
消費者庁がアフィリエイト広告の規制強化に向けて動き出している。
「景表法の適用等に関する考え方」「不当表示の未然防止等のための取り組み」などを議論する「アフィリエイト広告等に関する検討会」を6月10日にスタート。また、ASP(アフィリエイトサービスプロバイダー)に対するアンケート調査、関係者へのヒヤリングなどを含めたアフィリエイト広告に関する実態調査も行っている。
実態調査は、アフィリエイト広告の表示適正化に向け、ビジネスモデルの把握、消費者に向けての注意喚起、景品表示法や特定商取引法の解釈上の整理などの参考にするという。
2021年夏までに実態調査の調査結果を公表。消費者庁はその結果や検討会での議論などを踏まえて、2021年内に「景表法の適用等に関する考え方」「不当表示の未然防止等のための取り組み」について一定の結論を出すとしている。
(アフィリエイト広告について)広告の対象である商品などの販売者本人ではなく、アフィリエイターが広告を作成・掲載していることから、販売者による広告内容の審査が行き届かない可能性、また、商品の購入などがあった場合にのみ報酬が発生するという仕組みであることから、アフィリエイターが報酬目当てに虚偽・誇大な広告を作成するインセンティブが働きやすい可能性がある。
消費者庁の伊藤明子長官は3月の記者会見で、アフィリエイト広告についてこう言及。消費者に誤認を与えるような広告表示を抑止する観点から、「消費者庁としても関心を持っている」とコメントした。
景品表示法の規制対象は商品の供給者で、アフィリエイターは規制対象外となっている。景品表示法の規制対象を踏まえ、「(アフィリエイト広告は)表示について責任を持たれる方の責任においてやっていただくということがまず第一。個々にそういう記事を書いた人そのものについて何かをどうするとか、そういうことを今の段階で考えているわけではい」としている。
アフィリエイト広告に関して消費者庁は3月、消費者安全法に基づき消費者へ「虚偽・誇大なアフィリエイト広告に関する注意喚起」を実施。アフィリエイト広告について消費者が注意すべき点をまとめた資料も公表している。

また、育毛剤などのT.Sコーポレーションが販売する育毛剤「BUBUKA ZERO」、同商品を含むセット商品の販売について、アフィリエイト広告を通じて「悩んでいたのがウソのように、たった2か月で髪がフサフサ になった」などの宣伝は合理的な根拠がなく景品表示法違反(優良誤認)にあたるとして、措置命令を行っている。
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オリジナル記事:消費者庁がアフィリエイト広告の規制強化へ、「景表法の適用」など一定の結論を年内に公表
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「雇用調整助成金」の特例措置を7月まで延長、厚生労働省が方針を発表

「置き配」の個人情報漏えいリスク低減を目的にヤマト運輸が「EAZY」に二次元コード伝票、EC事業者ではZOZOが導入

「Pinterest」がテレビCM、日本初のブランド広告キャンペーンに女優の中条あやみさんを起用
【スターバックスのDX事例】混んでいても問題なし、美味しいコーヒーをいつでも飲めるテイクアウトが作り出した「自由」

ニトリがVR活用のバーチャルショールームで実店舗のような買い物体験を実現

2021年、EC売上TOP200サイトの表示スピード状況とGoogleのUX重要指標「Core Web Vitals(コアウェブバイタル)」対策

EC利用時の重視点は「価格」「送料」「品ぞろえ」が6割。店舗ではなく通販利用の理由は「価格が安い」がトップ

不動産事業から化粧品事業へ。チャレンジを続けるクレソワン化粧品

青山商事がデジタル化を加速。「デジタル・ラボ」を全国100店導入でOMO型店舗を拡大する中期経営計画

「磯丸水産」がECビジネスに参入、コロナ禍の巣ごもり消費を「自宅居酒屋」で開拓
※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。
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オリジナル記事:雇用調整助成金の特例措置、7月まで延長/置き配の個人情報漏えいリスクを伝票で低減【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング
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NTT コミュニケーションズ(NTT Com)と三井不動産は6月3日、デジタル空間上に構築した公園や商業エリアとバーチャル店舗を活用した新たな顧客体験創出の共同実験を始めた。
愛知・名古屋市の久屋大通公園(Hisaya-odori Park)の北エリア・テレビ塔エリア(全長約900m、敷地面積は約5万4500平方メートル)をデジタル上に構築(名称は「Hisaya Digital Park」)。

バーチャル店舗の運営を通じて、リアルとバーチャルの垣根を越えて位置情報データや来店データなどを統合的に分析、「周辺エリアの回遊性の向上」「新たな顧客体験の創造」をめざす。
全長約900メートルの「Hisaya-odori Park」を、CG(コンピュータグラフィックス)のVR(仮想現実)によりバーチャル空間に再現。バーチャル店舗は、実在する8店舗を高精度カメラで360度パノラマ撮影した映像でリアルに再現する。バーチャル空間上では店舗のサービス情報や動画コンテンツも視聴できる。
実店舗とバーチャル店舗上の来店情報などを統合、ユーザーのライフスタイルを可視化することで、実店舗・バーチャル店舗間の相互送客によるユーザー接点の拡大をめざす。来園者層の違いや行動パターンを分析し、ユーザーへの細やかなサービスの提供をめざすほか、出店者の顧客接点の強化への有効性を検証する。

たとえば、「Hisaya-odori Park」に設置されたデジタルサイネージ風の掲示物をクリックすると、名古屋名物みそかつ専門店を運営する矢場とんのWebサイトに移動。そこから店舗の情報やECサイトにアクセスすることもできる。

実証実験の期間は2021年6月3日~12月31日の予定。実験結果を生かし、NTT Comと三井不動産は、多くのユーザーが自らの嗜好に合った店舗で飲食・ショッピングなどを安心安全に楽しめる、にぎわいと魅力にあふれた空間形成をめざす。
今後、バーチャル空間を活用したイベントなども検討。リアルイベントとの連携と併せて、将来的に公園周辺や栄エリアのにぎわいの波及もめざしていく。対象店舗や公園近隣施設への拡大も予定する。実験以外のエリアでもバーチャル公園やバーチャル店舗を構築し、リアルとバーチャルの融合による新しい顧客体験や価値の創出向上を検討する。
今回、NTT Comと三井不動産は、公園や店舗というリアルの場とデジタル空間を活用し「新たな顧客体験の創造」をめざすとともに、DXによるユーザーとの接点を強化する「Smart Customer Experience」の観点で共同実験を行うことにした。
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オリジナル記事:デジタル空間上の公園&店舗をバーチャル空間に構築、「新たな顧客体験の創造」をめざすNTT Comと三井不動産の取り組み
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楽天は、コロナ禍で「ものが売れない・出荷できない・ユーザーがこない」などの経済的影響を受ける地域の生産者や事業者の支援策として、特集ページ「日本応援特集」を6月1日に公開した。
特集ページでは「楽天市場」で日本全国の特産品を紹介する「まち楽」参加自治体の参加や、「楽天ふるさと納税」における支援企画、街での楽天カード利用でお得になるキャンペーンなど、買い物や寄付を通じて全国の生産者や事業者を応援できる楽天グループのさまざまな企画を紹介している。
特集ページの主な内容次の通り。


