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ECビジネスとサスティナビリティの成功例。商品パッケージでCO2削減&追加料金を払っても選ぶ「サステナブル配送」とは | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

4 years 11ヶ月 ago
ヘアケアブランド「Davines」 のEC利用者の平均20% は、商品配送に伴うCO2排出量をオフセットするため、配送料を30セント上乗せすることを選択しています。その理由とは?

ヘアケアブランド「Davines」は、環境のサステナビリティをビジネスの最前線に置いています。EC利用客の平均20%は、商品配送に伴うCO2排出量をオフセット(編注:自身でCO2の排出を減らす代わりに、さまざまな手段により地球上のどこか別の場所で行われているCO2を減らす活動に貢献すること)するため、配送料を30セント上乗せすることを選択しています。

目標は「2030年までに事業すべてのCO2排出量をオフセットする」

「Davines」は2005年にCO2排出量をオフセットするプロジェクトを開始。2011年からサステナビリティに関するガイドラインをパッケージに取り入れました。2016年には米国ペンシルバニア州に本拠を置く非営利団体「B Lab」が定めるBコーポレーション(編注:B Corporation認証。企業の社会的および環境的パフォーマンス全体を測定する唯一の認証)に認定されました。

2018年からは全商品のパッケージをカーボンニュートラル包装(編注:ライフサイクル全体で見たときに、CO2の排出量と吸収量がプラスマイナスゼロの状態になること)にしています。最終的な目標は、「2030年までに事業のすべてのCO2排出量をオフセットすること」。DavinesのEコマースコーディネーターでサステナビリティのスペシャリストであるアリン・アイケン氏はこう述べています。

「Davines」は最近、商品配送に伴うCO2排出量をオフセットするため、ECサイト上に、配送料を増額できるツールを導入しました。2020年4月にこの機能を追加して以来、「約1万件の注文がCO2の影響をオフセットして出荷されている」とDavinesは発表しています。

「Davines」は1983年にイタリアで創業したブランドで、現在もイタリアで商品を製造。世界中で販売を行っており、売り上げの大部分はBtoBが占めており、ヘアサロンへの卸売りもしています。自社ECサイト、大手百貨店「Nordstrom」のECサイト、Amazonを含むオンライン販売が、ビジネスの一部として成長しているとアイケン氏は話します。

「カーボンニュートラル包装」はCO2排出量を団体への寄付で相殺すること

Bコーポレーション認定を受けている「Davines」には、労働者、顧客、サプライヤー、地域社会、環境に与える影響を報告し、考慮することが求められています。「Davines」が取り入れている「カーボンニュートラル包装」とは、商品製造に伴うCO2排出量を、CO2排出量削減に取り組む組織への寄付金で相殺することを意味します。「Davines」はエチオピアの土地と森林の再生に力を入れている非営利団体「EthioTrees」に寄付しています。

CO2排出の影響を計算するプラグインを導入

「Davines」は、ニューヨーク州北部にある倉庫から消費者の玄関先までの配送に伴うCO2排出量をオフセットするプログラムの寄付先にも「EthioTrees」を選びました。「Davines」が採用している「Cloverly」(編注:Sustainability as a Serviceのプラットフォームで、カーボンオフセットを計算するためのAPIなどを公開している)のプラグインは、「Davines」も使用している「Shopify」などのECプラットフォームと統合することができ、さまざまな活動の環境への影響とカーボン・オフセットを計算します。

「Cloverly」は、荷物の重さと倉庫から配送先までの距離などから、「Davines」の配送にかかるカーボン・インパクト(編注:CO2排出の影響)を計算。「Davines」はこの金額を「EthioTrees」に寄付する一方、消費者にはメッセージを明確かつシンプルに伝えるために一律料金を請求しているとアイケン氏は言います。チェックアウトページで、消費者はチェックボックスをクリックして「カーボンニュートラル配送のために0.30ドル(30セント)を追加」できます。

これは、私たちの価値観をEC利用者にアピールするための1つの方法でした。(アイケン氏)

DavinesのECサイトでは、会計時に「カーボンニュートラル配送のために0.3ドルを追加」を選択できる
会計時に「カーボンニュートラル配送のために0.30ドルを追加」を選択できる(画像:DigitalCommerce360「Customers choose to pay more for sustainable shipping at Davines」よりキャプチャ」

18万6000ポンドのCO2をオフセット

アイケン氏によると、追加の30セントにはカーボンオフセットと「Cloverly」の手数料のみが含まれており、その他の料金は発生しないそうです。注文ごとの配送距離と荷物の重さの違いはわずかのため、定額料金で請求した方が消費者に伝わりやすいとアイケン氏は言います。

環境問題に配慮した配送ツールを利用していると紹介するDavines
環境問題に配慮した配送ツールを利用していると紹介する「Davines」(画像:DigitalCommerce360「Customers choose to pay more for sustainable shipping at Davinesよりキャプチャ」

30セントはそれほど大きな金額ではありません。消費者がオフセットしているのは自身がオーダーした1つの小さな荷物だけであり、配送するトラック全体の荷物ではないことをアイケン氏は強調しています。「Davines」の物流チームは、環境への影響をさらに減らすために、航空輸送ではなく地上輸送のみを使用するように努めているそうです。

ビジネス全体を見るとEコマースの影響は大きいですが、1つひとつの注文がCO2排出に与える影響はそれほど大きくありません。(アイケン氏)

「Davines」は、数か月間「Cloverly」を試した後の2020年4月、正式にシステムを統合しました。プログラムを開始して以来、「Davines」は1万件の注文を通じて、18万6000ポンド(8万4,368キログラム)のCO2をオフセットしてきました。平均して約20%の顧客が購入時にオフセットを選択しており、アイケン氏は結果に満足しています。

「Davines」がサステナブル配送を追加した理由

「Davines」が最初にサステナブル配送のオプションを開始した際、ホームページにこの新プログラムに関するバナーを表示し、メールマガジンにも関連するメッセージを掲載しました。立ち上げ以来、2020年のブラックフライデーまで、このプログラムのプロモーションは行っていません。

「Davines」は通常、ブラックフライデー(「Davines」は「グリーンフライデー」と呼んでいます)にはEC売上の1%を環境に焦点を当てた団体に寄付しています。2020年も1%の寄付を継続したと同時に、注文ごとに30セントを負担してサステナブル配送を行いました。そのため、「当日出荷された注文による環境への悪影響はなかった」とアイケン氏は説明。11月27日には、5.1トン分のCO2をオフセットしたと「Davines」は発表しています。

Davinesはサステナブル配送で対応するため、ブラックフライデーを「グリーンフライデー」と呼んでいる
Davinesはサステナブル配送で対応するため、ブラックフライデーではなく、「グリーンフライデー」と呼ぶようにしている(画像:DigitalCommerce360「Customers choose to pay more for sustainable shipping at Davinesよりキャプチャ」

この新しい取り組みは、現在まで上手くいっています。さらに強化するために、2021年にはWebサイトやマーケティングでこの取り組みの認知を広げ、より多くの消費者にサステナブル配送を選択してもらいたいと「Davines」は考えています。

「Davines」がこの機能を追加したのは、ブランドの価値観に合致しているからだけでなく、消費者がサステナビリティに関心を持っていることを知っているからです。

サステナブル配送機能は当社の価値観に沿ったものです。私たちは将来、カーボンニュートラルとネットゼロエミッション(編注:温室効果ガス排出を実質ゼロとすること)を実現するためにコミットしてきました。我々の価値観を伝える方法として、この機能は本当に重要なのです。(アイケン氏)

多くの消費者が、サステナブルなビジネスを行っている企業を探し、その企業から購入するようになっています。1,113人の消費者を対象にした『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsの調査(2020年12月実施)によると、サンクスギビングからサイバーマンデーまでの5日間、消費者の11.1%は、「サステナブルなビジネスを行っているからという理由でオンライン小売事業者を選択し、購入した」と回答しています。

また、同じく『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが989人の消費者を対象に行った調査(2020年3月)によると、消費者の30%が「環境に配慮した配送や梱包のために、より多くの金額を支払うことを望んでいる」と答えました。

『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが消費者989人を対象とした調査(画像:DigitalCommerce360の「Customers choose to pay more for sustainable shipping at Davines」より編集部が作成)

プラスチックの代わりに再生紙で商品を梱包

「Davines」のサステナビリティへのもう1つの取り組みは、出荷用の箱の中に環境に配慮した素材を取り入れていることです。たとえば、商品のほとんどはプラスチックの代わりに再生紙を使用して梱包しています。さらにアイケン氏は次のように言います。

「Davines」のパッケージは、輸送時の二酸化炭素排出量を削減し、必要な原材料を削減するために軽量化されています。(アイケン氏)

「Davines」は今後、取引のあるサロンとのリサイクルプログラムを実施したいと考えています。サロンに特化したリサイクルプログラム「グリーンサークルサロン」では、サロンが集めた空の商品ボトルを「グリーンサークルサロン」に送付できるよう、リサイクルコンテナを提供し、集まったボトルを適切にリサイクルしています。「Davines」は、EC利用者が商品を使い切ったときに、地元のサロンでDavinesの商品を回収できるよう、プログラムを拡大したいと考えています。

2020年中にこのプログラムを実施する予定でしたが、新型コロナウイルス拡大のため、「Davines」は予定を遅らせました。コロナ禍で多くのサロンが一時閉鎖しましたが、店舗を再開した後も、多くの場合、安全上の理由のために個人的な商品を持ち込まないように顧客に依頼しています。今は消費者の外出を奨励する時期ではありません。「Davines」は、コロナ禍が収束した時に、このプログラムが再開できることを期待しています。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

Digital Commerce 360
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通販・EC、サブスクなど事業・業態転換を政府が支援する予算案額1.1兆円の「中小企業等事業再構築促進事業」とは?

