日本郵便が「ゆうパック」を平均10%値上げ/クレカ決済代行会社「全東信」が破たん【ネッ担アクセスランキング】
※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。
※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。
LINEヤフーは7月2日、コミュニケーションアプリ「LINE」のサービス開始15周年を記念した発表会「LINE 15th Anniversary Event -Connect the Next-」を実施し、次の15年に向けたサービス構想を発表した。

今後のキーワードに掲げたのは、AIエージェントを日常生活に取り入れ、生活のさまざまな接点をつなぐ「Life on LINE with AI Agent」。ショッピング、決済、情報提供、店舗体験、コミュニケーションなどをAIで横断的につなぎ、「LINE」をライフプラットフォームとしてさらに進化させる考えを示した。

「LINE」はこの15年間で、人と人とのコミュニケーションだけでなく、企業・自治体・店舗、コンテンツ、購買、決済など生活のさまざまな接点を結ぶサービスへと発展。その上で、今後は「拡張」「深化」「最適化」の3つを軸に、AIエージェントを活用した新たなユーザー体験を提供していく方針を示した。
EC・コマース領域で最も注目される発表が「ショッピングタブ」の正式リリースだ。LINEヤフーは、「LINEギフト」を起点に拡大してきたコマースサービスをさらに発展させるため、「LINE」の「ショッピングタブ」を2026年9月に正式リリースすると発表した。

正式リリース後は、「LINE」上でLINEヤフーグループのショッピングサービスが取り扱う3億点以上の商品から、自分に合った商品を探し、比較・検討から購入、ギフト、配送までをシームレスに利用できるようにする。
また、特定商品の先行・限定販売や「PayPayポイント」の付与、AIエージェントによる接客なども展開し、「LINE」ならではのショッピング体験の実現をめざす。

決済・送金機能も強化する。
LINEヤフーは、「LINE」と「PayPay」のアカウント連携を2026年夏に開始すると発表した。

連携後は、「LINE」のトークルーム上で「PayPay残高」の送金・受け取りや割り勘が可能になるほか、「LINE」からPayPayの登録や残高・ポイントの確認も行えるようになる。一方、「PayPay」アプリでは、設定に応じて「LINE」の友だちが表示されるようになり、よりスムーズな送金を実現する。
さらに今後は、「LINEポイント」を「PayPayポイント」に統合し、「LINE」上でもPayPayポイントをためる・使う体験を順次拡大する予定。コミュニケーション、購買、決済を「LINE」上でシームレスにつなぐ構想を打ち出した。
AI関連では、「Information」「Life」「Talk」の3領域で新機能や今後の構想を発表した。
「ホームタブ」を、ユーザー1人ひとりに最適な情報と出会える場へ進化させる。リニューアル版は2026年夏ごろに正式リリースする予定。

AIエージェントとの連携により、ニュースや天気、友だちに関する情報、好きなアーティストやコンテンツの最新情報などを、ユーザーの興味・関心や行動に合わせて提案する「My Home Agent」や「Proposer Agent」の提供も予定している。

「LINE公式アカウント」と「LINEミニアプリ」を軸に、企業や店舗との接点を強化する。今後は「ミニアプリタブ」とAIエージェントを連携し、店舗検索や予約、順番待ちなどをAIが支援する「Agentic UX/CX」の実現をめざす。

トークルームを単なる会話の場ではなく、会話を起点に行動を支援する場へ発展させる。その中核となるのが、トークルーム内でAIエージェント「Agent i」を呼び出せる「Agent i in chat」で、2026年内の提供を予定している。

会話内容に応じた回答だけでなく、ToDoリスト作成、カレンダー登録、アルバム作成、メッセージ要約などにも対応し、コミュニケーションやタスク管理を「LINE」上で完結しやすくする。
このほかLINEヤフーは、メンバーシッププログラム「LYPプレミアム」の新たな特典として、
の4機能を2026年秋以降に提供すると発表した。これらの機能は、2026年8月から順次「LINEラボ」で先行提供する予定としている。

楽天グループ、LINEヤフー、メルカリは7月9日、ECサービスやフリマサービスにおける不正取引対策の強化に向け、警察庁との情報連携に関する協定を締結したと発表した。各社は、不正な取引が行われている可能性が高いと判断した情報を警察庁へ迅速に共有する体制を構築し、犯罪捜査への協力や被害の未然防止につなげる。

今回の取り組みは、政府の「国民を詐欺から守るための総合対策2.0」に掲げられた、ECサイトなどにおけるID・パスワードやクレジットカード情報の不正利用対策の一環。各社は、従来の不正検知やモニタリング体制に加え、警察庁との連携を強化することで、安心・安全な取引環境の実現をめざす。
楽天は警察庁との協定に基づき、7月9日から運用を開始した。対象サービスは「楽天市場」と「楽天ラクマ」。不正な取引が行われている可能性が高いと判断した情報を、従来より迅速に警察庁へ共有する体制を整えた。
楽天はこれまでも、「楽天市場」「楽天ラクマ」で24時間365日体制のモニタリングや、不審なログイン・不正注文への対策、ユーザーへの注意喚起を実施してきた。今回の協定締結により、EC領域における不正対策をさらに強化するとしている。
また、楽天グループは各事業で公的機関との連携を進めており、警視庁とは2017年からサイバー犯罪対策で協力。楽天銀行でも2026年から、特殊詐欺被害金への対応に関する警察庁との枠組みを運用している。
LINEヤフーも、ECサービスにおける不正取引対策の強化を目的に、警察庁との情報連携協定を締結した。
「Yahoo!ショッピング」をはじめとするECサービスでは、クレジットカードの不正利用などを防ぐため、24時間365日体制でモニタリングを実施している。不正な取引が行われている可能性が高いと判断した取引に関する情報を、必要な範囲で警察庁へ迅速に共有し、利用者の財産保護や被害の未然防止につなげる。
協定の運用開始にあたっては、警察庁や個人情報保護委員会と意見交換を行い、有識者の意見も踏まえて制度を検討したという。また、捜査機関への情報提供に関する方針や実績については、透明性レポートとして公開している。
メルカリも同日、警察庁と「不正取引等に関する情報共有に関する協定」を締結したと発表した。
同社は、インターネット上での詐欺や不正取引が年々深刻化し、フリマサービスを悪用した犯罪も社会問題となっていることを踏まえ、正しくサービスを利用するユーザーが安心して取引できる環境づくりの一環として協定を締結したと説明している。
これまでも警察などの捜査機関からの照会には法令に基づいて対応してきたが、今後は警察庁との情報連携を強化し、不正行為の未然防止や悪質利用の抑止を図る。
協定に基づき、不正な取引が行われている可能性が高いと判断した取引に関する情報を、法令に基づき警察庁へ提供する場合があるとしている。あわせて、AIを活用した不正検知の高度化や本人確認の強化、外部機関との連携などを進め、より実効性の高い不正対策を推進する方針だ。
オルビスはZOZOと共同で6月17日、千葉大学教育学部附属中学校の学年混合の生徒25名を対象に、「もったいない」をテーマとした特別講義を実施した。

講座は千葉大学教育学部附属中学校の探究学習の一環として実施。ビューティーとファッションを題材に、「つくる」側のオルビスと「売る」側のZOZOそれぞれの視点から、持続可能な生産・消費について学ぶ機会を提供。環境配慮の取り組みを紹介し、生徒が未来に向けたアクションを考える機会とした。
オルビス商品企画部・プロダクトデザイングループグループマネジャー小林洋巳氏は、デザインの力で資源の「もったいない」を減らす工夫を紹介。「オルビス リンクルブライトUV プロテクター」などを例に、パッケージを従来品より一回り小さく設計し、資源使用量の削減や配送時の段ボール箱のサイズ最適化につなげたプロダクトデザインの考え方を解説した。見た目の美しさや機能性だけでなく、環境配慮も叶えるものづくりの姿勢や、本当に必要なものを見極める「引き算の視点」の重要性を伝えた。
ZOZOソーシャルフレンドシップ部 FFYブロック李銀珠氏は、計測技術の活用や衣料品循環の仕組みづくりを通じた「もったいない」を減らす取り組みを紹介。「ZOZOMAT」による靴のサイズ選びのサポートや、下取りサービス「買い替え割」による新品と古着が「ZOZOTOWN」上で循環する仕組みなどを紹介し、企業が消費者のより良い選択を支える役割について説明した。