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オリジナル記事:楽天、コロナ禍の生産者・事業者を支援する「日本応援特集」ページを公開
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新型コロナウイルス感染症の影響で勤務先から休業させられたものの、勤め先から休業手当を受け取れないといった労働者が直接、生活資金を申請できるようにする労働者向けの給付制度「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」(休業支援金)に関して厚生労働省は、申請対象期間を7月末まで延長すると発表した。
これまでの申請対象期間は6月末だった。

「休業支援金」は、企業の選択によって雇用調整助成金を活用しない勤務先から休業手当を受け取れないといった労働者が直接現金を申請できる制度。中小企業・大企業の被保険者(労働者)に対し休業前賃金の80%を、国が休業実績に応じて支給している。
大企業については、シフト労働者など(労働契約上、労働日が明確ではない労働者)が対象。中小企業での日々雇用やシフト制で、実態として更新が常態化しているケースにおいて、事業主が休業させたことについて労使の認識が一致した上で支給要件確認書を作成すれば支給対象としている。
原則的な措置の助成額上限は9900円。緊急事態宣言、感染が拡大している地域(まん延防止等重点措置対象地域の知事による基本的対処方針に沿った要請)について、都道府県知事による要請を受けて時短協力などに応じた企業による休業で、事業主に休業させられる労働者が休業手当を受け取れないときは、助成額の上限額は1万1000円。
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オリジナル記事:休業者が生活資金を直接申請できる「休業支援金」の申請対象期間を7月末まで延長
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GMOペパボが運営するネットショップ作成サービス「カラーミーショップ」は、全国商工会連合会(全国連)と連携し、2021年6月1日から企業のEC化を支援する取り組みをスタートした。支援の対象は、全国の商工会に所属する中小企業や小規模事業者が対象。
全国商工会連合会が実施する「令和3年度 地域力活用新事業創出支援事業」にカラーミーショップが協力。ECを活用した販路拡大支援セミナー、ネットショップ構築ワークショップ、個別相談会などに「カラーミーショップ」が講師として参加する。
実施期間は2021年6月1日~2022年2月8日で、支援対象は各都道府県の商工会連合会や商工会職員、商工会に所属する中小企業や小規模事業者。

GMOペパボと全国連は2019年5月に、全国の商工会に所属する中小企業・小規模事業者のインターネットを活用した経営効率化や販売促進を目的に包括連携協定を結んでいる。
全国の商工会会員事業者向けにホームページ作成サービス「グーペ byGMOペパボ」の特別プランの提供や、セミナー・ワークショップを通じたホームページ作成や運営支援を行っている。
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オリジナル記事:GMOペパボと全国商工会連合が連携し、中小企業・小規模事業者のEC化を支援
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「磯丸水産」「鳥良」などを展開するSFPホールディングスは5月、公式ECサイト「磯丸水産 お届けグルメショップ」をオープンした。
主力の磯丸事業「磯丸水産」を冠した公式ECサイトでは、「磯丸水産」で一番人気の「蟹味噌甲羅焼」「蟹味噌焼おにぎり」などを展開。姉妹ブランド「おもてなしとりよし」の水炊き、「いち五郎」の餃子、「玉丁本店」の味噌煮込みうどん、「四代目隆盛」のもつ鍋なども販売する。

長期化するコロナ禍で飲食産業は大きなダメージを受けている。「磯丸水産」の人気商品などをネットで販売し、巣ごもり消費における「自宅居酒屋」ニーズを開拓していく。
SFPホールディングスの2021年2月期連結決算は売上高が前期比56.7%減の174億2800万円で、当期純損失は56億5000万円。本業となる居酒屋展開の磯丸事業部門では、「磯丸水産」を17店舗退店、2月末の店舗数は直営106店舗、フランチャイズは13店舗となった。磯丸事業部門の売上高は同55.3%減の103億2600万円。

外食業界は緊急事態宣言の発出などで業界全体の業績が悪化。居酒屋業態は、自治体からの営業時間短縮要請、外出自粛や集団での会食に対する警戒感の高まりなどの影響で大きな打撃を受けている。
SFPホールディングスは、一部店舗で家主に家賃を減免してもらったほか、雇用調整助成金などの活用で損失の最小化を図ってきた。また、メニューの見直しによるロスの削減、テイクアウトの拡充やデリバリーも開始している。
丼物を中心としたテイクアウトメニューに加え、浜焼き・オードブル・弁当などを大幅に拡充。2020年7月にはデリバリー専業店もスタートし、「うなぎの岡島」「からあげ専門店 巨匠の食卓」といったブランドでもデリバリー展開を始めている。