4 years 11ヶ月 ago

小売店舗で衣服販売業を営んでいたところ、コロナの影響による売上減少を契機に店舗を縮小し、ネット販売事業やサブスクサービス事業に業態を転換――。政府は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で新規事業への進出、業態展開、事業再編などを進める中小企業の補助事業「中小企業等事業再構築促進事業」を始める。

2020年12月15日に閣議決定された令和2年度第3次補正予算案に盛り込まれており、2021年1月の通常国会で予算案が承認された後、「中小企業等事業再構築促進事業」の詳細が公表される見通し。予算案額は1兆1485億円。

「中小企業等事業再構築促進事業」は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、需要や売り上げの回復が難い中、ポストコロナ・ウィズコロナの時代の経済社会の変化に対応するために中小企業などの事業再構築を支援する制度。

新規事業分野への進出、業態転換、事業・業種転換、事業再編などを通じた業再構築に意欲を有する中小企業の挑戦を支援するという。特に中堅企業へと成長する中小企業については補助上限を最大1億円に引き上げて支援を重点強化する。

政府は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で新規事業への進出、業態展開、事業再編などを進める中小企業の補助事業「中小企業等事業再構築促進事業」を始める
「中小企業等事業再構築促進事業」について(画像は中小企業庁の公表資料からキャプチャ)

事業再構築の想定イメージ

  • 小売店舗による衣服販売業を営んでいたところ、コロナの影響で売り上げが減少したことを契機に店舗を縮小し、ネット販売事業やサブスクサービス事業に業態を転換
  • レストラン経営をしていたところ、コロナの影響で客足が減り、売り上げが減少。店舗での営業を廃止し、オンライン専用の注文サービスを新たに開始し、宅配や持ち帰りの需要に対応
  • ガソリン車の部品を製造している事業者が、コロナ危機を契機に従来のサプライチェーンが変化する可能性がある中、今後の需要拡大が見込まれるEVや蓄電池に必要な特殊部品の製造に着手、生産に必要な専用設備を導入
  • 航空機部品を製造している事業者が、コロナの影響で需要が激減したため、当該事業の圧縮・関連設備の廃棄を行い、新たな設備を導入してロボット関連部品・医療機器部品製造の事業を新規に立上げ

補助対象要件

  • 申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少している中小企業など
  • 自社の強みや経営資源(ヒト/モノなど)を生かしつつ、経産省が示す「事業再構築指針」に沿った事業計画を認定支援機関などと策定した中小企業など
    ※「事業再構築指針」は現在のところ公表されていない
  • 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加、または従業員1人当たり付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加の達成

補助金額・補助率

政府は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で新規事業への進出、業態展開、事業再編などを進める中小企業の補助事業「中小企業等事業再構築促進事業」を始める
補助金額と補助率について(経産省の資料からキャプチャ)
  • ※1. 中小企業(卒業枠)について
    • 400社限定。計画期間内に、①組織再編②新規設備投資③グローバル展開――のいずれかにより、資本金または従業員を増やし、中小企業から中堅企業へ成長する事業者向けの特別枠
  • ※2. 中堅企業(グローバルV字回復枠)について
    • 100社限定。以下の要件を全て満たす中堅企業向けの特別枠。
      • 直前6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して、15%以上減少している中堅企業
      • 事業終了後3~5年で、付加価値額または従業員1人当たり付加価値額の年率5.0%以上増加を達成すること
      • グローバル展開を果たす事業であること

補助対象経費の例

  • 建物費、建物改修費、設備費、システム購入費、外注費(加工、設計など)、研修費(教育訓練費等)、技術導入費(知的財産権導入に係る経費)、広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展など)などが補助対象経費
    ※補助対象企業の従業員の人件費、従業員の旅費は補助対象外

店舗を縮小してネット通販を始める場合、店舗縮小にかかる店舗改修の費用、新規オンラインサービス導入にかかるシステム構築の費用など。レストランが店舗営業を廃止しオンラインサービスを始める場合、店舗縮小に関する建物改修の費用、新規サービスに関する機器導入費やコウコク宣伝のための費用などが対象になる。

◇◇◇

「中小企業等事業再構築促進事業」は、事業者側と認定支援機関、金融機関が共同で事業計画を策定。事業者と支援機関、金融機関が連携し一体となって事業再構築に取り組むことを求めている。

担当は中小企業庁 経営支援部 技術・経営革新課(Tel03-3501-1816)。

公募開始時期や対象業種については未定。申請にはjGrants(電子申請システム)での受付を予定しており、補助金申請には「gBizIDプライムアカウント」が必要となる。

認定支援機関は、中小企業庁のホームページの「経営革新等支援機関認定一覧」を参照。

瀧川 正実
瀧川 正実

しまむらのネット通販、店舗受取が9割で「ECから店舗への送客に効果」

4 years 11ヶ月 ago

しまむらが2020年10月にオープンした自社ECサイト「しまむらオンラインストア」のEC売上高は、計画通りに進行しているようだ。

スマホで商品を注文し店頭取置が行えるアプリ「しまコレ」(ECサイトの開設に伴い9月に終了)とネット通販で2021年2月期のEC売上高は20億円を見込んでおり、オープンから11月20日までの売上高は「概ね計画通りに推移している」(しまむら)

売れ筋商品は、インフルエンサー企画であるサプライヤーとの共同開発ブランド「JB(Joint Development Brand)」、キャラクター商品、オンライン限定商品などとなっている。傾向はオンラインストアの前身である「しまコレ」と同じという。「しまコレ」の顧客が、ECサイトへスムーズに移行していると見ている。

なお、商品展開のうち約15%がオンラインストア限定商品。7L・8Lといった大きいサイズ、限定カラーなどを展開しており、売れ筋商品となっている。

しまむらのEC事業について
EC事業について(画像は決算説明会資料からキャプチャ)

商品の受取方法は、店舗受け取りが約9割、自宅配送が約1割。想定以上に店舗受け取りを選択する顧客が多く、「EC事業の主な目的の1つである『ECから店舗への送客』に効果を発揮している」(しまむら)

顧客の内訳は9割以上が女性。東京、神奈川、大阪、愛知の大都市圏が中心となっている。

人気集中による売り切れのチャンスロスを防止するため、12月から予約販売をスタートした。自宅配送時の配送方法では、送料500円の通常サイズに加え、12月から送料200円のゆうパケットを導入。アクセサリーなどの小さい商品向けに提供、顧客の選択肢を広げた。

しまむらは、実店舗の物流・配送網を使いコストを抑制、「ローコストEC」を事業構造の根幹としている。埼玉県の東松山商品センターを増築し、増設部分をECセンターとして稼働。サプライヤーが東松山商品センターに納品後、隣接するECセンターで検収し、在庫として保管する。店舗受け取りはしまむらの物流網で配送し、個人宅配送の場合は宅配業者に配送を委託している。

しまむらが2020年秋に運用を始めるECサイト運営に関する概要 埼玉県の東松山商品センターを増築し、増設部分をECセンターとして稼働させる
物流センターについて(2021年2月期第1四半期の決算説明会資料からキャプチャ)

東松山のECセンターのキャパシティーは年間売上高50~60億円程度を想定。コロナ禍の新生活様式でECの需要が高まっているため、ピッチを上げて拡大していくという。

EC事業の拡大には西日本地域での配送拠点が必要不可欠。関西センターの開設を予定しているが、完成までは外部の物流業者へのアウトソーシングでEC事業を拡大していく考え。

2022年2月期は、しまむら事業のEC取扱高を増やし、「バースデイ」「アベイル」など、「ファッションセンターしまむら」以外の事業でもネット通販を手がける。

石居 岳
石居 岳

【2021年ECトレンド予測②】石田麻琴さん、川連一豊さん、北山浩さん、小橋重信さん、逸見光次郎さんが見るEC業界

4 years 11ヶ月 ago
EC業界の有識者14人による、2020年の振り返りと2021年のECトレンドを予測。第2回は、ECマーケティング人財育成の石田麻琴さん、ジャパンEコマースコンサルタント協会(JECCICA)の川連一豊さん、エースの北山浩さん、リンクスの小橋重信さん、オムニチャネルコンサルタントの逸見光次郎さん

EC業界の有識者14人に、2020年の振り返りと合わせて2021年のECトレンドを予測してもらう企画の2回目は、ECマーケティング人財育成の石田麻琴さん、ジャパンEコマースコンサルタント協会(JECCICA)の川連一豊さん、エースの北山浩さん、リンクスの小橋重信さん、オムニチャネルコンサルタントの逸見光次郎さんです。(紹介は50音順)

ECマーケティング人財育成 石田麻琴さん

石田麻琴さん
株式会社ECマーケティング人財育成 代表取締役 石田麻琴さん

2020年の印象的なECトピックス

コロナ禍によるEコマースのニーズ拡大。弊社のクライアントにおいても4月から6月にかけてアクセスが1.5倍~2.5倍、売り上げも前年同期比1.2倍~2.0倍になるなど、不謹慎ではあるが一時的にバブルのような状態になった。

2021年、EC業界に期待すること&トレンド予測

多くの企業において、Eコマースを事業計画に組込まざるを得ない状況になると思う。いままで「売り上げが伸びればラッキー」「みんながやっているから」などの理由でEコマースに取り組んでいた会社さんも、事業計画を組んで本格的に取り組む年になるのでは。

2021年のEC業界の予想を漢字で表すなら?

企業としてEコマースに本格的に取り「組」む年になる。そして企業がEコマースのために「組」織を変化させる年になるというイメージから。

JECCICA 川連一豊さん

川連一豊さん
JECCICA 代表理事 川連一豊さん

2020年の印象的なECトピックス

不謹慎ですが……コロナバブル。

2021年、EC業界に期待すること&トレンド予測

EC化率がぐーんと伸びる。

2021年のEC業界の予想を漢字で表すなら?

極端に成長する可能性が高いため。

エース 北山浩さん

北山浩さん 
エース株式会社 第三事業部 次長(EC事業部)北山浩さん

2020年の印象的なECトピックス

ヤプリさん、いつも.さんをはじめ、EC支援会社さんが数社上場したこと。

理由:今までなかなかなかったし、大手企業の関連会社中心だったと思う。コロナ禍で暗いニュースが多い中、EC業界にとっては非常に喜ばしい出来事だったのではないだろうか?

2021年、EC業界に期待すること&トレンド予測

期待する事:慢性的な人材orリソース不足が解消されることに期待。そして属人化しないでほしい。

変化:手を加えられる企業はさらに飛躍=格差が広がるのではと見ている。投資ができる会社はさらに加速して総取を狙ってくるのではと思う。そして、動画コンテンツマーケティングが今まで以上に広がっていくと考えている。

2021年のEC業界の予想を漢字で表すなら?

デジタルトランスフォーメーション(DX)に会社全体で取り組んでいる企業ほど前に進み、足踏みしている老舗企業ほど遅れていく。

リンクス 小橋重信さん

小橋重信さん
株式会社リンクス 代表取締役社長、株式会社キレイコム 取締役 物流統括責任者 小橋重信さん

2020年の印象的なECトピックス

COVID-19による店舗閉鎖とECシフト急増。

2021年、EC業界に期待すること&トレンド予測

共創の実現……シェアリング含め、企業間連携の推進。

2021年のEC業界の予想を漢字で表すなら?

