • 有効回答数:500件
  • 調査期間:2024年12月
高野 真維

青山商事、バーチャル試着サービスをアップデート。2点のアイテムの組み合わせが可能に

9ヶ月 3 週間 ago

青山商事は、バーチャル試着サービスを1度に2つのアイテムを組み合わせることができる仕様にアップデートした。アウターとインナーなど異なる2点を自由に組み合わせて、顧客がよりリアルな試着体験をできるようにした。

2点のアイテムを組み合わせたバーチャル試着ができるようになった
2点のアイテムを組み合わせたバーチャル試着ができるようになった

青山商事は2023年9月、専用アプリ不要でスマートフォンで気軽に試着を体験できるバーチャル試着サービスを導入。2024年11月には、運営するレンタルサービス「hare:kari(ハレカリ)」の一部商品にも導入するなど、対象アイテムを拡充してきた。

バーチャル試着サービスを導入している理由は、気軽に商品購入できるネット通販の利用者が増加する一方で、「オンラインだと自分に似合うか不安」といった顧客の不安を解消するため。リアル店舗ではチャレンジしにくい色合いのアイテムでも、バーチャルなら誰にも見られることなく試着できるため好評という。

従前は1アイテムのみでの試着にとどまっていたため、複数のアイテムを組み合わせることの多いビジネスウエアでは課題になっていた。

このほか、あらかじめ撮影した自分の写真にも洋服を試着できるようにした。移動中やカメラが使えない時でも、ユーザーが気軽にバーチャル試着を利用できるようにする狙い。気になる商品は、いつでもどこでも試着が可能となり、オンラインショッピングの利便性向上につなげる。

高野 真維

楽天の“無人配送”が東京・晴海近辺でスタート。「自動配送ロボット」の実力は?

9ヶ月 3 週間 ago
楽天グループが運営している、東京都中央区晴海付近で小売店や飲食店の商品を自動配送ロボットが配送する「楽天無人配送」。利用方法やユーザー・事業者のメリットなどについて取材した

楽天グループ(楽天)は、2024年11月6日から東京都中央区晴海周辺において、自動配送ロボット(ロボット)による小売店や飲食店の商品配送サービス「楽天無人配送」を開始した。楽天は2019年からロボットを活用した実証実験やサービス提供を実施しており、都内では初の試みとなる。サービスの狙いや強み、これまでの反響を楽天グループ 無人ソリューション事業部 ロボット事業課 シニアマネージャー 山下福太郎氏に聞いた。

注文を受けて即時配達、受取時間は15分ごとに設定可能

楽天が2024年11月から展開している「楽天無人配送」は、専用サイトからスマートフォンで注文すると、対象店舗の商品を指定した受取場所で受け取れるサービスだ。

現在は東京都中央区晴海全域、月島と勝どきの一部で展開しており、「スターバックス コーヒー 晴海 トリトンスクエア店」「スーパーマーケット文化堂 月島店」「吉野家 晴海 トリトンスクエア店」の合計3店舗・5300品以上が対象となる。利用時間は各店舗によって異なるが10時00分~21時00分が基本で、配送料は100円。

楽天グループ 無人配送ロボット 楽天無人配送の利用方法
「楽天無人配送」の利用方法

利用手順は次の通り。

  1. スマートフォン向けの専用サイトで「販売店舗」「商品」を選択し、「受取場所」「時間」を指定して注文する
  2. 専用サイトで配送状況を確認する
  3. 到着の通知が届いたら指定場所に移動し、機体の操作パネルで暗証番号を入力して商品を受け取る
楽天グループ 無人配送ロボット 4桁の暗証番号を入力してロックを解除し、商品を受け取る
4桁の暗証番号を入力してロックを解除し、商品を受け取る

受取時間は15分ごとに設定でき、受取場所は約90のスポット(2025年2月時点)から選択できる。晴海周辺のほとんどのマンションやビル前での受け取りが可能で、玄関前とはいかずとも、数分以内で到着できる場所までは届けられるという。配達時間の目安は最短で30分以内、混雑時を除いて1時間以内での配送が可能だ。

ロボットの積載容量は24リットル(スーパーの大きなレジ袋で2~3個分)で、保温機能を搭載しているほか、保冷ボックスにより冷凍・冷蔵商品も配送できる。台風や大雨などの悪天候時は難しいが、通常の雨天や多少の積雪なら運行できる。

ロボットが配送するようす

EC運営企業としての「技術力」と「重ねた実績」が強み

楽天では、配送需要の増加や人手不足といった物流の課題解消をめざし、2019年からロボットによる無人配送事業に着手。千葉大学、神奈川県横須賀市の「うみかぜ公園」や馬堀海岸住宅地、茨城県のつくば駅周辺など、複数エリアでの実証実験やサービス提供を通じて知見を溜めてきた。