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オリジナル記事:「磯丸水産」がECビジネスに参入、コロナ禍の巣ごもり消費を「自宅居酒屋」で開拓
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こんにちは。ハピアナ広報担当の井水朋子です。
先月、小川が執筆した記事や、小川が登場した記事をまとめて紹介いたします。
(※公開順) それではお楽しみください!
検索エンジンからの流入を増やしたい方必見!サーチコンソールのデータをどのように生かすかがわかりやすく書かれています。
5月上旬に公開した、CRMの解説全6回。超ボリューミーな内容ですが、CRM初心者が理解できるように書かれています。
第1回 ユーザーの行動と態度変容を描こう~
第2回 計測するためのデータ取得と設計環境を整える~
第3回 ユーザーの「分類」を考える~
第4回 ユーザーを分類して計測できる状態にする~
第5回 分析に基づいた改善施策を考えて実行する~
第6回 改善施策の実施と評価~
小川卓がCAOを務めるFaber Companyの「ミエルカ」から新機能がリリースされました。
提案型ウェブアナリスト育成講座の卒業生対談企画。3月に卒業したばかりの森和吉さんとの対談。経験豊富な森さんとの対談、全3回でお届けします。
1回目は、森氏がどのように解析と出会い、デジタルマーケティングの経験を積み重ねていったかを伺いました。
2回目は、森氏が受講した提案型ウェブアナリスト育成講座について。受講で役立ったポイントや、受講後お仕事の獲得につながったポイントなどを伺いました。
3回目は、森さんと小川さんの働き方について、見積の仕方、自分が働く工程と一緒に働くスタッフ、コロナ禍の影響、GA4、CDP、講座で得た横のつながり、地方への想いと、ざっくばらんに伺いました。
次回の対談は
ちなみに次回のインタビューは提案型ウェブアナリスト育成講座の卒業生ではなく、HAPPY ANALYTICS設立前から手伝ってくれている「弟子」の飯村くんです。
— Taku Ogawa (小川 卓) (@ryuka01) 2021年5月28日
対談は来週ですがどうなることやら。HAPPY ANALYTICSの内情が色々と理解出来る内容になる予感はしております(汗)
「こんなこと聞いて」などのリクエストは、井水朋子までお待ちしております!
2021年5月に掲載された記事は以上です。ありがとうございました。
最新情報は、小川卓のTwitterおよび弊社広報アカウントよりご覧になれます。

「AXES(アクセス)」は2012年、取締役社長である大下公宝氏が、別の会社の一部門だった事業を分離して設立。そのままスクロールグループに加わった。現在は、自社で輸入した海外ブランド品をECサイトで販売している。取扱い品目は、男女用ファッション、バッグ、財布、時計、アクセサリー、小物、シューズなど幅広く、姉妹サイトでは化粧品も扱う。
同社は現在、在庫管理、受注処理、配送、さらには代金回収までフルフィルメントのすべてをBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)化している。その結果もたらされたメリットについて解説する。

大下氏は学生時代にアメリカへ留学し、そのまま現地でブランド品などの日本向け輸出ビジネスを始めた。バブル崩壊後の日本では、ファッションや鞄などブランド品の並行輸入がブームになっており、大手流通業や百貨店などと取引きし、事業は順調だった。
しかし2005年頃、EC通販市場が日米とも本格的に拡大していく中で、ブランド品の輸出ビジネス(卸業)のままでは先行きに不安を感じ、小売業への転換を決断。日本に戻り、知人の会社で海外ブランド品のEC通販事業を始めた。
楽天市場に出店し、大下氏自身も数名の社員とともに、商品の撮影からサイト構築、受注処理、梱包や出荷までこなしていた。独自のネットワークを活かした海外からの仕入れが強みで、数年後には「ショップ・オブ・ザ・イヤー」を受賞するまでに成長した。
次なるステップを考えたとき「仕入れの強化にしろ、業務の合理化にしろ、経営基盤をより堅固なものにする必要を感じた」と大下氏は語る。
2012年3月に独立してAXESを設立。同年5月にスクロールグループに入りました。スクロールは1部上場企業であり、子会社のスクロール360は物流代行などのサービスを幅広く手掛けています。そうしたリソースを自分たちの強みと結合することで、もう一段上に進もうと考えたのです。(大下氏)
大下氏は以前から、コールセンター業務をアウトソーシングしていたが、スクロールグループ入りを機に、フルフィルメント全般にBPOを拡大した。
まず、自社で借りていた倉庫からスクロール360の物流センターに商品を移しました。その結果、土日を含めて365日発送できるようになり、在庫の誤差もゼロになって、社員の負担がかなり減りました。(大下氏)
バイヤーが海外で買い付けた商品がスクロール360の物流センターに到着すると、ささげ業務の専門チーム「ささげ家」/が撮影やサイズの計測を行い、原稿を作成してECモールに掲載する。
掲載先は以前は自社サイト、楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazonだけだったが、現在はdファッションなど10か所に増えた。それでも入荷後1週間以内に販売を開始する。