お互いに協力して、この難局を乗り切ることが必要。

CaTラボ 逸見光次郎さん

逸見光次郎さん
株式会社CaTラボ代表 オムニチャネルコンサルタント 逸見光次郎さん

2020年の印象的なECトピックス

BASEやShopifyなどのプラットフォームの急成長。GMOメイクショップやフューチャーショップなども伸びているが、初期従量課金型で出店料がない形のプラットフォームがより利用者を増やしている。ということは、「Yahoo!ショッピング」が料金体系を大きく下げて一気に出店者が増えたように、さまざまなビジネス/事業規模の事業者がECに参入したということになる。

Shopifyは米国と同様、API経由での接続サービス(出品、マーケ、物流など)を拡大していくことができれば、中堅大手ECプラットフォーマーとの差異が無くなったり、よりきめ細やかな仕組みができあがったりする可能性がある。

日本の小売業は自社IT部門が弱く、ベンダー任せとなっている。この構造は一気には変わらない。そうした中で、きめ細やかで出店しやすいECプラットフォーマーが増え、競争が増えることは、日本の小売業のEC化において大きなプラスになるかもしれない。

2021年、EC業界に期待すること&トレンド予測

コロナ禍、とにかくEC展開した事業者が、納期などのクレームを経験しながら2021年はサービスレベルを上げる取り組みができるようになるのか、それとも止めてしまうのか。そして店舗と連携したオムニチャネル化が進むのかどうか。

2021年のEC業界の予想を漢字で表すなら?

国内小売市場は人口減に伴い成長する事は難しい中で、よりEC化率が高まる流れが加速すると考える。

◇◇◇

2021年を予想する一文字は書道家の沖 亜希子(雅号:沖才竹)氏が揮毫(きごう)しました。

公文 紫都
公文 紫都

ウエブル 増子愛 × HAPPY ANALYTICS 小川卓 対談 (3) 数値的根拠で改善提案へ

4 years 11ヶ月 ago

小川卓の対談企画、第5回のお相手は増子愛さんです。

HAPPY ANALYTICSの小川卓対談企画。第五回のお相手は、提案型ウェブアナリスト育成講座第3期卒業生で、(株)ウエブル 代表取締役 増子 愛氏。

全3回でお届けする対談の最終回は、提案型ウェブアナリスト育成講座で得たというビジネスロードマップとカスタマージャーニーについて、また将来の展望について伺いました。増子さん作成資料も公開です。

(株)ウエブル 代表取締役 増子 愛(ますこ めぐみ)
富山県出身。大学で東京に行き、新卒で富山のHR系SaaSの会社にプログラマとして入社。SaaS開発、ECサイトの店長、フリーランスを経て2016年株式会社ウエブルを設立。2019年提案型ウェブアナリスト3期を修了し、分析を活かしたコンサルテーションの幅を広げて活躍中。

進行・編集は、HAPPY ANALYTICS広報 兼 エスファクトリーウェブディレクターの井水朋子がつとめます。

 

(3) 数値的根拠で改善提案へ

増子さんのプレゼン資料公開

小川卓講座での増子さんのプレゼンは、なかなか面白かったですよね。紙芝居みたいなヤツ。「ところで、一方は・・」というフレーズが入って、「紙芝居始まったぞ」みたいになって(笑)

井水朋子紙芝居みたいなレポートってあんまりイメージわかないんですけど、小川さんが気になったポイントは、テーマが移っていく感じですか?

増子今もありますよ。これです。

小川卓これこれ。そうです。プレゼンとしてはいいんです。お店の人の実感値をヒアリングしているなどなど、中身もとてもいいんですよ。聞いている側も、すーっと入ってくるんです。話は変わりまして・・って(笑)

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全員:笑

 

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小川卓レポートに増子さんの性格がそのまま出ているんだなと思いましたね。

増子語り部みたいで・・改善しなきゃいけないですよね。最近作ったレポートから改善して、最近作ったのはまじめですよ。

 

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某日用品メーカー様公式ECサイトの現状分析改善レポートの1ページを本ページ公開用に再現していただきました。

 

 

 

 小川卓まじめというか、あえてまじめにしたというか(笑)

増子これは、馬場さんに相当しごいてもらいました(笑)

小川卓馬場さんは提案型ウェブアナリスト育成講座の卒業生。

井水朋子すごい、期も違うのに、どういう流れで。

増子馬場さんとはありがたいことに、提案型ウェブアナリスト育成講座の卒業生slackの中でお知り合いになり、交流が始まりました。今回、半年ぶりくらいに、提案型のレポートを作ろうとして、データとにらめっこして、数値から提案につながらない、改善につながらないと、モヤモヤしていた時に、卒業生slackでやり取りしたら、馬場さんが「壁打ちしますよ」って言ってくださって、忙しい合間を縫って週に2時間くらいずつ壁打ちしてくれました。

井水朋子すごいですね!

小川卓不思議なご縁でつながって。。ありがたいですね。卒業生の交流は、今後もしていきたいけど、コロナで飲み会はできていないですね。この間も卒業生向けにGoogleアナリティクス4の勉強会をしましたけど。

 

(参考リンク)※一般向けのGA4セミナー

 

 

増子オンラインで参加させてもらいました。

 

(参考リンク)

この卒業生インタビューの第一回で馬場さんにインタビューしています。

analytics.hatenadiary.com

 

 

ビジネスロードマップとコンセプトダイアグラム

 

増子講座で学んだことでいうと、ビジネスロードマップとコンセプトダイアグラムが良かったです。

井水朋子講座を受ける前と後だと、分析の仕方が変わりました?

増子前までは、局所的に目についた値を見ていました。全体像が見えていなかったんですね。講座でビジネスロードマップとコンセプトダイアグラムを学んだことで、全体の中のどこがボトルネックになっているのかというところを見られるようになり、本格的に体系だててできるようになりました。

小川卓なるほど。

増子ビジネスロードマップを、データポータルにしたのがこちらです!

 

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増子さんがe-花屋さん様のサイトで作成したデータポータル画面。サイト流入~サイト訪問~商品詳細~購入のロードマップおよび、ランディングページのデータが一目でわかる。店長さんとの戦略立案と仮説検証や、お客様内製チームの粘り強い改善作業の末、20万円台だった収益が半年後に200万円近くへ。

 

小川卓いいですね、いいですね、すごい!見やすいですね。

増子ありがとうございます。

小川卓左から見ていって、KPI、数字を入れて頂いていて、うんうん・・

井水朋子データポータルをこんなおしゃれに作っているの初めてみました!

増子ありがとうございます。一応デザインも、元々一人Web制作工場だったので少しこだわっているかもしれません。

小川卓そこは人それぞれバックグラウンドがありますよね。ウェブ畑からくるか、制作畑からくるか、広告畑からくるか等など、このあたりの特徴や癖ってやっぱり出ますね。

井水朋子私は同業ながら、すごいな、わかりやすいなって、ちょっと感動しました。

増子ありがとうございます。

小川卓いいですよね。

増子励みになります(笑) しかし本当にすごいのは、分析結果を元に、気の遠くなるようなPDCAの改善作業を半年にわたって粘り強く続けられたe-花屋さんの店長さんとスタッフさんです。ゼロイチからはじめて、売上が10倍になる過程を伴走させて頂いたことが私たちにとっても貴重な学びになりました。

増子最近作ったレポートは、各ページへの流入を数字で見える化して、どこの数字が思ったよりも良いか悪いかを表現しています。

 

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某日用品メーカー公式サイトの流入分析。本ページ公開のために数字を変えて再現してあります。

 

小川卓いいですね、ちゃんと整理していて。パッと見、どこに人が多くて、どこを改善できそうかが判断できますね。こういうレポートがないと、改善とはあまり関係ないところから手をつけてしまうこともありますからね。

増子全体の中でどこをてこ入れしたらインパクトが大きいのかが、優先順位づけができるのと、意図したところに意外と集客できていないといったことに気付けたりと、非常に役立っています。ちなみに、こちらの某日用品メーカーさんは、昨年からお付き合いがあったのですが、今年になって、「小川先生の資格をもっていましたよね?」と言われ、提案型のレポートを作成しました。50項目にわたる改善施策が出て、優先度の高いところから着手していますが、「ビジネスや社の体制など、いろんな経緯を理解した上での情報提供がうけられている」と喜びの言葉をいただいています。

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2019年提案型ウェブアナリスト育成講座の卒業記念写真(増子さん提供)

 

分析を「社内の集合知」にしていきたい

井水朋子今後していきたいことや夢はありますか?

増子分析を社内の集合知にしたいですね。

小川卓どういうことですか?(笑)

増子実家での仕事の時も属人化を排除するために、誰でもできるようなシステム作りを考えましたが、制作会社では属人化をなかなか排除できないんですよね。

小川卓なるほど、お客様との関係もあるし、自分では作れないこともありますからね。

増子サイト制作は、なんらかの成果を求めて制作することも大事なので、それに関わる者として、最低限ウェブ解析に基づいた話ができたり分析・改善、その先にある結果を見据えた制作をしていくべきだなと考えています。ただ、テンプレートを使って分析できたとしても、それ以上のビジネスを理解して、その数値からどう改善を出すかというのはなかなか難しいですね。そこで、日々データを見ながらメンバーと話していく中で、それを集合知として、ノウハウを育てたいなと。

小川卓全員が分析できるかというとなかなかね。分析の仕方や虎の巻、こういう改善案ならいけそうとかね。

増子あとは、クライアント様のサイトが作りっぱなしにならないように、今後の提案の中でウェブ分析をメニューに入れていきたいなと考えています。そういえば、馬場さんに、「来年には、一人ぐらいはウェブ解析士を専業で雇えるようにしたいですね。」って言われてます。

小川卓分析専業じゃないけどね。

増子分析を当たり前にできる制作会社になりたいです。

小川卓提案型ウェブアナリスト育成講座卒業生のslack部屋では、サイトURLを送って、改善のアイデアを出してもらいましたけど、そんな感じでアイデアを出し合えるといいですよね。増子さんにアイデアをもらったり、増子さんが持っていなくても、ほかの人からアイデアをもらったり。色んな人からアイデアをもらうということも、やっぱり大事だと思いますね。「自分のベースがここだから、もっといいことありませんか」って聞いちゃっていいわけで。

増子ひとりで見るよりも、多様な視点からみることで、偏りなくみることができますね。多様なバックグラウンドを持つ人へのリスペクトがあり、その多様性・多様な視点を大事にしているところも、提案型コミュニティの素敵なところだと思います。

小川卓サイトにずっと携わっていると、今までの経験を踏まえた視点になっちゃうからね。アイデアを色んな人からもらって、データを踏まえて、これを試す価値がありそうってできるといいのかなって、思いますね。前の会社にいた時は、新しい人が入ってくると、その人にサイトを見てもらったりもしていましたね。「あ、そこでつまづいちゃう」みたいな事も結構あります。「これわかりづらくないですか?」って言われて、初めて気がつきますね。経験するほど、わかりづらいっていうことがわからなくなってしまうと。

増子当たり前になっちゃうんですよね。

小川卓詳しくない人が見た方がいいっていうのもあるんで。

増子いろんな人を巻き込んでやっていきたいですね。

小川卓それがなんかね、社内に伝わって出てくるといいんですね。

 

富山にウエブルあり!