私有地から公道へと配送領域を年々拡大し、それに伴ってロボットの台数も増やしながら対応するシステムやオペレーションを構築し、実現可能性を検証してきました。また、利用者からのリクエストへの改善を積み重ねることで満足度も高めてきました。(山下氏)

楽天グループ 無人配送ロボット 無人配送を展開しやすい条件がそろうエリアとして、晴海周辺を選出したという
無人配送を展開しやすい条件がそろうエリアとして、晴海周辺を選出したという

今回、晴海周辺でサービスを開始したのは、大規模マンションが多く人口密度が高い、ターゲットとなる30~40代の子育て中の世代が多く住んでいる、道幅が広いなどの理由から。

タワーマンションの場合は、エントランスから公道までの距離があることから、ロボットが敷地内まで走行して届けるケースもある。各マンションの管理会社などと連携して、安全に運営できる停車場所を決定したそうだ。

楽天が晴海周辺のサービスで活用しているロボットと遠隔操作システムは、米国企業・Cartkenが開発しており、日本仕様に適合させた製品を使用している。一方、利用者向けの注文サイトと事業者向けのオペレーションシステムは自社で構築し、ロボット側の遠隔操作システムなどとAPI連携させることで、スムーズな運営を実現しているという。

楽天グループ 無人配送ロボット Cartkenのロボットは、米国でも高く評価されているという
Cartkenのロボットは、米国でも高く評価されているという

Cartkenのロボットは、段差に強い6輪設計で走行性能が高く、実績も十分にあるため導入を決めました。裏側のシステムには楽天が築いてきた会員基盤などのアセットを活用することで、効率的なオペレーションを実現しています。(山下氏)

楽天が構築した注文サイトには、利用者の不安要素を解消するための機能が多く採用されている。たとえば、ロボットの現在地や到着予定時間を表示したり、ロボットが到着したときにSMSと自動音声電話で通知したりしている。また、小売店や飲食店など事業者向けのロボット配送管理システムは注文と配送を一元管理できる仕様で、感覚的に操作できるように工夫されている。

トラブルのほとんどは遠隔操作で対応できる

ロボットによるスムーズな配送が実現できれば、物流の課題解決につながるはずだが、そのサービス品質は気になるところだ。楽天によると「配達達成率や定時配達率は非公開だが、高い水準に至っている」とのこと。

ロボットは人間に比べて道に迷うなどのトラブルがなく、定時配達を達成しやすいため、今回の新サービスでは到着時間を15分ごとのスロットで設定しています。現状はロボットを初めて利用するお客さまが多いですが、わかりやすい通知などにより受け取りやすい仕組みを作れています。(山下氏)

楽天グループ 無人配送ロボット これまでの知見を生かして、質の高いサービス提供ができているという
これまでの知見を生かして、質の高いサービス提供ができているという

ロボットは、基本的な走路をあらかじめマッピングしておくことで自動走行をかなえている。祭りなど大規模なイベントで道路が封鎖される場合は事前に周知されるため、それに応じて走路を変更することで遅延を回避している。また、工事現場やゴミが歩道にまで広がったゴミ捨て場などで大きく迂回する必要がある場合は、自動走行で迂回する、または遠隔操作の監視者が操作して対応しているという。

走行中に子どもに周囲を囲まれてしまうなど走行が続行できなくなった際は、監視者が音声でアナウンスすることも可能だ。機体の不具合で走行が突如ストップしたり、事故などに巻き込まれたり、ロボット自身での処理が難しい場合は、監視者が現場に駆けつけて対応する。ただ、これまでのところ監視者が出向く事例はほとんど発生していないという。

楽天グループ 無人配送ロボット 交通ルールを遵守して障害物も迂回するなど、人間に近い動きが可能とのこと
交通ルールを遵守して障害物も迂回するなど、人間に近い動きが可能とのこと

その他に起こり得るトラブルでは、走行中の揺れによる液体などの漏れがある。サービス開始前にさまざまなルートで各社の商品を運ぶテストを実施しており、通常時は問題なく配送できることを確認しているが、大きめの石が落ちていたなど予想外の状況では、漏れなどが発生する可能性があるそうだ。また、ロボットの到着後に一定時間が経過しても利用者が受け取りに来ない場合は、電話連絡を行っている。

まずは晴海周辺に注力、店舗数やエリアを拡大していく

2019年からサービス展開を重ねてきた実績から、これまでのところ大きなトラブルなくサービスを提供できているという。ただ、現状は同事業で採算が取れているわけではない。利用者の需要を確認し、満足度を上げながら事業体制を構築していく方針だ。

楽天グループ 無人配送ロボット 現在は楽天のスタッフが商品の詰め込み作業を担っているが、今後オペレーションを変更する可能性はあるそうだ
現在は楽天のスタッフが商品の詰め込み作業を担っているが、今後オペレーションを変更する可能性はあるそうだ