コールセンター業務やメール対応もスクロール360の浜松コールセンターに移管した。クレーム情報などは日次集計され、AXESへ提供される。オペレーターでは判断が難しいエスカレーション案件を除けば、AXESの社員が対応に手をとられることはない。
こうして現在、在庫管理、受注処理、配送、さらには代金回収までフルフィルメントのすべてをBPO化しているのである。
フルフィルメント全体をBPO化したことで、社員は土日にきちんと休めるようになり、最近の働き方改革の流れに対応しやすくなりました。
それ以上に重要なのは、社員のモチベーションアップにつながったことです。もともとEC通販業界の離職率は高いのですが、理由の1つはやりたい仕事ができないということです。ファッション系のEC通販は特にそうです。せっかく入社したのに受注処理や発送業務ばかりやらされていたのでは、社員がやる気をなくすのも当然でしょう。
その点、裏方的な業務の多いフルフィルメントをBPO化することで、社員は商品の買い付けやプロモーションといった本来の業務に集中でき、経験やスキルを磨くことができるのです。(大下氏)
スクロールグループに入った当時、AXESの年間売上は12億円、社員は15名だった。その後、スクロールが買収した化粧品を扱うEC通販サイト「イノベート」と経営統合し、現在、社員は50名と約3倍強になったが、売上は87億円(2019年度)と8倍近くまで伸びている。
その原動力は、社員のモチベーションアップのほか、スクロールの財務力をバックにした商品仕入の強化もある。それまでの仕入先は欧米が中心だったが、いまでは東南アジアから中近東にもバイヤーが買い付けに出かけ、日本にまだ入っていないようなブランド品を輸入し、ショップの知名度と人気につながっている。
そうした商品を10か所のサイトやモールに、それぞれ最適な形で素早く掲載し、季節や記念日などに合わせたキャンペーンを行い、スピード感のあるプロモーションを展開している。
10年前のEC通販事業者はどこも、売れば売るほど受注処理や発送業務に追われ、パンクするところが珍しくありませんでした。
EC通販用の各種システムもパッケージで1,000万円、ランニングコストも月数十万円かかるなど高額でした。そのため、仕方なく人手でやっている中小のショップがほとんどだったように思います。(大下氏)
いまでもモール別に担当者をあて、注文が入ると担当者がいちいち倉庫へ在庫を確認しに行ったりしている事業者を見かけるが、スクロール360であれば受注処理も含めて、同じ業務量をほぼ10分の1の人員で処理できる。
現在のEC通販事業では、自社の強みに集中するため、BPOの役割がますます大きくなっている。ただ、何でもBPOにすれば良いというわけではない。前提として、業務フローの標準化ができていないと、コストばかりかかってむしろ逆効果になりかねない。それを避けるには、経営者が業務フローとその勘所をわかっていることが大前提になる。
それでも、「BPOがスタートすると事前の想定との食い違いがどうしても出てくる」と大下氏は指摘する。
BPO企業も、事前にどんなことが起こるかすべてわかるわけではないからです。依頼側としては、月次ミーティングで前月の振り返りを行いつつ、修正点についてどんどん要望を出していくべきです。
同時に、出荷予測をきちんとBPO企業に渡すことも重要です。セールやポイント倍率のアップなど、モールごとのイベントの際は特に出荷数が大きく変動します。当社では、過去のデータなどを踏まえ、プラスマイナス10%程度を目指しています。
そうした積み重ねがお互いの信頼関係と業務品質のアップにつながるのです。(大下氏)
出荷予測(受注予測)の精度が低いと、出荷遅れなどのトラブルにつながる。BPO先を変更しても同じことの繰り返しで、“物流ジプシー”になるケースもある。
AXESでは今後、ブランド品(新品)の輸入販売に加え、「RE事業」と名付けた中古販売、レンタル、リフォームの各事業をスタートさせる準備を進めている。
新品を販売した後も中古買取、中古販売、レンタル、リフォームなどによって顧客との接点を増やし、LTVを高めるのが狙いだ。こうした「RE事業」についても、まずは社内で業務をルール化してからBPOへ移行させる予定である。
AXESのように順調に成長を続けているEC通販事業であっても、時代の変化に応じて常に新しい事業モデルや業務体制の効率化を続けていくことが欠かせない。
AXESやスクロール360が所属するのがスクロールグループだ。もともとカタログ販売の老舗で、総合通販企業だった。その後、AXESを初めとするEC企業のM&Aを行い現在、22社のグループ体制となった。
事業セグメントとしては、スクロール本体の行う通販事業、AXESやナチュラムが所属するeコマース事業、豆腐の盛田屋やキナリの所属する健粧品事業、スクロール360の所属するソリューション事業がある。
そして、B2C販売のeコマース事業と健粧品事業のシステム、受注処理、物流、決済を、ソリューション事業が受け持つ体制を取っている。これにより、グループ各社はわずらわしいルーティン業務から解放され、一番重要な商品開発や販売戦略に集中でき、業績好調となっている。
また、ソリューションセグメント各社では、対応する業務が拡大することで、より専門性が増し、対応品質が上がっていく。同じグループ内でコンタクトセンターや物流、決済が横連携しているため、アウトソーシングするEC事業者にストレスを感じさせない、シームレスなサービス提供が可能となっている。
スクロールは以前の総合通販企業ではなく、複合通販企業に生まれ変わった。ダイレクト・マーケティング・コングロマリットは、eコマース事業セグメント、健粧品事業セグメントをソリューション事業セグメントがBPO対応するだけでなく、売れている商品をスクロール本体の生協事業に供給するほか、海外にも販売していく戦略となっている。
この記事は『EC通販で勝つBPO活用術』(ダイヤモンド社刊)の一部を編集し、公開しているものです。
※このコンテンツはWebサイト「ネットショップ担当者フォーラム - 通販・ECの業界最新ニュースと実務に役立つ実践的な解説」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:売上8倍、社員数3倍強を実現した輸入販売サイト「AXES」。成長の秘訣は「徹底的な業務のアウトソーシング」 | 『EC通販で勝つBPO活用術』ダイジェスト
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EC通販で勝つBPO活用術
─最強のバックヤードが最高の顧客体験を生み出す
高山 隆司 /佐藤 俊幸 著
ダイヤモンド社 刊
価格 1,650円+税
活況のEC・通販業界において、アフターコロナを勝ち抜くために必要なことは何か。ネット通販の事業戦略設計やプロモーション、フルフィルメントなど、ネット通販の実践から得たノウハウを紹介し、物流、受注といったフルフィルメントのアウトソーシングの活用の仕方や成功事例を解説する。デジタルトランスフォーメーション(DX)が加速する中、「BPO」(Business Process Outsourcing)を最大限有効活用したシステム構築に必携の1冊。

アパレル業界にとって2121年は、早く過ぎ去って欲しい厳しい1年ですが、そんな中、個人の状況に応じてアパレルの購入が加速するかどうかを分析するのは興味深いことです。『Digital Commerce 360』でシニア・コンシューマー・インサイト・アナリストを務めるローレン・フリードマン氏が解説します。
コロナ禍の影響で、アパレルやアクセサリーに対する消費行動が変わりました。多くの人にとって、毎日の仕事着はスウェットや、俗に言う「アスレジャー」になったのです。
オンラインやオフラインの店舗で買わなくても、自分のクローゼットに既にあるモノで事足ります。しかし、ワクチン接種が実現すると、消費行動は再び変わるでしょう。買い物に出掛け、自宅オフィスを抜け出しておしゃれをし、トレンドに乗ろうと考えています。そう考えているのは、私だけではないはずです。
『Digital Commerce 360』によると、2020年のオンラインアパレル売上高は2,407億1,000万ドルで、2019年の3,018億4,000万ドルから20.3%減少しました。今後、復活の余地はありますが、どのくらいの量で、どのくらいの速さで復活するのか、という2つの疑問が残ります。
『Digital Commerce 360』は、調査会社の「Bizrate Insights」と共同で、5月上旬にEC利用者1,049人を対象に調査を実施。この調査では、洋服の補充(41%)、衣替え(36%)、ワードローブを一新したい(35%)という理由で、消費者がアパレル、アクセサリーを購入していることがわかり、心強く感じました。
皮肉なことに、これらはコロナ禍が存在しない世界で、消費者がアパレルを購入する理由と同じです。アパレル業界にとって厳しい2021年、個人的な状況によってこの動きが加速するかどうかを見守るのは面白いでしょう。調査対象者の27%が回答した「欲しかった商品のキャンペーン」も見逃せません。また、「気分を上げたい」という回答が多いことを期待していましたが、23%にとどまりました。22%は私同様、スタイルを見直したいと考えていました。

「コロナ禍後に購買額が増える」と予測しているのは4人に1人で、大半の回答者は「今と同じ程度の購買額になる」と考えています。しかし、最終的には消費者が外に出れば、異なる感情を抱き、結果的に消費が増えると思います。そうでなければ高級品や、これからも在宅勤務が続けば、仕事用アパレルにも重要な影響を与えるでしょう。