井水朋子個人的な夢はありますか?

増子増子個人ですか!増子個人としては・・・

増子東京に行きたいですね!口実はいつも探しているんですけど(笑)

小川卓アピールしておいた方がいいですよ。

増子東京。東京に行きたいです!(笑)

小川卓東京の仕事募集中です!(笑)

増子なぜ東京にいきたいかというと、私は東京の大学に行って、学生時代に子ども産んで富山に帰ってきたので、もう少し東京でチャレンジしたかったなっていう想いがありますね。

小川卓社会人としてのチャレンジですね。

増子リモートワークを進めて、場所にとらわれずに仕事ができる環境になってきたと思うんですよ。東京の仕事を富山でしてもいいし。そこで得た知見を富山に持ち帰ることもできるので、地元への貢献にもなると思っています。もともと、小川先生のセミナーを東京で受けさせてもらって、富山のブランドにも貢献できるという喜びもあって、両方をしていきたいなと思っています。ウエブルは、東京にもオフィスがあるんですが、東京勤務の子も今、分析を勉強してくれています。

小川卓仕事募集中です!(笑)

 

一同:(笑)

 

小川卓10年後、20年後ってどんなイメージされていますか?

増子野望だけ言うと、100人くらいの会社にしたい!

小川卓もっと貢献できると。

増子東京にも福岡にもベンチャーみたいな会社があると思うんですけど、富山にいる時、そういう雰囲気ってあんまりなかったので、モヤッとしたんですよね。「富山に帰ってきても、ウエブルっていう、おもしろいベンチャーがあるんだぞ」っていうことを、若い人に思ってもらえるような会社にしたいなと、目指していますね。

井水朋子はい。人募集ってことですね。

増子デザイナーがいないんですよ。今はデザイナー!

小川卓アピールしときましょう(笑)

増子デザイナー募集中です!(笑)

 

 - ありがとうございました -

 

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エアークローゼットの「顧客の生の声」をEC経営に生かすデータ活用法と実践例

4 years 11ヶ月 ago
エアークローゼットが実績データ2000万件超を経営に活かすデータ解析と人工知能(AI)活用事例を公開。データ活用を通じたECサイト運営、その実例を解説

女性向け月額制ファッションレンタルサービス「airCloset(エアークローゼット)」を展開するエアークローゼット。サービス開始から5年の間に、独自のオンラインシステムである「スタイリング提供システム」で蓄積した実績データ2000万件超のデータ解析と、人工知能(AI)活用事例を初公開した。独自の取り組みとノウハウを発信し、組織や業界の枠を超えた幅広い協業を呼び掛ける。エアークローゼットの天沼聰代表取締役社長 兼 CEOが語った、データ活用に注力する理由と経営に活かす方法とは?

※編集部主催のウェビナー「airClosetはなぜ『データ分析』に力を入れるのか。ファッションサブスクECを次世代型へアップデートする”唯一無二”のデータ活用法」の内容を記事化したものです。

発想とITで、洋服と出会う体験をサービス化

エアークローゼットが日本初となる普段着に特化した月額制ファッションレンタルサービス「airCloset(エアークローゼット)」を開始したのは2015年2月。

顧客の体型・サイズ、レンタル履歴データなどから、プロのスタイリストがコーディネートを提案するのが特徴で、登録から受け取りまで一連の手続きをオンラインで完結する。返却期限はなく、気に入った洋服はそのまま購入できる。

エアークローゼットが提供する「airCloset」
「airCloset」サイトトップページ(画像:サイトからキャプチャ)

現在はレンタルサービスに加え、実店舗の「airCloset x ABLE(エアークローゼットエイブル)」、提案型ファッションEC「airCloset Fitting(エアクロフィッティング)」、遠隔パーソナルスタリングサービスの「airCloset Talk(エアクロトーク)」を展開する。

エアークローゼットが展開する各種サービス
エアークローゼットが展開する各種サービス

めざすのは、「『ワクワク』が空気のように当たり前になる世界。発想とITで人々の日常に新しいワクワクを創造する」(天沼氏)こと。

データ活用はスタイリングから在庫管理まで

自社サイト内に「airCloset Data Science Collection(エアークローゼットデータサイエンスコレクション)」を2020年6月に開設。数あるデータとAI活用事例の中からまず4件を公開した。

自社のデータ活用事例を紹介する「airCloset Data Science Collection」トップページ
自社のデータ活用事例を紹介する「airCloset Data Science Collection」トップページ(画像:サイトからキャプチャ)

1. スタイリング・サポートAI

顧客が事前に登録する洋服の好みや要望、サービス利用後の着心地やデザイン、カラーに関する感想といったフィードバックデータをAIで解析し、顧客ごとに適した洋服をスタイリストに提示する。

最終的にコーディネートを決めるのはスタイリストだが、その作業をAIで支援し、スタイリングの精度と効率を向上させる

airCloset Data Science Collection内の「スタイリング・サポートAI」について
「スタイリング・サポートAI」について(詳細はこちら画像はサイトからキャプチャ)

2. スタイリング・マッチング・システム

洋服のレンタル履歴や好みを基に、エアークローゼットが契約する300人強のスタイリストの中から顧客のスタイリングテイストに合ったスタイリストを選ぶ。

スタイリストとのマッチングが高ければ高いほど、顧客にとって洋服との良い出会いにつながるのではないか」(天沼氏)と考えたことが背景にある。

airCloset Data Science Collection内の「スタイリング・マッチング・システム」について
「スタイリング・マッチング・システム」について(詳細はこちら画像はサイトからキャプチャ)

3. インベントリー・オプティマイザー

在庫最適化シミュレーション。洋服のバリエーションを過不足なくそろえるため、どのカテゴリーのどんな洋服を、どのような比率で仕入れるかを算出する。貸し出し中の洋服、倉庫に保管されている洋服、クリーニング工場でメンテナンス中の洋服、顧客満足度などのデータを掛け合わせ、格好の組み合わせをはじき出す。

airCloset Data Science Collection内の「インベントリー・オプティマイザー」について
「インベントリー・オプティマイザー」について(詳細はこちら画像はサイトからキャプチャ)

4. ロジスティクス・フォアキャスト

貸し出した洋服は、検品、クリーニング、メンテナンスという工程を経て再び在庫化する。しかし、エアークローゼットは返却期限を設けていないため、どんな洋服がいつ、何着返ってくるかといった返却の予測が難しかった。この問題を解決するのがロジスティクス・フォアキャストだ。

蓄積した返却データをAIに学習させ、顧客数、出荷数、季節、曜日などに基づき「今日、明日、あさって、どのくらいの数量が返ってくるか」(天沼氏)を予測する。

airCloset Data Science Collection内の「ロジスティクス・フォアキャスト」について
「ロジスティクス・フォアキャスト」について(詳細はこちら画像はサイトからキャプチャ)

このモデルの利用で、予測した返却数と実際の返却数の誤差は±10%以内に改善した。クリーニング工場や倉庫の人員配置が最適化され、人員不足による作業の遅れや、逆に人員過多によるコスト増といった問題を回避できるようになったという。

エアークローゼットの天沼聰代表取締役社長 兼 CEO
エアークローゼットの天沼聰代表取締役社長 兼 CEO。英国ロンドン大学コンピューター情報システム学科を卒業後、日本でIT・戦略系コンサルティング会社のアビームコンサルティングと楽天で勤務。2014年7月にコンサル時代の仲間2人とエアークローゼットを創業した。

実例公開は「業界の垣根を超えたデータ連携」「協力体制作り」のため

エアークローゼットがデータ解析や実例を公開したのは、日本の将来も見据え、業界の垣根を超えたデータ連携と協力体制作りが必要との思いがあったため。

ファッション業界に限らず、情報化社会の中で情報がどんどんたまっていく中で、それを活用しきれていない部分も多々あるのではないかと感じていた。(データ活用について)いろんな業界の方と意見交換することが、これからの日本を作っていくと考えた。(天沼氏)

事例を積極的に発信することが、業界他社がデータ活用に興味を持つきっかけや、データ連携や協業の起点になればと期待する。

社長直属部署でデータ活用とAI開発を内製化

エアークローゼットは、サービス開始当初からデータの収集と活用に力を入れてきたという。

アナログとデジタル(的要素)をバランスよく活用することを、最初のサービス開始時から会社の信念として持っていた。どういうデータが必要で、それをどう活用していくかについて、自分たちなりの思いがある。(天沼氏)

購買データだったり、どのお客さまにどのお洋服が貸し出されたかのひもづけやレンタル履歴だったり、そういったデータを取得し、(それを活用するための)システム設計を進めてきた。(天沼氏)

天沼氏によると、データ活用の領域は大きく3つ。1つ目は「アクションに対する結果の分析」で「過去をひもとく」こと。販促キャンペーンの反響を確認するためのデータ分析などがこれにあたる。

2つ目は「積み重ねてきたデータから、未来のアクションを導き出す」という「未来を創る」こと。レンタル履歴や顧客の感想などを解析し、個人の趣味嗜好やトレンドの把握に利用する。スタイリストがスキルを共有する仕組みも用意し、スタイリング精度の向上に役立てている。

​  「airCloset Data Science Collection」より
「airCloset Data Science Collection」より(画像:サイトからキャプチャ)

3つ目が、データから学び、学んだことを経営に生かすAIの領域だ。データ解析や計算をAIで自動化し、サービスの個人化や業務の効率化を推進する。

データを経営に活かすことで生まれる「圧倒的な差」

たとえば、顧客から返却された洋服ごとに「次に貸し出される確率とタイミング」をAIで算出するシステムの場合。確率が高い洋服を、倉庫内の取り出しやすい場所に保管するなどの工夫をすることで、業務の効率化面で「圧倒的な差」が生まれているという。

セッションのモデレーターを務めた、国内外のファッションテック事情に詳しいpilot boatの納冨隼平氏は、「ファッション業界でここまでデータを大掛かりに使っている国内事例を知らない」とエアークローゼットを評価する。