講義では、生徒から積極的な質問や意見が寄せられたほか、「自分たちにできる、もったいないを減らす行動」について発表する時間を設け、日常生活の中で実践できる工夫や新たなアイデアが共有された。また、商品を「つくる」側への理解を深めたことや、「売る」側の役割を知り、自身の消費行動を考えるきっかけになったといった声が寄せられた。
さらに、「使用頻度が少ない学校施設を有効活用する方法」や、「SNSに費やしてしまう時間を有意義に使う方法」など、モノだけでなく空間や時間にも視点を広げたアイデアが発表された。講義を通じて、生徒自身が生活と結びつけながら、持続可能な消費について考える機会となったという。
オルビスは、持続可能な社会の実現に向けて、企業単独ではなくサプライチェーンや異業種との連携が重要とし、今後も多様なパートナーとの共創を通じて、生活者に身近なテーマからサステナビリティを考える機会を創出し、持続可能な未来づくりに取り組むとしている。
講義では「引き算の美」という考え方にもふれたが、本当に必要なものを見極める視点が、これからの暮らしの選択につながっていけば嬉しく思う。生徒たちの声を、今後の商品づくりにも生かしたい。(オルビス商品企画部・プロダクトデザイングループグループマネジャー小林洋巳氏)
ZOZOとオルビスが、それぞれ異なる立場から「もったいない」について考えることで、商品が生まれてから生活者の手に届くまでの過程や、その背景にある工夫を伝えることができた。生徒からは日常生活の中で実践できるさまざまなアイデアが寄せられ、私たちにとっても新たな気づきや学びを得る貴重な機会となった。(ZOZOソーシャルフレンドシップ部 FFYブロック李銀珠氏)
トランスコスモスは7月7日、日本の漫画作品関連商品を海外ファン向けに販売する越境ECサイト「TOKYO MANGA BASE」を開設した。第1弾として、小学館の漫画作品を原作とする関連商品の販売を開始した。

「TOKYO MANGA BASE」は、米国、カナダ、韓国、台湾、香港、シンガポール、マレーシア、タイ、フィリピン、ベトナムの10の国・地域を対象に、日本の漫画作品関連商品を販売する越境ECサイト。出版業界の企業が保有する商品を、海外のファンへ届ける販売基盤として展開する。
販売を開始した作品は、「葬送のフリーレン」「犬夜叉」「BANANA FISH」「うる星やつら」「こっち向いて!みい子」「チ。―地球の運動について―」「ふしぎ遊戯」「モブサイコ100」「らんま1/2」「負けヒロインが多すぎる!」「雷雷雷」「アオアシ」「マロニエ王国の七人の騎士」「うずまき」など。取扱商品は、アクリルスタンド、クリアファイル、缶バッジ、タペストリーなどとしている。
ECサイトはECプラットフォーム「Shopify」で構築した。トランスコスモスは、越境ECサイトの構築・運用に加え、受注管理、問い合わせ対応、物流までをワンストップで提供する。英語によるカスタマーサポート窓口も設け、海外の漫画ファンが利用しやすい環境を整えた。

決済方法は、クレジットカード(Visa、Mastercard、American Expressなど)とPayPalに対応。サイトの対応言語は英語としている。
トランスコスモスは、越境ECでは販売先の国・地域ごとのニーズや嗜好に合わせた商品選定が重要だと説明。国際EC事業で培った運営ノウハウを生かし、企業の海外販路拡大を支援するとしている。
同社は現在、世界46の国・地域を対象に、顧客企業の商品・サービスを販売するグローバルECワンストップサービスを展開している。今回の「TOKYO MANGA BASE」の開設は、日本の漫画IPを活用した越境EC支援の具体的な取り組みの1つと位置付けている。
メーカーズシャツ鎌倉はこのほど、OMO施策の強化に向け、店舗・施設向け集客一元化プラットフォーム「口コミコム」(提供:mov)を導入した。Google検索やGoogleマップでの情報発信を強化するとともに、Google上で店舗情報や取扱商品を無料で掲載できる「無料ローカルリスティング」を活用し、各店舗の在庫情報を発信。ECサイトと実店舗の双方への集客拡大をめざす。

メーカーズシャツ鎌倉は、日本製シャツブランド「鎌倉シャツ」を展開している。今回の取り組みでは、オンラインとオフラインを横断するOMO戦略の一環として、Google検索などで商品を検索したユーザーに対し、近隣店舗の在庫情報や店舗情報、ECサイトへの導線を表示する「ローカルインベントリマーケティング」を推進する。これにより、新規顧客の獲得と、Webから実店舗への送客の両立を図る。

メーカーズシャツ鎌倉は、無料ローカルリスティングの活用を通じて、Google検索やGoogleマップでの店舗情報の露出を強化する。国内顧客に加え、訪日外国人旅行者との接点拡大も狙い、多言語での情報発信も強化。「Made in Japan」のシャツを求める海外顧客に向けて、店舗や商品の魅力を訴求する。
メーカーズシャツ鎌倉によると、これまでは無料ローカルリスティングへの商品マスターの連携を手作業で行っており、運用負荷が課題となっていた。今回、「口コミコム」の導入にあわせてmovの初期構築支援を受け、商品情報と在庫情報の連携を自動化。これにより、Google検索やGoogleマップ上で各店舗の商品情報を、より正確かつタイムリーに発信できる環境を整えたという。
今後は、顧客の声や各種データを店舗運営とECサイト双方の改善に生かし、国内外の顧客にとって商品を探しやすく、安心して買い物できる環境づくりを進める考えだ。
「口コミコム」は、店舗情報や口コミ、投稿内容などを一元管理できる店舗向け集客支援プラットフォーム。Googleマップをはじめとする複数の媒体と連携し、営業時間や商品・メニュー情報の更新、口コミの管理・分析、情報発信の効率化を支援する。多言語での情報整備やインバウンド対応にも活用でき、実店舗への送客や来店機会の創出を後押しするサービスとなっている。