EC利用者の76%が、「コロナ禍がオンラインでの行動に影響を与えた」と認め、5人に1人は「コロナ禍の影響で、予想されていたいくつかの変化がさらに加速された」と考えています。
消費者は、返品をさらに気にするようになり、コロナ禍以前から利用していた返品送料無料のオプションをさらに活用するようになりました。また、オフラインでは21%が地域社会の活気を維持するためには中小企業への応援が必要で、地元での買い物が重要であると理解するようになりました。
コロナ禍において消費者がECの利便性を実感したことから、ECは長期的にコロナ禍の恩恵を受けると多くの人が考えています。しかし、今回の調査では、コロナ禍後もオンラインでの買い物を継続する人は19%しかいませんでした。
もちろん、買い物には個人的な事情が常に大きく関わっています。実店舗が消費者を呼び戻すために必要な強い存在感のアピールに苦労しているため、コロナ禍後の継続的なトレンドを知るには、1年かかるでしょう。

オンラインで買い物をする人は、さまざまな小売事業者から商品を購入しますが、なかでもAmazonが優位に立っています。アパレル分野でもAmazonがトップになるということは、私にとっては複雑です。なぜなら、「Amazonで買えばいいや」と考えるようになってしまいそうだからです。
アパレルの購入場所として、「百貨店」を選んだ回答者が45%というのは、業界の衰退が叫ばれて久しいなか、心強い限りです。「専門店」も28%とまだ重要な役割を担っており、消費者向けのD2Cブランドも、かつて勢いのあった専門店と同様のアプローチを採っています。

調査結果によると、消費者は新しい消費スタイルを試しており、13%が「サステナビリティやその他の環境保護の考えに基づいてアパレルを購入している」ことがわかりました。この数字をさらに掘り下げると、持続可能性への関心についてさまざまなインサイトがわかります。
いずれにしても、消費者がこの重要な問題に関心を持っているのは良いことです。39%は「この問題に関心を持っている」と回答する一方、特定の小売事業者は探しておらず、さらに32%は「持続可能な購買行動を考慮していない」と答えています。
金銭面に関して、20%の人は「より多くのお金を払いたくない」と考えており、10%の人は「サステナビリティに関連するコストを受け入れる」と回答。持続可能性という概念は、消費者がサステナビリティに焦点を当てたブランドを求め、地球を守るために代償を払うことを厭わなくなって初めて到達できるでしょう。
また、海外での買い物や委託販売、自分だけのオリジナル商品を作ることにも関心が高まっており、今後の普及に期待が寄せられています。

小売事業者は、インフルエンサーやブロガーを活用して、今の時代に適したストーリーを伝えようとしています。30%が「新しいブランドや商品について知るためにソーシャルメディアを利用」し、29%「SNS広告をクリック」し、28%が「マーケティングからインスピレーションを得ている」ことから、消費者はソーシャルメディアをショッピングの一部として利用していることがわかります。
また、「ソーシャルメディアをフォローしていない、利用していない、影響を受けていない」と回答したのはわずか24%であったことも特筆すべき点です。最後に、20%が「特定のアパレルブランドや小売事業者をフォロー」しており、興味のあるブランドとの重要なつながりをソーシャルメディアを通じて作っていることを示しています。

自分に合ったサイズを選ぶことは、アパレルを購入する際の最大の課題の1つです。小売事業者は、消費者がよりよい選択ができるよう、従来の方法からテクノロジーを利用したツールまであらゆる方法を採用しています。
従来の方法として、48%のEC利用者が「フィット感を示す指標を参考」にしており、46%が「サイズごとの寸法を記載したチャートを利用」しています。
また、消費者はレビューも参考にしており、38%が「フィット感に関する情報をカスタマーレビューから得ている」と回答。消費者のサイズを特定するプロファイリング・クイズは一般的ではないかも知れませんが、そのデータを活用することで将来の顧客につながる可能性が高いサブスクリプションサービスや革新的な小売事業者にとっては、重要なツールです。

◇ ◇ ◇
アパレル成長の軌跡は、単純かつ簡単には予測できないでしょう。サプライチェーンの問題、在宅勤務の状況、実店舗の復活など、すべてがアパレルのパフォーマンスに影響を与えます。その昔、ドレスカジュアルがスーツを脅かし、その影響が他のカテゴリーにも及んだことを思い出させます。
ブロガーやインフルエンサーは、その勢いとマーケティング効果を維持するでしょう。委託販売やサブスクリプションサービスなどのモデルは、さらなる成長のために改良されるでしょう。若い消費者が主導権を握り、今後何年も続くであろうアパレル業界の流れを作っていくでしょう。
私にとって唯一変わらないことは、私がずっとショッピングを続けることだけです。
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オリジナル記事:アパレルは「コロナ前」に戻れるのか? データで読み解く消費者行動とニーズの変化 | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ
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アドブレイブは5月27日、EC・通販専門のCRM自動化ツール「アクションリンク」で無料CRM診断サービス「すぐ分かるCRM診断」を始めた。
「すぐ分かるCRM診断」は、通販事業者やEC事業者が抱えるリピーター対策の課題について、スピーディーで手軽に課題を特定、解決策を提示する取り組み。
通販事業者やEC事業者のCRM施策の支援を通じた知見を生かし、Webサイトに専用の診断サービスを設置。所要時間1分程度の質問項目(質問は4つ)に答えると、現状の課題を洗い出すことができるという。
詳しいアドバイスや相談を希望する場合、表示された個人情報入力画面に連絡先を入力すると、アドブレイブの「アクションリンク」に携わるCRMエキスパートが対応する。

※このコンテンツはWebサイト「ネットショップ担当者フォーラム - 通販・ECの業界最新ニュースと実務に役立つ実践的な解説」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:「アクションリンク」のアドブレイブが無料CRM診断サービス
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青山商事はネットとリアルの融合システム「デジタル・ラボ」の導入を加速させる。
2016年の開始以来、5年で「洋服の青山」の約60店に導入してきたが、今期(2022年3月期)は2022年3月末までに100店へ導入する。6月から順次開始し、独自のOMO型店舗を全国に拡大する。

「デジタル・ラボ」は、ネットの豊富な在庫数とリアル店舗の接客サービスの両メリットを生かす青山商事の独自システム。導入店の店内には、青山商事のECサイトと連動するタッチパネル式の大型サイネージやタブレット端末を複数設置し、来店客はこれらの端末を通してECサイト上にある在庫から好みの商品を選ぶことができる。
店舗在庫をゲージ見本として試着や採寸できるため、実際の商品の色柄や着心地などを確認することが可能。販売員の接客を受けながら購入できるのも特徴となっている。