合同会社pilot boat 代表社員CEO 納富 隼平氏
モデレーターを務めた合同会社pilot boat 代表社員CEO 納富 隼平氏は、大企業向けオープンイノベーションのコンサルや、スタートアップ関連のリサーチも手がける。得意分野はFashionTech・BeautyTech・FemTech

エアークローゼットのデータ活用に関する最大の特徴は、データ解析を外注せず、システム開発部門とは別に社長室にデータサイエンティストの専門チームを設けたことだろう。ITコンサルタント出身でデータ活用にも明るい天沼氏が、方向性の決定に自ら関与する。

スタイリングもだが、在庫管理・物流・事業の面で全般的にデータを活用することを(エアークローゼットの)コアなストレングス(強み)として持っていたい。アプリも含めシステムはすべて内製化し、データ収集からその活用まで一気通貫で一事業体としてやっていくことにこだわった。(天沼氏)

ファッションやアパレル業界に特化したデータサイエンス専門家はまだ少ないが、データ活用機会が広がれば人材も増えるとみる。

「airCloset Data Science Collection」より
「airCloset Data Science Collection」より(画像:サイトからキャプチャ)

コロナ禍で、データ使い手の視点がますます重要に

もう1つ、データ活用について天沼氏が重視するのが「仮説を立てること」だ。仮説に従い検証を進めることで、データ活用で何を実現したいのか、データに向き合う目的を常に意識することが重要と話す。

仮説がないと、データをみること自体が目的になってしまい、次のアクションが生まれなくなることが多い。さまざまなデータがあるが、目的に沿わないデータは使わない方がいい場合もある。(天沼氏)

仮説は当たらないことの方が多いが、肝心なのは仮説が外れた場合の影響範囲を把握しておくことという。

たとえばABテストであれば、どれくらいダメになる可能性があるのか、勘所を押さえておけば大幅に外すことはない。ABテストの影響範囲をちゃんと把握したうえであれば、いくらでもチャレンジすべきだと思う。(天沼氏)

予想と違う結果の場合、それを基に新たな仮説を立てる。この繰り返しで得られる顧客インサイトがAIモデルの精度改善に必要だと指摘する。

「エアークローゼット」の動向を注目する納冨氏が天沼氏に投げた質問

新型コロナウイルス感染症の大流行は、ファッション業界にも影響を与えた。既存のAIモデルでは、予測が難しい側面も多々あると打ち明ける。

コロナ禍で起きた消費行動の変化を踏まえ、次は多分こうなるという仮説を立ててデータを検証するという、意思のある仮説検証がますます重要になってくる。データの使い手としての視点が、今まで以上に大切になると感じている。(天沼氏)

社外とのデータ連携で、顧客本位のデータ活用が進化

これからは、顧客ごとのスタイリング精度を向上させるためのデータ活用に注力、収集したデータをファッション業界内外の他社とデータ連携などで協力していきたいと意気込む。

たとえば、実店舗を展開する企業と顧客データを共有すれば、店舗側は来店したエアークローゼット顧客に、レンタル履歴を基に興味・関心がありそうな洋服やその他商品を提案するといったことが可能になる。

洋服を試着した顧客の感想をブランドに提供し、デザイン改良に生かすという「データをモノづくりに活用する考え方」も、これからは増えると予想する。

天沼氏はセッションの最後に、「この大変な時期に学びを求めて、ウェビナーに参加してくれたことに感謝します。共に乗り越えていきましょう」とEC事業者にエールを送った

天沼氏は、「データ活用にとどまらず、(他社との)コラボレーションによって、1社でできること以上に顧客への提供価値を高められる場合はたくさんあると思う」と、顧客本位の協業に意欲を表明。

コロナ渦中で顧客の消費行動が日々変わる中、積極的な情報共有を行い、変化に前向きに対応する意識を持ち続けることが大事と述べた。

鶏内智子

モバイルAR広告費、2020年は14億ドル

4 years 11ヶ月 ago

アーティラリーインテリジェンスの予測によると、世界のモバイル向け拡張現実広告費は2020年に14億ドルを超え、2024年には80億ドルを超えるという。現在はスナップが先行しているがフェイスブックが追い抜く。

ARtillery Intelligence - AR Advertising Deep Dive, Part I
https://artillry.co/artillry-intelligence/ar-advertising-deep-dive-part-i-the-landscape/
iPhone 12 will supercharge mobile AR in 2021
https://www.emarketer.com/content/iphone-12-will-supercharge-mobile-ar-2021

noreply@blogger.com (Kenji)

ジャパネットたかたが小売電気事業「ジャパネットでんき」を展開する理由

4 years 11ヶ月 ago

ジャパネットたかたなどを傘下に抱えるジャパネットホールディングスのグループ会社で、新規サービス事業を担うジャパネットサービスイノベーションは、電気の小売販売を1月3日から始めた。

「ジャパネットでんき」は、ジャパネットサービスイノベーションが電力供給する、「ジャパネットたかた」の自社クレジットカード「ジャパネットカード」会員限定サービス。

サービス提供エリアは全国が対象。現在の電気代はそのままで電気使用量の多い月少ない月にかかわらず、利用料金の5%をジャパネットポイントで還元する。また、「ジャパネットでんき」への切り替えで3000ポイントを付与。貯まったポイントは1ポイント=1円として「ジャパネットたかた」で利用できる。

「ジャパネットでんき」は、ジャパネットサービスイノベーションが電力供給する、「ジャパネットたかた」の自社クレジットカード「ジャパネットカード」会員限定サービス
ジャパネットが展開する「ジャパネットカード」

電力小売り事業は2016年、全面自由化となった。ジャパネットホールディングスによると、そのメリットがあまり伝わっておらず、全国的に切り替えの申し込みが伸びていないという。

日頃よりジャパネットをご利用いただいているおさまに新電力に切り替えることのお得さを知っていただき、今後とも末永くご愛顧いただけるようなサービスをお届けしたいという思いから、この度小売電気事業への参入を決定いたしました。(ジャパネットホールディングス)

「ジャパネットカード」の会員数は2020年12月現在で約30万人。「ジャパネットでんき」は、「ジャパネットカード」を「ジャパネットたかた」で使う優良顧客との関係性強化、新規獲得といった狙いがある。

なお、電気の切り替えに関する工事や手続きなどは不要。電話またはジャパネットのショッピングサイトで申し込みできる。他社への契約切り替えの際も違約金はかからない。「ジャパネットでんき」の詳細は会員向け通販カタログやECサイト内で案内していく。

ジャパネットはセディナの協力の下、分割払いによる買い物を提供。「ジャパネットたかた」でお得に買い物できる自社クレジットカードの本格展開を始めたのは2019年。「ジャパネットカード」で支払うと、送料無料や「ジャパネットたかた」以外の店舗での買い物も対象に分割金利手数料をジャパネットたかたが負担するサービスを展開している。

石居 岳
石居 岳

ウエブル 増子愛 × HAPPY ANALYTICS 小川卓 対談 (2) 提案型ウェブアナリスト育成講座について

4 years 11ヶ月 ago

小川卓の対談企画、第5回のお相手は増子愛さんです。

HAPPY ANALYTICSの小川卓対談企画。第五回のお相手は、提案型ウェブアナリスト育成講座第3期卒業生で、(株)ウエブル 代表取締役 増子 愛氏。

全3回でお届けする対談の2回目は、提案型ウェブアナリスト育成講座を知ったきっかえや受講で得たことを伺いました。

(株)ウエブル 代表取締役 増子 愛(ますこ めぐみ)
富山県出身。大学で東京に行き、新卒で富山のHR系SaaSの会社にプログラマとして入社。SaaS開発、ECサイトの店長、フリーランスを経て2016年株式会社ウエブルを設立。2019年提案型ウェブアナリスト3期を修了し、分析を活かしたコンサルテーションの幅を広げて活躍中。

進行・編集は、HAPPY ANALYTICS広報 兼 エスファクトリーウェブディレクターの井水朋子がつとめます。

 

(2) 提案型ウェブアナリスト育成講座について

小川卓との出会い

増子フリーランスの頃、小川先生をschooでお見かけして、幸せそうに分析を語られる姿に、なんてすてきな!と思って。こっそり地元のセミナー主催の機構に、「小川先生をお呼びしてください」とオファーしました。

小川卓ありがとうございます。それで今回も富山にセミナーで呼んでいただけて。

井水朋子セミナー開催した場所と御社が同じビルなのはそういう理由なんですね。

増子小川先生が富山へ会場に居合わせた瞬間に、「あ、小川先生ですよね」って言って。

 

全員:笑

 

増子数年前ですよね。

 小川卓ちょうど会社をつくられた直後で。

 

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2017年富山のセミナー時の記念写真(増子さん提供)

 

増子お客さんに、サイト制作だけでなく分析や改善を「やりましょう!できますよ!」と言うには、まずは自分が実力をつけるのが先で、そこを何とかしたいなと思っていました。自分に力をつけて、お客様に「やりましょう」と言いたくて、先生のところの提案型ウェブアナリスト育成講座に飛び込んだ感じですね。

小川卓なるほど、ありがとうございます。

増子東京に行きたい、子育てで都落ちして東京に返り咲きたいという野望や、会社も軌道に乗って投資できるタイミングだったことも重なり、申し込ませてもらいました。

 

提案型講座で学んだ、KPIの決め方

 井水朋子提案型ウェブアナリスト育成講座で印象に残ったのは?

増子KPIの決め方は、もう衝撃で!!今のクライアントにも、「KPIを決めるということは意思決定ですよ、ここに今期のリソースを投資して改善するぞという意思決定なんですよ」という話をしています。

小川卓KPIは、単なる数字決めではないですよっていうわけです。その数字を上げるために、人モノ金技術を寄せていく、他を捨ててでもここをやりますかっていう覚悟だという話ですね。

増子ビジネスとして何を成し遂げていきたいのかということに関わってくるで、ここはクライアントとやり取りをしながら、なんか深いなと。その前提となる中期計画などがある会社であれば、そこを理解したうえで、売り上げにつなげていかないと。かつそれが実現可能で、測定可能で・・

小川卓SMARTの考え方ですね。Specific(具体的に)、Measurable(測定可能な)、Actionable(実行可能な)、Realistic(現実的な)、Time-bound(スケジュール決めが出来る)。KPIの決め方重要だよね。ここがブレちゃうと、どうしてもこちらから言っても動いてくれなかったりしちゃうからね。

井水朋子そのお話をお客さんにした時、受け取り方はどんな感じでした?