アウトドアブランド「Cotopaxi」は、店舗出荷やBOPIS(店舗受け取り)といったオムニチャネル施策を試験導入したものの、本格的な投資を見送りました。共同創業者が明かした「オペレーションの複雑化」というリアルな課題と、流行のバズワードに左右されない最適なEC・店舗戦略の引き際について解説します。
実店舗を持つことはオムニチャネル戦略の本質を引き出す重要な要素ですが、すべての施策が投資に見合うわけではありません。アパレル・アウトドアギアブランド「Cotopaxi」の共同創業者は、米国のEC専門誌『Digital Commerce 360』の取材に対し、そのリアルな経験を明かしました。
デジタルネイティブ(D2C)ブランドとして約12年前に誕生したCotopaxiはその後、実店舗へと進出し、現在は20以上の拠点を運営しています。長年、多様なオムニチャネル機能を試験的に運用してきましたが、最終的にはシステムや現場のオペレーションを大規模に変えてまで、それらの施策へ本格投資することは見送りました。
Cotopaxiのチーフ・グローバル・オフィサーであり共同創業者のステファン・ジェイコブ氏は、かつてオンライン注文された商品を実店舗から発送する「店舗出荷」を試みた時のことをこう振り返ります。
Cotopaxiの店舗は平均1200平方フィート(約33坪)と比較的小さいサイズです。そのため、店内でフルフィルメント(配送業務)を回すための物理的なスペースがほとんどありませんでした。
店舗の在庫をオンラインの需要と結びつければ、商品の消化スピード(セルスルー率)が上がるというメリットはあります。しかし、それだけでは継続する理由にはならなかったとジェイコブ氏は言います。
スペースの確保、スタッフの教育、システムの統合、そして在庫管理。これらがもたらす現場の複雑さを天秤にかけた結果、「少なくとも現時点では、運用負荷に見合う価値はない」と判断したのです。
現在、Cotopaxiはすべての発送業務を物流センター(ディストリビューションセンター)に集約しています。
ジェイコブ氏によると、創業当初のCotopaxiは100%D2C(直販)モデルでした。そこから5~6年が経過した頃、卸売ビジネスへと舵を切ります。
卸売は急速に成長し、一時は総売上高の50%以上を占めるまでになりました。しかし現在は、より健全なバランスである25%~30%程度に抑えています。大半はD2Cが占めており、その他に法人向けビジネスや、急成長中の海外チャネルがあるという構成です。
また、モバイルアプリも運用しており、アウトドアのアドベンチャーイベントと連動。このデジタル体験を実店舗と結びつけることで、ユーザーのオムニチャネル体験を高めてきました。
これにより、何万人もの人々に自然な形でブランドを知ってもらい、熱狂的なファンになってもらう素晴らしい動線を作ることができました。店舗やイベントを通じたリアルな接点は、Cotopaxiの戦略の大きな柱です。もちろん、主要プラットフォームでの従来型のパフォーマンスマーケティング(運用型広告)も実施しており、アトリビューション(貢献度)計測の難しさはありつつも、投資対効果を慎重に見極めています。
Cotopaxiは長年、ソーシャルメディアやSEOなど、「投資対効果の高い領域へのスポット的な投資」を試みるなかで、コストの肥大化にも直面してきました。
数年間、私たちは売り上げを伸ばすための資金投入と成長の追求に追われ、少し視野が狭くなっていた部分がありました。現在はそこから舵を切り直し、長期的な利益につながるかを厳しく見極めながら、より慎重に予算を配分する体制へと移行しています。
こうした数々の実験を通じて、Cotopaxiは「どのオムニチャネル連携から撤退すべきか」の引き際も学んだと言います。
Cotopaxiは一時期、実店舗の在庫状況をオンライン上に表示。また、Webサイトの店舗検索機能や、製品を扱う小売パートナーの情報を掲載し、消費者がどこでブランドと物理的に接点を持てるかを可視化していました。
「この施策については、何度も導入と撤退を繰り返してきました」とジェイコブ氏は明かします。
数年前には、BOPIS(Buy Online, Pick Up In Store:オンライン購入・店舗受け取り)や、エンドレスアイル(店舗でEC在庫を注文できる仕組み)などにも投資しました。一定の成果は出たものの、現場のオペレーションは確実に複雑になります。私たちは今でも、何が本当にユーザーに価値をもたらし売り上げを牽引するのかと、業界でその時々に流行している「バズワード」とのバランスを測っているところです。店舗向けテクノロジーに関しては一通り実験しましたが、最終的には、ユーザーがどのようなルートでCotopaxiと関わりたいかに対して、システム側を特定の手段に固執させないという結論に達しました。
Cotopaxiの実店舗のほとんどは米国西海岸に集中しており、北東部には数店舗しかありません。海外では日本と韓国に数拠点を持っています。年末年始などの主要なセールス期間には、配送締切日が近づくにつれて、これらの店舗をフックにして顧客を呼び込む戦略を取っています。
しかし、Home Depotのように全米を網羅するネットワークがあるわけではありません。オンラインでCotopaxiを利用する消費者の大多数は、近所に店舗がない環境にいます。その観点から見ると、オンラインとオフラインの融合という「真のオムニチャネル」の恩恵を受けられるのは、現在の店舗網ではごく一部のユーザーに限られます。だからこそ、本格的なインフラ投資を急がず、まずは実験的な運用に留めてきたのです。
Cotopaxiがオムニチャネル施策を集中的にテストした背景には、コロナ禍の存在がありました。当時は「北米EC事業トップ1000社」に名を連ねる小売事業者が、BOPISやカーブサイド・ピックアップ(店外受け取り)、店舗在庫の可視化といった機能をこぞって導入した時期です。
『Digital Commerce 360』の「2026年版オムニチャネルレポート」のデータによると、2021年から2025年にかけて、これらのサービスを提供している大手小売チェーンは、提供していない企業に比べて平均して高いコンバージョン率(CVR)を維持し続けていました。
「確かに、サービスを提供した店舗では一定の利用がありました」とジェイコブ氏は話します。
しかし、BOPISを導入したからといって、その店舗単体の収益構造が劇的に好転するわけではありませんでした。それどころか、準備が整っていない個別の店舗にECの需要が一気に流れ込めば、店内の在庫補充や人員配置の計画など、裏側の複雑さは増すばかりです。
このオペレーションの負荷は、リスクに見合うものではなかったというのが結論です。「要するに、労力に見合うだけの成果が得られなかったのです」。ジェイコブ氏はこう語ります。
そのため、いくつかの施策からは撤退しました。これらのオムニチャネル戦略自体を否定するつもりはありません。企業の規模や地理的なカバー率によって正解は変わりますが、当時の私たちの規模においては、これがリアルな経験値だったということです。
北海道・留萌市に本社を置き、サケとばやいくらなどの海産物を販売するヤマニ野口水産は、「TikTok Shop」開設から5か月で累計売上2000万円を突破した。2026年2月に「TikTok Shop」を開設し、初月は売上118万円でスタート。3月には512万円を記録し、開設から73日後の4月22日に累計売上1000万円を突破、その後も成長を続け、5か月で累計売上2000万円に到達した。