デジタル化の加速は、2021年度スタートの新規中期経営計画(中計)の一環。中計のテーマは「一本足経営」から脱却し、「スクラム経営」で成長をめざすというもの。トップ依存型でのスーツ・フォーマル販売に偏りすぎることなく、ビジネスを軸として顧客に向き合い、事業・商品・サービスを推進する各組織が自立して協働することで、グループでの成長をめざしていくという。
中計ではリブランディングを柱とするLTV(顧客生涯価値)の最大化をめざす戦略を掲げ、ビジネスウェア事業の変革と挑戦に取り組む。①顧客接点拡大をめざしたDX戦略(OMO戦略・デジタル基盤整備)②成長分野(オーダー/レディス/フォーマル他)――といった拡大戦略だ。

中計最終年度の2023年度には、DX戦略などの効果によりビジネスウェア事業は現状比で250億円の増収を計画。そのうちECは50億円の増収を計画している。

OMO戦略による顧客接点の拡大では、店舗とECを相互利用する併用顧客を増やし、店舗とECそれぞれの売上高を拡大。MAツールを見直し、EC送客への店舗評価拡充およびデジタルクーポンを導入するほか、アプリやECサイトの刷新で店舗起点の情報発信、スタッフによるコーディネート発信などSNSとの連動を強化する。

さらにデジタル基盤を強化し、店舗の効率化と顧客接点の拡大を図る。「デジタル・ラボ」の導入で、在庫の縮小と売り場スペースの創出によって新アイテムやサービスを投入。接客端末などを活用したオンライン接客で、顧客接点を拡大していく。

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オリジナル記事:青山商事がデジタル化を加速。「デジタル・ラボ」を全国100店導入でOMO型店舗を拡大する中期経営計画
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「Core Web Vitals(コアウェブバイタル)」が、2021年6月中旬から検索エンジンのアルゴリズムでアップデートされます。Googleは、UX重要指標「Core Web Vitals(コアウェブバイタル)」の3指標が検索ランキング決定要素の一部になると公式に発表。このアップデートは、2018年の「スピードアップデート」時以上に、SEO観点において注目すべきだと考えられています。
最新のEC・売り上げTOP200サイトを計測し、Googleが推奨する「SpeedIndex」の指標をベースに一部ランキング化。最新ランキングをベースに、各サイトの「コアウェブバイタル」対策の状況を考察しました。
Googleが2020年に発表した表示スピード改善のための新しい指標で、「LCP(Largest Contentful Paint)」「FID(First Input Delay)」「CLS(Cumulative Layout Shift)」の3つです。
以下の3つの要素を元に総合的に組み合わせ、UXの良し悪しが判断できるように構成されています。



計測ツール「SpeedCurve」に新しく加わった「コアウェブバイタル」対応のダッシュボードを活用して、詳しくデータを見ていきます。(参考:コアウェブバイタルズ(CoreWebVitals)をSpeedCurve内で確認する方法)

表示スピード上位20サイトのうち6サイト(約30%)が「コアウェブバイタル」の各指標で「良好」(オールグリーン)を獲得しています。
TOP200サイト全体では19サイト(約9.5%)という結果ですので、表示スピードが速いサイトは「コアウェブバイタル」対策も積極的に進めてきたと考えられます。それを裏付けるように、上位10サイトでは、4サイト(約40%)が3つの指標で「良好」(オールグリーン)を達成しています。
「daily-3」「ヨドバシ・ドット・コム」など、サイト名の背景が黄色になっているサイトが「コアウェブバイタル」の3指標すべてが「良好(グリーン)」のサイトです。数値はトップページ、カテゴリ、詳細ページの平均値を集計しています。
| 順位 | サイト名 | Speed Index (秒)① |
LCP(秒) | TBT (※FID 代替え指標) |
CLS |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | アサヒカルピスウェルネス | 1.38 | 1.51 | 1010 | 0.00 |
| 2 | daily-3 (デイリースリー) | 1.39 | 1.56 | 19 | 0.01 |
| 3 | ローカロ生活 | 1.39 | 1.62 | 348 | 0.00 |
| 4 | ヨドバシ・ドット・コム | 1.42 | 1.49 | 46 | 0.00 |
| 5 | ビックカメラドットコム | 1.45 | 1.44 | 456 | 0.02 |
| 6 | ツクモ(TSUKUMO) | 1.45 | 1.63 | 100 | 0.21 |
| 7 | サウンドハウス | 1.46 | 1.47 | 27 | 0.04 |
| 8 | 北の快適工房 | 1.51 | 2.38 | 148 | 0.50 |
| 9 | 激安!家電のタンタンショップ | 1.51 | 1.45 | 28 | 0.00 |
| 10 | DELL公式サイト | 1.56 | 1.58 | 500 | 0.17 |
| 11 | 花王ダイレクト販売サービス | 1.57 | 1.30 | 7 | 0.02 |
| 12 | アイドラッグストアー | 1.67 | 1.28 | 152 | 0.00 |
| 13 | ニトリネット | 1.75 | 1.82 | 754 | 0.06 |
| 14 | プロアクティブ+ | 1.82 | 1.93 | 202 | 0.38 |
| 15 | とらのあな | 1.84 | 2.34 | 195 | 0.14 |
| 16 | ジーユーオンラインストア | 1.88 | 2.31 | 1330 | 0.21 |
| 17 | オレンジブック.com | 1.98 | 2.06 | 182 | 0.27 |
| 18 | PCボンバー | 1.98 | 1.91 | 9 | 0.16 |
| 19 | エノテカオンライン | 2.00 | 1.92 | 712 | 0.01 |
| 20 | フォレストウェイ | 2.03 | 2.78 | 55 | 0.20 |
※TBT(FIDの代替指標)について
本計測はSpeedCurveのSynthetic計測サービスを利用しています。FIDはWebサイトに訪れたユーザーのリアルデータに基づく統計指標であり、仕様上精緻な計測が難しい指標です。そのため、GoogleDevelopersサイトの内容を踏まえて、FID代替え指標のTBT(Total Blocking Time)で計測、集計しています。
3つの指標のうちいずれか1つで「良好」を達成しているサイトは31%~38%という割合ですが、LCP、FID(TBT)、CLSのすべての指標をクリアしているサイトは、19サイト(約9.5%)しかありませんでした。
これは各指標で「良好」(オールグリーン)を取るためのハードルが相当高いことを表しています。そもそも、上位サイトの表示スピード対策の内容は、サイトの構造やコーディング、画像リサイズ、CDNのキャッシュ対応など非常に手がかけられており、簡単には追随できないレベルです。
| LCP | TBT (※FID代替え指標) |
CLS | |
|---|---|---|---|
| 良好 (グリーン) |
60サイト(約31%) | 72サイト(約38%) | 60サイト(約31%) |
| 要改善 (オレンジ) |
79サイト(約41%) | 46サイト(約24%) | 50サイト(約26%) |
| 不良・低速度 (レッド) |
52サイト(約27%) | 73サイト(約38%) | 81サイト(約42%) |
※EC・売り上げTOP200サイトのうち、正しく計測できたのは191サイト
すべての指標で「良好(グリーン)」をめざすべきですが、人と時間的リソースに制約がある中でどういう優先順位で対応すべきか? という疑問がわきます。
「良好(グリーン)」が最も多かった指標はTBT(※FID代替え指標)で72サイト(約38%)となり、LCP、CLSは同数の60サイト(約31%)でした。
「要改善(オレンジ)」ですが、最も多かったのはLCPの79サイト(約41%)でした。CLSは50サイト(26%)、TBTは48サイト(約24%)で、TBT(FID)より各指標で大きな違いが出ました。
最も低い評価である「不良・低速度(レッド)」が多かったのは、CLSの81サイト(約42%)です。続いて、TBTの73サイト(約38%)、LCPの52サイト(約27%)でした。この結果から、多くのサイトにCLSの課題があると予想できます。
この疑問に対するヒントは、GoogleのLighthouseのスコア変更に関する説明記事にありそうです。(参考:https://web.dev/performance-scoring/(英文))
元々「コアウェブバイタル」は、表示速度の計測ツール「Lighthouse」に採用されている指標です。「Lighthouse」における各スコアの配分(Weight)を見てみると、LCP(ページ表示速度) が25%、TBTが25%(※FID代替え指標、ページ応答速度)で、2つの指標で2分の1を占めているのがわかります。それと比較するとCLS(視覚の安定性)のスコア配分はわずか5%程度です。