増子すごく納得していただいて、とても慎重にKPIは決められましたね。ただ、改善速度のはやいお客さんだったので、半年くらいKPI追求しましょうというのも、一、二カ月くらいでコロコロ変わっちゃいましたが(笑)

小川卓まあ、早いのはいいことだからね。

増子内製チームの方がどんどん変えていかれてましたので。

小川卓わかるわかる。

井水朋子高速でPDCAが回って、前倒しで仕事が終わっているということですもんね。

小川卓現場は改善ばかりだから大変そうですけどね。

増子今日さっきのセミナーで(編集注:小川は午前中に同会場で登壇していました)質問に来られていた古永さんがその方です。すごく熱心で努力家な店長さんです。

小川卓提案型ウェブアナリストの育成講座でサイト分析して、発表されていましたよね。e-花屋さんでしたっけ?

 

講座の分析モニターからご依頼をうけたクライアント

 

増子e-花屋さんは、講座でモニターになってくださり、改善提案のレポートを作ったのをご覧いただいて、「ああこれはいいね」と正式に半年のコンサル契約を頂いたんです。それまでは、ECサイト制作や内製化のサポートでお手伝いをしていたんですけど、内製スタッフさんが育たれて、徐々に運用へとなって、解析のコンサルをお願いしたいといっていただいて。

【e-花屋さん】

https://www.bokunomidori.jp/

井水朋子おぉ、すばらしいですね。

小川卓ありがたい!いい話でしょう?(笑)

 

全員:(笑)

 

増子講座の途中の頃から興味は示してくださっていて、講座のレポートや宿題を、ちょこちょこお見せしていたんですよ。講座で「そのユーザーの気持ちになって、再度使ってみてくださいね」という宿題が出て、それをレポートにして伝えたら喜んでくださって。それでさらに興味を持ってくださったというのがありましたね。

小川卓私としても、そういうお話があるとうれしいですね。講座で一生懸命作ったレポートも成果物だし、それをお客さんに見て活かしてもらうと。あの時、増子さんがいいの作ってくれたのもあるからだね。

増子いえいえ、そんな。

 

講座のセグメントノックには鍛えられました

 

井水朋子セグメントのノックですか!?

増子ノックってあれです(笑)

小川卓あれね(笑)3時間まるまる、Googleアナリティクスのセグメント講座。

増子あれは鍛えられましたね。あの後、クライアントさんから、「このセグメントを作るにはどうすればいいですか」という質問を浴びせられて、本当によかったです。本気で分析したい人、ページ単位や商品単位に絞り込んみたい人に答えることができました。

小川卓ちょうど今進んでいる提案型ウェブアナリスト育成講座でも、次回がこのセグメントです。3時間ずっと、宿題も出ますからね。(編集注:インタビュー実施は2020年11月中旬)

増子宿題は先生が採点してくれるのを、すごくドキドキしながら見て、同期の中で「私何点でした」と話してました。

小川卓なかなか満点取るの難しいですからね。

井水朋子フィードバックってどうでした?

増子先生のフィードバックがすごく丁寧なんです。抜けているところを補ってくださったり、これとこれはやっておきましょうねと必要なものを個別かつ具体的に書いてくれて。ここまでしっかりフィードバックくださるなんて!しかも早いんですよ。さらに、その時の質問も、丁寧に返してくださって。

小川卓こういう表現した方がいいんだよと、私が代わりに表やスライドを作ることもありますね。

増子なんか久しぶりにちゃんと誰かに、見てもらえる安心感を感じました。私としては、普段は社長ぶってしまうじゃないですか(笑)

 

全員:笑

 

小川卓増子さん、ちょっとね、えらい人だから(笑)

増子講座では多様なバックグラウンドを持っている方同士で支えあったり気づきあったりして、切磋琢磨しながらも、安心感をもって取り組めるというのがとてもよかったですね。

 

講座同期のレポート

 

井水朋子一緒に受けた同期の方で気になった方はいましたか?

増子レポートで伝説的なのは、伊野本さんの空の色ですね(笑)

小川卓そうそう!伊野本さんのレポートも面白かったんですが、時間によってトップページの写真を変えた方がいいっていう分析をしていましたね。

増子空の色によって離脱率が違うと。それを先生がおもしろいって思ってらっしゃって、反響になりました。

小川卓レポートの表現も独特で、例えば平日は訪問が多いけど、コンバージョンは週末が多いというのをタブローを使ってビジュアルで表していて、あれはとても伝わりやすいですね。自分にはちょっとできなくても、分析の視点や方法が参考になるなというのがこの講座ならではです。やっぱり、みんなで一緒にするからというのはありますね。

増子もう一人仲良くしていただいた高見さんは、デザイナーさんだけあって、レポートがすごい可愛いんですよ。

小川卓すごかったですね。高見さんのあのレポート。イラストレーターで作っているということで、見たことがないくらいきれいなグラフ・ビジュアルでしたね。

増子本当ですよね。

小川卓パワーポイントっぽさってあるじゃないですか。でもあれは明らかに違いましたね。こんな見出しを作れないぞと。真似はできなくても、受講者のみなさんにいろいろなバックグラウンドがあるからこそ、今まで見られなかったようなレポートに出逢えることがありますね。

 

最終回となる次回は、提案型ウェブアナリスト育成講座で得たというビジネスロードマップとコンセプトダイアグラムなどを増子さんの作成した資料を交えて紹介しています。

【2021年ECトレンド予測①】奥谷孝司さん、川添隆さん、藤原義昭さん、村山らむねさんが見るEC業界

4 years 11ヶ月 ago
EC業界の有識者14名が、2020年の振り返りとともに2021年のECトレンドを予測します(全3回)。1回目は、オイシックス・ラ・大地 奥谷孝司さん、ECエバンジェリスト 川添隆さん、コメ兵 藤原義昭さん、スタイルビズ 村山らむねさん

新年明けましておめでとうございます! 2021年もよろしくお願いいたします。2020年は世代を問わず、ECの利用が大幅に増えた1年になりました。EC業界にとっては追い風ともいえる状況です。これを一過性のトレンドにせず、消費者の”買い物”におけるスタンダードにするには2021年、各事業者はどんなことに目を向け、取り組んでいったらいいのか?

EC業界の有識者14人に、2020年の振り返りと合わせて2021年のECトレンドを予測してもらいました。全3回にわけて紹介します。(紹介は50音順)

オイシックス・ラ・大地 奥谷孝司さん

オイシックス・ラ・大地株式会社 執行役員COCO(Chief Omni-Channel Officer)、株式会社顧客時間 共同CEO 取締役 奥谷孝司さん
オイシックス・ラ・大地株式会社 執行役員COCO(Chief Omni-Channel Officer)、株式会社顧客時間 共同CEO 取締役 奥谷孝司さん

2020年の印象的なECトピックス

暮らしのデジタルシフト:コロナによって、デリバリービジネスが加速したり、高齢者のデジタルシフトが進んだこと。

2021年、EC業界に期待すること&トレンド予測

全ての企業、業界がチャネルのデジタルシフトを進める。お客さまのオンラインIDを持つことがオフライン企業にとっても当たり前になる。

2021年のEC業界の予想を漢字で表すなら?

業界は伸びるが、明暗が別れる。コロナは今年すぐに消えてなくならない。その前にいくつかの企業は消えてしまうでしょう。

ECエバンジェリスト 川添隆さん

川添隆さん 
ECエバンジェリスト/ビジョナリーホールディングス 執行役員 川添隆さん

2020年の印象的なECトピックス

オンライン接客(スタッフコーデ、チャット接客、ビデオ接客、ライブ配信など)が一般化したこと。

2021年、EC業界に期待すること&トレンド予測

「ECは買い物の楽しさを提供できるのか?」という、ECの弱いところに対するアプローチが増えてくるような気がしています。

2021年のEC業界の予想を漢字で表すなら?

コロナ禍をこえて、さらなるサービス設計や事業のスピードが求められると考えているから。

コメ兵 藤原義昭さん

藤原義昭さん 
コメ兵ホールディングス マーケティング統括部 執行役員 マーケティング統括本部長 藤原義昭さん

2020年の印象的なECトピックス

コロナによるリアル店舗の代替。

2021年、EC業界に期待すること&トレンド予測

急速なデジタル化がそのまま進むと良い。

2021年のEC業界の予想を漢字で表すなら?

現在の状況は当分続くでしょう。

スタイルビズ 村山らむねさん

村山らむねさん
お取り寄せコンシェルジェ・コラムニスト 村山らむねさん

2020年の印象的なECトピックス

生協の躍進。私もコロナで久々に生協に再加入した。便利すぎる。コープみらいの流通総額は4000億円前後、コープさっぽろは3000億円前後。静かな巨人となっている。私が加入したパルシステムのネットでのUIも非常に改善されており、質量ともに、大きな存在感となっている。

サステナブルな商品の開発、オンデマンド型のネットスーパーではなく、週一時間指定の宅配という、物流負担もミニマムな形態。既存のECが見習うべきところは多い。

2021年、EC業界に期待すること&トレンド予測

お客さまとの関係性の作り方の工夫が多数出てくると思う。ライブチャットやライブコマースなど、非接触型の今までにない濃い関係性構築のカタチがすでに出てきており、2021年には成果が出始めるだろう。H2H(ホームトゥホーム)も、メルカリだけでなく、食べチョクや、minneなどが1つの生活インフラになっていくだろう。また、地域発のECにも期待している。

2021年のEC業界の予想を漢字で表すなら?