ヤマニ野口水産によると、この売り上げはAmazonや楽天市場など既存ECチャネル全体の売上を大きく上回る規模になったという。「TikTok Shop」が最大級の販売チャネルへと成長し、地方の食品事業者にとって新たな販路開拓の可能性を示す事例となっている。
ヤマニ野口水産は、加工場の臨場感や商品のシズル感を伝えるショート動画を継続的に投稿するオーガニック施策に加え、晩酌・グルメジャンルを中心とした約160人のクリエイターによる成果報酬型アフィリエイト施策、さらに反応の良かったコンテンツを活用した「TikTok Shop」広告を組み合わせて運用した。こうした施策により、広告への依存を抑えながら効率的な売上拡大を実現したとしている。
購買データによると、購入者の中心は25〜34歳で、男性が過半数を占めた。地域別では東京都、埼玉県、神奈川県を中心とした首都圏の購入者が約半数となった。北海道・留萌で製造した水産加工品を、「TikTok Shop」を通じて首都圏の若年層へ継続的に販売する構造が生まれたことが特徴という。
ヤマニ野口水産の事例は、地方食品の販路が、検索やECモールで商品を「探して購入する」モデルから、動画コンテンツとの偶然の出会いをきっかけに購買へつながる「見つけてもらう」モデルへ広がりつつあることを示している。
地域や知名度に左右されず、全国の消費者へ直接商品を届ける販路として、「TikTok Shop」を活用したディスカバリーコマースの有効性がうかがえる。
今回の運用では、KASHIKAが提供する食品SNS運用支援サービス「2nd Buzz」を活用した。動画ごとの再生数やエンゲージメントデータを分析し、市場で支持されるコンテンツの共通点を把握したうえで、企画立案から運用までを支援するサービスで、食品メーカーを中心とした事業者のSNSを活用した販路拡大を後押ししている。
スクウェア・エニックスは、7月1日に実施した「スクウェア・エニックス e-STORE」のシステム全面入れ替えの影響で不具合などが発生、システムメンテナンスが長期化しサービス提供を停止している。
原因は、旧システムから新システムへのデータ移行処理に想定以上の時間を要していることに加え、テスト環境では確認されなかった不具合への対応が発生しているという。データ移行処理自体は正常に進行しているとしている。
また、一部の不具合は解消したものの、決済や商品在庫数の管理など重要機能に影響する不具合については、検証および修正を進めているという。
現時点では、データ移行および不具合修正の完了時刻を正確に算出することが難しいため、メンテナンス終了の目途は未定。進展があり次第、改めて案内するとしている。
なお、メンテナンス開始前までに注文した商品の出荷については、7月3日から順次再開している。
クレジットカード決済代行を手がける全東信は7月6日付で、大阪地方裁判所から破産手続開始決定を受け、同日付で事業を停止した。破産管財人の告知によると、加盟店向けのクレジットカード決済代行および付帯サービスは中止され、全東信のクレジットカード決済端末は利用できなくなった。
全東信は加盟店に対し、破産手続開始までに支払われていないクレジットカード売上金について、従来の支払期限どおりには弁済できず、破産手続における破産債権として扱うと説明。今後、配当の見込みが立った段階で、破産債権届出など必要な手続きを案内するとしている。
加盟店がクレジットカード決済を再開するには、新たにカード会社などとの加盟店契約が必要になる。
東京商工リサーチ(TSR)によると、全東信の負債は2025年3月期決算時点で1259億円。取引金融機関では、債権の取立不能または取立遅延の恐れに関する開示が相次いでいる。
飲食業界への影響も大きいと見られ、一般社団法人日本飲食団体連合会(食団連)は、影響を受ける飲食店が多いと想定されるとして情報発信を始めた。
TSRによると、食団連は全東信の決済代行サービスが入金サイクルの早さを特長としていたことから、資金繰りに余裕の少ない個人経営の飲食店を中心に利用が広がっていた可能性があると見ているという。
全東信からの売上金が未入金となるリスクに加え、代替の決済サービスを導入していない店舗では、クレジットカード決済が利用できなくなることで顧客の利便性が低下し、販売機会の損失につながる懸念もある。
食団連は7月7日付で、影響を受けた会員飲食店向けの支援策を公表した。
具体的には、日本政策金融公庫の「セーフティネット貸付(経営環境変化対応資金)」の活用、取引銀行・信用金庫への早期相談を呼びかけている。相談時には、直近の試算表や資金繰り表、全東信への未入金額が確認できる資料を準備するよう案内している。
また、信用保証協会による別枠保証制度「セーフティネット保証1号」の適用に向けて関係機関へ働きかけも始めた。同制度は、大型倒産した事業者に対する売掛金債権などを有する中小企業を対象に、通常枠とは別枠で100%保証を行うもの。ただし利用には、全東信が経済産業大臣告示の「指定事業者」に指定される必要がある。なお、TSRによると、中小企業庁は7月8日時点で全東信を指定事業者としておらず、情報収集中としているという。
食団連はこのほか、中小企業基盤整備機構が運営する経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)の加入者については、売掛金債権の回収が困難になった場合に共済金貸付を受けられる可能性があるとして、窓口への確認を促している。
税務面では、未回収の売上代金が貸倒損失または貸倒引当金の対象となる可能性があるため、顧問税理士への相談を推奨。法務面では、破産管財人に対し、裁判所が定める債権届出期間内に未入金分の債権届出を行うよう呼びかけている。
食団連は今後、被害状況の集計も進める方針だ。
カード会社側でも対応が始まっている。
クレディセゾンは、全東信の破産に伴い、同社の決済端末を導入している一部店舗でセゾンカードを含むクレジットカードが利用できない状況が発生していると案内した。
利用者には他の決済手段の利用を呼びかける一方、全東信と契約していた加盟店に対しては、代替となる決済事業者を紹介するとしている。なお全東信は複数のカード会社と提携しており、今後も各カード会社による対応が広がる可能性がある。
今回の破たんは、決済代行会社の経営悪化が加盟店の資金繰りや販売機会に直結するリスクを改めて浮き彫りにした。とりわけ飲食店では、日々の売上入金と決済手段の確保が事業継続に直結するだけに、今後の影響が注目される。
BEENOSは7月6日、韓国の越境EC購入サポートサービス「Delivered Korea(デリバードコリア)」と協業し、LINEヤフーの「Yahoo!ショッピング」内に、韓国コスメの直送ストア「KOCOii(ココイイ)」をグランドオープンした。

「KOCOii」は、厳選された韓国コスメを、韓国から日本の消費者へ直接届ける直送型オンラインセレクトショップ。正規ライセンスを取得している韓国事業者のみが商品を出品する。
韓国の主要なECモールとの連携実績を持つ「Delivered Korea」が、韓国側のECセラーとの連携、配送、カスタマーサポートなどを一気通貫で担当。BEENOSが「Yahoo!ショッピング」内でのストア運営を担い、日本のユーザーが利用できる購買環境を実現した。
さらに、韓国直送の仕組みを生かし、中間流通を可能な限り省き、価格を抑えた商品提供を可能にする。送料設定は、韓国直送でありながら3980円以上は送料無料、3980円未満の場合も送料一律680円。「Yahoo!ショッピング」内への出店であるため、日本の消費者が日常的に利用する購入導線や、「PayPay」決済やポイント還元といった利便性を活用できる。

近年、日本国内でもKビューティ(韓国発祥のスキンケア製品、コスメ、または美容トレンド)への関心が高まる一方で、海外からコスメやスキンケアアイテムをオンラインで購入する際には、正規品か、使用期限に問題はないか、配送や問い合わせ対応などに不安を感じるケースもある。こうした課題に対応するため、「KOCOii」を開設した。
日本でも人気の高い14ブランドから取り扱いを開始し、今後も順次ラインアップを拡充する予定。これまで日本国内では入手が難しかった韓国限定商品や日本未発売の新作なども順次展開する。
「KOCOii」は「Yahoo!ショッピング」内で7月6日12:00より開始される韓国コスメ特設ページ「ヤフショ韓コスMall」における、クーポン企画対象ストアの1つ。
ファブリカホールディングス子会社のファブリカコミュニケーションズは、EC向けCRMサービス「アクションリンク」のShopifyアプリの提供を6月5日に開始した。Shopifyを利用する国内EC事業者は、Shopifyの管理画面上のアプリ一覧からインストールできるようになり、外部サービスとして個別に申し込むことなく導入・利用できる。

「アクションリンク」は、EC事業者向けに特化したAI搭載CRMツール。顧客データを統合・分析し、LTVやRFM分析に基づいて顧客理解を深めるほか、メール、LINE、SMSを活用したコミュニケーション施策を自動化することで、リピート購入の促進と売上拡大を支援する。

今回のShopifyアプリ化により、国内EC事業者は、日本のEC運営で発生しやすい複雑なデータ統合から、クロスチャネル施策の実行までをシームレスに進められるようになる。顧客情報、商品情報、購入履歴、閲覧履歴など、CRMに必要なデータを顧客単位で一元管理し、専門知識がなくても分析から配信、施策実行までをスピーディーに進められるとしている。
ファブリカコミュニケーションズは、EC市場の拡大に伴い、事業者の成長戦略が「新規顧客獲得」から「リピート購入の促進」「LTV最大化」へ移行していると説明。そのなかで、「手軽にリピート売上を向上させたい」「顧客ごとに最適化したメールやLINE配信を始めたい」「人手不足でもCRM施策に取り組みたい」「顧客データに基づく具体的な施策を実行したい」といったニーズに対応する狙いがあるとしている。
アプリの主な特長として、ファブリカコミュニケーションズは運用実績をもとに設計した「鉄板シナリオ」をワンクリックで実行できる点を挙げる。数千回にわたるPDCAで効果検証したリピート施策を標準搭載しており、導入直後から成果につながる施策を開始しやすいという。また、顧客属性や購買履歴、閲覧履歴、配信条件などを組み合わせた柔軟なシナリオ設計にも対応し、顧客ごとに最適化したアプローチを自動化できるとしている。
さらに、CRM運用に伴うデータ作成や条件設定、施策実行などの煩雑な作業を自動化し、一部の導入企業では最大90%の工数削減効果を確認したという。また、「鉄板レポート」機能では、期間・顧客・商品を組み合わせた分析を容易に実施でき、LTVや継続率などの指標も複雑な設定なしで把握できるとしている。
ECサイト構築サービス「SHOPLINE」を展開するSHOPLINE Japanは6月29日、同サービスを利用するオンラインストア向けに、オンライン決済サービス「Amazon Pay」との連携を開始した。これにより、SHOPLINEで構築したECサイトでは、決済手段としてAmazon Payを導入できるようになった。