この情報から、まずはLCPとFIDの改善を優先的に行いつつ、次にCLSを図るというステップが、最も効率的なスコア向上=UX向上につながると言えるでしょう。

対策の難易度ではどうでしょうか? Googleによると、FID(First Input Delay)とはWebサイトが表示されて実際にユーザーが操作可能になるまでの時間、インタラクティブ性を図る指標と定義されています。しかし、その推奨値は0.1秒と非常に高いレベルを求められます。
FIDが遅くなる要因はさまざまですが、表示スピード改善の経験上最も多いのが「不要なJavaScriptの読み込みと実行」によるリクエスト数の増加です。
Webサイトを運用していく中でさまざまなJavaScriptを読み込みますが、「不要になった自作のJavsScriptライブラリが残っている」「以前は使っていたが、今は使用していない販促&マーケティング用のサードパーティタグがそのままになっている」などのケースは非常に多いと言えます。
下の表は、EC・売り上げTOP200の表示スピードランキングから、リクエスト数400以上のサイトを抽出したデータです。「Amazon」など高速サイトのリクエスト数が150前後なので、400というのはかなり多い数字です。
こうした多くのリクエスト数を持つサイトの中で、19サイト中「Good(良好)」の評価を獲得したのは「ハーブ健康本舗」だけでした。このデータを見る限り「リクエスト数が多いサイトはTBTが遅い傾向があり、その結果として『Needs Improvement(要改善)』か『Poor(不良・低速)』」という評価が出てしまいます。
| 順位 | サイト名 | Speed Index(秒) ① |
Request | TBT (※FID 代替え指標) |
|---|---|---|---|---|
| 1 | アサヒカルピスウェルネス | 1.38 | 560 | 1010 |
| 33 | サントリーウエルネス | 2.36 | 700 | 1735 |
| 102 | 富士フイルムヘルスケアラボラトリー | 3.67 | 495 | 789 |
| 126 | エーザイの通信販売 | 4.22 | 494 | 2705 |
| 127 | DHCオンラインショップ | 4.26 | 453 | 570 |
| 128 | ソニーストア | 4.34 | 428 | 437 |
| 135 | ヤーマンオンラインストア | 4.53 | 894 | 2748 |
| 150 | シーオーメディカル公式通販ストア | 5.22 | 408 | 764 |
| 153 | MTG Online shop | 5.27 | 441 | 1275 |
| 160 | カゴメ健康直送便 | 5.59 | 846 | 1403 |
| 161 | ハーブ健康本舗 | 5.65 | 544 | 253 |
| 162 | アイリスプラザ | 5.70 | 407 | 837 |
| 164 | ピーチ・ジョン公式通販サイト | 6.13 | 419 | 1474 |
| 168 | RUNWAY chanel | 6.44 | 407 | 1404 |
| 179 | Maison KOSÉ | 8.08 | 456 | 1147 |
| 182 | ビタブリッドジャパン公式通販サイト | 8.48 | 447 | 1326 |
| 185 | マウスコンピューター | 9.86 | 445 | 429 |
| 187 | チャップアップ公式ショップ | 13.14 | 1640 | 3345 |
| 188 | Hamee | 13.16 | 448 | 665 |
Webサイトスピード研究会の有志 (ファシリテーター/スピード研究会主催:種村和豊氏(ゴルフダイジェスト・オンライン)、加藤晋平氏(インフラレッド合同会社)、近藤洋志氏(大日本印刷))の3人で、今回の結果についてディスカッションを行いました。
ゴルフダイジェスト・オンライン 種村和豊氏(以下、種村):今回、初めて「コアウェブバイタル」の計測分析データを見て、いろいろな気づきがあったと思います。これらのデータをどのように捉えていますか?
大日本印刷 近藤洋志氏(以下、近藤):「良好」という基準をめざすためには、まず現状を正確に計測して、何からどう改善するかの道筋を考えて取り組むのが重要だと感じました。
特にリクエスト数が多いと、FIDの指標が悪くなるということが今回の調査からも見えています。不要なページリクエスト内容の精査・断捨離がFIDの改善を進める上で非常に重要ですね。
インフラレッド 加藤晋平氏(以下、加藤):これまでのGoogleの指標と異なっているのは「よりユーザ視点(UX)で、それも複数の指標でWebサイトの来訪体験を評価する」という点でしょう。
種村:一方で、CLSの「視覚のズレ」という点ではレスポンシブウェブデザインは、実装上の仕組みとして不利になってしまいます。これはショックですよね。今までGoogleに推奨されていたやり方だったのに、どういうことなのかと。
近藤:その動向が少し気になりますが、いずれははっきりと駄目になっていくのだと思います。急に駄目だといったら、みんな困ってしまいます。
種村:いよいよ「コアウェブバイタル」がSEO検索ランキングのシグナルに組み込まれていきます。今回の調査データから、各サイト対応状況をどう感じましたか?
近藤:表示スピード上位TOP10に関しては想像通り。「コアウェブバイタル」の各指標に関しても高い水準で「良好」なので、表示スピード改善とあわせて「コアウェブバイタル」の指標もモニタリングが必要だと再認識しました。
加藤:今回の「コアウェブバイタル」の対応は、フロントエンドの実装やそれを支えるインフラアーキテクチャ含めて、きちんとモニタリング・課題対応しないといけないと改めて感じました。「コアウェブバイタル」は「Webサイトの顧客体験指標」なので、ごまかしが効きません。