残念ながら安さがますます求められるのは避けられず、それとともに、商品・従業員・宅配業者、さまざまなステークホルダーの安心・安全も求められ、不安をどう社会全体から駆逐するかを考えていく年になると思う。

◇◇◇

2021年を予想する一文字は書道家の沖 亜希子(雅号:沖才竹)氏が揮毫(きごう)しました。

公文 紫都
公文 紫都

EC市場は2026年度に29.4兆円、オムニチャネルコマースは80.9兆円市場へ【NRI予測】

4 years 11ヶ月 ago

野村総合研究所(NRI)が発表したICT(情報通信技術)やメディアに関する市場調査レポート「ITナビゲーター2021年版」によると、「BtoC EC(消費者向けEC)」の2026年度の市場規模は29兆4000億円、オムニチャネルコマース市場は80兆9000億円市場に拡大すると予測した。

2019年度と比較すると、BtoC-EC市場は約1.5倍、オムニチャネルコマース市場は1.47倍の規模。

野村総合研究所(NRI)が発表したICT(情報通信技術)やメディアに関する市場調査レポート「ITナビゲーター2021年版」  BtoC EC(消費者向けEC)  オムニチャネルコマース市場
BtoC-EC市場とオムニチャネルコマース市場の推移(画像は「ITナビゲーター2021年版」からキャプチャ)

新型コロナウイルス感染症拡大に見舞われた2020年度のBtoC-EC市場は2019年度比2.6%増の20兆円と予測する。

2020年度は消費支出自体の縮小(特にサービス)とオンラインシフトの拡大が同時に進んでいるため、2019年度と比較すると微増にとどまる。

オンラインシフトが進んだのは物販系がメイン。物販系は店舗休業などを受けオンラインシフトが進んだ。一方、旅行、航空券、リアルイベントのチケットなどサービス系が外出自粛、渡航制限などで大幅に需要が縮小した。

野村総合研究所(NRI)が発表したICT(情報通信技術)やメディアに関する市場調査レポート「ITナビゲーター2021年版」 EC市場における拡大・縮小したカテゴリ BtoC EC(消費者向けEC)  オムニチャネルコマース市場
EC市場における拡大・縮小したカテゴリ(画像は「ITナビゲーター2021年版」からキャプチャ)

「B2C EC」の定義

「B2C EC」は、インターネット経由で一般消費者向けの商品やサービスを販売する市場が対象。携帯電話端末やスマートフォンなど、携帯電話回線を介したインターネット経由の販売金額も含む。ホテル予約など、店頭で決済を行う場合でもオンラインで予約したものも含む。車や不動産など申し込みなどはネット経由だが、最終意思決定や契約がネットで完結しない取引のほか、ネット経由で購入するデジタルコンテンツ(音楽、映像、eラーニングなど)市場は含まない。

「オムニチャネル・コマース」の定義

最終的な購買経路がインターネット経由かリアル店舗かを問わず、一般消費者向けの商品やサービスを、インターネット上の情報を見たうえで購入、利用する市場が対象。「オムニチャネル・コマース」の市場規模には「B2C EC」の市場も含まれる。

瀧川 正実
瀧川 正実

2020年のEC業界振り返り & 2021年に起こりそうなことまとめ【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

4 years 11ヶ月 ago
ネットショップ担当者が読んでおくべき2020年のニュース
ネッ担まとめ

2020年はなんといっても東京オリンピック!……だったはずですが、新型コロナウィルスの影響で予想とまったく違った1年になりました。コロナによって生じた変化とその対応、さらにそれ以前の流れが組み合わさって複雑な動きになった2020年。1月から順番に振り返ってみましょう。

ところで去年の予想はどうだったのか?

2019年のEC業界振り返り & 2020年に起こりそうなことまとめ【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/7127

まずは上記の記事の最後にある私のコメントから

2020年の大きな流れは東京オリンピック、嵐の引退、景気悪化への懸念……といったところ。特にオリンピック関連で海の日、山の日、スポーツの日(体育の日)の祝日が移動することは押さえておきたいです。需要が発生しますからね。

ECに関してはPayPayを中心としたソフトバンク勢の拡大、送料無料ラインの統一など全体で押し上げる楽天、なんでもありのAmazonの動きがメインになりますよね。それに対するというか規制する側の公取委などの対応もどんどん出てくるでしょう。一方、ブランド力のあるショップによる自社EC強化&脱モールは2020年も加速しそうです。

振り返ってみると当然ですが完全に外れております。オリンピックは今年も開催できるのがわかりませんし、景気も悪化どころではなかったですよね。ECに関しては急増してしまったので、ずっとECをやってきたところはどこも大変だったはずです。ここまで大きく変わった年も珍しいと言うしかありません。

【1月】Amazon離れとD2C流行の兆し

2020年、EC業界の展望と「中小事業者は何を考えるべきか」前編 | ECコンサル坂本のブログ「ECバカ一代」
https://www.commerce-design.net/blog/archives/3790

2020年、EC業界の展望と「中小事業者は何を考えるべきか」後編 | ECコンサル坂本のブログ「ECバカ一代」
https://www.commerce-design.net/blog/archives/3798

アマゾンには何でもありますが「一定のフィルタに合致する商品だけが並んでいる」というお店は、ノイズがなくて、快適な買い物体験ができます。今や、「なんでもある」よりも「フィルタが掛かっている」ほうが魅力なんだなあ。
(中略)
D2CはECが進化したような業態で、そのままは真似られないです。ただ、D2Cそのものをやらないまでも、「非アマゾン・独立系・後発参入でもガンガン売れている」という事実と、その手法を部分的に学ぶのは意義があるかなと思います。「北欧暮らし」も「よなよなエール」もD2Cではないですし、あまりD2Cの定義にはこだわらずに、学べるところを学ぶといいかなと。
https://www.commerce-design.net/blog/archives/3798

紹介した記事は2019年までの流れから考察されて書かれているのですが、この流れがコロナで急速に加速しました。外出できなくなって、ECで何でも買えるのが当たり前になると、ちょっと変わったものが欲しくなる。その裏側にはストーリーがあって何かしらのフィルタがあった方が良い……という流れ。コロナの影響で180度変わってしまったものもあれば、こうして加速したものもありました。流れを読んでいればどこかで良い流れに乗っかれます。

決済関連のトラブルやGoogleのEC強化もこのあたりから話題になっていました。

1月の主なニュース

【2月】三木谷社長がAmazonへの対抗心をあらわに

楽天・三木谷社長が語った「送料無料ラインの全店舗統一」実施への決意&2019年の総括と今後の取り組み | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/7235

Amazonのようなプレーヤーが台頭してきて、集合体の楽天はどう対抗するか? 最終的にモノが安く便利に届くプラットフォームとして突き詰めていかなければ、我々はそうしたプレーヤーに対抗できないステージにきている。

この時期といえば楽天の新春カンファレンス。この時点ではAmazonへの対抗心をむき出しにしたコメントが多かった三木谷社長。コロナの影響でここまで状況が変わるとは誰も想像できませんでした。3980円での送料無料についてはしばらく話題になっていましたが、今では当たり前になってきましたね。

Shopifyが注目され始め、SNSのEC化が進み、なんとかPayが集約されてきたのもこの時期です。

2月の主なニュース

【3月】マスク転売など新型コロナの影響が出始める

マスクだけじゃない……新型コロナ ネットで5倍、10倍売れている「意外なもの」たち | 文春オンライン
https://bunshun.jp/articles/-/36618

備蓄食の買いだめで缶詰が好調に売れていて、抗菌タイプの台所用のスポンジなども人気ですね。トイレットペーパー不足の影響なのかポケットティッシュの売れ行きも好調です。ただ、どれも実店舗でも売れているような商品ばかりで、ネット通販だから売れているという特別な商品は見当たりませんでした

3月からコロナの影響がじわじわ出てきました。マスクの買い占めが起こり、今まででは想像ができなかったものが売れて、その流れに乗ったところは大忙しだったようです。その一方でやはり転売も出てきたのが3月でした。

Yahoo!の配送強化、メルカリの戦略発表もありました。

3月の主なニュース

【4月】非常事態宣言発令。ECにも急激な変化が

4月は非常事態宣言が出て、さまざまな動きが同時にありました。分野別にそれぞれでピックアップします。

支援

不正受給などの問題はありましたが、国の動きは速かったと思います。アベノマスクなど、よくわからないものもありましたが……。

応援

応援消費は4月に限らずに今でもその流れが続いていて、同じものを買うのなら知っている人、知っている人が困っていればそこで買うという流れが強まっている感じですね。海外では地元消費の意識も高まっています。

変化

非接触・非対面も一気に進みました。置き配が当たり前になって受け取りもサインや印鑑なしで済むことが多くなりましたね。

いろんな業界で遠隔・非接触が進み、巣ごもりによって生まれた需要を取り込んでいこうという動きが始まったのもこの時期。

コロナ後

コロナ後の世界はどうなる? という記事も多く見られました。いったん落ち着いたように見えて、第3波が来たのでこれらの記事はもう一度読んでおいても良いでしょう。

4月のその他のニュース

【5月】EC関連サービス利用者が急増。SNSショッピングが強化され始める

ついにFacebookがコマース全力、「インスタショップ」は夏公開予定 | BRIDGE
https://thebridge.jp/2020/05/introducing-facebook-shops-helping-small-businesses-sell-online-pickupnews

今回FBが発表した「Facebook Shops」は数多くのローカル事業者がECに積極進出する機会となりそうです。また、今までFBプラットフォームにおける決済と言えば、上述したマーケットプレイスや、メッセンジャーの送金機能くらいの利用でしたが、ECが乗ったことでトランザクションが激増する未来が見えてきました。

これはつまり、FBが今まで以上にペイメント事業へ本腰を入れてきた証拠でもあります。同社は昨年11月に決済サービス「Facebook Pay」をリリースしており、FB自体のSuperApp化のステップにおいてペイメントが重要なポイントを担っているのは言うまでもありません。

「Facebook Shops」リリース直後は話題になったものの広がっている気がしませんが、これからECや決済に本腰を入れてきそうです。こうなってこれば既存のEC事業者や決済事業者は黙っていませんので、合従連衡が進んでサービスの統廃合が進む流れになります。2021年はこのあたりの動きにも注目です。

新型コロナで売れたジャンルもわかってきて、BASEやカラーミーなどのカートASP利用者が急増したことがわかってきたのも5月です。

5月の主なニュース

【6月】リアルイベントのネット化が進む

【「益子Web陶器市」成功の立役者に聞く】準備期間3週間で想定の4倍の売上獲得 | 日本ネット経済新聞
https://netkeizai.com/articles/detail/1032

想定の4倍以上の売り上げ、アクセス数などの反響がありました。当初は陶器をウェブで売るのは難しいという見解もあり、お客さまがサイトに来ていただけても、そこまで売れないのではないかと懸念していました。しかし、ふたを開けるとお客さまは来ていただけるし、ちゃんと購入もしていただけました。

期間中の売り上げは4700万円以上となり、アクセス数は55万件、注文件数は6000件弱となりました。初日に2000件以上の注文が入りましたので、思っていた以上にアクセスや注文が集中しました。

益子陶器市では、今までリアルで販売されていたものをネットで売る不安はあったものの、買う側が待ちかねていたということもあって爆発的に売れました。「あ、ネットでも売れるんだ」と思った人たちもこの時期には多かったのではないのでしょうか。大量の注文がさばけるShopifyのすごさも実感。

益子陶器市の売れ行きを裏付けるようなデータもたくさん出てきて、コロナ後のユーザーの動きもはっきりとわかってきました。今では当たり前となったオリジナルマスクもこの頃から出始めました。

6月の主なニュース

【7月】EC利用者の急増に伴い不正注文などが相次ぐ

「置き配」で増える「オートロック無断突破」 アマゾン配達員が明かす現場の事情 | J-CAST ニュース
https://www.j-cast.com/2020/07/18390296.html