今回の連携により、購入者はAmazonアカウントに登録している支払い方法や配送先住所を利用して、SHOPLINE上のオンラインストアで決済できる。新たに決済情報を入力する手間がなくなり、スムーズに購入を完了しやすくなる。
SHOPLINEは、シンガポールに本社を置くECサイト構築サービス。アジアを中心に累計70万以上のストアへ導入されており、ECサイト構築に加え、ソーシャルコマース、POS、顧客管理などを含む包括的なコマースソリューションを提供している。
Amazon Payは、Amazonアカウントに登録済みの配送先住所やクレジットカード情報などを利用して決済できるオンライン決済サービス。日本では2015年5月に提供を開始し、導入事業者は2万社を超える。購入者にとっては利便性の高い決済手段となるほか、事業者側では購入手続きの簡略化によるコンバージョン率の向上や新規顧客の獲得効果が期待できるという。また、Amazonギフトカードでの支払いにも対応しているほか、Amazonが提供するセキュリティ基盤による安全な取引を支援する。
SHOPLINE Japanは今回の連携について、ブランド企業が運営するオンラインストアにおいて、より多くの顧客との接点を創出するとともに、利便性の高い購買体験を提供することを目的としていると説明している。
ecbeingは7月6日、ECサイトにおけるレコメンド機能の利用実態調査の結果を公表した。レコメンド機能が役立つと感じる場面では「何を買うか迷っているとき」が55.5%で最多となった。今後のレコメンド機能に期待することでは「セール・お得情報との連携」が59.0%で最も多く、ユーザーがレコメンドに対し、精度だけでなく購買メリットを含めた実用性を求めていることが明らかになった。

調査によると、直近1年間にECサイトの「あなたへのおすすめ」などのレコメンド機能を見たことがある人は84.5%だった。内訳は「よく見る」が29.5%、「たまに見る」が55.0%で、「見たことがない」は6.0%にとどまった。レコメンド機能が、多くのEC利用者にとって日常的に接する機能として定着していることがうかがえる。

レコメンドをきっかけに商品を購入した経験については、「よくある」が10.0%、「たまにある」が46.0%、「ほとんどない」が30.0%で、ecbeingではこれらを合わせた86.0%が購入経験ありと回答したとしている。また「ない」は14.0%にとどまった。ecbeingは、レコメンド機能が購買転換における有効な接点として広く機能しているとみている。

レコメンド機能が役立つ場面として最も多かったのは「何を買うか迷っているとき」(55.5%)。次いで「新商品・トレンドを知りたいとき」(33.5%)、「ギフト選びのとき」(25.5%)が続いた。商品探索のきっかけだけでなく、購入直前の意思決定を後押しする役割も期待されていることがわかる。

一方、レコメンドが「的外れ」だと感じた際のサイトへの印象については、「特に気にならない」が51.0%だったものの、「少し不満を感じる」が33.5%、「信頼感が下がる」が15.5%となり、約半数が何らかのマイナスの印象を抱いたと回答した。レコメンド精度の低下は、機能面だけでなく、ECサイト全体への信頼感にも影響する可能性があることが示された。

今後のレコメンド機能に期待することでは、「セール・お得情報との連携」が59.0%で最多だった。続いて「より自分好みの精度向上」が50.5%、「邪魔にならない表示方法」が34.0%、「過去の購入履歴を活用した提案」が29.5%となった。ecbeingは、レコメンドの精度向上だけでなく、セール情報など価格面でのメリットと組み合わせた提案が、実際の購買につながりやすい可能性があると分析している。

また、レコメンド表示をきっかけに、そのECサイトをより長く利用したいと感じたことがある人は40.5%だった。レコメンド機能は購買促進だけでなく、継続利用意向やLTV(顧客生涯価値)の向上にも寄与する接点となっていることがうかがえる。
アスクルは2027年5月期の連結業績について、売上高は前期比22.4%増の4900億円、営業利益は70億円、経常利益は63億円、当期純利益は40億円を見込む。2026年5月期はランサムウェア攻撃の影響などで大幅な減収・赤字となったが、2027年5月期は増収と黒字転換をめざす。

2026年5月期の連結業績は、売上高が前期比16.8%減の4001億9900万円、営業損失は174億4500万円(前期は140億400万円の黒字)、経常損失は190億6200万円(前期は138億1600万円の黒字)、当期純損失は221億5000万円(前期は90億6800万円の黒字)だった。2026年5月期について、ランサムウェア攻撃の影響を織り込んだ修正計画は達成したとしている。
業績悪化の主因は、ランサムウェア攻撃による事業影響に加え、売上高減少に伴う利益減、売上総利益率の低下、関東DCや物流拠点再編、基幹システムリプレイスに伴う固定費増などがあげられる。営業利益の増減要因では、売上高減少による利益減が136億円、売上総利益率の低下が64億円、一時的な物流効率低下による物流費増が89億円、関東DCや物流拠点再編、基幹システムリプレイス関連で25億円の負担が発生した。また、営業外費用として休止固定資産減価償却費12.6億円、特別損失としてシステム障害対応費用51億円も計上した。

さらに、歯科業界向け通販「FEEDデンタル」などを運営するフィードの持ち株会社AP67が48億円の減損損失を計上。円安による仕入原価上昇や顧客基盤拡大の鈍化、別法人であることによるシナジー創出の遅れなどを踏まえ、成長計画を見直したとしている。今後はグループ再編を進め、調達機能の統合や物流基盤の活用、重複機能の解消によるシナジー最大化をめざす。
セグメント別では、2026年5月期のeコマース事業の売上高は前期比16.8%減の3930億円、営業損失は162億円(前期は142億円の黒字)だった。
主力のASKUL事業は売上高が同21.1%減の2829億円、LOHACO事業は同23.8%減の280億円。一方、グループ会社などの売上高は同6.7%増の820億円だった。ロジスティクス事業・その他の売上高は同19.8%減の71億円、営業損失11億円(前期は2億円の赤字)となった。
2027年5月期は、eコマース事業の売上高を同22.6%増の4818億円、営業利益70億円と見込む。内訳はASKUL事業の売上高が同24.8%増の3531億円、LOHACO事業の売上高が同42.4%増の400億円、グループ会社などの売上高が同8.0%増の886億円。ロジスティクス事業・その他の売上高は同13.9%増の81億円、営業損益は収支均衡を計画している。

営業利益の改善要因としては、売上高増による利益増92億円、売上総利益率改善65億円、物流効率改善による物流費削減92億円、グループ会社の損益改善1億円、ロジスティクス事業・その他の利益改善11億円を見込む。一方、広告宣伝費・販促費、人件費、セキュリティ・AI関連投資などに伴うその他経費50億円の増加も織り込んでいる。

収益構造改革では、物流効率改善に加え、関東圏の物流拠点再編や全社横断での固定費削減を進める。2027年5月期は物流拠点再編による11.5億円の効果、追加施策による2億円の固定費削減を見込むほか、AIによる業務効率化や「聖域なき固定費見直し」により、全社で10億円の固定費削減をめざす。

アスクルは2027年5月期を「売上回復と構造改革を進め、成長再加速の起点とする」年度と位置付ける。事業復旧の過程で得た知見を生かし、新体制のもとで中期経営計画の実行を加速させる考えだ。独自のビッグデータとAIを活用し、LTV(顧客生涯価値)の最大化をめざす。
商品戦略では、飲料や食品、掃除用品、衛生用品、梱包資材など「仕事場の日用品」を軸に、対人サービス業向け商品の拡充やオリジナル商品の強化、価格競争力の向上を進める。
物流では短納期やきめ細かなサービスといった強みを維持しながら、LOHACOの納期短縮やFEEDデンタルの翌日配送エリア拡大にも取り組む。
営業・販促では、専任チームの強化や購買管理システムとの接続拡大、販売店との連携強化に加え、PayPayやLINEヤフーとの協業、販売チャネル拡大を進める。
また、事業復旧時の分析では、LTVの高い顧客ほど復帰スピードが早かったことから、パーソナライズ提案や対人接点の強化によって顧客基盤の再拡大を図る。

経営体制も刷新する。アスクルは、AIの進化によるeコマースの新たな発展段階を成長機会と捉え、次世代リーダーへの経営承継を進める方針を示した。
取締役会は13人から10人へスリム化し、このうち独立役員を6人とする。独立社外監査等委員も新たに選任し、取締役会の実効性向上や経営判断の迅速化、監督機能の強化を図る。
代表取締役には成松岳志氏を新たに選任する予定。成松氏は2007年にアスクルへ入社し、LOHACO事業本部長、ロジスティクス本部長、事業戦略本部長を歴任してきた。LOHACO、物流、事業戦略を横断して経験してきた人材をトップに据えることで、事業復旧後の成長戦略と構造改革を一体的に推進する考えだ。