種村:難しいのは、「コアウェブバイタル」ではSpeedIndexのように絶対評価がしにくい点です。2つが「良好(グリーン)」でも残りが「不良・低速度(レッド)」だと大きく違いがでる。今後、評価ランクを見極めて総合ランク付けをしてくことも、わかりやすさのためには必要かもしれません。
当初、「コアウェブバイタル」は2021年5月中旬に開始される予定でしたが、6月中旬に延期になりました。とはいえ、今回のEC・売り上げ TOP200サイトの計測データから、売り上げの大きい・表示スピードの感度が高いECサイトは、「コアウェブバイタル」対策準備が完了しているサイトが多いことがわかりました。
FID、LCP、CLSの3つ指標に関しては「さらにWebサイトの顧客体験をより良くすべき」という、Google社の強い意思を感じます。我々はサービスを提供する側として、顧客の来訪体験をより良くするために、「コアウェブバイタル」にきちんと向き合うことが大事だと再認識しました。
今回の「コアウェブバイタル」ランキングの完全版データは、スピード研究会の研究記事を掲載・公開しています。ご興味ある方はこちらの「売り上げTOP・EC200サイトのCoreWebVitalsデータ完全版」からご確認ください。
本記事の「コアウェブバイタル」の基準値はGoogle社情報「ウェブに関する主な指標レポート低速なサイトを修正してユーザー エクスペリエンスを改善する」に準拠した形をとっています。
| Good (良好) |
Needs Improvement (要改善) |
Poor (不良・低速度) |
|
|---|---|---|---|
| LCP | 2.5 秒以下 | 4 秒以下 | 4 秒を超える |
| TBT (※FIDの代替) |
300 ミリ秒以下 | 600 ミリ秒以下 | 600 ミリ秒を超える |
| CLS | 0.1 以下 | 0.25 以下 | 0.25 を超える |
従来の一般的な計測ではアイドルタイムと呼ばれる、購入客が少ない午後の時間に計測されることが多く、朝、昼、夜のピークタイムや、土日の計測がほとんどされていませんでした。例えば、メルマガやLINEなどでキャンペーン情報を送った時にサイトがどんな状態になるのかを、ほとんどのEC事業者が知らないのが現状です。
今回の調査では売れている時間帯のコンディションを把握するために、12:30、18:30、22:30の1日3回、比較的高負荷の時間で実施しました。1サイトにつきトップページ、リストページ(カテゴリページ)、商品詳細ページの3つのURLを計測対象としました。
①「Speed Index」……Googleが発表したパフォーマンス指標。ブラウジング開始後、経過時間あたりのファーストビューが何秒で表示されるかを総合的に算出したもの。本計測、分析を行っているスピード研究会では最低目標値 4秒台、推奨値4秒以下を推奨しています。
(参考:(スピード研究会)SpeedIndexの基本合格基準、5秒から4秒の引き上げを決定!!)
今回の計測は、12:30、18:30、22:30の1日3回という、ECサイトにおいて比較的高負荷とされている時間帯に行いました。従来の計測結果と乖離があるとすれば、この時間滞とアイドルタイムの違いが一番の違いとなります。
調査期間:2021年2月22日(月)12:30 ~ 2021年3月8日(月)12:30までの14日間
調査対象:EC・売り上げTOP200のサイト対象に関しては、2019年度のネット通販売上高、上位200社のECサイト(日本流通産業新聞社「ネット経済研究所」 [2020年版]ネット通販売上高ランキングTOP480データ)を参考にしています。
調査範囲:1サイトにつき①トップページ、②リストページ(カテゴリページ)、③商品詳細ページの3つのURL(サイトの構成上、該当ページがなく測定できなかったサイトもあり、実際に計測したのは①195URL、②195URL、③195URLの計585URL。リストページと商品詳細ページが同一のため②③に同一ページで計測したのは3URL)。当該サイトURLは、検索エンジンによる検索結果から移動できるURLを用いた。
①トップページ、②リストページ(カテゴリページ)、③商品詳細ページ、それぞれの中央値(median)を平均したものをサイトの代表値とする。
※アスクルの2サイト(ASKUL、LOHACO)は別サイトとしてそれぞれ計測
※ゲオショップの2サイト(セカンドストリート、ゲオショップ)は別サイトとしてそれぞれ計測
※ログインや会員登録が必要、モール出店のみ、スマーフォン対応サイトがない場合などは計測対象から除外、EC・売り上げTOP200企業サイトの内、外部から正常計測が確認出来た191サイトを本計測、分析の対象としています。
計測時間:12:30、18:30、22:30の1日3回
測定プロファイル:Apple iPhone X(4G LTE)
1回当たりの計測数:3 checks
計測回数:585URL × 1日3回 × 3checks × 1デバイス × 14日間 = 73,710回計測
エミュレート回線品質(4G):ダウンロード 11.7Mbps/アップロード 11.7Mbps/レイテンシー 70ms
サイト調査実施:レポート/Web表示スピード研究会 種村和豊 調査解析/村岡温子、畑山真治 協力/Web表示スピード研究会(インフラレッド 加藤晋平、大日本印刷 近藤洋志) 監修/ドーモ 占部雅一
※このコンテンツはWebサイト「ネットショップ担当者フォーラム - 通販・ECの業界最新ニュースと実務に役立つ実践的な解説」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:2021年、EC売上TOP200サイトの表示スピード状況とGoogleのUX重要指標「Core Web Vitals(コアウェブバイタル)」対策 | 勝手にスピードテスト Powered by SpeedCurve
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