WEB特集 追跡!ネット通販の闇 | 新型コロナウイルス | NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200714/k10012515291000.html

コロナ禍でEC不正注文が増加。被害割合TOP3は「健康食品」「ホビー」「アパレル」 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/7779

「新型コロナウイルスにかかるかもしれないという不安な状況に便乗するような悪質な業者も見られます。そうした業者に対しては、詳細な情報を集め、注意喚起をしていきたいと考えています」(国民生活センター相談第2課)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200714/k10012515291000.html

7月は通販でのトラブルニュースが多くなりました。人が集まると悪い人たちも集まってしまうのですが、こんな時期に……と思いますよね。ユーザーのリテラシーも上がってきてはいるものの、店舗側で信頼性を上げる努力は続けていかないといけないですよね。

毎年恒例の電子商取引に関する市場調査の結果が公表され、コロナ禍を乗り切る事例も出てきた7月でした。

7月の主なニュース

電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました | METI/経済産業省
https://www.meti.go.jp/press/2020/07/20200722003/20200722003.html

コロナ禍でEC売上増! アダストリアのアパレルオンライン接客事例とは | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/7833

コロナ直撃のベンチャー経営者は、緊急事態に何を考え、そして実行したのか。 | 山野 智久 @アソビュー | note
https://note.com/tomohisa0509/n/n9b7a4c508605

2ヶ月で新規10万ショップの利用増加。「BASE」のショップ開設数が7月に110万ショップを突破 | BASE株式会社
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000019.000030814.htm

新型コロナ対策で安易に「ネット通販」に手を出すと失敗する4つの理由 | マネー現代
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/73808

【8月】コミュニケーション手段が変化しメールが見直される

最も読まれるメディアはEメールで77%、2位はLINEで46%、3位はTwitterで23% | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/7877

メルマガ送信率149%増加/営業メールへの返信率は24%低下[HubSpotグローバル調査] | SalesZine
https://saleszine.jp/news/detail/1731

【新型コロナの影響で変わる消費者の問い合わせ動向調査】消費者の4割がコロナ禍で問い合わせ増加、手段にも変化あり。Web・LINEのチャット、ZoomやLINE通話など手段の多様化が進む | モビルス株式会社
https://mobilus.co.jp/press-release/23322

本調査の結果、コロナ禍で4割が「企業や店舗・自治体などへの問い合わせが増加した」と回答し、同様に4割が「問い合わせ手段に変化があった」ことが分かりました。「外出自粛で店舗に直接確認できない」「新型コロナウイルスに関する相談事項が増えた」「新しく使い始めたサービス・機器が増えた」など、コロナの影響で外出自粛となり行動変容が起きたことや、コロナ関連の問い合わせが主な増加要因となっています。また、テレワークが浸透したこともあり、新たに使い始めたサービスや機器の増加に伴う問い合わせも増えていることが分かりました。問い合わせ手段上位は、「電話」「メール」「チャット(Web、LINE)」「問い合わせフォーム」「Zoomなどビデオ電話」と、手段の多様化が進んでいます。
https://mobilus.co.jp/press-release/23322

急速なオンライン化で問い合わせもオンライン化し、メールが連絡手段として見直されてきたことがわかったのが8月です。問い合わせが増えた企業・自治体・ショップも多いと思いますので、対応に追われながらFAQを整備された方も多かったのでは? 今後もネットだけで完結したいユーザーが増えていきますので、FAQの充実やチャットなどで対応していきましょう。

遠隔接客も登場して全体的にEC業界が伸びたというデータも発表され、ヤマトの受け取りパートナー募集の記事もありました。

8月の主なニュース

【9月】コロナの裏でEC業界のゲームチェンジが起こる

コロナの裏で起きている「EC業界のゲームチェンジ」ドミノ現象を説明します | ECコンサル坂本のブログ「ECバカ一代」
https://www.commerce-design.net/blog/archives/4412

「この範囲の中で、きっちり選んで買いたい」というシチュエーションにおいては、Amazonの品揃えの多さは逆効果で、「品揃えが絞り込まれて、かつ接客が掘り下げられている」専門型のECサイトの方が探しやすい。たぶん接客や付帯サービスも良いはず。
(中略)
前述の現象で一般消費者がECを使う頻度が増え、使い慣れることで、専門型ECサイトまで「足を伸ばす」お客さんが増える。きっちり接客してれば、前以上に「専門特化したお店はいいねー」と感じてもらえる機会が増えてくるんじゃないかなー。

急速に消費者のリテラシーが上がった結果、Amazon慣れというかモール慣れしたユーザーが増えてきて、独自ショップで買い物をする傾向が強くなってきたということですね。以前からこの傾向はあって、それが加速したということですので、緊急事態宣言後の現象だと勘違いしないように。

緊急事態宣言後の動きが明らかになってきて、非対面配送が増え、実店舗の販売員がECに取り組み始めたのも9月でした。

9月の主なニュース

【10月】GoogleがEC強化に動く

【速報】Google ショッピング タブの無料リスティングがローンチ | Feedmatic Blog
https://blog.feedmatic.net/free-product-listings-on-google/

今回リリースされたものは、Google 検索結果のショッピング タブにオンラインショップの商品を無料で掲載できるというものですが、今後は「Googleに掲載(Surfaces across Google)」を通じて、様々な掲載面への商品掲載が進んでいくものかと思われます。

ショッピングタブに出てくる無料リスティングは10月にリリースされました。コロナの影響で売上が落ち、AmazonやSNSから商品が売れるとなればGoogleも黙っていませんよね。2021年もGoogleはECに力を入れてくるはずなので、利用できるものはどんどん利用していきましょう。

レジも非接触になってきて2021年の展望記事も出てきた10月でした。高齢者のネット通販が増えたのもコロナの影響。

10月の主なニュース

【11月】D2C、CtoC、SNSショッピングが加速

「結局のところD2Cってなんなの?」という人のために、できるだけ簡単に説明します。【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/8227

コロナ禍において、「オンラインへ偏重」「消費の再定義(情緒的な面含め)」が起こっている生活者・消費者に対し、リテール企業がオンライン〜オフラインを融合することで「どのような価値を伝えられるか」「どのような気の利いたコミュニケーションが取れるか」「どのような提供価値・真価を発揮できるか」「どのような継続的な関係を構築できるか」
https://agenda-note.com/retail/detail/id=3213

社会が成熟していくごとに、人はどこでモノを選ぶか基準が変わっていくなという思いがあります。以前は商品を選ぶ決め手は「機能面」だったけれど、次第に情緒的な部分が重視されるようになり、最近は運営者の「動機」も見られるようになってきた。
https://netshop.impress.co.jp/node/8128

でも動機は下手すると「無いもの」と同義になるくらいフワッとしたものなので、正しく伝えるのは難しい。じゃあ、どうやってその「動機」という価値を伝えるかと考えたときに、「D(Direct)」にせざるを得ない、となってきているのではないでしょうか。
https://netshop.impress.co.jp/node/8128

ちょっと引用が長いですが2021年のECでは重要な考え方です。9月に紹介した記事にあるように「消費の再定義」が起こっていて、それに対応しようとするとD2Cにならざるを得ないという考え方。このあたりは応援消費や環境意識なども関わってきますので、D2Cという言葉だけを追いかけないようにしたいですね。

これ以外にはCtoCで新たなサービスが出てきてECリテラシーの向上を感じました。SNSでのECが加速してきたのも11月でした。

11月の主なニュース

【12月】きっかけはSNS、買うのはモール。Yahoo!の楽天化も進む

コロナ禍での総合ECサイトに関する調査 | MMD研究所
https://mmdlabo.jp/investigation/detail_1907.html

直近1年で使ったECモールは「楽天市場」が73.7%、「Amazon」は72.3%、「Yahoo!ショッピング」は46.4% | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/8247

全国の15〜69歳男女10,000人を対象に、総合ECサイトの利用経験を聞いたところ(複数回答可)、90.1%が総合ECサイトを利用したことがあると回答した。利用経験のある総合ECサイトは「Amazon」が69.7%で最も多く、次いで「楽天市場」が68.7%、「Yahoo!ショッピング」が46.9%となった。

次に、総合ECサイトを利用したことがある全国の15〜69歳男女9,010人を対象に、メイン利用の総合ECサイトを聞いたところ、「楽天市場」が41.4%で最も多く、次いで「Amazon」が38.1%、「Yahoo!ショッピング」が13.0%となった。
https://mmdlabo.jp/investigation/detail_1907.html

D2Cが話題になっていても依然としてモールが強いというデータが出ています。モールで買う理由は豊富な品ぞろえとポイントがたまるの2点。ただし、買うきっかけは検索以外にInstagramやYouTubeで見たという理由が増えていることに注目です。前述のとおりSNSのEC化もお忘れなく。

ユーザーのネット利用も賢くなったというか進化して、メルカリとPayPayフリマが争っているかと思いきや、Yahoo!全体で大きな動きになっていた12月でした。

12月の主なニュース

2021年の予測、展望記事

[2020年の小売業界振り返りと2021年に予測されるECトレンド7選 | S-cubism inc.
https://s-cubism.jp/dx_omo_trend/4791

2021年ヒット予測ランキング 1位は「無人駅×グランピング」 | 日経クロストレンド
https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00380/00001/

コロナで変わる2021年の旅行、 予想される9つのトレンドとは? | サライ
https://serai.jp/tour/1009760

2021年のEC業界を大予測! 「モバイル」「遠隔」「非接触」「サステナブル」「SNS」「D2C」がキーワード(のはず)【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/8279

2012年はやはり「モバイル(5G)」「遠隔」「非接触」「サスティナブル」「SNS」「D2C」がキーワードになってきそうです。ECに限って言えば「サスティナブル」「SNS」「D2C」が重要になってきますので、自社の考え方を明確にして発信していきましょう。当たり前にやっていることでも世の中の人に認知してもらうことは大切です。

計算できないのはコロナと東京オリンピック。コロナが終息する/しない、オリンピックが開催される/されない、の両方のケースを想定して準備しておく必要があります。

今週の名言

消費者が発する言葉の裏にある、言語化できない、本当の欲求、本能がどのように働きかけて消費者にその選択をさせているのか、その構造を理解しなければ、彼らの言葉尻をとらえることしかできません。マーケターには「消費者の言葉を理解するための文脈」を身につけるための努力が必要なのです。

刀・森岡毅氏が語る、どんな戦略でも使える“武器”とは | Agenda note
https://agenda-note.com/conference/detail/id=3473

記事を読んだだけでは本当の理解はできません。読んだこと、知ったことを自分で経験し、言語化することでやっと理解ができます。

森野 誠之
森野 誠之

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