初回980円のトライアル価格で顧客を広く獲得し、定期購入に引き上げることで事業として投資を回収していく――。このモデルはEC・通販業界で広く採用されており、多くの事業者が一度は検討、あるいは実施しているのではないでしょうか。確かによく見かけるモデルですが、本当に事業として成立しているのでしょうか。「投資回収シミュレーション」の考え方を活用し、実際の数値を当てはめながら検証していきます。
今回のケースは、次の条件でシミュレーションします。本品価格は4980円、トライアル商品は980円。トライアルの顧客獲得コスト(CPA)は3000円と仮定します。この時点でトライアルのROAS(広告費用対効果)は約30%で、初回は赤字です。ここから定期購入への引き上げでトライアルコストを回収していく構造です。
引き上げについては、トライアルからその場で初回半額定期に移行する割合が25%、さらにその後のフォロー施策で残りの顧客の約10%が引き上がると仮定し、最終的な定期引き上げ率は31.8%としています。
このモデルの前提として押さえておきたいのは、トライアル商品は単なる「安い商品」ではないという点です。定期への引き上げを目的とするため、同梱物やフォロー施策など、顧客コミュニケーションを手厚く設計します。
その結果、販促物のコストが上がりやすく、場合によってはパッケージや構成品を含めた商品原価そのものが本品より高くなることも珍しくありません。つまり、トライアル商品は見た目以上にコストのかかる設計になりがちです。
この前提で、継続構造を見ていきます。F1からF2への移行率を60%、F2からF3を75%、F3からF4を80%、F4からF5を85%、F5からF6を90%、そしてF6以降は95%で安定すると仮定します。このような数値は実務でもよく見られるレンジです。
この継続率をもとに、顧客1人あたりの累積損益を算出していくとどうなるか。結論から言うと、この条件で投資は回収できません。
なぜ回らないのか――。その理由はシンプルで、粗利構造に対してコストが重すぎるからです。まず本品価格4980円に対して原価率を20%とすると、1回あたりの粗利はそれほど大きくありません。さらにここにフルフィルメント費用が加わります。ピッキング、梱包、資材、配送を含めると、1回あたり約700円のコストがかかるケースは少なくありません。この金額は粗利に対して非常に大きな割合を占めます。
また受注や問い合わせでのメールやチャット、電話対応によるコミュニケーションコスト(CC費)も意外と大きな影響を与えます。特に定期購入では、解約は電話のみ受け付けている場合もよく見かけます。人的対応が増えると、その応対コストはかさみがちになります。
加えて決済コストも無視できません。クレジットカード決済であれば一般的に約3%の手数料が発生しますが、売価が4000円を超えてくると、この比率負担も徐々に効いてきます。一方で後払いの場合は1件あたり約100円程度の定額コストがかかるケースが多く、購入単価が上がるほど費用比率としては下がる構造になります。
いずれにしても継続回数が積み上がるなか、毎回利益を薄く削り取っていきます。こうした決済コストも含めて考えると、物販における収益構造は想像以上にシビアです。
トライアルモデルでは、いかに本品定期購入へと誘引できたかが大事なポイントとしてあげられますが、このモデルが成立するかどうかは、引き上げ率の高さだけで決まるわけではありません。
むしろその前に、粗利構造がきちんと確立できているかが大きな前提条件になります。いくら引き上げ率が高くても、1回あたりで積み上がる利益が小さければ、投資回収には至りません。逆を言えば、粗利構造がしっかりしていれば、多少引き上げ率が低くても成立するケースもあります。
ではどうすればいいのか。現実的な改善策の1つが、1回あたりの容量を増やしてお届け間隔を伸ばすという、いわゆる隔月定期などの設計です。
たとえば、30日分の定期ではなく60日分の定期にすることで、売り上げは単純に倍になりますが、配送や梱包、決済といったコストは1回分で済みます。その結果、限界利益が大きく改善されます。特に物流コストと決済コストは回数に依存するため、この設計変更のインパクトは大きいと言えるでしょう。
また、後払いの活用も1つの選択肢です。定額コストである後払いは、単価が上がるほど費用比率が下がるため、複数月定期と組み合わせることで収益構造を改善できる可能性があります。もちろん未回収リスクは考慮する必要がありますが、価格帯や顧客層によっては十分に成立するケースもあります。
さらに、根本的には商品設計そのものの見直しも必要です。物販の場合、原価と物流という構造的な制約がある以上、一定の価格帯で単品リピートモデルを成立させるには限界があります。同じモデルでも、情報商材やデジタルサービスであれば原価や物流コストがほぼ発生しないため、成立条件は大きく変わります。つまり、ビジネスモデルは商材特性と切り離して考えることはできません。
初回980円トライアルモデルは、決して簡単に回るものではありません。むしろ設計を誤ると、売り上げが伸びるほど赤字が拡大する構造になりやすいモデルです。だからこそ、感覚や業界慣習ではなく、顧客単位の「投資回収シミュレーション」で構造を検証することが重要になります。
EC事業は、モデルをまねるだけでは成立しません。構造を理解し、自社に合わせて設計することで初めて成立します。
今回解説したシミュレーションはあくまで一例ですが、こうした試算を実際に手元で動かしながら検証することで、事業の見え方は大きく変わります。もし、より具体的に自社の条件に当てはめて検討したい場合は、実際に使用している試算ファイルを参考にしてもらうことも1つの方法です。
今回のようなモデルをそのまま再現し、数値を変更しながらシミュレーションできるファイルを、以下のnoteで有料提供しています。実務でそのまま使える形に整理しているため、投資回収の考え方を具体的に理解したい方には役立つはずです。
▶試算ファイルの実物はこちらのnoteで(有料販売):https://note.com/kawabe_atsushi/n/n10affbd7f284
価格は9800円としていますが、実際の事業設計や投資判断に使える前提で作成しているため、十分に元が取れる内容にしているつもりです。必要に応じてご活用ください。
次回以降も、今回取り上げたモデルと並んで業界で広く採用されている「初回半額定期モデル」「サブスクリプションモデル」といった代表的な事業パターンを横断的に整理し、それぞれがどのような収益構造になっているのかを比較しながら解説していきます。
オンワードホールディングスはこのほど、2019年8月から推進している社員の働き方改革プロジェクト「働き方デザイン」 の2025年度の成果を発表した。中核事業会社であるオンワード樫山において、男性育児休業取得率100%を達成。さらに、女性の管理職級比率は3割を超え、役員比率は14.3%へ上昇した。
「働き方デザイン」は業務効率化とワーク・ライフ・バランスの実現により生産性を向上することを目的とした取り組み。2025年度も多様な施策を展開し、生産性の向上と多様性推進に大きな成果をあげたという。その具体的な内容は次の通り。
オンワード樫山では、性別や職種を問わず育児休業を取得できるよう、全国のリテール部門の営業担当とエリアマネージャーを対象に、育児休業制度の基礎知識や店舗マネジメントのポイントを学ぶオンライン研修を実施した。販売現場での男性社員の育児参加が進み、2025年度の男性育児休業取得率100%につながったとしている。
社員からは、「育児休業についての理解を深めることと同時に、育児休業の取得を希望する男性社員が相談しやすい環境を整えることも重要であると感じた」「育児休業に限らず、日頃から連休を取得しやすい環境づくりをチームみんなでつくっていくことが必要」といった声があがったという。
オンワード樫山では、女性の管理職・役員登用を進めるための研修やキャリア支援制度の実施を経て、2026年3月に新たに女性執行役員1人を登用。同月時点で、オンワード樫山の役員に占める女性比率は14.3%となり、管理職級の女性比率は32.6%となった。
2022年度から、経験豊かな先輩社員(メンター)が後輩社員(メンティ)のキャリア形成や課題解決、悩みの解消を支援する「メンター制度」を導入。約30人のメンティを対象に月2回程度のメンタリング(面談)を実施するほか、説明会や研修、共有会を通じて初めて制度に参加する社員に対してもフォロー体制を整備。2024年度からはチャコット、大和、アイランドにも対象を拡大し、2025年度の参加者アンケートでは満足度4.3点(5点満点)となった。
2023年度からは、代表取締役社長の保元道宣氏と社員がダイバーシティ推進について課題の共有と解決策を議論する「ダイアログセッション」を実施。2023年度は「女性活躍」をテーマに、女性管理職4名が参加。2025年度は「イノベーションの促進に向けたダイバーシティ」をテーマに全4回実施し、性別・キャリア・職種に関わらず17人が参加した。
BtoB事業を展開するオンワードコーポレートデザインでは、部長職・課長職32人を対象とした全4回のマネジメント研修を実施。管理職1人ひとりの意識と行動の変革を通じて、ブランドコンセプト「"らしさ"や"ありたい"をつくる。」を体現する組織づくりを進めた。同時に、時代に合わせたマネジメント力の強化を目的に実施した。
研修後、参加した管理職からは、ブランドコンセプトをより具体的な行動へ落とし込む必要性や、部下との対話・関係構築の重要性に関する声が寄せられたという。
ユニフォームや空間、ノベルティなど多様なソリューションを通じて企業や組織の価値を形にする事業を展開しているオンワードコーポレートデザインでは、社員1人ひとりがブランドコンセプトを理解し、日々の業務や顧客対応、社内外のコミュニケーションの中で体現していくことが重要だとしている。そのため、管理職が組織の方向性を示し、部下との対話を通じて行動変容を促す役割を担う必要があることから、ブランドコンセプトを現場での実践へとつなげていくために、管理職を対象とした全4回のマネジメント研修を実施した。