現在、当社の利益になるのは1回100円の配送料金のみで、商品代金は店頭で購入する場合と同じ価格にしています。今後、技術進化により1人の監視者が監視できるロボットの台数が増えていけば、ロボット利用のコストは下がっていきます。コスト削減の状況と需要を見て、配送料や商品代金を再検討できたらと考えています。(山下氏)

直近の展望としては、まだ一部での提供にとどまっている月島・勝どきのエリアを拡大すると共に、利用できる店舗数を増やしていくという。新たなエリアの開拓も視野に入れているが、まずは晴海周辺での成功事例をつくることが先決だ。

小林 香織

コクヨ、最新鋭の自動化設備を伴う新物流センター開設+BtoB事業の2024年12月期業績&展望

9ヶ月 3 週間 ago

コクヨは宮城県仙台市に最新鋭の自動化物流センター「新仙台IDC(仮称)」を開設し、2026年10月の稼働開始をめざすと発表した。

コクヨ傘下のカウネットが運用するオフィス通販「カウネット」を中心とするビジネスサプライ流通事業における、東北および北海道エリアの物流基盤強化が主な目的。ビジネスサプライ流通事業の品ぞろえ拡大、ECプラットフォーム強化、販売店向け卸事業の拡大にもつなげる。

「新仙台IDC(仮称)」外観イメージ
「新仙台IDC(仮称)」外観イメージ

「IDC」はIntegrated Distribution Centerの略称。通販のほか、複数のビジネスモデルを統合する倉庫と位置付ける。

コクヨは2027年12月期を最終年度とした第4次中期経営計画で、既存事業の成長と収益改善につながる約700億円の成長投資の実行を掲げた。その一環として、ビジネスサプライ流通事業の購買プラットフォームにおけるインフラ整備のための設備投資を進めている。

2027年12月期までに成長投資約700億円を計画している。インフラ整備のための設備投資もこの一環(画像はコクヨのIR資料から編集部がキャプチャ)
2027年12月期までに成長投資約700億円を計画している。インフラ整備のための設備投資もこの一環(画像はコクヨのIR資料から編集部がキャプチャ)

「新仙台IDC(仮称)」は、仙台駅から車で約30分の高台に位置し、災害リスクが少なく、主要商圏まで30分圏内でアクセスできる立地にある。コンセプトは「すべての人に安心を届けるセンター」。東北・北海道エリアにおける物流サービスの品質向上と首都圏IDCの負荷分散を図る。

膨大な品番の取り扱いを可能とする最新の自動倉庫システムやAGV(無人搬送車)を活用し、高密度保管および荷扱生産性の向上に取り組む。製造・卸・小売の各段階における流通在庫を集約・統合することで、在庫効率の向上や流通段階の短縮化につなげる。

なお、「新仙台IDC(仮称)」では、周辺環境に配慮した静穏設計、作業エリアの集約により、働きやすい職場環境と効率的なオペレーションを両立。持続可能な物流基盤の構築をめざす。延床面積は1万5000坪、地上4階建て。

ビジネスサプライ流通事業、2024年12月期は増収増益

コクヨの2024年12月期(通期)における「カウネット」を含むビジネスサプライ流通事業の売上高は978億2000万円(前期比1.1%増)、営業利益は44億7100万円(同14.9%増)だった。売価改定の浸透などにより収益性が改善したほか、大規模顧客向けソリューションシステムが堅調に推移している。

ビジネスサプライ流通事業は、カウネットが運営するプラットフォーム型購買管理サービス「べんりねっと」の基盤を生かし、大規模ECサイトや専門商社などとの接続を強化する方針。2027年までにシステム投資などを推進し、2030年へ向けた顧客基盤を構築する。

ビジネスサプライ流通事業における、2025年12月期の通期業績予想は売上高が前期比12.7%増の1115億円、営業利益が同7.4増の48億円。

2027年3月期までのマイルストーンと2030年12月期までのゴール(画像はコクヨのIR資料から編集部がキャプチャ)
2027年3月期までのマイルストーンと2030年12月期までのゴール(画像はコクヨのIR資料から編集部がキャプチャ)

コクヨの2024年12月期(通期)の連結業績は、売上高が前期比2.9%増の3382億円2700万円、営業利益は同7.6%減の220億2800万円、経常利益は同6.1%減の244億1000万円、純利益は同14.3%増の217億8700万円だった。

「新仙台IDC(仮称)」の施設概要

  • 所在地:宮城県仙台市泉区
  • 稼動開始日:2026年10月(予定)
  • 賃借坪数:約7000坪(2階、3階)
  • 延床坪数:約1万5000坪
  • 建物階数:4階建(133m×103m)、RCS構造(鉄筋コンクリート造一部鉄骨造、耐震)
高野 真維

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