機能・素材・思想・ストーリー──商品そのものが持つ付加価値を理由に選ばれるようにするにはどうすればいいでしょうか?ECでは商品の価値が「本当に体感できる?」という疑念に負けやすいという側面があります。だからこそポップアップは“売る場”ではなく「納得をつくる場」として効果的なのです。指名買いと継続購入を生む設計を、事例を交えて解説します。
リカバリーウェア、高価格帯の調味料、こだわりの美容家電や調理家電──カテゴリは違えど、これらに共通するのは「同じカテゴリの一般的な価格帯と比べて、3~5倍以上の価格に位置している」という点です。
たとえばリカバリーウェアの代表格である「BAKUNE」は、上下セットで2万円台後半。一般的なパジャマと比べれば数倍の価格帯です。高価格帯の調味料も同じで、スーパーで売られている同カテゴリ商品の価格帯から見れば、明らかに高い位置にあります。それでも選ばれているのは、商品の背景にある「思想」「素材」「つくり手」「使った後の感覚」までを含めた価値が、価格を上回って納得されているからです。
ところがECは、この“納得”をつくるのが構造的に苦手な場です。
比較・感覚・必要性──ECで補いきれない3点を引き受けるのが、ポップアップという場です。
ポップアップを“短期の売り上げを立てる場”として捉えると、高付加価値商品は意外と苦戦します。会期内に多くの来店客が来ても、その場で1万円~数万円の意思決定をしてもらうのはハードルが高いからです。
そこで、視点を切り替えます。ポップアップのKPIを「売上」だけでなく「納得獲得数」に置き直す──これが本記事で一番お伝えしたいことです。
納得獲得とは、来店客が次の3つを通過した状態を指します。
この3つを通過した来店客は、その場では買わなくても、帰宅後にECで指名検索し、購入に至ります。高付加価値商品の購買層は、衝動的に高額商品を買うよりも、一度持ち帰って考え、納得してからECで購入するパターンが多い層です。ポップアップは“その納得を仕込む装置”として最適なのです。
筆者が事業支援するブランド「(ふつうの)ショップ」は、プロのこだわりを食卓に届けるブランドとして、マヨネーズ、ケチャップ、ドレッシングなど10種類のこだわり調味料を1瓶1200円~の価格帯で展開しています。
これまでEC中心に事業を伸ばしてきましたが、ECだけでは伝わりきらない価値をどう伝えるかが継続的な課題でもありました。
その課題への解決のアプローチの1つとして実施したのが、2026年3月18~24日の7日間、日本橋三越本店本館地下1階・生鮮プロモーションスペースへの初出店です。
結果、期間売上・日別売上ともに過去最高を記録しました。何が効いたのかを設計の観点で振り返ると、ポイントは大きく3つに整理できます。
調味料のポップアップで最もよく見るのは「小皿に出して試してもらう試食」です。しかし、それでは商品の本当の価値は伝わりません。マヨネーズ単体で試食してもらうよりも、「焼きたてのバゲットにつけた時」「茹でた野菜と合わせた時」「卵料理に使った時」──そういう日常の文脈の中ではじめて、コクや後味、素材の軽さといった感覚価値を感じてもらえます。
そこで「(ふつうの)ショップ」では、全商品を試食可能とした上で、「どう使うと一番違いがわかるか」をテーマにした提案を行いました。来店客は「あ、これは普段の卵サンドに使ってみたい」「うちの夕食のあの料理と合いそう」と、自分の生活に紐づけて納得していきます。
日本橋三越本店本館地下1階は、目の肥えた顧客が日常的に上質な食材を選ぶ場所です。
同じ商品でも、コンビニの棚に並ぶか、デパ地下のプロモーションスペースに並ぶかで、受け取られ方は大きく変わります。
これは「ハロー効果による箔付け」ではなく、「この場所で売られている=目利きの人たちが扱うに値する」という文脈の借用です。目の肥えた購買客は、 商品単体のスペックよりも、その商品がどういう文脈で扱われているかを敏感に読み取ります。出店場所そのものが、納得の前提を整えてくれるわけです。
「(ふつうの)ショップ」は、これまでも「紅白セット」などのセット商品をECで展開してきました。さらに消費者から「贈る相手に合わせて内容を選びたい」という声が寄せられていたことから、今回のポップアップでは、好きな商品を自由に組み合わせられるギフトボックスを用意。専用のショッパーも合わせて展開しました。
ここで重要なのは、ギフト購入が単なる贈答需要の取り込みにとどまらない点です。「自分用に1200円超の調味料を選ぶのは少し迷うが、人に贈るなら間違いない」という心理が、別の角度から価格のハードルを下げます。さらに、一度ギフトとして購入した人は、贈った相手の反応を経由して、自分用にも購入するケースが生まれます。ギフト動線は、自分自身への納得を一歩外側からつくる導線としても機能するのです。
「店頭で価値を直接体感してもらう試食」と「贈る側の心理を活用したギフト設計」──この2つが、価格を比較ではなく納得で受け止めてもらうための両輪として機能した出店だったと言えます。
リカバリーウェアは、ECで売るのが特に難しいカテゴリです。「着るだけで疲労回復」と説明しても、効果は個人差があり、見た目は普通のスウェットやパジャマと変わりません。価格は上下セットで2万円台後半。SNSには「効果がよくわからない」というレビューも一定数あります。
このカテゴリで圧倒的なシェアを持つのが、TENTIALの「BAKUNE」です。一般医療機器の届出を行い、独自開発の特殊機能繊維「SELFLAME」による血行促進機能をエビデンスベースで訴求。2021年2月の販売開始から累計販売150万セット超(2025年時点)と、リカバリーウェアという市場そのものを牽引してきたブランドです。
もともとオンライン中心のD2Cモデルで成長してきたブランドですが、近年、明確にリアル接点への投資を強化しています。直営店は虎ノ門ヒルズ、池袋パルコ、丸の内、伊勢丹立川、そごう横浜、横浜みなとみらい、大名古屋ビルヂングなどに広がり、加えて2025年だけでも、表参道ヒルズ(5~6月)、伊勢丹新宿店(6~7月)、バーニーズ ニューヨーク各店舗(六本木・銀座本店・横浜・神戸・福岡/5月末~6月)、大丸心斎橋店(10月~2026年2月)と、百貨店・セレクトショップでのポップアップが続いています。
象徴的なのは、伊勢丹新宿店本館5階での出店が、当初のポップアップから常設店へと移行する形で継続していることです。ポップアップが単なる催事で終わらず、出店期間を延ばしながら売り場として定着していく流れが、ブランド成長の動線として機能していることがわかります。
BAKUNEは2023年12月に初のテレビCMを放映し、2024年末からは櫻井翔氏を起用した「疲労回復は、パジャマから。」「BAKUNE完了。」といったメッセージを展開してきました。CM施策では、CM放映開始から2か月で20万セットの販売、店舗によっては行列ができるほどの反響があったと報じられています。
ここで注目したいのは、マスで「BAKUNE」という名前を知った人が、次に向かう場としてリアル接点が用意されているという構造です。テレビCMで認知を取り、ECで初回購入するユーザーが多数発生。一方で、「2万円台後半のパジャマ」は、CMを見ただけでは決めきれない人も多いのが実態です。その層を取りこぼさず、「実際に触って、着て、納得してから買う」場を、百貨店という信頼性の高いフロアに置く。これがリアル接点拡大の本質と言えます。
伊勢丹新宿店での移行はわかりやすい例ですが、ポップアップはその立地・フロア・客層に対して自社商品が持つ吸引力を、短期間・低リスクで確かめられる出店形態です。手応えがあれば期間を伸ばし、常設へ移行する。逆であれば次の場所を試す。出店判断の解像度、提案アイテムの構成──次のリアル接点に向けた判断材料が、ポップアップで一気に得られます。
BAKUNEの百貨店ポップアップ群は、単なる販路拡大ではなく、次のリアル接点をどこに置くかを市場と対話しながら見極める動きとして機能しているわけです。ECで売れているブランドほど、こうした“市場との対話”を構造化できる。これからリアル接点を拡張したいD2Cブランドが学ぶべき設計思想です。
BAKUNEに限らず、リカバリーウェアや類似の「効果が可視化されにくい高付加価値商品」のポップアップを設計するうえで、押さえておくべきポイントを整理します。
これらは、リカバリーウェアだけでなく、美容家電・コスメ・寝具など、「効果が個人差を伴い、購入前に体感できないと納得しにくい」高付加価値商品全般に応用できる型です。
ポップアップストアで納得を獲得しても、その熱量はECにつなげなければ意味がありません。ここが多くのブランドが落とすポイントです。具体的には、次の3つを必ず設計しておきます。
来店客の中で、その場で購入しなかった人ほど、後日のEC購入につながる可能性があります。
LINE登録、メルマガ登録、QRコードでEC会員登録──いずれかで接点を取り、「会期後に思い出してもらう仕掛け」を必ず仕込みましょう。来店者限定クーポンや、会期後数日以内の限定オファーが定番です。
ECで初回購入があった際、商品だけ送って終わりではもったいないです。
レシピ集、使い方ガイド、つくり手のメッセージカードなど、ポップアップで来店客が触れたであろう「編集された価値」を同梱物として再現します。これは“納得の再注入”であり、リピート購入の確率を大きく押し上げます。
リピート購入は、商品を気に入ってもらうだけでは生まれません。
「自分の暮らしのどこに、この商品が組み込まれているか」が定着して初めて、定期的な購入になります。そのために、購入後のメール/LINEで「使い方の幅を広げる提案」を継続的に送ります。
このCRM設計まで含めて、ポップアップは“納得をつくる場”として完成します。
最後に、本記事の内容を実務に落とし込むためのチェックポイントとして、高付加価値商品の購買層に効く納得設計の原則を3つにまとめておきます。
「軽い」「コクがある」「肌当たりがいい」といった感覚価値は、ブランド側が言語化して提示するだけでは足りません。来店客自身が、自分の言葉で説明できる状態にすることがゴールです。比較対象(自分が今使っているもの)との違いを、自分で語れる状態をつくりましょう。
衝動買いを狙うのではなく、持ち帰って考え、ECで指名買いさせる設計に振り切ります。これにより、客単価が安定し、返品率も下がります。会期中の売り上げだけを追わないことが、結果として総売上を最大化します。
商品単体の力で勝負するのではなく、出店場所、商品の編集テーマ、店頭スタッフの語りの3つで文脈をつくります。目の肥えた購買層ほど文脈の強さに反応します。日本橋三越本店、バーニーズ ニューヨークといった場が選ばれるのは、商品が引き立つ文脈を借りられるからにほかなりません。
高付加価値商品は、ECの比較競争に巻き込まれた瞬間に勝ち目を失います。だからこそ、ポップアップで“納得”を仕込み、ECで“指名買い”を回収するという役割分担が効きます。
(ふつうの)ショップが日本橋三越本店で過去最高売上を記録した背景にも、リカバリーウェアブランドが百貨店ポップアップを重ねている背景にも、共通しているのは「比較ではなく納得を売っている」という構造です。食品・アパレル・家電とカテゴリを問わず応用できる考え方ですので、自社の商品が高付加価値カテゴリに該当する読者の方は、ぜひポップアップ設計の起点に置いてください。
工具・資材のBtoB-ECサイト「トラノテ」を運営する大都は、物流拠点で商品を受け取れるサービス「トラノテピットイン」の提供エリアを関東圏へ拡大した。トラスコ中山と連携し、6月23日から「プラネット埼玉」と「プラネット東関東」の2拠点でサービスを開始。関東圏のユーザーは、注文当日に物流拠点で商品を直接受け取れるようになり、即日受取可能なSKU数は2拠点合計で最大25万SKUとなる。

「トラノテピットイン」は、ECで注文した商品を配送ではなく物流拠点で直接受け取れるサービス。大都は2025年12月から近畿圏で展開しており、今回が関東への初展開となる。ECの利便性と実店舗の即納性を組み合わせることで、建設・製造・保守などの現場で働くプロユーザーの緊急ニーズに対応する。
サービス開始の背景には、現場で資材が不足した際、職人が現場を離れ、在庫の有無がわからない実店舗を探し回るケースがあるという。また、物流量の増加に伴う配送遅延も発生しており、「自分で取りに行くので今すぐ欲しい」というニーズが寄せられていた。こうした課題に対し、配送を待つのではなく、利用者自らが物流拠点で商品を受け取れる選択肢を提供することで、現場停止のリスク低減をめざす。
対象拠点の1つである「プラネット埼玉」(埼玉県幸手市)は、トラスコ中山の関東最大のディストリビューションセンターで、約53万SKUを取り扱う。「プラネット東関東」(千葉県松戸市)は約33万SKUを扱う物流拠点。このうち、「トラノテピットイン」で即日受け取りに対応する商品数は、2拠点合計で約25万SKUとしている。

大都によると、先行展開している近畿圏では想定を上回る反響があったという。現場で在庫が切れ、その日のうちに必要になった顧客が車で約1時間かけて物流拠点まで商品を受け取りに来るケースもあり、従来のECにはなかった「確実性」と「即時性」が支持されているとしている。
これまでの物流は「届けてもらう」ことが当たり前だったが、「トラノテピットイン」は「今すぐ欲しいから、自ら取りに行く」という新たな選択肢を提供するサービスだ。トラスコ中山が持つ圧倒的な品ぞろえと物流基盤に、大都のスピード感やプラットフォームの発想を掛け合わせることで、他社にはない独自の価値を実現する。今後もエリア拡大やサービス認知の向上を進め、建設・製造・保守に携わるすべてのプロフェッショナルが『在庫切れで現場が止まる』ことのない世界をめざしたい。(大都 山田岳人社長)
大都の山田岳人社長
日本郵便は7月1日、法人向け出荷データ連携サービス「出荷データらくらく連携ツール」の提供を開始した。「ゆうパック」などの出荷データについて、簡単な操作で日本郵便の出荷および発送を管理するシステムへ直接連携できるサービスとしている。
「出荷データらくらく連携ツール」は、日本郵便の出荷・発送管理システムへの出荷データの一括アップロード、指定フォーマットへの変換などに対応する。詳しい特長は次の通り。

提供開始日時は7月1日15:00。利用に際して、日本郵便と料金後納契約および運送業務委託契約を締結し、日本郵便の法人向けポータルサイト「JP Business ToolBox」の利用と事前の申し込みを必要とする。